JP2012157991A - 金属樹脂複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】珪素含有アルミニウム合金51の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を生じさせ、10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、過マンガン酸カリを含む化成処理液に浸漬して化成処理層を形成し、その表面にポリフェニレンサルファイド又はポリブチレンテレフタレートを主成分として含む樹脂組成物53を射出して一体化する。
【選択図】図6
Description
接着剤を使用しない接合方法に関しても従来から研究されている。その中でも製造業に大きな影響を与えたのは、本発明者らが開発した「NMT(Nano molding technologyの略)」である。NMTとは、アルミニウム合金と樹脂組成物との接合技術であり、予め射出成形金型内にインサートしていたアルミニウム合金に、溶融したエンジニアリング樹脂を射出して樹脂部分を成形すると同時に、その成形品とアルミニウム合金とを接合する方法(以下、略称して「射出接合」という。)である。特許文献1には、特定の表面処理を施したアルミニウム合金に対し、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」という。)系樹脂組成物を射出接合させる技術を開示している。また、特許文献2には、特定の表面処理を施したアルミニウム合金に対し、ポリフェニレンサルファイド(以下、「PPS」という。)系樹脂組成物を射出接合させる技術を開示している。
また、本発明者らは、特許文献3、4、5、6、及び7に示すように、アルミニウム合金のみならず、他の金属合金についても、その金属合金とPBTやPPS等の熱可塑性樹脂を射出接合によって強固に接合することができる条件を発見し、この条件に基づく射出接合のメカニズムを「新NMT」と称した。これらの発明は全て本発明者らによる。より広く使用できる「新NMT」の条件を示す。金属合金側と射出樹脂側の双方に各々条件があり、まず金属合金側については以下に示す3条件((a)(b)(c))が必要である。
(d)硬質の結晶性熱可塑性樹脂であること。具体的には、PBT、PPS、又はポリアミド樹脂等が主成分として含まれている樹脂組成物であること。
さらに、新NMTにおいて、強い接合力を得るためには樹脂組成物側に更に1の条件が加わる。
(e)主成分高分子と異なる高分子が含まれており、異高分子の大部分が主成分の結晶性熱可塑性樹脂と分子レベルで混ざっていること。
上記複合体に要求される耐候性とは、陽光に対する耐性があること、水分や湿気、特に潮風の塩分が溶け込んだ雨水、汚水、海水に対する耐性があること、気温−40〜+100℃の環境で長期間の使用に耐えうること、さらにこれらの条件が複合した環境下で長期間の使用に耐えうること等である。複合体の耐候性確保に最も有効なのは塗装である。塗料業界では、アルミニウム合金に2層塗装又は3層塗装することにより、陽光を遮断し、汚水、塩水も遮断する。但し、酸素、窒素、水分子は完全には遮断できず、塩水等に含まれる塩素イオン、ナトリウムイオンを完全遮断することは困難である。塗膜は高分子の絡み合った物であり、小さな分子は絡まった分子鎖の隙間を通過可能である。塗膜から露出している部分は傷付けられる場合があり、傷は金属相まで達することがあり、そこから錆が発生しうる。耐候性確保のためには、その錆が周辺に拡がる速度を抑制しなければならない。
アルミニウム合金とPPS系樹脂組成物の射出接合物に耐候性を持たせる場合にも、前述したようにアルミニウム合金露出部に化成処理を施して、厚い塗装をすることが必要となる。化成処理と塗装を接合後に行うことを前提とした場合、当初得られるアルミニウム合金とPPS系樹脂組成物には水分子の侵入に対する耐性があれば良い。即ち、射出接合によって得られた直後の複合体に関しては、少なくとも耐水性が必要である。
前述した新NMTの条件(c)では、「金属合金の表層がセラミック質の薄層であること。具体的には、その表層が環境に影響されず安定した金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層であること。」としている。この条件を満たし、かつ耐水性の高い表層を形成すべく、本発明者らは、様々な金属合金に微細エッチングを施して超微細凹凸を形成した後、クロム、マンガン、ジルコニウム、バナジウム、その他の金属イオンを含む化成処理液に浸漬してより耐腐食性の高い金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層を形成しようとした。
得られた複合体の耐水性を測定するために上記高温高湿試験を行ったが、これは加速試験である。樹脂組成物自体が高温高湿環境に耐性があれば、この加速試験はあくまで複合体の接合力の低下を測る湿熱試験として有効である。新NMTでは、条件(d)に示すように、樹脂組成物としてPPS系樹脂組成物、PBT系樹脂組成物、ポリアミド系樹脂組成物を使用できる。PBTはポリエステルであり、親水性がある上に高温水との接触では加水分解によるエステル結合の破断が生じる。即ち高分子の断裂が生じポリマーの物性が劣化する。ところがPBTは常温下では加水分解しないし、高温下でも湿度が低ければ加水分解は生じない。要するに、PBT系樹脂組成物を使用した場合、耐水性を確認するのに高温高湿試験は加速試験として適していない。
ポリアミド樹脂は耐熱性も耐水性もあるが、吸水性が高い。ポリアミド樹脂の成形品を20℃の水中に24時間放置した後の吸水率は、汎用ポリアミド樹脂のナイロン6やナイロン66では1%程度あり、ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなる半芳香族ナイロンや分子鎖中に芳香環が含まれるメタキシリレンジアミンとアジピン酸からのナイロンでは0.1%程度である。それでも吸水率はPPS系樹脂の0.01%と比較すれば非常に高い。また常温下、湿度65%で飽和まで吸湿したポリアミド樹脂では吸水率は1.5〜2%もある。
[アルミ合金]
アルミ合金は展伸用と鋳造用に分けられるが、本発明で使用できるのは金属珪素を概ね1%以上含んでいるアルミ合金である。このようなアルミ合金は原則として鋳造用アルミ合金であるが、金属珪素を概ね1%以上含んでいるのであれば、展伸用アルミ合金であっても使用できる。同様に珪素を5〜8%含むアルミ合金を使用した溶融鍍金金属、具体的には市販されているアルミ鍍金鋼板、アルミ鍍金ステンレス鋼板も使用できる。
本発明は前述した「新NMT」を改良した技術である。アルミ合金の表面構造は前述した新NMTの要件(a)(b)(c)を全て充足したものである。そして従来型の新NMTで行っていた金属合金に対する表面硬化処理を、過マンガン酸カリを使用した化成処理に変更したことを特徴とする。従来型の「新NMT」では、金属合金の表面処理工程は、(i)脱脂工程、(ii)化学エッチング工程、(iii)微細エッチング工程、及び(iv)表面硬化工程からなるが、本発明では(iv)表面硬化工程に代えて(iv)化成処理工程を採用する。
アルミ合金材は鋳造、圧延や切断や切削、研磨等の機械加工工程を経ており、油剤や指脂が付着している。アルミ合金材表面にグリース等が付着している場合、粘着力のある油剤が付着している場合には脱脂工程前に灯油洗浄などが必要となる。これらのようなもの以外の通常の機械加工工程を終了したアルミニウム合金材は、市販のアルミ用脱脂剤を10%前後溶解した湯中に数分浸漬し、水洗して脱脂する。
脱脂工程を経たアルミ合金材は1〜2%濃度の苛性ソーダ水溶液に数分浸漬してアルカリエッチングする。アルミ合金材表面が、数μm周期の凹凸で、その凹凸高低差がその周期の半分程度のもので覆われるようにエッチング条件を選択する。なお、このアルカリエッチング工程の前に予備酸洗浄工程を入れることが望ましい。アルミニウムは酸水溶液にも塩基水溶液にも溶解する両性金属だが、どちらかというと酸水溶液に浸漬した方が低溶解速度となる。それ故、先ず酸水溶液に浸漬してアルミ合金材に酸分を吸着させるのが好ましい。その後にアルカリエッチング槽に浸漬すると、酸の吸着箇所で直ぐに反応が開始される。即ち、アルカリエッチングには通常、多少の誘導期間があるが、この様に予備酸洗工程を介在させることで、アルカリエッチングの際の誘導期間が殆ど0となる。これによりアルカリエッチング工程の再現性が著しく向上するため、エッチング精度を上げるには予備酸洗浄工程を介在させるのが好ましい。
スマット除去後のアルミ合金材を水溶性アミンの水溶液に浸漬し水洗するのが好ましい。アルミ合金材を、PH9〜10程度の弱塩基性のアミン水溶液に適当な温度で0.5分程度浸漬すると、先ず20〜30nm周期の超微細凹凸面が生じ、浸漬時間を延ばせば一旦凹部が深くなって超微細凹凸の周期と同程度の深さになった後、障壁が崩れだして凹凸周期が50nm、70nm、100nmと次第に荒くなる。本例では、超微細凹凸の周期が50〜100nmとなるように条件を調整した。これにより、前述した不均一的形状である表面の比較的平滑な部分(結晶物が存在しないエリア)を微細エッチングするのである。微細エッチングにはアンモニア水も使用できるが、塩基性が弱く、長い浸漬時間が必要な上に臭気が酷い。また、メチルアミンのような脂肪族アミン類は塩基性が強く、超微細凹凸周期を50〜100nmにするのに(「新NMT」の最も好ましい条件とするのに)短時間で済む。しかし、短時間過ぎるのも量産工程には不安定要素となる。以上から、本発明者らは水和ヒドラジンの水溶液を使用している。
上記微細エッチング工程までを行うことで、アルミ合金材の表面は「新NMT」の3条件を充足する。しかしながら本発明では、微細エッチングした表層を自然酸化層に近い酸化アルミニウムの薄層ではなく、より耐水性のある化成皮膜にする。この化成皮膜はマンガンイオンの含まれた金属酸化物層であり、マンガン酸化物やアルミニウム酸化物の単一金属酸化物層ではなく両者が混ざりあった金属酸化物層と推定している。この化成皮膜を形成するための処理法は、微細エッチング工程を経たアルミ合金材を、弱酸性に調整した過マンガン酸カリ水溶液に浸漬し、水洗するというものである。過マンガン酸カリを1〜数%含む30℃〜50℃の化成処理液に、1分〜数分浸漬することで、超微細凹凸は適切な形状が保持され、且つ優れた耐湿熱性を獲得することができた。
新NMT用のPPS系樹脂が数種市販されている。後述する実験例では「サスティールSGX120(株式会社東ソー製)」を使用した。その組成は特許文献9、10に示されるものと同様であり、樹脂分、フィラー、その他成分からなる。樹脂分の70〜99%がPPSであり、30〜1%が変性ポリオレフィン系樹脂である組成物である。これにこれらの相溶化を促進する成分が含まれているのが好ましい。
新NMT用のPBT系樹脂が数種市販されている。後述する実験例では「BD−01(東レ株式会社製)」を使用した。その組成は樹脂分、フィラー、その他成分からなる。樹脂分の70〜99%がPBTであり、30〜1%がポリエチレンテレフタレート樹脂である組成物である。これに変性ポリオレフィン系樹脂が若干量含まれているのが好ましい。フィラーとしては強化繊維、粉体フィラー等を挙げることができ、強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられ、ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド等が挙げられる。また、粉体フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物等が挙げられる。該充填剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤で処理したものあることが好ましい。その含有量は出来上がった樹脂組成物中の0〜60%、好ましくは30〜40%である。
射出成形金型に表面処理をしたアルミ合金材をインサートし、これに上記PPS系樹脂又はPBT系樹脂を射出する。射出条件は通常のPPS系樹脂、PBT系樹脂の射出成形条件と大きくは変わらない。敢えて言えば、金型温度はやや高めの110〜150℃にすること、又、射出速度と射出圧も通常のPPS、PBT射出成形時の設定条件よりやや高めにすることが好ましい。新NMTの目的は、アルミ合金材表面の超微細凹凸に樹脂を強制的に押し込むことで強い接合力を生み出すことである。それ故、ガス溜まり、ガス焼け等を防止しなければならず、金型にはガス抜きが欠かせない。ガス抜きを徹底した場合には薄バリが出易いが、この薄バリが出るほどしっかり射出することが好ましい。要するに、見た目が綺麗な成形品を得るのを目的にして射出接合工程での射出成形条件を決定するのは好ましくない。目的は強固な接合力を獲得することであり、薄バリが生じて支障がある場合には、後工程で薄バリ除きを行うべきである。
射出接合物(複合体)を射出成形機から離型した後、24時間以内に150〜170℃付近の温度下に1時間程度置く必要がある。これは金属合金部と成形された樹脂部が強い接合を長く保つようにする上で必要な工程である。強い接合力確保を目的とする射出接合では、その金型温度は110〜150℃となっているため、離型し放冷されると金属合金部は100℃程度冷却され線膨張率に応じて収縮する。一方の樹脂部は成形収縮率に応じて収縮する。この収縮率自体が金属合金(ここではアルミ合金)と樹脂(ここではPPSやPBT系樹脂)で異なるし、その収縮する速度(収縮の経時変化)も異なる。
以下、実験例について詳記する。実験に使用した装置を以下に示す。
主に基材表面の観察のために電子顕微鏡を用いた。高分解能走査型(FE−SEM)の電子顕微鏡「SU−70」(日立ハイテクノロジーズ製)を使用し、15kVにて観察した。
さらに、主に基材表面の観察のために走査型プローブ顕微鏡を用いた。この顕微鏡は、先端を尖らせた探針を用いて、物質の表面をなぞるように動かして表面状態を拡大観察する走査型プローブ顕微鏡である。この走査型プローブ顕微鏡として、「SPM−9600」(島津製作所製)を使用した。
本実験例によって得られるアルミ合金と樹脂成形品の複合体50の形状を図6に示す。アルミ合金片51と樹脂成形品53が接合部52によって接合されている。複合体の接合強度の測定として、引張り応力を測定する。具体的には、図7に示すように、引張り試験機で複合体50を引っ張ってせん断力を負荷し、複合体50が破断するときの破断力をせん断破断力として測定した。引張り試験機は「AG−10kNX」(島津製作所製)を使用し、引っ張り速度10mm/分で複合体50を破断させた。
厚さ0.5mmのアルミ鍍金鋼板「アルスター鋼板」(日新製鋼社製)を45mm×18mmに切断し、多数のアルミ鍍金鋼板片を作成した。槽にアルミ用脱脂剤「NE−6」(メルテックス社製)を7.5%含む水溶液(液温60℃)を用意し、この水溶液を脱脂用水溶液とした。また、別の槽に塩酸1%を含む水溶液(液温40℃)を用意し、これを予備酸洗槽とした。また、別の槽に、苛性ソーダを1.5%含む水溶液(液温を40℃)を用意し、これをエッチング槽とした。また、別の槽に3%濃度の硝酸水溶液(液温40℃)を用意し、これを中和槽とした。また、超音波発振端を設けた別の槽にイオン交換水を満たして、これをスマット除去槽とした。また、別の槽に、水和ヒドラジン3.5%含む水溶液(液温60℃)を用意し、これを微細エッチング槽とした。さらに、別の槽に、過マンガン酸カリを2%、酢酸を1%、水和酢酸ナトリウムを0.5%含む水溶液(液温40℃)を用意し、これを化成処理槽とした。
厚さ0.5mmのアルミ鍍金ステンレス鋼板「アルスターSUS」(日新製鋼社製)を45mm×18mmに切断し、多数のアルミ鍍金ステンレス鋼板片を作成した。アルミ鍍金ステンレス鋼板片に実験例1と全く同様の表面処理を施した。このように表面処理したアルミ鍍金ステンレス鋼板片は重ねてアルミ箔で包み保管した。図5にアルミ鍍金ステンレス鋼板片表面の電子顕微鏡写真(1000倍)を示す。拡大写真はアルミ鍍金鋼板片(図1)と酷似している。これは、双方共に珪素が7%程度含まれたアルミ合金が表面層を構成しているためである。
ADC12アルミ合金の鋳造ブロックを切断して、45mm×18mm×1.5mm厚の多数のADC12アルミ合金片を作成した。ADC12アルミ合金片に実験例1と全く同様の表面処理を施した。このように表面処理したADC12アルミ合金片は重ねてアルミ箔で包み保管した。
ADC12アルミ合金の鋳造ブロックを切断して、45mm×18mm×1.5mm厚の多数のADC12アルミ合金片を作成した。これらADC12アルミ合金片に従来型の新NMTの表面処理を施した。ADC12アルミ合金片を先ず実験例1と同じ脱脂槽に5分浸漬し、水道水(群馬県太田市)水洗した。次いで実験例1と同じ予備酸洗槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで実験例1と同じエッチング槽に4分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで実験例1と同じ中和槽に3分浸漬し、実験例1と同じ超音波発振端付きのイオン交換水水槽に5分浸漬し、再度、中和槽に0.5分浸漬し水洗した。次いで実験例1と同じ微細エッチング槽に2分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで常温にした5%濃度の過酸化水素を入れた過酸化水素水槽に5分浸漬し、イオン交換水で水洗した。そして67℃とした温風乾燥機内に15分置いて乾燥した。このように表面処理したADC12アルミ合金片は重ねてアルミ箔で包み保管した。
射出接合用樹脂として、PPS系樹脂である「サスティールSGX120(株式会社東ソー製)」を使用する。このPPS系樹脂は樹脂分中に80%以上のPPSを含み、変性ポリオレフィン系樹脂を10%程度含む、且つ、線膨張率を下げるためにガラス繊維を全体の20%含んでいる。金型温度140℃にした射出成形用金型に実験例1の表面処理を施したアルミ鍍金鋼板片をインサートし、前記PPS系樹脂を射出温度300℃で射出し、射出接合物を多数得た。得られた射出接合物は170℃にセットした熱風乾燥機に1時間入れてアニールした。同様にして、実験例2の表面処理を施したアルミ鍍金ステンレス鋼板片、実験例3の表面処理を施したADC12アルミ合金片、及び実験例4の表面処理を施したADC12アルミ合金片についても、各々とPPS系樹脂組成物との射出接合物を多数得た。
実験例5で得られた各種アルミ合金片とPPS系樹脂との射出接合物4種(各種20個)を、温度85℃湿度85%にした高温高湿試験機に入れ、約200時間、400時間、750時間、1000時間、1500時間経過後に各種3個づつ取り出した。取り出した射出接合物を80℃で30分乾燥した後に引っ張り破断した。測定されたせん断破断力(3個平均)を表2に示した。
実験例2の表面処理を施したアルミ鍍金ステンレス鋼と上記PPS系樹脂との射出接合物10個を、容量500ccのガラス瓶に入れてイオン交換水を半分程度入れ、蓋をして屋内に放置し、陽光が直接当たらぬよう段ボールを蓋の上に置いた。3ヶ月後、6ヶ月後に各々2個づつ取り出し、80℃で0.5時間の乾燥をした後、引っ張り破断試験をした。3ヶ月後に取り出したもののせん断破断力は平均25.2MPa、6ヶ月後に取り出したものは25.3MPaであり、当初の接合力(25.8MPa)から実質的に低下していない。
射出接合用樹脂として、PBT系樹脂である「BD−01」(東レ社製)を使用する。このPBT系樹脂は、樹脂分の主成分がPBT(70%以上)、従成分がPET(10%以上)、その他に変性ポリオレフィン(数%以上)含み、フィラー成分としてガラス繊維を全体の30%以上含む物である。実験例2の表面処理を施したアルミ鍍金ステンレス鋼片に対して、上記PBT系樹脂を射出接合した。このPBT系樹脂「BD−01」では射出温度を270℃とし、金型温度は140℃とした。これによって得られた射出接合物を、150℃にセットした熱風乾燥機に1時間入れてアニールした。翌日に射出接合物3個を引っ張り破断試験したところ、せん断破断力は平均で22.5MPaであり、何れも樹脂折れ破断だった。
実験例8で得たアルミ鍍金ステンレス鋼片とPBT系樹脂との射出接合物10個を、容量500ccのガラス瓶に入れてイオン交換水を半分程度入れ、蓋をして屋内に放置し、陽光が直接は当たらぬように段ボールを蓋の上に置いた。3ヶ月後に2個取り出し、80℃で0.5時間の乾燥をした後、引っ張り破断試験をした。3ヶ月後に取り出したもののせん断破断力は平均20.0MPaであり、双方ともに樹脂折れ破断であった。アルミ鍍金ステンレス鋼板片の破断面には樹脂が全面に付着しており、実質的には接合力低下はなかったものとみられた。
51…アルミ合金
53…樹脂
Claims (5)
- 珪素含有アルミニウム合金と樹脂組成物の複合体であって、
前記珪素含有アルミニウム合金の表面は、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を有し、且つ、その粗度を有する面内には10〜300nm周期の超微細凹凸が形成され、且つ、表層がマンガンを含む金属酸化物薄層であり、
前記樹脂組成物はポリフェニレンサルファイド又はポリブチレンテレフタレートを主成分として含み、前記超微細凹凸に侵入することによって前記珪素含有アルミニウム合金の表面と接合していることを特徴とする金属樹脂複合体。 - 請求項1に記載した金属樹脂複合体であって、
前記珪素含有アルミニウム合金は、鋳造用アルミ合金、アルミ鍍金鋼板、及びアルミ鍍金ステンレス鋼板から選択される1種であることを特徴とする金属樹脂複合体。 - 珪素含有アルミニウム合金の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を生じさせる化学エッチング工程と、
前記化学エッチング工程を経た珪素含有アルミニウム合金の表面に、10〜300nm周期の超微細凹凸を形成する微細エッチング工程と、
前記微細エッチング工程を経た珪素含有アルミニウム合金を、過マンガン酸カリを含む化成処理液に浸漬する化成処理工程と、
ポリフェニレンサルファイド又はポリブチレンテレフタレートを主成分として含む樹脂組成物を、前記化成処理工程を経た珪素含有アルミニウム合金の表面に射出して一体化する射出工程と、
を含むことを特徴とする金属樹脂複合体の製造方法。 - 請求項3に記載した金属樹脂複合体の製造方法であって、
前記珪素含有アルミニウム合金は、鋳造用アルミ合金、アルミ鍍金鋼板、及びアルミ鍍金ステンレス鋼板から選択される1種であることを特徴とする金属樹脂複合体の製造方法。 - 請求項4に記載した金属樹脂複合体の製造方法であって、
前記化成処理工程において、前記微細エッチング工程を経た珪素含有アルミニウム合金を、過マンガン酸カリを1〜数%含む30℃〜50℃の化成処理液に、1分〜数分浸漬することを特徴とする金属樹脂複合体の製造方法。
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