JP2012186108A - 燃料極の異常判断方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料極におけるニッケルの酸化をもたらす水素の供給不足を、高感度に判断できるようにする。
【解決手段】水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから、固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を求めて正常値とし(ステップS101)、次に、固体酸化物形燃料電池の発電動作時に燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定して測定水蒸気分圧とし(ステップS102)、次に、測定水蒸気分圧が正常値より10%以上増加したことを検出し、燃料極に異常が発生したことを判断する(ステップS103)。
【選択図】 図1
【解決手段】水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから、固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を求めて正常値とし(ステップS101)、次に、固体酸化物形燃料電池の発電動作時に燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定して測定水蒸気分圧とし(ステップS102)、次に、測定水蒸気分圧が正常値より10%以上増加したことを検出し、燃料極に異常が発生したことを判断する(ステップS103)。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池の燃料極における異常を判断する燃料極の異常判断方法および装置に関する。
近年、酸素イオン伝導体を用いた固体酸化物形燃料電池に関心が高まりつつある。特にエネルギーの有効利用という観点から、固体酸化物形燃料電池はカルノー効率の制約を受けないために本質的に高いエネルギー変換効率を有し、さらに、良好な環境保全が期待されるなどの優れた特徴を持っている。
以下、固体酸化物形燃料電池について図4を用いて簡単に説明する。図4は、固体酸化物形燃料電池の構成を示す構成図である。固体酸化物形燃料電池は、電解質401と燃料極402と空気極403とから構成されている。燃料極402には、燃料として水素404が供給され、空気極403には、酸化剤としての酸素を含む空気406が供給され、発電動作が行われる。
発電動作においては、供給された空気406の酸素が空気極403で電子408と結合して酸化物イオン(O2-)407となる。酸化物イオン407は、電解質401を通過して燃料極402に移動する。燃料極402に移動した酸化物イオン407は、ここに供給されている水素404と反応し、水(H2O)を生成する。このとき、燃料極402には、電子408が生成する。このようにして生成した電子408は、燃料極402より外部に取り出される。燃料極402より外部に取り出された電子408は、電子負荷409を通過して空気極403に供給される。
上述した酸化物イオン407および電子408の移動が、固体酸化物形燃料電池の発電における電流となる。このように発電される中で燃料極402で生成した水(水蒸気)は、アノード排ガス405として外部に排出される。なお、アノード排ガス405は、未利用の水素も含んでいるので、水素と水蒸気との混合ガスである。
ところで、固体酸化物形燃料電池の燃料極は、一般にはニッケルと電解質材料とから構成されている。ニッケルは、水素の電気化学的な酸化反応の触媒として作用する。また、ニッケルは、水素の酸化反応により生じた電子が伝導する経路(伝導パス)としても機能する。
また、図5に示すように、固体酸化物形燃料電池(SOFC)501は、実際の運転では、断熱容器505の内部に配置され、発電動作に伴って発生する熱を利用して、動作に必要な温度を維持している。なお、運転開始時など、発電に伴って発生する熱だけで温度が維持できない場合には、電気ヒーターやバーナーなどで熱を加えるようにしている。
運転時には、断熱容器505の外部より、水素ガス502および空気504が供給され、発電が行われ、発電の結果生成した水蒸気と用いられなかった水素とが混合している混合ガスが、排ガス503として断熱容器505の外部に排出される。なお、図示していないが、発電に利用した後の空気も、断熱容器505の外部に排出される。
また、SOFC501からは、電流取り出し線507を用いて電流を取り出す。取り出される電流は、可変抵抗器などの電子負荷506により制御される。また、SOFC501の電圧が、電圧計測線508と電圧計509により測定されている。
田川 博章 著、「固体酸化物燃料電池と地球環境」、株式会社 アグネス承風社、第1版第1刷、37−40頁、1998年。
岸田 遼 他、「水蒸気劣化に対する燃料極中の酸化物成分の影響」、第19回SOFC研究発表会 講演要旨集、162C、94−97頁、2010年。
ところで、水素を燃料として用いている固体酸化物形燃料電池の燃料極は、水素−水蒸気系の雰囲気とされているが、発電中に水素が供給不足になると、水蒸気濃度が高くなる。このような環境において、燃料極を構成しているニッケルは、酸化して酸化ニッケルになりやすい状態となる(非特許文献1,2参照)。燃料極におけるニッケルが酸化して酸化ニッケルになると、触媒性能および導電性が失われることになり、前述した燃料極の電極反応における機能が失われる。また、ニッケルが酸化ニッケルになることで、約1.6倍に体積が膨張する。このように体積膨張を起こすことにより、電解質の破損などを招き、固体酸化物形燃料電池を破壊することになる。
上述したように、ニッケルを含んで構成されている燃料極を用いている固体酸化物形燃料電池では、ニッケルの酸化が性能劣化および破損を招くため、ニッケルの酸化を未然に防ぐ機能が必要となる。ニッケルの酸化を防ぐためには、水蒸気濃度の上昇を招く水素の供給不足を速やかに検知し、検知した場合には発電を中止する、もしくは水素流量を一時的に増加させるなどの制御を行うことが必要となる。
前述した固体酸化物形燃料電池では、電圧計509によりSOFC501の電圧を監視し、電圧が正常値より低下した場合に水素の供給不足と判断して警報を発し、発電を中止する、もしくは水素流量を一時的に増加させている。しかしながら、固体酸化物形燃料電池の破損を招く程度にまでニッケルの酸化が進行しないと、電圧の低下による判定ができず、感度が低いという問題がある。これでは、例えば、警報を発した直後に破損が発生するなど、対策がとりにくい。また、電圧の低下には、ニッケルの酸化によるもの以外にも多くの原因が考えられ、他の原因による電圧低下と区別することが容易ではないという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ニッケルの酸化による燃料極の異常を、高感度に判断できるようにすることを目的とする。
本発明に係る燃料極の異常判断方法は、水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから、固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を求めて正常値とする第1ステップと、固体酸化物形燃料電池の発電動作時に燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定して測定水蒸気分圧とする第2ステップと、測定水蒸気分圧が正常値より10%以上増加したことを検出して燃料極に異常が発生したことを判断する第3ステップとを少なくとも備える。
また、本発明に係る燃料極の異常判断装置は、水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから求められる、固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を正常値として記憶する正常値記憶手段と、固体酸化物形燃料電池の発電動作時に燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定する測定手段と、測定水蒸気分圧が、正常値記憶手段に記憶されている正常値より10%以上増加したことを検出して燃料極に異常が発生したことを判断する判断手段とを少なくとも備える。
以上説明したように、本発明によれば、排ガス中の水蒸気分圧の測定結果が正常値より10%以上増加したら異常と判断するようにしたので、ニッケルの酸化による燃料極の異常が、高感度に判断できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における燃料極の異常判断方法を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS101で、水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから、固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を求めて正常値とする。
次に、ステップS102で、固体酸化物形燃料電池の発電動作時に燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定して測定水蒸気分圧とする。次に、ステップS103で、測定水蒸気分圧が正常値より10%以上増加したことを検出し、燃料極に異常が発生したことを判断する。
例えば、ステップS103で、測定水蒸気分圧が正常値より10%以上増加したことを検出すると(Y)、ステップS104で、警報を発すればよい。また、測定水蒸気分圧が正常値より10%以上増加したことが検出されるまで、ステップS102とステップS103とを繰り返せばよい。
次に、燃料極の異常判断装置について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態における燃料極の異常判断装置の構成を示す構成図である。この装置は、記憶部201と、測定部202と、判断部203とを備える。
記憶部201は、水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池(SOFC)211に水素ガス212を供給したときに,SOFC211に流れる電流値と、供給された水素ガス212の流量とから求められる、SOFC211のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス(アノード排ガス)213中の水蒸気分圧を正常値として記憶する。
測定部202は、SOFC211の発電動作時に燃料極より排出される排ガス213中の水蒸気分圧(測定水蒸気分圧)を測定する。測定部202は、例えば、排ガス213の露点を測定する露点計から構成されたものである。判断部203は、測定部202が測定した測定水蒸気分圧が、記憶部201に記憶されている正常値より10%以上増加したことを検出し、燃料極に異常が発生したことを判断する。
上述した構成とした燃料極の異常判断装置は、例えば、CPUと主記憶装置と外部記憶装置とネットワーク接続装置となどを備えたコンピュータ機器であり、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPUが動作することで、上述した各機能が実現される。
なお、測定および判断の対象となるSOFC211は、断熱容器215の内部に配置され、発電動作に伴って発生する熱を利用し、動作に必要な温度を維持している。ただし、運転開始時など、発電に伴って発生する熱だけで温度が維持できない場合には、電気ヒーターやバーナーなどで熱を加えるようにしている。
運転時には、断熱容器215の外部より、水素ガス212および空気214が供給され、発電が行われ、発電の結果生成した水蒸気と用いられなかった水素とが混合している混合ガスが、排ガス213として断熱容器215の外部に排出される。なお、図示していないが、各ガスは、例えば、マスフローコントローラにより流量が制御されている。また、発電に利用した後の空気も、断熱容器215の外部に排出される。
また、SOFC211からは、電流取り出し線217を用いて電流を取り出す。取り出される電流は、可変抵抗器などの電子負荷216により制御される。また、SOFC211の電圧が、電圧計測線218と電圧計219により測定されている。
次に、水蒸気分圧の正常値の算出について、より詳細に説明する。SOFC211を流れる電流は、電子負荷216により一定値に制御されている。このとき、SOFC211の電解質を通して燃料極側に供給される酸素イオンの物質量は、SOFC211を流れる電子の物質量の半分である。従って、発電により生成される水蒸気量は、ファラデー定数Fおよび測定される電流Iを用い、0.5FIで表すことができる。また、排ガス213における水蒸気分圧は、水蒸気分圧=生成水蒸気量/[(供給水素量−消費水素量)+生成水蒸気量]で示される。なお、供給水素量=生成水蒸気量である。
これらの関係より、水蒸気分圧の正常値[H2O]_properは、供給される水素ガス212の流量Q_H2(ml/min)と、SOFC211に流れる電流値I(A)を用いて「[H2O]_proper=(7×I)/Q_H2」と表すことができる。
次に、測定部202において測定される水蒸気分圧(測定水蒸気分圧)について説明する。ここでは、測定部202が露点計から構成されている場合について説明する。水蒸気分圧の測定値(測定水蒸気分圧)[H2O]_presentは、露点計で得られる温度センサと湿度センサのデータより求められる。
本実施の形態における装置では、測定部202で測定される上述した測定値[H2O]_presentを、判断部203で監視し、この値が、記憶部201に記憶されている正常値[H2O]_properより10%以上増加した場合に、異常と判断する。判断部203では、この異常判断により、例えば、警報を発する。
以下、上述した本実施の形態による異常判断方法が、従来の電圧をモニターして異常を検知するシステムよりも感度が高いことについて説明する。
図3は、発電中に性能の低下が起きた場合に観測される、水蒸気分圧の正常値からのずれの時間変化(a)、および固体酸化物形燃料電池の出力電圧の正常値からのずれの時間変化(b)を示している。図3の(a)は、測定水蒸気分圧および正常値の差と正常値との比[([H2O]_proper−[H2O]_present)/[H2O]_proper]の時間変化を示している。また、図3の(b)は、測定される出力電圧および正常時の出力電圧(正常値)の差と正常時の出力電圧との比[(V_proper−V_present)/V_proper]の時間変化を示している。
図3に示すように、固体酸化物形燃料電池に異常が起きたと考えられる発電8時間後では、出力電圧の正常値からのずれの大きさは13%程度であるのに対し、水蒸気分圧の正常値からのずれの大きさは50%以上と大きい。この結果より明らかなように、水蒸気分圧を測定することで、出力電圧を測定する場合よりも、燃料極における異常をより高感度に検知できることが分かる。このように、水蒸気分圧の測定値は、異常検出の信号源として有用であるといえる。
次に、水蒸気分圧の正常値[H2O]_properより10%以上高い水蒸気分圧の実測値[H2O]_presentを、異常と判断する根拠について表1を用いて説明する。表1は、発電の後に還元状態で徐々に常温に下げて固体酸化物形燃料電池を分析した際の、燃料極における酸化ニッケルの有無、および電解質の破損の有無を示している。
表1に示すように、発電中に水蒸気分圧の正常値からのずれが10%以下では、燃料極に酸化ニッケルは検出されず、また、電解質の破損は観察されない。これに対し、発電中に水蒸気分圧が正常値より10%以上大きくなった場合、燃料極には酸化ニッケルが検出され、また、電解質の破損が確認される。
以上の結果より、水蒸気分圧が正常値より10%以上大きくなる現象は、発電8時間の間に固体酸化物形燃料電池に起きた異常によるものといえる。従って、水蒸気分圧が正常値より10%以上大きくなったときに発電を中止する、もしくは水素流量を一時的に増加させるなどの処置をとれば、発電性能の異常を防げることとなる。
ところで、上述した水蒸気分圧の測定では、水素の供給不足を選択的に検出していることになる。図4を用いて固体酸化物形燃料電池の発電原理を説明したように、燃料極からの排ガスは、未利用の水素と、発電反応により生成した水蒸気との混合ガスである。従って、燃料極からの排ガス中の水蒸気分圧を測定することは、排ガスの水素分圧を測定することと等価である。
以上に説明したように、本発明によれば、固体酸化物形燃料電池の発電動作において、発電性能の低下をもたらす燃料極のニッケルの酸化が発生していることを、従来技術より感度よく、また、選択的に検知および判断することができる。この判断結果により、警報を発し、これによって発電を停止する、もしくは水素流量を一時的に増加させるなどの的確な処置をとれば、固体酸化物形燃料電池の発電性能を長期的に保つことが可能となる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
201…記憶部、202…測定部、203…判断部、211…固体酸化物形燃料電池(SOFC)、212…水素ガス、213…排ガス、214…空気、215…断熱容器、216…電子負荷、217…電流取り出し線、218…電圧計測線、219…電圧計。
Claims (2)
- 水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに前記固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから、前記固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を求めて正常値とする第1ステップと、
前記固体酸化物形燃料電池の発電動作時に前記燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定して測定水蒸気分圧とする第2ステップと、
前記測定水蒸気分圧が前記正常値より10%以上増加したことを検出して前記燃料極に異常が発生したことを判断する第3ステップと
を少なくとも備えることを特徴とする燃料極の異常判断方法。 - 水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池に水素ガスを供給したときに前記固体酸化物形燃料電池に流れる電流値と、供給された水素ガスの流量とから求められる、前記固体酸化物形燃料電池のニッケルを含んで構成された燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を正常値として記憶する正常値記憶手段と、
前記固体酸化物形燃料電池の発電動作時に前記燃料極より排出される排ガス中の水蒸気分圧を測定する測定手段と、
前記測定水蒸気分圧が、前記正常値記憶手段に記憶されている正常値より10%以上増加したことを検出して前記燃料極に異常が発生したことを判断する判断手段と
を少なくとも備えることを特徴とする燃料極の異常判断装置。
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