JP2012158273A - 太陽電池を搭載した自転車 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の太陽電池を搭載した自転車は、搭載した太陽電池によって安定的に発電を行うことができなかった。
【解決手段】二つの相対する面を有する太陽電池を搭載した自転車であって、前記二つの面がともに発電面であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は太陽電池を搭載した自転車に関するものである。
近年の高級自転車には、走行を補助するためのモータ、ランプ、ナビゲーションシステム、電動式のギアチェンジ、ギアチェンジを制御するための制御機器等、多くの電子機器が搭載されている。これら電子機器を駆動するためにバッテリーや太陽電池が搭載されている。
図10に、自転車に搭載されている従来の太陽電池900の断面模式図を示す(非特許文献1)。図で示すように、太陽電池900は、Al電極901、P+型の単結晶シリコン902、P型の単結晶シリコン903、N+型の単結晶シリコン904、酸化シリコン905、Ag電極906から構成されている。Al電極901とAg電極906を自転車の電子機器につなぎ、太陽光を酸化シリコン905側から照射することで、太陽電池は発電して電子機器に電力を供給することができる。太陽光をAl電極901側から照射した場合、太陽電池は発電しない。これは、太陽光がAl電極901で反射され、P型の単結晶シリコン903内に進入できないからである。
以後、太陽光を照射したときに発電する太陽電池の面を発電面と定義する。図10で示す太陽電池900の発電面は酸化シリコン905のある面だけである。
以下に、太陽電池に入射した光が太陽電池で吸収されて光電流を発生する過程を示す。太陽電池900に照射された光の一部はP型の単結晶シリコン903で吸収されて光電流を生成する。残りの光は、P型の単結晶シリコン903を通過しAl電極901で反射される。反射された光は再びP型のシリコン903に入射する。入射した光の一部は再びP型の単結晶シリコン903で吸収され、残りはここを通過して酸化シリコン905へ向かう。酸化シリコン905に向かった光の一部は太陽電池外部に逃げるが、残りは反射され、再びP型の単結晶シリコン903に入射する。このようにして、太陽電池に入射した光は、Al電極901と酸化シリコン905の間で繰り返し反射される。そして、この過程で、太陽光はP型の単結晶シリコン903で吸収されて光電流を発生する。従って太陽光の太陽電池内部での反射回数が多いほど、P型の単結晶903に吸収される光の量が増え、太陽電池のエネルギー変換効率(太陽電池が発電可能なエネルギーの最大値と入射した太陽光エネルギーの比の百分率)が増大する。
太陽電池内での太陽光の反射回数は、太陽光の発電面に凹凸があった方が無い場合に比べて多くなる。そして、凹凸は規則的であるよりも無秩序である方が光の反射回数が増大する(非特許文献2)。従って、従来の太陽電池900の発電面の表面には、高さが0.1〜10μmの凹凸が形成されていた。
従来の太陽電池の発電面の凹凸の形成は、P型の単結晶シリコン903を化学的にエッチングすることで行われていた。例えば、数%ないし10数vol%の水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム水溶溶液に5〜50vol%のイソプロピルアルコールを添加した60〜95℃の混合溶液にP型の単結晶シリコン基板を10〜30分浸漬することで、このP型の単結晶表面に凹凸形状が形成できる。その後、凹凸形状が形成された単結晶シリコン基板表面に、順に、N+型の単結晶シリコン904、酸化シリコン905を形成することで、発電面に凹凸形状を有する太陽電池が作製できる。
特開平08−080883号公報 特開平02−306888号公報
P, Jayarama Reddy著「Science and Technology of Photovaltaics」CRC Press, 2010年, P30 Jenny Nelson著「the physics of solar cells」Imperial College Press, 2003年,P274−278
自転車は様々な向きに走行するので、太陽光は太陽電池の発電面に対して様々な方向から入射する。従来の太陽電池は発電面が一つしかないので、走行方向によっては、太陽電池の発電面に光がほとんど当たらない場合が生じる。そのため、走行中に太陽電池の発電量が大きく変動するという課題があった。
さらに、従来の自転車に搭載されている太陽電池は、単結晶シリコン表面に凹凸を作るための工程が必要であった。このため、凹凸がない太陽電池に比べて製造コストが高くなるという課題があった。また、凹凸を形成するために多量のアルカリ水溶液が必要であり、廃液処理コストがかかるという課題もあった。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、自転車があらゆる向きに走行しても、発電量が大きく変動しない太陽電池を搭載した自転車を提供することである。
さらに、本発明の別の目的は、単結晶シリコン表面に凹凸を有しない太陽電池を搭載した自転車を提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の太陽電池を搭載した自転車は、二つの相対する面を有する太陽電池を搭載した自転車であって、前記二つの面がともに発電面であることを特徴とする。
この構成によれば、太陽電池には発電面が2つあるので、自転車が様々な向きに走行しても、太陽電池の出力が極端に低下することが無くなる。
また、本発明の自転車に搭載されている太陽電池は、前記二つの発電面の上に、それぞれ、2個以上の液滴が配置されていることが望ましい。
この構成によれば、太陽電池に入射した太陽光を液滴が散乱するので、単結晶シリコンに凹凸が無くても、凹凸がある場合と同等のエネルギー変換効率を実現することが可能となる。
本発明の太陽電池を搭載した自転車は、発電面を2つ有する太陽電池を搭載している。このため、本発明の自転車は、走行時に太陽電池の出力が極端に低下することが無く、自転車の電子機器に安定的に電力を供給することができる。
また、本発明の自転車に搭載されている太陽電池は、発電面に2個以上の液滴を配置している。これらの液滴が従来の太陽電池の発電面の凹凸と同等の役割を果たす。従って、本発明に用いる太陽電池は、発電面に液滴が配置されていれば、発電面に凹凸が無くても、凹凸がある場合と同等のエネルギー変換効率を実現できる。
従って、本発明の自転車に用いる太陽電池の作製工程において、単結晶シリコンをエッチングする工程と、アルカリ性の液体を処理する工程が省ける。従って、太陽電池の製造コストは、凹凸のある従来の太陽電池の場合に比べて安くなる。この結果、太陽電池を搭載した本発明の自転車の価格は、従来の自転車に比べて安くなる。
また、本発明の、発電面に2個以上の液滴を配置した太陽電池を搭載した自転車は、走行している方が、走行しない場合よりも電子機器に多くの電力を供給できるという効果を有する。これは以下の理由による。すなわち、自転車が走行していない場合、太陽用電池の発電面に配置した全ての液滴の形状は、液体の球の一部を切り取った形状である。一方、自転車が走行し、液体に風が当たると、液滴の形状は球形状からずれる。風の強さと向きは発電面の場所によって異なるので、個々の液滴の形状は異なり、全体としてみた場合、液滴の形状は無秩序になる。液滴の形状は、全てが同じであるよりも、無秩序な方が太陽光の太陽電池内で反射回数が増える(非特許文献2)。この結果、自転車が走行している方が、走行しない場合よりも太陽電池のエネルギー変換効率が増大する。
本発明の太陽電池を搭載した自転車の模式図 本発明の太陽電池を搭載した自転車に使用する太陽電池の断面模式図 本発明の太陽電池を搭載した自転車に使用する太陽電池の平面模式図 本発明の太陽電池を搭載した自転車に使用する太陽電池の断面模式図 本発明の太陽電池を搭載した自転車に使用する太陽電池の平面模式図 本発明の太陽電池を搭載した自転車に使用する太陽電池の平面模式図 図4のA部の拡大図 本発明の太陽電池を搭載した自転車に使用する太陽電池の平面模式図 実施例で作製した太陽電池の評価方法を示した模式図 自転車に搭載されている従来の太陽電池の断面模式図
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に本発明の、太陽電池を搭載した自転車の模式図を示す。本発明の自転車109は、太陽電池100が上管102に固定されている。この太陽電池には、発電面が2つある。一つは図1で示された発電面101であり、もう一つは、この発電面101の裏側である。太陽電池は、発電面101が、上管101、下管103、立管104を含む面に対して水平になるように固定されている。
本実施の形態の自転車に搭載されている太陽電池100は、発電面を2つ持っている。従って、どの方向に走行しても、太陽電池100の2つの発電面のどちらかには必ず光が照射され。このため、本発明の自転車に搭載されている太陽電池は、発電面が一つしかない従来の太陽電池に比べて、自転車の電子機器に安定的に電力を供給することが可能となる。
本実施の形態の自転車と太陽電池の構成は、太陽電池が相対する二つの発電面を有していれば特に制限を受けることはない。
図2、3に、本実施の形態で用いることのできる太陽電池の構造模式図を示す。本実施の形態の太陽電池の構造と作製方法は、従来のHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)型の太陽電池とほぼ同一である。HIT型太陽電池の構造と作製方法は、例えば、非特許文献(M. Tanaka, M. Taguchi, T. Matsuyama, T. Sawada, S. Tsuda, S. Nakano, H. Hanafusa, and Y. Kuwano; Japanese Journal of Applied Physics, 31巻, 1992年,P3518〜3522)に記されている。
図2は、本実施の形態で用いる自転車に搭載される太陽電池の断面模式図である。図で示すように、太陽電池100は、第1の透明保護膜200(厚み0.1〜10mm)、櫛型電極214(厚み0.1〜10μm)、透明導電膜201(厚み50〜300nm)、N型の非晶質シリコン膜202(厚み5〜100nm)、真性半導体の非晶質シリコン膜203(厚み2〜5nm)、N型の単結晶シリコン膜204(厚み100〜200μm)、真性半導体の非晶質シリコン膜205(厚み2〜4nm)、P型の非晶質シリコン膜206(3〜20nm)、透明道電膜207(厚み50〜300nm)、櫛型電極215(厚み0.1〜10μm)、および、第2の透明保護膜208(厚み0.1〜10mm)が順に積層された構造からなる。
太陽電池で発生した光電流は、透明導電膜201に電気的に接触している櫛型電極214と、透明導電膜207に電気的に接触している櫛型電極215から取り出す。図3は、透明導電膜207に電気的に接触している櫛型電極215の平面模式図である。この図で示すように、それぞれの櫛型電極215は、共通電極301と302によって電気的に接続している。櫛形電極214の形状も櫛型電極215の形状と同一であり、共通電極で電気的に接続している。
本実施の形態の太陽電池は以下の方法で作製することができる。
最初に厚み100〜200μmのN型単結晶シリコン基板表面に凹凸形状を作製する。凹凸形状は、単結晶シリコン表面を化学的にエッチングすることで形成できる。例えば、数%ないし10数vol%の水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム水溶溶液に5〜50vol%のイソプロピルアルコールを添加した60〜95℃の混合溶液に単結晶シリコンを10〜30分浸漬することで凹凸を形成することができる。以上の方法によって表面に凹凸を作製したシリコン基板が、図2で示したN型の単結晶シリコン膜204となる。
凹凸を形成した単結晶シリコン基板の片面に、真空プラズマCVD法により、順に、真性半導体の非晶質シリコン膜とP型の非晶質シリコン膜を成膜する。真性半導体の非晶質シリコン膜の形成には、原料ガスとしてシラン(SiH4)ガスと水素ガスの混合ガスを用いる。また、P型の非晶質シリコン膜の形成には、原料ガスとして、シランガス、ジボランガス(B2H6)、水素ガスの混合ガスを用いる。
次に、P型の非晶質シリコン膜上に、真空スパッタリング法により、透明導電膜を形成する。透明導電膜材料としては、酸化インジウム錫、酸化錫、または、酸化亜鉛膜を用いることができる。
次に、単結晶シリコン基板の別の面に、順に、真性半導体の非晶質シリコン膜とN型の非晶質シリコン膜を上記と同様の方法で形成する。その後、このN型シリコン非晶質シリコン膜の上に透明導電膜を上記と同様の方法で形成する。
次に、単結晶シリコンの両面に、図3で示した櫛形状の電極と共通電極を形成する。これらの電極は、フォトリソグラフィー法またはスクリーン印刷法で形成することができる。例えば、形成したい電極のパターンに対してネガの関係にあるレジストパターンを透明導電膜上に形成する。次に、レジストパターン上に金属膜を、真空蒸着法により形成する。その後、レジストを剥離することで、電極パターンを形成することができる。または、金属微粒子と樹脂の混合液体をスクリーン印刷法で印刷することで、所定の電極パターンを形成することができる。電極材料としては、Al、Ag、Auを使用することができる。
最後に、図2で示す、透明導電膜201、207上に、それぞれ、第1の透明保護膜200、第2の透明保護膜208を形成する。透明保護膜としては、ガラス板、透明シートを使用できる。透明シートの材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂やポリメチルメタアクリレート樹脂が使用できる。これら、透明保護膜は、透明な接着剤で透明導電膜201、207に貼り付ける。透明性の接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を用いることができる。
(実施の形態2)
図4〜7は、本実施の形態の自転車に搭載する太陽電池の模式図である。
図4は、太陽電池の断面模式図である。この太陽電池430の構造は、実施の形態1で用いた太陽電池とほぼ同じであるが、以下の2点が異なる。一つ目は、N型の単結晶シリコン膜404の表面が平滑であること、二つ目は、第1の透明保護膜400と第2の透明保護膜408表面に、それぞれ、液滴410、412が配置されていることである。
図5は、透明導電膜407に電気的に接触している櫛型電極415の平面模式図である。この図で示すように、それぞれの櫛型電極415は、共通電極501と502によって電気的に接続している。櫛形電極414の形状も櫛型電極415の形状と同一であり、共通電極で電気的に接続している。
図6は、太陽電池430を、第2の透明保護膜408側から見た平面模式図である。この図で示すように、多数の液滴412が配置されている。この液滴を第2の透明保護膜408上に安定に配置するために、第2の透明保護膜408上には撥水性薄膜411のパターンが形成されている。図7は、図4のAの領域の拡大図である。この図で示すように、第2の透明保護膜408上は、撥水性薄膜411が形成されている領域701と、形成されていない領域702からなる。そして、領域701は領域411を取り囲むようになっている。第2の透明保護膜408の表面を親水性にしておくことで、領域702は親水性領域になる。従って、撥水性である領域701が親水性である領域702を取り囲むことになる。親水性である領域702に液滴412を配置することで、液滴412は第2の透明保護膜408上に安定にととどまることができる。第1透明保護膜400上にも、第2の透明保護膜408と同様に、撥水性領域と親水性領域が形成されており、親水性の領域に液滴410を配置している。
配置する液体の種類には制限はないが、常温で揮発しにくいものが望ましい。このようなものとして、シリコーンオイル、フッソ系溶媒、機械オイルなどを使用することができる。この中でも、シリコーンオイルとフッソ系溶媒は太陽光に対して透過率がよいので好ましい。
液滴410、412には、透明保護膜からの界面張力と重力が働く。液滴の体積が0.5mm3よりも小さい場合、界面張力は重力よりも大きくなる(非特許文献:T. Nakagawa and H. Arase; Japanese Journal of Applied Physics, 50巻, 2011年,P01BJ09-1)。従って、液滴410、412の大きさが0.5mm3よりも小さい場合は、太陽電池を鉛直方向に対してどのような方向に向けても液滴は透明保護膜から脱離しない。これらのことから、液滴410、412の体積は0.5mm3よりも小さいことが好ましい。
第1の第2の透明保護膜400、408への撥水性薄膜の形成は、これらの透明保護膜を透明導電膜400、408に貼り付ける前に行う。透明保護膜上への撥水性薄膜の形成は、例えば、シランカップリング剤を用いて行うことができる。まず、透明保護膜表面に酸素プラズマ、または、オゾンガス中で紫外線を照射する。この工程によって、透明保護膜表面を親水性にする。次に、フッ化炭素鎖(CF3(CF2)n-:nは1〜10の自然数)または炭化水素鎖(CH3(CH2)n-:nは3〜20の自然数)を有するシランカップング剤の蒸気、または、シランカップリング剤が溶解した液体に透明保護膜を曝すことで、撥水性薄膜を形成することができる。例えば、CF3(CF2)2C2H4SiCl3、CF3(CF2)7C2H4SiCl3、または、CH3(CH2)17SiCl3を1〜10vol%を溶解した有機溶媒中に透明保護膜を1〜3時間浸漬し、その後、透明保護膜を取り出し有機溶剤で洗浄することで、透明保護膜表面に撥水性薄膜を形成することができる。有機溶剤としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロエチルブチルエーテル、ヘキサデカン等を用いることができる。
また、シランカップリング剤を入れたシャーレと、透明保護膜を同一の真空容器内に入れることで、シャーレ内のシランカップリング剤は、蒸発して透明保護膜表面に吸着し撥水性薄膜を形成する。このとき、シャーレを加熱すれば、より短時間で撥水性薄膜を形成することができる。
透明保護膜上に形成した撥水性薄膜をパターニングして親水性領域と撥水性領域を形成する方法は、例えば、非特許文献(H. Sugimura, N. Saito, Y. Ishida, K. Hayashi, and O. Takai; Journal Vacuum Science and Technology, 2004年,P1428〜1432)に記載されている。具体的には、撥水性薄膜を形成した透明保護膜に、フォトマスクを密着させて真空紫外光を照射する。光が当たった領域の撥水性薄膜は光反応により分解してなくなり、その領域は親水性になる。光が当たらない領域は撥水性のままである。これにより、撥水性の領域と親水性の領域を作成することができる。
また、フォトリソグラフィー法を用いても親水性領域と撥水性領域を形成することができる。まず、フォトリソグラフィー法で、レジストのパターンを透明保護膜上に形成する。次に、前述したのと同様の方法で。この透明保護膜上に撥水性薄膜を形成する。最後に、透明保護膜をエタノールまたはプロピルアルコールに曝してレジスト膜を剥離する。この結果、レジスト膜のあった領域は撥水性薄膜が形成されないので親水性領域になり、レジスト膜の形成されていない領域は撥水性薄膜が形成されるので撥水性の領域になる。この結果、透明保護膜上に撥水性と親水性の領域が形成できる。
撥水性と親水性の領域を形成した透明保護膜400、408は、その後、それぞれ、透明導電膜401、407上へ貼り付ける。その後、これらの透明保護膜上に液滴410、412を配置する。液滴410、412の配置は、ディスペンサを用いて行うことができる。または、配置したい液体をスピンコート法で透明保護膜上に塗布することで、液体を親水性領域に選択的に配置することができる。または、ブレードコート法、ディップ法で液体を透明保護膜に塗布しても、液体を親水性領域に選択的に配置することができる。
本実施の形態の太陽電池を搭載した自転車は、発電面に二個以上の液滴が配置した太陽電池を搭載している。この液滴は、従来の太陽電池の発電面の凹凸と同じ役割を果たす。従って、本実施例で用いる太陽電池は、N型の結晶シリコン膜404の表面に凹凸を形成しなくても、凹凸を形成した従来の太陽電池と同等のエネルギー変換効率を実現できる。
さらに、本実施の形態の太陽電池を搭載した自転車は、走行していない場合に比べて、走行している時の方がより多くの電力を電子機器に供給することができるという効果を有する。
この理由を、透明保護膜408に配置された液滴412について説明する。図7は、自転車が走行していない場合の、透明保護膜408上に配置した液滴412の形状を示した模式図である。液滴の体積は0.5mm3以下とする。液滴412の形は、気体/液体の界面張力(以下表面張力という)と液滴に作用する重力によって決まる。一方、液滴の体積が0.5mm3よりも小さい場合、表面張力は重力よりも大きくなる。従って、液滴412の形は、表面張力によってのみ決まり、球形状になる。従って、透明保護膜に配置した液滴412全ての形状は、球の一部を切り取った形状になる。
図8は、自転車が走行した場合の透明保護膜408上の液滴801の形状を示した模式図である。自転車の走行によって液滴に空気が当たり、液滴801は球形状が変形した形となる。空気の方向と強さは場所によって微妙に変化するの、液滴801の形状はそれぞれ異なったものとなる。従って、透明保護膜408に配置された多数個の液滴801の形状は、全体としてみれば無秩序である。無秩序な凹凸を発電面に有する太陽電池のエネルギー変換効率は、凹凸が規則的な場合に比べて高くなる(非特許文献2)。ここで、透明保護膜上に配置された液滴は従来の発電面の凹凸と同じ役目を果たす。これらのことから、風が当たった方が太陽電池のエネルギー変換効率が増大する。
(実施例)
以下の3種類の太陽電池を作製し、エネルギー変換効率を比較した。
太陽電池R1:発電面に凹凸がある太陽電池
太陽電池R2:発電面に凹凸が無い太陽電池
太陽電池P:発電面に凹凸が無いが、液滴が配置された太陽電池
以下に、それぞれの太陽電池の作製方法を示す。
(1)太陽電池R1の作製方法
太陽電池R1の構造模式図を図2と図3に示す
一辺が30mmの正方形形状、厚み200μmのN型単結晶シリコン基板を用意した。このシリコン結晶の面方位は(100)であり、抵抗率は1Ω・cmであった。次に、この基板を沸騰したイソプロピルアルコール中で浸漬洗浄した後、10数vol%の水酸化カリウム水溶溶液に50vol%のイソプロピルアルコールを添加した80℃の混合溶液に30分浸漬した。この操作により、シリコン基板表面には微細な凹凸が形成できた。
次に、この単結晶シリコン基板の片面に、厚み3nmの真性半導体の非晶質シリコン薄膜と、厚み20nmのP型の非晶質シリコン膜をプラズマCVD法で形成した。真性半導体の非晶質シリコン膜の作製条件は、シラン(SiH4)ガスの流量が5sccm、水素ガスの流量が100sccm、圧力は10Pa、プラズマの出力が50mW/cm2であった。P型の非晶質シリコンの作製条件は、シランガスの流量が5sccm、ジボランガス(B2H6)の流量が0.3sccm、水素ガスの流量が80sccm、圧力が10Pa、プラズマ出力が50mW/cm2であった。次に、P型の非晶質膜106上に、真空スパッタリング法により厚み100nmのインジウム錫酸化物を作製した。
次に、単結晶シリコン基板のもう一方の面に、厚み3nmの真性半導体の非晶質シリコン薄膜と、厚み100nmのN型の非晶質シリコン膜をプラズマCVD法で形成した。真性半導体の非晶質シリコン膜の作製条件は、シラン(SiH4)ガスの流量が5sccm、水素ガスの流量が100sccm、圧力は10Pa、プラズマの出力が50mW/cm2であった。N型の非晶質シリコン膜の作製条件は、シランガスの流量が5sccm、フォスフィンガス(PH3)の流量が0.2sccm、圧力が10Pa、プラズマ出力が5050mW/cm2であった。次に、N型の非晶質シリコン膜上に、真空スパッタリング法により厚み100nmのインジウム錫酸化物を作製した。
図3は、透明導電膜207上に形成した櫛型電極215の平面模式図である。櫛型電極215は、共通電極301と302によって電気的に短絡した構造である。幅1mm櫛型電極215が5mmの間隔で配置した。また、共通電極の幅は3mmとした。透明導電膜201上に形成する櫛型電極214と共通電極は、櫛型215、共通電極301、302と同一である。櫛型電極214と215、および、共通電極はフォトリソグラフィー法で作製した。まず、透明導電膜201と207上にレジスト膜のパターンを形成した。レジスト膜が形成されていない部分のパターン形状がくし型電極および共通電極のパターン形状に同一になるようにした。次に、レジストパターンを形成した透明導電膜101と107上に厚み500nmのAg薄膜を電子ビーム蒸着法で形成した。Ag薄膜の膜厚は400nmとした。最後に、レジスト膜を除去することで、櫛型電極と共通電極を形成した。
最後に、大きさ30mm、厚み0.5mmの石英ガラスを、EVAで、それぞれ、透明導電膜201、207上に貼り付けた。
(2)太陽電池R2の作製方法
太陽電池R2は太陽電池R1と同じ方法で作製した。ただし、単結晶シリコン基板表面への凹凸形成工程は省いた。
(3)太陽電池Pの作製方法
太陽電池Pの構造模式図を図4〜6に示す。太陽電池Pの作製方法は、以下で示す工程以外は太陽電池R2と同じである。すなわち、第1の透明保護膜401と第2の透明保護膜408を、それぞれ、透明導電膜401と透明導電膜407に貼り付ける前に、撥水性薄膜409、411を形成した。その後これらの透明保護膜を貼り付け、最後に液滴410、412を配置した。
透明保護膜上への撥水性薄膜の作製方法を以下に示す。太陽電池R1、R2と同様に、透明保護膜として、厚み0.5mmの石英ガラスを用いた。最初に、ガラス基板を界面活性剤で洗浄後、ガラス基板上にポジレジスト膜のパターンをフォトリソグラフィー法で形成した。レジストのパターンは、直径20μmの穴が50μm間隔で格子状に配置した形状である。次に、基板を、CF3(CF2)7C2H4SiCl3が1vol%溶解したパーフルオロエチルブチルエーテル中に2時間浸漬した。その後、基板をパーフルオロエチルブチル溶液から取り出し、基板に付着していた溶液を蒸発させて除去した。これらの操作は全て、乾燥窒素ガスで満たされたグローブボックス中で行った。その後、ガラス基板をレジストをイソプロピルアルコールに浸漬してレジスト膜を剥離した。
次に、太陽電池R2の作製方法と同じ方法で、このガラス板を透明導電膜上に貼り付けた。
最後に、太陽電池の両面に、ディップコート法でシリコーンオイル(信越化学製:KF-96A-6cs)を塗布した。この結果、第1の透明保護膜400と第2の透明保護膜408上に、それぞれ、液滴410と412が配置された。
(3)太陽電池の評価方法
図9は、作製した太陽電池817の測定方法を示した模式図である。太陽電池817を、スペーサ814をはさんで台815に配置した。太陽電池817は、P型の非晶質シリコン膜が上に向くように台815に配置した。スペーサ814は、太陽電池Pの表面に配置した液滴が台815に接触することを防ぐために使用している。そして、太陽電池に817に擬似太陽光813を照射した。擬似太陽光の光強度はエアマス1.5(AM4.5)とした。擬似太陽光の照射角度811は0、45、90度とした。また、小型扇風機(図示せず)を用いて、図中矢印方向816から風を太陽電池817に当てた。風速は、約20Km/hになるようにした。この速度は、自転車の一般的な走行速度である。
擬似太陽光の照射とエネルギー変換効率の測定は、ワコム電創社製のソーラシミュレータ(スーパーソーラーシミュレータWXS-90S-L2, AM1.5GMM)を用いて行った。
(4)測定結果
表1に太陽電池エネルギー変換効率の測定結果を示す。
Figure 2012158273
表1から、太陽電池に風を当てない場合において、太陽電池Pのエネルギー変換効率は太陽電池R2よりも大きくなった。このことは、太陽電池Pに配置した液滴が、従来の太陽電池の凹凸の役目を担うことができることを示している。
さらに、太陽電池Pは、風が当たることによりエネルギー変換効率が9.3%まで増加し、従来の太陽電池R1の変換効率10.1%に近い値になった。
以上の結果から、発電面に凹凸形状が無い太陽電池でも、発電面に液滴を配置することで、凹凸のある従来の太陽電池のエネルギー変換効率に近づくことが示された。また、発電面に液滴を配置した太陽電池のエネルギー変換効率は、風が当たることで、増大することが示された。
本発明にかかる太陽電池を搭載した自転車は、発電面を2つ有するので、走行中安定的に自転車搭載した電子機器に電力を送ることができる。このため、バッテリーが要らないか、または、バッテリーへの充電回数が少なくて済む。バッテリーの充電には、通常、化石燃料で生成した電力を使用する。従って、本発明にかかる自転車は、化石燃料をあまり使用しない、環境破壊を防ぐ自転車として有用である。
また、本発明に使用した太陽電池は、風が当たるとエネルギー変換効率が向上するので、バイク、自動車、建設機械等、移動体搭載用としても有用である。
100 太陽電池
101 発電面
102 上管
103 下管
104 立管
105 前輪
106 後輪
107 ハンドル
108 サドル
109 自転車
200 第1の透明保護膜
201 透明導電膜
202 N型の非晶質シリコン膜
203 真性半導体の非晶質シリコン膜
204 N型の単結晶シリコン膜
205 真性半導体の非晶質シリコン膜
206 P型の非晶質シリコン膜
207 透明導電膜
208 第2の透明保護膜
214 櫛型電極
215 櫛型電極
301 共通電極
302 共通電極
400 第1の透明保護膜
401 透明導電膜
402 N型の非晶質シリコン膜
403 真性半導体の非晶質シリコン膜
404 N型の単結晶シリコン膜
405 真性半導体の非晶質シリコン膜
406 P型の非晶質シリコン膜
407 透明導電膜
408 第2の透明保護膜
409 撥水性薄膜
410 液滴
411 撥水性薄膜
412 液滴
414 櫛型電極
415 櫛型電極
501 共通電極
502 共通電極
701 撥水性膜が形成されている領域
702 撥水性薄膜が形成されていない領域
801 液滴
811 擬似太陽光の入射角
812 太陽電池の発電面に垂直な直線
813 擬似太陽光
814 スペーサ
815 台
816 風の向き
817 太陽電池
900 太陽電池
901 Al電極
902 P+型の単結晶シリコン
903 P型の単結晶シリコン
904 N+型の単結晶シリコン
905 酸化シリコン
906 Ag電極

Claims (4)

  1. 二つの相対する面を有する太陽電池を搭載した自転車であって、前記二つの面がともに発電面であることを特徴とする、太陽電池を搭載した自転車。
  2. 前記二つの面の上に、それぞれ、2個以上の液滴が配置されている請求項1記載の太陽電池を搭載した自転車。
  3. 前記太陽電池が、第1の透明保護膜、透明導電膜、N型の非晶質シリコン膜、真性半導体の非晶質シリコン膜、N型の単結晶シリコン膜、真性半導体の非晶質シリコン膜、P型の非晶質シリコン膜、透明導電膜、および、第2の透明保護膜が、この順番で積層された構造を含む、
    請求項2記載の太陽電池を搭載した自転車。
  4. 前記第1の透明保護膜、および、前記第2の透明保護膜の表面は、撥水性の領域に囲まれた親水性の領域が形成され、前記親水性の領域に前記液滴が配置されている請求項3記載の太陽電池を搭載した自転車。
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