JP2012147077A - 骨伝導型音声伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自由な部位から骨伝導素子の振動を伝達して使用時の違和感を解消すると共に音声認識度合いを向上する。
【解決手段】骨伝導型音声伝達装置は、人体に押圧される骨伝導素子11と、前記骨伝導素子11に駆動信号を供給する信号処理部21とを備え、前記信号処理部21が、前記骨伝導素子11が人体に押圧された際の押圧部位に適応した伝達関数に従って、前記駆動信号を前記骨伝導素子11に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、人体を介して音声を伝達する骨伝導型音声伝達装置に関する。
従来より、骨伝導素子を有する音声伝達装置としては、補聴器、集音器、助聴器、ヘッドホン、スピーカー等が知られている。この骨伝導素子は、鼓膜から耳小骨を通じた伝達経路とは伝達機構が異なり、直接に感音部分である蝸牛部の有毛細胞に作用させる。このため、気導音の伝達経路に障碍を有する利用者(伝音性難聴者)であっても、骨伝導素子を利用することによって、音声を感知させることができる。この骨伝導素子を有する音声伝達装置としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1には、骨導補聴器において、挿耳式構成要素及び耳掛け式構成要素を備え、骨伝導素子が挿耳式構成要素によって担持され、使用の際に耳の甲介に配置される構成が記載されている。この骨導補聴器は、使用時において、挿耳式構成要素の伝音構造部材が、骨伝導素子によって生成された振動を外耳道内に伝導させることよって、骨伝導素子による振動が乳様突起によって使用者の蝸牛に伝達させる。
また、音声伝達装置の他の特許文献2には、左右一対のヘッドホンを、後頭部付近を迂回するよう湾曲された弾性を有する連結アームで連結し、かつ、連結アームとヘッドホンの連結部近傍に耳掛け部を形成すると共に、左右ヘッドホンの少なくとも一方にマイクロホンを設けた補聴器が記載されている。
特表2008−514053号公報 特開2001−320791号公報
しかしながら、特許文献1に記載された骨伝導素子を用いた補聴器では、骨伝導素子の振動を頬骨乳様突起部のみからしか伝達できない。また、特許文献2のような構成の音声伝達装置に骨伝導素子を備えた構成を応用しても、頬骨乳様突起部等の固定された位置からしか骨伝導素子の振動を伝達できない。
ところが、一般的に高効率に骨伝導素子の振動を伝達することができる人体部位でも、音声伝達の仕方には個人差がある。したがって、上記のように頬骨乳様突起部に骨伝導素子の振動を伝達しても、個人差によって音声の認識度合いに差が生ずる。
また、特許文献2のように、バンド型アームによって頭部に固定するといったように装着方法が限られていると、頭部形状による装着感や個人的な嗜好によって違和感を与えてしまう。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、自由な部位から骨伝導素子の振動を伝達して使用時の違和感を解消すると共に音声認識度合いを向上できる骨伝導型音声伝達装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決する第1の発明に係る骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子(11)と、前記骨伝導素子(11)に駆動信号を供給する信号処理部(21)とを備え、前記信号処理部(21)が、前記骨伝導素子(11)が人体に押圧された際の押圧部位に適応した伝達関数に従って、前記駆動信号を前記骨伝導素子(11)に供給することを特徴とする。
第1の発明に係る骨伝導型音声伝達装置であって、第2の発明は、前記信号処理部(21)が、前記骨伝導素子(11)が押圧された人体部位の伝達特性ごとに適応した複数の伝達関数のうち、何れかの伝達関数を選択することを特徴とする。
第2の発明に係る骨伝導型音声伝達装置であって、第3の発明は、前記複数の伝達関数を記憶する記憶部(24)とを備え、前記信号処理部(21)は、前記記憶部(24)に記憶された複数の伝達関数のうち、選択された伝達関数に従って生成した駆動信号を前記骨伝導素子(11)に供給することを特徴とする。
第1乃至第3の発明の何れかに係る骨伝導型音声伝達装置であって、第4の発明は、音声に含まれる周波数ごとに出力音圧を調整するよう、前記伝達関数を調整する調整部(12)を備えることを特徴とする。
第1乃至第4の発明の何れかに係る骨伝導型音声伝達装置であって、第5の発明は、前記骨伝導素子(11)の駆動方式に対応した複数の伝達関数のうち、人体に押圧された骨伝導素子(11)に適応した伝達関数に従って生成した前記駆動信号を前記骨伝導素子(11)に供給することを特徴とする。
第1乃至第5の発明の何れかに係る骨伝導型音声伝達装置であって、第6の発明は、前記骨伝導素子(11)が押圧された人体の部位を推定する推定部(21,12,13)を備え、前記信号処理部(21)は、前記推定部(21,12,13)により推定された人体の部位に適応した伝達関数に従って生成した駆動信号を前記骨伝導素子(11)に供給することを特徴とする。
第6の発明に係る骨伝導型音声伝達装置であって、第7の発明は、前記推定部(21)が、人体に押圧された骨伝導素子(11)の近傍における人体に対して超音波信号を出力する超音波発振部(12)と、前記人体を介して前記超音波信号を検出する超音波受信部(13)とを含み、前記超音波受信部(13)により検出された超音波信号に基づいて前記骨伝導素子(11)が押圧された人体の部位を推定することを特徴とする。
本発明によれば、骨伝導素子が人体に押圧された際の押圧部位に適応した伝達関数に従って、駆動信号を骨伝導素子に供給するので、自由な部位から骨伝導素子の振動を伝達して使用時の違和感を解消すると共に音声認識度合いを向上できる。
本発明の一実施形態として示す骨伝導型音声伝達装置の構成を示すブロック図である。 骨伝導素子が押圧される人体組織における媒質と音の伝搬速度との関係を示す図である。 本発明の一実施形態として示す骨伝導型音声伝達装置において、伝達関数を調整する操作面の一例を示す図である。 本発明の一実施形態として示す骨伝導型音声伝達装置において、骨伝導素子の押圧部位ごとの音声周波数帯域と音圧との関係を示す等感曲線である。 本発明の一実施形態として示す骨伝導型音声伝達装置において、利用者ごとの音声周波数帯域と音圧との関係を示す等感曲線である。 本発明の一実施形態として示す骨伝導型音声伝達装置において、骨伝導素子の駆動方式ごとの音声周波数帯域と音圧との関係を示す等感曲線である。 本発明の一実施形態として示す骨伝導型音声伝達装置の他の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明を適用した骨伝導型音声伝達装置は、利用者の自由な選択によって骨伝導素子を人体の部位に押圧したときに適切に伝達関数を調整する又は適切な伝達関数を選択することによって、装着感を向上させると共に音声認識度合いを向上させるものである。
[骨伝導型音声伝達装置の全体構成]
本発明を適用した骨伝導型音声伝達装置は、例えば図1に示すように構成される。この骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子11を含む出力部1、制御部2、及び、入力部3を備える。
入力部3は、外部音声を集音するマイク機構31を含む。このマイク機構31は、コンデンサマイク等が使用される。このマイク機構31は、制御部2に内蔵しても良く、制御部2と出力部1との間のコードに懸架しても良く、自然に近い入力のために耳孔内に載置したバイノーラル型にしても良い。このマイク機構31によって集音された結果としての音声信号は、ライン端子3aを介して制御部2に供給される。また、この入力部3は、別音源からの音声信号を入力し、制御部2に供給しても良い。なお、入力部3は、モノラルの入出力であっても良く、音場の方向性、臨場感を持たせるためにL/Rの2チャンネルを有していても良い。
制御部2は、ライン端子2aを介して音声信号が供給され、供給された音声信号に基づいて駆動信号を端子2bから出力部1の端子1aに供給するものである。制御部2は、信号処理部21、表示部22、電源部23、及び、記憶部24を含む。
電源部23は、制御部2の各部に電力を供給する二次電池等からなる。
表示部22は、信号処理部21からの表示信号に応じて、骨伝導型音声伝達装置の利用者に各種情報を提示する。
記憶部24には、信号処理部21の処理に必要な情報が記憶される。特に、記憶部24には、信号処理部21によって設定される伝達関数が、少なくとも一つ記憶される。
信号処理部21は、骨伝導型音声伝達装置における各種設定機能を有する。特に、信号処理部21は、出力部1における骨伝導素子11によって出力する振動を調整する。このために、信号処理部21は、骨伝導素子11が押圧された人体の部位に適応した伝達関数に従って音声信号から駆動信号を生成して、骨伝導素子11に供給する。
出力部1は、音声を伝達するための機能を有する。出力部1における骨伝導素子11は、制御部2から供給された駆動信号によって振動を発生させ、利用者に音声を伝達する。
この出力部1における骨伝導素子11の圧接部は、利用者の選択によって自由な部位に取り付け可能となっている。骨伝導素子11の圧接部は、例えば、頬骨乳様突起、耳介裏側乳様突起、耳介表面、耳介裏面、耳孔、頸部、喉部、前頭部、側頭部、後頭部等、様々な人体の部位に押圧される。
具体的には、出力部1は、常時装着するための構造として、ヘッドホンと類似した形態のバンド型、リアアーム型、耳掛け型、イントラコンカ型、カナル型等を有していても良い。また、その他に、出力部1は、常時装着せず、必要に応じて人体に押圧される骨伝導素子11を含む出力部全体を手に持って使用する形態であっても良い。
[信号処理部21による伝達関数の調整又は選択]
つぎに、上述した骨伝導型音声伝達装置において、信号処理部21によって、利用者が選択した骨伝導素子11の押圧部位に応じて、音声の伝達効率が最も高くなるよう伝達関数を調整し又は調整された伝達関数を選択することについて説明する。
骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数の設定は、信号処理部21によって行われる。信号処理部21は、骨伝導型音声伝達装置の使用開始時に、記憶部24に記憶された伝達関数を呼び出して、呼び出した伝達関数を、骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数に調整する。そして、信号処理部21は、骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数に従って入力部3から供給された音声信号を駆動信号に変換し、変換した駆動信号を骨伝導素子11に供給する。
また、信号処理部21は、骨伝導素子11の押圧部位ごとの音声伝達特性に適応した複数の伝達関数のうち、何れかの伝達関数を選択するようにしても良い。このために、骨伝導型音声伝達装置は、記憶部24に、複数の伝達関数を記憶しておいても良い。そして、信号処理部21は、記憶部24に記憶された複数の伝達関数のうち、骨伝導素子11の押圧部位によって選択された伝達関数に従って駆動信号を生成し、生成した駆動信号を骨伝導素子11に供給する。
以下、上述したように伝達関数を調整又は選択するために、(1)骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数、(2)個人差に適応した伝達関数、(3)骨伝導素子11の駆動方式に適応した伝達関数、の設定方法について説明する。
(1)骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数
信号処理部21は、例えば耳介軟骨部に骨伝導素子11を押圧させた場合においても、頬骨乳様突起部に押圧したときと同様な聞こえ方となるよう伝達関数を調整する。これにより、個人の好みに応じて骨伝導素子11を押圧させて装着に対する違和感を解消し、且つ、骨伝導素子11の押圧部位に適応した音声認識度合いを向上させる。
信号処理部21において調整される伝達関数は、入力部3により入力した音声信号に相当する音声(振動)を利用者の蝸牛部で認識できるよう、骨伝導素子11から発生させる振動を決定するものである。骨伝導素子11は、この骨伝導素子11の表面側と人体皮膚表面、人体内部組織、皮質骨、海綿骨、軟骨のいずれかを含む人体骨部といった人体伝達経路を通じて、蝸牛部に振動を与える。従って、伝達関数は、人体伝達経路における音響インピーダンスによって振動が減衰した結果として最終的に入力部3で検出した音声信号に相当する振動を蝸牛部に伝えるために、骨伝導素子11から出力する振動を演算する。
具体的には、伝達関数は、骨伝導素子11の表面側と人体伝達経路を通じて蝸牛部で認識できる音声信号で、人体伝達経路内にある各人体組織の音響インピーダンスを畳み込んだ情報となっている。すなわち、伝達関数は、人体伝達経路における各人体組織に加わる振動(音声信号)と人体組織における音響インピーダンスに基づく振動の減衰の仕方とによって決まる。
人体組織は、図2に示すように、媒質として、頭骨部のような硬い組織と、それ以外の柔らかい組織に大別され、それぞれ音波の伝達特性が異なる。例えば、頭骨部の音の伝搬速度(音速)は約4000m/sである。一方、臓器、血液、筋肉、脂肪等の柔らかい組織における音の伝搬速度(音速)は、1400〜1600m/sとなって水中の伝搬速度と同等である。
人体伝達経路における人体組織の音響インピーダンスは、人体組織の密度と音速の積である。この音響インピーダンスは、骨伝導素子11の押圧部位から蝸牛部までの人体組織の構成に依存する伝搬速度の変化によって、変化する。よって、信号処理部21は、人体伝達経路における音響インピーダンスの変化によって、蝸牛部において入力部3で入力した音声を伝達するよう、伝達関数を調整する。
また、骨伝導素子11から蝸牛部への人体伝達経路における人体組織の密度に依存して、伝搬音の減衰特性も変化する。このため、蝸牛部に到達する伝搬音の周波数特性が、人体組織の密度によって変わる。したがって、信号処理部21は、音声周波数帯域ごとに、入力部3で入力した音声を蝸牛部に伝達するよう、伝達関数を調整する。
以上のように信号処理部21は、人体伝達経路による音響インピーダンス及び周波数特性によって適切な伝達関数に調整することによって、骨伝導素子11の押圧部位への依存度を少なくできる。また、信号処理部21は、人体伝達経路による音響インピーダンス及び周波数特性によって適切な伝達関数に調整された複数の伝達関数を記憶部24から選択できる。
上述した骨伝導型音声伝達装置において、骨伝導素子11の押圧部位ごとの伝達関数を、音声周波数に適応した伝達関数に調整することについて説明する。音声周波数に応じて伝達関数を設定する作業は、伝達関数を記憶部24に格納するに際して行われる。
伝達関数の調整するためには、例えば図4に示すような音声周波数[Hz]と音声周波数における音圧との関係を示す等感曲線を測定する。この等感曲線の測定装置は、例えば図3に示すように、可聴音の音声周波数[Hz]を複数に分割し、それぞれの音声周波数帯域ごとに音圧[dB]を設定できる機能を有していれば良い。この等感曲線の測定装置としては、例えば、音声周波数帯域ごとに聴力を測定する聴力計であるオージオメーターを用いることができる。
具体的には、等感曲線の測定装置は、図3に示すような設定画面100を表示させる。そして、骨伝導型音声伝達装置の利用者が音声周波数帯域ごとに音声を聞き、マウス等の操作部を操作して、正常に聞こえるよう音圧を調整する。これによって、音声周波数(31.5〜16K)を分割した各音声周波数帯域102に対応した可動部101を上下方向に移動させる操作を行うことによって、各音声周波数帯域102において正常に聞こえる出力音圧103を設定することができる。
更に具体的には、聴力補助器を必要とする利用者は、健聴者のように通常の気導音と同様に骨伝導素子11を用いて音声を知覚できることが最も望ましい。このため、先ず、通常のヘッドホンから、基準となる周波数(例えば1kHz)の音声を気導音で聴かせて、基準となる音声が聞き取れるような基準音圧を設定する。次いで、骨伝導素子11を特定部位(例えば頬骨乳様突起部)に装着させた状態で基準音を聴かせ、気導音と同じ音圧が得られるよう可動部101を操作させる。これにより、基準音を骨伝導素子11で聞くときの出力音圧103を設定する(図3中の101a)。続いて、骨伝導素子11を用いて図3のように分割された音声周波数帯域102ごとの音声を出力し、基準音を聴いた場合と同じ音量となるよう可動部101を操作させる。これによって、各音声周波数帯域102での出力音圧103の設定を行う。基準音1kHzの音声周波数帯域に続き、例えば、250Hzの音声周波数帯域、500Hzの音声周波数帯域、2kHzの音声周波数帯域等の音声が基準音と同じ音量で聞こえるような出力音圧103を設定していく。
なお、音声周波数帯域の数は、多い方が精細な設定ができるので望ましいが、多すぎると設定が煩雑となり設定時間が掛かるため、聴覚が飽和状態になることによる音量の識別が難しくなることから、5〜10程度であることが望ましい。
以上のような動作によって、等感曲線の測定装置は、各音声周波数帯域において、骨伝導素子11が押圧された利用者が気導音とほぼ同じ音量で聞こえるような音圧を取得できる。この等感曲線における音圧は、基準音となる音圧に対する伝達関数の補正度合い(補正係数)を示す。
骨伝導型音声伝達装置が骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数を使用するために、等感曲線の測定装置は、骨伝導素子11を押圧する部位を変更して等感曲線の測定を行う。この骨伝導素子11の押圧部位ごとの等感曲線の測定によって、等感曲線の測定装置は、図4に示すように、頬骨乳様突起部での等感曲線A及び耳介表面部での等感曲線Bを得ることができる。
そして、図4に示したような等感曲線は、伝達関数を補正するために、音声周波数帯域ごとの補正係数を求めることができる。これにより、骨伝導素子11の押圧部位ごとに、補正係数によって伝達関数で決定される音圧を調整することができる。
具体的には、図4において、耳介表面部での等感曲線Bは、低音声周波数帯域及び高音声周波数帯域ともに、基準音と同じように聞こえる音圧が、頬骨乳様突起部での等感曲線Aに比べて高いことを示している。したがって、信号処理部21は、耳介表面部に骨伝導素子11を押圧した場合には、頬骨乳様突起部に骨伝導素子11を押圧した場合よりも、高い音圧を出力するよう伝達関数を補正して、骨伝導素子11から出力する振動振幅を高くすることできる。これにより、骨伝導素子11を使用しても、気導音と同じ感覚で音声を聞けるように伝達関数を調整できる。
以上のように、この骨伝導型音声伝達装置によれば、骨伝導素子11が人体に押圧された際の押圧部位に適応した伝達関数に従って、駆動信号を骨伝導素子11に供給するので、自由な部位から骨伝導素子11の振動を伝達して使用時の違和感を解消すると共に音声認識度合いを向上できる。
具体的には、この骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子11を特定部位に装着することを要求する必要なく、利用者個人の装着感や個人間の押圧部位による音声の感度を考慮して、最適な伝達関数に調整し又は最適な伝達関数を選択できる。これにより、利用者の使用環境に柔軟に対応した骨伝導型音声伝達装置を提供できる。特に、聴力補助装置が必要な高齢者の場合には、ヘッドホン形状装置の頭部への装着、補聴器型の耳掛け型小型機器、耳孔にカナル型形状のイヤホンの挿入といった装着方法を嫌う傾向であっても、自由な位置に骨伝導素子11を装着させることができる。
また、常時装着を許容する利用者や、音声の聞き取りが困難となった状況に置かれたときのみ簡単に骨伝導型音声伝達装置を使用したいと望む利用者がいる。しかも、利用者が装着したい方法や、骨伝導素子11の押圧部位を選択できないと、利用者からみて利便性が低くなってしまう。上述の骨伝導型音声伝達装置は、使用環境や装着方法の問題を解決して、利用者の使用環境や押圧部位の嗜好に応えることができる。
更に、この骨伝導型音声伝達装置によれば、信号処理部21によって、骨伝導素子11が押圧された人体部位の伝達特性ごとに適応した複数の伝達関数のうち、何れかの伝達関数を選択するので、骨伝導素子11の押圧部位に適応した伝達関数の設定が簡便に可能となる。なお、記憶部24に記憶しておくプリセットの伝達関数のライブラリは、信号処理部21によって生成しても良く、利用者の使用環境に応じて外部から追加して記憶部24内に取り込むこともできる。
更にまた、この骨伝導型音声伝達装置によれば、音声周波数帯域ごとに出力音圧を調整するよう伝達関数を調整するので、骨伝導素子11の押圧部位から蝸牛部までの人体組織に依存せず全ての音声周波数帯域において良好な音圧で音声を聞かせることができる。
(2)個人差に適応した伝達関数
等感曲線は、図5に示すように、骨伝導素子11の押圧部位が同一であっても、個人差がある。利用者ごとに音声の聞こえ方が異なるためである。
例えば、利用者Aの等感曲線Aと利用者Bの等感曲線Bとを比較すると、利用者Bの場合には、利用者Aの場合よりも、低音声周波数帯域では感知できる音圧が低く、高音声周波数帯域はやや感知できる音圧が高い。したがって、全音声周波数帯域において基準音(1kHz)と同じ音量で音声を感知させるために、利用者Aの場合と比較して、利用者Bが骨伝導型音声伝達装置を使用する場合には、低音声周波数帯域における音圧を高く補正し、高音声周波数帯域における音圧を低く補正するよう伝達関数を調整する必要がある。
このように、骨伝導素子11を同じ押圧部位に押圧した場合であっても、等感曲線の傾向は似通ったものになるが、信号処理部21は、個々の利用者の聴覚特性に応じて、音声周波数帯域ごとに音圧の補正を行うことができる。
以上のように、この骨伝導型音声伝達装置によれば、実際に骨伝導素子11を使用する際に、骨伝導素子11の押圧部位に対応した伝達関数に調整し、又は、記憶部24から読み出し、更に、利用者に応じた音声認識のし易さ、聴き易さによって伝達関数を調整できる。これにより、利用者の嗜好によってどの部位に骨伝導素子11を押圧しても、最も伝達効率の良い部位に押圧した場合と同じように、音声を聞くことができる。
なお、骨伝導素子11の押圧部位、個人によって等感曲線に相違があるため、予め伝達関数を記憶部24に記憶しておくためには、多数のサンプリングを行い、平均的又は代表的な伝達関数を求めることが望ましい。また、利用者自身が使用時に、利用者自身の音声の聞こえ方に応じて伝達関数を補正できる補正機能を備え、各音声周波数帯域における音圧を調整する補正係数を設定できるようにする。これにより、骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子11の押圧部位によって代表的な伝達関数を選択し、利用者自身に適応した補正係数によって伝達関数を補正できる。
(3)骨伝導素子11の駆動方式に適応した伝達関数
骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子11を駆動する駆動方式に応じて、伝達関数を調整し又は伝達関数を選択できることが望ましい。これは、骨伝導素子11の駆動方式に応じて、音声周波数帯域ごとの聞こえ方に差異があるからである。また、各骨伝導素子11の駆動方式ごとに異なる骨伝導素子11を使用する可能性があるからである。
骨伝導素子11の駆動方式としては、電磁型(ムービングコイル型)、電磁型(ムービングマグネット型)、圧電型、超磁歪型等が挙げられる。各骨伝導素子11の駆動方式ごとに、上述したように等感曲線を測定することによって、図6に示すような等感曲線を作成できる。図6によれば、電磁型の骨伝導素子11を使用した場合には等感曲線Aのようになり、圧電型の骨伝導素子11を使用した場合には等感曲線Bのようになり、超磁歪型の骨伝導素子11を使用した場合には等感曲線Cのようになる。
電磁型の骨伝導素子11は、等感曲線Aから分かるように、低音声周波数帯域での出力音圧が高く、高音声周波数帯域で出力音圧が低下する。したがって、電磁型の骨伝導素子11を使用した場合、基準音(1kHz)での音圧と比較して、低音声周波数帯域での音圧を低くし、高音声周波数帯域での音圧を高くさせるよう伝達関数が調整される。
圧電型の骨伝導素子11は、等感曲線Bから分かるように、他の駆動方式よりも駆動力が小さいため、低音声周波数帯域での出力音圧が小さいが、高音声周波数帯域では出力音圧を高く保てる。圧電型の骨伝導素子11を使用した場合、基準音(1kHz)での音圧と比較して、低音声周波数帯域での音圧を高くするよう伝達関数が調整される。
超磁歪型の骨伝導素子11は、等感曲線Cから分かるように、他の駆動方式と比較して、低音声周波数帯域から高音声周波数帯域までバランスの取れた出力音圧となっている。超磁歪型の骨伝導素子11を使用した場合、基準音(1kHz)での音圧と比較して、低音声周波数帯域のみにおける音圧を高くするよう伝達関数が調整する。
このように、伝達関数は、全音声周波数帯域において、基準音と同等の音量で聞こえるよう調整される。したがって、骨伝導型音声伝達装置は、搭載される骨伝導素子11の駆動方式が既知であれば、既知の駆動方式に適応した等感曲線に基づいて調整された伝達関数を選択して、記憶部24に記憶しておくことができる。
また、どの駆動方式の骨伝導素子11が制御部2に接続されるかが未知である場合、記憶部24には、各駆動方式に適応した伝達関数を記憶しておく。又は、記憶部24には、代表的な伝達関数に対して骨伝導素子11の駆動方式によって補正する補正係数を記憶しておく。この場合、信号処理部21は、制御部2に接続された骨伝導素子11の駆動方式に基づいて、何れかの伝達関数を選択し、又は伝達関数を補正係数に基づいて伝達関数を調整することとなる。
以上のように、この骨伝導型音声伝達装置によれば、骨伝導素子11の駆動方式ごとに伝達関数を調整して、骨伝導素子11の駆動信号を生成できる。また、この骨伝導型音声伝達装置によれば、骨伝導素子11の駆動方式ごとに伝達関数を記憶部24に記憶しておくことによって、実際の骨伝導素子11の駆動方式に応じて伝達関数を呼び出し、信号処理部21によって、骨伝導素子11の駆動信号を生成できる。これによって、骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子11の駆動方式に拘わらず、骨伝導素子11を用いて気導音と同等な感覚で音声を聞かせることができる。
[自動的な伝達関数の設定]
つぎに、上述したように調整又は選択される伝達関数を、骨伝導型音声伝達装置によって自動的に設定することについて説明する。
この骨伝導型音声伝達装置は、図7に示すように、出力部1として、超音波発振素子12及び超音波受信素子13を含む。超音波発振素子12及び超音波受信素子13は、骨伝導素子11の近傍に配置される。例えば、出力部1は、骨伝導素子11近傍に超音波発振素子12及び超音波受信素子13を埋設して構成される。超音波発振素子12は、骨伝導素子11が人体の部位に押圧された状態において、骨伝導素子11近傍の人体の部位に超音波を発振する。超音波受信素子13は、超音波発振素子12によって発振され人体の部位を通過した超音波を検出する。
超音波受信素子13によって受信される超音波強度は、音響インピーダンスの差によって決定される。図2に示した人体組織において、伝搬速度の差が大きい人体組織の界面は、高コントラストとなり反射音強度が大きく検出される。これによって、骨伝導型音声伝達装置は、大別して、骨部とそれ以外の部位の人体組織に分けて骨伝導素子11の押圧部位を検出できる。骨伝導素子11の押圧部位は、頭部の耳周辺が多いが、耳周辺の近傍においても、耳裏部乳様突起のように骨界面が表皮から近い部位や、頸部側面のように骨界面が表皮から遠い部位が存在する。
記憶部24には、骨伝導素子11が押圧されうる人体の部位ごとに、超音波の遅延時間及び超音波強度を測定してデータ化されたものを記憶する。このために、超音波発振素子12による超音波の発振時刻、超音波受信素子13による超音波の受信時刻、超音波受信素子13により受信した超音波強度を計測しておく。そして、超音波の検出時間、すなわちインパルス出射から検出までの遅延時間を検出し、超音波強度と共に記憶部24に記憶する。なお、この超音波の遅延時間及び超音波強度を記憶部24に記憶する動作は、信号処理部21が行っても良く、予め骨伝導素子11の押圧部位ごとに記憶しておいても良い。
骨伝導型音声伝達装置は、利用者の使用時において、骨伝導素子11を人体の部位に押圧したときに、制御部2の制御に従って超音波発振素子12により超音波を発振させ、超音波受信素子13により超音波を受信させる。そして、信号処理部21は、超音波の発振時刻と超音波の検出時間との差である遅延時間及び超音波強度を取得する。信号処理部21は、取得した遅延時間及び超音波強度と予めデータ化しておいた人体の部位ごとの遅延時間及び超音波強度とを比較して、最も近い遅延時間及び超音波強度に対応する人体の部位に骨伝導素子11が押圧されたことを推定する。
なお、骨伝導素子11の押圧部位を正確に推定するため、超音波の遅延時間及び超音波強度に加えて、骨伝導素子11の押圧部位ごとに超音波の検出波形も記憶しておいても良く、超音波の検出波形のみを記憶しておいても良い。この場合、信号処理部21は、出力部1から、超音波受信素子13が検出した超音波の検出波形を取得して、記憶された超音波の検出波形と比較して、骨伝導素子11の押圧部位を推定する。また、骨伝導型音声伝達装置は、骨伝導素子11が人体の部位に押圧されることを自動的に検出して押圧部位を推定しても良く、利用者の操作に応じて骨伝導素子11の押圧部位を推定しても良い。
信号処理部21は、骨伝導素子11の押圧部位を推定した場合、推定された押圧部位から骨伝導素子11により振動を与えて蝸牛部で最適な音声を伝達する伝達関数を設定する。この伝達関数は、骨伝導素子11の押圧部位に適応するよう調整しても良く、予め記憶部24に記憶された複数のうちから選択されたものであっても良い。
以上のように、この骨伝導型音声伝達装置によれば、骨伝導素子11が人体の部位に押圧される度に、超音波発振素子12及び超音波受信素子13を用いて骨伝導素子11の押圧部位を推定して、最適な伝達関数を用いて骨伝導素子11を駆動させることができる。なお、図7に示した骨伝導型音声伝達装置では、信号処理部21、超音波発振素子12及び超音波受信素子13によって骨伝導素子11の押圧部位を推定する推定部を構成しているが、信号処理部21とは別個に、推定部のための信号処理部を設けても良い。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
上述した骨伝導型音声伝達装置では、信号処理部21によって伝達関数を調整して、骨伝導素子11の押圧部位の自由度を向上させ且つ伝達効率を向上させたが、利用者の作業によってより高い装着感及び伝達効率も実現可能である。
具体的には、骨伝導素子11の表面を、様々な音響インピーダンスを有する部材でカバーして、装着感や音声の伝達効率を向上させても良い。例えば、骨伝導素子11の表面素材として、シリコン樹脂やエラストマー等の軟質樹脂や、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の硬質樹脂、アルミニウム等の金属板等の素材が選択できる。出力部1は、これらの部材のうちの一又は複数の部材を骨伝導素子11の表面に装着可能とする。そして、利用者は、自由に選択した押圧部位において良好な装着感及び伝達効率となるように、一又は複数の部材を選択的に骨伝導素子11の表面に装着することができる。
1 出力部
2 制御部
3 入力部
11 骨伝導素子
12 超音波発振素子
13 超音波受信素子
21 信号処理部
22 表示部
23 電源部
24 記憶部
31 マイク機構

Claims (7)

  1. 骨伝導素子と、
    前記骨伝導素子に駆動信号を供給する信号処理部とを備え、
    前記信号処理部は、前記骨伝導素子が人体に押圧された際の押圧部位に適応した伝達関数に従って、前記駆動信号を前記骨伝導素子に供給することを特徴とする骨伝導型音声伝達装置。
  2. 前記信号処理部は、前記骨伝導素子が押圧された人体部位の伝達特性ごとに適応した複数の伝達関数のうち、何れかの伝達関数を選択することを特徴とする請求項1に記載の骨伝導型音声伝達装置。
  3. 前記複数の伝達関数を記憶する記憶部とを備え、
    前記信号処理部は、前記記憶部に記憶された複数の伝達関数のうち、選択された伝達関数に従って生成した駆動信号を前記骨伝導素子に供給することを特徴とする請求項2に記載の骨伝導型音声伝達装置。
  4. 音声に含まれる周波数ごとに出力音圧を調整するよう、前記伝達関数を調整する調整部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の骨伝導型音声伝達装置。
  5. 前記骨伝導素子の駆動方式に対応した複数の伝達関数のうち、人体に押圧された骨伝導素子に適応した伝達関数に従って生成した前記駆動信号を前記骨伝導素子に供給することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の骨伝導型音声伝達装置。
  6. 前記骨伝導素子が押圧された人体の部位を推定する推定部を備え、
    前記信号処理部は、前記推定部により推定された人体の部位に適応した伝達関数に従って生成した駆動信号を前記骨伝導素子に供給すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の骨伝導型音声伝達装置。
  7. 前記推定部は、人体に押圧された骨伝導素子の近傍における人体に対して超音波信号を出力する超音波発振部と、前記人体を介して前記超音波信号を検出する超音波受信部とを含み、前記超音波受信部により検出された超音波信号に基づいて前記骨伝導素子が押圧された人体の部位を推定することを特徴とする請求項6に記載の骨伝導型音声伝達装置。
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