JP2012176866A - 硫化物系固体電解質ガラスの製造方法 - Google Patents

硫化物系固体電解質ガラスの製造方法 Download PDF

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和明 柳
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剛 太田
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Abstract

【課題】特殊な設備を必要としないで、硫化リチウムの粉砕及び精製を実施しなくても、イオン伝導度が高い硫化物系固体電解質を製造できる方法を提供する。
【解決手段】LiR(Rは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素数4〜20のアルキルシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルコキシ基、炭素数3〜20のシクロアルコキシ基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルコキシ基、又は炭素数4〜20のアルコキシシクロアルキル基である)と硫化水素を反応させて硫化リチウムを製造する工程と、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1以上の化合物と、前記硫化リチウムとを反応させて、硫化物系固体電解質ガラスを製造する工程とを含む硫化物系固体電解質ガラスの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、硫化物系固体電解質ガラスの製造方法、及びその方法により得られる固体電解質ガラスとガラスセラミックスに関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、ハイブリッド電気自動車等の主電源として利用されているリチウム電池の需要が増大している。
現在リチウム電池に用いられている固体電解質の多くは、可燃性の有機物を含むことから、電池に異常が生じた際には発火する等の恐れがあり、電池の安全性の確保が望まれている。また、衝撃や振動に対する信頼性の向上、エネルギー密度のより一層の向上及び地球環境に対するクリーンで高効率なエネルギー変換システムヘの強い杜会的要請から、不燃性の固体材料で構成される固体電解質を用いた全固体型リチウム二次電池の開発が望まれている。
不燃性の固体電解質として、硫化物系固体電解質が検討されている。その製造としては、原料を真空下又は不活性雰囲気下にて高温で処理する方法や、室温で遊星型ボールミルを用いてメカニカルミリングする方法がある。しかしながら、いずれの方法も特殊な設備が必要であり、量産化には適さなかった。
本発明者らは上記の問題に対し、炭化水素系溶媒中で硫化リチウム粒子と五硫化二りん粒子を反応させることにより硫化物系固体電解質を製造することができることを見出した(特許文献1)。
WO2009/047977A1
しかし、特許文献1に記載の技術では、炭化水素系溶媒中で硫化リチウム粒子と五硫化二りん粒子を反応させて、イオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を製造するためには、硫化リチウム粒子を精製すると共に、硫化リチウム粒子と五硫化二りん粒子の比表面積を大きくするために硫化リチウム粒子を粉砕する必要があった。
上記の欠点を鑑みて、本発明では、特殊な設備を必要としないで、かつ硫化リチウムの粉砕及び精製を実施しなくても、イオン伝導度が高い硫化物系固体電解質を製造できる方法を開発することを目的とする。
本発明によれば、以下の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法等が提供される。
1.下記式(1)で示す化合物と硫化水素を反応させて硫化リチウムを製造する硫化リチウム製造工程と、
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、前記硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて、硫化物系固体電解質ガラスを製造する硫化物系固体電解質ガラス製造工程と、
を含む硫化物系固体電解質ガラスの製造方法。
LiR (1)
(式中、Rは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素数4〜20のアルキルシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルコキシ基、炭素数3〜20のシクロアルコキシ基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルコキシ基、又は炭素数4〜20のアルコキシシクロアルキル基である。)
2.下記式(2)で示す化合物と硫黄を反応させて硫化リチウムを製造する硫化リチウム製造工程と、
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、前記硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて、硫化物系固体電解質ガラスを製造する硫化物系固体電解質ガラス製造工程と、
を含む硫化物系固体電解質ガラスの製造方法。
LiXY (2)
(式中、Xは、ホウ素又はアルミニウムであり、Yは、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基である。4つのYは同じでも異なってもよい。)
3.1又は2に記載の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法により製造された硫化物系固体電解質ガラス。
4.3に記載の硫化物系固体電解質ガラスを焼成することにより得られる硫化物系固体電解質ガラスセラミックス。
本発明によれば、特殊な設備を必要としないで、かつ硫化リチウムを粉砕及び精製しなくても、イオン伝導度が高い硫化物系固体電解質を得ることができた。
実施例1,2及び比較例1で得られた電解質ガラスのXRDスペクトルである。
1.第一の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法
第一の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法(第一の製造方法)は、式(1)で示す化合物と硫化水素を反応させて硫化リチウムを製造する硫化リチウム製造工程と、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて硫化物系固体電解質ガラスを製造する硫化物系固体電解質ガラス製造工程と、を含む。
LiR (1)
(式中、Rは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素数4〜20のアルキルシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルコキシ基、炭素数3〜20のシクロアルコキシ基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルコキシ基、又は炭素数4〜20のアルコキシシクロアルキル基である。)
A.硫化リチウム製造工程
硫化リチウム製造工程の反応式は下記の通りである。
2R−Li+HS → LiS+2R−H
(1)式(1)の化合物
式(1)において、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基で置換されたアルキル基(シクロアルキルアルキル基)、アルキル基で置換されたシクロアルキル基(アルキルシクロアルキル基)、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルキル基で置換されたアルコキシ基(シクロアルキルアルコキシ基)、又はアルキル基で置換されたシクロアルコキシ基(アルキルシクロアルコキシ基)であり、好ましくは、アルキル基である。副生するR−Hの反応系からの除去が容易なためである。
尚、反応後の生成物R−Hが、脂肪族、又は脂環式炭化水素となるものが好ましい。
アルキル基は、分岐していても分岐していなくてもよく、炭素数が1以上20以下であり、好ましくは1以上10以下であり、より好ましくは1以上6以下である。
アルコキシ基も分岐していても分岐していなくてもよく、炭素数が1以上20以下であり、好ましくは1以上10以下であり、より好ましくは1以上6以下である。
シクロアルキル基及びシクロアルコキシ基は、炭素数が3以上20以下であり、好ましくは3以上10以下であり、より好ましくは4以上8以下である。
アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルコキシ基及びシクロアルキルアルコキシ基は、炭素数が4以上20以下であり、好ましくは4以上15以下であり、より好ましくは7以上12以下である。尚、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルコキシ基及びシクロアルキルアルコキシ基に含まれる、アルキル又はアコルキシは、分岐していても分岐していなくてもよい。
Rの炭素数が上記の好適範囲であると、硫化リチウムを回収する際、真空乾燥処理で除去できるため好ましい。
式(1)の化合物として、具体的には、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−へキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、シクロへキシルリチウム、2−メチルシクロへキシルリチウム、シクロへキシルメチルリチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド等が挙げられる。
(2)硫化水素
硫化水素は、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、高純度のものが好ましく、99重量%以上のものがより好ましい。不純物として水等が混入している場合、水酸化リチウム等目的としない生成物が副生するため好ましくない。
硫化水素は、式(1)で示す化合物1モルに対して、好ましくは0.5モル以上供給する。
硫化水素の流通により系内は、発熱することが予想される。これを抑制するために、硫化水素は、不活性ガスで希釈して流通させてもよい。
硫化水素は、流通系、バッチ系いずれでも用いることができる。バッチ系の場合、反応系内を定常圧力として、消費分が供給されるプロセスを採用することができる。
硫化水素ガスを通じることで、系内は硫化水素ガス雰囲気となる。反応は定量的に進行するため、硫化水素ガスを理論量使用することで完結させることが可能である。
しかし、アルキルリチウムが残存すると後処理に注意する必要が生じるため、硫化水素は、アルキルリチウム理論量よりも2〜50当量%多く使用することが好ましい。これは過剰量の硫化水素を使用することになるため、排ガスは、アルカリ溶液にてトラップすることが安全面において好ましい。
ただし、硫化水素の循環ラインを設置することで、アルカリ溶液トラップは不要又は小スケールとすることが可能である。
(3)溶媒
通常溶媒を用いて反応させる。
溶媒は、式(1)で示す化合物を溶解させることができ、かつ硫化リチウムを劣化させないものであれば、特に制限しない。例えば、非水性溶媒が好ましい。
非水性溶媒としては、極性溶媒、非極性溶媒及びハロゲン系溶媒のいずれも用いることができる。
極性溶媒としては、ニトリル化合物、エーテル、アルコール、カルボン酸等を挙げることができる。
ニトリル化合物は、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチルニトリル等を挙げることができる。尚、ニトリル化合物とは、ニトリル基を有する化合物を意味する。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン等を挙げることができる。エーテルとは、エーテル結合(−O−)を有する化合物を意味し、環状のものも含む。
アルコールとしては、メタノール、エタノール等を挙げることができる。アルコールとは、水酸基(−OH)を有する化合物を意味し、芳香族化合物も含む。
カルボン酸としては、酢酸等を挙げることができる。カルボン酸とは、カルボキシ基(−COOH)を有する化合物を意味し、芳香族化合物も含む。
非極性溶媒としては、炭化水素系溶媒等を挙げることができる。炭化水素系溶媒として、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
ハロゲン系溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等が挙げられる。
その他、流動パラフィン、石油エーテル等を用いることができる。
溶媒の沸点は、反応終了後除去するために、低い方が好ましい。ただし、反応の進行、完結のために適当な温度で加温できることも望ましい。従って、溶媒の沸点は、好ましくは30℃から280℃、より好ましくは40℃から250℃である。また、融点は、取扱の容易さから、30℃以下が好ましい。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イプゾール100(出光興産製)、イプゾール150(出光興産製)、IPソルベント(出光興産製)、流動パラフィン、石油エーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチルニトリル、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタン、酢酸等が用いられる。
溶媒中の水分量は、副反応である水酸化リチウム形成の抑制のため、低いほど好ましく、例えば30ppm以下であり、さらに好ましくは20ppm以下である。
(4)反応条件
式(1)で示す化合物を上記溶媒に溶解させて、硫化水素を流通させて、式(1)で示す化合物と硫化水素を反応させることが好ましい。
硫化リチウム製造工程は、水酸化リチウム等の不純物形成を抑制するため、溶媒の飽和蒸気圧の下、又は不活性ガス雰囲気下で行い、実質的に水蒸気に曝されない状態を行うのが好ましい。
初期状態において系内が均一であることが好ましいが、不均一であっても反応の進行とともに可溶な中間状態を経由する可能性があるので、不均一であってもよい。
反応温度は、−20℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以上180℃以下である。−20℃未満では反応が進行しない可能性があり、200℃超での反応は、暴走する可能性があり、また、工業的に好ましくない。
反応圧力は、常圧以上1MPa以下が好ましく、より好ましくは常圧以上0.9MPa以下である。常圧未満では硫化水素の溶媒への溶解が進行しないで反応が進まない可能性があり、1MPa超では反応が暴走する可能性がある。
反応時間は5分以上72時間以下が好ましく、より好ましくは10分以上24時間以下である。5分未満では反応が進まない可能性があり、72時間超では工業的に好ましくない。
反応濃度(リチウム濃度)は0.01mol/L以上5mol/L以下が好ましい。0.01mol/L未満では水分の影響を受けやすくなり、純度が向上しない恐れがあり、5mol/L超では反応が暴走する可能性がある。
用いる不活性ガスは、特に限定されないが、窒素、アルゴンが好ましい。
B.硫化物系固体電解質ガラス製造工程
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物(以下、適宜「化合物A」という。)と硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて硫化物系固体電解質ガラスを製造する。
WO2009/047977A1に記載の方法により製造することができる。
好ましくは、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを炭化水素系溶媒中に分散させてスラリーを製造する。
(1)硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムの精製と粉砕
硫化リチウムの純度は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、85重量%以上が特に好ましい。硫化リチウムの純度が高くなるほど、製造する電解質のイオン伝導度を高くすることができるからである。
尚、本発明の方法で得られる硫化リチウムを精製することにより得られる固体電解質のイオン伝導度をより向上させることができると考える。
硫化リチウムを沈降させ、上澄みを除去した後、使用した溶媒、あるいはこれよりも沸点の低い溶媒を投入後、上澄み除去を繰り返して精製することが可能である。また、不活性ガス化、沈殿物をろ過して回収することで精製することも可能である。残存する溶媒は、真空下、加熱処理で除去できる。
硫化リチウムのBET比表面積は、50m/g以上が好ましく、75m/g以上がさらに好ましく、100m/g以上が特に好ましい。硫化リチウムの表面積が高くなるほど、製造する電解質のイオン伝導度を高くすることができるからである。硫化リチウムを粉砕することにより表面積を大きくできる。
尚、本発明の方法で得られる硫化リチウムは粉砕することにより、反応時間を短くしてもイオン伝導度の高い固体電解質を得られると考える。
(2)炭化水素系溶媒
飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。水分を含有している場合、化合物Aや硫化リチウムは、目的としない水分との反応が進行して、目的物の純度を低下させる恐れがあるためである。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
(3)硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素については、特に限定はなく、市販されているものが使用できる。これらのうち、高い伝導度性能を得るためには、硫化りんが好ましい。さらに硫化りんの中でも、五硫化二りんが好ましい。
(4)反応条件
硫化リチウムの仕込み量は、硫化リチウムと化合物Aの合計に対し30mol%以上95mol%以下とすることが好ましく、40mol%以上90mol%以下とすることがより好ましく、さらに50mol%以上85mol%以下とすることが好ましく、最も好ましくは、65mol%以上82mol以下である。上記の範囲であると化合物Aとの反応を完結しやすくなる。
炭化水素系溶媒の量は、原料である硫化リチウムと化合物Aが、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001〜1Kg程度となる。好ましくは0.005〜0.5Kg、特に好ましくは0.01〜0.3Kgである。
反応温度は、通常、80〜300℃であり、好ましくは100〜250℃である。反応時間は、通常、5分〜100時間、好ましくは10分〜72時間である。上記の範囲であると目的としない結晶化等の副反応が起こりにくく、かつ、反応が進行し易い。反応温度や反応時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。
接触時は撹拌することが好ましい。窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。水分由来の水酸化リチウムの形成を抑制するため、不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。上記の範囲であると反応が進行し易く、かつ、工業的にも適用性が容易となる。
接触処理後、生成した固体部分と溶媒を分離して固定電解質を回収する。分離は、デカンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら組み合わせ等、公知の方法で実施することができる。
本発明の製造方法において、原料を炭化水素系溶媒中にて接触させるとき、通常の反応槽やオートクレーブ等の汎用設備で固体電解質を製造することができる。即ち、高温に耐える設備やボールミル等の特殊な設備が不要である。
また、炭化水素系溶媒を使用することで、固体電解質に残留する溶媒量を低減できる。このため、洗浄等、残留溶媒の除去処理をしなくとも、イオン伝導度が安定した固体電解質が製造できる。
2.第二の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法
第二の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法は、下記式(2)で示す化合物と硫黄を反応させて硫化リチウムを製造する硫化リチウム製造工程と、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて硫化物系固体電解質ガラスを製造する硫化物系固体電解質ガラス製造工程と、を含む。
LiXY (2)
(式中、Xは、ホウ素又はアルミニウムであり、Yは、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基である。4つのYは同じでも異なってもよい。)
A.硫化リチウム製造工程
式(2)の化合物とイオウの反応は、式(2)の化合物をリチウムトリエチルボランハイドレートを例にすると下記の通りである。
2LiBEtH+1/4S → LiS+2BEt+H
本反応では、目的とするアルカリ金属硫化物の他にトリエチルボラン等副生物が形成される。これは、反応後の固体生成物を溶媒洗浄あるいは、乾燥処理等で除去が可能である。
(1)式(2)の化合物
式(2)の化合物として、好ましくは下記式(2−1)の化合物が挙げられる。
LiXR(4−n) (2−1)
式(2−1)中、Xは、ホウ素又はアルミニウムであり、Rは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基である。nは0〜4の整数である。複数のRは同じでも異なってもよい。
Xは、好ましくはホウ素である。Rは、好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基である。nは0,1,2,3である。複数のRは好ましくは同じである。
式(2)の化合物として、具体的には、リチウムトリエチルボランハイドレート、リチウムボロハイドレート、リチウムアルミニウムハイドレート、リチウムトリエチルアルミニウムハイドレート、リチウムトリイソブチルアルミニウムハイドレート等が挙げられる。
この中でリチウムトリエチルボランハイドレート、リチウムボロハイドレート、リチウムアルミニウムハイドレートが好ましい。
式(2)の化合物は、適当な溶媒に溶けた状態で使用可能であり、安全面から適当な溶媒に溶解している状態で用いられる。溶媒は、第一の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法の硫化リチウム製造工程で用いる溶媒と同じであるが、反応に供する溶媒と、リチウム化合物の溶解に用いられている溶媒は、同一である必要はない。
(3)溶媒
溶媒は、式(2)で示す化合物及び硫黄を溶解させることができ、かつ硫化リチウムを劣化させないものであれば、特に限定はないが、非水性溶媒が好ましい。上記第一の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法の硫化リチウム製造工程で用いる溶媒を用いることができる。
(4)反応条件
式(2)で示す化合物と硫黄を上記溶媒に溶解させて反応させることが好ましい。
硫化リチウム製造工程は、水分由来の副反応である水酸化リチウム形成の抑制のため、溶媒の飽和蒸気圧の下、又は不活性ガス雰囲気下で行い、実質的に水蒸気に曝されない状態を行うのがよい。
初期状態において系内が均一であることが好ましいが、不均一であっても反応の進行とともに可溶な中間状態を経由する可能性があるので、不均一であってもよい。
反応温度、反応圧力、反応時間、反応濃度(リチウム濃度)、不活性ガスについては、第一の製造方法の硫化リチウム製造工程と同様である。
B.硫化物系固体電解質ガラス製造工程
第一の製造方法と同様である。
3.硫化物系固体電解質ガラスとガラスセラミックス
本発明の硫化物系固体電解質ガラスセラミックスは、上記方法により得られた硫化物系固体電解質ガラスを焼成することにより得られる。
焼成は、好ましくは200℃〜400℃、より好ましくは230〜350℃で加熱処理する。これにより、固体電解質のイオン伝導性が向上する。加熱処理の時間は、0.1〜24時間が好ましく、特に0.5〜12時間が好ましい。
尚、加熱処理は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。得られるガラスセラミックへの水の影響を低減するため、不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、減圧〜20MPaであり、減圧下、あるいは常圧で不活性ガスを流通させることが好ましい。
本発明の硫化物系固体電解質ガラスとガラスセラミックスは、共にリチウムイオン固体電池の電解質層又は電極の材料として使用できる。
実施例、比較例における各種測定方法は以下のとおりである。
1.イオン伝導性
固体電解質(実施例1,2、比較例1〜3で製造したもの)を錠剤成形機に充填し、4〜6MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度を測定した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
2.比表面積
比表面積は、BET法によりAUTOSORB6を用いて測定した。
3.平均粒径
平均粒径はLASER回析法によりMALVERN社Mastersizer200を用いて測定し、体積基準平均粒径から算出した。具体的には、測定装置はMalvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000を用い、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加した。上記混合物を十分混合した後、試料を添加して粒子径を測定した。
ここで、試料の添加量は、Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するバーグラフが規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加えた。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなる。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができない。Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000では、試料の添加量に基きバーグラフ粒子濃度が表示されるので、上記濃度範囲に入る添加量を見つけられる。
4.硫化リチウム純度、水酸化リチウム含量、水硫化リチウム含量
硫化リチウム純度、水酸化リチウム含量、水硫化リチウム含量は、回収物を水に溶解させた後、塩酸を用いた電位差滴定法によりそれぞれ定量した。
実施例1
(1)硫化リチウムの製造
窒素置換した四つ口セパラブルフラスコに脱水トルエン300ml、n−ブチルリチウム(和光純薬製1.6mol/Lヘキサン溶液)30mlを添加した。フラスコ内をさらに窒素置換した後、硫化水素ガスを25ml/分にて20分バブリングした。反応終了後、反応液中の残留硫化水素を窒素流通により除去した。反応液をシュレンク瓶に移送して、さらに4時間、還流して反応させた。上澄みを除去して、真空下乾燥して、乾燥粉体を生成物として回収した。LiS純度は91.9重量%、LiSH含有量は2.9重量%、平均粒径は555μm、BET比表面積は149m/gであった。
なお、実施例1での硫化リチウムの粒径の測定は、硫化リチウムが凝集して二次粒子になっており、二次粒子の粒径を測定している。
(2)固体電解質ガラス及びガラスセラミックスの製造
上記(1)にて調製した硫化リチウム0.52g、硫化リン0.91g、キシレン70mlを窒素下、シュレンク瓶内にセットして150℃、24時間攪拌した。反応終了後、内容物を150℃にて真空乾燥して電解質ガラスを得た。
これをさらに300℃、2時間、加熱結晶化処理を行って、電解質ガラスセラミックスを得た。イオン伝導度は1.17x10−4S/cmであった。
実施例2
(1)硫化リチウムの製造
窒素置換した四つ口セパラブルフラスコにイオウ1.5g、脱水THF220ml、リチウムトリエチルボランハイドレート(和光純薬製1.7mol/L、THF溶液)55mlを添加し、2時間還流下、攪拌した。反応液をシュレンク瓶に移送して、上澄みを除去して、脱水THF150mlで置換した後、脱水トルエン150mlで3回洗浄した。ついで、上澄みを除去して、乾燥粉体を生成物として回収した。LiS純度は89.9重量%、BET比表面積は172m/gであった。なお、粒径は、上記洗浄を行った後、乾燥を実施せず、スラリー溶液のまま直接測定を行い、平均粒径は2.6μmであった。
(2)固体電解質ガラス及びガラスセラミックスの製造
上記(1)にて調製した硫化リチウム1.0g、硫化リン1.96g、トルエン30mlを窒素下、オートクレーブ内にセットして150℃、72時間攪拌した。反応終了後、内容物をシュレンク瓶に移送し、150℃にて真空乾燥して電解質ガラスを得た。
これをさらに300℃、2時間、加熱結晶化処理を行って、電解質ガラスセラミックスを得た。イオン伝導度は3.5x10−4S/cmであった。
比較例1
(1)硫化リチウムの製造
窒素気流下で非水溶性媒体としてトルエン(広島和光製試薬)270gを600mlセパラブルフラスコに加え、続いて水酸化リチウム30g(本荘ケミカル製)を投入し、フルゾーン撹拌翼300rpmで撹拌しながら、94℃に保持した。
スラリー中に硫化水素(巴商会製)を300ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコから、水とトルエンの共沸ガスを連続的に排出した。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。尚、反応の間は、トルエン中に固体が分散して撹拌された状態であり、トルエンから分層した水分は無かった。この後、硫化水素を窒素に切り替え300ml/分で1時間流通した。
固形分をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。この粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は99.2重量%であった。X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。平均粒径は450μm、BET比表面積は12.6m/gであった。
(2)固体電解質ガラス及びガラスセラミックスの製造
上記(1)で得られた硫化リチウムを用いて、実施例1と同様な処理を行い、電解質ガラス及びガラスセラミックスを得た。ガラスセラミックスのイオン伝導度は2.57x10−6S/cmであった。
図1に実施例1,2及び比較例1で得られた電解質ガラス(加熱処理前)のXRDスペクトルを示す。硫化リチウム原料は、2θ 約27°、44°、53°において特徴的なピークを示すが(図の縦破線)、実施例1,2においては、これが消失し、反応が完全に進行していることがわかる。比較例1は硫化リチウムの表面積が小さいため反応が十分に進行しなかったと考えられる。
比較例2
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。即ち、LiS純度は99.8重量%であった。
尚、硫化リチウムの平均粒径は192μm、BET比表面積は1.0m/g以下であった。
(3)固体電解質ガラス及びガラスセラミックスの製造
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、上記(3)で調製した硫化リチウム1.55g、五硫化二りん(アルドリッチ社)3.46g、水分含有量を10ppmとした50mlのキシレン(和光純薬工業株式会社)を仕込み、150℃で24時間接触させた。
固体成分をろ過により分離し、150℃で2時間、真空乾燥し、固体電解質ガラスを製造した。この固体電解質ガラスを、さらに窒素雰囲気下で300℃、2時間の加熱処理を行い、電解質ガラスセラミックスとした。イオン伝導度は2.3×10−7S/cmであった。
比較例3
(1)硫化リチウムの製造
比較例2(1)で調製した硫化リチウムを窒素置換したグローブボックス内に設置したジェットミル装置(アイシンナノテクノロジー社製)を用いて粉砕を行った。回収した硫化リチウムの平均粒径は4.2μm、BET比表面積は6.2m/gであった。
(2)固体電解質ガラス及びガラスセラミックスの製造
上記(1)の硫化リチウムを用いて、比較例2(3)と同様にして電解質ガラスセラミックスを得た。イオン伝導度は2.1×10−4S/cmであった。
Figure 2012176866
実施例1及び2は、製造した硫化リチウムを精製も粉砕もしていないが、比較例3の精製して粉砕した硫化リチウムを用いて製造した固体電解質と同等のイオン伝導度を得ることができた。
本発明の方法で得られる電解質ガラス及びガラスセラミックスは、全固体リチウム電池に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で示す化合物と硫化水素を反応させて硫化リチウムを製造する硫化リチウム製造工程と、
    硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、前記硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて、硫化物系固体電解質ガラスを製造する硫化物系固体電解質ガラス製造工程と、
    を含む硫化物系固体電解質ガラスの製造方法。
    LiR (1)
    (式中、Rは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素数4〜20のアルキルシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルコキシ基、炭素数3〜20のシクロアルコキシ基、炭素数4〜20のシクロアルキルアルコキシ基、又は炭素数4〜20のアルコキシシクロアルキル基である。)
  2. 下記式(2)で示す化合物と硫黄を反応させて硫化リチウムを製造する硫化リチウム製造工程と、
    硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、前記硫化リチウム製造工程により製造した硫化リチウムとを反応させて、硫化物系固体電解質ガラスを製造する硫化物系固体電解質ガラス製造工程と、
    を含む硫化物系固体電解質ガラスの製造方法。
    LiXY (2)
    (式中、Xは、ホウ素又はアルミニウムであり、Yは、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基である。4つのYは同じでも異なってもよい。)
  3. 請求項1又は2に記載の硫化物系固体電解質ガラスの製造方法により製造された硫化物系固体電解質ガラス。
  4. 請求項3に記載の硫化物系固体電解質ガラスを焼成することにより得られる硫化物系固体電解質ガラスセラミックス。
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