JP2012161966A - 樹脂フィルム、及び照明用カバー - Google Patents

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Abstract

【課題】光学特性を低下させずに、剛性を付与した樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】樹脂フィルム1は、延伸した樹脂基材10,12,14の2枚以上を接着層16,18で貼り合わせてなる。前記接着層の厚さは5μm以上50μm以下であり、前記接着層に対向する前記樹脂基材の表面が易接着層20,22,24,26を介して易接着処理されてなり、総厚が0.6mm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学特性を低下させずに剛性を付与した樹脂フィルム、この樹脂フィルムを用いた照明用カバーに関する。
照明器具では、白熱灯の電球や、蛍光灯の蛍光管などの光源を外部に露出して用いることが多い。これは、明るくしたい場所をより明るく照らして、光源の光利用率を上げるためである。しかしながら、光源が露出するため塵などが付着することがあり、これを防ぐべく、光の透過性に優れたカバーを付設することが望まれている。
一方で、光源を紙や白色フィルム等の光拡散部材で囲い、光を拡散することで、光源を露出させて用いる場合よりも、広範囲を照明することが知られている。
近年、白熱灯や蛍光灯に代えて、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を光源に用いた種々の形態のディスプレイや照明装置が提供されている。LEDは低消費電力で長期信頼性に優れるが、LEDの光は指向性が強く照射光が広がりにくい特徴がある。従ってLEDを照明装置の光源として用いた場合は、特に、一定の方向に対しては高い輝度の光を照射するが、それ以外の方向では輝度が弱い。
そこで、LEDから発せられた光を光拡散部材に通して、光を様々な方向に拡散させることによって、いずれのLEDから光が発せられたかを分らないようにしている(LED光源の隠蔽性)。これにより、LEDから発せられる光の全体が均一化されるため、照明輝度のムラを抑えることができる。
このような用途の光拡散部材に対しては、光の拡散性が高いことに加え、光の利用効率を示す全光線透過率が高いことも求められている。
ここで、光拡散部材の例としては、例えば、接着層を介して貼り合わされた一対のプラスチック部材を有し、前記一対のプラスチック部材及び前記接着層の少なくとも1つが光拡散機能を有する光拡散シートにおいて、前記一対のプラスチック部材がいずれも50μm以上の厚さであり、前記接着層がアクリル系ポリマー粘着剤からなる厚さ30μm以上の層であることを特徴とする光拡散シートが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の光拡散シートによれば、フィルム状のレンチキュラーレンズ部材等と剛性のあるシート状の支持部材等とを貼り合わせて光拡散機能を有する光拡散シートを製造する場合において、貼り合わせ部材に変形が生じない、とされている。
また、液晶ディスプレイや電飾看板等に使用されるバックライト用の光拡散板として、例えば、合成樹脂からなる光拡散板であって、前記光拡散板の両方の面に、フィルムを貼り合わせてなる光拡散板が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2の光拡散板によれば、経時的に寸法変化を起こすことなく光学特性を損なわない、とされている。
更に、映像不良の原因となるたわみを発生させることのないバックライト用光学部材として、少なくとも2枚の厚み6〜75μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを接着層を介して貼り合わせてなる支持体上に、機能層を有してなるバックライト用光学部材が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2006−208874号公報 特開2005−275015号公報 特開2005−283743号公報
上述の通り、これまで光拡散部材については、光拡散性及び全光線透過率を高める開発が進められてきた。しかしながら、照明用のカバーとして用いる場合には、外部に曝されて使用されることから、更なる剛性が必要であることが明らかとなった。
上記課題を鑑み、本発明では、光学特性を低下させずに、剛性を付与した樹脂フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を鑑みて、剛性を高めるべく基材の厚さを厚くする検討を行ったが、基材を厚くするだけでは所望の剛性が得られず、また全光線透過率も低下することが明らかとなった。
更なる検討の結果、基材が厚くなると接着強度を高めるために接着層が厚くなることに起因して、剛性や全光線透過率が低下していることが判明した。具体的には、接着層が厚くなったことにより、基材の貼り合わせのときに接着層が気泡を巻き込み、或いは接着剤の反応によって気泡が発生していることを突き止めた。この接着層における気泡によって、接着層が剥離して剛性が低下し、更には全光線透過率が低下していることが判明した。
そこで、接着層における気泡の発生を抑える方策を検討したところ、基材が厚く、総厚が0.6mm以上であっても、接着層の厚さを5μm以上50μm以下の樹脂フィルムとし、接着層に対向する樹脂基材の表面が易接着処理されることで、気泡の発生が抑えられることが見出された。
すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 延伸した樹脂基材の2枚以上を接着層で貼り合わせ、前記接着層の厚さが5μm以上50μm以下であり、前記接着層に対向する前記樹脂基材の表面が易接着処理されてなり、総厚が0.6mm以上である樹脂フィルム。
<2> 前記樹脂基材のうちの少なくとも1枚は、延伸したPETフィルムである前記<1>に記載の樹脂フィルム。
<3> 前記樹脂基材のうちの少なくとも1枚は、二軸延伸したPETフィルムである前記<1>又は<2>に記載の樹脂フィルム。
<4> 前記樹脂基材の1枚の厚さが、0.15mm以上0.3mm以下である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
<5> 荷重撓み量が、0.12mm/g以下である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
<6> 前記接着層と前記樹脂基材との密着力が、0.6N/mm以上である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
<7> 最外面に、ハードコート層を有する前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
<8> 最外面に、光拡散層を有する前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
<9> 更に、前記樹脂基材以外の基材を用い、該基材がガラス基材である前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
<10> 前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを用いる照明用カバー。
<11> 照明の光を拡散させる光拡散シートである前記<10>に記載の照明用カバー。
<12> 照明の光を透過させる透明シートである前記<10>に記載の照明用カバー。
本発明によれば、光学特性を低下させずに、剛性を付与した樹脂フィルムが提供される。
本発明の樹脂フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の樹脂フィルムの他の一例を示す概略断面図である。 本発明の樹脂フィルムの他の一例を示す概略断面図である。 本発明の樹脂フィルムの他の一例を示す概略断面図である。 荷重撓み量の測定方法を説明する図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の樹脂フィルムにおける荷重撓み量の測定結果を示すグラフである。
本発明の樹脂フィルムは、延伸した樹脂基材の2枚以上を接着層で貼り合わせ、前記接着層の厚さが5μm以上50μm以下であり、前記接着層に対向する前記樹脂基材の表面が易接着処理されてなり、総厚が0.6mm以上である。
本発明においては、樹脂フィルムの総厚が0.6mm以上であって、接着層の厚さが5μm以上50μm以下の樹脂フィルムとしたときであっても、接着層に対向する樹脂基材の表面が易接着処理されることで、接着層での気泡の発生が抑えられる。この理由は明らかではないが、易接着処理によって、発生した気泡が抜け易くなっているものと推測される。このように、本発明では接着層において気泡の発生が抑制されることから、接着層の剥離による剛性の低下が抑えられ、且つ全光線透過率の低下が抑えられる。
なお、延伸した樹脂基材は2枚以上有していればよく、樹脂基材の間のそれぞれにおいて接着層で貼り合わせられる。また、易接着処理は、易接着層の付設であっても、コロナ放電処理であってもよい。また、本発明の光拡散フィルムは、前記樹脂基材及び前記接着層の他に、更に必要に応じて、ハードコート層や光拡散層等の表面機能層、中間層等その他の層を有してもよい。
以下では、本発明の樹脂フィルムの層構成の例について図を参照しながら説明する。
図1〜図4では、本発明の樹脂フィルムの層構成について、一例を断面図として示す。
図1に示す樹脂フィルム1では、3枚の樹脂基材10,12,14を有し、この3枚の樹脂基材10,12,14の間はそれぞれ接着層16,18で貼り合わせられている。接着層16,18に対向する樹脂基材10,12,14の表面には、それぞれ易接着層20,22,24,26が設けられている。
図1では、更に、最外面に、表面機能層28,30が設けられている。しかし、表面機能層28,30の設置は任意であり、また表面機能層28,30のいずれか一方のみが設置されていてもよい。表面機能層28,30は、耐傷性を向上させるためのハードコート層であってもよいし、空気と拡散フィルムとの屈折率差を緩和するための屈折率調整層であってもよい。また、色味を調整する色味調整層であってもよい。
図2に示す樹脂フィルム2では、3枚の樹脂基材10,12,14を有し、この3枚の樹脂基材10,12,14の間はそれぞれ接着層16,18で貼り合わせられている。接着層16,18に対向する樹脂基材10,12,14の表面には、それぞれ易接着層20,22,24,26が設けられている。以上の構成は、図1の樹脂フィルム1と同様である。
図2に示す樹脂フィルム2では、最外面の一方に光拡散層32が付設され、他方に表面機能層28が付設される。表面機能層28の設置は任意であり、光拡散層32のみが設けられていてもよい。
図3に示す樹脂フィルム3では、3枚の樹脂基材10,12,14を有し、この3枚の樹脂基材10,12,14の間はそれぞれ接着層16,18で貼り合わせられている。接着層16,18に対向する樹脂基材10,12,14の表面は、コロナ放電処理が施されている。
図3では、更に、最外面に、表面機能層28,30が設けられている。しかし、表面機能層28,30の設置は任意であり、また表面機能層28,30のいずれか一方のみが設置されていてもよい。
図4に示す樹脂フィルム4では、3枚の樹脂基材10,12,14を有し、この3枚の樹脂基材10,12,14の間はそれぞれ接着層16,18で貼り合わせられている。接着層16,18に対向する樹脂基材10,12,14の表面は、コロナ放電処理が施されている。以上の構成は、図3の樹脂フィルム3と同様である。
図4に示す樹脂フィルム4では、最外面の一方に光拡散層32が付設され、他方に表面機能層28が付設される。表面機能層28の設置は任意であり、光拡散層32のみが設けられていてもよい。
図1〜図4では、樹脂基材を3枚用いる樹脂フィルムについて説明したが、樹脂基材は2枚以上であればよく、2枚或いは4枚以上であってもよい。好適には、樹脂基材を2枚〜4枚用いる場合であり、より好適には2枚〜3枚用いる場合である。
また、本発明の樹脂フィルムでは、接着層に対向する樹脂基材の表面が易接着処理されていればよく、コロナ放電処理と易接着層の付設とを併用してもよい。このような例として、図示しないが、例えば、接着層16に対向する樹脂基材10,12の表面では、易接着層の付設を行い、接着層18に対向する樹脂基材12,14の表面では、コロナ放電処理を施してもよい。また、図示しないが、接着層16に対向する樹脂基材10の表面では、易接着層の付設を行い、接着層16に対向する樹脂基材12の表面では、コロナ放電処理を施してもよい。更には、図示しないが、接着層16,18に対向する樹脂基材10,12,14の表面では、コロナ放電処理と易接着層の付設の両者が行なわれていてもよい。
なお、易接着処理として、図1及び図2では易接着層の付設のみを行い、図3及び図4ではコロナ放電処理のみを行っている。部位による密着力のばらつきを抑えるという観点からは、図1〜図4に示すように、1つの樹脂フィルム内では、同一の易接着処理が施されていることが好ましい。
以下では、本発明の樹脂フィルムを構成する部材について、詳細に説明する。
<樹脂基材>
本発明では、延伸した樹脂基材を用いる。延伸によって配向結晶化し、機械的強度が向上する。好ましくは、2軸延伸により成形した樹脂基材である。2軸延伸とは、樹脂基材の幅方向及び長手方向をそれぞれ1軸とみなして、両方向に延伸させることである。2軸延伸により、樹脂基材の2軸での分子配向が十分に制御されるので、樹脂基材の機械強度が更に向上する。
なお、押出成形した樹脂基材の場合、製造上の制約があって低分子量の樹脂を用いるため、延伸した樹脂基材に比べて機械強度が低下する。
延伸倍率には特に制限はないが、1.5〜7倍で延伸したものであることが好ましく、より好ましくは2〜5倍程度である。2軸延伸の場合には、縦横方向にそれぞれ、上記範囲内で延伸することが好ましい。延伸倍率が上記範囲内であると、充分な機械的強度、及び均一な厚みが得られる。
樹脂基材に用いる樹脂としては、透明基板に通常用いられているものを、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
前記樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、耐熱性ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、屈折率1.67)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。その他の樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、コストや機械的強度の観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明で使用する2枚以上の樹脂基材は、1種の樹脂基材を用いても、2種の樹脂基材を併用してもよい。強度の観点から、好ましくは、少なくとも1枚は、延伸したPETフィルムを用いる場合であり、より好ましくは、少なくとも1枚は、2軸延伸したPETフィルムを用いる場合であり、更に好ましくは、用いる全ての樹脂基材が、2軸延伸したPETフィルの場合である。
なお、延伸したPETフィルムと、その他の延伸した樹脂基材とを併用する場合には、その他の延伸した樹脂基材を照明器具に近い側に設けることが好ましい。
なお本発明では、基材として、少なくとも1枚は延伸した樹脂基材を用いればよく、その他の基材として、ガラス基材、押出成形あるいは射出成形により成形された延伸されていない樹脂基材(たとえば,ポリメチルメタクリレート,ポリカーボネート,ポリメチルメタクリレート・スチレン共重合体,ポリスチレン)などを用いてもよい。その他の基材としては、照明外郭として用いる場合に不燃性を付与できるという観点から、ガラス基材が好ましい。難燃性を向上できる意味で,難燃性を有する汎用樹脂(ポリカーボネート)などもを用いてもよい。
樹脂基材は、加熱収縮率が0.05%以上3.0%以下の範囲であることが好ましく、0.1%以上2.5%以下の範囲であることがより好ましく、0.4%以上2.0%以下の範囲であることがさらに好ましい。なお、加熱収縮率は、直交する2方向において、ともに上記範囲内となることが好ましい。
加熱収縮率が上記範囲内にあると、照明器具の光源に近づけて樹脂フィルムを配置しても、寸法変動や変形が抑えられる。また、後述のハードコート層を設ける場合であっても、ハードコート層がひび割れすることなく形成される。
前記加熱収縮率の値は、170℃において、10分間保持したときの値である。170℃付近の温度で、ハードコート層の塗布膜を硬化させることを考慮するものである。また、測定誤差を防ぐために10分間の保持時間とする。
加熱収縮率は、以下の方法で求める。
まず、測定に供する試料を樹脂基材から適当な大きさに切り出す。この試料について、予め所定方向での長さを測定する。この長さをL1とする。長さL1を測定したサンプルを、170℃に保持されている恒温装置に、張力をかけずに10分間放置する。恒温装置としては、熱風が内部に送り込まれて内部を所定温度に保持する加熱オーブン等が挙げられる。加熱処理されたサンプルを冷却してから、加熱処理前に測定した方向と同じ方向で長さを測定する。この長さをL2とする。そして、加熱収縮率(単位;%)を、100×(L1−L2)/L1の式により求める。
なお、本発明においては、後述の接着層を付設した後の樹脂フィルムにおいても、加熱収縮率が上記範囲内にあることが好ましい。
1枚あたりの樹脂基材の厚みは、目的に応じて適宜選択することができる。例えば天井に貼り付けて用いる場合は、光拡散材料が落下しても破損し難い剛性を求められることがある。このように、光拡散材料の剛性が要求される使用形態においては、樹脂基材は、より厚いものが望まれる。
1枚あたりの樹脂基材の厚みは、例えば、0.08mm〜0.5mmが好ましく、0.1mm〜0.4mmがより好ましく、0.1mm〜0.3mmが更に好ましく、0.15mm〜0.3mmが更に好ましい。
なお、本発明においては、延伸した樹脂基材が製造可能な範囲において、1枚あたりの樹脂基材の厚みは厚くなるほど好適である。樹脂フィルムの総厚を一定としたときには、1枚あたりの樹脂基材の厚みが厚くなるほど、用いる樹脂基材の枚数が少なくなり、結果、接着層の付設数が少なくなって、接着層に起因する気泡の発生を低減することができる。
延伸した樹脂基材の製造方法は、特に限定されず、一例として下記方法を挙げることができる。
樹脂基材の原材料である例えばペレット状の高分子化合物を、乾燥機に導入して乾燥させた後、このペレットを溶融押出機に案内し、この溶融押出機でフィルム形状に押し出す。このフィルム形状とされた高分子化合物を、以下ベース素材と称する。このベース素材は、延伸機に案内される。
延伸機には、ベース素材を所定温度に調整する温度調整機が設けられる。この温度調整機により、ベース素材は、搬送されながら所定のタイミングで所定の温度に達するように昇温または降温される。
延伸機では、ベース素材を搬送しながら、所定方向に張力をかける延伸工程を実施する。延伸工程は、ベース素材を搬送方向(以下、MD方向と称する)に伸ばす第1延伸工程と、ベース素材を幅方向(以下、TD方向と称する)に引っ張り、幅を拡げる第2延伸工程と、この第2延伸工程の後に行われ、ベース素材を加熱することにより分子配向を固定する熱固定工程と、この熱固定工程の後に行われ、幅を小さくすることにより、TD方向の張力を緩和して残留歪を低減する緩和工程と、ベース素材を冷却する冷却工程とを実施する。
なお、第1延伸工程の前に、ベース素材を加熱して予め所定温度に昇温させる予熱工程を実施してもよい。また、公知の同時二軸延伸機を延伸機に組み込んで、第1延伸工程と第2延伸工程とを同時に実施してもよい。
なお、延伸機におけるフィルムの搬送方法及び延伸方法は、特に限定されず、公知の方法であってよい。例えば、第1延伸工程では、2本のローラでベース素材を搬送し、上流側の一方よりも下流側の他方の周速が大きくなるように両者に周速差をもうけることにより、ベース素材をMD方向に延伸する。この2本のロールの周速を調節することにより、MD方向の延伸倍率を制御することができる。第2延伸工程では、ベース素材の側端部を保持して搬送する保持部材としてのクリップと、クリップが取り付けられ無端で走行するチェーンとチェーンの軌道を決定するレールとが備えられた延伸機を用いることができる。この場合のレールにはシフト機構(シフト機構)が備えられる。延伸機に送り込まれたベース素材は、所定の位置に達すると、両側端部をクリップで保持される。シフト機構は、レールをベース素材の幅方向に移動させ、これによりチェーンは変位する。チェーン上のクリップは、ベース素材を保持した状態でベース素材の幅方向に移動し、ベース素材は幅方向に張力が付与される。チェーンの変位を制御することにより、ベース素材のTD方向での延伸倍率を変えることができる。この延伸機での上記各工程により、ベース素材は、搬送されながら搬送方向と幅方向とで付与される張力が制御される。
上記製造方法では、二軸延伸法について説明したが、MD方向での延伸のみを実施したいわゆる一軸延伸フィルムであってもよい。
このような製造方法により得られた樹脂基材を用いて樹脂フィルムを作製すると、透明性に優れ、光学特性に優れるため、照明用フィルムとして好適である。
但し、樹脂基材の製造方法は、上記の方法に限定されず、公知のポリマーフィルム製造設備を用いることができる。例えば、「PETフィルム−延伸技術・特性・評価・高機能化・用途展開−(1990年、技術情報協会発行)」に記載されるような一般的なポリエスエルフィルム製造設備を用いてもよい。ポリエステルから樹脂基材を製造する場合には、周知の逐次二軸延伸法あるいは、同時二軸延伸法にて製造することが好ましい。
<易接着処理>
本発明では、前記樹脂基材の表面のうち、接着層に対向する表面は、易接着処理が施される。易接着処理により、接着層での気泡の発生が抑えられ、剛性や全光線透過率に優れた樹脂フィルムとなる。
易接着処理としては、易接着層の付設や、コロナ放電処理が挙げられる。
(易接着層)
本発明では易接着処理の1つとして、樹脂基材の表面に易接着層を設けることが好ましい。本発明においては、易接着層の付設によって、前記接着層における気泡の発生が抑制される。また、易接着層を設けることで、樹脂基材の剥離が抑えられる。
易接着層には、樹脂基材に対して親和性を有するバインダが含まれる。前記バインダとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられ、樹脂基材がPETの場合にはポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂とは主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であり、通常、ジカルボン酸とジオールの反応で得られる。ジカルボン酸としては例えばフマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などがあり、ジオールとしては例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオールなどがある。ポリエステル樹脂およびその原料については例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」(滝山栄一郎著、日刊工業新聞社、昭和63年発行)に記載されている。さらに好ましくは、ナフタレンジカルボン酸をジカルボン酸成分として使用したものがよい。ナフタレン環を含有することにより、塗工層としての屈折率の向上が可能で、二層構成時の光干渉による着色を軽減することができる。
ポリウレタン樹脂とは主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDI、TODI、HDI、IPDIなどがあり、ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオールなどがある。
さらに、本発明のイソシアネートとしてはポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用することができる。以上述べたポリイソシアネート、ポリオール及び、鎖延長処理については例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)に記載されている。
アクリル樹脂とはアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレートなどを主成分としてこれらと共重合可能なモノマー(例えばスチレン、ジビニルベンゼンなど)を共重合したポリマーである。
ポリオレフィンの具体例としては、ケミパールS−120、S−75N(ともに三井化学(株)製)、アクリル樹脂の具体例としてジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬(株)製)、アクリルとシリコーンとの複合樹脂の具体例としてセラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)とH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
易接着層のバインダとしては、上記のポリマーを有機溶剤に溶解したものを用いてもよいし、水分散物を用いてもよい。環境負荷を抑える観点からは、水分散物を用いて水系塗布することが好ましい。水分散物としては下記のような市販ポリマーを用いてもよい。スーパフレックス830、460、870、420、420NS(第一工業製薬(株)製ポリウレタン)、ハイドランAP−40F、WLS−202、HW−140SF(大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタン)、オレスターUD500、UD350(三井化学(株)製ポリウレタン)、ジュリマーET325、ET410、SEK301(日本純薬(株)製アクリル)、ボンコートR3380E、SFA−33(大日本インキ化学工業(株)製アクリル)、ネオクリルXK−12、XK−220(楠本化成(株)製アクリル)、ファインテックスES650、ES2200(大日本インキ化学工業(株)製ポリエステル)、バイロナールMD1400、MD1480(東洋紡(株)製ポリエステル)、プラスコートZ−221、Z−561、Z−730、RZ−142、Z−687(互応化学工業(株)製ポリエステル)。
易接着層のバインダとして用いるポリマーの分子量には特に制限はないが、通常重量平均分子量で2000〜1000000程度のものが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内にあると、十分な接着力が得られやすく、且つ塗布面状にも優れる。
易接着性層中におけるバインダの含有量は、0.05〜5g/mの範囲とすることが好ましい。中でも、0.08〜3g/mの範囲がより好ましい。バインダの含有量が上記範囲内にあると、所望とする接着力が得られやすく、且つ良好な面状が得られる。
更に、易接着層には、架橋剤の少なくとも一種を含有することができる。
易接着層に好適な架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく用いられる。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS−500、同WS−700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
前記カルボジイミド系架橋剤は、分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物であり、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
前記カルボジイミド系架橋剤の合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメ
チルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2、V−02、V−04(日清紡(株)製)などの市販品として入手可能である。
架橋剤は易接着層のバインダに対して1〜200質量%の範囲で添加することが好ましく、5〜100質量%の範囲で添加することがより好ましく、5〜50質量%の範囲で添加することが更に好ましい。添加量が上記範囲内にあると、充分な接着力が得られやすく、塗布面状に優れる。
易接着層の形成は、上記成分で構成されたポリマーシートを前記樹脂基材に貼合する方法や、上記成分を含む塗布液を塗布する方法が挙げられる。なかでも、塗布による方法は、簡便であると共に、均一な薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の塗布法を利用することができる。塗布液の調製に用いる塗布溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。塗布溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
易接着層の膜厚は20〜300nmが好ましく、より好ましくは40〜200nm程度である。膜厚が上記範囲内であると、十分な接着性能が得られ、且つ面状がより良好となる。また、接着層における気泡の発生が抑制される。なお、本発明の易接着層は、樹脂フィルムの全光線透過率を低下させない観点から、透明であることが好ましい。
(コロナ放電処理)
本発明では易接着処理の1つとして、コロナ放電処理を行うことが好ましい。
コロナ放電処理は、市販のコロナ機、例えば、ピラー社製のソリッドステートコロナ処理機、SOFTAL社製のTreating Generator、及びVETAPHONE高周波インパルス表面処理機(例えば、T−2000、T−4000)等を用いて行うことができる。
コロナ放電処理を行う場合の処理量は、単位面積当たりのエネルギー(kW/m)で表すことができる。本発明における処理量は、基材の種類等に応じて設定することができる。樹脂基材と接着層との密着力向上の観点、及び接着層における気泡抑制の観点から、0.2〜4.0kW/mの範囲であることが好ましく、0.3〜3.0kW/mの範囲がより好ましく、1.0〜2.0kW/mの範囲が更に好ましい。
コロナ放電処理を行った樹脂基材表面は、純水との接触角が、50度以下であることが好ましく、40度以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における接触角は、協和界面科学(株)製、CA−Zを用いを用い、純水の滴下後、20秒後の角度を求めたものである。
<接着層>
前記接着層は、通常、バインダ、硬化剤、及び界面活性剤を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布、乾燥して形成される。
接着層に用いるバインダとしては、特に限定されず、通常使用される物質を目的に応じて適宜選択して使用することができる。接着性の観点から、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、スチレンブタジエン共重合体の少なくともひとつであることが好ましく、ポリエステルであることがより好ましい。また、バインダは、水溶性または水分散性をもつものが環境への負荷が少ない点で特に好ましい。
接着層に用いる硬化剤としては、ポリイソシアネート系、エポキシ系,ポリエーテル系が好ましく、ポリイソシアネートがより好ましい。ポリイソシアネートを硬化剤として用いた接着剤としては、主剤として変性アクリル系樹脂を用いたもの(例えば横浜ゴム(株)製、商品名「ハマタイト Y−6200A/B」)、主剤としてポリエステル系樹脂を用いたもの(例えば、横浜ゴム(株)製、商品名「ハマタイト Y−6171A/B」)、主剤としてウレタン系樹脂を用いたもの等が挙げられる。
また、ラミネート系の市販品の接着剤としては例えば、東洋インキ社製のLIS805のウレタン系主剤に対し、LCR−901のイソシアネート系の硬化剤を添加して使用する2液系のドライラミネート材料があげられる。ポリエステル系主剤に対し、ポリイソシアネート系の硬化剤を添加して使用する2液系のドライラミネート材料としては、たとえば東洋インキ社製のLIS825が挙げられる。さらに、ラミネートとして押し出し方式や、ホットメルト方式に適した接着材料も適宜利用できる。
接着層の屈折率は、前記樹脂基材の屈折率に近いことが全光線透過率の向上の観点から好ましい。具体的には、接着層の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましく、1.45〜1.7であることがより好ましく、1.5〜1.67であることが好ましい。光が照射されたときの干渉色を低減する観点からは、1.54以上1.64以下の範囲であることが好ましい。
接着層の屈折率を調整するよう、接着層には、更に金属酸化物からなる粒子を含有してもよい。金属酸化物としては、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブなどの屈折率が高いものが好ましい。屈折率が高いものほど、少量でも屈折率を変えることが可能である。
金属酸化物の粒子の粒子径は、1nm以上50nm以下の範囲が好ましく、2nm以上40nm以下の範囲が特に好ましい。金属酸化物の粒子は、目的とする屈折率に応じて決定すればよく、例えば、接着層の固形分質量を100としたときに粒子の質量は10以上90以下であることが好ましく、30以上80以下の範囲であることがより好ましい。
接着層の厚さは、光透過性を損なわず且つ確実に接着させる観点から、5μm〜50μmである。気泡の巻き込みや気泡発生をより抑制する観点から、接着層の厚さは、10μm〜20μmであることが好ましく、13μm〜17μmがより好ましい。
接着層を形成するための塗布液は、上記成分、例えば、バインダ、硬化剤、界面活性剤、及び水を混合し調製される。接着層に前記粒子を含有させる場合には、予め塗布液に粒子を添加しておくことが好ましい。塗布液の粘度は、塗布適性や形成する接着層の厚みを考慮して、適宜設定することが望ましい。
上記調製した塗布液は、前述する易接着処理を施した樹脂基材に塗布し、乾燥する。塗布方法は特に制限されるものではなく、公知の塗布機を目的に応じて適宜選択して塗布すればよい。例えば、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーターによる塗布が挙げられる。乾燥機や乾燥条件は、接着層に用いた樹脂などの種類によって適宜設定することが望ましい。
<光拡散層>
本発明の樹脂フィルムでは、最外面に、光拡散層を設けてもよい。光拡散層を設けることで、光拡散性に優れた光拡散フィルムとすることができる。
光拡散層は、少なくとも1種の粒子を含有する。前記粒子は樹脂粒子であっても無機粒子であってもよい。
光拡散性の観点から、前記粒子の平均粒子径は、500nm以上であることが好ましく、0.5μm以上50μm以下であることがより好ましく、3μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
なお、後述するように光拡散層を塗布液の塗布によって形成する場合に、送液に使用する配管やバッファタンク中で樹脂粒子が沈降するのを抑制し、安定して製造する観点からも、粒子の平均粒子径は、上記範囲内とすることが好ましい。
また、光拡散層は粒子の添加によって、その表面に凹凸が形成されていることが、光拡散性の観点からの好ましい。具体的には、光拡散層の算術平均粗さRaは0.5μm以上であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましく、0.8以上2.6以下であることが更に好ましい。このような表面粗さとなるよう、粒子の粒子径を適宜選択することが望ましい。
本発明において、光拡散層の算術平均粗さRaは、Zygo社製、非接触表面形状測定器を用いて、3次元粗さ測定により測定される。
樹脂粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光拡散層中の樹脂粒子は、光拡散作用の大きい樹脂粒子を用いることが好ましい。光拡散作用の大きい樹脂粒子としては、架橋構造を有するもの樹脂粒子が好ましく、特に、架橋構造を有するポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子が好ましい。
無機粒子としては、例えば、コロイダルシリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。中でも、光拡散層の全光線透過率を高める観点から、シリカが好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。
光拡散層に含まれる粒子の含有量は、光拡散性の観点から、光拡散層の全固形分質量に対して、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。粒子の含有量が20質量%以上であることで、光拡散層の表面粗さが大きくなり光拡散性が向上し、90質量%以下であることで、光拡散層表面からの粒子の脱落を防ぐことができる。
更に、光拡散層には、その他の粒子として超微粒子などを添加してもよい。前記超微粒子の添加により、塗布適性が向上し、或いはバインダの屈折率を制御することができる。
前記超微粒子としては、特に制限はなく、通常使用される物質を目的に応じて適宜選択して分散させることができる。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンなどが挙げられる。
超微粒子の粒子径は、0.005μm〜0.15μmの範囲にあることが好ましく、0.005μm〜0.1μmの範囲にあることがより好ましい。
前記超微粒子の前記拡散層中における添加量は、特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができ、例えば、光拡散層の全固形分質量に対して1〜20質量%が好ましい。
光拡散層は、更にバインダーポリマーを含有してもよい。光拡散層がバインダーポリマーを含有することより、光拡散層の脆性が改善される。
バインダーポリマーとしては、例えば、内部散乱層塗布液の分散媒として水を用いる場合には、水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂を用いることが望ましい。バインダーポリマーとしては、単独重合体又は共重合体などが好適に挙げられる。
前記単独重合体又は共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、ロジン誘導体などが挙げられる。
水溶性及び/または水分散性ポリマーは、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、アミノ樹脂系、エポキシ樹脂系、スチレンブタジエン共重合体系などの水溶性あるいは水分散性ポリマーが挙げられ、中でもアクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系の水分散ポリマーが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また架橋剤と反応し得るポリマーを用いることが好ましい。例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などを有するポリマーを用いることができる。さらには、水分散性ポリマーには、例えば、スルホン酸基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、エーテル基などの置換基等を含有させることが好ましい。なお、これらの水分散性ポリマーは単独で用いても良いし、混合して用いても良い。
光拡散層がバインダーポリマーを含有する場合、バインダーポリマーの屈折率(ηb)に対する、前記粒子の屈折率(ηp)の比〔ηp/ηb〕は0.8以上1.2以下であることが好ましい。屈折率の比を0.8以上1.2以下とすることで、光拡散性と光透過率とを、より向上することができる。
光拡散層は、帯電防止機能を付与するために、カチオン、アニオン、ベタインなどのイオン性の帯電防止剤を含有していてもよい。なお、光拡散層が含有する無機粒子が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモンなどの金属酸化物である場合には、当該金属酸化物粒子が帯電防止機能を有し得る。
また、光拡散層は、表面特性、特に摩擦係数を制御するために、ワックスを含有していてもよい。なお、光拡散層が含有する粒子は、光拡散層の表面の摩擦係数を減少し得るマット剤としても作用し得る。
ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、ポリエステル系ワックス、カルナバワックス、脂肪酸、脂肪酸アマイド、金属石鹸等を使用することができる。
光拡散層の厚さは、1μm以上30μm以下であることが好ましい。厚さを1μm以上とすることで、光拡散性を高めることができ、30μm以下とすることで、光線透過率の低下と樹脂層の均一性を向上することができる。
光拡散層は、上記成分を含有する光拡散層塗布液を塗布し、乾燥することにより形成される。前記拡散層は1層のみを設けてもよいし、2層以上設けてもよい。
前記光拡散層塗布液に使用される溶媒としては、特に制限はなく、水や有機溶媒など通常使用されるものの中から適宜選択して使用することができる。
前記有機溶媒としては、例えば、ケトン類、エーテル類、アルコール類、エステル類、多価アルコール誘導体類、カルボン酸類などが挙げられる。
前記光拡散層塗布液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター等の通常使用される塗布手段により行うことができる。
前記光拡散層塗布液の乾燥方法としては、特に制限はなく、使用する溶媒の種類に応じて通常使用される方法を適宜選択することができる。例えば、溶媒として水を用いる場合には、乾燥温度として、短時間であり、かつ材質に損傷を与えずに行える点から、90℃〜140℃が好ましく、100℃〜140℃がより好ましい。前記範囲内の乾燥温度では、乾燥に長時間を要さず、また材質への損傷が抑えられる。前記乾燥時間としては、例えば、10秒間〜5分間が好ましく、1分〜3分間がより好ましい。
<表面機能層>
本発明の樹脂フィルムは、各種の機能を付与するよう、最外面に表面機能層を付与してもよい。表面機能層としては、ハードコート層、屈折率調整層、色味調整層などが挙げられる。
(ハードコート層)
樹脂フィルムの最外面にハードコート層を付設することにより、基材表面の硬度が向上し、耐傷性に優れる。なお、本発明では、延伸した樹脂基材を用いており、これにハードコート層を付与することで、押出成形した樹脂基材以上の耐傷性を実現することができる。
ハードコート層の厚さは2μm〜10μmであることが好ましく、透明性、塗工精度、取り扱いの点から5μm〜7μmの範囲が好ましい。
ハードコート層の材質は、透明性、適度な強度、及び機械的強度を有するものであれば、特に限定されない。例えば、電離放射線や紫外線の照射による硬化樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に紫外線照射硬化型アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、熱硬化性ポリシロキサン樹脂が好ましい。
好適なハードコート層としては、テトラアルコキシシランと下記一般式(1)で表す有機ケイ素化合物と、pHが2以上6以下の範囲である酸性の水溶液と、水溶性の硬化剤とを含む塗布液から形成されるものが挙げられる。
Si(OR3−n ・・・(1)
一般式(1)中、Rはアミノ基を含まない炭素数が1以上15以下の有機基であり、Rはメチル基またはエチル基、Rは炭素数が1以上3以下のアルキル基、nは0または1である。なお、アミノ基を含まない有機基とは、この有機基がアミノ基をもたない意である。
ハードコート層は、前記塗布液からなる塗布膜を加熱して乾燥することにより硬化させて形成する。上記一般式(1)で表す有機ケイ素化合物と、テトラアルコキシシランとを共に用いることにより、硬化による架橋密度が高くなり、高硬度のハードコート層を形成することができる。当該ハードコート層に用いる成分としては、特開2010−188604号公報の段落番号[0032]〜[0056]に記載のものを適用することができる。
特開2010−188604号公報に記載のハードコート層を形成する方法の一例を説明する。
当該ハードコート層の形成方法は、塗布液製造工程と、塗布液塗布工程とを有する。
前記塗布液製造工程では、一般式(1)で表す有機ケイ素化合物とテトラアルコキシシランとを酸性水に溶解してアルコキシシラン水溶液を調製する第1工程と、この第1工程で調製したアルコキシシラン水溶液に硬化剤を添加して塗布液とする第2工程とを有する。なお、塗布液に、硬化剤以外の添加剤を含ませる場合には、第1工程と第2工程とのいずれの工程でこれを添加してもよい。
第1工程では、攪拌装置と内部の温度を所定温度に調整する温調装置とを備えるタンクに、あらかじめ所定量の酸性水を収容しておき、この酸性水に、まず、一般式(1)の有機ケイ素化合物を添加する。この添加は、酸性水を攪拌装置で激しく攪拌しながら実施する。次に、この酸性水を攪拌装置で激しく攪拌しながら、テトラアルコキシシランを添加して溶解させ、アルコキシシラン水溶液を得る。
第2工程では、アルコキシシラン水溶液を攪拌しながら、このアルコキシシラン水溶液に硬化剤を添加する。生成したシラノールの脱水縮合反応が、この第2工程で可能な限り進行しないように抑えることが好ましく、このために、急激にpHが変化しないように添加を少量ずつかつアルコキシシラン水溶液を十分に攪拌しながら実施することが好ましい。また、この第2工程の間は、アルコキシシラン水溶液の温度が高くなりすぎないように冷却することが好ましい。
なお、硬化剤以外の添加剤を添加する場合には、この硬化剤の添加開始の前、添加終了の後、添加と同時とのいずれのタイミングで実施してもよい。
ハードコート層の鉛筆硬度は、耐傷性の観点から、H〜2Hであることが好ましい。鉛筆硬度は、JIS K5600−4に従って測定する。
ハードコート層の屈折率は特に制限されないが、1.4〜1.55程度の屈折率とすることができる。
(屈折率調整層)
樹脂フィルムの最外面に屈折率調整層を付設することにより、空気との界面反射が抑制され、光利用効率の向上が可能となる。
屈折率調整層の屈折率は、1.3以上1.6以下であることが好ましく、1.3〜1.5であることがより好ましく、1.3〜1.45であることが更に好ましい。なお、前述のハードコート層が、屈折率調整層の機能を兼ねていてもよい。
屈折率調整層の厚さは、10nm〜200nmであることが好ましく、50nm〜100nmであることがより好ましい。
屈折率調整層に用いる材料は、市販品としては、旭ガラス社製のサイトップCTL−107MK(屈折率1.34)等のフッ素系材料、やシリカエアロゲルのような多孔質膜、または微小中空粒子等を含有するものなどを挙げることができる。
(色味調整層)
樹脂フィルムの最外面に色味調整層を付設することにより、樹脂フィルムの色味を調整することができる。例えば、樹脂基材としてPETフィルムを用いる場合、青色波長領域が吸収されて、光源からの光が黄色味を帯びやすくなる。また、青色波長領域の吸収により光損失が生じ、全光線透過率が低下する場合がある。特に、樹脂基材の厚みを厚くすると、樹脂基材に起因した色味変化が感じられやすくなる。そこで、特に樹脂基材としてPETフィルムを用いる場合に、樹脂フィルムの最外面に、色味調整層を設けることが好ましい。
色味調整層は、具体的には、膜厚と屈折率を調整することで、色味を調整する層であることが好ましい。よって、前述のハードコート層や屈折率調整層が、色味調整層の機能を兼ねていてもよい。
色味調整層の設計方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
まず、色味調整層を備えない樹脂フィルムを作製し、このときの光の波長に対する光線透過率を測定する。樹脂基材としてPETを用いる場合易は、青色領域での光線透過率が低下していることが確認される場合がある。そして、この光線透過率の低下を補うように、色味調整層の屈折率および膜厚を調整する。
具体的には、色味調整層の屈折率は、樹脂基材の屈折率との差が、0.05以上0.2以下となるように調整することが好ましく、0.08以上0.15以下となるように調整することがより好ましい。
色味調整層の屈折率としては、1.67以下であることが好ましく、1.3以上1.6以下であることがより好ましく、1.3〜1.5であることが更に好ましく、1.3〜1.45であることが更に好ましい。
色味調整層の厚さは、10nm以上100nm以下であることが好ましく、50nm以上100nm以下であることがより好ましく、50nm以上70nm以下であることが更に好ましい。
色味調整層に用いる材料は、屈折率や膜厚を調整し得るものであれば、特に制限無く用いることができ、上述の屈折率調整層に挙げた材料などを適用することができる。
色味調整層を付設したときの樹脂フィルムの構成としては、例えば、樹脂フィルムの一方の最外面のみに色味調整層を付設する形態や、両方の最外面に色味調整層を付設する形態が挙げられる。また、樹脂フィルムの一方の最外面に色味調整層を付設し、他方の最外面にハードコート層又は光拡散層を設ける形態が挙げられる。一方の最外面にハードコート層や光拡散層を付設する場合には、色味調整層は光源に近い側の最外面に付設し、ハードコート層や光拡散層は視認側の最外面に付設することが、耐傷性や光拡散性を効果的に利用する観点から好ましい。
<樹脂フィルム>
本発明の樹脂フィルムの総厚は、剛性を高める観点から0.6mm以上であり、0.8mm以上であることが好適であり、0.9mm以上であることがより好適であり、1.0mm以上であることが更に好適である。
本発明の樹脂フィルムの荷重撓み量は、剛性の観点から、0.12mm/g以下であることが好ましい。また、樹脂フィルムを、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)で作製するという観点からは、0.01mm/g以上0.12mm/g以下であることがより好ましく、0.05mm/g以上0.12mm/g以下であることが更に好ましい。
なお、本発明の樹脂フィルでは、樹脂基材として延伸した樹脂基材を用いるため、押出成形による樹脂基材では達成し難い上記荷重撓み量の範囲内とすることができる。
ここで上記撓み量は、図5に示すようにして測定される。高さ150mmのブロックを300mm離して配置し、この上に測定対象の樹脂フィルムを載せ、樹脂フィルムの上に錘を載せる。このときに樹脂フィルムが撓んだ量(mm)を測定し、撓み量(mm)を錘の重さ(g)で割り、算出する。測定環境は、温度25℃、湿度40RH%とする。
また、剛性向上の観点から、本発明の樹脂フィルムにおいて、前記接着層と前記樹脂基材との密着力は、0.6N/mm以上であることが好ましく、0.8N/mm以上であることがより好ましく、1.0N/mm以上であることが更に好ましい。
本発明において、密着力は、JIS P−8113(1976年)「紙および板紙の引張強さ試験方法」に準じて,25mm角に接着された貼合サンプルを用意し,テンシロン型引っ張り試験機により距離10mm/minにて常温にて引張試験を実施し,剥離した際の応力を測定する。
本発明の樹脂フィルムの全光線透過率は、88%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、本発明の樹脂フィルムのヘイズは、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本発明の樹脂フィルムの引張強さは、80MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることが好ましく、120MPa以上であることがより好ましい。引張強さが上記範囲内にあると、機械的特性に優れる。
なお、引張強さは、JIS K7162に準拠して測定される。
本発明の樹脂フィルムの製造方法は特に制限されない。以下では、製造方法の一例について説明する。
上述の方法で製造又は準備した前記樹脂基材は、上述の易接着処理が施される。その後、易接着処理が施された面に、前記接着用塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥機で乾燥して接着層を形成する。そして、樹脂基材の接着層が対向するようにして、他の樹脂基材の易接着処理が施された面を貼り合わせる。
樹脂基材の製造工程から接着層による貼合工程までが、連続的な一連の工程として実施されてもよい。或いは、樹脂基材を製造した後に、一旦ロール状に巻き取られてもよい。この場合には、ロール状にされた樹脂基材を送出機にセットしこの送出機から巻きだして、接着層形成工程に供される。また、接着層が形成された樹脂基材は、一旦ロール状に巻き取られてもよい。この場合には、ロール状にされた樹脂基材を送出機にセットしこの送出機から巻きだして、樹脂基材の貼合工程に供される。
また、接着層塗布液の塗布は、樹脂基材の製造工程の中で実施されてもよい。例えば、延伸機に搬入する前のベース素材に対して接着層塗布液を塗布してもよいし、第1延伸工程の後に第2延伸工程を実施する場合には、第1延伸工程と第2延伸工程との間で塗布してもよい。
以上の方法で製造した樹脂フィルムは、これをロール状に巻き取る巻取工程や、所望の大きさや形のシートにカットするシート化工程や、他の機能を樹脂フィルムに付与する機能付与工程等の次工程に送られる。
更に、他の機能を樹脂フィルムに付与する機能付与工程として、樹脂フィルムに光拡散層やハードコート層や色味調整層などの表面機能層を付設する場合には、接着層が形成された樹脂基材の最外面に、表面機能層の塗布液(光拡散層塗布液、ハードコート層塗布液、色味調整層塗布液、屈折率調整層塗布液など)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱して乾燥し、表面機能層を形成する。
<用途>
本発明の樹脂フィルムは、その利点により、照明用カバーに好適に用いることができる。照明用カバーとしては、埃などの付着を防止するための透明カバーであっても、照明光を拡散させて広範囲を照明する光散乱シートであってもよい。具体的には、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクターなどに使われる液晶表示装置のバックライトユニットの光拡散フィルムとしての使用が例示される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」「%」は「質量部」「質量%」を意味する。
[実施例1]
<樹脂基材の作製>
ゲルマニウム(Ge)を触媒とした重縮合により得られ、固有粘度が0.66のPETを含水率が50ppm以下になるまで乾燥した。乾燥後、溶融押出機によりPETをフィルム形状のベース素材とした。溶融押出機は、PETを溶融するヒータと、溶融されたPETをフィルム形状に押し出すダイと、このダイから押し出し口の下流に配されるチルロールとを備える。チルロールは、周面を冷却する冷却機構を有し、この表面に接触したPETフィルムを冷却する冷却ローラである。溶融押出機のヒータの温度は280℃以上300℃以下の範囲で略一定に保持した。このヒータでPETを溶融し、ダイから静電印加されたチルロールへと押し出して、非結晶のベース素材にした。この非結晶のベース素材を、溶融押出機の下流に設けられる延伸機へ搬送した。
延伸機では、ベース素材をMD方向に伸ばす第1延伸工程と、この第1延伸工程の後にベース素材をTD方向に伸ばす第2延伸工程と、この第2延伸工程の後に熱固定工程と、この熱固定工程の後に緩和工程と、緩和工程の後に冷却工程とを実施し、支持体を得た。第1延伸工程では、ベース素材を3.1倍に伸ばし、第2延伸工程では幅が3.9倍になるように幅方向に張力を付与した。また、熱固定工程では、ベース素材を240℃に加熱し、緩和工程では、ベース素材を235℃に加熱した。冷却を終えてクリップから開放される時点におけるベース素材の幅をY1、第2延伸工程におけるベース素材51の幅の最大値をY2とするときに、100×(Y2−Y1)/Y2が3.2%となるように、ベース素材の幅を小さくした。冷却工程ではベース素材を室温まで冷却した。得られた樹脂基材の厚みは200μmであった。この樹脂基材の屈折率は、1.57であった。
<接着層塗布液の調製>
下記の配合で接着用塗布液Aを調製した。
[接着用溶液A]
・接着剤(主剤): 31.5質量部
(LIS−825 固形分濃度35%、東洋インキ製造(株)製)
・接着剤(硬化剤): 3.5質量部
(LCR−901 東洋インキ製造(株)製)
・希釈溶媒:酢酸エチル 65質量部
<易接着処理および接着層の作製>
前記樹脂基材の一方の面に、1.0kW/mの処理量でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した面に、上記の接着用溶液Aを塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚みが12μmの接着層を形成した。このように、片面に接着層を有する樹脂基材Aを2枚作製した。
更にもう一枚樹脂基材を準備し、この樹脂基材の両面に、1.0kW/mの処理でコロナ放電処理を施し、樹脂基材Bを作製した。
<樹脂基材の貼合>
樹脂基材Aの接着層と、樹脂基材Bのコロナ処理面とが接するように貼り合せて、3枚の樹脂基材を接着層で貼り合せた積層体を作製した。
<ハードコート層の作製>
以下の配合で、ハードコート層塗布液Aを調製した。
[ハードコート層塗布液A]
・テトラメトキシシラン: 5.0質量部
(KBM−04、信越化学工業(株)製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン: 3.2質量部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン: 1.8質量部
(KBM−303、信越化学工業(株)製)
・酢酸水溶液(酢酸濃度=0.05%、pH=5.2): 10.0質量部
・硬化剤: 0.8質量部
(ホウ酸、和光純薬工業(株)製)
・コロイダルシリカ: 60.0質量部
(スノーテックスO、平均粒子径10nm〜20nm、固形分濃度20%、pH=2.6、日産化学工業(株)製)
・界面活性剤: 0.2質量部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤: 0.2質量部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
ハードコート層塗布液Aは、以下の方法で調製した。
一般式(1)で表す有機ケイ素化合物として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとの2種類を用いた。まず、酸性水としての酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、この酢酸水溶液中に3分間かけて滴下した。
次に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを酢酸水溶液中に強く攪拌しながら3分間かけて添加した。次に、テトラアルコキシシランとしてのテトラメトキシシランを、酢酸水溶液中に強く攪拌しながら5分かけて添加し、その後2時間攪拌を続けた。次に、このアルコキシシラン水溶液にコロイダルシリカと、硬化剤と、界面活性剤とを順次添加し、塗布液を調製した。
このハードコート層塗布液Aを前記積層体の一方の最外面にバーコート法により塗布した。その後、170℃で5分間加熱して乾燥し、厚さ5μmのハードコート層(屈折率1.45)を形成した。
<光拡散層の作製>
以下の配合で、光拡散層塗布液Aを調製した。
[光拡散層塗布液A]
・蒸留水:244質量部
・界面活性剤(三洋化成工業(株)、ナロアクティーCL−95):5質量部
・粒子(積水化成品工業(株)製、SBX−8、架橋ポリスチレン粒子、平均粒子径8μm、屈折率1.59):264質量部
・超微粒子分散液(日産化学工業(株)製、スノーテックスC、シリカ粒子、平均粒子径0.01〜0.02μm、固形分20%):238質量部
・水分散性ポリマー(ポリウレタン樹脂、DMS NeoResins Inc.製、NeoRez R-600、固形分33%):237質量部
・架橋剤(日清紡(株)製、カルボジライトV−02−L2、固形分40%):13質量部
前記積層体のハードコート層を付設していない最外面に、調製した光拡散層塗布液Aをワイヤーバーを用いて塗布し、130℃のオーブンで2分間加熱硬化して、厚さ10μmの光拡散層を作製した。
このようにして、最外面の一方にハードコート層、他方の最外面に光拡散層を有する樹脂フィルムを得た。この樹脂フィルムの総厚は0.64mmであった。
得られた樹脂フィルムについて、下記評価を実施した。
(接着層の密着力)
サンプルを接着部分が25mm角になるように切り出し,JIS P−8113(1976年)「紙および板紙の引張強さ試験方法」に準じて,テンシロン型引張試験機により距離10mm/minにて常温にて引張試験を実施し,剥離した際の応力を測定した。
(荷重撓み量)
剛性の評価として、前述の図5に示す方法により、40g、80g、145g、240g、480g、630gの荷重をかけたときの荷重撓み量を測定した。
(引張強さ)
機械特性の評価として、JIS K7162に準拠して、引張強さを測定した。
(線膨張係数)
温度特性の評価として、JIS K7197に準拠して、線膨張係数を測定した。
(鉛筆硬度)
往復磨耗試験機トライボギア(登録商標) TYPE:30S(新東科学(株)製)を用いて、JIS K5600−5−4に基づき、移動速度0.5mm/秒、加重750gにて、ハードコート層の鉛筆硬度を測定した。
ハードコート層の鉛筆硬度は、用途によって求められるレベルが異なるものの、「H」以上であればハードコート層としての機能は満足するといえる。
(耐傷性)
スチールウール#0000を、40g/cmの加重をかけてハードコート層の上を20回往復させ、目視で傷の発生を観察し、以下の基準で評価した。
−評価基準−
A:傷が全く認められず、非常に良い
B:傷が3〜7本認められるものの、実用上問題が無いレベル
C:多数の傷が認められ、製品として用いることができないレベル
(全光線透過率の測定)
村上色彩技術研究所製HR−100を用いて、JIS K7361−1(1997年度版)に準拠して全光線透過率を測定した。
[実施例2]
実施例1と同様にして、但し、1枚の樹脂フィルムの厚さを300μmとし、コロナ放電処理を1.5kW/mに変え、接着層、ハードコート層及び光拡散層の厚みを表1に示すように変更して、樹脂フィルムの総厚を0.95mmとして、実施例2の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
[実施例3]
実施例1と同様にして、但し、1枚の樹脂フィルムの厚さを300μmとし、コロナ放電処理を2.0kW/mに変え、接着層、ハードコート層及び光拡散層の厚みを表1に示すように変更して、実施例3の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
[実施例4]
実施例1と同様にして、但し、1枚の樹脂フィルムの厚さを300μmとし、易接着処理をコロナ放電処理から下記易接着層の付設に変え、接着層及び光拡散層の厚みを表1に示すように変更して、実施例4の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
(易接着処理)
まず、下記組成からなる易接着層塗布液調製した。
[易接着層塗布液]
・ポリエステル樹脂バインダ: 45.1質量部
(互応化学(株)製、プラスコート Z-687、固形分25%)
・カルボジイミド構造を複数個有する化合物: 15.8質量部
(日清紡(株)製、カルボジライトV-02-L2、固形分40%)
・オキサゾリン化合物: 7.0質量部
(日本触媒(株)製、エポクロスK2020E、固形分40%)
・界面活性剤A: 12.7質量部
(日本油脂(株)、ラピゾールB-90の1%水溶液、アニオン性)
・界面活性剤B: 5.5質量部
(三洋化成工業(株)、ナロアクティー CL-95の1%水溶液、ノニオン性)
・蒸留水: 全体が1000質量部になるよう添加
上記調製した易接着層塗布液をバーコート法により、樹脂基材上に塗布した。塗布量を7.1ml/mとし、185℃で1分乾燥した。これにより、樹脂基材上に厚さ100nmの易接着層を形成した。
[実施例5]
実施例1と同様にして、但し、1枚の樹脂フィルムの厚さを300μmとし、樹脂フィルムを2枚とし、この2枚の樹脂フィルムの間に表1に示す厚みの接着層を設けるように変更して、実施例5の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例1]
アクリルの押出平板(スミペックス、住友化学社製、厚さ1.0mm)について、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例2]
ポリカーボネートの押出平板(ユーピロン、三菱ガス化学社製、厚さ1.0mm)について、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例3]
実施例1と同様にして、但し、樹脂基材を3枚使用していたのを2枚に減らし、且つ接着層、ハードコート層及び光拡散層の厚みを表2に示すように変更して、比較例3の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例4]
実施例2と同様にして、但し、接着層の厚さを3μmに変え、ハードコート層及び光拡散層の厚みを表2に示すように変更して、比較例4の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例5]
実施例2と同様にして、但し、接着層の厚さを55μmに変え、ハードコート層及び光拡散層の厚みを表2に示すように変更して、比較例5の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例6]
実施例2と同様にして、但し、樹脂基材にコロナ放電処理を施さず、接着層、ハードコート層及び光拡散層の厚みを表2に示すように変更して、比較例6の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。
表1及び2の結果から、実施例1〜5の樹脂フィルムでは、光学特性及び剛性に優れていることが分かる。
これに対して、比較例1及び2の樹脂フィルムは、延伸した樹脂フィルムではないことから、剛性、機械強度、温度特性、光学特性、耐傷性のいずれについても実施例1〜5よりも劣っていた。
ここで、図6に、実施例2、比較例1及び比較例2の樹脂フィルムにおける荷重撓み量の測定結果をグラフに示す。図6に示されるように、比較例1及び比較例2のアクリル及びポリカーボネートの押出平板では、荷重を多くすると撓み量が大きくなるのに対して、実施例2の樹脂フィルムでは、撓み量の増加が抑えられている。
比較例3では、総厚が0.43mmであり、本発明で規定する0.6mmよりも薄いため、剛性に劣っていた。
比較例4では、接着層の厚みが3μmであり、本発明で規定する5μmよりも薄いため、接着層の厚みムラにより気泡を巻き込み、全光線透過率が低下していた。また、比較例5では、接着層の厚みが55μmであり、本発明で規定する50μmよりも厚いため、接着層の厚みムラにより気泡を巻き込み、全光線透過率が低下していた。このように、接着層の厚みが5〜50μmの範囲外の場合には、全光線透過率が低下することが分かる。
比較例6では、樹脂基材に易接着処理を施していないため、接着層に気泡が巻き込まれ、全光線透過率が低下していた。
[実施例6]
実施例2における積層体の作製方法と同様にして、3枚の樹脂基材のそれぞれの間を接着層で貼り合せた積層体を作製した。なお、接着層に対向する樹脂基材の表面は、実施例1と同様の方法でコロナ処理放電を施した。
この積層体の一方の最外面に、下記色味調整層塗布液をバーコート法により塗布した。その後、170℃で5分間加熱して乾燥し、厚さ65nmの色味調製層を形成し、樹脂フィルムを得た。なお、色味調整層塗布液の屈折率nは、1.5であった。
[色味調整層塗布液]
水分散性ポリマーとしてポリウレタン樹脂を含む三井化学(株)製のタケラックW6010(固形分30%、膜単体屈折率1.5)を用いた。
得られた樹脂フィルムについて、測定装置(BM−7:トプコン製)にて色度を測定し、色温度を算出した。また、全光線透過率を実施例1と同様の方法で測定した。この結果を下記表に記載する。
なお、参照データとして、光源のみの色度、色温度及び全光線透過率も掲載する。また、前述の実施例2で作製した樹脂フィルムについても、色度、色温度及び全光線透過率を測定した。
表3に示されるように、色味調整層を最外面に設けることで、色味が調整され、全光線透過率が更に向上することが分かる。
10,12,14 樹脂基材
16,18 接着層
20,22,24,26 易接着層
28,30 表面機能層
32 光拡散層

Claims (12)

  1. 延伸した樹脂基材の2枚以上を接着層で貼り合わせ、前記接着層の厚さが5μm以上50μm以下であり、前記接着層に対向する前記樹脂基材の表面が易接着処理されてなり、総厚が0.6mm以上である樹脂フィルム。
  2. 前記樹脂基材のうちの少なくとも1枚は、延伸したPETフィルムである請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 前記樹脂基材のうちの少なくとも1枚は、二軸延伸したPETフィルムである請求項1又は請求項2に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記樹脂基材の1枚の厚さが、0.15mm以上0.3mm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  5. 荷重撓み量が、0.12mm/g以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  6. 前記接着層と前記樹脂基材との密着力が、0.6N/m以上である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  7. 最外面に、ハードコート層を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  8. 最外面に、光拡散層を有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  9. 更に、前記樹脂基材以外の基材を用い、該基材がガラス基材である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを用いる照明用カバー。
  11. 照明の光を拡散させる光拡散シートである請求項10に記載の照明用カバー。
  12. 照明の光を透過させる透明シートである請求項10に記載の照明用カバー。
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