JP2012149741A - 偏心揺動型減速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】夫々の外歯歯車の伝達トルクを所望の値に設定できる、薄形の偏心揺動型減速機を提供する。
【解決手段】内歯車21と、内歯車21と噛合する第1、第2外歯歯車5,6を備える偏心揺動型減速機1において、出力ピンを第1外歯歯車5の貫通穴51とのみ接する第1出力ピン7と、第2外歯歯車6の貫通穴61とのみ接する第2出力ピン8で構成する。
第1外歯歯車5の伝達トルクの第2外歯歯車6の伝達トルクに対する比の所望値をC、第1出力ピン7の剛性である第1剛性の値をK1、第2出力ピン8の剛性である第2剛性の値をK2、第1出力ピン中心の内歯車21の中心からの距離をR1、第2出力ピン中心の内歯車21の中心からの距離をR2とするとき、式K1・R1 2=C・K2・R2 2を満足するように設定する。
【選択図】図1
【解決手段】内歯車21と、内歯車21と噛合する第1、第2外歯歯車5,6を備える偏心揺動型減速機1において、出力ピンを第1外歯歯車5の貫通穴51とのみ接する第1出力ピン7と、第2外歯歯車6の貫通穴61とのみ接する第2出力ピン8で構成する。
第1外歯歯車5の伝達トルクの第2外歯歯車6の伝達トルクに対する比の所望値をC、第1出力ピン7の剛性である第1剛性の値をK1、第2出力ピン8の剛性である第2剛性の値をK2、第1出力ピン中心の内歯車21の中心からの距離をR1、第2出力ピン中心の内歯車21の中心からの距離をR2とするとき、式K1・R1 2=C・K2・R2 2を満足するように設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、偏心揺動型減速機に関するものであり、詳しくは複数の外歯歯車を備えた偏心揺動型減速機の出力ピンに作用する伝達トルクを所望の値に設定できる偏心揺動型減速機に関するものである。
外歯歯車の自転運動を出力軸に取り出す出力ピンの剛性を高くして外歯歯車から伝達される荷重を均一化するために、出力ピンを両持ち支持として剛性を高めた従来技術1(例えば、特許文献1参照)がある。また、出力ピンを出力軸で片持ち支持した偏心揺動型減速機で、一部の出力ピンに荷重が集中することを避けるために、出力ピン支持リングを設けた従来技術2(例えば、特許文献2参照)がある。
特許文献1の従来技術1は、支持リングを追加して出力ピンを両持ち支持としているため、軸方向に支持リングを設けるスペース分の寸法増加を伴い、偏心揺動型減速機の回転軸方向に対する薄形化に限界があった。
特許文献2の従来技術2は同一外歯歯車に接触する出力ピン間の荷重アンバランスは解消できる。しかし、出力ピン径が同一でかつ片持ち支持であるため、出力軸に近い外歯歯車の出力ピン接触部と遠い外歯歯車の出力ピン接触部では荷重が異なる。これは、出力ピンの曲げ変形に起因する曲げ剛性が出力ピン支持部から荷重作用点の距離の3乗に反比例するためである。このため、出力軸に近い外歯歯車の接触部は剛性が大きいため大きな荷重が加わり、剛性が小さい出力軸から遠い外歯歯車の接触部には小さな荷重が加わる。結局、出力軸に近い外歯歯車の伝達トルクが大きく遠い外歯歯車では伝達トルクが小さくなり、出力軸に近い外歯歯車の強度限界によって減速機の最大伝達トルクが規制されていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、夫々の外歯歯車の伝達トルクを所望の値に設定でき、かつ、回転軸方向に対して薄形の偏心揺動型減速機を提供することを目的とする。
特許文献2の従来技術2は同一外歯歯車に接触する出力ピン間の荷重アンバランスは解消できる。しかし、出力ピン径が同一でかつ片持ち支持であるため、出力軸に近い外歯歯車の出力ピン接触部と遠い外歯歯車の出力ピン接触部では荷重が異なる。これは、出力ピンの曲げ変形に起因する曲げ剛性が出力ピン支持部から荷重作用点の距離の3乗に反比例するためである。このため、出力軸に近い外歯歯車の接触部は剛性が大きいため大きな荷重が加わり、剛性が小さい出力軸から遠い外歯歯車の接触部には小さな荷重が加わる。結局、出力軸に近い外歯歯車の伝達トルクが大きく遠い外歯歯車では伝達トルクが小さくなり、出力軸に近い外歯歯車の強度限界によって減速機の最大伝達トルクが規制されていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、夫々の外歯歯車の伝達トルクを所望の値に設定でき、かつ、回転軸方向に対して薄形の偏心揺動型減速機を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、内歯車と、前記内歯車と噛合する第1、第2外歯歯車と、前記第1、第2外歯歯車をクランク軸の軸線周りで位相の異なる位置に配置された2箇所の偏心した円筒カム部で前記内歯車の中心軸線に対し公転可能に支持する前記クランク軸と、前記第1、第2外歯歯車に備えた前記内歯車の中心軸線に平行な貫通穴と接する複数の出力ピンと、前記出力ピンの一端を保持し前記内歯車の中心軸線に対し回転自在な回転軸を備え、前記クランク軸を入力軸とし、前記内歯車と前記回転軸のいずれかを出力軸として回転作動させる偏心揺動型減速機において、
前記出力ピンを前記第1外歯歯車の前記貫通穴とのみ接する第1出力ピンと、前記第2外歯歯車の前記貫通穴とのみ接する第2出力ピンで構成し、
前記第1外歯歯車の伝達トルクの前記第2外歯歯車の伝達トルクに対する比率の所望値をC、前記第1出力ピンの剛性である第1剛性の値をK1、前記第2出力ピンの剛性である第2剛性の値をK2、前記第1出力ピン中心の前記内歯車の中心軸線からの距離をR1、前記第2出力ピン中心の前記内歯車の中心軸線からの距離をR2とするとき、式K1・R1 2=C・K2・R2 2を満足するように設定し、
前記第1剛性が前記内歯車の中心軸線に直交する方向における前記第1出力ピンの前記第1外歯歯車との接触部と前記回転軸の軸心部の間の剛性であり、前記第2剛性が前記内歯車の中心軸線に直交する方向における前記第2出力ピンの前記第2外歯歯車との接触部と前記回転軸の軸心部の間の剛性であることである。
前記出力ピンを前記第1外歯歯車の前記貫通穴とのみ接する第1出力ピンと、前記第2外歯歯車の前記貫通穴とのみ接する第2出力ピンで構成し、
前記第1外歯歯車の伝達トルクの前記第2外歯歯車の伝達トルクに対する比率の所望値をC、前記第1出力ピンの剛性である第1剛性の値をK1、前記第2出力ピンの剛性である第2剛性の値をK2、前記第1出力ピン中心の前記内歯車の中心軸線からの距離をR1、前記第2出力ピン中心の前記内歯車の中心軸線からの距離をR2とするとき、式K1・R1 2=C・K2・R2 2を満足するように設定し、
前記第1剛性が前記内歯車の中心軸線に直交する方向における前記第1出力ピンの前記第1外歯歯車との接触部と前記回転軸の軸心部の間の剛性であり、前記第2剛性が前記内歯車の中心軸線に直交する方向における前記第2出力ピンの前記第2外歯歯車との接触部と前記回転軸の軸心部の間の剛性であることである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1に係る発明において、前記第2出力ピンの支持点から前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離を前記第1出力ピンの支持点から前記第1外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離より長くし、前記第2出力ピンの径を前記第1出力ピンの径より大きくすることである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2に係る発明において、前記第2出力ピンの、前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触部の径を、前記回転軸による保持部の径より小さくすることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項3に係る発明において、前記第2出力ピンの前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触部の径を、前記第1出力ピンの径と同一にすることである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1に係る発明において、前記第1出力ピンと前記第2出力ピンの径を同一とすることである。
請求項6に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に係る発明において、前記第2出力ピンの支持点から前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離を前記第1出力ピンの支持点から前記第1外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離より長くし、前記R2を前記R1より大きくすることである。
請求項7に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に係る発明において、前記第2外歯歯車の幅を前記第1外歯歯車の幅より小さくすることである。
請求項8に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に係る発明において、前記第1出力ピンの材質の縦弾性係数と前記第2出力ピンの材質の縦弾性係数が異なることである。
請求項1に係る発明によれば、第1外歯歯車の伝達トルクの第2外歯歯車の伝達トルクに対する比の値Cを、所望に設定できる。例えば、第1外歯歯車の最大許容伝達トルクが、第2外歯歯車の最大許容伝達トルクの2倍の場合、C=2として式K1・R1 2=C・K2・R2 2を満足するように第1剛性の値K1、第2剛性の値K2、第1出力ピン中心の内歯車の中心軸線からの距離R1、第2出力ピン中心の内歯車の中心軸線からの距離R2を設定する。こうすれば、第1外歯歯車の伝達トルクの第2外歯歯車の伝達トルクに対する比率は2となり、第1、第2外歯歯車の最大許容伝達トルクの和を偏心揺動型減速機の最大伝達トルクとできる。第1、第2外歯歯車のどちらも無駄なくトルク伝達させることができ、結果として伝達トルクの増大もしくは偏心揺動型減速機の小型化が可能となる。
請求項2に係る発明によれば、第1剛性の値K1と第2剛性の値K2を同等にするのが容易で、第1外歯歯車の伝達トルクと第2外歯歯車の伝達トルクが同等な偏心揺動型減速機を容易に実現できる
請求項3に係る発明によれば、第2剛性の値K2を大きく低下することなく、第2外歯歯車の貫通穴径を小さくできるので、第2外歯歯車の貫通穴の外周の肉厚が厚くなり強度が増し、第2外歯歯車による伝達トルクを大きくできる。
請求項4に係る発明によれば、第1、第2出力ピンの貫通穴径が同一なので第1、第2外歯歯車に備えた貫通穴を同一工具で加工でき加工時間を短くできる。
請求項5に係る発明によれば、第1、第2出力ピンの径が同一なので回転軸の出力ピン取り付け穴や、第1、第2外歯歯車に備えた貫通穴を同一工具で加工でき加工時間を短くできる。
請求項6に係る発明によれば、第1外歯歯車の伝達トルクと第2外歯歯車の伝達トルクが同等な場合には、第2剛性の値を第1剛性の値より小さくできるので、第2出力ピンの径を第1出力ピンの径より大きくする度合いを小さくできる。このため、偏心揺動型減速機の外径を小さくできる。
請求項7に係る発明によれば、第1外歯歯車の許容伝達トルクより第2外歯歯車の許容伝達トルクが小さくなるので、第2外歯歯車に関するK2・R2 2を小さくでき、偏心揺動型減速機の外径を小さくできる。
請求項8に係る発明によれば、第1、第2出力ピンの形状差と第1、第2出力ピンの材質の縦弾性係数の差の2つのファクターにより第1、第2剛性の値を設定でき、剛性の値の設定範囲が広くなる。また、第2出力ピンの縦弾性係数を第1出力ピンより大きくすると、第2出力ピンの径の増加を低減できる。結果として、外歯歯車の外径の増加を低減でき、偏心揺動型減速機の外径を小さくできる。
以下、本発明の第1実施形態を内歯車を固定し、回転軸を出力軸とした例で図1〜図5に基づき説明する。
図1に示すように、偏心揺動型減速機1はハウジング2で保持された軸受13により回転自在に支持された回転軸4を備えている。ハウジング2の中心部に、回転軸4で保持された軸受12とハウジング2で保持された軸受9を介して両端部を回転自在に支持されたクランク軸3を備えている。クランク軸3は中央部に円筒状の偏心カム部31、32を備え、偏心カム部31、32はクランク軸3の回転軸心aに対し偏心量eを持ち互いに略180度位相がずれている。偏心カム部31の外周に軸受11を介して回転自在に支持された第1外歯歯車である外歯歯車5を備え、偏心カム部32の外周に軸受10を介して回転自在に支持された第2外歯歯車である外歯歯車6を備えている。複数の第1出力ピンである出力ピン7が回転軸心aの同心円周位置で軸線が回転軸心aと平行になるように回転軸4に圧入保持されている。出力ピン7は外歯歯車5に設けられた貫通穴51に内接している。複数の第2出力ピンである出力ピン8が回転軸心aの同心円周位置で軸線が回転軸心aと平行になるように配置され、出力ピン8の一端が回転軸4に圧入保持されている。出力ピン8は外歯歯車5に設けられた穴52内を非接触で貫通して、出力ピン8の他端に備えた圧入部より小径の接触部81が外歯歯車6に設けられた貫通穴61に内接している。
ここで、回転軸心aはハウジング2の内周面に設けられた内歯車21の中心線と一致しており、内歯車21、外歯歯車5、6の歯形はインボリュート歯形である。
図1に示すように、偏心揺動型減速機1はハウジング2で保持された軸受13により回転自在に支持された回転軸4を備えている。ハウジング2の中心部に、回転軸4で保持された軸受12とハウジング2で保持された軸受9を介して両端部を回転自在に支持されたクランク軸3を備えている。クランク軸3は中央部に円筒状の偏心カム部31、32を備え、偏心カム部31、32はクランク軸3の回転軸心aに対し偏心量eを持ち互いに略180度位相がずれている。偏心カム部31の外周に軸受11を介して回転自在に支持された第1外歯歯車である外歯歯車5を備え、偏心カム部32の外周に軸受10を介して回転自在に支持された第2外歯歯車である外歯歯車6を備えている。複数の第1出力ピンである出力ピン7が回転軸心aの同心円周位置で軸線が回転軸心aと平行になるように回転軸4に圧入保持されている。出力ピン7は外歯歯車5に設けられた貫通穴51に内接している。複数の第2出力ピンである出力ピン8が回転軸心aの同心円周位置で軸線が回転軸心aと平行になるように配置され、出力ピン8の一端が回転軸4に圧入保持されている。出力ピン8は外歯歯車5に設けられた穴52内を非接触で貫通して、出力ピン8の他端に備えた圧入部より小径の接触部81が外歯歯車6に設けられた貫通穴61に内接している。
ここで、回転軸心aはハウジング2の内周面に設けられた内歯車21の中心線と一致しており、内歯車21、外歯歯車5、6の歯形はインボリュート歯形である。
図2、図3に示すように、外歯歯車5、6は内歯車21と1箇所で噛合するような歯車のピッチ円径を備えている。クランク軸3の回転に伴い外歯歯車5、6は内歯車21と噛合しながらクランク軸3の偏心量eを半径とする公転運動をする。図2に示すように、外歯歯車5の貫通穴51の穴径d1は出力ピン7の外径をD1とするとd1=2・e+D1に設定されており、貫通穴51は出力ピン7の外周に常に内接して回転する。図3に示すように、外歯歯車6の貫通穴61の穴径d2は出力ピン8の接触部81の外径をD2とするとd2=2・e+D2に設定されており、貫通穴61は接触部81の外周に常に内接して回転する。
以下、この偏心揺動型減速機1の外歯歯車5の作動について図1、図2に基づき説明する。
図2に示すように、クランク軸3が回転軸心aの廻りを回転すると外歯歯車5はハウジング2の内周面に設けられた内歯車21と噛合しながら公転する。このとき、外歯歯車5の歯数をZ1、内歯車21の歯数をZ2とすると、外歯歯車5はクランク軸3の1回転当りZ2−Z1の歯数だけ相対回転をする。つまり、外歯歯車5はハウジング2に対して偏心eを半径とする1回転の公転運動と、(Z2−Z1)/Z2回転の自転運動をする。この自転運動は4個の貫通穴51と4個の出力ピン7の接触部を介して出力軸である図1に示す回転軸4に伝達される。
同様にして、図3に示すように、外歯歯車6の自転運動も4個の貫通穴61と4個の出力ピン8の接触部81を介して出力軸である図1に示す回転軸4に伝達される。
図2に示すように、クランク軸3が回転軸心aの廻りを回転すると外歯歯車5はハウジング2の内周面に設けられた内歯車21と噛合しながら公転する。このとき、外歯歯車5の歯数をZ1、内歯車21の歯数をZ2とすると、外歯歯車5はクランク軸3の1回転当りZ2−Z1の歯数だけ相対回転をする。つまり、外歯歯車5はハウジング2に対して偏心eを半径とする1回転の公転運動と、(Z2−Z1)/Z2回転の自転運動をする。この自転運動は4個の貫通穴51と4個の出力ピン7の接触部を介して出力軸である図1に示す回転軸4に伝達される。
同様にして、図3に示すように、外歯歯車6の自転運動も4個の貫通穴61と4個の出力ピン8の接触部81を介して出力軸である図1に示す回転軸4に伝達される。
以下、4本の出力ピン7を円周等分に備えた場合の伝達トルクについて説明をする。
図4において、外歯歯車5は内歯車21と点Pで噛合し、出力ピン7aの中心Qとクランク軸3の回転軸線aと点Pが成す角度∠QaPが90°となる位置にある。ここで、外歯歯車5に伝達トルクT1が右回りで作用すると、出力ピン7cの外歯歯車5との接触部における出力ピン7cと外歯歯車5の相対運動は離れる方向となり、出力ピン7b、7dの外歯歯車5との接触部における出力ピン7b、7dと外歯歯車5の相対運動は接線方向になるのでトルクを伝達しない。
外歯歯車5における、出力ピン7aを介し回転軸4へ伝達されるトルクT1は、出力ピン7aの中心と回転軸線aの距離をR1、出力ピン7aと貫通穴51aの接触部に作用する法線力をF1とすると、T1=F1・R1となる。
同様にして、外歯歯車6における、出力ピン8を介し回転軸4へ伝達されるトルクT2は、出力ピン8の中心と回転軸線aの距離をR2、出力ピン8と貫通穴61の接触部に作用する法線力をF2とすると、T2=F2・R2となる。
図4において、外歯歯車5は内歯車21と点Pで噛合し、出力ピン7aの中心Qとクランク軸3の回転軸線aと点Pが成す角度∠QaPが90°となる位置にある。ここで、外歯歯車5に伝達トルクT1が右回りで作用すると、出力ピン7cの外歯歯車5との接触部における出力ピン7cと外歯歯車5の相対運動は離れる方向となり、出力ピン7b、7dの外歯歯車5との接触部における出力ピン7b、7dと外歯歯車5の相対運動は接線方向になるのでトルクを伝達しない。
外歯歯車5における、出力ピン7aを介し回転軸4へ伝達されるトルクT1は、出力ピン7aの中心と回転軸線aの距離をR1、出力ピン7aと貫通穴51aの接触部に作用する法線力をF1とすると、T1=F1・R1となる。
同様にして、外歯歯車6における、出力ピン8を介し回転軸4へ伝達されるトルクT2は、出力ピン8の中心と回転軸線aの距離をR2、出力ピン8と貫通穴61の接触部に作用する法線力をF2とすると、T2=F2・R2となる。
次に、出力ピン7の剛性と法線力の関係について、簡略化のため、接触部における分布荷重を1点に加わる集中荷重に置き換えて説明する。
図5において、出力ピン7の圧入部からの距離がL1の外歯歯車5の貫通穴51と出力ピン7の接触部の位置に、出力ピン7の軸線に直交する方向に法線力F1が荷重として作用し、荷重作用点の剛性をK1とすると、荷重作用点で以下の式δ1=F1/K1で表される変位δ1を生じる。つまり、変位δ1により法線力F1=δ1・K1を反力として発生する。
ここで、変位δ1は出力ピン7のクランク軸3の回転軸心aを中心とする円の円周方向の変位であり、外歯歯車5と回転軸4の回転方向の相対角度変位をφとすると、δ1=φ・R1となる。また、外歯歯車5、6は内歯車21と噛合してクランク軸3により同時に回転しているので回転速度は同一であるため、外歯歯車5、6と回転軸4の回転方向の相対角度変位φは同一となる。
図5において、出力ピン7の圧入部からの距離がL1の外歯歯車5の貫通穴51と出力ピン7の接触部の位置に、出力ピン7の軸線に直交する方向に法線力F1が荷重として作用し、荷重作用点の剛性をK1とすると、荷重作用点で以下の式δ1=F1/K1で表される変位δ1を生じる。つまり、変位δ1により法線力F1=δ1・K1を反力として発生する。
ここで、変位δ1は出力ピン7のクランク軸3の回転軸心aを中心とする円の円周方向の変位であり、外歯歯車5と回転軸4の回転方向の相対角度変位をφとすると、δ1=φ・R1となる。また、外歯歯車5、6は内歯車21と噛合してクランク軸3により同時に回転しているので回転速度は同一であるため、外歯歯車5、6と回転軸4の回転方向の相対角度変位φは同一となる。
同様にして、図6において、出力ピン8の圧入部からの距離がL2の外歯歯車6の貫通穴61と出力ピン8の接触部81の位置に、出力ピン8の軸線に直交する方向に法線力F2が荷重として作用し、荷重作用点の剛性をK2すると、変位δ2により法線力F2=δ2・K2を反力として発生する。
外歯歯車5の伝達トルクT1は出力ピン7の剛性K1と相対角度変位φと出力ピン7の中心と回転軸線aの距離R1を用いると、T1=δ1・K1・R1=φ・K1・R1 2となる。外歯歯車6の伝達トルクT2は出力ピン8の剛性K2と相対角度変位φと出力ピン8の中心と回転軸線aの距離R2を用いると、T2=δ2・K2・R2=φ・K2・R2 2となる。
以上の説明では、出力ピン7aの中心Qとクランク軸3の回転軸線aと外歯歯車5、6と内歯車21の噛合点Pが成す角度∠QaPが90°となる位置にある場合について説明したが、その他の角度の場合は、2本の出力ピンにその角度に応じた法線力が作用する。この法線力に基づく2つの伝達トルクの合計は上記の説明と同様になり、T1=φ・K1・R1 2とT2=φ・K2・R2 2は他の角度の場合にも成り立つ。
出力ピン7、8が片持ち支持であるため、出力ピン7、8と外歯歯車5、6との接触部と回転軸4の軸心部の間の変位の大部分は出力ピン7、8の曲げによるたわみ変位が占める。このため、剛性K1、K2は出力ピン7、8の曲げ剛性を変えることで容易に所望の値に設定できる。曲げによるたわみ変位δtはδt=F・L3/(3EI)となることが知られている。ここで、Fは荷重、Lは支持点から荷重作用点までの距離、Eは出力ピンの縦弾性係数、Iは出力ピンの断面2次モーメントであり、断面2次モーメントIは出力ピンの直径の4乗に比例し、縦弾性係数Eは材質により決まる。Lが一定でも出力ピン径と出力ピンの材質を変えることでIとEを変えることができ、結果として、剛性K1、K2を所望の値に設定できる。
図1の偏心揺動型減速機1は、外歯歯車5の伝達トルクT1と外歯歯車6の伝達トルクT2を同一にするため、支持点から荷重作用点までの距離の短い出力ピン7に対して、支持点から荷重作用点までの距離の長い出力ピン8の径を大きくしてK1=K2、R1=R2とし、K1・R1 2=K2・R2 2とした例である。
偏心揺動型減速機1は、外歯歯車5、6の幅が等しいので、外歯歯車5、6の許容伝達トルクは同じであるため、伝達トルクを同一(C=1)にすると合計の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。そして、外歯歯車6の貫通穴61に外接している出力ピン8の接触部81の径を、回転軸4に圧入保持された出力ピン8の圧入部の径より小さくしたため、貫通穴61の外周の肉厚が厚くでき外歯歯車6の強度を確保できる。
また、出力ピン8の接触部81の径を出力ピン7の径と同一にしてもよい。外歯歯車5と外歯歯車6を同一にできるため、偏心揺動型減速機のコストが安くなる。
偏心揺動型減速機1は、外歯歯車5、6の幅が等しいので、外歯歯車5、6の許容伝達トルクは同じであるため、伝達トルクを同一(C=1)にすると合計の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。そして、外歯歯車6の貫通穴61に外接している出力ピン8の接触部81の径を、回転軸4に圧入保持された出力ピン8の圧入部の径より小さくしたため、貫通穴61の外周の肉厚が厚くでき外歯歯車6の強度を確保できる。
また、出力ピン8の接触部81の径を出力ピン7の径と同一にしてもよい。外歯歯車5と外歯歯車6を同一にできるため、偏心揺動型減速機のコストが安くなる。
第2実施形態の偏心揺動型減速機100を図7に示す。偏心揺動型減速機100は、偏心揺動型減速機1に対して、第2出力ピンである出力ピン108と出力ピン7の径を同一とし、出力ピン7の回転軸線aからの距離R1を小さくし、出力ピン108の回転軸線aからの距離R2を大きくした点を除き第1実施形態(図1)と同じ構成であるので、説明は省略する。
偏心揺動型減速機100は、出力ピン7、108の径が同一であるためK1>K2となり、R1とR2の関係が式R1 2=K2・R2 2/K1を満足するように設定されている。このため、偏心揺動型減速機100は、外歯歯車5の伝達トルクT1と外歯歯車6の伝達トルクT2が同一となる。
偏心揺動型減速機100は、外歯歯車5、6の幅が等しいので、外歯歯車5、6の許容伝達トルクは同じであるため、伝達トルクを同一にすると合計の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。さらに、出力ピン7、108の径が同一なので、回転軸104の出力ピン7、108の圧入穴が同一寸法となり同一工具による加工が可能となり、出力ピン7、108の外径加工もセンタレス研削等の同一工程で可能となる。
偏心揺動型減速機100は、出力ピン7、108の径が同一であるためK1>K2となり、R1とR2の関係が式R1 2=K2・R2 2/K1を満足するように設定されている。このため、偏心揺動型減速機100は、外歯歯車5の伝達トルクT1と外歯歯車6の伝達トルクT2が同一となる。
偏心揺動型減速機100は、外歯歯車5、6の幅が等しいので、外歯歯車5、6の許容伝達トルクは同じであるため、伝達トルクを同一にすると合計の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。さらに、出力ピン7、108の径が同一なので、回転軸104の出力ピン7、108の圧入穴が同一寸法となり同一工具による加工が可能となり、出力ピン7、108の外径加工もセンタレス研削等の同一工程で可能となる。
第3実施形態の偏心揺動型減速機200を図8に示す。偏心揺動型減速機200は、偏心揺動型減速機1に対して、第2外歯歯車である外歯歯車206の幅を外歯歯車5より小さくし、それに対応してハウジング202とクランク軸203の軸方向寸法を小さくし、第2出力ピンである出力ピン208と出力ピン7の径を同一とした点を除き第1実施形態(図1)と同じ構成であるので、説明は省略する。
偏心揺動型減速機200の外歯歯車5の幅を外歯歯車206よりC倍大きくすると、外歯歯車5の許容伝達トルクの外歯歯車206の許容伝達トルクに対する比率もC倍となる。また、出力ピン7、208の径が同一であるためK1>K2となり、R1とR2の関係が式R1 2=C・K2・R2 2/K1を満足するように設定されている。このため、偏心揺動型減速機200は、外歯歯車5の伝達トルクT1の外歯歯車206の伝達トルクT2に対する比率がC倍となる。
偏心揺動型減速機200は、外歯歯車5の許容伝達トルクの外歯歯車206の許容伝達トルクに対する比率がCであるため、外歯歯車5の伝達トルクの外歯歯車206の伝達トルクに対する比率をCにすると合計の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。また、出力ピン7、208の径が同一なので、回転軸204の出力ピン7、208の圧入穴が同一寸法となり同一工具による加工が可能となり、出力ピン7、208の外径加工もセンタレス研削等の同一工程で可能となる。さらに、幅の異なる2種類の外歯歯車の組合せを用いることで3種類の偏心揺動型減速機を製造できるため、部品種類の増加を抑制しながら、偏心揺動型減速機の許容伝達トルクの種類を増やすことができる。
偏心揺動型減速機200の外歯歯車5の幅を外歯歯車206よりC倍大きくすると、外歯歯車5の許容伝達トルクの外歯歯車206の許容伝達トルクに対する比率もC倍となる。また、出力ピン7、208の径が同一であるためK1>K2となり、R1とR2の関係が式R1 2=C・K2・R2 2/K1を満足するように設定されている。このため、偏心揺動型減速機200は、外歯歯車5の伝達トルクT1の外歯歯車206の伝達トルクT2に対する比率がC倍となる。
偏心揺動型減速機200は、外歯歯車5の許容伝達トルクの外歯歯車206の許容伝達トルクに対する比率がCであるため、外歯歯車5の伝達トルクの外歯歯車206の伝達トルクに対する比率をCにすると合計の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。また、出力ピン7、208の径が同一なので、回転軸204の出力ピン7、208の圧入穴が同一寸法となり同一工具による加工が可能となり、出力ピン7、208の外径加工もセンタレス研削等の同一工程で可能となる。さらに、幅の異なる2種類の外歯歯車の組合せを用いることで3種類の偏心揺動型減速機を製造できるため、部品種類の増加を抑制しながら、偏心揺動型減速機の許容伝達トルクの種類を増やすことができる。
偏心揺動型減速機1、100、200のいずれにおいても、出力ピン7の材質を鉄合金とし、出力ピン8、108、208に超硬材などの縦弾性係数の大きな材質を使用することで出力ピン8、108、208の直径の増加を低減できる。結果として、外歯歯車の外径の増加を低減でき、偏心揺動型減速機1、100、200の外径を小さくできる。
上記のように本発明によれば、出力ピンを片持ち支持として薄型とした偏心揺動型減速機の許容伝達トルクが最大となり、寿命も長くなる。また、部品加工の共通化が可能となり偏心揺動型減速機のコストが安くなる。さらに、幅の異なる2種類の外歯歯車の組合せを用いることで3種類の偏心揺動型減速機を製造できるため、部品種類の増加を抑制しながら、偏心揺動型減速機の許容伝達トルクの種類を増やすことができる。
各実施形態では、外歯歯車5、6、206と内歯車21の歯形をインボリュート歯形としたが、サイクロイド歯型などの他の歯形としてもよい。
1:偏心揺動型減速機 3:クランク軸 5、6:外歯歯車 7、8:出力ピン 21:内歯車 31、32:円筒カム部 51、61:貫通穴 R1、R2:出力ピン中心の内歯車の中心からの距離
Claims (8)
- 内歯車と、前記内歯車と噛合する第1、第2外歯歯車と、前記第1、第2外歯歯車をクランク軸の軸線周りで位相の異なる位置に配置された2箇所の偏心した円筒カム部で前記内歯車の中心軸線に対し公転可能に支持する前記クランク軸と、前記第1、第2外歯歯車に備えた前記内歯車の中心軸線に平行な貫通穴と接する複数の出力ピンと、前記出力ピンの一端を保持し前記内歯車の中心軸線に対し回転自在な回転軸を備え、前記クランク軸を入力軸とし、前記内歯車と前記回転軸のいずれかを出力軸として回転作動させる偏心揺動型減速機において、
前記出力ピンを前記第1外歯歯車の前記貫通穴とのみ接する第1出力ピンと、前記第2外歯歯車の前記貫通穴とのみ接する第2出力ピンで構成し、
前記第1外歯歯車の伝達トルクの前記第2外歯歯車の伝達トルクに対する比率の所望値をC、前記第1出力ピンの剛性である第1剛性の値をK1、前記第2出力ピンの剛性である第2剛性の値をK2、前記第1出力ピン中心の前記内歯車の中心軸線からの距離をR1、前記第2出力ピン中心の前記内歯車の中心軸線からの距離をR2とするとき、式K1・R1 2=C・K2・R2 2を満足するように設定し、
前記第1剛性が前記内歯車の中心軸線に直交する方向における前記第1出力ピンの前記第1外歯歯車との接触部と前記回転軸の軸心部の間の剛性であり、前記第2剛性が前記内歯車の中心軸線に直交する方向における前記第2出力ピンの前記第2外歯歯車との接触部と前記回転軸の軸心部の間の剛性である、偏心揺動型減速機。 - 前記第2出力ピンの支持点から前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離を前記第1出力ピンの支持点から前記第1外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離より長くし、前記第2出力ピンの径を前記第1出力ピンの径より大きくする請求項1に記載の偏心揺動型減速機。
- 前記第2出力ピンの、前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触部の径を、前記回転軸による保持部の径より小さくする請求項2に記載の偏心揺動型減速機。
- 前記第2出力ピンの前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触部の径を、前記第1出力ピンの径と同一にする請求項3に記載の偏心揺動型減速機。
- 前記第1出力ピンと前記第2出力ピンの径を同一とする請求項1に記載の偏心揺動型減速機。
- 前記第2出力ピンの支持点から前記第2外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離を前記第1出力ピンの支持点から前記第1外歯歯車の前記貫通穴との接触点までの距離より長くし、前記R2を前記R1より大きくする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の偏心揺動型減速機。
- 前記第2外歯歯車の幅を前記第1外歯歯車の幅より小さくする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の偏心揺動型減速機。
- 前記第1出力ピンの材質の縦弾性係数と前記第2出力ピンの材質の縦弾性係数が異なる請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の偏心揺動型減速機。
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Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104006145A (zh) * | 2013-02-25 | 2014-08-27 | 住友重机械工业株式会社 | 机器人关节驱动用偏心摆动型减速机 |
| CN105257786A (zh) * | 2015-11-26 | 2016-01-20 | 李照廷 | 双曲线减速机 |
| WO2016056873A1 (ko) * | 2014-10-10 | 2016-04-14 | 주성오토테크 주식회사 | 복수의 기어 어셈블리를 포함하는 감속기 |
| WO2024114468A1 (zh) * | 2022-11-30 | 2024-06-06 | 宁波瀚晟传动技术有限公司 | 一种传动机构 |
| DE102023120566A1 (de) * | 2023-08-03 | 2025-02-06 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Exzentergetriebe |
-
2011
- 2011-01-21 JP JP2011010332A patent/JP2012149741A/ja active Pending
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| DE102023120566B4 (de) * | 2023-08-03 | 2025-02-13 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Exzentergetriebe |
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