以下、図面を参照して、本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。各機能要素について形態別に区別する際にはアルファベット又は“_@”(@は数字)又はこれらの組合せの参照子を付して記載し、特に区別しないで説明する際にはこの参照子を割愛して記載する。図面においても同様である。
説明は以下の順序で行なう。
1.全体概要
2.伝送処理系統:基本
3.通信装置の組合せ
4.制御信号伝送装置
5.制御・基準信号伝送装置
6.信号伝送装置
7.具体的な適用例
実施例1:伝送対象信号及び制御信号の無線伝送
実施例2:伝送対象信号、制御信号、及び基準信号の無線伝送
実施例3:実施例2+3値FSK
実施例4:具体的な電子機器への適用事例
8.比較例との対比
<全体概要>
以下において、通信装置を適宜、通信部と記載することもある。又、制御信号伝送装置や制御・基準信号送信装置を含まない信号伝送装置(無線伝送装置)は狭義の信号伝送装置であり、狭義の信号伝送装置と制御信号伝送装置や制御・基準信号伝送装置を含む通信装置は広義の信号伝送装置である。つまり、本実施形態の信号伝送装置は、通常の伝送対象信号を伝送する伝送装置(狭義の信号伝送装置)の他に、制御信号又は制御信号及び基準信号を伝送する伝送装置も含む。又、信号伝送装置は送信側の通信装置と受信側の通信装置とを含み、例えば、制御信号の伝送に関しては制御信号送信装置及び制御信号受信装置を含み、制御信号及び基準信号の伝送に関しては制御・基準信号送信装置及び制御・基準信号受信装置を含む。それぞれの信号伝送装置は半導体集積回路として提供されることもある。又、各部がひとつの筐体内に収容された状態の装置構成で電子機器とすることもできるし、各部の一部が一方の筐体内に収容された状態の第1の電子機器と残りの各部が他方の筐体内に収容された状態の第2の電子機器との組合せで電子機器の全体とすることもできる。つまり、各装置や電子機器は、これらの単体の場合もあれば、複数の組合せの場合もあり、例えば複数の電子機器が組み合わされて電子機器の全体が構成されることもある。
電子機器においては、制御信号に基づいて信号処理を行なうことがある。場合によっては、基準信号を使用して信号処理を行なうこともある。このような場合に、制御信号又は基準信号を必要とする回路機能部において、如何様にしてこれらの信号を持たせる(各回路機能部に供給する)かが問題となる。例えば、2つの信号処理部が離れている場合において、一方の信号処理部から他方の信号処理部に画像信号等のようなデータレートの高い伝送対象信号を無線で伝送するときに、何れか一方又は双方に制御信号を伝送するとき、伝送対象信号とともに制御信号を伝送することが考えられる。この場合、制御信号は低データレートの情報であり、高データレートの伝送対象信号とともに無線伝送するには、低データレートの情報を拡散処理回路で拡散し高データレートに変換して送信することが考えられる。しかしながら、この方法では、周波数の有効利用にならない。そこで、本実施形態では、以下に、信号処理部間で伝送対象信号を無線伝送する場合に、周波数の有効利用を図りつつ、制御信号も無線で伝送できる技術を提案する。
[信号伝送装置、信号伝送方法]
第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態の構成においては、通常の伝送対象信号を無線伝送する通信装置(通信部)の動作を制御するための制御信号を、伝送対象信号用の無線信号とは別に無線伝送する第1の通信装置(制御信号用の送信装置、以下「制御信号送信装置」とも記す)と第2の通信装置(制御信号用の受信装置、以下「制御信号受信装置」とも記す)の少なくとも一方を備える。第1の通信装置は、伝送対象信号を無線信号として送信する第3の通信装置と第3の通信装置から送信された無線信号を受信して伝送対象信号を再生する第4の通信装置の内の少なくとも一方に制御信号を供給する。第2の通信装置は、再生した制御信号を第3の通信装置又は第4の通信装置に供給する。因みに、第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態における信号伝送装置の基本構成では、通常の伝送対象信号を無線伝送するための伝送対象信号用の送信装置や受信装置を備えることは必須でない。
通常の伝送対象信号を無線信号として送信する送信側(第3)の通信装置(伝送対象信号用の送信装置)と、送信側の通信装置から送信された無線信号を受信して伝送対象信号を再生する受信側(第4)の通信装置(伝送対象信号用の受信装置)とで、伝送対象信号用の信号伝送装置が構成される。送信側の通信装置と受信側の通信装置の内の少なくとも一方を制御するための制御信号を無線伝送する制御信号伝送装置は、送信側の通信装置と受信側の通信装置の内の少なくとも一方を制御するための制御信号を無線信号として送信する第1の通信装置(制御信号送信装置)と、制御信号送信装置から送信された無線信号を受信して制御信号を再生し、送信側の通信装置又は受信側の通信装置に供給する第2の通信装置(制御信号受信装置)とで構成される。
第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態の信号伝送装置にあっては、制御信号送信装置と制御信号受信装置の少なくとも一方を備えていればよい。後述のように、御信号送信装置と制御信号受信装置の双方を1つの筐体内に備えて1つの電子機器が構成されることもあるし、制御信号送信装置を備えた第1の電子機器と制御信号受信装置を備えた第2の電子機器との組合せよって電子機器の全体が構成されることもある。
制御信号の利用態様としては、伝送対象信号用の無線信号の送信状態を制御するために使用することが考えられる。例えば、各種の信号処理の動作を制御するためや、伝送対象信号用の無線信号の送信状態を制御するために使用することが考えられる。前者の場合は、信号処理の内容に応じた制御手法が採られる。後者の場合例えば、伝送対象信号用の無線信号の搬送周波数の設定や送信電力(送信レベル)の設定に使用される。搬送周波数や送信電力を適正にすることで、伝送の信号品質及び消費電力を適正にすることができる。
送信電力(送信レベル)を適正に設定する(つまり管理する)目的は、送信電力が過剰レベルにならないよう、又は、過小レベルにならないように、又はSNR(Signal Noise Ratio:信号雑音比 信号対雑音比、S/N)が過小レベルにならないようにすることにある。送受信器の配置による伝送距離や伝送路の状態等の伝送特性(通信環境)に基づき送信出力レベルを適切に管理することで、送信レベルを必要最低限とし、伝送の信号品質を一定レベルに維持しつつ、低消費電力の通信(さらに好ましくは不要輻射の少ない通信)を実現することができる。
送信電力を管理するための機構としては、固定設定(いわゆるプリセット設定)にするのか自動制御にするのか、設定レベルの判断を如何様にするのか等の観点から様々な手法を採ることができる。伝送チャネルが複数存在する場合において、それぞれの伝送チャネルの伝送特性が異なる(例えば送受信間の伝送距離が異なる)場合には、それぞれの伝送チャネルの送信部から送信される無線信号の大きさが異なるように設定する。
例えば、第1の形態は、送受信間の伝送特性(通信環境)に基づいて送信出力レベルをプリセット設定する手法を採る。その際には、好ましい態様として、送信装置である送信チップと受信装置である受信チップの間の伝送特性の状態を検知する伝送特性指標検知部を設け、その検知結果である伝送特性指標信号を参照して、送信チップ側の送信出力レベルをプリセット設定できるようにする。例えば伝送特性指標検知部を受信チップ側に設け(伝送特性指標検知部は受信チップに内蔵しなくてもよい)、受信した無線信号の状態を検知し、その検知結果である状態検知信号を参照して、送信チップ側の送信出力レベルをプリセット設定する。このプリセット設定に制御信号伝送装置が寄与する。受信レベルが過剰な場合や過小な場合にはSNRが低下する等受信レベルとSNRに一定の対応関係があれば受信レベルを判断指標とすることはSNRを判断指標とすることと等価である。受信レベルとSNRに一定の対応関係がないシステム構成の場合は、受信レベルに代えて、例えばエラーレート等を判断指標にする等、SNRに着目したレベル管理を行なうこともできる。つまり、第1の形態は、後述の第2の形態と同様に、受信レベルやSNR等の実際の伝送特性を反映した判断指標を検知する検知機構(伝送特性指標検知部)を受信チップ側に設け、その検知結果を参照して送信側の出力レベルをマニュアルで設定する。
第1の形態は、第2の形態とは異なり自動制御の機構は採らないが、送信レベルをプリセット設定する際の判断指標として受信側の受信レベルやSNRを参照する趣旨である。送受信器の配置による伝送距離や伝送路の状態等の伝送特性に応じて受信レベルやSNRが変化するので、送受信間の距離を直接に判断するのではなく、実際の伝送特性を反映した受信レベルやSNRを判断指標として使用して、送信レベルを管理するようにする。つまり、送信チップは、送信出力レベルを可変の構成とし、送信出力レベルを下げることで消費電力が小さくなるものを使用し、送受信器の配置による伝送距離や伝送路の状態等の伝送特性に応じて変化する受信レベルやSNRを参照して、受信状態が適切な状態となるように、送信出力レベルを適切に設定する。例えば、受信レベル(つまり受信強度)が高いときには送信出力レベルを低くし、受信レベルが低いときには送信出力レベルを高くすることで、受信レベルが過大でもなく過小でもない丁度よいレベルとなるように送信出力レベルを設定する。
第2の形態は、受信レベルやSNR等の実際の伝送特性を反映した判断指標を検知する検知機構(伝送特性指標検知部)を受信チップ側に設け、その検知結果であるレベル検知信号を参照して送信チップ側の送信出力レベルをフィードバック制御する構成にする。フィードバック制御する制御部を何処に配置するかは任意であるが、好ましい態様としては送信チップ側に配置するとよい。第2の形態は、送信器、受信器、制御部によりシステムを構成し、伝送特性指標検知部の検知結果に基づいて、送信器の出力レベルを適切なレベルとなるように自動制御する趣旨である。このフィードバック制御に制御信号伝送装置が寄与する。フィードバックによる自動制御にする点では第1の形態と異なるが、目的は第1の形態と相違ない。即ち、第1の形態および第2の形態の何れも、送信出力レベルを必要最低限とすることで、出力増幅器を低消費電力で動作させ、低消費電力の通信を実現する。因みに、第1の形態では、フィードバック制御を行なわないので通信環境が変化した場合には必ずしも適正なレベルに管理できるとはいえない。これに対して、第2の形態では、フィードバック制御を行なうので、通信環境が変化した場合でも、その変化の対応して常に適正なレベルに管理できる。
何れも、通信環境(通信範囲や伝送路特性等)を勘案して送信器の出力レベルを必要最低限のレベルに設定することで、送信器の出力を最低限のレベルに下げて使用することができるので、送信出力増幅器の消費電力を下げることができる。送信出力増幅器を低消費電力で動作させることで低消費電力の通信を実現できる。受信器への入力レベルが一定レベルとなることで、強入力への耐性を緩和することができ、受信器の消費電力も下げることができる。送信出力が必要最低限のレベルとなるため機器外への輻射も緩和される。
第3の形態は、双方向通信に対応した構成を採る場合である。この場合、送信電力を管理するための機構としては、前述の第1の形態と第2の形態の何れをも単独または組み合わせて採用し得る。例えば、双方向の何れをも第1の形態とする場合や双方向の何れをも第2の形態とする場合に限らず、片方向は第1の形態を採りつつ他方は第2の形態を採ることもできる。好ましい態様としては、双方向の何れをも第2の形態とするのがよい。
本実施形態に限らず、一般的な通信システムでは、受信側の最低受信感度レベルとなる距離までが受信可能な領域となる。したがって、本実施形態において信号伝送装置を構築するに当たっては、送信チップと受信チップが1対1の信号伝送装置の場合、送信出力レベルは1つの受信チップに合わせて、その最低受信感度レベルを勘案して送信側の出力レベルを管理すればよい。
一方、1つの送信チップに対して複数の受信チップ2が配置される構成の場合は、それぞれの受信チップの受信レベルを考慮することが肝要となる。この場合に、どのように1つの送信チップの出力レベルを管理するかに関しては、様々な手法を採り得る。例えば、受信感度が最大のものに合わせる(最低受信感度レベルにならないものは無視する:受信できない)という手法と、受信感度が最小のものに合わせる(過剰になるものは無視する)という手法が、対極的に存在し得る。つまり、N個の受信側の「バランスをとる」といっても、想定している全ての受信チップにて受信できるようにするには、受信感度が最大ものに合わせる手法を採用することはできないし、受信感度が最小のものに合わせると他方は過剰になることもあり得る。どれが最適というのは考え難いが、想定している全ての受信チップにて受信できるように先ず受信感度が最小のものに合わせておき、過剰なものは受信信号を減衰させて復調処理を行なうことが好適である。
前述のような送信レベル管理を適用しない場合、送信器出力を大きなレベルで一定とし、受信側では信号を検波して、受信器内で利得の制御を行なうことで、一定のベースバンド信号を得ることができる。しかしながら、通信距離が近い送受信間では、必要以上に大きなレベルでの通信となり、消費電力も大きい。無駄な電力を消費することになる。受信器は強入力の信号でも受信できる必要があるため、リニアリティの良い回路が必要となり、受信器の消費電力も大きくなる。送信出力が大きい場合には、外部への輻射が大きくなるという問題もある。
これに対して、前述のような送信レベル管理を適用すれば、送信出力レベルを送受信間の伝送特性に応じた適正なレベルに管理するので、これらの問題を解決できる。特に、機器内や機器間の信号伝送においては、送受信間の距離や伝送路の状態等の伝送特性が特定されたものとなる固定位置間や既知の位置関係の信号伝送であるため、次のような利点が得られる。
1)送信側と受信側の間の伝搬チャネル(導波構造)を適正に設計することが容易である。
2)送信側と受信側を封止する伝送路結合部の誘電体構造と伝搬チャネルを併せて設計することで、自由空間伝送より、信頼性の高い良好な伝送が可能になる。
3)無線伝送を管理するコントローラ(例えば利得制御部)の制御は、一般の無線通信のように動的にアダプティブに頻繁に行なう必要はないため、制御によるオーバーヘッドを一般の無線通信に比べて小さくすることができる。その結果、小型、低消費電力、高速化が可能になる。
4)製造時や設計時に無線伝送特性を校正し、個体のばらつき等を把握すれば、そのデータを参照できるので、送信出力レベルの設定は、プリセットや静的な制御で可能であり、実現が容易である。
第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態の構成においては、好ましくは、通常の伝送対象信号用の無線伝送を行なう通信装置にて使用される基準信号も、無線信号として伝送対象信号用の無線信号とは別に送信するとよい。この場合、先ず、基準信号用の無線信号を、伝送対象信号用の無線信号だけでなく制御信号用の無線信号とも別に送信することが考えられるし、制御信号と基準信号とを合成した合成信号の無線信号を、伝送対象信号用の無線信号と別に送信することもできる。
前者の場合は概ね、前述した「制御信号」に関する記載事項を「基準信号」に置き換えた形態を追加すればよい。即ち、送信側の通信装置と受信側の通信装置の内の少なくとも一方において使用される基準信号を無線伝送する基準信号伝送装置は、送信側の通信装置と受信側の通信装置の内の少なくとも一方において使用される基準信号を無線信号として送信する通信装置(基準信号送信装置)と、基準信号送信装置から送信された無線信号を受信して基準信号を再生し、送信側の通信装置又は受信側の通信装置に供給する通信装置(基準信号受信装置)とで構成される。この場合も、基準信号送信装置と基準信号受信装置の少なくとも一方を備えていればよい。因みに、制御信号伝送装置と基準信号伝送装置とで制御・基準信号伝送装置が構成され、制御信号送信装置と基準信号送信装置とで、制御信号及び基準信号を無線送信する制御・基準信号送信装置が構成され、制御信号受信装置と基準信号受信信装置とで制御・基準信号受信装置が構成される。
一方、後者の場合は、1つの合成信号を無線信号として伝送対象信号用の無線信号と別に伝送することで、実質的に、制御信号用の無線信号と基準信号用の無線信号とを伝送対象信号用の無線信号と別に伝送する形態となる。この場合、制御信号と基準信号とを合成した合成信号を何処で生成するかに対応して次の2つの態様を採り得る。第1の態様は、制御信号と基準信号とに基づき制御信号と基準信号とを表す1つの合成信号を生成する信号合成部と、無線信号を受信して再生された合成信号から制御信号と基準信号とを分離する信号分離部と、を有する構成である。この場合、伝送対象信号を無線信号として送信する通信装置又は無線信号を受信して伝送対象信号を再生する通信装置に、分離した制御信号と基準信号とを供給する。信号合成部や信号分離部の配置箇所は制御信号用の通信装置の場合もあればその通信装置以外の場合も含む。
第2の態様は、信号合成部や信号分離部の配置箇所が制御信号用の通信装置の場合に限定される形態である。即ち、制御信号を無線信号として送信する通信装置は、制御信号と基準信号とに基づき制御信号と基準信号とを表す1つの合成信号を生成する信号合成部を有し合成信号を無線信号として伝送対象信号用の無線信号とは別に送信する。無線信号を受信して制御信号を再生する通信装置は、無線信号を受信して再生された合成信号から制御信号と基準信号とを分離する信号分離部を有し、伝送対象信号を無線信号として送信する通信装置又は無線信号を受信して伝送対象信号を再生する通信装置に、分離した制御信号と基準信号とを供給する。
基準信号の利用態様としては、信号処理における動作タイミングを規定するために使用することが考えられ、例えば、伝送対象信号に関しての送信側と受信側の各信号処理の動作の同期をとるために使用することが考えられる。例えば、各種の信号処理の動作タイミングの設定、伝送対象信号用の無線信号を生成する際の変調用の搬送信号の生成、伝送対象信号用の無線信号を受信して伝送対象信号を再生する際の復調用の搬送信号の生成等に使用される。伝送対象信号に関しての送信側の信号処理(変調処理を含む)の動作と受信側の信号処理(復調処理を含む)の動作の同期をとるために基準信号を使用するということである。送受信で動作の同期をとれば伝送の信号品質を適正にできる。
因みに、基準信号の無線伝送に関しては、次の点を考慮するとよい。電子機器においては、基準信号(基準クロック)を使用して信号処理を行なうことがある。この場合に、基準信号を必要とする回路機能部が複数ある場合には、各箇所に如何様にして基準信号を持たせる(各回路機能部に供給する)かが問題となる。例えば、電子機器内にデジタル回路のクロックやシンセサイザの基準として、水晶発振器等で生成する基準信号が必要なチップ(半導体集積回路)が複数必要な場合、各チップに発振器を持たせることが考えられる。しかしながらこの場合、複数の発振信号の干渉が発生し、ノイズ対策が必要となる。基準信号を共通化して、各所にその基準信号を伝送すると干渉がなくなり、ノイズ対策は不要となる。しかしながらこの場合は、基準信号を共通化して各所に伝送するための配線が必要となり、反射等による信号歪みの影響の増加が懸念されるし、基準信号のレベルが大きくなると不要輻射の問題も発生する。例えば、比較的近距離(たとえば数センチ〜10数センチ以内)に配置されている電子機器間や電子機器内での高速信号伝送を実現する手法としてLVDS(Low Voltage Differential Signaling)が知られており、このLVDSを適用して基準信号を伝送することが考えられる。しかしながら、基準信号の周波数が高くなるとLVDSでは信号歪みや不要輻射等の問題のため限界に達してきている。
又、通信の分野で同期検波を使用した通信を行なう場合、送信装置と受信装置(纏めて送受信器とも称する)のそれぞれの局部発振周波数が同期している必要がある。この同期のために、共通の基準信号に基づいて局部発振信号を生成することが考えられる。この場合、局部発振周波数の同期はとれるが、前述のように、基準信号を共通化して送信装置と受信装置に伝送するための配線が必要となるし、基準信号のレベルが大きくなると輻射の問題も発生する。別の手法として、同期のとれていない局部発振信号を使用しつつ、受信したベースバンド信号で同期をとることも考えられるが、回路規模や消費電力が大きくなってしまう。特開2003−244016号公報には、局部発振信号を基準信号の如く無線伝送することが記載されているが、中間周波数帯信号を使う通信に限定しており、中間周波数帯信号以降の信号処理回路が必要となるし、局部発振信号そのものを共用するため、局部発振信号として使える周波数は1種類のみとなる。このように、基準信号を必要とする回路機能部が複数ある場合に、干渉・ノイズ・信号歪み・不要輻射・使える周波数等の問題を解決しつつ、各箇所に基準信号を供給する手法が求められる所であるが、その要求に応えられていないのが実情である。
その対策として、干渉およびノイズの問題を解決しつつ、各箇所に基準信号を供給することのできる構成にするとよい。好ましくは、信号歪みや不要輻射の問題を解決しつつ、各箇所に基準信号を供給することのできる構成にするとよい。更には、基準信号として使える周波数を複数にすることができる構成にするとよい。更に好ましくは、前記の3つを任意に組み合わせて同時に解決できる構成にするとよい。
例えば、源基準信号と同期し源基準信号よりも高い周波数の高周波基準信号を生成する高周波基準信号生成部と、高周波基準信号と同期し高周波基準信号よりも低い周波数の低周波基準信号を生成する低周波基準信号生成部と、低周波基準信号に基づいて信号処理を行なう信号処理部とを備えた構成にする。この際には、高周波基準信号を無線で伝送するための機能部として、高周波基準信号を無線で送信する送信側の通信装置と、その無線信号を受信する受信側の通信装置とを備える。例えば、基準信号送信装置には、源基準信号と同期したより高い周波数の高周波基準信号を生成する高周波基準信号生成部を設ける。好ましくは、源基準信号と同期したより高い周波数の高周波基準信号を生成する高周波基準信号生成部と、高周波基準信号と同期したより低い周波数の低周波基準信号に基づいて信号処理を行なう信号処理部とを備えた構成にするとよい。基準信号受信装置には、源基準信号と同期したより高い周波数の高周波基準信号に基づいて、高周波基準信号と同期したより低い周波数の低周波基準信号を生成する低周波基準信号生成部を設ける。好ましくは、源基準信号と同期したより高い周波数の高周波基準信号に基づいて高周波基準信号と同期したより低い周波数の低周波基準信号を生成する低周波基準信号生成部と、低周波基準信号生成部により生成された低周波基準信号に基づいて信号処理を行なう信号処理部とを備えた構成にするとよい。
基準信号を複数の箇所に無線伝送するという点においては、1つの高周波基準信号生成部に対して、複数の低周波基準信号生成部と信号処理部とを設けるとよい。因みに、受信側の基準信号の周波数はそれぞれ異なっていてよい。即ち、低周波基準信号生成部は、他の低周波基準信号生成部と異なる周波数の低周波基準信号を生成してよい。基準信号を使用する信号処理部は、低周波基準信号生成部により生成された低周波基準信号と同期したより高い周波数の第2の高周波基準信号を生成する第2の高周波基準信号生成部を備えるとよい。例えば、伝送対象信号用の無線信号に関しての変調用又は復調用の搬送信号を生成する場合が典型例であるが、これには限定されない。伝送対象信号用の無線信号に関しての変調用又は復調用の搬送信号を生成する場合、1つの高周波基準信号生成部に対して、複数の低周波基準信号生成部と信号処理部を設け、第2の高周波基準信号生成部において、他の第2の高周波基準信号生成部と異なる周波数の第2の高周波基準信号を生成するとよい。信号処理部は、第2の高周波基準信号生成部により生成された第2の高周波基準信号を使用して伝送対象信号に関しての通信処理を行なう。因みに、第1の信号処理に使用する一方の第2の高周波基準信号の位相と、第1の信号処理と対応する第2の信号処理に使用する他方の第2の高周波基準信号の位相とが一致しないことに伴う影響を抑制する位相不確定性対策機能部を設けることで、送信側と受信側とで搬送信号の位相が異なることに伴う影響を抑制するとよい。
制御信号用、基準信号用、又は、合成信号用の無線信号は、好ましくは、周波数偏移変調方式(FSK:Frequency Shift Keying)で変調されているとよい。FSK方式は、周波数同期がとれればよく、他の方式よりも簡易な回路構成で実現できるし、電力効率の面でも有利である。好ましくは、受信側(周波数復調部)における周波数捕捉範囲に比べて、送信側(周波数変調部)における周波数変動範囲を狭くするとよい。こうすることで、周波数調整を行なわなくても制御信号、基準信号、又は、合成信号の無線伝送を確実に実現できる。
合成信号用の無線信号を周波数偏移変調方式とする場合は、信号合成部と信号分離部は、好ましくは次のように構成するとよい。先ず前提として、制御信号及び基準信号の何れもが2値の信号であるとする。信号合成部に関しては、差動増幅回路を設け、その差動入力端の一方に制御信号を入力し、差動入力端の他方には制御信号と基準信号との排他的論理和信号を入力する。こうすることで、差動増幅回路の出力端に3値の合成信号が出力される。この合成信号を周波数偏移変調方式で変調すれば3値FSK信号が得られる。信号分離部に関しては、受信側において3値FSK信号を復調して再生された合成信号と判定用の基準値とを比較する比較部と、比較部の比較結果に基づいて制御信号と基準信号とを生成する論理回路部とを設ける。このような構成にすることで、簡易な構成でありながら、送信側では合成信号用の無線信号としての3値FSK信号を容易に生成することができるし、受信側では再生した合成信号から制御信号と基準信号とを容易に分離できる。
好ましくは、再生された合成信号の直流レベルに関わらず適正な分離処理ができるように(つまり判定用の基準値を動的に決定できるように)、信号分離部は、周波数偏移変調方式で変調された無線信号を受信して再生された合成信号における予め定められたレベルを検知するレベル検知部と、レベル検知部の検知結果と、予め定められた式に基づいて判定用の基準値を決定する基準値決定部とを有するとよい。再生された3値の合成信号(復号化データと称する)の最小値、最大値、中間値、振幅(最大値−最小値)との関係においては、判定用の基準値は、最小値と中間値との間の値(好ましくは最小値+振幅/4又は中間値−振幅/4)と、最大値と中間値との間の値(好ましくは最大値−振幅/4又は中間値+振幅/4)の2つが必要になる。各基準値の決定に当たっては、最小値、最大値、中間値の全ての情報についてそれぞれを検知することが考えられるし、振幅はある程度予測できるという点に着目して、最小値、最大値、中間値の何れかを検知することも考えられる。何れの場合も、検知結果とその検知結果に対応した式とに基づいて各基準値を基準値決定部で決める。
制御信号用、基準信号用、又は、合成信号用の無線信号を伝送対象信号用の無線信号とは別に伝送すればよく、制御信号用、基準信号用、又は、合成信号用を無線伝送するための変調用又は復調用の搬送信号の周波数は、伝送対象信号を無線伝送するための変調用又は復調用の搬送信号の周波数と、同じでもよいし異なっていてもよい。但し、好ましくは、伝送対象信号用の無線信号との間での混変調等の通信障害を確実に防止するべく、これらは伝送対象信号用の無線信号とは異なる搬送周波数で変調されているとよい。
第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態の構成においては、好ましくは、伝送対象信号用の無線信号、及び、制御信号用、基準信号用、又は、合成信号用の無線信号の周波数は、ミリ波帯であるとよい。ミリ波帯とすることの利点に関しては後述する。
第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態の構成においては、好ましくは、伝送対象信号を無線信号として送信する送信側(第3)の通信装置(伝送対象信号用の送信装置、以下「データ送信装置」と記すこともある)と無線信号を受信して伝送対象信号を再生する受信側(第4)の通信装置(伝送対象信号用の受信装置、以下「データ受信装置」と記すこともある)の内の少なくとも一方を更に備えるとよい。この場合、通常の伝送対象信号用の信号伝送装置を構成するデータ送信装置及びデータ受信装置と、制御信号用の制御信号伝送装置を構成する制御信号送信装置及び制御信号受信装置の組合せとしては、次の3つの態様が代表的である。下記において“「”と“」”とで囲まれた部材が同一の基板(半導体集積回路の基板を含む)上に配される又は同一の筐体内に配される。
1)「データ送信装置+制御信号送信装置」と「データ受信装置+制御信号受信装置」
2)「データ送信装置+制御信号受信装置」と「データ受信装置+制御信号送信装置」
3)「第1のデータ送信装置+第2のデータ受信装置+制御信号送信装置」と「第1のデータ受信装置+第2のデータ送信装置+制御信号受信装置」:第1のデータ送信装置と第1のデータ受信装置との間では第1の伝送対象信号を無線伝送し、第2のデータ送信装置と第2のデータ受信装置との間では第2の伝送対象信号を無線伝送する
通常の伝送対象信号用の信号伝送装置を構成するデータ送信装置及びデータ受信装置と、制御信号及び基準信号用の制御・基準信号伝送装置を構成する送信側の通信装置(以下「制御・基準信号送信装置」と記すこともある)及び受信側の通信装置(以下「制御・基準信号受信装置」と記すこともある)の組合せとしては、次の3つの態様が代表的である。下記において“「”と“」”とで囲まれた部材が同一の基板(半導体集積回路の基板を含む)上に配される又は同一の筐体内に配される。
1)「データ送信装置+制御・基準信号送信装置」と「データ受信装置+制御・基準信号受信装置」
2)「データ送信装置+制御・基準信号受信装置」と「データ受信装置+制御・基準信号送信装置」
3)「第1のデータ送信装置+第2のデータ受信装置+制御・基準信号送信装置」と「第1のデータ受信装置+第2のデータ送信装置+制御・基準信号受信装置」:第1のデータ送信装置と第1のデータ受信装置との間では第1の伝送対象信号を無線伝送し、第2のデータ送信装置と第2のデータ受信装置との間では第2の伝送対象信号を無線伝送する
第1の態様及び第3の態様と対応する本実施形態の構成においては、好ましくは、送受信間の伝送特性が既知であるものとし、伝送対象信号用の送信側の通信装置と受信側の通信装置の少なくとも一方に、設定値に基づいて、予め定められた信号処理を行なう信号処理部と、予め定められた信号処理用の設定値を信号処理部に入力する設定値処理部とを備えるとよい。信号処理部には、変調処理又は復調処理や無線信号用の信号増幅処理も含む。設定値を決める際に、制御信号伝送装置からの制御信号を使用して送信側又は受信側の通信装置を制御するとよい。例えば、1つの筐体内の送信側(第3)の通信装置と受信側(第4)の通信装置の配置位置が変化しない場合(機器内通信の場合)や、送信側の通信装置と受信側の通信装置のそれぞれが各別の筐体内に配置される場合でも使用状態のときの送信側の通信装置と受信側の通信装置の配置位置が予め定められた状態となる場合(比較的近距離の機器間の無線伝送の場合)のように、送受信間の伝送条件が実質的に変化しない(つまり固定である)環境下においては、送信側の通信装置と受信側の通信装置との間の伝送特性を予め知ることができる。
送受信間の伝送条件が実質的に変化しない(つまり固定である)環境下においては、信号処理部の動作を規定する設定値を固定値として扱っても、つまり、パラメータ設定を固定にしても、信号処理部を不都合なく動作させることができる。信号処理用の設定値を予め定められた値(つまり固定値)にすることでパラメータ設定を動的に変化させずに済むので、パラメータ演算回路を削減できるし、消費電力を削減することもできる。機器内や比較的近距離の機器間の無線伝送においては通信環境が固定されるため、通信環境に依存する各種回路パラメータを予め決定することができるし、伝送条件が固定である環境下においては、信号処理部の動作を規定する設定値を固定値として扱っても、つまり、パラメータ設定を固定にしても、信号処理部を不都合なく動作させることができる。例えば、工場出荷時に最適なパラメータを求めておき、そのパラメータを装置内部に保持しておくことで、パラメータ演算回路の削減や消費電力の削減を行なうことができる。
信号処理のパラメータ設定としては種々のものがある。例えば、伝送対象信号用の無線信号と制御信号用の無線信号とを別々に伝送する場合との関係では、伝送対象信号用の無線信号の搬送周波数と制御信号用の無線信号の搬送周波数の設定がある。信号処理のパラメータ設定の他の例としては、信号増幅回路(振幅調整部)のゲイン設定(信号振幅設定)や位相調整量の設定や周波数特性の設定等もある。ゲイン設定は、送信電力設定や復調機能部に入力される受信レベル設定や自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)等に利用されるし、位相調整量の設定は、制御信号や基準信号を別送する系で送信信号の遅延量に合わせて位相を調整する場合に利用されるし、周波数特性の設定は、送信側で予め低域周波数成分や高域周波数成分の振幅を強調する場合に利用される。
例えば、第1の構成として、設定値決定部と、設定値記憶部と、動作制御部とを具備した設定値処理部を基板上に設ける。設定値決定部は、半導体チップの各機能部の動作を指定するための「信号処理用の設定値」(変数、パラメータ)を決定する。設定値を決定する処理は、例えば、工場での製品出荷時に行なう。設定値記憶部は、設定値決定部により決定された設定値を記憶する。動作制御部は、設定値記憶部から読み出した設定値に基づいて信号処理部が形成された半導体チップの各機能部(例えば、変調部又は復調部、周波数変換部、無線信号用の増幅部等)を動作させる。設定値処理部が配される基板は半導体チップ用の基板と同じであることが好ましいが、このことは必須でない。更には、設定値処理部は半導体チップの外部に備えてもよいが、好ましくは半導体チップに内蔵するとよく、この場合は、設定値処理部は制御対象となる各機能部(変調部又は復調部、周波数変換部、増幅部等)が搭載されている基板と同一の基板に搭載されることになる。
又、第2の構成として、装置外部にて決定された設定値を記憶する構成にすることも考えられる。この場合、設定値決定部に代えて入出力インタフェース部を設ける。入出力インタフェース部は、設定値を外部から受け付ける設定値受付部の一例である。入出力インタフェース部は、設定値記憶部との間のインタフェース機能をなし、外部から与えられる設定値を設定値記憶部に記憶し、又、設定値記憶部に記憶されている設定値を読み出して外部に出力する。第2の構成の場合、設定値処理部にて設定値を決定するのではなく、外部にて設定値を決定する。例えば、設計パラメータと実機の状態から設定値を決定してもよいし、装置の実働試験に基づいて設定値を決定してもよい。又、何れの場合も、装置ごとに個別の設定値を決定するのではなく、各装置に共通の設定値を決定してもよい。設計パラメータから設定値を決定する場合は、概ねこの場合に該当するし、標準の装置での実働試験に基づいて設定値を決定する場合も、この場合に該当する。
[電子機器]
第2の態様と対応する本実施形態の電子機器においては、各部がひとつの筐体内に収容された状態の装置構成で1つの電子機器とすることもできるし、複数の装置(電子機器)の組合せで1つの電子機器の全体が構成されることもある。本実施形態の信号伝送装置は、例えば、デジタル記録再生装置、地上波テレビ受像装置、携帯電話装置、ゲーム装置、コンピュータ等の電子機器において使用される。
各部がひとつの筐体内に収容された状態の装置構成で1つの電子機器とする場合であれば、制御信号を無線信号として送信する第1の装置と、第1の通信装置から送信された無線信号を受信して制御信号を再生する第2の通信装置と、伝送対象信号を送信する送信装置と、送信装置から送信された無線信号を受信して伝送対象信号を再生する受信装置と、を1つの筐体内に備える構成にする。又は、複数の装置(電子機器)の組合せで1つの電子機器の全体を構成する場合であれば、伝送対象信号を送信する送信装置と送信装置から送信された無線信号を受信して伝送対象信号を再生する受信装置の内の少なくとも一方と、送信装置又は受信装置の送受信の相手方となる方を制御するための制御信号を無線信号として送信する第1の通信装置とを、1つの筐体内に配して第1の電子機器を個性する。又、第1の電子機器における送信装置の通信の相手方となる受信装置又は第1の電子機器における受信装置の通信の相手方となる送信装置と、第1の通信装置から送信された無線信号を受信して制御信号を再生する第2の通信装置とを、1つの筐体内に配置して第2の電子機器を構成する。そして、第1の電子機器と第2の電子機器との間で伝送対象信号を無線信号で伝送する。電子機器が何れの構成であっても、制御信号用の送信側(第1)の通信装置は、伝送対象信号を無線信号として送信する第3の通信装置と第3の通信装置から送信された無線信号を受信して伝送対象信号を再生する第4の通信装置の内の少なくとも一方に制御信号供給し、制御信号用の受信側(第2)の通信装置は、再生した制御信号を第3の通信装置又は第4の通信装置に供給するする。そして、この場合において、制御信号用の無線信号を、送信装置と受信装置との間における伝送対象信号用の無線信号とは別に伝送する。
以下で説明する本実施形態の信号伝送装置や電子機器では、ミリ波帯(波長が1〜10ミリメートル)の搬送周波数を主に使用するものとして説明するが、ミリ波帯に限らず、より波長の短い例えばサブミリ波帯(波長が0.1〜1ミリメートル)やより波長の長いセンチ波帯(波長が1〜10センチメートル)等、ミリ波帯近傍の搬送周波数を使用する場合にも適用可能である。例えば、ミリ波帯だけでは要求される通信帯域を確保できないときには、サブミリ波帯〜ミリ波帯、ミリ波帯〜センチ波帯、又はサブミリ波帯〜ミリ波帯〜センチ波帯を使用する。
通信装置を構成する場合、送信側の通信装置が単独の場合と、受信側の通信装置が単独の場合と、送信側と受信側の双方の通信装置を有する場合とがある。送信側と受信側は無線信号伝送路(例えばミリ波信号伝送路)を介して結合されミリ波帯で信号伝送を行なうように構成される。伝送対象の信号を広帯域伝送に適したミリ波帯域に周波数変換して伝送する。但し、如何なる場合でも、送信側の通信装置と受信側の通信装置の組(対)で、信号伝送装置を構成する。そして、比較的近距離に配置された送信側の通信装置と受信側の通信装置の間では、伝送対象の信号をミリ波信号に変換してから、このミリ波信号をミリ波信号伝送路を介して伝送する。本実施形態の「無線伝送」とは、信号を一般的な電気配線(単純なワイヤー配線)ではなく無線(電波:この例ではミリ波)で伝送することを意味する。
「比較的近距離」とは、放送や一般的な無線通信で使用される野外(屋外)での通信装置間の距離に比べて距離が短いことを意味し、伝送範囲が閉じられた空間として実質的に特定できる程度のものであればよい。「閉じられた空間」とは、その空間内部から外部への電波の漏れが少なく、逆に、外部から空間内部への電波の到来(侵入)が少ない状態の空間を意味し、典型的にはその空間全体が電波に対して遮蔽効果を持つ筐体(ケース)で囲まれた状態である。例えば、1つの電子機器の筐体内での基板間通信や同一基板上でのチップ間通信や、一方の電子機器に他方の電子機器が装着された状態のように複数の電子機器が一体となった状態での機器間の通信が該当する。「一体」は、装着によって両電子機器が完全に接触した状態が典型例であるが、両電子機器間の伝送範囲が閉じられた空間として実質的に特定できる程度のものであればよい。例えば数センチ以内又は10数センチ以内等、比較的近距離で、両電子機器が多少離れた状態で定められた位置に配置されていて「実質的に」一体と見なせる場合も含む。要するに、両電子機器で構成される電波が伝搬し得る空間内部から外部への電波の漏れが少なく、逆に、外部からその空間内部への電波の到来(侵入)が少ない状態であればよい。
1つの電子機器の筐体内での信号伝送を機器(又は筐体)内信号伝送と称し、複数の電子機器が一体(以下、「実質的に一体」も含む)となった状態での信号伝送を機器間信号伝送と称する。機器内信号伝送の場合は、送信側の通信装置(通信部:送信部)と受信側の通信装置(通信部:受信部)が同一筐体内に収容され、通信部(送信部と受信部)間に無線信号伝送路が形成された信号伝送装置が電子機器そのものとなり得る。一方、機器間信号伝送の場合、送信側の通信装置(通信部:送信部)と受信側の通信装置(通信部:受信部)がそれぞれ異なる電子機器の筐体内に収容され、両電子機器が定められた位置に配置され一体となったときに両電子機器内の通信部(送信部と受信部)間に無線信号伝送路が形成されて信号伝送装置が構築される。
ミリ波信号伝送路を挟んで設けられる各通信装置においては、送信系統と受信系統が対となって組み合わされて配置される。各通信装置に送信系統と受信系統を併存させることで双方向通信ができる。各通信装置に送信系統と受信系統を併存させる場合、一方の通信装置と他方の通信装置との間の信号伝送は片方向(一方向)のものでもよいし双方向のものでもよい。例えば、第1の通信装置が送信側となり第2の通信装置が受信側となる場合には、第1の通信装置に送信機能をなす第1の通信部が配置され第2の通信装置に受信機能をなす第2の通信部が配置される。第2の通信装置が送信側となり第1の通信装置が受信側となる場合には、第2の通信装置に送信機能をなす第1の通信部が配置され第1の通信装置に受信機能をなす第2の通信部が配置される。
第1の通信部は、例えば、伝送対象の信号を信号処理してミリ波帯の電気信号を生成する送信側の信号生成部(伝送対象の電気信号をミリ波帯の電気信号に変換する信号変換部)と、ミリ波帯の無線信号を伝送する無線信号伝送路(例えばミリ波信号伝送路)に送信側の信号生成部で生成されたミリ波帯の電気信号を結合させる送信側の信号結合部を送信部に備えるものとする。好ましくは、送信側の信号生成部は、伝送対象の信号を生成する機能部と一体であるのがよい。
例えば、送信側の信号生成部は変調回路(変調部)を有し、変調回路が伝送対象の信号(ベースバンド信号)を変調する。送信側の信号生成部は変調回路によって変調された後の信号を周波数変換してミリ波帯の電気信号を生成する。原理的には、伝送対象の信号をダイレクトにミリ波帯の電気信号に変換してもよい。送信側の信号結合部は、送信側の信号生成部によって生成されたミリ波帯の電気信号を無線信号(電磁波、電波)に変換して無線信号伝送路としてのミリ波信号伝送路に供給する。
第2の通信部は例えば、無線信号伝送路としてのミリ波信号伝送路を介して伝送されてきたミリ波帯の無線信号を受信し電気信号に変換する受信側の信号結合部を受信部に備えるとともに、受信側の信号結合部により受信され電気信号に変換されたミリ波帯の電気信号(入力信号)を信号処理して通常の電気信号(伝送対象の信号、ベースバンド信号)を生成(復元、再生)する受信側の信号生成部(ミリ波の信号を伝送対象の電気信号に変換する信号変換部)を備えるものとする。好ましくは、受信側の信号生成部は、伝送対象の信号を受け取る機能部と一体であるのがよい。例えば、受信側の信号生成部は復調回路(復調部)を有し、ミリ波帯の電気信号を周波数変換して出力信号を生成し、その後、復調回路が出力信号を復調することで伝送対象の信号を生成する。原理的には、ミリ波帯の電気信号からダイレクトに伝送対象の信号に変換してもよい。
つまり、信号インタフェースをとるに当たり、伝送対象の信号に関して、無線信号により接点レスやケーブルレスで伝送する(電気配線での伝送でない)。好ましくは、少なくとも信号伝送(特に高速伝送や大容量伝送が要求される映像信号や高速のクロック信号等)に関しては、ミリ波帯等の無線信号により伝送する。要するに、従前は電気配線によって行なわれていた信号伝送を本実施例では無線信号(電波)により行なう。ミリ波帯等の無線信号で信号伝送を行なうことで、ギガビット毎秒〔Gbps〕オーダーの高速信号伝送を実現することができるし、無線信号の及ぶ範囲を容易に制限でき、この性質に起因する効果も得られる。
ここで、各信号結合部は、第1の通信部と第2の通信部が無線信号伝送路(例えばミリ波信号伝送路)を介して無線信号(ここではミリ波帯の無線信号)が伝送可能となるようにするものであればよい。例えばアンテナ構造(アンテナ結合部)を備えるものとしてもよいし、アンテナ構造を具備せずに結合をとるものでもよい。「ミリ波の信号を伝送するミリ波信号伝送路」等の無線信号伝送路は、空気(いわゆる自由空間)であってもよいが、好ましくは、無線信号(電磁波、電波)を伝送路中に閉じ込めつつ無線信号を伝送させる構造(無線信号閉込め構造、例えばミリ波閉込め構造)を持つものがよい。無線信号閉込め構造を積極的に利用することで、例えば電気配線のように無線信号伝送路の引回しを任意に確定することができる。このような無線信号閉込め構造のものとしては、例えば、典型的にはいわゆる導波管が該当するが、これに限らない。例えば、無線信号を伝送可能な誘電体素材で構成されたもの(誘電体伝送路や無線信号誘電体内伝送路と称する)や、伝送路を構成し、かつ、無線信号の外部放射を抑える遮蔽材が伝送路を囲むように設けられその遮蔽材の内部が中空の中空導波路がよい。誘電体素材や遮蔽材に柔軟性を持たせることで無線信号伝送路の引回しが可能となる。空気(いわゆる自由空間)の場合、各信号結合部はアンテナ構造をとることになり、そのアンテナ構造によって近距離の空間中を信号伝送することになる。一方、誘電体素材で構成されたものとする場合は、アンテナ構造をとることもできるが、そのことは必須でない。
[電気配線による信号伝送と無線伝送との対比]
電気配線を介して信号伝送を行なう場合は、次のような問題がある。
i)伝送データの大容量・高速化が求められるが、電気配線の伝送速度・伝送容量には限界がある。
ii)伝送データの高速化の問題に対応するため、配線数を増やして、信号の並列化により一信号線当たりの伝送速度を落とす手法がある。しかしながら、この手法では、入出力端子の増大に繋がってしまう。その結果、プリント基板やケーブル配線の複雑化、コネクタ部や電気的インタフェースの物理サイズの増大等が求められ、それらの形状が複雑化し、これらの信頼性が低下し、コストが増大する等の問題が起こる。
iii)映画映像やコンピュータ画像等の情報量の膨大化に伴い、ベースバンド信号の帯域が広くなるに従って、EMC(電磁環境適合性)の問題がより顕在化してくる。例えば、電気配線を用いた場合は、配線がアンテナとなって、アンテナの同調周波数に対応した信号が干渉される。又、配線のインピーダンスの不整合等による反射や共振によるものも不要輻射の原因となる。このような問題を対策するために、電子機器の構成が複雑化する。
iv)EMCの他に、反射があると受信側でシンボル間での干渉による伝送エラーや妨害の飛び込みによる伝送エラーも問題となってくる。
これに対して、電気配線ではなく無線(例えばミリ波帯を使用)で信号伝送を行なう場合、配線形状やコネクタの位置を気にする必要がないため、レイアウトに対する制限があまり発生しない。ミリ波による信号伝送に置き換えた信号については配線や端子を割愛できるので、EMCの問題から解消される。一般に、通信装置内部で他にミリ波帯の周波数を使用している機能部は存在しないため、EMCの対策が容易に実現できる。送信側の通信装置と受信側の通信装置を近接した状態での無線伝送となり、固定位置間や既知の位置関係の信号伝送であるため、次のような利点が得られる。
1)送信側と受信側の間の伝搬チャネル(導波構造)を適正に設計することが容易である。
2)送信側と受信側を封止する伝送路結合部の誘電体構造と伝搬チャネル(ミリ波信号伝送路の導波構造)を併せて設計することで、自由空間伝送より、信頼性の高い良好な伝送が可能になる。
3)無線伝送を管理するコントローラの制御も一般の無線通信のように動的にアダプティブに頻繁に行なう必要はないため、制御によるオーバーヘッドを一般の無線通信に比べて小さくすることができる。その結果、制御回路や演算回路等で使用する設定値 (いわゆるパラメータ)を定数(いわゆる固定値)にすることができ、小型、低消費電力、高速化が可能になる。例えば、製造時や設計時に無線伝送特性を校正し、個体のばらつき等を把握すれば、そのデータを参照できるので、信号処理部の動作を規定する設定値は、プリセットや静的な制御にできる。その設定値は信号処理部の動作を概ね適正に規定するから、簡易な構成かつ低消費電力でありながら、高品位の通信が可能になる。
又、波長の短いミリ波帯での無線通信にすることで、次のような利点が得られる。
a)ミリ波通信は通信帯域を広く取れるため、データレートを大きくとることが簡単にできる。
b)伝送に使う周波数が他のベースバンド信号処理の周波数から離すことができ、ミリ波とベースバンド信号の周波数の干渉が起こり難い。
c)ミリ波帯は波長が短いため、波長に応じてきまるアンテナや導波構造を小さくできる。加えて、距離減衰が大きく回折も少ないため電磁シールドが行ない易い。
d)通常の野外での無線通信では、搬送波の安定度については、干渉等を防ぐため、厳しい規制がある。そのような安定度の高い搬送波を実現するためには、高い安定度の外部周波数基準部品と逓倍回路やPLL(位相同期ループ回路)等が用いられ、回路規模が大きくなる。しかしながら、ミリ波は(特に固定位置間や既知の位置関係の信号伝送との併用時は)、容易に遮蔽でき、外部に漏れないようにできる。安定度を緩めた搬送波で伝送された信号を受信側で小さい回路で復調するのには、注入同期方式を採用するのが好適である。
例えば、比較的近距離(例えば10数センチ以内)に配置されている電子機器間や電子機器内での高速信号伝送を実現する手法として、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)が知られている。しかしながら、最近のさらなる伝送データの大容量高速化に伴い、消費電力の増加、反射等による信号歪みの影響の増加、不要輻射の増加(いわゆるEMIの問題)、等が問題となる。例えば、映像信号(撮像信号を含む)やコンピュータ画像等の信号を機器内や機器間で高速(リアルタイム)に伝送する場合にLVDSでは限界に達してきている。データの高速伝送に対応するため、配線数を増やして、信号の並列化により一信号線当たりの伝送速度を落としてもよい。しかしながら、この対処では、入出力端子の増大に繋がってしまう。その結果、プリント基板やケーブル配線の複雑化や半導体チップサイズの拡大等が求められる。又、高速・大容量のデータを配線で引き回すことでいわゆる電磁界障害が問題となる。
LVDSや配線数を増やす手法における問題は何れも、電気配線により信号を伝送することに起因している。そこで、電気配線により信号を伝送することに起因する問題を解決する手法として、電気配線を無線化して伝送する手法(特に電波で信号伝送を行なう手法)を採ってもよい。電気配線を無線化して伝送する手法としては例えば、筐体内の信号伝送を無線で行なうとともに、UWB(Ultra Wide Band )通信方式を適用してもよいし(第1の手法と記す)、波長の短い(1〜10ミリメートル)ミリ波帯の搬送周波数を使用してもよい(第2の手法と記す)。しかしながら、第1の手法のUWB通信方式では、搬送周波数が低く、例えば映像信号を伝送するような高速通信に向かないし、アンテナが大きくなる等、サイズ上の問題がある。更に、伝送に使う周波数が他のベースバンド信号処理の周波数に近いため、無線信号とベースバンド信号との間で干渉が起こり易いという問題点もある。又、搬送周波数が低い場合は、機器内の駆動系ノイズの影響を受け易く、その対処が必要になる。これに対して、第2の手法のように、より波長の短いミリ波帯の搬送周波数を使用すると、アンテナサイズや干渉の問題を解決し得る。
ここでは、ミリ波帯で無線通信を行なう場合で説明したが、その適用範囲はミリ波帯で通信を行なうものに限定されない。ミリ波帯を下回る周波数帯(センチ波帯)や、逆にミリ波帯を超える周波数帯(サブミリ波帯)での通信を適用してもよい。但し、機器内信号伝送や機器間信号伝送においては、過度に波長が長くも短くもないミリ波帯を主に使用するのが効果的である。
以下、本実施例の信号伝送装置や電子機器について具体的に説明する。尚、最も好適な例として、多くの機能部が半導体集積回路(チップ、例えばCMOSのIC)に形成されている例で説明するが、このことは必須でない。尚、本明細書で開示する技術について実施形態又は実施例を用いて説明するが、本開示の技術的範囲は後述の実施形態や実施例に記載の範囲には限定されない。要旨を逸脱しない範囲で後述の実施形態や実施例に多様な変更又は改良を加えることができ、そのような変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。又、後述の実施形態や実施例は、クレーム(請求項)に係る技術を限定するものではなく、又実施形態や実施例の中で説明される特徴の組合せの全てが本開示で提案する技術の解決手段に必須であるとは限らない。後述の実施形態や実施例には種々の段階の技術が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の変形された技術を抽出できる。後述する各実施形態や実施例は、それぞれ単独で適用されることに限らず、可能な範囲で、それぞれ任意に組み合わせて適用することもできる。実施形態や実施例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、本開示で得ようとする効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成も本開示で提案する技術として抽出され得る。
<伝送処理系統:基本>
図1及び図2は、本実施形態の信号伝送装置の基本的な構成例を説明する図である。ここで示す信号伝送装置は、複数の通信装置(通信部)の組合せで通信装置の全体が構成される場合に適用した事例である。
[第1例]
図1に示す第1例の通信装置2ZAは、伝送対象信号を無線で伝送する複数の通信装置2を備えた信号伝送装置1Aと、制御・基準信号伝送装置3Aとを備えている。送信側の通信装置2(又は通信部)を送信器(送信機)と称し、受信側の通信装置2(又は通信部)を受信器(受信機)と称し、送信器と受信器を纏めて送受信器とも称する。各通信装置2は、通信チップ800を有する。通信チップ800は、通常の伝送対象信号の無線伝送に関して、後述の送信チップ801(TX:送信器)と受信チップ802(RX:受信器)の何れか一方または両方でもよいし、送信チップ801と受信チップ802の双方の機能を1チップ内に具備し双方向通信に対応したものでもよい。送信チップ801は、伝送対象信号を無線信号として送信する通信部の一例であり、受信チップ802は、伝送対象信号を無線信号として送信する通信部(送信チップ801)から送信された無線信号を受信して伝送対象信号を再生する通信部の一例である。
第1例の通信チップ800は、通常の伝送対象信号の無線伝送用の通信チップの機能の他に、後述の制御信号及び基準信号の無線伝送用(特に受信用)の受信チップ807(RX:受信器)の機能も備える。送信チップ806は、伝送対象信号を無線信号として送信する通信部(801)又は伝送対象信号を再生する通信部(受信チップ802)の少なくとも一方を制御するための制御信号及びそれらにて使用される基準信号を無線信号として送信する通信部の一例である。受信チップ807は、制御信号及び基準信号を無線信号として送信する通信部(送信チップ806)から送信された無線信号を受信して制御信号及び基準信号を再生し、伝送対象信号を無線信号として送信する通信部(801)又は伝送対象信号を再生する通信部(受信チップ802)に供給する通信部の一例である。
好ましい態様は、図示のように通信装置2に通信チップ800と制御・基準信号受信装置7が組み込まれた場合であるが、これには限定されない。図の例は、通信チップ800と制御・基準信号受信装置7を各別の機能部として示しているが、通信チップ800が制御・基準信号受信装置7の機能部の全てもしくは一部を包含する構成にしてもよい。
第1例の制御・基準信号伝送装置3Aは、通信装置2が使用する制御信号及び基準信号を無線で送信する制御・基準信号送信装置5と、通信装置2ごとに設けられた制御・基準信号受信装置7を備えている。第1例の制御・基準信号伝送装置3Aは、通常の伝送対象信号とは別系統(好ましくは異なる搬送周波数)で制御信号及び基準信号を無線伝送する。後述する第2例との相違点として、制御・基準信号送信装置5を各通信装置2とは別に設ける点に特徴を有する。
尚、通信装置2が使用する制御信号及び基準信号を無線で送信又は受信するものとして説明したが、これには限定されず、少なくとも通信装置2が使用する制御信号を無線で送信又は受信すればよい。この場合、制御・基準信号伝送装置3Aは制御信号伝送装置4A、制御・基準信号送信装置5は制御信号送信装置6、制御・基準信号受信装置7は制御信号受信装置8として、それぞれ置き換える。この場合、送信チップ806は、伝送対象信号を無線信号として送信する通信部(送信チップ801)又は伝送対象信号を再生する通信部(受信チップ802)の少なくとも一方を制御するための制御信号を無線信号として送信する通信部の一例となる。受信チップ807は、制御信号を無線信号として送信する通信部(送信チップ806)から送信された無線信号を受信して制御信号を再生し、伝送対象信号を無線信号として送信する通信部(送信チップ801)又は伝送対象信号を再生する通信部(受信チップ802)に供給する通信部の一例となる。
好ましくは、各通信装置2が通常の信号伝送(伝送対象信号の無線伝送)に使用する搬送周波数の帯域と制御・基準信号送信装置5と各制御・基準信号受信装置7との間での制御信号や基準信号の伝送に使用する搬送周波数の帯域がともにミリ波帯であるとよい。又、好ましくは、伝送対象信号と制御信号及び基準信号とを、1つのアンテナで送信又は受信し得る周波数にすることで、図示のように、同一のアンテナを用いて、伝送対象信号と制御信号及び基準信号を送信又は受信でき、通信装置2の構成を簡易にできる。
図の例は、4台の通信装置2_1〜通信装置2_4と、1台の制御・基準信号送信装置5と、4台の制御・基準信号受信装置7_1〜制御・基準信号受信装置7_4が1つの電子機器の筐体内に収容された例で示しているが、通信装置2及び制御・基準信号受信装置7の設置台数は4に限らないし、これらが1つの電子機器の筐体内に収容されたものであることも必須でない。
図の例は、通信装置2と制御・基準信号送信装置5と制御・基準信号受信装置7が同じミリ波帯の周波数(つまり両者が近い周波数)を使用することに着目して1つのアンテナを共用する形態で記載しているがこのことは必須でない。例えば、通信装置2間ではミリ波帯を使用し、制御・基準信号送信装置5と制御・基準信号受信装置7との間ではミリ波帯よりも周波数の低い帯域を使用する、逆に、通信装置2間ではミリ波帯よりも周波数の低い帯域を使用し、制御・基準信号送信装置5と制御・基準信号受信装置7との間ではミリ波帯を使用する等、両者の使用する通信帯域が異なるときにはそれぞれに適したアンテナを各別に使用するとよい。尚、両者の使用する通信帯域が異なる場合でも、搬送周波数が整数倍の関係にあるときには、1つのアンテナを共用することができる。
[第2例]
図2に示す第2例の制御・基準信号伝送装置3Bも、通信装置2ZBに適用した事例である。以下では、第1例との相違点を中心に簡潔に説明する。尚、第2例の信号伝送装置1B及び通信装置2は第1例で説明したものと同じである。
第2例の制御・基準信号伝送装置3Bは、通信装置2が使用する制御信号及び基準信号を無線で送信する制御・基準信号送信装置5と、通信装置2ごとに設けられた制御・基準信号受信装置7を備えている。前述の第1例との相違点として、制御・基準信号送信装置5を通信装置2の何れか1つに組み込んで設ける点に特徴を有する。図の例は、5台の通信装置2_1〜通信装置2_5のうちの1台の通信装置2_1に制御・基準信号送信装置5が組み込まれている。制御・基準信号受信装置7が組み込まれる通信装置2は、他の通信装置2への無線伝送の対象となる制御信号や基準信号を使用すればよく、制御・基準信号受信装置7を設ける必要はない。第2例の制御・基準信号送信装置5及び制御・基準信号受信装置7のそれぞれは第1例で説明したものと同じである。尚、制御・基準信号受信装置7が組み込まれる通信装置2_1の通信チップ800は、通常の伝送対象信号の無線伝送用の通信チップの機能の他に、後述の制御信号及び基準信号の無線伝送用(特に送信用)の送信チップ806(TX:送信器)の機能も備える。
<通信装置の組合せ>
図3〜図4は、伝送対象信号の無線伝送に関する信号伝送装置1と、制御信号の無線伝送に関する制御信号伝送装置4又は制御信号及び基準信号の無線伝送に関する制御・基準信号伝送装置3の組合せ構成(換言すると電子機器の構成例)を説明する図である。第1の回路基板と第2の回路基板の双方が電子機器の1つの筐体内に配置される構成の場合は、筐体内(機器内)で信号伝送を行なう形態となる。第1の回路基板が第1の電子機器の筐体内に配置され、第2の回路基板が第2の電子機器の筐体内に配置され、第1の電子機器と第2の電子機器が定められた位置に配置されたときに無線信号を伝送可能にする無線信号伝送路が形成される構成の場合は、機器間で信号伝送を行なう形態となる。
図3(A)〜図3(C)に示す第1〜第3の組合せ構成は、制御信号送信装置6の送信部をなす送信チップ806と制御信号受信装置8の受信部をなす受信チップ807とで制御信号伝送装置4が構成され、これが伝送信号送信装置902の送信部をなす送信チップ801と伝送信号受信装置904の受信部をなす受信チップ802とを有する信号伝送装置1と組み合わされて通信装置2Zの全体が構成される形態である。伝送信号送信装置902には信号処理部や制御部等の機能を備えるLSI機能部702が設けられ、伝送信号受信装置904には信号処理部や制御部等の機能を備えるLSI機能部707が設けられる。送信チップ801と受信チップ802の双方を含む双方向通信に対応する構成では、伝送信号送信装置902と伝送信号受信装置904の何れもが伝送信号送受信装置906に置き換わる。制御信号送信装置6をなす送信チップ806から制御信号受信装置8をなす受信チップ807へは、制御信号CTRL用の無線信号Scが伝送される。
図3(A)に示す第1の組合せ構成は、第1の通信装置2a_1と第2の通信装置2a_2を備える。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして送信する送信チップ801と制御信号CTRLを無線信号Scとして送信する送信チップ806とLSI機能部702が第1の通信装置2a_1に搭載されている。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして受信する受信チップ802と制御信号CTRLを無線信号Scとして受信する802とLSI機能部707が第2の通信装置2a_2に搭載されている。LSI機能部702及びLSI機能部707は、通信装置2の主要なアプリケーション制御を司るものである。例えば、LSI機能部702は、相手方に送信したい各種の信号(画像データや音声データ)を処理する回路やその外部又は内部の各機能部からの要求に対して、例えば送信レベルの制御やデータのリードライト制御等の論理的制御を行なう制御回路も含む。LSI機能部707は、LSI機能部702と対をなして逆の処理をするもので、この例では相手方から受信した種々の信号(画像データや音声データ)を処理する回路や、受信ゲインの制御やその外部又は内部の各機能部からの要求に対して、例えばデータのリードライト制御等の論理的制御を行なう制御回路も含む。受信チップ807は、送信チップ806から送信された無線信号Scを受信し制御信号CTRLを再生して受信チップ802やLSI機能部707に供給する。好ましくは、送信チップ801と送信チップ806とLSI機能部702が同一の第1の回路基板に搭載され、受信チップ802と受信チップ807とLSI機能部707が同一の第2の回路基板に搭載される。
図3(B)に示す第2の組合せ構成は、第1の通信装置2b_1と第2の通信装置2b_2を備える。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして送信する送信チップ801と制御信号CTRLを無線信号Scとして受信する受信チップ807とLSI機能部702が第1の通信装置2b_1に搭載されている。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして受信する受信チップ802と制御信号CTRLを無線信号Scとして送信する送信チップ806とLSI機能部707が第2の通信装置2b_2に搭載されている。受信チップ807は、送信チップ806から送信された無線信号Scを受信し制御信号CTRLを再生して送信チップ801やLSI機能部702に供給する。好ましくは、送信チップ801と受信チップ807とLSI機能部702が同一の第1の回路基板に搭載され、受信チップ802と送信チップ806とLSI機能部707が同一の第2の回路基板に搭載される。
図3(C)に示す第3の組合せ構成は、第1の通信装置2c_1と第2の通信装置2c_2を備える。第1の伝送対象信号DATA_1を無線信号Sm1として送信する送信チップ801_1と第2の伝送対象信号DATA_2を無線信号Sm2として受信する受信チップ802_2と制御信号CTRLを無線信号Scとして送信する送信チップ806とLSI機能部702が第1の通信装置2c_1に搭載されている。第2の伝送対象信号DATA_2を無線信号Sm2として送信する送信チップ801_2と第1の伝送対象信号DATA_1を無線信号Sm1として受信する受信チップ802_1と制御信号CTRLを無線信号Scとして受信する受信チップ807とLSI機能部707が第2の通信装置2c_2に搭載されている。受信チップ807は、送信チップ806から送信された無線信号Scを受信し制御信号CTRLを再生して受信チップ802_1及び送信チップ801_2やLSI機能部707に供給する。好ましくは、送信チップ801_1と受信チップ802_2と送信チップ806とLSI機能部702が同一の第1の回路基板に搭載され、受信チップ802_1と送信チップ801_2と受信チップ807とLSI機能部707が同一の第2の回路基板に搭載される。
図4(A)〜図4(C)に示す第4〜第6の組合せ構成は、制御・基準信号送信装置5の送信部をなす送信チップ806と制御・基準信号受信装置7の受信部をなす受信チップ807とで制御・基準信号伝送装置3が構成され、これが伝送信号送信装置の送信部をなす送信チップ801と伝送信号受信装置の受信部をなす受信チップ802とを有する信号伝送装置1と組み合わされて通信装置2Zの全体が構成される形態である。第4〜第6の組合せ構成は、制御・基準信号送信装置5をなす送信チップ806から制御・基準信号受信装置7をなす受信チップ807へ、制御信号CTRLと基準信号Jとを纏めた1つの制御・基準信号CTRL・J(合成信号の一例)用の無線信号Scjが伝送される点が第1〜第3の組合せ構成と相違するが、その他は第1〜第3の組合せ構成と概ね同じである。
送信側における制御・基準信号CTRL・Jの生成は、制御信号CTRLと基準信号Jの供給を受けて送信チップ806で生成してもよいし、予め送信チップ806の前段回路のLSI機能部702で制御・基準信号CTRL・Jを生成して、これを送信チップ806に供給してもよい。図は、後者で示す。受信側における制御・基準信号CTRL・Jの分離は、制御・基準信号CTRL・Jを再生して、これを受信チップ807で制御信号CTRLと基準信号Jに分離してもよいし、受信チップ807の後段回路であるLSI機能部707に制御・基準信号CTRL・Jを供給して、LSI機能部707にて制御信号CTRLと基準信号Jに分離してもよい。図は、後者で示す。
図4(A)に示す第4の組合せ構成は、第1の通信装置2d_1と第2の通信装置2d_2を備える。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして送信する送信チップ801と制御・基準信号CTRL・Jを無線信号Scjとして送信する送信チップ806とLSI機能部702が第1の通信装置2d_1に搭載されている。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして受信する受信チップ802と制御・基準信号CTRL・Jを無線信号として受信する受信チップ807とLSI機能部707が第2の通信装置2d_2に搭載されている。好ましくは、送信チップ801と送信チップ806とLSI機能部702が同一の第1の回路基板に搭載され、受信チップ802と受信チップ807とLSI機能部707が同一の第2の回路基板に搭載される。受信チップ807は、送信チップ806から送信された無線信号Scjを受信し制御・基準信号CTRL・Jを再生してLSI機能部707に供給する。LSI機能部707は制御・基準信号CTRL・Jを制御信号CTRLと基準信号Jとに分離して、それらを、その内部の機能部の制御やタイミング制御等に使用するとともに、受信チップ802にも供給する。
図4(B)に示す第5の組合せ構成は、第1の通信装置2e_1と第2の通信装置2e_2を備える。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして送信する送信チップ801と制御・基準信号CTRL・Jを無線信号Scjとして受信する受信チップ807とLSI機能部702が第1の通信装置2e_1に搭載されている。伝送対象信号DATAを無線信号Smとして受信する受信チップ802と制御信号CTRLを無線信号Scとして送信する送信チップ806とLSI機能部707が第2の通信装置2e_2に搭載されている。好ましくは、送信チップ801と受信チップ807とLSI機能部702が同一の第1の回路基板に搭載され、受信チップ802と送信チップ806とLSI機能部707が同一の第2の回路基板に搭載される。受信チップ807は、送信チップ806から送信された無線信号Scjを受信し制御・基準信号CTRL・Jを再生してLSI機能部702に供給する。LSI機能部702は制御・基準信号CTRL・Jを制御信号CTRLと基準信号Jとに分離して、それらを、その内部の機能部の制御やタイミング制御等に使用するとともに、送信チップ801にも供給する。
図4(C)に示す第6の組合せ構成は、第1の通信装置2f_1と第2の通信装置2f_2を備える。第1の伝送対象信号DATA_1を無線信号Sm1として送信する送信チップ801_1と第2の伝送対象信号DATA_2を無線信号Sm2として受信する受信チップ802_2と制御・基準信号CTRL・Jを無線信号Scjとして送信する送信チップ806とLSI機能部702が第1の通信装置2f_1に搭載されている。第2の伝送対象信号DATA_2を無線信号Sm2として送信する送信チップ801_2と第1の伝送対象信号DATA_1を無線信号Sm1として受信する受信チップ802_1と制御・基準信号CTRL・Jを無線信号Scjとして受信する受信チップ807とLSI機能部707が第2の通信装置2f_2に搭載されている。好ましくは、送信チップ801_1と受信チップ802_2と送信チップ806とLSI機能部702が同一の第1の回路基板に搭載され、受信チップ802_1と送信チップ801_2と受信チップ807とLSI機能部707が同一の第2の回路基板に搭載される。受信チップ807は、送信チップ806から送信された無線信号Scjを受信し制御・基準信号CTRL・Jを再生してLSI機能部707に供給する。LSI機能部707は制御・基準信号CTRL・Jを制御信号CTRLと基準信号Jに分離して、それらを、その内部の機能部の制御やタイミング制御等に使用するとともに受信チップ802_1及び送信チップ801_2にも供給する。
<制御信号伝送装置>
図5は、制御信号伝送装置の基本構成を説明する図である。ここで、図5(A)は第1例の制御信号伝送装置3PAの構成を示し、図5(B)は第2例の制御信号伝送装置3PBの構成を示す。
[第1例]
図5(A)に示す第1例の制御信号伝送装置3PAは、制御信号送信装置4A(CTRL−TX)と制御信号受信装置7PA(CTRL−RX)を備える。第1例は、制御信号の変調方式を問わない汎用的な構成である。制御信号伝送装置3PAは、制御信号出力部5600、送信用制御信号生成部5700、送信増幅部5800を備え、送信増幅部5800の出力端に電磁波出力装置としてのアンテナ5900が接続されている。
制御信号出力部5600は、各通信装置2(図1参照)が信号処理に使用する制御信号CTRL_0を生成する。好ましくは、複数の制御信号CTRLを元に符号化して制御信号CTRL_0とするとよい。送信用制御信号生成部5700は、制御信号出力部5600で生成された制御信号CTRL_0で搬送信号を変調することにより送信用の制御信号CTRL_1(高周波制御信号)を生成する、即ち、制御信号CTR_0Lをより周波数の高い制御信号CTRL_1に変換する。送信増幅部5800は、変調後の制御信号CTRL_1を増幅してアンテナ5900と接続された伝送路結合部5810(例えばマイクロストリップライン)に供給する。制御信号CTRL_1は高周波制御信号の一例であり、送信用制御信号生成部5700は、制御信号出力部5600で生成された制御信号CTRL_0に基づいてより高い周波数の制御信号CTRL_1を生成する高周波制御信号出力部の一例である。送信用制御信号生成部5700は、制御信号CTRL_0より高い周波数の制御信号CTRL_1を生成できるものであればよく、種々の回路構成を採り得、その変調方式は、例えば振幅変調、位相変調、周波数変調等、何れでもでもよい。デジタル信号を変調する場合であれば、振幅変調は振幅偏移変調(ASK:Amplitude Shift Keying)と呼ばれ、位相変調は位相偏移変調(PSK:Phase Shift Keying)と呼ばれ、周波数変調は周波数偏移変調(FSK:Frequency Shift Keying)と呼ばれる。何れの変調方式を採用する場合でも、好ましくは、制御信号CTRLは、通常の伝送対象信号に比べてデータレートが低くなるように伝送することで、周波数帯域の有効利用を図る。ASK方式では線形性(リニアリティ)が要求され高性能の変調回路や復調回路が必要となるし電力効率の点で不利であり、PSK方式は電力効率がASK方式よりも有利であるが位相同期が必要であり構成が複雑になる。これに対して、FSK方式は、周波数同期がとれればよく、PSK方式よりも簡易な回路構成で実現できるし、電力効率の面でASK方式より有利である。
制御信号受信装置7PA(CTRL−RX)は、受信増幅部7700、制御信号再生部7900を備え、受信増幅部7700の入力端に電磁波入力装置としてのアンテナ7600が接続されている。アンテナ7600で受信された制御信号CTRL_1は、伝送路結合部7710(例えばマイクロストリップライン)を介して受信増幅部7700に供給される。受信増幅部7700は、制御信号CTRL_1を増幅して制御信号再生部7900に供給する。制御信号再生部7900は、送信側の制御信号CTRL_0と完全に同一の制御信号CTRL_2を再生する。この制御信号再生部7900で再生された制御信号CTRL_2が、図示しない通信装置2に搭載される各種の信号処理部(変調部やその前段の信号処理回路やその後段の出力増幅回路等又は復調部やその後段の信号処理回路やその前段の受信増幅回路等)の動作を制御する。
本構成では、制御信号CTRL_1を無線で各所に伝送する構成になるので、制御信号CTRL_1の伝送には電気配線が不要であり、信号歪みや不要輻射の問題を解決しつつ、各箇所に制御信号CTRL_1を供給することができる。制御信号CTRL_1(詳しくはその元になる制御信号CTRL_0)を符号化しておけば、1つの制御信号CTRL_1を復号化する機能部(復号化部)で復号することにより複数の機能部を制御することができる。例えば図中に破線で示すように制御信号受信装置7PAに復号化部7990を設けてもよいし、復号した制御信号を使用する各機能部を備える通信装置2側に復号化部を設けてもよい。制御信号受信装置7PAに復号化部7990を備える構成の方が復号化部を重複して設ける必要がないので全体としての装置構成がコンパクトになる。制御信号受信装置7PAに復号化部7990を備える構成の場合、復号した各制御信号を各通信装置2に伝送する配線が複数になり得る。
[第2例]
図5(B)に示す第2例の制御信号伝送装置3PBは、制御信号送信装置4B(CTRL−TX)と制御信号受信装置7PB(CTRL−RX)を備える。第2例は、制御信号の変調方式が特にFSK方式である場合に好適な構成例である。以下、第1例との相違点に着目して説明する。
第2例の送信用制御信号生成部5700は周波数変調部5710を有している。周波数変調部5710には、複数の制御信号CTRLを元に符号化して制御信号CTRL_0とされているのか否かに拘わらず、2値の制御信号CTRL_0が制御信号出力部5600から供給される。周波数変調部5710は、図示しない発振回路を有し、その周波数制御入力端を制御信号CTRL_0で制御することにより発振回路から出力される発振信号の周波数を変動させる構成をとる。発振回路は、所定周波数帯(例えばミリ波帯)の高周波信号を発生できるものであればよく、例えば電圧制御発振回路(VCO)と電流制御発振回路(CCO)の何れを採用してもよい。2値の制御信号CTRL_0が制御信号出力部5600から供給されるので、2値FSKの出力信号が制御信号CTRL_1として周波数変調部5710から出力される。周波数変調部5710の出力(つまり2値FSKの制御信号CTRL_1)を送信増幅部5800にて増幅して、アンテナ5900の電磁波出力装置で電波として放出する。
第2例の制御信号再生部7900は周波数復調部7910を有している。周波数復調部7910は、図示しない周波数弁別回路を有する。周波数弁別回路としては、公知の種々の構成を採用できる。周波数復調部7910からは、2値FSKの制御信号CTRL_1の“0”の成分と対応する信号値と“1”の成分と対応する信号値が弁別されて出力される。
<制御・基準信号伝送装置>
図6は、制御・基準信号伝送装置の基本構成を説明する図である。ここで、図6(A)は第1例の制御・基準信号伝送装置3Aの構成を示し、図6(B)は第2例の制御・基準信号伝送装置3Bの構成を示す。
[第1例]
図6(A)に示す第1例の制御・基準信号伝送装置3Aは、制御・基準信号送信装置5A(CTRL・CW−TX)と制御・基準信号受信装置7A(CTRL・CW−RX)を備える。第1例は、制御信号及び基準信号の変調方式を問わない汎用的な構成である。制御・基準信号伝送装置3Aは、源信号生成部5100、信号合成部5160、送信用信号生成部5200、送信増幅部5300を備え、送信増幅部5300の出力端に電磁波出力装置としてのアンテナ5400が接続されている。
源信号生成部5100は、制御信号出力部5600を備えるとともに信号伝送装置1全体の基準となるタイミング信号(源基準信号J_0と称する)を生成する源基準信号生成部5110を備える。源基準信号生成部5110は例えば、水晶発振器(XTAL)等で周波数fckの源基準信号J_0を発生させる。信号合成部5160は、制御信号出力部5600で生成された制御信号CTRL_0と源基準信号生成部5110で生成された源基準信号J_0を纏めて1つの制御・基準信号CTRL・J_0(合成信号の一例)を生成し送信用信号生成部5200の供給する。送信用信号生成部5200は送信用制御信号生成部5700と同様の機能部であり、信号合成部5160で生成された制御・基準信号CTRL・J_0で搬送信号を変調することにより送信用の制御・基準信号CTRL・J_1(高周波制御・基準信号)を生成する、即ち、制御・基準信号CTRL・J_0をより周波数の高い制御・基準信号CTRL・J_1に変換する。送信増幅部5300は、変調後の制御・基準信号CTRL・J_1を増幅してアンテナ5400と接続された伝送路結合部5310(例えばマイクロストリップライン)に供給する。
制御・基準信号受信装置7A(CTRL・CW−RX)は、受信増幅部7200、制御・基準信号再生部7400、信号分離部7460を備え、受信増幅部7200の入力端に電磁波入力装置としてのアンテナ7100が接続されている。必要に応じて、図中に破線で示すように復号化部7990を設けてもよい。アンテナ7100で受信された制御・基準信号CTRL・J_1は、伝送路結合部7210(例えばマイクロストリップライン)を介して受信増幅部7200に供給される。受信増幅部7200は、制御・基準信号CTRL・J_1を増幅して制御・基準信号再生部7400に供給する。制御・基準信号再生部7400は、送信側の制御・基準信号CTRL・J_0と完全に同一の制御・基準信号CTRL・J_2を再生する。信号分離部7460は、制御・基準信号再生部7400で再生された1つの制御・基準信号CTRL・J_2を、制御信号CTRL_2と基準信号J_2とに分離する。信号分離部7460で分離された制御信号CTRL_2や基準信号J_2が、図示しない通信装置2に搭載される各種の信号処理部(変調部やその前段の信号処理回路やその後段の出力増幅回路等又は復調部やその後段の信号処理回路やその前段の受信増幅回路等)の動作を制御する。
尚、基準信号J_2をそのまま送信側の基準信号REFCLK_TXや受信側の基準信号REFCLK_RXとして伝達してもよいが、必要に応じて例えば図中に破線で示すように制御・基準信号受信装置7Aに分周部7992を設けて、その周波数を1/ξに分周して、基準信号REFCLK(基準信号REFCLK_TXや基準信号REFCLK_RX)として各機能部に供給してもよい。その際には、送信側への基準信号REFCLK_TXの周波数と、受信側への基準信号REFCLK_RXの周波数とを異ならせてもよい。
本構成では、各通信装置2(図1を参照)における信号処理(変調処理や復調処理や送信用又は受信用の信号増幅も含む)に必要な基準信号と制御信号とを無線により伝送することで、電気配線を使用せずに、これらの信号を伝送できる。又、制御信号CTRL_0と源基準信号J_0とを信号合成部5160により1つの信号に纏めることで、これらを一本化して伝送することができ、それぞれを別々に伝送した場合に対して、回路規模の削減、コストダウン、消費電力削減、及び伝送帯域の有効利用が図れる。
[第2例]
図6(B)に示す第2例の制御・基準信号伝送装置3Bは、制御・基準信号送信装置5AB(CTRL・CW−TX)と制御・基準信号受信装置7AB(CTRL・CW−RX)を備える。第2例は、制御信号や基準信号の変調方式が特にFSK方式である場合に好適な構成例である。以下、第1例との相違点に着目して説明する。
第2例の送信用制御信号生成部5200は周波数変調部5210を有している。周波数変調部5210には、複数の制御信号CTRLを元に符号化して制御信号CTRL_0とされているのか否かに拘わらず、3値の基準信号CTRL・J_0が信号合成部5160から供給される。周波数変調部5210は、発振部5214(発振回路)を有し、その周波数制御入力端を基準信号CTRL・J_0で制御することにより発振部5214から出力される発振信号の周波数を変動させる構成をとる。発振部5214は、所定周波数帯(例えばミリ波帯)の高周波信号を発生できるものであればよく、例えば電圧制御発振回路(VCO)と電流制御発振回路(CCO)の何れを採用してもよい。3値の制御・基準信号CTRL・J_0が信号合成部5160から供給されるので、3値FSKの出力信号が基準信号CTRL・J_1として周波数変調部5210から出力される。周波数変調部5210の出力(つまり3値FSKの制御・基準信号CTRL・J_1)を送信増幅部5300にて増幅して、アンテナ5400の電磁波出力装置で電波として放出する。
第2例の制御・基準信号再生部7400は周波数復調部7410を有している。周波数復調部7410は、2入力型の周波数混合部7412(ミキサー回路、乗算器)と発振部7414(発振回路)とフィルタ処理部7416とを有する。周波数混合部7412には、受信された制御・基準信号CTRL・J_1が受信増幅部7200から供給されるとともに、発振部7414からの発振出力信号OSCが供給される。発振部7414は、所定周波数帯(例えばミリ波帯)の高周波信号を発生できるものであればよく、例えば電圧制御発振回路(VCO)と電流制御発振回路(CCO)の何れを採用してもよい。フィルタ処理部7416としては低域通過フィルタ(LPF)を使用する。
受信された制御・基準信号CTRL・J_1と発振出力信号OSCとを周波数混合部7412により掛算して、その掛算出力信号に含まれる高周波成分をフィルタ処理部7416により除去して周波数誤差信号を生成する。この周波数誤差信号を発振部7414の周波数制御信号として帰還することで、発振部7414の発振周波数を受信した制御・基準信号CTRL・J_1用の無線信号F2の搬送周波数FCと同じ周波数となるように同期させる。このときの周波数誤差信号が復調信号(制御・基準信号CTRL・J_2)となり、これを信号分離部7460により制御信号CTRL_2と基準信号J_2に分離する。好ましくは、周波数復調部7410における周波数捕捉範囲に比べて、周波数変調部5210における周波数変動範囲を狭くすることで、周波数調整が不要な制御信号及び基準信号の伝送を実現できる。
<信号伝送装置>
図7は、伝送対象信号を伝送する信号伝送装置1の変調機能部及び復調機能部を説明する図である。基準信号REFCLKが必要な送信チップ801(TX)と受信チップ802(RX)で信号伝送装置1の基本が構成されている。送信チップ801には変調機能部8300と送信増幅部8117が設けられている。受信チップ802には、受信増幅部8224と、復調機能部8400と、フィルタ処理部8410と、バッファ部8418が設けられている。
[変調機能部]
伝送対象の信号(ベースバンド信号:例えば12ビットの画像信号)は図示しない信号生成部により、高速なシリアル・データ系列に変換され変調機能部8300に供給される。変調機能部8300は、基準信号REFCLK_TX(低周波基準信号)に基づいて信号処理を行なう信号処理部の一例であり、パラレルシリアル変換部からの信号を変調信号として、予め定められた変調方式に従ってミリ波帯の信号に変調する。変調機能部8300としては、変調方式に応じて様々な回路構成を採り得るが、例えば、振幅を変調する方式であれば、2入力型の周波数混合部8302(ミキサー回路、乗算器)と送信側局部発振部8304を備えた構成を採用すればよい。
送信側局部発振部8304(第1搬送信号生成部)は、変調に用いる搬送信号Lo_TX(変調搬送信号)を生成する。送信側局部発振部8304は、基準信号REFCLK_TX(例えば制御・基準信号再生部7400により生成されたもの)と同期したより高い周波数の搬送信号(第2の高周波基準信号の一例)を生成する第2の高周波基準信号生成部の一例である。周波数混合部8302(第1周波数変換部)は、パラレルシリアル変換部からの信号で送信側局部発振部8304が発生するミリ波帯の搬送信号Lo_TXと乗算してミリ波帯の伝送信号(被変調信号)を生成して送信増幅部8117に供給する。伝送信号は送信増幅部8117で増幅されアンテナ8136からミリ波帯の無線信号Smとして放射される。
送信側局部発振部8304は、基準信号REFCLK_TXに基づいて搬送信号Lo_TXを生成するものであればよく、種々の回路構成を採り得るが、例えば、PLLやDLL等で構成するのが好適である。以下では、PLL構成で説明する。PLL構成の送信側局部発振部8304は、発振部8362(OSC)と、分周部8364(DIV:帰還分周器)と、位相周波数比較部8366(PFD)と、ループフィルタ部8368とを備えている。発振部8362は、所定周波数帯(ミリ波帯には限らない)の高周波信号を発生できるものであればよく、例えば信号電圧制御発振回路(VCO)と電流制御発振回路(CCO)の何れを採用してもよい。分周部8364は、逓倍機能を実現するために備えられるもので、発振部8362から出力された搬送信号Lo_TXの周波数Foを1/ε_TXに分周して比較クロック信号の一例である分周発振信号DIV_TXを取得する。ε_TXは、PLL逓倍数(分周比とも称する)であって、1以上の正の整数で、かつ、PLL出力クロックである搬送信号Lo_TXの周波数Foを変更できるように可変にするのがよい。位相周波数比較部8366は、制御・基準信号受信装置7から供給される基準信号REFCLK_TXと分周部8364からの分周発振信号DIV_TXの位相及び周波数を比較し、比較結果である位相差及び周波数差を示す誤差信号としての比較結果信号Vcp_TXを生成する。この位相周波数比較部8366は位相周波数比較部5230と同等のものである。ループフィルタ部8368は、位相周波数比較部8366からチャージポンプ部を介して出力された比較信号を平滑化する平滑化部の一例であり、ループフィルタ部5250と同等のものである。ループフィルタ部8368は、例えばローパスフィルタLPFをフィルタ回路として具備し、チャージポンプ部により生成されたチャージポンプ電流Icp_TXをフィルタ回路で積分し、発振部8362の発振周波数Foを制御するためのループフィルタ出力信号Slp_TXを生成する。
[復調機能部]
復調機能部8400は、送信側の変調方式に応じた範囲で様々な回路構成を採用し得るが、ここでは、変調機能部8300の前記の説明と対応するように、振幅が変調されている方式の場合で説明する。
復調機能部8400は、基準信号REFCLK_RX(低周波基準信号)に基づいて信号処理を行なう信号処理部の一例である。復調機能部8400は、2入力型の周波数混合部8402(ミキサー回路、乗算器)と受信側局部発振部8404とを備え、アンテナ8236で受信された受信信号からいわゆる同期検波方式により信号復調を行なう。同期検波方式では、搬送波を周波数混合部8402とは別の受信側局部発振部8404で再生し、再生搬送波を利用して復調を行なう。同期検波を使用した通信では、送受信の搬送信号は、周波数同期及び位相同期がとれていることが必要である。図示した例では、周波数混合部8402の後段にフィルタ処理部8450とバッファ部8418が設けられている。フィルタ処理部8410には、例えば低域通過フィルタ(LPF)が設けられ、乗算出力に含まれる高調波成分を除去する。バッファ部8418は、図示しない後段回路(信号生成部・信号再生部)とのインタフェース機能をなす。後段回路としては、例えば、クロック再生部(CDR:クロック・データ・リカバリ /Clock Data Recovery)とシリアルパラレル変換部が設けられる。
アンテナ8236で受信された受信信号は可変ゲイン型でかつローノイズ型の受信増幅部8224(LNA)に入力され振幅調整が行なわれた後に復調機能部8400に供給される。振幅調整された受信信号は周波数混合部8402に入力され、同期検波により周波数混合部8402にて乗算信号が生成され、フィルタ処理部8410に供給される。周波数混合部8402で生成された乗算信号は、フィルタ処理部8410の低域通過フィルタで高域成分が除去されることで送信側から送られてきた入力信号の波形(ベースバンド信号)が生成され、バッファ部8418を介して図示しないクロック再生部に供給される。クロック再生部は、ベースバンド信号を元にサンプリング・クロックを再生し、再生したサンプリング・クロックでベースバンド信号をサンプリングすることで受信データ系列を生成する。生成された受信データ系列は図示しないシリアルパラレル変換部に供給され、パラレル信号(例えば12ビットの画像信号)が再生される。クロック再生の方式としては様々な方式があるが例えばシンボル同期方式を採用する。
受信側局部発振部8404は、制御・基準信号再生部7400により生成された基準信号REFCLK_RXと同期したより高い周波数の搬送信号(第2の高周波基準信号の一例)を生成する第2の高周波基準信号生成部の一例である。受信側局部発振部8404は、基準信号REFCLK_RXに基づいて搬送信号を生成するものであればよく、種々の回路構成を採り得るが、例えば、PLLやDLL等で構成するのが好適である。以下ではPLL構成で説明する。受信側局部発振部8404は、周波数及び位相が送信側の搬送信号Lo_TXと完全に同一の、つまり、周波数同期及び位相同期した復調用の搬送信号(復調搬送信号:再生搬送信号Lo_RXと称する)を抽出し、周波数混合部8402に供給する。周波数混合部8402は、再生搬送信号Lo_RXと受信信号とを乗算する。その乗算出力には伝送対象の信号成分である変調信号成分(ベースバンド信号)と高調波成分(場合によっては直流成分も)が含まれる。
PLL構成の受信側局部発振部8404は、発振部8462(OSC)と、分周部8464(DIV:帰還分周器)と、位相周波数比較部8466(PFD)と、ループフィルタ部8468とを備えている。発振部8462は、送信側の搬送信号Lo_TXと同一周波数の高周波信号を発生できるものであればよく、例えば信号電圧制御発振回路(VCO)と電流制御発振回路(CCO)の何れを採用してもよい。分周部8464は、逓倍機能を実現するために備えられるもので、発振部8462から出力された搬送信号Lo_RXの周波数Foを1/ε_RXに分周して比較クロック信号の一例である分周発振信号DIV_RXを取得する。ε_RXは、PLL逓倍数(分周比とも称する)であって、1以上の正の整数で、かつ、PLL出力クロックである搬送信号Lo_RXの周波数を変更できるように(ただし送信側に一致するように)可変にするのがよい。位相周波数比較部8466は、制御・基準信号受信装置7から供給される基準信号REFCLK_RXと分周部8464からの分周発振信号DIV_RXの位相及び周波数を比較し、比較結果である位相差及び周波数差を示す誤差信号としての比較結果信号Vcp_RXを生成する。この位相周波数比較部8466は位相周波数比較部8366や位相周波数比較部5230と同等のものである。ループフィルタ部8468は、位相周波数比較部8466からチャージポンプ部を介して出力された比較信号を平滑化する平滑化部の一例であり、ループフィルタ部8368やループフィルタ部5250と同等のものである。ループフィルタ部8468は、例えばローパスフィルタLPFをフィルタ回路として具備し、チャージポンプ部により生成されたチャージポンプ電流Icp_RXをフィルタ回路で積分し、発振部8462の発振周波数Foを制御するためのループフィルタ出力信号Slp_RXを生成する。
<具体的な適用例>
以下、前述の制御信号伝送装置、制御・基準信号伝送装置、信号伝送装置の組合せによる本明細書で開示する技術の適用例である電子機器の実施例を説明する。
図8は、実施例1の電子機器を説明する図である。ここで、図8(A)は、実施例1の電子機器の構成例を示し、図8(B)は、実施例1の電子機器における無線信号の周波数配置の例を示す。
実施例1の電子機器700Aは、回路基板701及び回路基板706を備える。回路基板701上には、伝送対象信号の伝達元であるLSI機能部702と、伝送対象信号用の送信器の機能を持つ送信チップ801と、制御信号用の受信器の機能を持つ受信チップ807とが搭載されている。回路基板706上には、伝送対象信号の伝達先であるLSI機能部707と、伝送対象信号用の受信器の機能を持つ受信チップ802と、制御信号用の送信器の機能を持つ送信チップ806とが搭載されている。
制御信号CTRLは、LSI機能部702やLSI機能部707における各種の信号処理の動作を制御するためや、伝送対象信号用の無線信号の送信状態を制御するために使用される。後者の場合例えば、伝送対象信号用の無線信号の搬送周波数の設定や送信電力(送信レベル)の設定に使用される。
LSI機能部702及びLSI機能部707は、装置(電子機器700)の主要なアプリケーション制御を司るもので、例えば、相手方に送信したい各種の信号(画像データや音声データ)を処理する回路や、相手方から受信した種々の信号(画像データや音声データ)を処理する回路が含まれる。更には、その外部又は内部の各機能部からの要求に対して、例えばデータのリードライト制御等の論理的制御を行なう制御回路も含む。ここで、LSI機能部707には、制御信号出力部5600が設けられている。
製品形態としては、回路基板701と回路基板706とが同じ筐体内に収容された状態の装置構成で1つの電子機器700とすることもできる。図中に一点破線で示すように、回路基板701が1つの筐体内に収容された状態の第1の電子機器700_1と、回路基板706が1つの筐体内に収容された状態の第2の電子機器700_2との組合せで、1つの電子機器700Aの全体が構成されることもある。
実施例1の送信チップ801は、変調対象信号処理部712と、信号増幅部713と、変調機能部8300と、送信増幅部8117とを備える。因みに、送信チップ801は、送信増幅部8117から送信される無線信号のレベル(振幅)が、小さければ消費電力も小さくなり、大きければ消費電力も大きくなるものを使用する。伝送対象信号DATAがLSI機能部702から変調対象信号処理部712に供給される。変調対象信号処理部712は、例えばローパスフィルタを有し、被変調信号(伝送対象信号DATA)の受信帯域幅を制限する。信号増幅部713は、変調対象信号処理部712から出力された信号の振幅をゲイン倍して変調機能部8300の周波数混合部8302に供給する。周波数混合部8302は、伝送対象信号DATAを例えばミリ波等の高周波に変換し、電磁波出力装置としてのアンテナ8136で搬送周波数Foの電波F1を放出する。電磁波入力装置としてのアンテナ8236からの入力に基づいて受信チップ802の復調機能部8400により復調し、復調した伝送対象信号DATAを、フィルタ処理部8410及びバッファ部8418を介して伝達先のLSI機能部707に供給する。
実施例1の送信チップ806は、周波数変調部5710を具備した送信用制御信号生成部5700と送信増幅部5800とを備える。周波数変調部5710は発振部5214と同様の機能部である発振部5714を有する。本構成では、FSK方式を採用する制御信号送信装置4Bの構成を利用しているが、汎用的な制御信号送信装置4Aの構成を利用してもよい。実施例1の受信チップ807は、受信増幅部7700と周波数復調部7910を具備した制御信号再生部7900とを備える。本構成では、FSK方式を採用する制御信号受信装置7PBの構成を利用しているが、汎用的な制御信号受信装置7PAの構成を利用してもよい。LSI機能部707の制御信号出力部5600より制御信号CTRLを受信チップ802と送信チップ806に入力し、送信チップ806ではミリ波等の高周波に変換し、電磁波出力装置としてのアンテナ5900で搬送周波数FCの電波F2を放出する。図8(B)に示すように、好ましくは、電波F1の搬送周波数Foと電波F2の搬送周波数FCとは異なる周波数にすることで空間分割多重を適用しなくても混信を防止できるようにする。この際、電波F1の搬送周波数Foと電波F2の搬送周波数FCの関係は任意に設定することができ、1つのアンテナで送受信可能な帯域内(例えばミリ波帯内で)に搬送周波数Foと搬送周波数FCを配置することで、同一のアンテナを用いた構成にすることができ、装置サイズ削減に寄与できる。電磁波入力装置としてのアンテナ7600からの入力に基づいて受信チップ807により制御信号CTRLを復調し、復調した制御信号CTRLをLSI機能部702や送信チップ801に伝達する。
制御信号CTRLは、LSI機能部702における各種の信号処理の動作や送信増幅部8117や受信増幅部8224のゲイン設定(信号振幅設定)を動的に制御するためや、搬送周波数Foや搬送周波数FCの設定等に利用される。伝送対象得信号DATAとは別の周波数で伝送された制御信号CTRLを用いて、送信チップ801の送信状態を制御して最適なデータ伝送を実現することができる。制御信号CTRLは、伝送対象信号DATAに比べてデータレートが低くなっており、低データレートで伝送することで周波数帯域の有効利用が図れる。
通常の通信では、送信器の出力レベル(送信出力レベルと称する)を最大とし、受信器の最低受信感度レベルとなる距離までが受信可能な領域となる。この場合、送信器出力を大きなレベルで一定とし、受信側では信号を検波して、受信器内で利得の制御を行なうことで、一定のベースバンド信号を得るが、通信距離が近い場合は、必要以上に大きな送信出力レベルでの通信となり、消費電力も大きい。受信器は強入力の信号でも受信できる必要があるため、リニアリティの良い回路が必要となり、受信器の消費電力も大きくなる。送信出力が大きい場合には、外部への輻射が大きくなる。一方、通信を行なうに当たって実際の伝送特性に基づいて送信出力レベルを必要最低限のレベルに設定すれば、無駄な電力消費を抑えることができるし、不要輻射を抑えることができる。又、送信出力レベルが決まっている場合において、受信レベルが想定された範囲から外れるときには、受信増幅部8224を制御して復調機能部8400に入力される信号レベルが一定の範囲になるようにして、信号品質を適正にしてもよい。
尚、回路基板701と回路基板706とが1つの電子機器700の筐体内に収容された場合の機器内通信では、制御信号CTRLを使用しての動的が制御を行なわずに、各機能部の動作を規定する設定値をそれらに入力する設定値処理部を設けて、設定パラメータを固定にしてもよい。又、回路基板701が第1の電子機器700_1の筐体内に収容され、回路基板706が第2の電子機器700_2の筐体内に収容され、第1の電子機器700_1と第2の電子機器700_2とが比較的近距離に配置される場合の機器間通信でも、制御信号CTRLを使用しての動的が制御を行なわずに、各機能部の動作を規定する設定値をそれらに入力する設定値処理部を第1の電子機器700_1と第2の電子機器700_2の少なくとも一方に設けて、設定パラメータを固定にしてもよい。
図9は、実施例2の電子機器を説明する図である。ここで、図9(A)は、実施例2の電子機器の構成例を示し、図9(B)及び図9(C)は、実施例2の電子機器における無線信号の周波数配置の例を示す。
実施例2の電子機器700Bの回路基板701上には、LSI機能部702と、送信チップ801と、制御・基準信号用の受信器の機能を持つ受信チップ807とが搭載されている。実施例2の電子機器700Bの回路基板706上には、LSI機能部707と、受信チップ802と、制御・基準信号用の送信器の機能を持つ送信チップ806が搭載されている。LSI機能部707には、源信号生成部5100が設けられている。伝送対象信号の無線伝送に関する送信チップ801と受信チップ802とは実施例1と同様である。
制御信号CTRLの利用形態は実施例1と同じである。基準信号Jは、LSI機能部702やLSI機能部707における各種の信号処理の動作タイミングの設定や、伝送対象信号用の無線信号を生成する際の変調用の搬送信号の生成や、伝送対象信号用の無線信号を受信して伝送対象信号を再生する際の復調用の搬送信号の生成等に使用される。その真意は、伝送対象信号に関しての送信側の信号処理(変調処理を含む)の動作と受信側の信号処理(復調処理を含む)の動作の同期をとるために使用されることにある。送受信で動作の同期をとることで、伝送の信号品質を適正にできる。
実施例2の送信チップ806は、信号合成部5160と送信用信号生成部5200と送信増幅部5300とを備える。本構成では、汎用的な制御・基準信号送信装置5Aの構成を利用している。実施例2の受信チップ807は、受信増幅部7200と制御・基準信号再生部7400と信号分離部7460とを備える。本構成では、汎用的な制御・基準信号受信装置7Aの構成を利用している。LSI機能部707の源信号生成部5100より制御信号CTRLと基準信号Jとを受信チップ802と送信チップ806に入力し、送信チップ806では信号合成部5160によりそれらを合成して制御・基準信号CTRL・Jを生成し、これを送信用信号生成部5200でミリ波等の高周波に変換し、電磁波出力装置としてのアンテナ5400で搬送周波数FCの電波F2を放出する。制御・基準信号CTRL・Jの無線伝送にミリ波帯のような非常に高い周波数を使うと、送受信のアンテナは、小型のもので対応できる。電磁波入力装置としてのアンテナ7100からの入力に基づいて受信チップ807により制御・基準信号CTRL・Jを復調し、これを信号分離部7460により制御信号CTRLと基準信号Jに分離し、これらをLSI機能部702に伝達する。基準信号Jは、LSI機能部702における各種の信号処理の動作タイミングを決める基準として利用されるとともに搬送信号の生成に利用され、これによって、各種の処理を基準信号Jに同期して行なうことができる。
制御・基準信号送信装置5Aから出力される制御・基準信号CTRL・J_1が受信できる範囲内では、周波数同期のとれた基準信号REFCLKを再生することができ、各通信チップが水晶発振器等の基準信号発生手段を持つ必要がなくなる。送信側と受信側において周波数同期のとれた基準信号(この例では基準信号REFCLK)を再生し、PLL等により周波数同期のとれた搬送信号を使用して同期検波による通信を行なうことができる。複数の水晶発振器を使用する必要がないため、干渉が抑えられる。仮に、制御・基準信号受信装置7Aから送信チップ801に供給する基準信号REFCLK_TXの周波数と受信チップ802が使用する基準信号REFCLK_RXの周波数が異なっても、同期がとれているので、干渉が抑えられる。通信を行なう信号伝送装置1において、搬送信号生成に、制御・基準信号伝送装置3により伝送された基準信号REFCLKを使用することで、図で示した構成要素以外には周波数同期をとるための特段の機能要素が不要であり、装置や回路の簡略化が可能となる。
通信に使用する搬送信号は、基準信号REFCLKに基づいて各通信装置2にて生成できるため、各送受信対の逓倍数εを異なるものとすることで、複数の周波数帯での通信が可能となる。各送受信対用の搬送信号として使える周波数を複数にすることができる。制御・基準信号送信装置5と制御・基準信号受信装置7を必要とするので回路規模が増えるが、機器内信号伝送や機器間信号伝送に適用することで、機器内又は機器間でのクロック分配の一実現法として有用な構成になる。
実施例2では、LSI機能部702や送信チップ801における各種の信号処理に必要な基準信号Jと制御信号CTRLとを無線により伝送することで、電気配線を使用せずに、これらの信号を伝送できる。又、制御信号CTRLと基準信号Jとを信号合成部5160により1つの制御・基準信号CTRL・Jに纏めて一本化して無線信号F2として伝送するので、それぞれを別々に伝送した場合に対して、回路規模の削減、コストダウン、消費電力削減、及び伝送帯域の有効利用が図れる。
変形例として、信号合成部5160及び信号分離部7460を設けずに、例えば、図9(C)に示すように、制御信号CTRL用の無線信号F2(搬送周波数FC)とは別に、基準信号J用の無線信号F3(搬送周波数FJ)を使用して、それぞれを各別に無線伝送してもよい。この場合でも、好ましくは、伝送対象信号DATA用の無線信号F1と、制御信号CTRL用の無線信号F2と基準信号J用の無線信号F3は何れもミリ波帯であるのがよい。
図10は、実施例3の電子機器を説明する図である。ここで、図10(A)は、実施例3の電子機器の構成例を示し、図10(B)及び図10(C)は、実施例3の電子機器における無線信号の周波数配置の例を示す。
実施例3の電子機器700Cは、実施例2において、送信用信号生成部5200や制御・基準信号再生部7400を、FSK方式を採用する構成とする。即ち、実施例3の送信チップ806は、信号合成部5160と周波数変調部5210を具備した送信用信号生成部5200と送信増幅部5300とを備える。実施例3の受信チップ807は、受信増幅部7200と周波数復調部7410を具備した制御・基準信号再生部7400と信号分離部7460とを備える。
信号合成部5160は、2値の制御信号CTRLと2値のクロック信号CLK(基準信号Jの一例)とを符号化して3値の符号化データENCout(合成信号である制御・基準信号CTRL・Jの一例)を生成する符号化部410を有する。信号分離部7460は、3値の復号化データDECin(復調された制御・基準信号CTRL・Jの一例)を復号して、2値の制御信号CTRLと2値のクロック信号CLK(基準信号の一例)とに分離する復号化部460を有する。その他は、実施例2と同様である。復号化データDECin(その元になる制御信号CTRLとクロック信号CLK)は、伝送対象信号DATAに比べてデータレートが低くなっており、FSKの低データレートで伝送することで、周波数帯域の有効利用が図れる。
送信チップ806では、制御信号CTRLとクロック信号CLKを符号化部410に入力し符号化して符号化データENCoutを生成する。符号化データENCoutを周波数変調部5210の発振部5214に周波数制御信号として入力し、符号化した値により発振周波数を変動させる。周波数変調部5210の出力を送信増幅部5300(高周波増幅器)にて増幅して、電磁波出力装置としてのアンテナ5400で電波として放出する。
受信チップ807では、電磁波入力装置としてのアンテナ7100からの入力を受信増幅部7200(高周波増幅器)で増幅し、周波数復調部7410の周波数混合部7412(掛け算器)で発振部7414の出力と掛け算して、その出力信号に含まれる高周波成分をフィルタ処理部7416により除去して周波数誤差信号を出力する。この周波数誤差信号を発振部7414の周波数制御信号として帰還することで、発振部7414の発振周波数を受信した符号化データENCout用の無線信号F2の搬送周波数FCと同じ周波数となるように同期させる。このときの周波数誤差信号が復号化データDECinとなり、これを復号化部460で復号して制御信号CTRLとクロック信号CLKに分離する。
好ましくは、周波数復調部7410における周波数捕捉範囲に比べて、周波数変調部5210における周波数変動範囲を狭くすることで、周波数調整が不要な制御信号及び基準信号の伝送を実現できる。これにより、制御・基準信号送信装置5ABで復号した制御信号CTRL_2と基準信号J_2を用いて、高データレート伝送用のLSI機能部702や送信チップ801の動作を制御して送信を行なうことで、高データレート伝送の信号品質及び消費電力を最適化することができる。
[符号化部]
図11は、符号化部410の構成例とその動作を説明する図である。ここで、図11(A)は、符号化部410の回路構成例である。図11(B)は、その符号化部410の各機能部の動作状態を説明する状態遷移図である。図11(C)は、符号化部410の動作を説明する波形図(タイミングチャート)である。図11(D)は、符号化出力と周波数との関係を説明する周波数配置図である。
図11(A)に示すように、符号化部410は、ゲート回路としてのインバータ412及びEX−ORゲート414(排他的論理和回路)と差動増幅回路420とを備える。インバータ412には制御信号CTRLが入力される。EX−ORゲート414は、一方の入力端に制御信号CTRLが入力され、他方の入力端にクロック信号CLKが入力される。インバータ412の出力は差動増幅回路420の一方の入力端in_1(反転入力端)に接続されており、EX−ORゲート414の出力は差動増幅回路420の他方の入力端in_2(非反転入力端)に接続されている。制御信号CTRLはクロック信号CLKの立下りエッジ(negedge)と立上りエッジ(posedge)のうちの立下りエッジに同期して状態が変化するものとする。こうするために、例えば、制御信号CTRLをクロック信号CLKの立下りエッジでラッチを掛けておくとよい。
差動増幅回路420は、Nチャネル型のMOSトランジスタ(NNMOSという)と電流源と負荷とで構成されている。詳細には、差動増幅回路420は、NMOS422及びNMOS424、電流源426及び電流源428、負荷抵抗430を有する。NMOS422は、制御入力端(ゲート:gate)が入力端in_1に接続されており、主電極端の一方(ソース又はドレインの一方:ここではソース)が電流源426を介して接地されている。NMOS424は、制御入力端が入力端in_2に接続されており、主電極端の一方(ソース又はドレインの一方:ここではソース)が電流源428を介して接地されている。NMOS422とNMOS424の各主電極端の他方(ソース又はドレインの他方:ここではドレイン)が共通に負荷抵抗430を介して電源ライン432に接続されている。電源ライン432には電源電圧Vddが供給される。MOS422とNMOS424の各主電極端の他方と負荷抵抗430の一方の端子との接続点nodeが符号化部410の出力端outに接続され、この出力端outから符号化データENCout(が出力される。符号化データENCoutは、NMOS422とNMOS424の双方がオフして接続点nodeの電位が最も高い電圧(ほぼ電源電圧Vdd)となるときには“+1”であり、NMOS422とNMOS424の双方がオンして接続点nodeの電位が最も低い電圧(ほぼ接地電圧)となるときには“−1”であり、NMOS422とNMOS424の何れか一方のみがオンすることで接続点nodeの電位が中間の電圧となるときには“0”であるとする。
図11(B)には、クロック信号CLK、制御信号CTRL、NMOS422及びNMOS424の制御入力端、符号化データENCout、符号化データENCoutに対応する周波数が示されている。又、図11(C)には、符号化部410の動作を説明するタイミングチャートが示されている。クロック信号CLKが“1”(H:ハイレベル)のとき(立上りエッジから立下りエッジまで)に制御信号CTRLが“1”(ハイレベル)であれば、NMOS422の制御入力端(インバータ412の出力)が“0”(L:ローレベル)となり、NMOS424の制御入力端(EX−ORゲート414の出力)も“0”(L:ローレベル)となり、NMOS422とNMOS424とがオフすることで、符号化データENCoutは“+1”を示す。クロック信号CLKが“1”のときに制御信号CTRLが“0”であれば、NMOS422の制御入力端(インバータ412の出力)が“1”となり、NMOS424の制御入力端(EX−ORゲート414の出力)も“1”となり、NMOS422とNMOS424とがオンすることで、符号化データENCoutは“−1”を示す。
クロック信号CLKが“0”のとき(立下りエッジから立上りエッジまで)に、制御信号CTRLが“0”であれば、NMOS422の制御入力端(インバータ412の出力)が“1”となり、NMOS424の制御入力端(EX−ORゲート414の出力)は“0”となり、NMOS422がオンしNMOS424がオフすることで、符号化データENCoutは“0”を示す。又、クロック信号CLKが“0”のとき(立下りエッジから立上りエッジまで)に、制御信号CTRLが“1”であれば、NMOS422の制御入力端(インバータ412の出力)が“0”となり、NMOS424の制御入力端(EX−ORゲート414の出力)は“1”となり、NMOS422がオフしNMOS424がオンすることで、符号化データENCoutは“0”を示す。つまり、クロック信号CLKが“0”のときには、制御信号CTRLが“0”であるのか“1”であるのかに拘わらず、NMOS422とNMOS424の何れか一方のみがオンすることで、符号化データENCoutは“0”を示す。
ここで、符号化データENCoutが“+1”のときのFSKの変調周波数が“FH”、符号化データENCoutが“0”のときのFSKの変調周波数が“FC”、符号化データENCoutが“−1”のときのFSKの変調周波数が“FL”となるように設定する。尚、図11(D)に示すように、それぞれの周波数の配置関係は、FL<FC<FHとする。これにより、制御信号CTRLとクロック信号CLKの組合せにより得られた符号化データENCoutでFSKにより変調することで、3値の周波数変調信号が生成される。
[復号化部]
図12は、復号化部460の構成例とその動作を説明する図である。ここで、図12(A)は、復号化部460の回路構成例である。図12(B)は、その復号化部460の各機能部の動作状態を説明する状態遷移図である。図12(C)は、復号化部460の動作を説明する波形図(タイミングチャート)である。
図12(A)に示すように、復号化部460は、比較器462及び比較器464、EX−ORゲート466(排他的論理和回路)、インバータ468及びインバータ470、RSFF480(RSフリップフロップ回路)を備える。比較器462及び比較器464は、FSK方式で変調された無線信号の再生出力である復号化データDECinと判定用の基準値とを比較する比較部の一例である。EX−ORゲート466とインバータ468とインバータ470とRSFF480とで、比較部の比較結果に基づいて制御信号CTRLと基準信号であるクロック信号CLKとを生成する論理回路部が構成される。
EX−ORゲート466は、一方の入力端に比較器462の出力が入力され、他方の入力端に比較器464の出力が入力され、その出力がインバータ468に入力される。インバータ468の出力信号がクロック信号CLKとなる。比較器462の出力はインバータ470を介してRSFF480のリセット入力端Rに供給され、比較器464の出力はRSFF480のセット入力端Sに供給される。RSFF480の非反転出力端QがRSFF480の出力端outに接続され、この出力端outから制御信号CTRLが出力される。比較器462及び比較器464の一方の入力端(+:非反転入力端)には復号化データDECinが共通に入力される。比較器462の他方の入力端(−:反転入力端)には第1の基準電圧Th1が判定用の基準値として入力され、比較器464の他方の入力端(−:反転入力端)には第2の基準電圧Th2(Th1<Th2とする)が判定用の基準値として入力される。比較器462は、復号化データDECinの方が基準電圧Th1よりも大きければ出力を“1”とし、小さければ“0”とする。比較器462は、復号化データDECinの方が基準電圧Th2よりも大きければ出力を“1”とし、小さければ“0”とする。
因みに、復号化データDECinの最小値をMin、最大値をMaxとし、中間値をMid、振幅Wを“Max−Min”としたとき、Th1は“Mid−W/4”程度とし、Th2は“Mid+W/4”程度とする(1番目の決定方法と記す)、又はTh1は“Min+W/4”程度とし、Th2は“Min+3W/4”程度とする(2番目の決定方法と記す)、又はTh1は“Max−3W/4”程度とし、Th2は“Max−W/4”程度とする(3番目の決定方法と記す)のが最も適正な値である。復調出力である復号化データDECinのDCレベル(直流電圧レベル)の影響を受けることなくこのような設定を可能にする回路構成として、図中に破線で示すように、レベル検知部492と基準値決定部494とを設けるのが望ましい。レベル検知部492は、FSK方式で変調された無線信号Scjを受信して再生された合成信号(ここでは復号化データDECin)における予め定められたレベルを検知する。基準値決定部494は、レベル検知部492の検知結果と、予め定められた式に基づいて判定用の基準値(ここでは第1の基準電圧Th1及び第2の基準電圧Th2)を決定する。例えば、1番目の決定方法をとる場合は、最小値Min、最大値Max、中間値midの全ての情報についてそれぞれを検知する検知部をレベル検知部492に設け、検知結果を用いて前記の式に基づいて第1の基準電圧Th1及び第2の基準電圧Th2を基準値決定部494で決定する。2番目と3番目の決定方法をとる場合は、最小値Minと最大値Maxの情報についてそれぞれを検知する検知部をレベル検知部492に設け、検知結果を用いて前記の式に基づいて第1の基準電圧Th1及び第2の基準電圧Th2を基準値決定部494で決める。尚、振幅Wはある程度予測できる値であるので、最小値Min、最大値Max、中間値midの何れかを検知する検知部をレベル検知部492に設け、検知結果と予測される振幅Wを用いて前記の式に基づいて第1の基準電圧Th1及び第2の基準電圧Th2を基準値決定部494で決めることもできる。
RSFF480は、セット入力端Sが“0”のときにリセット入力端Rが“1”になると非反転出力を“0”にし、リセット入力端Rが“0”のときにセット入力端Sが“1”になると非反転出力を“1”にする。RSFF480がこのような動作をなすように、一例として、RSFF480は、インバータ482と、NANDゲート484と、NANDゲート486と、NANDゲート488と、DFF490(D型フリップフロップ回路)とを有する。NANDゲート484、NANDゲート486、NANDゲート488は何れも2入力−1出力型である。DFF490の非反転出力端QがRSFF480の出力端outに接続されるとともに、インバータ482の入力端及びNANDゲート486の一方の入力端にも接続されている。インバータ482の出力端がDFF490のデータ入力端Dに接続されるとともにNANDゲート484の一方の入力端にも接続されている。インバータ482を使用する代わりに、DFF490の反転出力端xQをDFF490のデータ入力端DとNANDゲート484の一方の入力端に接続してもよい。NANDゲート484の他方の入力端がRSFF480のセット入力端Sに接続され、NANDゲート486の他方の入力端がRSFF480のリセット入力端Rに接続されている。NANDゲート488は、一方の入力端がNANDゲート484の出力端に接続され、他方の入力端がNANDゲート486の出力端に接続され、出力端がDFF490のクロック入力端CKに接続されている。DFF490は、クロック入力端CKの信号(つまりNANDゲート488の出力信号)の立上りエッジでデータ入力端Dの状態を取り込み保持する。
図12(B)には、復号化部460に入力される復号化データDECin、復号化部460の主要な機能部の動作状態、復号化部460により復元されたクロック信号CLK及び制御信号CTRLの動作状態が示されている。又、図12(C)には、復号化部460の動作を説明するタイミングチャートが示されている。周波数が“FH”から“FC”に変化すると復号化データDECinは“+1”から“0”に変化する。このとき、比較器462の出力は“1”のままであり、比較器464の出力は“1”から“0”に変化するので、RSFF480はリセット入力端Rが“0”の状態でセット入力端Sが“1”から“0”に変化する。このとき、その直前の制御信号CTRLが“0”であると、NANDゲート486の出力が“1”であり、インバータ482の出力(NANDゲート484の一方の入力)が“1”であるからNANDゲート484の出力が“0”から“1”に変化し、NANDゲート488の出力が“1”から“0”に変化する。これは、DFF490のクロック入力端CKに対して立下りエッジであるのでDFF490の出力は変化しない。又、その直前の制御信号CTRLが“1”であると、インバータ482の出力(NANDゲート484の一方の入力)が“0”であるからNANDゲート484の出力が“1”であり、NANDゲート486の出力が“1”であるから、NANDゲート488の出力が“0”であるのでDFF490の出力は変化しない。
周波数が“FL”から“FC”に変化すると復号化データDECinは“−1”から“0”に変化する。このとき、比較器464の出力は“0”のままであり、比較器462の出力は“0”から“1”に変化するので、RSFF480はセット入力端Sが“0”の状態でリセット入力端Rが“1”から“0”に変化する。このとき、その直前の制御信号CTRLが“1”であると、インバータ482の出力(NANDゲート484の一方の入力)が“0”であるからNANDゲート484の出力が“1”であり、NANDゲート486の出力が“0”から“1”に変化するのでNANDゲート488の出力が“1”から“0”に変化する。これは、DFF490のクロック入力端CKに対して立下りエッジであるのでDFF490の出力は変化しない。又、その直前の制御信号CTRLが“0”であると、NANDゲート486の出力が“1”であり、NANDゲート484の出力が“1”であるから、NANDゲート488の出力が“0”であるのでDFF490の出力は変化しない。
周波数が“FC”から“FH”に変化すると復号化データDECinは“0”から“+1”に変化する。このとき、比較器462の出力は“1”のままであり、比較器464の出力は“0”から“1”に変化するので、RSFF480はリセット入力端Rが“0”の状態でセット入力端Sが“0”から“1”に変化する。このとき、その直前の制御信号CTRLが“0”であると、インバータ482の出力(NANDゲート484の一方の入力)が“1”であるからNANDゲート484の出力が“1”から“0”に変化し、NANDゲート486の出力が“1”であるから、NANDゲート488の出力が“0”から“1”に変化する。これは、DFF490のクロック入力端CKに対して立上りエッジであるのでDFF490はデータ入力端Dの状態(つまりインバータ482の出力“1”)を取り込んで保持するので、その出力は“0”から“1”に変化する。又、その直前の制御信号CTRLが“1”であると、インバータ482の出力(NANDゲート484の一方の入力)が“0”であり、NANDゲート486の出力が“1”であるし、NANDゲート484の出力が“1”であるから、NANDゲート488の出力が“0”であるのでDFF490の出力は変化しない。
周波数が“FC”から“FL”に変化すると復号化データDECinは“0”から“−1”に変化する。このとき、比較器464の出力は“0”のままであり、比較器462の出力は“1”から“0”に変化するので、RSFF480はセット入力端Sが“0”の状態でリセット入力端Rが“0”から“1”に変化する。このとき、その直前の制御信号CTRLが“1”であると、インバータ482の出力(NANDゲート484の一方の入力)が“0”であるからNANDゲート484の出力が“1”であり、NANDゲート486の出力が“1”から“0”に変化するのでNANDゲート488の出力が“0”から“1”に変化する。これは、DFF490のクロック入力端CKに対して立上りエッジであるのでDFF490はデータ入力端Dの状態(つまりインバータ482の出力“0”)を取り込んで保持するので、その出力は“1”から“0”に変化する。又、その直前の制御信号CTRLが“0”であると、NANDゲート486の出力が“1”であり、NANDゲート484の出力が“1”であるから、NANDゲート488の出力が“0”であるのでDFF490の出力は変化しない。
比較器462と比較器464の各出力が何れも“0”のとき又は何れも“1”のときにはEX−ORゲート466の出力が“0”となるのでクロック信号CLK(つまりインバータ468の出力信号)は“1”となる。比較器462と比較器464の何れか一方の出力のみが“1”のときにはEX−ORゲート466の出力が“1”となるのでクロック信号CLK(つまりインバータ468の出力信号)は“0”となる。
このように、比較器462と比較器464とで周波数変動が「FC→FH」、「FC→FL」と変化するのを検出して、制御信号CTRLを「0→1」及び「1→0」と変化させて復元される。一方、クロック信号CLKは、周波数変動が「FC→FH」となるとき及び「FC→FL」となるときには立上りエッジとなり、「FH→FC」となるとき及び「FL→FC」となるときには立下りエッジとなる。
以上のように構成することで、制御信号CTRLとクロック信号CLKを簡易に纏めて3値FSKにでき、又、この3値FSKの変調信号を伝送して復号化することで、制御信号CTRLとクロック信号CLKとを復元することができる。これにより、制御信号CTRLとクロック信号CLKを一本化して伝送することができ、それぞれを別々に伝送した場合に対して、回路規模の削減、コストダウン、消費電力削減、伝送帯域の有効利用を図ることができる。
実施例4は、前述の実施例1〜実施例3をより具体的な電子機器へ適用する事例である。以下に3つの代表的な事例を示す。
[第1例]
図13は、実施例4の電子機器の第1例を説明する図である。第1例は、1つの電子機器の筐体内で無線により信号伝送を行なう場合での適用例である。電子機器としては固体撮像装置を搭載した撮像装置への適用例で示す。この種の撮像装置は、例えばデジタルカメラやビデオカメラ(カムコーダ)又はコンピュータ機器のカメラ(Webカメラ)等として市場に流通される。
第1通信装置が制御回路や画像処理回路等を搭載したメイン基板に搭載され、第2通信装置が固体撮像装置を搭載した撮像基板(カメラ基板)に搭載されている構成となっている。以下ではデータをミリ波帯で無線伝送するとともに制御信号や基準信号をミリ波帯で無線伝送する場合で説明する。
撮像装置500の筐体590内には、撮像基板502とメイン基板602が配置されている。撮像基板502には固体撮像装置505が搭載される。例えば、固体撮像装置505はCCD(Charge Coupled Device)で、その駆動部(水平ドライバや垂直ドライバ)も含めて撮像基板502に搭載する場合や、CMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)センサの場合が該当する。メイン基板602に半導体チップ103を搭載し、撮像基板502に半導体チップ203を搭載する。図示しないが、撮像基板502には、固体撮像装置505の他に撮像駆動部等周辺回路が搭載され、又、メイン基板602には画像処理エンジン605や操作部や各種のセンサ等が搭載される。半導体チップ103と半導体チップ203の何れか一方には制御・基準信号送信装置5の機能を組み込む。半導体チップ103と半導体チップ203のそれぞれ(ただし制御・基準信号送信装置5の機能を組み込んだものは除く)には、制御・基準信号受信装置7の機能を組み込む。例えば、半導体チップ103には、送信チップ801や受信チップ802の他に送信チップ806と同等の機能を組み込み、半導体チップ203には、送信チップ801や受信チップ802の他に受信チップ807と同等の機能を組み込む。半導体チップ103と半導体チップ203のそれぞれに送信チップ801と受信チップ802の両機能を組み込むことで双方向通信にも対処できる。
固体撮像装置505や撮像駆動部は、第1通信装置側のLSI機能部に該当する。LSI機能部には送信側の信号生成部が接続され、さらに伝送路結合部を介してアンテナ236(送信箇所)と接続される。信号生成部や伝送路結合部は固体撮像装置505とは別の半導体チップ203に収容してあり撮像基板502に搭載される。画像処理エンジンや操作部や各種のセンサ等は第2通信装置側のLSI機能部のアプリケーション機能部に該当し、固体撮像装置505で得られた撮像信号を処理する画像処理部が収容される。LSI機能部には受信側の信号生成部が接続され、さらに伝送路結合部を介してアンテナ136(受信箇所)と接続される。信号生成部や伝送路結合部は画像処理エンジンとは別の半導体チップ103に収容してありメイン基板602に搭載される。送信側の信号生成部は例えば、多重化処理部、パラレルシリアル変換部、変調部、周波数変換部、増幅部等を具備し、受信側の信号生成部は例えば、増幅部、周波数変換部、復調部、シリアルパラレル変換部、単一化処理部等を具備する。これらの点は、後述する他の適用事例でも同様である。アンテナ136とアンテナ236との間で無線通信が行なわれることで、固体撮像装置505で取得される画像信号は、アンテナ間の無線信号伝送路9を介してメイン基板602へと伝送される。双方向通信に対応するように構成してもよく、この場合例えば、固体撮像装置505を制御するための基準信号や各種の制御信号は、アンテナ間の無線信号伝送路9を介して撮像基板502へと伝送される。
図13(A)及び図13(B)の何れも、2系統の無線信号伝送路9が設けられており、その内の一方をデータ伝送に使用し他方を基準信号や各種の制御信号の伝送に使用するようにしている。例えば図13(A)に示す例は、自由空間伝送路9Bが無線信号伝送路9として使用されている。この場合、系統間の距離(チャネル間距離:この例では2つの送信側のアンテナ間距離に対応)が短いほど、それぞれの無線信号伝送路9が近接することになり、各系統で同じ搬送周波数を使用して同時通信を行なうと、受信部側での干渉や混信が問題になる虞れがある。送信側のアンテナ(空中線)の配置、送信側のアンテナの電磁波出力の強度、受信側のアンテナの配置等の調整が困難で、チャネル間距離が短く、電磁波伝送路の干渉や混信を避けることが困難な場合、自由空間伝送路9B_1と自由空間伝送路9B_2とで、異なる搬送周波数を使用する。例えば、図13(C)に示すように、データ伝送用の自由空間伝送路9B_1での搬送周波数Foと、基準信号用や各種の制御信号用の自由空間伝送路9B_2での搬送周波数FCとを、干渉が起きない程度に離している。図13(B)では、周囲が遮蔽材MZで囲まれ内部が中空の構造の中空導波路9Lを無線信号伝送路9として使用することで、空間分割多重を適用している。空間分割多重を適用すると、図13(D)に示すように、データ伝送用の搬送周波数Foと基準信号や各種の制御信号用の搬送周波数FCを同じにしても干渉が起きない。例えば、メイン基板602上にアンテナ136を取り囲むように電磁波の遮蔽物(導電体MZ:金属等)の囲いを設置して、データ伝送用の中空導波路9L_1と基準信号用や各種の制御信号用の中空導波路9L_2とを通信空間的に分離している。アンテナ136と対向する位置に撮像基板502側のアンテナ236が配置されるようにする。中空導波路9Lは、導電体MZの内部が中空であるので誘電体素材を使用する必要がなく低コストで簡易に無線信号伝送路9を構成できる。
[第2例]
図14は、実施例4の電子機器の第2例を説明する図である。第2例は、複数の電子機器が一体となった状態での電子機器間で無線により信号伝送を行なう場合での適用例である。特に、一方の電子機器が他方の電子機器に装着されたときの両電子機器間の信号伝送への適用である。以下ではデータをミリ波帯で無線伝送するとともに制御信号や基準信号をミリ波帯で無線伝送する場合で説明する。
例えば、中央演算処理装置(CPU)や不揮発性の記憶装置(例えばフラッシュメモリ)等が内蔵されたいわゆるICカードやメモリカードを代表例とするカード型の情報処理装置を本体側の電子機器に装着可能(着脱自在)にしたものがある。一方(第1)の電子機器の一例であるカード型の情報処理装置を以下では「カード型装置」とも称する。本体側となる他方(第2)の電子機器を以下では単に電子機器とも称する。
メモリカード201Bの構造例(平面透視及び断面透視)が図14(A)に示されている。電子機器101Bの構造例(平面透視及び断面透視)が図14(B)に示されている。 電子機器101Bのスロット構造4(特に開口部192)にメモリカード201Bが挿入されたときの構造例(断面透視)が図14(C)に示されている。
スロット構造4は、電子機器101Bの筺体190にメモリカード201B(その筐体290)を開口部192から挿抜して固定可能な構成となっている。スロット構造4のメモリカード201Bの端子との接触位置には受け側のコネクタ180が設けられる。無線伝送に置き換えた信号についてはコネクタ端子(コネクタピン)が不要である。
図14(A)に示すようにメモリカード201Bの筐体290に円筒状の凹形状構成298(窪み)を設け、図14(B)に示すように電子機器101Bの筺体190に円筒状の凸形状構成198(出っ張り)を設けている。メモリカード201Bは、基板202の一方の面に半導体チップ203を有し、基板202の一方の面にはアンテナ236が形成されている。半導体チップ203には、送信チップ801や受信チップ802の他に受信チップ807と同等の機能を組み込む。筐体290は、各アンテナ236と同一面に凹形状構成298が形成され、凹形状構成298の部分が無線信号伝送可能な誘電体素材を含む誘電体樹脂で構成される。基板202の一辺には、筐体290の決められた箇所で電子機器101Bと接続するための接続端子280が決められた位置に設けられている。メモリカード201Bの端子構造に関しては、ミリ波での信号伝送の対象となり得るもの(データ並びに制御信号及び基準信号)は、図中に破線で示すように、それ用の従前の端子を取り外し、これらを除く低速・小容量の信号用や電源供給用に、従前の端子構造を一部に備える。
図14(B)に示すように、電子機器101Bは、基板102の開口部192側の面に半導体チップ103を有し、基板102の一方の面にアンテナ236が形成されている。半導体チップ103には、送信チップ801や受信チップ802の他に送信チップ806と同等の機能を組み込む。筺体190は、スロット構造4として、メモリカード201Bが挿抜される開口部192が形成されている。筺体190には、メモリカード201Bが開口部192に挿入されたときに、凹形状構成298の位置に対応する部分に、ミリ波閉じ込め構造(導波路構造)を持つ凸形状構成198が形成され誘電体伝送路9Aとなるように構成されている。
図14(C)に示すように、スロット構造4の筺体190は開口部192からのメモリカード201Bの挿入に対し、凸形状構成198(誘電体伝送路9A)と凹形状構成298が凹凸状に接触するようなメカ構造を有する。凹凸構造が嵌合するときに、アンテナ136とアンテナ236が対向するとともに、その間に無線信号伝送路9として誘電体伝送路9Aが配置される。これによって、アンテナ136とアンテナ236の間で、データ並びに制御信号及び基準信号を無線で伝送することができる。この際には、同じアンテナ136及びアンテナ236を共用できる範囲で、データ伝送用の搬送周波数Foと制御信号及び基準信号用の搬送周波数FCとを干渉が起きない程度に離す(後述の図15(D)を参照)。メモリカード201Bは、誘電体伝送路9Aとアンテナ236の間に筐体290を挟むが、凹形状構成298の部分の素材が誘電体素材であるのでミリ波帯での無線伝送に大きな影響を与えるものではない。
[第3例]
図15は、実施例4の電子機器の第3例を説明する図である。信号伝送装置1は、第1の電子機器の一例として携帯型の画像再生装置201Kを備えるとともに、画像再生装置201Kが搭載される第2(本体側)の電子機器の一例として画像取得装置101Kを備えている。画像取得装置101Kには、画像再生装置201Kが搭載される載置台5Kが筐体190の一部に設けられている。載置台5Kに代えて、第2例のようにスロット構造4にしてもよい。一方の電子機器が他方の電子機器に装着されたときの両電子機器間において、無線で信号伝送を行なうという点では第2例と同じである。以下では、第2例との相違点に着目して説明する。
画像取得装置101Kは概ね直方体(箱形)の形状をなしており、もはやカード型とは言えない。画像取得装置101Kとしては、例えば動画データを取得するものであればよく、例えばデジタル記録再生装置や地上波テレビ受像機が該当する。画像再生装置201Kには、アプリケーション機能部として、画像取得装置101K側から伝送されてくる動画データを記憶する記憶装置や、記憶装置から動画データを読み出して表示部(例えば液晶表示装置や有機EL表示装置)にて動画を再生する機能部が設けられる。構造的には、メモリカード201Bを画像再生装置201Kに置き換え、電子機器101Bを画像取得装置101Kに置き換えたと考えればよい。
載置台5Kの下部の筺体190内には、例えば第2例と同様に、半導体チップ103が収容されており、ある位置にはアンテナ136が設けられる。アンテナ136と対向する筺体190の部分には、無線信号伝送路9として誘電体素材により誘電体伝送路9Aが構成されるようにしてある。載置台5Kに搭載される画像再生装置201Kの筺体290内には、例えば第2例と同様に、半導体チップ203が収容されており、半導体チップ203と対応してアンテナ236が設けられる。アンテナ236と対向する筺体290の部分は、誘電体素材により無線信号伝送路9(誘電体伝送路9A)が構成されるようにしてある。これらの点は前述の第2例と同様である。
第3例は、嵌合構造という考え方ではなく壁面突当て方式を採り、載置台5Kの角101aに画像取得装置101Kが突き当てられるように置かれたときにアンテナ136とアンテナ236が対向するとともに、その間に無線信号伝送路9として誘電体伝送路9Aが配置されるようにしているので、位置ズレによる影響を確実に排除できる。このような構成により、載置台5Kに対する画像再生装置201Kの搭載(装着)時に、画像再生装置201Kの無線信号伝送に対する位置合せ行なうことが可能となり、アンテナ136とアンテナ236の間で、データ並びに制御信号及び基準信号を無線で伝送することができる。この際には、図15(D)に示すように、同じアンテナ136及びアンテナ236を共用できる範囲で、データ伝送用の搬送周波数Foと制御信号及び基準信号用の搬送周波数FCとを干渉が起きない程度に離す。アンテナ136とアンテナ236との間に筐体190と筐体290を挟むが、誘電体素材であるのでミリ波帯での無線伝送に大きな影響を与えるものではない。
<比較例との対比>
[第1比較例]
図16は、第1比較例を示す図である。第1比較例は、「基準信号の持たせ方」に着目した比較例である。電子機器6000内には、基準信号REFCLKが必要なチップ6100が複数配置されている。
図16(A)に示す第1比較例(その1)では、各チップ6100は、デジタル回路のクロックやシンセサイザの基準となる基準信号REFCLKを生成する機能部として、源基準信号生成部5100と同様の源基準信号生成部6100を備えている。源基準信号生成部6100は、一例として、水晶発振器(XTAL)等で周波数fckの基準信号REFCLKを発生させる。各チップ6100で基準信号REFCLKの周波数を同一にしようとしても、各所の水晶発振器にはばらつきがあるから完全に同一にすることはできないし、それぞれが独立して動作するので、同期しない。この場合、複数の基準信号REFCLKの干渉が発生し、ノイズ対策が必要となる。図16(B)に示す第1比較例(その2)のように、各チップ6100の内の何れか1つに水晶発振器(XTAL)を接続して1箇所で基準信号REFCLKを生成して残りのチップ6100に供給することも考えられる。この場合、基準信号REFCLKが共通になるので、周波数のずれや位相同期の問題がなく、干渉がなくなり、ノイズ対策は不要となる。しかしながら、基準信号REFCLKを共通化するための配線6120が必要となるし、基準信号REFCLKのレベルが大きくなれば不要輻射の問題が発生する。
[第2比較例]
図17は、第2比較例を示す図である。第2比較例の基本的な構成は図7に示した本実施形態の構成と似通っている。図17(A)に示す第2比較例(その1)は、共通の基準信号REFCLKに基づいて搬送信号Lo_TX と搬送信号Lo_RX を生成する点では、本実施形態の構成と同じであり、搬送信号の同期(周波数および位相の双方について)はとれる。しかしながら、基準信号REFCLKを共通化するための配線6230が必要となるし、基準信号REFCLKのレベルが大きくなれば不要輻射の問題が発生する。図17(B)に示す第2比較例(その2)のように、同期のとれていない各別の基準信号REFCLKを使用する場合には、バッファ部8418の後段(又は前段)に同期回路8419を設けて、復調したベースバンド信号で同期をとる必要があるが、回路規模や消費電力が大きくなってしまう。
[第3比較例]
図18は、第3比較例を示す図である。第3比較例は、特許文献1に記載のものに相当する。第3比較例は、搬送信号送信装置6を使用する点では、図7に示した本実施形態の構成と似通っている。しかしながら、第3比較例では、ミリ波帯の搬送信号(局部発振信号)を搬送信号送信装置6から各通信チップ6300に送信し、各通信チップ6300が受信した共通の搬送信号を使用し、入力された中間周波数信号をミリ波帯に上げて送受信する。第3比較例は、中間周波数信号を使う通信に限定した構成であり、中間周波数信号以降の信号処理回路が必要となる。搬送信号そのものを共用するため、搬送信号として使える周波数は1種類のみとなる難点もある。
[その他]
第1比較例〜第3比較例の何れも、制御信号の無線伝送については触れられていない。高データレートの伝送対象信号を無線(電波)で伝送する場合に、低データレートのクロック信号や制御信号も有線ではなく無線で伝送する場合、その無線伝送を如何様に行なうかで、周波数の利用効率や電力消費が変わってくる。例えば、低データレートのクロック信号や制御信号の無線伝送に、高データレートと同じミリ波伝送方式を用いると、低データレートの情報を拡散して高データレートに変換して送信することが考えられるが、これでは周波数の有効利用にならず、拡散処理回路に無駄な電力を使用してしまう。
[本実施形態]
これに対して、本実施形態の構成では、各所に制御信号や基準信号を無線で伝送するので、干渉およびノイズの問題を解決できる。又、無線で制御信号や基準信号を伝送するので電気配線を使用することに起因する各種(例えば信号歪みや不要輻射)の問題を解決できる。更に、無線伝送した制御信号に基づいて各機能部を制御することで、伝送の信号品質や消費電力等通信性能に関わる事項を最適化できる。更には、制御信号と基準信号とを一本化して無線伝送すれば、これらを個別に無線伝送する場合に比べて、回路規模の削減、コストダウン、消費電力削減、伝送帯域の有効利用を図ることができる。更に、基準信号に関しては、逓倍数の設定で基準信号の周波数を設定できる、つまり受け手側にとっては、基準信号として使える周波数を複数にすることができる。又、同じ周波数の基準信号を使用する場合でも、通信装置の逓倍数εの設定次第で搬送信号の周波数を設定でき、搬送信号として使える周波数を複数にすることができる。