JP2012139272A - 顔表面の運動機能の測定装置及び測定方法並びに測定用補助具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定用補助具(1)は、レンズ上方部を支持せず、レンズ下方部のみを支持するよう形成されたレンズ保持部を有するメガネフレームを含み、メガネフレームにはマーカが取り付けられている。測定装置(100)は、マーカを有し、被験者の顔に装着される測定用補助具(1)を装着した被験者の顔の画像を撮像する撮像手段(5)と、撮像手段により撮像された被験者の顔の画像を取り込み、画像中に含まれるマーカの位置に基づき基準点を設定して、基準点に基づき、被験者の顔表面部位(例えば、上眼瞼)の運動(運動距離、運動速度等)を解析する画像解析装置(10)とを備える。
【選択図】図1
Description
図1に、本発明の実施形態に係る顔表面の運動機能(運動距離及び運動速度)の測定装置の構成を示す。測定装置100は、デジタルカメラ5と、画像解析装置10とを用いて構成される。
以下、本実施形態の測定装置100の動作を、眼瞼挙筋機能の解析動作を例として説明する。
まず、デジタルカメラ5により撮像された静止画を用いて眼瞼挙筋機能の解析を行う際の測定装置100の動作について説明する。図5は、静止画を用いて眼瞼挙筋機能の解析を行う際の測定装置100の動作を示すフローチャートである。
次に、デジタルカメラ5により撮像された動画を用いて眼瞼挙筋機能の解析を行う際の動作について説明する。図8は、動画を用いて眼瞼挙筋機能の測定を行う際の測定装置100の動作を示すフローチャートである。
上眼瞼(瞼縁)の運動距離 = Y軸最大座標値 − Y軸最小座標値 (1)
上眼瞼(瞼縁)の上方視最大運動速度 = Y軸正方向の最大速度 (2)
上眼瞼(瞼縁)の下方視最大運動速度 = Y軸負方向の最大速度 (3)
本実施形態の測定装置100を用いて、20〜35歳の健常者15名を対象に眼瞼挙筋運動を測定した。Beard Cらの方法に従い眉毛圧迫して測定したものと、眉毛圧迫せずに測定したものとを比較した。図12に、その測定結果を示す。平均値は12〜13mmで、挙筋機能の正常値(12〜15mm)の範囲内であった。また眉毛圧迫(+)と眉毛圧迫(−)の値に差は少ない一方、運動速度は、眉毛圧迫(−)では11〜12cm/秒で、眉毛圧迫することにより2cm/秒低下することが分かった。眉毛圧迫を行う理由は、上方視の時、前頭筋収縮による眼瞼挙上運動距離を消去することが目的であった。しかし、本データから眉毛圧迫は、眼瞼挙上運動距離より、運動速度に対する影響が大きいことがわかった。
測定用補助具の例として図3に示すようなメガネ型測定用補助具1を説明したが、測定用補助具の構成はこれに限定されるものではない。測定用補助具のいくつかのバリエーションを以下に説明する。
図13に示す測定用補助具は、図3に示すメガネ型測定用補助具1のフレームに、さらに左右外耳道に挿入できるイアチップ33を連結部35を介して接続したものである。外耳道は骨から構成されており、動きにくい。そこで、図13に示すように、左右外耳道に挿入できるイアチップ33をメガネ型測定用補助具1にさらに連結し、メガネ型測定用補助具1が顔の動きに応じて変動しないようにする。これにより、マーカ31と顔のずれがより低減され、得られる測定結果の精度を向上できる。
図14に示す補助具は、図3に示すメガネ型測定用補助具1において、左右のマーカ31の代わりに(又は左右のマーカ31に加えて)左右のメジャー34を備えたものである。健常者の多くは、眼鏡のツルがかかる耳介側頭溝の高さはほぼ水平であるが、耳介の手術後や顔面神経麻痺、顔面の先天異常があると、耳介の位置が下方偏位していることが多い。このような場合、マーカだけでは水平基準線を引くことが困難になる。そこで、本例では、水平な基準点を求めるため、左右蝶番の外側に幅2cm、1mmの目盛りを付したメジャー34を付加する。水平線は上方視時の左眼角膜下縁と右眼角膜下縁とを結んだ線とし、この水平線と左右メジャー34の交点を、補正した基準点とする。
a)その他のバリエーション1(図15(a))
図15(a)に示す測定用補助具は、図13に示すメガネ型測定用補助具1において、さらに、外耳道に差し込んだ両側のイアチップ33にポール37を立てたものである。これにより、被験者の外耳道が絶対的な座標値として扱えるようになる。この外耳道の座標値は、異なる日時の検査でも比較することができる。
b)その他のバリエーション2(図15(b))
図15(b)に示すように、ヘッドギア40を用いて、基準点を提供する測定用補助具を構成してもよい。ヘッドギア40には、連結部43を介してイアチップ45が接続される。さらに連結部43に支持部47が接続され、被験者の顔の側面前方でマーカ41を支持するようになっている。イアチップ45及び連結部43は必須ではなく、ヘッドギアに直接マーカ41を支持する支持部47が接続されてもよい。
c)その他のバリエーション3(図16(c))
図16(c)に示す補助具50はいす型の測定用補助具である。被験者の腰部から頭部付近まで延在する背もたれ部57により被験者を後方から支持でき、被験者の後屈、体幹のぶれを防ぐことができる。背もたれ部57に支持部51が接続され、被験者の顔の側面前方でマーカ55を支持する。
d)その他のバリエーション4(図16(d))
図16(d)に示す測定用補助具60は、台座61と、台座61から上方に延びる2つの支柱62と、2つの支柱62間に設けられた下顎部の保持部63及び前額部の保持部64とを備える。さらに支柱62には、被験者の顔の側面前方でマーカ66を支持する支持部65が接続される。本例の構成では、頭部がしっかりと固定されるため、頭部のずれを防ぎ、安定した基準点を提供することができる。下顎部の保持部63及び前額部の保持部64は少なくともいずれか一方が設けられていればよい。
本実施形態の測定装置100の応用分野について以下にいくつか例を挙げて説明する。
眼瞼下垂症とは、まぶたの開きが低下する疾患で、先天的なものから加齢性変化として後天的にまぶたが開きにくくなる場合がある。加齢性変化によって生じた眼瞼下垂症は、腱膜性眼瞼下垂症と呼ばれる。眼瞼挙筋は、上眼瞼の瞼板軟骨に挙筋腱膜を介して付着している。腱膜性眼瞼下垂症は、挙筋腱膜が加齢性変化や、コンタクトレンズ、目を強くこするなどにより腱膜が延長あるいは瞼板軟骨から外れることによって発症する。腱膜性眼瞼下垂症の程度は、前頭筋の力で一見正常に見える代償期とまぶたが明らかに下がってしまう非代償期に分類される。しかし、この分類は明確な診断基準はない。本実施形態の測定装置100によれば、眼瞼運動距離と運動速度を容易に測定できる。よって、腱膜性眼瞼下垂症の重症度を、本実施形態の測定装置100による測定結果を用いて分類、診断することができる。
A;眼瞼運動距離が正常(12mm以上)で、かつ眉毛圧迫によって運動速度が低下しない群
B;眼瞼運動距離が正常(12mm以上)だが、眉毛圧迫によって運動速度が低下する群
C;眼瞼運動距離が異常(12mm未満)の群
A群は、眼瞼運動距離は正常で、開瞼に前頭筋の力は必要ないもの、正常と診断できる。B群は、眼瞼運動距離は正常だが、開瞼に前頭筋の力が必要なもの、代償期と診断できる。C群は、眼瞼運動距離はすでに低下している非代償期と診断できる。
顔面神経麻痺の運動異常は、眼瞼・口唇・外鼻・眉毛など顔面全体に及ぶため、本測定装置100を用いて各種の顔面測定点の位置情報を数値化し評価できる。例えば、本本測定装置100を用いて顔面神経麻痺に対する手術効果を判定することもできる。例えば、右側頭部皮下の悪性腫瘍切除後で、右眉毛下垂の症状が出た症例を例として説明する。眉毛挙上に関わる神経は顔面神経側頭枝であり、この側頭枝は腫瘍に近接しており、術中ぎりぎりで剥離・温存した。右眉毛下垂の症状は、この剥離操作に伴う麻痺と考えられる。術後6ヶ月、右の眉毛上にマーク(測定点)をプロットし、右眉毛挙上運動(マークの動き)を本測定装置100で調べた。右の眉毛上にプロットしたマークが1.0〜1.3mmY軸方向に動いたことが確認でき、これにより神経の回復が確認できた。
眉毛下垂が永久的に生じ回復の見込みがない場合、眉毛挙上術を静的に行う。手術は寝た状態で行うが、日常生活は座位あるいは立位で、体位によって眉毛位置は異なる。従って術者は、術中に座位あるいは立位の眉毛位置を予測して眉毛の位置を移動させる。この時、基準となる位置が顔表面に存在しないため、固定位置は術者の経験と予測による。本実施形態の測定用補助具を術前・術中に用いれば、基準が存在し、理想的な固定位置が得られる。
上述した種々の測定用補助具は、上眼瞼以外の顔の部位の運動機能の測定に対しても広く適用でき、運動距離や運動速度の測定のための使用においても、顔表面上の基準点を与えるために使用できる。
眼瞼下垂症患者は、まぶたが開きにくいあるいは肩がこるという症状で受診することが多い。これらの症状は、眼瞼下垂症だけではなく、加齢性変化による上眼瞼弛緩症、まぶたの皮膚が伸びる、ひとみにかぶることによっても生じる。皮膚弛緩症は単に皮膚がかぶっているだけで、眼瞼運動距離は正常である。治療は余った皮膚は切除するだけで良いことになる。眼瞼下垂症であれば、眼瞼挙筋という筋肉の手術を行う必要がある。本測定用補助具を用いれば、眼瞼下垂症と皮膚弛緩症、これらの合併症例を区別して診断することができる。
運動距離に加えて眼瞼運動速度を算出することができる。眼瞼下垂症は先天性眼瞼下垂症と後天性眼瞼下垂症に大きく二分される。外傷や顔面神経麻痺を除いて大半の後天性眼瞼下垂症は腱膜性眼瞼下垂症である。眼瞼挙筋は、上眼瞼の瞼板軟骨に挙筋腱膜を介して付着している。腱膜性眼瞼下垂症は、挙筋腱膜が加齢性変化や、コンタクトレンズ、目を強くこするなどにより発症する。症状の出現は、始めは無症状、肩こり、眉のしわ寄せから最後にまぶたが開きにくくなり、この最終段階で眼瞼運動距離の低下となる。運動速度の低下は、眼瞼運動距離の異常の前に出現しており、早期に腱膜性眼瞼下垂症を診断し、治療につなげる必要がある。腱膜性眼瞼下垂症は20歳台からすでにかなりの割合で発症していると言われており、病院にかかる前の検診レベルで眼瞼機能の検査が必要であると考える。本測定用補助具は、腱膜性眼瞼下垂症を正常から代償期、非代償期に分類・診断するツールとして有用性が高いと考える。
本測定用補助具は、眼瞼下垂症の診断・治療以外に、顔面神経麻痺の診断と経過の変化、治療結果の評価に応用することができる。顔面神経の支配筋である前頭筋は、眉毛を挙上させる唯一の筋肉で、本測定用補助具と眉毛のマーキングにより、運動距離と運動速度が得られ、治療効果の判定が数値として示すことができることは、先に述べた通りである。顔面神経麻痺は、眉、眼瞼、鼻、口の運動障害であり、各点のマーキングにより、総合的評価が可能で、新しい評価法の開発につながる。先天性両側顔面神経麻痺(メビウス症候群)は、両側対称性の顔面神経麻痺が生まれつき出現している疾患である。両側麻痺の場合、左右の運動を比べることが出来ないため、症状がわかりにくい。運動距離と運動速度のデータを算出し、標準値と比較することで診断することができる。
5 デジタルカメラ
10 顔表面部位画像解析装置(情報処理装置)
11 制御部
15 運動解析部
17 表示部
19 操作部
21 データ格納部
25 インタフェース
31 マーカ(基準点)
100 顔表面部位の運動機能(運動距離及び運動速度)の測定装置
Claims (16)
- 顔表面の基準点を提供するために使用される補助具であって、
レンズ上方部を支持せず、レンズ下方部のみを支持するよう形成されたレンズ保持部を有するメガネフレームを含み、前記メガネフレームにマーカが取り付けられた、ことを特徴とする、測定用補助具。 - 被験者の両耳の外耳道に挿入され得るイアチップと、前記イアチップを前記メガネフレームに連結する連結部とをさらに備えたことを特徴とする、請求項1記載の測定用補助具。
- さらに、前記両耳のイアチップにポールが取り付けられたことを特徴とする、請求項2記載の測定用補助具。
- 顔表面の基準点を提供するために使用される補助具であって、
レンズ上方部は支持せず、レンズ下方部のみを支持するよう形成されたレンズ保持部を有するメガネフレームを含み、前記メガネフレームにメジャーが取り付けられた、ことを特徴とする、測定用補助具。 - 顔表面の基準点を提供するために使用される補助具であって、
ヘッドギアと、前記基準点を与えるマーカと、前記マーカを支持する支持部とを備えた、ことを特徴とする、測定用補助具。 - 顔表面の基準点を提供するために使用される補助具であって、
被験者の頭部を後方より支持する支持部分と、前記支持部分から延びた連結部に取り付けられた、前記基準点を与えるマーカとを備えた椅子である、ことを特徴とする、測定用補助具。 - 顔表面の基準点を提供するために使用される補助具であって、
台座と、前記台座に固定され、前記被験者の顎部及び額部の少なくとも一方を支持する支持部と、前記基準点を与えるマーカとを備えた、ことを特徴とする、測定用補助具。 - 顔表面の運動機能を測定する装置であって、
請求項1から7のいずれかに記載の測定用補助具を装着した被験者の顔の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された被験者の顔の画像を取り込み、前記画像中に含まれるマーカの位置に基づき基準点を設定して、前記基準点に基づき被験者の顔の部位の運動を解析する画像解析装置と
を備えたことを特徴とする測定装置。 - 前記画像解析装置は、前記基準点に基づき、被験者の顔表面部位の運動距離及び運動速度の少なくともいずれかを測定する、
請求項8記載の測定装置。 - 前記顔表面部位は被験者上眼瞼である、請求項8または9記載の測定装置。
- 顔表面の運動機能を測定する方法であって、
請求項1から7のいずれかに記載の測定用補助具を装着した被験者の顔の画像を撮像するステップと、
撮像した画像中に含まれる測定用補助具のマーカの位置に基づき基準点を設定して、前記基準点に基づき、被験者の顔表面部位の運動を解析するステップと
を含む、ことを特徴とする顔表面の運動機能の測定方法。 - 前記運動を解析するステップは、前記基準点に基づき、被験者の顔表面部位の運動距離及び運動速度の少なくともいずれかを測定する、
請求項11記載の測定方法。 - 前記顔表面部位は上眼瞼である、請求項11または12記載の測定方法。
- 情報処理装置を用いて顔表面の運動機能を測定するプログラムであって、
請求項1から7のいずれかに記載の測定用補助具を装着した被験者の顔の画像を取り込むステップと、
前記画像中に含まれる測定用補助具のマーカの位置に基づき基準点を設定して、前記基準点に基づき、被験者の顔表面部位の運動を解析するステップとを
前記情報処理装置に実行させる、
ことを特徴とする顔表面の運動機能測定プログラム。 - 前記運動を解析するステップは、前記基準点に基づき、被験者の顔表面部位の運動距離及び運動速度の少なくともいずれかを測定する、
請求項14記載の運動機能測定プログラム。 - 前記顔表面部位は上眼瞼である、請求項14または15記載の運動機能測定プログラム。
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