JP2012172127A - パンクシーリング剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】経時安定性に優れたパンクシーリング剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合して得られたパンクシーリング剤及びその製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、パンクシーリング剤及びその製造方法に関する。
パンクが発生した際にその発生箇所をシールするための補修剤であるパンクシーリング剤は、(1)パンクシーリング剤の本来の機能であるパンクしたタイヤの孔をシールするパンクシール性、(2)パンクシーリング剤の粘度を低くし、バルブ等からパンクシーリング剤を注入し易くする観点から、注入容易性、(3)低温環境下でも使用可能な、ある程度の不凍性、(4)長期間保存可能な保存安定性等が要求される。
パンクシーリング剤としては、例えば、高いシール性を維持し、実用性に優れたパンクシーリング剤を提供することを目的として、SBRラテックス、NBRラテックス、カルボキシル変性SBRラテックス、カルボキシル変性NBRラテックスからなる群から選択されるいずれか1以上のゴムラテックスと、凍結防止剤と、短繊維及び前記ゴムラテックスに適合する樹脂系エマルジョンの少なくともいずれかと、を含有するパンクシーリング剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、パンクシール性や保存安定性等の要求に加え、スチールコードやホイール塗装といったタイヤ材料の腐食を防止する腐食防止性についても、その必要性が求められており、例えば、刺激臭が少なく、スチールコードを腐食しにくいタイヤパンクシール材を提供することを目的として、合成樹脂エマルジョンと、凍結防止剤とを含有し、水素イオン指数が5.5〜8.5であるタイヤパンクシール材が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献3には、合成ゴムラテックスと樹脂系粘着剤とを含有するパンクシーリング剤が開示される。
国際公開第2004/048493号パンフレット 特開2007−224246号公報 特開2010−100753号公報
しかしながら、従来のパンクシーリング剤には、経時するに従い粘度上昇が生じてしまうということが依然としてある。粘度が上昇したパンクシーリング剤は、タイヤに注入した際にタイヤ内部の全体に十分に行き渡らず、パンクシーリング剤本来の目的であるパンクシーリング性を充分に達成することができない。粘度上昇による経時安定性の低下は、特に低温環境下に保存した場合において顕著であり改善が強く求められている。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、経時安定性に優れたパンクシーリング剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
即ち、本発明は、合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合して得られたパンクシーリング剤である。
また、本発明のパンクシーリング剤の製造方法は、合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合することを含むパンクシーリング剤の製造方法である。
本発明のパンクシーリング剤及び製造方法に用いられるアルカリ水溶液としては、一価のアルカリ金属塩の水溶液又はアンモニア水溶液であることが好ましい。
本発明によれば、経時安定性に優れたパンクシーリング剤及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るパンクシーリング剤をタイヤに充填するために用いられるシーリング・ポンプアップ装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の実施形態に係るパンクシーリング剤をタイヤに充填するために用いられるシーリング・ポンプアップ装置の他の例を示す概略図であり、(A)は、パンクシーリング剤の収納容器であるボトルの使用例を示す概略図であり、(B)はエアコンプレッサの使用例を示す概略図である。
以下、本発明のパンクシーリング剤及びその製造方法について詳細に説明する。
<パンクシーリング剤>
本発明のパンクシーリング剤は、合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合して得られたものであり、必要に応じて、更に他の成分を混合してもよい。本発明のパンクシーリング剤は、パンクしたタイヤの孔をシールするために用いられる。
本発明のパンクシーリング剤は、上記の構成を有することで、経時安定性に優れたものとなる。本発明のパンクシーリング剤は、低温環境下にて経時させた場合においても優れた経時安定性を発揮する。
ここで、本発明において経時安定性とは、パンクシーリング剤を経時させた場合において粘度上昇が抑制されることを意味する。
本発明のパンクシーリング剤の液性は、pH10〜pH13であることが好ましく、pH10.5〜12が特に好ましい。
以下、本発明のパンクシーリング剤が含有し得る必須成分及び任意成分について説明する。
〔合成ゴムラテックス〕
本発明のパンクシーリング剤は、合成ゴムラテックスを含有する。
本発明に適用しうる合成ゴムラテックスの種類は特に制限されず、例えば、SBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックス、NBR(ニトリルゴム)ラテックス、MBR(アクリルゴム)ラテックス、BR(ポリブタジエンゴム)ラテックス、IIR(ブチルゴム)ラテックス、CRラテックス、IRラテックス、及び多硫化ゴムラテックス、ビニルピリジンラテックス等が挙げられる。
合成ゴムラテックスは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
合成ゴムラテックスの中でも、貯蔵安定性の観点から、SBRラテックス、IIRラテックス、NBRラテックス、及びBRラテックスが好ましい。
合成ゴムラテックスの液性は、pH8〜13であることが好ましい。
合成ゴムラテックスの液性は、合成ゴムラテックスに酢酸、塩酸等の酸及び/又はアンモニア、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を添加することにより、上記範囲に適宜調整することができる。
合成ゴムラテックスの含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、25質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明のパンクシーリング剤は、本発明の効果を損なわない限度において、前記合成ゴムラテックスの他に、NR(天然ゴム)ラテックスや合成樹脂ラテックス等の合成ゴムラテックス以外のラテックスを併用してもよい。
以下、NR(天然ゴム)ラテックス及び合成樹脂ラテックス等の合成ゴムラテックス以外のラテックスを「他のラテックス」と称する。また、合成ゴムラテックスと前記他のラテックスとを総称して、単に「ラテックス」とも称する。
前記合成樹脂ラテックスとしては、アクリルエステル系ラテックス、スチレン・ブタジエン・レジンラテックス、酢酸ビニルラテックス、塩化ビニルラテックス、塩化ビニリデンラテックス、及びポリスチレンラテックス等が挙げられる。
〔樹脂系粘着剤〕
本発明のパンクシーリング剤は樹脂系粘着剤を含有する。
樹脂系粘着剤は、主として、パンクシーリング剤が含むゴム成分のタイヤへの接着力を向上させるものである。
樹脂系粘着剤は、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されず、例えば、テルペンフェノール樹脂等のテルペン樹脂系、ロジン酸エステル樹脂等の重合ロジン系、ロジン、ダンマル等の天然樹脂系、部分水添ロジン等の変性ロジン樹脂系、オレフィン、オレフィン重合体等の脂肪族系炭化水素樹脂系等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂としては、α−ピネンフェノール樹脂、ジペンテンフェノール樹脂、テルペンビスフェノール樹脂、又はこれらを水素添化したものなどが使用できる。
また、樹脂系粘着剤としては、シクロペンタンジエン樹脂、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、及びビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体、芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系粘着剤、水溶性粘着剤等を用いることもできる。
中でも、前記ラテックスを凝固しにくく、ラテックス固形分とタイヤとの接着性に優れるとの観点から、テルペンフェノール樹脂又はロジン酸エステル樹脂を用いることが好ましい。
樹脂系粘着剤は、前記ラテックスとの混和性やパンクシール性の向上を考慮して、樹脂系粘着剤エマルジョンとして用いることが好ましく、前記ラテックスに適合するものを使用することが好ましい。当該樹脂系粘着剤エマルジョンは、乳化剤として公知の界面活性剤(好ましくは、非イオン系界面活性剤)を使用し、樹脂成分にロジン酸エステル樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン樹脂、又はポリイソブチレン等のブチルゴム系材料等を使用することができる。
ここで、樹脂系粘着剤エマルジョンがラテックスに「適合」するということは、樹脂系粘着剤エマルジョンがラテックスを少しも凝固させるものではないことを意味し、樹脂系粘着剤エマルジョンが、ラテックスのタイヤへの接着力を向上するものとして用いられることを示す。例えば樹脂が、ゴム皮膜の粘着性付与剤としてのエラストマーに加えられて用いられ得る。
樹脂系粘着剤エマルジョンの液性は、pH3〜11であることが好ましい。
樹脂系粘着剤エマルジョンの液性は、樹脂系粘着剤エマルジョンに酢酸、塩酸等の酸及び/又はアンモニア、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を添加することにより、上記範囲に適宜調整することができる。
樹脂系粘着剤を樹脂系粘着剤エマルジョンとして用いるとき、パンクシーリング剤中の樹脂系粘着剤エマルジョンの含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、1質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜25質量%であることがより好ましく、5質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
本発明のパンクシーリング剤においては、パンクシール性及び注入容易性の観点から、ラテックス固形分及び樹脂系粘着剤の含有量の合計が、パンクシーリング剤の全質量に対して5質量%〜70質量%であることが好ましく、5質量%〜60質量%であることがより好ましく、5質量%〜50質量%であることがさらに好ましく、8質量%〜40質量%であることが特に好ましい。
〔不凍液〕
本発明のパンクシーリング剤は、不凍液を含有する。
不凍液は、パンクシーリング剤を寒冷地で用いたときに、パンクシーリング剤の凍結を防止する機能を有するものであれば特に制限されない。
不凍液としては、例えば、1価のアルコール、2価のアルコール等のアルコールを用いることができる。アルコールは、直鎖でも分岐でも環状でもよく、中でも、パンクシーリング剤の低粘度化の観点から、炭素数1〜5の、1価又は2価のアルコールが好ましい。 不凍液として用い得るアルコールの例としては、エタノール、1−プロパノール、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等を挙げることができる。
不凍液の含有量は特に制限されないが、低温時の凍結防止性の観点から、パンクシーリング剤の全質量に対して5質量%〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%〜50質量%である。
〔アルカリ水溶液〕
本発明のパンクシーリング剤は、アルカリ水溶液を含有する。
本発明のパンクシーリング剤は、合成ゴムラテックス、樹脂系粘着剤、及び、不凍液と共に、アルカリ水溶液が混合されることにより、該パンクシーリング剤が経時された場合においても粘度低下が効果的に抑制されて経時安定性に優れたものとなる。
アルカリ水溶液は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、1種のみ用いることがより好ましい。
本発明におけるアルカリ水溶液としては、一価のアルカリ金属塩の水溶液又はアンモニア水溶液であることが好ましい。該一価のアルカリ金属塩の水溶液としては、水酸化カリウム水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。
アルカリ水溶液が水酸化カリウム水溶液である場合、その濃度としては、0.05mol/L〜5mol/Lであることが好ましく、より良好な腐食防止性発揮の観点からは、0.1mol/L〜3.0mol/Lであることがより好ましい。
アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である場合、その濃度としては、0.1mol/L〜5mol/Lであることが好ましくより良好な腐食防止性発揮の観点からは、0.2mol/L〜4.0mol/Lであることがより好ましい。
アルカリ水溶液がアンモニア水溶液である場合、その濃度としては、0.3mol/L〜6mol/Lであることが好ましく、より良好な腐食防止性発揮の観点からは、0.5mol/L〜5.0mol/Lであることがより好ましい。
アルカリ水溶液は、アルカリ成分を水に溶解させることにより調製することができる。
アルカリ水溶液の添加量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.1質量%〜10.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10.0質量%である。
〔他の成分〕
本発明のパンクシーリング剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに、他の成分を任意に含有することができる。該他の成分としては、界面活性剤、短繊維、フィラー等が挙げられる。
以下、他の成分について説明する。
(界面活性剤)
本発明のパンクシーリング剤は、更に界面活性剤を含有してもよい。
パンクシーリング剤に界面活性剤を含有させる態様しては、パンクシーリング剤が含有する各成分を混合する際に当該成分の一つとして含有させる態様、前記樹脂系粘着剤エマルジョンが含有する乳化剤として含有させる態様、などが挙げられる。
界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、公知の界面活性剤を適用することができ、非イオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、等)が好ましい。
パンクシーリング剤における界面活性剤の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.1質量%〜10.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜8.0質量%とすることがより好ましく、1.0質量%〜5.0質量%とすることがさらに好ましい。
(短繊維)
本発明のパンクシーリング剤は、更に短繊維を含有してもよい。
短繊維は、パンクによりタイヤに発生した穴や孔(欠陥部)に入り込んで目詰まりを生じさせて、これらの穴や孔を迅速、かつ確実に塞ぐ役割を果たす。
短繊維の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.1質量%〜5質量%であることが好ましい。0.1質量%以上あれば、短繊維を添加したことによるシール性を十分に発揮することができ、5質量%以下であれば、短繊維の絡み合いを防ぐことができ、粘性が増加しにくく、パンクシーリング剤の注入容易性が向上すると共に、既述のパンクシーリング剤の役割を十分に発揮し易い。
短繊維の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.3質量%〜4質量%とすることがより好ましく、0.5質量%〜3質量%とすることがさらに好ましい。
パンクシーリング剤について既述のような役割を十分に発揮させるため、短繊維についても種々の設計をする必要がある。そこで、短繊維の比重(S)、長さ(L)、直径(D)、及び長さと直径との比(L/D)は、それぞれ、下記の範囲とすることが好ましい。
(1)比重(S):0.8≦S≦1.4(より好ましくは、0.9≦S≦1.3、さらに好ましくは、1.0≦S≦1.2)。
短繊維の比重(S)が0.8以上1.4以下であることは、パンクシーリング剤における短繊維の長期の分離安定性の観点からより好ましい
(2)長さ(L):0.05mm≦L≦10mm(より好ましくは、0.08mm≦L≦8mm、さらに好ましくは、0.1mm≦L≦6mm)。
短繊維の長さ(L)が0.05mm以上10mm以下であることは、パンクシーリング剤のシール性が向上の観点からより好ましい。
(3)直径(D):1≦D≦100μm(より好ましくは、3μm≦D≦80μm、さらに好ましくは、5μm≦D≦50μm)。
短繊維の直径(太さ:D)が1μm以上100μm以下であることは、パンクシーリング剤のシール性が向上の観点からより好ましい。
(4)長さと直径との比(L/D):5≦L/D≦2000(より好ましくは、20≦L/D≦1600、さらに好ましくは、50≦L/D≦1200、特に好ましくは、100≦L/D≦300)。
短繊維の長さと直径との比(L/D)が5以上2000以下であることは、パンクシーリング剤のシール性及び注入容易性の観点ンからより好ましい。
なお、短繊維は、一の材質からなるものを一定の形状で使用してもよく、既述の範囲で複数の材質からなるものを種々の形状で使用することもできる。
短繊維は、その材質に特に制限はないが、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、及びこれら2以上の複合体のいずれかからなることが好ましく、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、及びこれら2以上の複合体のいずれかからなることがより好ましい。かかる短繊維を使用することで、より良好な分離安定性が得られる。
短繊維は、その全量又はその一部(好ましくは全量)を、高級アルコール系誘導体及び/又はベタイン系活性剤等の溶剤で処理しておくことが好ましい。かかる処理により、溶剤が活剤として作用し、短繊維の分散性を向上させることができる。
溶剤による短繊維の処理は、パンクシーリング剤に含有させる前でも後でもよい。処理方法としては、短繊維を上記溶剤に含浸したり、上記溶剤を吹き付けたりして行うことができる。高級アルコール誘導体としては、ポリグリコール系ポリエステル等が好適である。
溶剤の添加量(上記処理により短繊維に吸収される量)としては、短繊維質量の0.2質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜6質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であれば、短繊維の十分な分散効果が得られ、当該処理が良好で、効果の向上が期待できる。
(フィラー)
また迅速にシールしかつ大きな孔でも確実にシールできるように、パンクシーリング剤に1種又はそれ以上のフィラーを混合してもよい。安定したフィラーとしては、例えばケイ酸、チョーク、カーボンブラック、グラスファイバーで補強された合成樹脂、ポリスチレン粒子、タイヤ等の加硫成品の粉砕による粉末ゴム、おがくず、モスラバー粒子、カットフラワー用の発泡粒子等が採用できる。この中でも特に好ましいフィラーは、ケイ酸と結合したゴム粉末、及びグラスファイバーで補強された合成樹脂である。
フィラーは、パンクシーリング剤に直接添加されてもよい。或いは、フィラーが、バルブサイズを変更することなくバルブを経てパンクシーリング剤を導くのを困難又は不可能にする大きさを有する場合においては、フィラーは、一般的にタイヤをリム組みするときにタイヤの内部に導入され、タイヤにパンクが発生した際にパンクシーリング剤が注入されることによって、シーリングを成し遂げるものであってもよい。
フィラーは、パンクシーリング剤中に、好ましくは約20g/リットル〜200g/リットル、より好ましくは60g/リットル〜100g/リットル加えられ、あるいはタイヤのリム組においてタイヤ内部に配される。
(水)
本発明のパンクシーリング剤は水を含有してもよい。
水は、樹脂系粘着剤を樹脂系粘着剤エマルジョンとして用いる場合の各々の分散媒として用いることができ、パンクシーリング剤の希薄化のために用いることもできる。
水の含有量は、パンクシーリング剤の粘度の観点から、本発明のパンクシーリング剤に対して、5質量%〜20質量%であることが好ましく、10質量%〜15質量%であることがより好ましい。
(他の添加剤)
本発明のパンクシーリング剤は、分散剤、乳化剤、発泡安定剤などを添加してもよく、必要により液状樹脂系エマルジョンを用いてもよい。
〔パンクシーリング剤の固形分〕
以上のような本発明のパンクシーリング剤において、当該パンクシーリング剤中の固体成分(以下、「固形分」ということがある)の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、5質量%〜70質量%であることが好ましい。
「固形分の含有量」は、以下のようにして求めることができる。まず、パンクシーリング剤10gを4時間、140℃の状態で放置する。放置後の残留分の質量を測定し、当該残留分の質量をパンクシーリング剤の質量で除する(残留分の質量/放置前のパンクシーリング剤の質量)ことで求めることができる。
固形分の含有量がパンクシーリング剤の全質量に対して、5質量%以上あれば十分なシール性を確保することが可能となる。また、70質量%以下であればシール性以外の特性を十分に確保することができる。
上記範囲内での固形分含有量のより好ましい上限は60質量%であり、さらに好ましくは50質量%であり、特に好ましくは40質量%である。また、上記範囲内で固形分の含有量のより好ましい下限は8質量%である。
〔パンクシーリング剤の粘度〕
パンクシーリング剤の粘度は、実際の使用条件として想定される条件(少なくとも、タイヤへの充填前であって60℃〜−60℃の範囲)において、3mPa・s〜20,000mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜4,500mPa・sであることがより好ましく、8mPa・s〜3,000mPa・sであることがさらに好ましく、10〜3,000mPa・sであることが特に好ましく、15〜1,500mPa・sであることが最も好ましい。
パンクシーリング剤の粘度が3mPa・s以上あれば、バルブへの注入時における液漏れを防止することができる。20,000mPa・s以下であれば、注入時の抵抗を抑えることができるため、注入容易性の低下を防止することができ、また、タイヤ内面への広がりを十分にすることができることから、高いシール性が得られる。
また、本発明のパンクシーリング剤は、−30℃以下のような極寒地でも、低粘度で好適に用いることができ、経時した場合においても低粘度が維持される。
−30℃におけるパンクシーリング剤の粘度は、3mPa・s以上700mPa・s未満であることが好ましく、10mPa・s以上500mPa・s未満であることがより好ましく、10mPa・s以上450mPa・s未満であることが特に好ましい。
本明細書におけるパンクシーリング剤の粘度は、B型粘度計(製品名:TVB10、東機産業(株)製)により測定した値である。
本発明のパンクシーリング剤は、以下に詳述するパンクシーリング剤の製造方法(本発明の製造方法)により好適に製造される。
〔パンクシーリング剤の製造方法〕
本発明のパンクシーリング剤の製造方法は、合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合すること(以下、適宜「混合工程」と称する)を含むパンクシーリング剤の製造方法である。
混合工程においては、合成ゴムラテックス、樹脂系粘着剤、不凍液、及びアルカリ水溶液を、必要に応じて用いられる他の成分とともに、公知の方法で混合する。
本発明の製造方法において用いる合成ゴムラテックス、樹脂系粘着剤、不凍液、及びアルカリ水溶液の必須成分、並びに、必要により用いられる他の成分は、本発明のパンクシーリング剤における必須成分及び任意成分として説明した成分であり、より好ましい成分もパンクシーリング剤と同様である。各成分の好適な混合量は、本発明のパンクシーリング剤の好ましい含有量として前述した量となる量である。
混合工程を経て得られたパンクシーリング剤は、そのまま保存容器に充填してもよいが、更に、該パンクシーリング剤を所定の時間経時させた後に、パンクシーリング剤中に生じた塊状物等を除去する工程をさらに有してもよい。経時時間は特に限定されないが、1日〜10日程度である。
パンクシーリング剤の製造は、酸化等を避けるため、好ましくは窒素又は希ガスの雰囲気で行われる。また、パンクシーリング剤の保管や充填においても、酸化等を避けるため、窒素又は希ガスの雰囲気で行なうことが好ましい。
〔パンクシーリング剤によるパンクの修理方法〕
以上のようなパンクシーリング剤によるパンクの修理方法としては、公知の方法を適用することができる。すなわち、まず、パンクシーリング剤が充填された容器をタイヤのバルブ口に差し込み、適量を注入する。その後、パンクシーリング剤がタイヤ内面に広がりパンク孔をシールできるようにタイヤを回転させればよい。
このようなパンクシーリング剤そのものは、種々のポンプアップ装置、例えば燃料ガスとしてプロパン・ブタン混合ガスを含むスプレー缶を用いてタイヤの内部に導入されてタイヤを再膨張させうるが、図1に示されるポンプアップ装置20によってより好ましく使用できる。
図1に示されるポンプアップ装置20では、前記圧力源として小型のエアコンプレッサ1を用いている。このエアコンプレッサ1は、ホース2を介して耐圧容器4のガス導入部3に接続されている。前記ガス導入部3は、栓バルブ5で閉止できかつ耐圧容器4に収納されたパンクシーリング剤6の液面上までのびるライザーチューブとして形成されている。
また、耐圧容器4は、パンクシーリング剤6を取出すための出口バルブ7を有し、この出口バルブ7にホース8の一端が接続されるとともに、該ホース8の他端には、タイヤバルブ10にねじ止めされるねじアダプタ9が取付けられている。
耐圧容器4は、フィリングスタブ12を有し、かつ水が充填されたジャケット11を具える。必要に応じて加熱源としての塩化カルシウムが前記フィリングスタブ12内に充填されうる。パンクシーリング剤6が低温で凍結すると、この加熱源の水和作用で解放される熱によって、利用できる温度にパンクシーリング剤6が加熱される。
前記エアコンプレッサ1には、電気ケーブル13が接続され、そのプラグ14は、例えば、シガレットライターに差込まれる。
タイヤにパンクが発生すると、前記ねじアダプタ9がタイヤバルブ10にねじ止めされ、かつエアコンプレッサ1がシガレットライターに接続されるとともに、耐圧容器4のガス導入部3において前記栓バルブ5が開かれる。そしてエアコンプレッサ1から耐圧容器4内にガス導入部3をへて導入される圧縮空気が、出口バルブ7からパンクシーリング剤6を押出し、タイヤバルブ10をへてタイヤの内部に導入させる。然る後、空気がタイヤの内部に再充填され、タイヤを特定の内圧で膨張させる。これが終わると、ねじアダプタ9をタイヤバルブ10から取外し、エアコンプレッサ1を止める。この直後に、一定距離に亘って予備走行し、タイヤ内部にパンクシーリング剤6を散布しつつパンク孔をシールした後、ポンプアップ装置20が再び接続されてタイヤを要求される内圧まで再度、ポンプアップする。
また、本発明のパンクシーリング剤は、図2(A)、(B)に示されるポンプアップ装置によってもより好ましく使用できる。なお、図2(A)、(B)に示されるポンプアップ装置において、図1に示されるポンプアップ装置20と共通の部分には同一符号を付して説明を省略する。
このポンプアップ装置は、図2(A)に示されるパンクシーリング剤6の収納容器である樹脂製のボトル22と、図2(B)に示される圧力源としてのエアコンプレッサ1とを備えている。ボトル22は、1回のパンク修理に必要なパンクシーリング剤6を収容している。ボトル22には、先端部にアダプタ26が配置されたホース24が接続されている。またエアコンプレッサ1に接続されたホース2にも、その先端部にアダプタ9が配置されている。但し、ボトル22のホース24については、タイヤバルブ10に直接接続可能なものであるならばアダプタ26を省略してもよい。
パンク発生時に、ボトル22のアダプタ26がタイヤバルブ10にねじ止めされる。これにより、ホース24及びアダプタ26を通してタイヤ内に連通する。この状態で、作業者は、図2(A)で2点鎖線(想像線)により示されるように、ボトル22を握り潰してパンクシーリング剤6をボトル22内から搾り出すことにより、ホース24を通してパンクシーリング剤6をタイヤ内へ注入する。
ボトル22内からタイヤ内へのパンクシーリング剤6の注入が完了すると、作業者は、アダプタ26をタイヤバルブ10から取り外してボトル22をタイヤから切り離す。
次いで、作業者は、エアコンプレッサ1のアダプタ9をタイヤバルブ10にねじ止めし、アダプタ9及びホース2を通してエアコンプレッサ1をタイヤ内に連通させる。この状態で、作業者は、エアコンプレッサ1を作動させて加圧空気をタイヤ内へ再充填し、タイヤを特定の内圧で膨張させる。これが終わると、作業者は、アダプタ9をタイヤバルブ10から取外し、エアコンプレッサ1を止める。この直後に、一定距離に亘って予備走行し、タイヤ内部にパンクシーリング剤6を散布しつつパンク孔をシールした後、作業者は、ポンプアップ装置のエアコンプレッサ1を再び接続してタイヤを要求される内圧まで再度、ポンプアップする。
本発明のパンクシーリング剤は、種々の空気入りタイヤのパンク修理に適用することができる。例えば、自動車用タイヤ、二輪車用タイヤ、一輪車用タイヤ、車いす用タイヤ、農地作業や庭園作業に使用する車両用タイヤ等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
〔実施例1〜12、及び比較例1〕
下記表1の「パンクシーリング剤成分」欄に記載の各成分及び界面活性剤3質量部を混合して、実施例1〜12、及び比較例1のパンクシーリング剤を調製した。
なお、下記表1中、「パンクシーリング剤成分」欄の数値の単位は、「pH」欄の数値を除き、いずれも「質量部」である。
下記表1に記載の各成分の詳細は以下の通りである。
合成ゴムラテックスには、SBRラテックスを用いた。
樹脂系粘着剤には、ロジン酸エステルエマルジョンを用いた。
不凍液にはプロピレングリコールを用いた。
界面活性剤には、非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。
水酸化カリウム水溶液は、(株)関東化学より市販品として入手した水酸化カリウムを、表1記載の所定の濃度となるように精製水に溶解したもの用いた。
水酸化ナトリウム水溶液は、(株)関東化学より市販品として入手した水酸化ナトリウムを、表1記載の所定の濃度となるように精製水に溶解したもの用いた
アンモニア水溶液は、(株)関東化学より市販品として入手した、濃度10mol/lのアンモニア水溶液を、表1記載の所定の濃度となるように精製水にて希釈したもの用いた。
調製直後における各実施例パンクシーリング剤の液性(pH)は、pH10.3〜pH12.6の範囲内であった。また、調製直後における比較例1のパンクシーリング剤の液性(pH)は、pH9.8であった。結果を表1に示す。
調製直後における各実施例及び比較例のパンクシーリング剤の粘度を、B型粘度計(製品名:TVB10、東機産業(株)製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
<評価>
1.ホイール塗装の腐食防止性評価
ホイール表面に得られたパンクシーリング剤を塗布して、35℃の高温下で該ホイールを一定期間保管し、下記評価基準により評価した。○であることが好ましく、△であれば実用可能なレベルである。
−評価基準−
○:35℃で2週間保管後、ホイール塗装のピーリングテストを行った際に、塗装の剥がれが無い。
△:35℃で1週間保管後、ホイール塗装のピーリングテストを行った際に、塗装の剥がれが無いが、35℃で2週間保管後、ホイール塗装のピーリングテストを行った際には塗装の剥がれがある。
×:35℃で1週間保管後、ホイール塗装のピーリングテストを行った際に、塗装の剥がれがある。
2.熱的安定性評価
得られたパンクシーリング剤を密閉容器に入れ、80℃のオーブンに保管後、パンクシーリング剤の性状を観察し、パンクシーリング剤のクリーム化又はゲル化の有無により熱的安定性を評価した。評価基準は以下の通りである。○であることが好ましく、△であれば実用可能なレベルである。
−評価基準−
○:80℃で2ヶ月保管後、性状に変化なし。
△:80℃で1ヶ月保管後は性状に変化が無いが、80℃で2ヶ月保管後には性状に変化(クリーム/ゲル発生)が見られた。
×:80℃で保管後1ヶ月以内に、性状に変化(クリーム/ゲル発生)が見られた。
3.パンクシール性評価
1つのタイヤのタイヤトレッド溝部に、φ2.3mmの穴をドリルであけ、作製したパンクシーリング剤を注入し、車に装着した。その後、0.2MPaの空気圧を維持しながら、約50km/hで車を走行させ、何km走行時にシールが完了するかにより、パンク穴シール性の評価を行った。具体的基準は下記のとおりである。○であることが好ましく、△であれば実用可能なレベルである。
○:5km未満
△:5km以上8km未満
×:8km以上
3.経時安定性評価
経時させたパンクシーリング剤について、−30℃の温度環境下における粘度測定し、経時安定性を評価した。本評価に優れることは、タイヤ内部にパンクシーリング剤を注入した際における液広がり性に優れることを示す。評価方法及び評価基準は以下の通りである。
得られたパンクシーリング剤を密閉容器に入れ、恒温槽に、90℃で、11日間保管した。保存後のパンクシーリング剤を、更に、−30℃の温度環境下に、5時間保管した後、B型粘度計(製品名:TVB10、東機産業(株)製)を用いて粘度を測定した。○であることが好ましく、◎であることが特に好ましい。△であれば実用可能なレベルである。
−評価基準−
◎:450mPa・s未満
○:450mPa・s以上500mPa・s未満
△:500mPa・s以上700mPa・s未満
×:700mPa・s以上
表1に示されるように、実施例のパンクシーリング剤は、腐食防止性、熱的安定性、及びパンクシール性に優れると共に、経時後においても粘度上昇が抑制されおり、優れた経時安定性を有するものであることがわかる。
3 ガス導入部
4 耐圧容器
6 シーリング剤
7 出口バルブ
20 ポンプアップ装置

Claims (4)

  1. 合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合して得られたパンクシーリング剤。
  2. 前記アルカリ水溶液が、一価のアルカリ金属塩の水溶液又はアンモニア水溶液である請求項1に記載パンクシーリング剤。
  3. 合成ゴムラテックスと、樹脂系粘着剤と、不凍液と、アルカリ水溶液と、を混合することを含むパンクシーリング剤の製造方法。
  4. 前記アルカリ水溶液が、一価のアルカリ金属塩の水溶液又はアンモニア水溶液である請求項3に記載パンクシーリング剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018069978A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 住友ゴム工業株式会社 シーラント材用ゴム組成物

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