JP2012171255A - インクジェットヘッド及び記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】共通流路における圧力分布に起因する吐出速度のばらつきを緩和できるインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】インクジェットヘッド5は、複数の個別流路25と、2つの共通流路27とが形成された基体21を有する。各個別流路25は、加圧室31と、加圧室31に通じ、2つの共通流路27にそれぞれ開口する2つの供給孔34とを含む。複数の個別流路25間において、第1共通流路27Aにおける第1供給孔34Aの上流側からの順番と、第2共通流路27Bにおける第2供給孔34Bの上流側からの順番とが逆になっている。
【選択図】図4
【解決手段】インクジェットヘッド5は、複数の個別流路25と、2つの共通流路27とが形成された基体21を有する。各個別流路25は、加圧室31と、加圧室31に通じ、2つの共通流路27にそれぞれ開口する2つの供給孔34とを含む。複数の個別流路25間において、第1共通流路27Aにおける第1供給孔34Aの上流側からの順番と、第2共通流路27Bにおける第2供給孔34Bの上流側からの順番とが逆になっている。
【選択図】図4
Description
本発明は、インクジェットヘッド及び記録装置に関する。
複数の吐出孔に通じる複数の加圧室と、当該複数の加圧室に通じる複数の供給孔と、当該複数の供給孔が内周面に開口する共通流路とを有するインクジェットヘッドが知られている(例えば特許文献1)。共通流路から複数の吐出孔に至る空間にはインクが満たされている。そして、複数の加圧室の容積が変化してインクに圧力が付与されることにより、複数の加圧室から複数の吐出孔へインクが送出され、複数のインク滴が複数の吐出孔から吐出される。また、複数の加圧室へは複数の供給孔を介して共通流路からインクが補充される。
共通流路においては、圧力損失等によって下流側ほど圧力が低くなる圧力分布が生じる。一方、複数の供給孔は、共通流路の流れ方向に沿って配列されており、複数の加圧室は、共通流路から互いに異なる圧力を受けることになる。従って、共通流路の圧力分布に起因して、インク滴の吐出速度にばらつきが生じる。
本発明の目的は、共通流路における圧力分布に起因する吐出速度のばらつきを緩和できるインクジェットヘッド及び記録装置を提供することにある。
本発明の一態様に係るインクジェットヘッドは、複数の個別流路と、n(n≧2)個の共通流路と、が形成された基体を有し、各個別流路は、加圧室と、前記加圧室に通じ、n個の前記共通流路にそれぞれ開口するn個の供給孔と、を含み、n個の前記共通流路のうち所定の2つの前記共通流路に関しては、前記複数の個別流路間において、一の前記共通流路における前記供給孔の上流側からの順番と、他の前記共通流路における前記供給孔の上流側からの順番とが逆になっている。
好適には、nは偶数であり、第i番目(1≦i≦n)の前記共通流路に開口する第i番目の前記供給孔の上流側からの順番をm(i)としたときに、前記複数の個別流路間において、i=1からi=nまでのm(i)の総和が互いに等しい。
好適には、前記所定の2つの前記共通流路の少なくとも一の前記共通流路において、流路に直交する断面の面積は、上流側が下流側よりも大きい。
好適には、前記所定の2つの前記共通流路は、折り返すように延びる1本の流路の往路と復路とにより構成されている。
好適には、各個別流路は、前記所定の2つの前記共通流路にそれぞれ開口する2つの前記供給孔を連通する連通部と、前記連通部と前記加圧室とを連通するしぼりと、を更に有する。
本発明の一態様に係る記録装置は、前記インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを制御する制御部と、メディアを前記インクジェットヘッドに対して相対的に搬送する搬送部とを有する。
上記の構成によれば、共通流路における圧力分布に起因する吐出速度のばらつきを緩和できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、説明の対象となる実施形態において、既に説明された実施形態の構成と同一又はまたは類似する構成については、既に説明された実施形態の構成と同一の符号を付すことがあり、また、説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録装置1の要部を模式的に示す斜視図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録装置1の要部を模式的に示す斜視図である。
なお、記録装置1及び後述するインクジェットヘッド5は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側(図1の紙面上方)を上方として、上面、下面等の用語を用いることがあるものとする。
記録装置1は、例えば、メディア(例えば紙)101を矢印y1で示す方向へ搬送する搬送部3と、搬送されているメディア101に向けてインク滴を吐出するヘッド5と、ヘッド5にインクを供給するインクタンク6と、搬送部3及びヘッド5の動作を制御する制御部7とを有している。
搬送部3は、例えば、不図示の供給スタックに積層された複数のメディア101を一ずつ不図示の排出スタックへ搬送する。搬送部3は、公知の適宜な構成とされてよい。図1では、搬送経路がストレートパスとされ、メディア101に当接するローラ9と、ローラ9を回転させるモータ11とが設けられた搬送部が例示されている。
ヘッド5は、メディア101の搬送経路の途中に配置されており、z方向の正側からメディア101に対向する。ヘッド5は、メディア101の印画面及び搬送方向に直交する方向(主走査方向、x方向)にシャトル運動を行うシリアルヘッドであってもよいし、当該直交する方向に(ほぼ)固定されたラインヘッドであってもよい。なお、本実施形態においては、ヘッド5がラインヘッドである場合を例に挙げて説明するものとする。
ヘッド5は、x方向の複数位置においてインク滴をメディア101に吐出、付着させる。当該動作が、メディア101の搬送に伴って繰り返し行なわれることにより、メディア101には2次元画像が形成される。
インクタンク6は、ヘッド5にインクを供給する機能に加え、ヘッド5内部のインクを一定範囲の負圧に保持する機能を有している。ヘッド5内部のインクは、一定範囲の負圧に保持されることにより漏れ等が抑制される。なお、インクを負圧に保持する方法は、多孔質体の毛管力を利用したり、インクタンク6として、ヘッド5と分離していて、チューブを介してヘッド5と繋がっているのものを用いて、インクタンク6内のインクの液面を吐出孔29aよりも低くするなど、公知の適宜な方法とされてよい。また、インクタンク6は、ヘッド5と共に配置されてもよいし、ヘッド5とは別の位置に配置されてもよい。
制御部7は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含んで構成されている。制御部7は、モータ用ドライバ13に制御信号を出力することにより、所望の電圧をモータ11に印加して、モータ11を制御する。同様に、制御部7は、ヘッド用ドライバ15に制御信号を出力することにより、所望の電圧をヘッド5に印加して、ヘッド5を制御する。
図2は、ヘッド5の一部を拡大して示す模式的な断面図である。なお、図2の下方がメディア101に対向する側である。
ヘッド5は、例えば、圧電素子の機械的歪によりインクに圧力を付与するピエゾ式のヘッドである。ヘッド5は、インク滴を吐出する複数の吐出素子19を有し、図2は一の吐出素子19を示している。複数の吐出素子19は、xy平面において配列されており(図3参照)、各吐出素子19は、メディア101上の1ドットに対応している。
また、別の観点では、ヘッド5は、インクを貯留する空間を形成する基体21と、基体21に貯留されているインクに圧力を付与するためのアクチュエータ23(一部基体21に兼用)とを有している。複数の吐出素子19は、基体21及びアクチュエータ23により構成されている。
基体21の内部には、複数の個別流路25(図2では1つを図示)と、当該複数の個別流路25に通じる第1共通流路27A及び第2共通流路27B(以下、単に「共通流路27」ということがある。)とが形成されている。個別流路25は、吐出素子19毎に設けられ、共通流路27は、複数の吐出素子19に共通に設けられている。
各個別流路25は、メディア101に対向する吐出孔29aを含むディセンダ(部分流路)29と、ディセンダ29に通じる加圧室31と、加圧室31と共通流路27とを連通する供給路33とを有している。
複数の個別流路25及び共通流路27にはインクが満たされている。複数の加圧室31の容積が変化してインクに圧力が付与されることにより、複数の加圧室31から複数のディセンダ29へインクが送出され、複数の吐出孔29aからは複数のインク滴が吐出される。また、複数の加圧室31へは複数の供給路33を介して共通流路27からインクが補充される。
2つの共通流路27は、例えば、z方向において積層的に配置され、x方向に互いに平行に延びている。ただし、2つの共通流路27におけるインクの流れ方向は、互いに逆方向である。具体的には、例えば、マークMAによって示すように、第1共通流路27Aにおいては、インクは、紙面奥手側から紙面手前側に流れ、マークMBによって示すように、第2共通流路27Bにおいては、インクは、紙面手前側から紙面奥手側に流れる。
なお、2つの共通流路27は、互いに同一の形状(断面形状及び平面形状)及び大きさ(幅、高さ及び長さ)とされることなどにより、上流側から下流側へかけての圧力低下の勾配が概ね互いに同一とされることが好ましい。共通流路27の流路方向に直交する断面形状は例えば矩形である。
加圧室31は、例えば、z方向において一定の厚さに形成されるとともに、z方向に見てx方向及びy方向を対角線方向とする菱形(図3参照)とされている。その菱形のy方向の一方の角部はディセンダ29と連通され、他方の角部は供給路33と連通されている。
加圧室31は、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bの双方に通じている。具体的には、例えば、加圧室31は、供給路33が共通流路27側において分岐して、2つの共通流路27の双方に通じることによって、2つの共通流路27の双方に通じている。
供給路33は、例えば、第1共通流路27Aに開口する第1供給孔34Aと、第2共通流路27Bに開口する第2供給孔34B(以下、単に「供給孔34」といい、これらを区別しないことがある。)と、これらを連通する連通部33aと、連通部33aに連続するしぼり33bと、しぼり33bに連続するとともに加圧室31に開口する開口部33cとを含んでいる。なお、しぼり33bよりも加圧室31側の部分(開口部33c)は、加圧室31の一部と捉えられてもよい。
各供給孔34は、例えば、2つの共通流路27を仕切る壁面から共通流路27内に(z方向に)開口している。2つの供給孔34は、例えば、2つの共通流路27の流路方向(x方向)及び幅方向(y方向)において互いに同一の位置に配置されており、z方向において重なっている。連通部33aは、2つの共通流路27を仕切る壁面をz方向に貫通して、2つの供給孔34を連通している。しぼり33bは、連通部33aの内周面に(y方向に)開口している。
しぼり33bは、供給路33の、インクの流れ方向に直交する断面の面積が縮小された部分であり、例えば、共通流路27、供給孔34、連通部33a、開口部33c及び加圧室31よりもインクの流れ方向に直交する断面の面積が小さい。なお、ここでいう連通部33aの流れ方向は2つの供給孔34間の方向(z方向)である。しぼり33bは、例えば、y方向に延びるように形成されている。
しぼり33bが形成されていることによって、加圧室31の容積が縮小したときに、インクの加圧室31から共通流路27への逆流が抑制される等の作用が奏される。なお、本実施形態においては、各しぼり33bは、2つの共通流路27に対して共通に設けられているので、空間の利用効率が高くなり、ヘッド5を小型化できる。
基体21は、例えば、複数の基板が積層されることにより構成されている。具体的には、基体21は、複数の個別流路25及び共通流路27を構成する貫通孔が形成された複数の基板35と、複数の加圧室31の上面開口を塞ぐ振動板37とを有している。
複数の基板35の厚み及び積層数は、複数の個別流路25及び共通流路27の形状等に応じて適宜に設定されてよい。複数の基板35は、適宜な材料により形成されてよく、例えば、金属、セラミック若しくはシリコンにより形成されている。
アクチュエータ23は、例えば、撓みモードで変位する、ユニモルフ型の圧電素子により構成されている。具体的には、例えば、アクチュエータ23は、加圧室31側から順に積層された、振動板37、共通電極39、圧電体41及び複数の個別電極43を有している。個別電極43は、吐出素子19毎に設けられている。
振動板37、共通電極39及び圧電体41は、例えば、複数の加圧室31を覆うように複数の加圧室31に共通に設けられている。一方、個別電極43は、加圧室31毎に設けられている。より具体的には、個別電極43は、概ね、加圧室31と相似形(本実施形態では概ね菱形)で、加圧室31の広さよりも若干小さい個別電極本体とその個別電極本体の角部に接続されている引出電極(不図示)とを含んでいる。
振動板37、共通電極39、圧電体41及び複数の個別電極43は、適宜な材料により形成されてよい。例えば、振動板37は、セラミック、酸化シリコン若しくは窒化シリコンにより形成されている。共通電極39及び複数の個別電極43は、例えば、白金若しくはパラジウムにより形成されている。圧電体41は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等のセラミックにより形成されている。
圧電体41は、厚さ方向(z方向)を分極方向とされている。従って、共通電極39及び個別電極43に電圧を印加して、圧電体41に対して分極方向に電界を作用させると、圧電体41は面内で収縮する。この収縮により振動板37は、加圧室31側に凸となるように撓み、その結果、加圧室31の体積は変化する。
なお、吐出素子19の駆動方式は、引き打ち方式、押し打ち方式等の公知の駆動方式から適宜に選択されてよい。また、1ドットの記録に対してインク滴の数が増減されることや、インク滴の量を変えることにより、階調が表現されてよい。複数の吐出素子19の駆動(加圧室31への圧力付与)開始タイミングは、互いに同時とされてもよいし、隣接する複数の加圧室31同士において、吐出孔29aからしぼり33bまでの流路の中のインクの固有振動周期よりも短い時間差で互いにずらされてもよい。
図3は、ヘッド5の一部の流路を模式的に示す平面図である。図3では、ディセンダ29、加圧室31、しぼり33b、連通部33a、第1供給孔34A及び第1共通流路27Aが示されている。
複数の加圧室31は、共通流路27に沿って(x方向に)配列されて加圧室列Fを構成している。加圧室列Fは、例えば、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bに対して、その両側に2列配置されている。2つの加圧室列Fは、x方向の位置が互いに同一(図3の例)であっても互いに異なっていてもよい。
なお、第1共通流路27A、第2共通流路27B及び加圧室列Fの組み合わせは、y方向に適宜な数で配列されてよい。また、この場合において、各共通流路27は、マニホルド状に形成された流路の分岐部分であってもよい。
各加圧室列Fに繋がっている個別流路25において、複数の吐出孔29aは、x方向のピッチが一定とされている。そのx方向のピッチを幅とし、y方向に延びる帯状領域Rにおいては、加圧室列Fのy方向の数と同数の吐出孔29aが含まれている。帯状領域Rに含まれる全ての吐出孔29aは、x方向の位置が互いに異なるとともにそのx方向のピッチが一定である。
従って、ヘッド5においては、x方向及びy方向に配列された複数の吐出素子19全体として、x方向において所望の解像度が実現されている。一例として、加圧室列Fのy方向の数が16とされ(帯状領域Rに16個の吐出孔29aが含まれ)、帯状領域Rの幅が1/37.5インチである場合には、ヘッド5は、600dpi(=16/(1/37.5))の解像度を実現する。
なお、y方向に配列された複数の加圧室31を含む個別流路25間においては、ディセンダ29が、x方向およびy方向に位置をずらしながら、加圧室31から吐出孔29aに向かうように構成されることなどにより、吐出孔29aのx方向の位置が互いに異なるものとされる。
複数の加圧室31が共通流路27に沿って配列されていることに対応して、複数の供給孔34も共通流路27に沿って配列されている。一の加圧室列Fに対応する複数の供給孔34は、例えば、一定のピッチで配列されている。ただし、複数の供給孔34は、共通流路27の上流側から下流側への圧力勾配を考慮して、ピッチが変化するように配列されてもよい。
図4は、ヘッド5の作用を説明する図である。より具体的には、図4は、図3の領域IVに相当する部分を抽出した模式図であり、図4では、第1共通流路27A、第2共通流路27B、及び、これらに通じる3個の個別流路25の一部(加圧室31、第1供給孔34A及び第2供給孔34B)が模式的に示されている。
矢印y11は、第1共通流路27Aにおけるインクの流れ方向を示し、矢印y12は、第2共通流路27Bにおけるインクの流れ方向を示している。各共通流路27の流れ方向両側において矩形で囲って示す「高」「低」は、各共通流路27における圧力の相対的な高低を示している。すなわち、上流側において圧力が高くなり、下流側において圧力が低くなることを示している。
各第1供給孔34Aの付近にて矩形で囲って示す数字(1〜3)は、3つの第1供給孔34A間における、上流側からの順番を示している。同様に、各第2供給孔34Bの付近にて矩形で囲って示す数字(1〜3)は、3つの第2供給孔34B間における、上流側からの順番を示している。各加圧室31にて矩形で囲って示す数字(4)は、各加圧室31に通じる第1供給孔34A及び第2供給孔34Bの上流側からの順番の合計を示している。
上述のように、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bは、互いに平行に延びるとともに、インクの流れが互いに逆方向である。そして、各加圧室31に通じる第1供給孔34A及び第2供給孔34Bは、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bの延びる方向(x方向)において互いに同一位置に開口している。
従って、複数の加圧室31間において、対応する第1供給孔34Aが複数の第1供給孔34A間において上流側となる加圧室31ほど、対応する第2供給孔34Bが複数の第2供給孔34B間において下流側となっている。そして、各加圧室31にて矩形で囲って示す数字に示されるように、複数の加圧室31間において、2つの供給孔34の上流側からの順番の合計は、互いに同一となっている。
ここで、共通流路27の圧力分布が吐出孔29aからのインク滴の吐出速度に及ぼす影響について説明する。まず、各加圧室31が一の共通流路27のみに通じ、他の共通流路27に通じていない場合について考える。
共通流路27は、上述したように、インクタンク6によって一定範囲の負圧に維持されている。また、共通流路27は、圧力損失によって、下流側ほど圧力が低くなっている(上流側ほど圧力が高くなる。)。
従って、加圧室31の容積が拡大し、加圧室31の圧力が低下する(負圧が更に低くなる)ときにおいては、共通流路27の上流側に通じる加圧室31ほど、共通流路27と加圧室31との圧力差が大きい。その結果、上流側に通じる加圧室31ほど、共通流路27から加圧室31へのインクの流入量が多く、ひいては、インク流入後における加圧室31内の圧力上昇が大きい(第1の影響)。
また、加圧室31の容積が縮小し、加圧室31の圧力が上昇する(正圧になる)ときにおいては、共通流路27の上流側に通じる加圧室31ほど、共通流路27と加圧室31との圧力差が小さい。その結果、上流側に通じる加圧室31ほど、共通流路27へのインクの逆流が生じにくくなり、ディセンダ29にインクが流れやすくなる(第2の影響)。
従って、加圧室31の容積を縮小させてインク滴を吐出するときには、上記の第2の影響により、共通流路27の上流側に通じる加圧室31を有する吐出素子19ほど、吐出速度が速くなる。さらに、加圧室31の容積を拡大してから加圧室31の容積を縮小してインク滴を吐出する引き打ち式においては、上記の第2の影響だけでなく、上記の第1の影響によっても、上流側に通じる加圧室31を有する吐出素子19ほど、吐出速度が速くなる。
一方、本実施形態の複数の加圧室31においては、第1共通流路27Aの上流側に通じる加圧室31ほど、第2共通流路27Bの下流側に通じている。従って、第1共通流路27Aの圧力分布の影響と第2共通流路27Bの圧力分布の影響とは相殺され、複数の吐出素子19の吐出速度のばらつきが緩和される。
さらに、基体21には、複数の第1供給孔34Aと複数の第2供給孔34Bとの、互いに同一の加圧室31に通じるもの同士をそれぞれ連通する複数の連通部33aと、複数の連通部33aと複数の加圧室31とをそれぞれ連通するしぼり33bとが形成されている。換言すれば、2つの共通流路27は、流れ方向の複数位置において、第1供給孔34A及び第2供給孔34Bによって、加圧室31を介さずに連通されている。従って、共通流路27の圧力勾配が緩和され、吐出速度のばらつきが一層緩和される。しかも、2つの共通流路27の連通は、加圧室31を2つの共通流路27に通じさせるための2つの供給孔34によりなされることから、構造の簡素化が図られる。
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る吐出素子219を示す、図2に相当する断面図である。
図5は、第2の実施形態に係る吐出素子219を示す、図2に相当する断面図である。
吐出素子219の基体221においては、2つの共通流路27の配置が第1の実施形態の吐出素子19の基体21と相違する。また、基体221は、当該共通流路27の配置の相違に起因して、共通流路27と加圧室31とを連通する供給路233の構成が基体21と相違する。なお、アクチュエータ23、ディセンダ29及び加圧室31の構成は、第1の実施形態と同様である。
2つの共通流路27は、y方向に並んでx方向に延びている。各供給孔34は、例えば、対応する共通流路27の上面において開口しており、好ましくは、当該上面の、2つの共通流路27の互いに隣接する側に位置している。個別流路225の連通部233aは、2つの供給孔34をその上方側においてy方向に連通している。しぼり33bは、連通部233aの上面に開口して、連通部233aと加圧室31とを連通している。
特に図示しないが、加圧室31及び供給孔34等の個別流路225の各部は、第1の実施形態と同様に、共通流路27に沿って(x方向に)複数配列されている。また、第1の実施形態と同様に、2つの共通流路27は、インクの流れ方向が互いに逆方向とされている。従って、第2の実施形態においても、複数の加圧室31間において、対応する第1供給孔34Aが複数の第1供給孔34A間において上流側となる加圧室31ほど、対応する第2供給孔34Bが複数の第2供給孔34B間において下流側となっている。
なお、図5では、共通流路27の側方一方側に位置する個別流路225のみが図示されているが、図2と同様に、共通流路27の側方両側に個別流路225が形成されてよい。なお、この場合、共通流路27の側方一方側の個別流路225と、共通流路27の側方他方側の個別流路225とは、供給孔34及び連通部233aのx方向の位置を互いにずらして形成される。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、複数の加圧室31において、第1共通流路27Aの上流側に通じる加圧室31ほど、第2共通流路27Bの下流側に通じていることにより、第1共通流路27Aの圧力分布の影響と第2共通流路27Bの圧力分布の影響とが相殺され、吐出速度のばらつきが緩和される効果が奏される。また、供給孔34により2つの共通流路27が連通されることによる圧力勾配の緩和の効果が奏される。
なお、第1の実施形態は、第2の実施形態に比較して、ヘッドのy方向の小型化や吐出孔29aのy方向における集積に有利である。第2の実施形態は、第1の実施形態に比較して、ヘッド(基体)のz方向の小型化(薄型化)に有利である。基体21が薄型化されると、ディセンダ29が短くなり、インク滴の吐出の周期を短くすることができるから、印刷の高速化に有利である。
<共通流路のパターン例>
互いに平行に延び、且つ、インクの流れ方向が互いに逆方向の複数(2つ)の共通流路27については、共通流路27にインクが流れ込む流入口等の配置等の具体的構成に関して、種々のパターンが考えられる。以下では、その数パターンについて例示する。
互いに平行に延び、且つ、インクの流れ方向が互いに逆方向の複数(2つ)の共通流路27については、共通流路27にインクが流れ込む流入口等の配置等の具体的構成に関して、種々のパターンが考えられる。以下では、その数パターンについて例示する。
図6(a)〜図6(f)は、共通流路27を模式的に示す図である。図6(a)及び図6(b)は、比較例の共通流路27を示し、図6(c)〜図6(f)は、実施形態に係る例の共通流路27を示している。
これらの図は、平面図と捉えられてもよいし、側面図と捉えられてもよい。これらの図においては、共通流路27と、共通流路27にインクが流れ込む流入口45とが示されている。また、矢印によって、共通流路27におけるインクの流れ方向が示されるとともに、図4と同様に、矩形により囲まれた「高」「低」によって、圧力の相対的な高さが示されている。
図6(a)及び図6(b)においては、一の共通流路27に重なる一の丸により一の供給孔34が示され、図6(c)〜図6(f)においては、2つの共通流路27に重なる一の丸により1組の第1供給孔34A及び第2供給孔34Bが示されている。供給孔34は、共通流路27に沿って複数配置されるが、これらの図においては、一の供給孔34若しくは1組の第1供給孔34A及び第2供給孔34Bのみを示している。
なお、流入口45は、ヘッド5の表面に開口してインクタンク6からインクが供給されるものであってもよいし、共通流路27がマニホルド状の流路の分岐部分である場合には、マニホルド状の流路の分岐点であってもよい。
図6(a)の比較例においては、共通流路27の両端に流入口45が位置し、インクは、共通流路27の両端側から中央側へ流れる。すなわち、共通流路27の圧力は、共通流路27の両側において相対的に高くなっている。また、各加圧室31は、一の供給孔34を介して一の共通流路27のみに通じている。従って、吐出速度は共通流路27の圧力分布の影響を受け、共通流路27の両端側に通じる加圧室31を含む吐出素子ほど、吐出速度が速くなる。
図6(b)の比較例においては、共通流路27の一端に流入口45が位置し、インクは、共通流路27の一端側から他端側へ流れる。すなわち、共通流路27の圧力は、共通流路27の一端側において相対的に高くなっている。また、各加圧室31は、一の供給孔34を介して一の共通流路27のみに通じている。従って、吐出速度は共通流路27の圧力分布の影響を受け、共通流路27の一端側に通じる加圧室31を含む吐出素子ほど、吐出速度が速くなる。
図6(c)の実施形態の例においては、第1共通流路27Aにおいては、その中央に流入口45が位置し、インクは、第1共通流路27Aの中央側から両端側へ流れる。すなわち、第1共通流路27Aの圧力は、第1共通流路27Aの中央側において相対的に高くなっている。一方、第2共通流路27Bにおいては、図6(a)の共通流路27と同様に、その両端に流入口45が位置し、第2共通流路27Bの圧力は、第2共通流路27Bの両端側において相対的に高くなっている。
従って、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bは、インクの流れ方向が互いに逆向きであり、ひいては、圧力の高低が流路方向に関して互いに逆になっている。そして、各加圧室31は、2つの供給孔34を介して2つの共通流路27に通じ、上述したように、共通流路27の圧力分布の影響は緩和される。なお、図6(c)の例は、中央の流入口45を境にして紙面左側と紙面右側とのそれぞれに、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bが形成されている(全体として2組の第1共通流路27A及び第2共通流路27Bが形成されている)と捉えられてもよい。
図6(d)の実施形態の例においては、各共通流路27においては、図6(b)の例と同様に、その一端側に流入口45が位置し、圧力は、共通流路27の一端側において高くなっている。ただし、2つの共通流路27は、互いに逆側の端部において流入口45が開口しており、これによって、圧力の高低が流路方向に関して互いに逆になっている。そして、各加圧室31は、2つの供給孔34を介して2つの共通流路27に通じ、上述したように、共通流路27の圧力分布の影響は緩和される。
なお、図6(c)の例は、図6(d)の例に比較して、流入口45の数が多いことから、共通流路27の圧力分布における最大値と最小値との差を小さくし、ひいては、吐出速度のばらつきを抑制しやすい。一方、図6(d)の例は、図6(c)の例に比較して、共通流路27の端部に流入口45を形成すればよいことから(共通流路27の中央に流入口を形成する必要がないことから)、設計が容易である。
図6(e)の実施形態の例においては、流入口45の位置は図6(c)と同様である。ただし、各共通流路27において、流路に直交する断面の面積は、上流側が下流側よりも大きくなっている。より具体的には、例えば、共通流路27の断面積は、上流側から下流側に行くにつれて連続的に小さくなっている。その変化率は、適宜に設定されてよく、例えば一定である。
流入口45付近においては流量が多いことから、圧力勾配は、流入口45に近いほど急になる。そこで、流入口45付近において共通流路27の断面積を大きくすることにより、圧力勾配を直線に近づけることができる。その結果、圧力分布を平滑化して、吐出速度のばらつきを一層抑制することができる。
図6(f)の実施形態の例においては、1組の第1共通流路27A及び第2共通流路27Bは、流路方向の一方の端部同士が接続されている。換言すれば、一の共通流路28が折り返されるように延び、その往路と復路とにより、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bが構成されている。また、流入口45は、共通流路28の一端に開口している。これによって、第1共通流路27A及び第2共通流路27Bは、インクの流れ方向が互いに逆方向とされ、圧力の高低が流路方向に関して互いに逆になっている。そして、各加圧室31は、2つの供給孔34を介して2つの共通流路27に通じ、上述したように、共通流路27の圧力分布の影響は緩和される。
図6(f)の例は、一の流入口45で2つの共通流路27にインクを供給できることなどから、他の例に比較して、コンパクト化が図られる。ただし、広い範囲に加圧室31を分布させる場合には、共通流路28が長くなり過ぎないように、図6(f)に示すように、複数の共通流路28が配置されることが好ましい。
<実施例>
(圧力分布の算出)
比較例及び実施形態のヘッドに対して具体的な寸法等を設定し、共通流路27から個別流路25(225)に付与される圧力の分布(厳密には、比較例においては供給孔34における圧力、実施例においては連通部33a(233a)における圧力)を算出した。具体的には、以下のとおりである。
(圧力分布の算出)
比較例及び実施形態のヘッドに対して具体的な寸法等を設定し、共通流路27から個別流路25(225)に付与される圧力の分布(厳密には、比較例においては供給孔34における圧力、実施例においては連通部33a(233a)における圧力)を算出した。具体的には、以下のとおりである。
(計算ケース)
以下の4つのケースについて計算を行った。
比較例:
比較例1:図6(a)の共通流路27を想定
比較例2:図6(b)の共通流路27を想定
実施例
実施例1:図6(c)の共通流路27を想定
実施例2:図6(d)の共通流路27を想定
以下の4つのケースについて計算を行った。
比較例:
比較例1:図6(a)の共通流路27を想定
比較例2:図6(b)の共通流路27を想定
実施例
実施例1:図6(c)の共通流路27を想定
実施例2:図6(d)の共通流路27を想定
(計算条件)
計算条件は、以下のとおりである。
実施例においては、図3と同様の構成を想定した。すなわち、複数の第1供給孔34Aが第1共通流路27Aにおいて2列で第1共通流路27Aに沿って配置されるとともに、複数の第2供給孔34Bが第2共通流路27Bにおいて2列で第2共通流路27Bに沿って配置された構成を想定した。供給孔34の各列における数は80個とした(第1供給孔34Aは80個の列が2列で計160個、第2供給孔34Bは80個の列が2列で計160個)。
計算条件は、以下のとおりである。
実施例においては、図3と同様の構成を想定した。すなわち、複数の第1供給孔34Aが第1共通流路27Aにおいて2列で第1共通流路27Aに沿って配置されるとともに、複数の第2供給孔34Bが第2共通流路27Bにおいて2列で第2共通流路27Bに沿って配置された構成を想定した。供給孔34の各列における数は80個とした(第1供給孔34Aは80個の列が2列で計160個、第2供給孔34Bは80個の列が2列で計160個)。
比較例においては、実施例から複数の第2供給孔34B及び第2共通流路27Bを省略した構成を想定した。すなわち、一の共通流路27に対して、供給孔34が2列で配列され、各列における供給孔34の数が80個(2列で計160個)である構成を想定した。
その他の計算条件は、以下のとおりである。
共通流路の流体抵抗:2.20×1011(Ns/m5)
インク滴量:10.0(pl)
駆動周波数:30.0(kHz)
共通流路の流体抵抗:2.20×1011(Ns/m5)
インク滴量:10.0(pl)
駆動周波数:30.0(kHz)
(計算結果)
図7(a)及び図7(b)は、全ての吐出孔29aから駆動周期(上述の駆動周波数の逆数)毎に、上述のインク滴量のインクを吐出した場合の計算結果を示す図である。これらの図において、横軸は、共通流路27の流路方向(x方向)における位置を供給孔34の数により示し、縦軸は、共通流路27から個別流路25に付与される圧力の、共通流路27における圧力損失が無いと仮定した場合の圧力(流入口45における圧力)に対する圧力差を示している。
図7(a)及び図7(b)は、全ての吐出孔29aから駆動周期(上述の駆動周波数の逆数)毎に、上述のインク滴量のインクを吐出した場合の計算結果を示す図である。これらの図において、横軸は、共通流路27の流路方向(x方向)における位置を供給孔34の数により示し、縦軸は、共通流路27から個別流路25に付与される圧力の、共通流路27における圧力損失が無いと仮定した場合の圧力(流入口45における圧力)に対する圧力差を示している。
図7(a)において、線L1は、比較例1の計算結果を示し、線L3は、実施例1の計算結果を示している。この計算結果から、比較例1においては、共通流路27の両端側に通じる個別流路25ほど高い圧力が付与される分布となっており、実施例1においては、そのような分布が平坦化されていることが確認された。
図7(b)において、線L5は、比較例2の計算結果を示し、線L7は、実施例2の計算結果を示している。この計算結果から、比較例2においては、共通流路27の一端側に通じる個別流路25ほど高い圧力が付与される分布となっており、実施例2においては、そのような分布が平坦化されていることが確認された。
(吐出速度のばらつき)
上述した共通流路27から個別流路25に付与される圧力を吐出孔29aからのインク滴の吐出速度に換算した。そして、各計算ケースについて、最大吐出速度と最小吐出速度との差を算出した。
上述した共通流路27から個別流路25に付与される圧力を吐出孔29aからのインク滴の吐出速度に換算した。そして、各計算ケースについて、最大吐出速度と最小吐出速度との差を算出した。
計算条件は、以下のとおりである。
しぼりの流体抵抗:3.01×1013(Ns/m5)
ディセンダ(吐出孔含む)の流体抵抗:2.43×1014(Ns/m5)
共通流路における圧力損失が無いと仮定した場合の吐出速度(流入口45の近傍に通じる加圧室を含む吐出素子の吐出速度):8(m/s)
なお、インク滴量及び駆動周波数は、共通流路27から個別流路25に付与される圧力の計算条件と同様である。
しぼりの流体抵抗:3.01×1013(Ns/m5)
ディセンダ(吐出孔含む)の流体抵抗:2.43×1014(Ns/m5)
共通流路における圧力損失が無いと仮定した場合の吐出速度(流入口45の近傍に通じる加圧室を含む吐出素子の吐出速度):8(m/s)
なお、インク滴量及び駆動周波数は、共通流路27から個別流路25に付与される圧力の計算条件と同様である。
以下に、計算結果を示す。
比較例1:0.126(m/s)
実施例1:0.029(m/s)
比較例2:0.509(m/s)
実施例2:0.126(m/s)
比較例1:0.126(m/s)
実施例1:0.029(m/s)
比較例2:0.509(m/s)
実施例2:0.126(m/s)
以上のとおり、共通流路27の圧力分布が複数の加圧室31間の圧力差に及ぼす影響が緩和されることにより、吐出速度のばらつきが縮小されることが確認された。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
上述した複数の実施形態等は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせ、各加圧室が4本の共通流路に通じるようにしてもよい。図6(e)に示した共通流路27の断面積が上流側において大きくなる形状は、図6(c)の例だけでなく、図6(d)の例又は図6(f)の例に適用されてもよいし、上述したような4本の共通流路に適用されてもよい。なお、共通流路27を4本とした場合の図4と同様の模式図を図8(c)に示す。
加圧室への圧力付与の方法は、適宜な方法とされてよい。すなわち、インクジェットヘッドは、ピエゾ式ヘッドに限定されず、例えば、インクを加熱して気泡を発生させることによりインクに圧力を付与するサーマル式ヘッドであってもよい。また、ピエゾ式のインクジェットヘッドは、撓みモードヘッドに限定されず、例えば、振動板の振動方向に圧電体を収縮させる縦モードヘッドであってもよいし、圧電体の剪断変形を利用するシアモードヘッドであってもよい。撓みモードヘッドは、ユニモルフ型ヘッドに限定されず、互いに対向する2つの圧電体を有するバイモルフ型ヘッドであってもよい。
各加圧室が通じる共通流路の数(図6(f)のような場合には1本の共通流路の特定部位の数と捉えられてもよい。以下、特に言及しない場合には同様。)は、2つ若しくは上述した4に限定されず、3若しくは5以上であってもよい。
実施形態では、図4において示したように、各加圧室31は2つの供給孔を介して2つの共通流路27に通じ、2つの供給孔34の上流側からの順番の合計は、複数の加圧室間において互いに同一であった。そして、2つの共通流路27の圧力分布の影響は、各加圧室において好適に相殺(完全に相殺されなくてもよい)された。このような状態を各加圧室が複数(2に限定されない)の共通流路に通じる場合に拡張(一般化)すると、第i番目の共通流路に開口する供給孔を第i供給孔とし(1≦i≦n、nは2以上の偶数)、また、各加圧室に対応する第i供給孔の複数の第i供給孔間における上流側からの順番をm(i)としたときに、複数の加圧室間において、i=1からi=nまでのm(i)の総和(m(1)+m(2)+…+m(n))が互いに等しいということになる(図8(c)参照)。
なお、このときの供給孔の上流側からの順番は、互いに同一の共通流路の組み合わせに通じる複数の加圧室間(後述するように、その一部の加圧室間であってもよい。)において決定される。例えば、図4と同様の模式図である図8(a)においては、紙面中央の共通流路27Cに対して、紙面上段の3つの加圧室に通じる3つの供給孔34、及び、紙面下段の2つの加圧室に通じる2つの供給孔34(合計5つの供給孔34)が開口している。しかし、上述のm(1)+m(2)+…+m(n)を算出するときにおける、共通流路27Cにおける供給孔34の順番は、5つの供給孔間において決定されるのではなく、紙面上段の3つの加圧室に通じる3つの供給孔34間において、又は、紙面下段の2つの加圧室に通じる2つの供給孔34間において、別個に決定される。
また、供給孔の上流側からの順番は、m(1)+m(2)+…+m(n)が互いに等しいか否かが判定される所定数の加圧室間において決定される。例えば、図3では、互いに同一の2つの共通流路27の組み合わせに通じる2列の加圧室列Fに含まれる多数の加圧室31を示したが、図4では、図3から3つの加圧室31を抽出して供給孔34の順番を決定し、m(1)+m(2)+m(3)が互いに等しいことを示した。このように、一部の加圧室間(共通流路の流路方向に連続していても、していなくてもよい)において、供給孔の順番を決定し、m(1)+m(2)+…+m(n)が互いに等しいという関係が成立するか否かが判定されてもよい。
なお、図3の2列の加圧室列Fにおいて、y方向に隣接する加圧室31同士は、供給孔34の上流側からの位置(x方向の位置)が互いに同一である。このような供給孔の上流側からの順番が互いに等しい加圧室が、m(1)+m(2)+…+m(n)が互いに等しいという関係が成立するか否かが判定される所定数の加圧室(判定対象)に含まれると、当該判定が難しくなることがあるので、供給孔の順番が互いに等しい2つの加圧室の一方は判定対象から除外されることが好ましい。供給孔の順番が互いに等しい3つ以上の加圧室がある場合も同様に、一つの加圧室を除いて判定対象から除外されることが好ましい。ただし、例えば、一の共通流路における上流側からの供給孔の順番が、1番、2番、2番(2番が2つ)、4番となるような4つの加圧室が抽出された場合には、便宜的に、1番、2.5番、2.5番、4番のように順番を決定し、判定が行われてもよい。
また、図8(a)において、紙面上段の加圧室31における順番の合計(4)と、紙面下段の加圧室31における順番の合計(3)とが等しくないことから理解されるように、m(1)+m(2)+…+m(n)が互いに等しいという関係は、互いに同一の共通流路の組み合わせに通じる複数の加圧室間(上述のように、その一部の加圧室間であってもよい。)において成立すればよい。
所定の2つの共通流路に関して、複数の個別流路間において、一の共通流路における供給孔の上流側からの順番と、他の共通流路における供給孔の上流側からの順番とが逆になっているという関係、若しくは、上述のm(1)+m(2)+…+m(n)が互いに等しいという関係等は、ヘッドが有する全ての加圧室について、若しくは、互いに同一の共通流路の組み合わせに通じる全ての加圧室について成立する必要はない。例えば、一の共通流路にのみ通じる加圧室が、ヘッド若しくは図8(a)等に示した範囲の上流側若しくは下流側に含まれてもよい。具体的な共通流路の配置、若しくは、共通流路の具体的な圧力勾配を考慮して、全体として種々の観点から好適なヘッドが得られるように、一部の加圧室についてのみ、上記の関係が成立してよい。
各加圧室が通じる共通流路の数は、圧力分布の影響を好適に相殺する観点から偶数であることが好ましい。ただし、図4と同様の模式図である図8(b)に示すように、各加圧室31が通じる共通流路27の数は奇数であってもよい。
加圧室等を含む個別流路の形状及び共通流路の形状は、実施形態において例示したものに限定されない。例えば、ディセンダ、加圧室及び供給路は、その一部又は全部が一体化されてよく、必ずしもその境界位置が明確でなくてもよい。例えば、サーマルヘッドにおいて、ノズルと加圧室とは一体化されてよい。
また、例えば、共通流路は、搬送方向や搬送方向に斜めに交差する方向に延びてもよいし、湾曲しつつ延びてもよい。複数の共通流路は、断面積、断面形状、長さ等が互いに異なっていてもよい。実施形態では、1組の共通流路の両側に2つの加圧室列が配置されたが、1組の共通流路に対して一つの加圧室列が配置されてもよいし、3以上の加圧室列が配置されてもよい。供給孔は、共通流路の上面、下面に限らず、側面に開口してもよい。
加圧室と複数の共通流路とを連通するための供給路(33、233)の形状は、しぼりよりも共通流路側において分岐する形状に限定されない。
例えば、図3と同様の模式図である図9に示すように、一の加圧室31に対して2つ(複数)のしぼり33bが設けられ、2つのしぼり33bに2つの供給孔34が個別に接続されていてもよい。換言すれば、供給路は、しぼり33bよりも加圧室31側において分岐してもよい。この場合、しぼり33bの断面積に対する内周面の面積が大きくなるので、インクの振動流れを減衰させやすくなる。なお、実施形態のように、1つのしぼり33bである場合においては、2つの供給孔34がしぼり33bを介さずに連通部33aにより連通されるので、図9の変形例に比較して2つの共通流路27内における圧力勾配を緩和させる効果が高い。
また、特に図示しないが、供給路を分岐させるのではなく、一の加圧室31に対して2つ(複数)の供給路が設けられることにより、一の加圧室31が2つの共通流路に通じてもよい。換言すれば、2つの開口部33cが加圧室31に開口してもよい。また、図9に示されるように、2つの供給孔34は、共通流路の流路方向の位置が互いに同一でなくてもよい。
上流側の断面積が下流側の断面積よりも大きい共通流路は、2本の共通流路のうちの1本のみなど、複数の共通流路のうちの一部のみでもよい。また、1本の共通流路(28)が折り返すように延び、往路と復路とにより複数の共通流路(27)が構成される場合において、共通流路(27)の数(往路及び復路)の数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。
5…インクジェットヘッド、21…基体、27A…第1共通流路、27B…第2共通流路、29…ディセンダ、29a…吐出孔、31…加圧室、34A…第1供給孔、34B…第2供給孔。
Claims (6)
- 複数の個別流路と、n(n≧2)個の共通流路と、が形成された基体を有し、
各個別流路は、
加圧室と、
前記加圧室に通じ、n個の前記共通流路にそれぞれ開口するn個の供給孔と、
を含み、
n個の前記共通流路のうち所定の2つの前記共通流路に関しては、前記複数の個別流路間において、一の前記共通流路における前記供給孔の上流側からの順番と、他の前記共通流路における前記供給孔の上流側からの順番とが逆になっている
インクジェットヘッド。 - nは偶数であり、第i番目(1≦i≦n)の前記共通流路に開口する第i番目の前記供給孔の上流側からの順番をm(i)としたときに、前記複数の個別流路間において、i=1からi=nまでのm(i)の総和が互いに等しい
請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 前記所定の2つの前記共通流路の少なくとも一の前記共通流路において、流路に直交する断面の面積は、上流側が下流側よりも大きい
請求項1又は2のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記所定の2つの前記共通流路は、折り返すように延びる1本の流路の往路と復路とにより構成されている
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 各個別流路は、
前記所定の2つの前記共通流路にそれぞれ開口する2つの前記供給孔を連通する連通部と、
前記連通部と前記加圧室とを連通するしぼりと、
を更に有する
請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを制御する制御部と、
メディアを前記インクジェットヘッドに対して相対的に搬送する搬送部と
を有する
記録装置。
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