JP2012186255A - 圧粉磁心とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】センダストと同等、或いはセンダストを超える高透磁率で、かつセンダストに近似する低鉄損の圧粉磁心とその製造方法とを提供する。
【解決手段】軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を有する複数の被覆粒子からなる被覆粉末と、これら被覆粒子を一体化する保形材とを備える。この圧粉磁心は、前記軟磁性粒子は、Fe-Si-Al合金粒子とFe-Ni合金粒子と混合粒子で構成され、当該圧粉磁心をX線回折法により分析した際、次の回折ピーク強度比が0.45以下である。Fe2O3の1stピークの積分強度/{(Fe-Si-AlとFe-Niの重複した1stピークの積分強度×Fe-Si-AlとFe-Niの合計体積に占めるFe-Niの体積分率)+FeNi3の1stピークの積分強度}
【選択図】図4

Description

本発明は、圧粉磁心とその製造方法に関する。特に、Fe-Si-Al合金粉末を主たる材料とし、低保磁力・低鉄損の圧粉磁心とその製造方法に関する。
スイッチング電源やDC/DCコンバータなど、エネルギーを変換する回路で、チョークコイルなどを代表例とするインダクタが使用される。インダクタの構成例として、軟磁性粉末の圧粉成形体を焼成して得られた圧粉磁心と、圧粉磁心の外周に巻線を巻回して構成したコイルとを備えるものが知られている。
この圧粉磁心は、例えば、軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を形成した複合磁性粒子の集合体である軟磁性粉末を用意し、この軟磁性粉末を所定の形状に加圧成形し、その成形体を熱処理することで作製される。このような方法により得られた圧粉磁心によれば、絶縁被膜により軟磁性粒子同士の絶縁が確保され、低鉄損が実現されるとされる。
このような圧粉磁心、特に、周波数100kHz程度で利用される圧粉磁心の原料となる軟磁性粉末としては、センダストに代表されるFe-Si-Al合金の粉末がある。センダストは、低鉄損を実現できる材料であるが、非常に硬くて変形しにくい材料であるため、圧粉磁心に成形した場合、粉末を構成する個々の粒子間に空隙が多くなり、透磁率や飽和磁束密度が低くなる傾向にある。
そのため、これらを改善する技術として、特許文献1に記載の技術がある。この文献には、酸化皮膜を有するセンダストの合金粉末と高圧縮性軟磁性金属粉とを所定の配合で混合した混合物を、バインダを介して結合させた複合磁性材料が開示されている。このような複合磁性材料は、センダストに高圧縮性金属粉を混合した原料粉末を用いることで、センダストの合金粒子間の隙間を変形性に富む高圧縮性金属粉で埋め、透磁率及び飽和磁束密度を改善するものと考えられる。そして、この文献では、高圧縮性軟磁性金属粉の具体例としては、純鉄とFe-Si合金とが挙げられている。
特開平6-236808号公報
しかし、特許文献1に係る複合磁性材料では、センダストと混合する高圧縮性材料が、いずれも保磁力の大きい材料であり、透磁率はセンダストに比べて改善されるものの、鉄損、とりわけヒステリシス損は大幅に増大してしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、センダストと同等、或いはセンダストを超える高透磁率で、かつセンダストに近似する低鉄損の圧粉磁心とその製造方法とを提供することにある。
本発明者らは、高圧縮性でセンダストと同等の保持力を持つFe-Ni合金、代表的にはパーマロイをセンダストに混合した原料粉末を用い、それにより高透磁率、低保磁力、低鉄損の圧粉磁心を得ることを検討した。しかし、単にセンダストにパーマロイを混合した原料粉末を用いて、従来と同様の成形・熱処理を行った場合、透磁率は改善できるものの、鉄損の低減は実現できないことが判明した。その主な原因としては、後述する試験例から理解されるように、圧粉磁心に対して歪を緩和するための熱処理を行った際における、パーマロイの粒子表面におけるFe2O3相(以下、酸化相ということがある)の発生や、圧粉磁心中における保磁力の大きなFeNi3規則相(以下、異相ということがある)の発生が挙げられる。そこで、さらに種々の試行錯誤を行った結果、圧粉成形体に施す熱処理に工夫を施すことで、酸化相や異相の生成を抑制し、高透磁率、低保磁力、低鉄損の圧粉磁心が得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明の圧粉磁心は、軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を有する複数の被覆粒子からなる被覆粉末と、これら被覆粒子を一体化する保形材とを備える。この圧粉磁心は、前記軟磁性粒子は、Fe-Si-Al合金粒子とFe-Ni合金粒子と混合粒子で構成され、当該圧粉磁心をX線回折法により分析した際、次の回折ピーク強度比が0.45以下である。
《回折ピーク強度比》
Fe2O3の1stピークの積分強度/{(Fe-Si-AlとFe-Niの重複した1stピークの積分強度×Fe-Si-AlとFe-Niの合計体積に占めるFe-Niの体積分率)+FeNi3の1stピークの積分強度}
この構成によれば、硬質のFe-Si-Al合金粉末と比較的軟質のFe-Ni合金粉末との混合粉末を用いることで、Fe-Si-Al合金粒子間の隙間にFe-Ni合金粒子が充填され、高密度で高透磁率の圧粉磁心を得ることができる。
また、X線回折ピークの強度比を上記の値に限定することで、圧粉磁心の保磁力に影響を及ぼすFe2O3相の発生が抑制された圧粉磁心とすることができる。酸化相は、Fe-Ni合金粒子の外周に生じやすく、Fe-Ni合金とは線膨張係数が異なる。この酸化相の生じたFe-Ni合金粉末を含む圧粉成形体に対して歪除去のための熱処理(後述する第二熱処理)を行うと、その熱処理の特に冷却過程で、Fe-Ni合金は応力を受け、軟質であるため、歪(転移)が入ることがある。この歪の発生は、磁壁の移動を妨げるなどして、圧粉磁心の保磁力を増大させることになる。保磁力はヒステリシス損と強い相関があり、保磁力を低減すると、鉄損、特にヒステリシス損が低減される。つまり、上記の構成によれば、保磁力に影響を及ぼす酸化相の発生が抑制された圧粉磁心とすることで、Fe-Ni合金粉末の本来の特性である低保磁力を活かすことができ、鉄損が低減された圧粉磁心とできる。
さらに、この構成によれば、圧粉磁心の保磁力を増大させるFeNi3規則相の析出が抑制された圧粉磁心とすることができる。この異相の発生は、それ自体が圧粉磁心の保磁力を増大させることになる。そのため、異相の発生が抑制されれば、低鉄損の圧粉磁心とできる。
本発明の圧粉磁心の一形態として、前記混合粒子の配合は、質量%で、Fe-Si-Al合金粒子が80%以上99%以下、Fe-Ni合金粒子が1%以上20%以下であることが挙げられる。
この構成によれば、高透磁率で、かつ低鉄損の圧粉磁心を得ることに好適である。
本発明の圧粉磁心の一形態として、前記Fe-Si-Al合金粒子は、当該合金に占めるSiとAlの含有量(質量%)が、以下の式を満たす材料で構成されることが挙げられる。
Si含有量+(Al含有量/2)≧5質量%
この組成のFe-Si-Al合金粒子であれば、成形時の圧力で変形し難く、Fe-Ni合金粒子と混合することで、高透磁率の圧粉磁心を成形性良く得ることに適している。
一方、本発明の圧粉磁心の製造方法は、次の各工程を備える。
Fe-Si-Al合金粒子とFe-Ni合金粒子と混合粒子からなる軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を有する複数の被覆粒子で構成される被覆粉末を準備する原料粉末準備工程。
この被覆粉末に、成形体を保形するための成形用樹脂を混合して造粒する造粒工程。
この造粒粉を圧縮成形して圧粉成形体とする成形工程。
この圧粉成形体を大気雰囲気下で所定温度に加熱して前記バインダを気化させる第一熱処理工程。
第一熱処理工程後の成形体を非酸化性雰囲気で所定温度に加熱してから冷却することによって、圧粉成形体を構成する軟磁性粉末の歪を緩和する第二熱処理工程。
そして、前記第一熱処理工程から第二熱処理工程に移行する過程で雰囲気の入れ替えを行う際、雰囲気中の酸素濃度が5000ppm以下になるまでは、雰囲気温度を500℃以下に保持する。
上記の構成によれば、大気雰囲気から非酸化性雰囲気に雰囲気の入れ替えを行う際、ほぼ雰囲気の入れ替えが完了するまで、つまり雰囲気中の酸素濃度が5000ppm以下になるまでは、雰囲気温度を500℃以下に保持することで、保磁力に影響を及ぼす酸化相の生成を抑制することができる。よって、低鉄損の圧粉磁心を得ることができる。
本発明の製造方法の一形態として、前記第二熱処理工程における冷却過程は、500℃〜350℃の温度域を1℃/min以上の急冷とすることが挙げられる。
この構成によれば、異相の析出しやすい温度域を急冷により早期に通過させることで、保磁力の大きい異相の生成を抑制することができる。よって、低鉄損の圧粉磁心を得ることができる。
本発明の製造方法の一形態として、前記第二熱処理工程における加熱温度が600℃以上850℃以下であることが挙げられる。
この加熱温度によれば、低鉄損の圧粉磁心を得ることに適している。下限値が600℃以上であることで、圧粉磁心のヒステリシス損失を効果的に低減できる。逆に、上限を850℃以下とすることで、軟磁性粒子が備える絶縁被膜の熱的損傷を抑制して、渦電流損の増大を抑制することができる。
本発明の圧粉磁心は、高透磁率で、かつ低鉄損の圧粉磁心である。また、本発明の圧粉磁心の製造方法によれば、高透磁率で、かつ低鉄損の圧粉磁心を容易に製造することができる。
試験例における第一熱処理と第二熱処理の温度履歴の異なるパターンを示す説明図である。 (A)は実施例である試料No.1-5の組織を示す顕微鏡写真であり、(B)は比較例である試料No.1-3の組織を示す顕微鏡写真である。 回折ピークの積分強度の求め方を示す説明図である。 X線回折パターンの一例を示す模式図である。 第二熱処理の冷却過程における温度履歴を示すグラフである。 第二熱処理温度と損失の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ここでは、先に圧粉磁心の製造方法について説明し、その後に圧粉磁心の構成について説明する。
〔圧粉磁心の製造方法〕
本発明に係る圧粉磁心は、原料粉末準備工程、造粒工程、成形工程、第一熱処理工程、第二熱処理工程の各工程を経て製造される。
(原料粉末準備工程)
この準備工程では、軟磁性粉末を構成する合金粒子として、Fe-Si-Al合金粒子とFe-Ni合金粒子とを用意する。個々の合金粒子は、後に絶縁被膜が形成されて被覆粉末とされる。
<Fe-Si-Al合金粒子>
この粒子を構成する合金は、Feをベースとし、Si及びAlを含み、残部が不純物で構成される。Fe-Si-Al合金の代表例としては、センダストを挙げることができる。同合金中のSiの含有量は、4〜13質量%程度が好ましい。より好ましいSiの含有量は、7〜10質量%程度である。Alの含有量は、4〜10質量%程度が好ましい。より好ましいAlの含有量は、5〜7質量%である。中でも、{ Si含有量+(Al含有量/2)}≧5質量%を満たし、さらにはこの式が7質量%以上、特に10質量%以上を満たすことが好ましい。この式の値が大きいほど、Fe-Si-Al合金は硬質になる傾向があり、この組成のFe-Si-Al合金粒子であれば、成形時の圧力で変形し難く、Fe-Ni合金粒子と混合することで、高透磁率の圧粉磁心を成形性良く得ることができる。
Fe-Si-Al合金粒子の平均粒径は、40〜150μm程度の範囲が好ましい。このような粒径の粉末を用いれば、1kHz以上の高周波域で使用したときに渦電流損の増大抑制に効果的である。渦電流損の抑制には、平均粒径が小さいほど好ましい。より好ましい平均粒径は、50〜80μm程度である。また、Fe-Si-Al合金粒子の平均粒径は、次述するFe-Ni合金粒子の平均粒径の5倍以上であることが好ましい。このような寸法であれば、硬質のFe-Si-Al合金粒子の間に比較的軟質のFe-Ni合金粒子が充填され、高密度で高透磁率の圧粉磁性体を構成しやすい。最密充填状態を実現するには、上記倍率が7倍であることが理想的であるが、実際には、成形時にFe-Ni合金粒子の変形が生じるため、5倍以上程度でも構わないと考えられる。
<Fe-Ni合金粒子>
この粒子を構成する合金は、基本的には、Feをベースとし、Niを含んで、残部が不純物で構成される。さらにCu、Cr、Co、Moなどの添加元素を含む場合もある。Fe-Ni合金の代表例としては、パーマロイが挙げられる。JIS規格には、Ni含有量41〜51質量%のPBパーマロイ、Ni含有量70〜85質量%で、Moなどの添加元素を含むPCパーマロイ、Ni含有量35〜40%のPEパーマロイなどが規定されている。本例では、Ni含有量が41〜80質量%のFe-Ni合金がFe-Ni合金粒子に適している。特に、Ni含有量41〜51質量%のFe-Ni合金、即ちPBパーマロイが好適に利用できる。
<両合金粒子の配合割合>
Fe-Si-Al合金粉末とFe-Ni合金粉末との配合割合は、質量%で、Fe-Si-Al合金粒子が80%以上99%以下、Fe-Ni合金粒子が1%以上20%以下であることが好ましい。Fe-Ni合金粒子の含有量が1質量%以上であることで、センダストのみからなる圧粉磁心に比べて透磁率を増大させることができる。一方、Fe-Ni合金粒子の含有量を20質量%以下とすることで、Fe-Ni合金粒子が過剰に多くならず、Fe-Ni合金粒子同士が導通して、渦損が増大することを抑制できる。より好ましいFe-Ni合金粒子の含有量は、2質量%以上、15質量%以下である。
<絶縁被膜>
絶縁被膜は、例えば酸化ケイ素を主成分とする無機質からなる無機絶縁層を備える。無機絶縁層は、軟磁性粒子の外周面を覆うことで、軟磁性粉末間の絶縁を確保する。この酸化ケイ素を主成分とする無機絶縁層は、高硬度で、後に被覆粉末を用いた造粒粉を圧縮して成形体を形成する際に、その加圧力で破壊されることがなく、かつ成形体を焼成した際の熱にも分解されることがない。無機絶縁層における酸化ケイ素の含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。このような酸化ケイ素としては、代表的にはSiO2を挙げることができるが、そのSiO2中にSiO、Si2O3の少なくとも一方が含まれていても良い。酸化ケイ素を主成分とする無機質からなる無機絶縁層としては、例えば、酸素を含む雰囲気中でシリコーン樹脂を熱処理することにより形成した被膜が挙げられる。
無機絶縁層の厚さは、20nm以上、1μm以下とすることが好ましい。当該厚みを下限値以上とすることで、軟磁性粒子間の絶縁を確保すると共に、造粒粉圧縮時の加圧力で破壊されない機械的強度を有する無機絶縁層とすることができる。また、当該厚みを上限値以下とすることで、被覆粉末から圧粉磁心を作製したときに、その圧粉磁心における軟磁性粒子の量を十分に確保することができる。
この絶縁被膜の形成は、軟磁性粉末と絶縁剤とを混合・乾燥後、必要に応じて熱処理することで行われる。絶縁剤には、低分子のシリコーン樹脂、又は水ガラス等の珪酸塩の水溶液が好ましい。上記混合は、ミキサーなどで行うことが好適である。絶縁剤の配合量は、混合する軟磁性粒子の比表面積に応じて選択することが好ましい。軟磁性粒子の比表面積に応じて絶縁剤の配合量を決定することで、所定の厚みの絶縁被膜を軟磁性粒子の外周面に形成した被覆粒子を作製することができる。軟磁性粒子と絶縁剤との配合量は、例えば両者の混合物に対して絶縁剤が0.02〜1.8質量%程度となるようにすることが挙げられる。この配合量は、より好ましくは0.05〜1.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1.0質量%である。
絶縁剤がシリコーン樹脂の場合は、被覆後に熱処理を行い、シリコーン樹脂を分解してガラス化することが好ましい。好ましい熱処理温度は、400℃〜1000℃であり、さらに好ましい熱処理温度は、600℃〜900℃である。また、好ましい熱処理時間は30分〜2時間程度である。
絶縁剤が珪酸塩の水溶液の場合は、被覆後に50〜100℃で乾燥を行うのみで良い。また、次工程の造粒と連続で実施しても良く、シリコーン樹脂と比べて取り扱いが簡便である。
(造粒工程)
上記の軟磁性粉末は、さらに成形用樹脂と混合されて造粒粉とされる。この造粒粉は、少なくとも成形用樹脂と軟磁性粉末とが一体化されており、必要に応じて、さらに焼成用樹脂も一体化されていても良い。
<成形用樹脂>
成形用樹脂は、被覆粉末を圧縮して圧粉成形体とする場合、同成形体を保形するための樹脂であり、成形時の変形性と、成形体の機械的強度両立の観点から熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリビニルブチラールの他、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等が利用できる。特に、アクリル樹脂は、成形時の変形性と、保形時の機械的強度の両立の観点から好ましい。この成形用樹脂は、後述する第一熱処理工程において気化(揮発)され、同熱処理を経て圧粉磁心とされた場合、実質的に残存しない。
この成形用樹脂は、450℃以下で気化する樹脂が好適である。気化温度が500℃を超えると、軟磁性粉末に酸化相が生成される虞があり、それよりも十分低い温度にて成形用樹脂の気化を完了させておくことが好ましいからである。必要に応じて、被覆粉末を保形するための樹脂と、成形時に潤滑性を確保するための樹脂など、複数種の成形用樹脂を用いても良い。さらに、成形用樹脂は第一熱処理工程で炭化しないことが好ましく、同樹脂の炭化温度は450℃超が適している。
軟磁性粉末とバインダとの混合物は、添加するバインダの合計量が混合物の0.5〜3質量%となるように混合することが好ましい。この下限以上の樹脂含有量とすることで、圧粉成形体または圧粉磁心を十分に保形することができ、逆に上限以下とすることで、混合物中の樹脂量が適量となり、圧粉成形体や圧粉磁心を高密度化することができる。
<焼成用樹脂>
焼成用樹脂は、被覆粉末を圧縮した圧粉成形体に後述する第二熱処理を施して焼成体(圧粉磁心)とした場合、セラミックス系の化合物となって被覆粉末を保持する保形材となる。代表的には、焼成用樹脂にはシリコーン樹脂が用いられる。そして、このシリコーン樹脂は、第二熱処理工程でSi、C、及びOを含む非晶質体の保形材になっていると推定される。その他、焼成用樹脂には、珪酸ソーダ系結着剤(水ガラス)などが利用できる。
(成形工程)
成形工程は、造粒工程後の混合原料、つまり造粒粉を金型に充填して圧縮し、所定形状に成形して圧粉成形体とする。この圧縮時の圧力は、10〜12ton/cm2程度が好ましい。圧力を下限値以上とすることで、高密度の成形体を得ることができる。また、圧力を上限値以下とすることで、軟磁性粒子の変形に伴う無機絶縁層の損傷を抑制することができる。この加圧は、常温下でよいが、成形用樹脂として熱可塑性樹脂を使用した場合には樹脂のガラス転移温度以上で成形することが好ましい。これによって成形体の密度と強度の向上を図ることができる。
(第一熱処理工程)
第一熱処理は、上記成形用樹脂を気化させるために大気雰囲気で行う熱処理である。大気雰囲気で行うのは、非酸化雰囲気で第一熱処理を行うと、炭化残渣物が出やすいためである。
この第一熱処理では、上記成形用樹脂を炭化させないように気化させる。その加熱温度は、500℃以下とすることが好ましい。500℃以下であれば、成形用樹脂を炭化させることなく気化させやすい。この加熱温度での保持時間は、成形用樹脂を気化させるのに十分な時間で、かつ不必要に長くない時間とする。具体的には、15分〜90分程度である。
上述したように、複数種の成形用樹脂を用いた場合、各樹脂の気化温度に応じた複数段階の温度に保持して、第一熱処理を行っても良い。複数種の成形用樹脂のうち、高い気化温度に一気に昇温して全ての成形用樹脂を気化させることも可能であるが、各樹脂の気化温度に応じた温度に段階的に保持することで、各樹脂を炭化させることなく確実に気化させることができるからである。
(第二熱処理工程)
第二熱処理は、圧粉成形体の成形時に軟磁性粉末に導入された歪を緩和し、ヒステリシス損を低減するために非酸化性雰囲気で行う熱処理である。この熱処理を窒素雰囲気などの非酸化性雰囲気で行うのは、保磁力に影響を及ぼす酸化相の生成を抑制するためである。
その加熱温度は600℃以上850℃以下が好ましい。600℃以上であることで、圧粉磁心のヒステリシス損失を効果的に低減できる。逆に、850℃以下とすることで、軟磁性粒子が備える絶縁被膜の熱的損傷を抑制して、渦電流損の増大を抑制することができる。より好ましい加熱温度は、700℃以上、850℃以下、特に好ましい加熱温度は700℃以上、800℃以下である。この加熱温度における保持時間は、15分以上、2時間以下が好ましい。15分以上とすることで、十分な歪除去効果を達成できる。2時間以下とすることで、工業的生産効率を高めると共に、絶縁被膜の熱的損傷を抑制することができる。30分〜1時間程度が実用的である。
さらに、第二熱処理における加熱温度から常温への冷却過程において、500℃〜350℃の温度域を1℃/min以上の急冷とすることが好ましい。異相であるFeNi3規則相は、500℃〜350℃の温度域で析出しやすい。そのため、この温度域を急冷して短時間で通過することにより、異相の低減された低鉄損の圧粉磁心を得ることができる。この冷却速度は、速いほど異相の生成を抑制できる。よって、より好ましい冷却速度は3℃/min以上、特に好ましい冷却速度は10℃/min以上である。
(両熱処理の移行期における雰囲気の入れ替え条件)
第一熱処理は大気雰囲気で行うのに対し、第二熱処理は非酸化性雰囲気で行う。そのため、両熱処理の移行期には、熱処理炉内の雰囲気の入れ替えが行われる。この雰囲気の入れ替えを行う際、雰囲気中の酸素濃度が5000ppm(体積比)以下になるまでは、雰囲気温度を500℃以下に保持する。この入れ替えは、徐々に大気を窒素に入れ替えることで行うが、第一熱処理よりも第二熱処理温度が高いため、その入れ替えの間も昇温されると、十分に雰囲気が窒素に入れ替わる前に、つまり酸素濃度が高い状態のまま、酸化相が生じる高温に達してしまう虞がある。従来、第一熱処理による成形用樹脂の気化を終えると、この移行期の間も第二熱処理温度への昇温を行っていたため、その間に酸化相の生成が生じていたと考えられる。よって、熱処理炉内の酸素濃度が十分に低くなり、非酸化性雰囲気に入れ替わるまでの間も酸化相が生じ難い温度に保持することで、酸化相の発生を抑制することができ、低損失の圧粉磁心を得ることができる。
〔圧粉磁心〕
上記の方法により得られた圧粉磁心は、上述した被覆粉末と、この被覆粉末を一体化する保形材とを備える。被覆粉末は、上述したようにFe-Si-Al合金粉末とFe-Ni合金粉末との混合粉末を含む。一方、保形材は、焼成用樹脂が焼成時の熱で変性したセラミックス系の材料である。この保形材は、焼成用樹脂として添加したシリコーン樹脂が焼成過程でSi、C、及びOを含む非晶質体になっていると推定される。つまり、保形材中に軟磁性粉末が保持された状態の圧粉磁心となっている。この圧粉磁心において、軟磁性粒子の外表面近傍は酸化ケイ素を主成分とする無機絶縁層で構成されているが、その無機絶縁層の外側は、無機絶縁層に比べてCの含有量が多い材料、つまりSi、C、及びOを含む非晶質体となっていると考えられる。
この圧粉磁心は、XRD(X‐ray diffraction)により分析した際、以下の回折ピーク強度比が、0.45以下である。
Fe2O3の1stピークの積分強度/{(Fe-Si-AlとFe-Niの重複した1stピークの積分強度×Fe-Si-AlとFe-Niの合計体積に占めるFe-Niの体積分率)+FeNi3の1stピークの積分強度}
このピーク強度比を満たすことにより、酸化相の析出が少なく、保磁力の増大が抑制されて、低損失の圧粉磁心ということができる。より好ましいピーク強度比は0.30以下、さらに好ましいピーク強度比は0.20以下である。
その他、この圧粉磁心の透磁率は、例えば65以上、より好ましくは70以上、さらに好ましくは75以上、特に好ましくは80以上である。本例の圧粉磁心をコイルと組み合わせて電磁部品を構成した際、電流値が大きい場合は、透磁率が低く、電流値が小さい場合は、透磁率を高くすることが好ましい。
〔試験例1:磁気特性分析〕
以下の条件で被覆粉末の作製、造粒粉の生成、圧粉成形体の成形、第一熱処理及び第二熱処理を行って圧粉磁心の試験片を作製し、その試験片について磁気特性を評価した。
<試料の作製>
まず、組成が異なる複数種の軟磁性粉末を用意した。軟磁性粉末は軟磁性粒子の集合体である。各軟磁性粉末の組成は、後段の表1に示す通りである。試料No.1-1はセンダスト、試料No.1-2は特許文献1に記載の従来例、試料No.1-3〜No.1-5はセンダストとパーマロイの混合軟磁性粉末に相当する。いずれもFe-Si-Al合金粉末の平均粒径は約60μmであった。一方、試料No.1-2におけるFe粉末及び試料No.1-3〜No.1-5におけるFe-Ni合金粉末の平均粒径は約10μmであった。いずれの試料の軟磁性粒子もリン酸塩被膜を有している。これら各試料の軟磁性粉末のうち、試料No.1-2〜No.1-5の粉末は、V型混合機にて120分混合した。
次に、珪酸カリウムを主成分とする水溶液を用意する。この水溶液の珪酸カリウムの濃度は30質量%とした。この水溶液と前記軟磁性粉末とをミキサーで混合し、80℃程度で乾燥させ、軟磁性粒子の表面に珪酸カリウムを主成分とする無機絶縁層を形成した。軟磁性粉末と水溶液との配合量は、両者の混合物に対して水溶液の固形分が0.3質量%となるようにした。
以上の工程により、軟磁性粒子の表面に酸化ケイ素を主成分とする無機絶縁層を形成した被覆粒子の集合体である被覆粉末を作製した。
得られた被覆粉末に成形用樹脂を混合して、造粒粉を作製した。造粒粉中の軟磁性粉末と成形用樹脂との混合比は、質量比で100:1である。成形用樹脂には2種類のアクリル樹脂を用いた。
次に、各試料の造粒粉を金型に供給し、圧縮することで成形体とする。この加圧成形時の面圧は10ton/cm2である。この面圧であれば、成形時にFe-Si-Al合金粒子は実質的に変形しない。
そして、得られた圧粉成形体に、図1に示すパターン1〜パターン3の温度履歴にて第一熱処理及び第二熱処理を行う。各パターンの温度履歴において、大気雰囲気で行っている熱処理が第一熱処理、窒素雰囲気で行っている熱処理が第二熱処理である。パターン1では第一熱処理から第二熱処理に入れ替える過程でも昇温が行われ、雰囲気が大気から窒素に置換された時点における温度は約600℃である。これに対し、パターン2では、雰囲気の入れ替え過程の間も450℃に保持し、雰囲気が大気から窒素に置換された後に昇温を開始している。さらに、パターン3は、パターン2とは第二熱処理における冷却過程が異なる。即ち、パターン2では加熱温度(775℃)から常温に至る間を6時間かけて炉冷したのに対し、パターン3では加熱炉から冷却炉に試料を移送することで、加熱温度(775℃)から常温に至る間を10分で急冷した。冷却炉は、その炉壁が冷媒により循環冷却されている。
いずれのパターンにおいても第一熱処理の保持温度が2段階となっているのは、成形用樹脂に気化温度の異なる2種類の樹脂を用いて、各気化温度ごとに保持を行っているからである。350℃での保持時間は60分、450℃での保持時間は60分である。一方、第二熱処理での保持時間は60分である。この第二熱処理により、成形用樹脂は実質的に消失していると考えられる。得られた試験片は、リング状で外径34mm、内径20mm、厚み5mmであった。
<評価>
上述のようにして作製した各試料について、次に示す手順で磁気特性を測定した。
まず、リング状の試験片に巻線を施し、試験片の磁気特性を測定するための測定部材を作製した。この測定部材について、透磁率μ(H/m)を測定した。透磁率の測定には(DC/AC-BHトレーサ(メトロン技研株式会社製)を用いた。さらに、この測定部材に対し、岩通計測株式会社製B-H/μアナライザ SY-8258を用いて、励起磁束密度Bm:1kG(=0.1T)、測定周波数:100kHzにおける鉄損W1/100kを測定した。それらの結果も表1に示す。なお、表1では、ヒステリシス損を「ヒス損」、渦電流損を「渦損」と表示している。後述する他の試験例においても同様の表示を行うことがある。
なお、鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損からなる。本試験例では鉄損の周波数曲線を下記の3つの式で最小二乗法によりフィッティングし、ヒステリシス損および渦電流損を算出した。
(鉄損)=(ヒステリシス損)+(渦電流損)
(ヒステリシス損)=(ヒステリシス損係数)×(周波数)
(渦電流損)=(渦電流損係数)×(周波数)2
表1の結果から明らかなように、試料No.1-1のセンダストは、鉄損は低いものの、透磁率も低いことがわかる。
次に、センダストに純鉄を加えた試料No.1-2は、透磁率はセンダストよりも高くなったものの、鉄損は大幅に増大している。
試料No.1-3はセンダストにパーマロイを加えた軟磁性粉末を用いており、透磁率はセンダストよりも改善しているものの、鉄損は大幅に増加している。これは、両熱処理の雰囲気入れ替え過程においても昇温を行ったため、その過程で酸化相であるFe2O3相がパーマロイ粒子の外周に形成されたためであると考えられる。また、保磁力の大きいFeNi3規則相が比較的多く析出したためであると考えられる。このことは、後述する写真分析とX線回折の結果からも裏付けられる。
試料No.1-4は、試料No.1-1のセンダストに比べて透磁率が大きく向上し、さらに鉄損も試料1-1に比較的近い値となっている。試料No.1-4は、軟磁性粉末の材料は試料No.1-3と同じであるものの、第一熱処理から第二熱処理への雰囲気の入れ替え過程で昇温を行うことなく、入れ替えが完了するまで450℃に保持している。そのため、保磁力に影響を与える酸化相の生成が抑制され、鉄損が低減したものと考えられる。特に、試料No.3と比べれば、ヒステリシス損が大幅に低減していることがわかる。
試料No.1-5は、試料No.1-4と同じ透磁率であり、鉄損はさらに低減されている。これは、試料No.5の第二熱処理における冷却過程で急冷を行ったため、保磁力の大きなFeNi3規則相の析出が抑制されたためと考えられる。
〔試験例2:写真分析〕
次に、試験例1における試料No.1-3及びNo.1-5について、SEMにて写真撮影を行い、得られた圧粉磁心の組織について評価を行った。写真における各粒子成分の同定は、EDS(Energy-dispersive X-ray Spectroscopy)により行った。その結果を図2に示す。
図2(A)に示す試料No.1-5の写真を図2(B)に示す試料No.1-3の写真と比較すると、前者にはFe2O3相が少なく、かつFeNi3規則相の析出も少ないことがわかる。つまり、第一熱処理と第二熱処理の雰囲気を入れ替える過程において、昇温を行わずに450℃に保持することで、Fe2O3相の生成が抑制されていると考えられる。また、第二熱処理工程の冷却過程において、急冷することによりFeNi3規則相の析出が抑制されていると考えられる。
〔試験例3:X線回折〕
次に、各試料をX線回折法で分析してX線回折パターンを得て、各材料のピーク強度を調べた。本試験例では、試料No.2-1〜No.2-3の3種類の試料についてX線回折を行った。試料No.2-1(パターン3)が試験例1における試料No.1-5に、試料No.2-3(パターン1)が試験例1における試料No.1-3に相当する。試料No.2-2は、第一熱処理から第二熱処理に雰囲気を入れ替える過程において、酸素濃度が5000ppmであるときに昇温を開始している。試料No.2-2の他の温度履歴は試料No.2-1と同じである。さらに、試料No.2-2についても試験例1と同様に透磁率と鉄損を調べた。
得られた両試料の回折パターンを比較してみると、試料No.2-1の方が試料No.2-3よりもFe2O3相の1stピークが顕著に認められた。
さらに、このX線回折パターンから、次の回折強度比を求めた。
Fe2O3の1stピークの積分強度/{(Fe-Si-AlとFe-Niの重複した1stピークの積分強度×Fe-Si-AlとFe-Niの合計体積に占めるFe-Niの体積分率)+FeNi3の1stピークの積分強度}
各材料の1stピークは、JCPDSカードにおける各材料の1stピークのことである。積分強度とは、例えば、2θ=X1のピークにおける積分強度は、図3の斜線部の面積で示される。具体的には、ピークの近似式を用いた次式で示される。なお、図3における横軸はバックグラウンドラインを示し、同図中の近似式におけるA1、B1はピークの曲線に応じて適宜選択される定数である。
積分強度=(各ピークにおける近似式とy=ymax/2とで囲まれる部分の面積)+(半値幅×ymax/2)
例えば、図4に試料No.2-3の回折パターンを示す。この回折パターンでは、Fe-Si-AlとFe-Niの各1stピーク(○で表示)は互いに重複している。そのため、Fe-Si-AlとFe-Niの1stピークの積分強度には、この重複したピークを一つのピークとして、その積分強度を用いる。また、「(Fe-Si-AlとFe-Niの重複した1stピークの積分強度)」に「Fe-Si-AlとFe-Niの合計体積に占めるFe-Niの体積分率」を乗ずることで、軟磁性粉末に占めるFe-Niの体積分率に応じたFe-Niの1stピークの積分強度を求めている。各試料の雰囲気入れ替え時において、昇温を開始したときの雰囲気中の酸素濃度と、ピーク強度比(表2では単に「ピーク比」と記載)を表2に示す。
この表2から明らかなように、第一熱処理から第二熱処理に移行する過程で雰囲気の入れ替えを行う際、酸素濃度が5000ppm以下になるまで500℃以下に保持しておけば、回折ピーク強度比を0.45以下とでき、酸化相の生成が抑制されることがわかる。その結果、低鉄損の圧粉磁心を得ることができる。
〔試験例4:第二熱処理の冷却条件〕
さらに、第二熱処理の冷却過程における冷却速度と圧粉磁心の磁気特性との関係を調べた。本試験例では、上記冷却速度を変えて試料No.3-1〜No.3-4の4種類の試料を作製し、試験例1と同様に透磁率と鉄損を調べた。試料No.3-1が試験例1における試料No.1-5に相当する。各試料の冷却過程の温度履歴を図5に、その結果を表3に示す。
この表3から明らかなように、試料No.3-3、試料No.3-4では鉄損が1050kW/m3以上であるのに対し、試料No.3-1、試料No.3-2では鉄損が1010kW/m3台である。よって、上記冷却速度を1℃/min以上の急冷とすれば、FeNi3規則相の析出抑制に効果的であるといえる。また、図5より、FeNi3規則相の析出しやすい500℃から350℃の温度域を早期に冷却すれば、FeNi3規則相の析出抑制に効果的であることがわかる。この温度域さえ急冷すれば、他の温度域の冷却は急冷でなくても良い。
〔試験例5:第二熱処理温度と損失の関係〕
次に、第二熱処理における加熱温度と損失の関係を調べた。ここでの試料は、試験例1における試料No.1-5を基準とし、その加熱温度を変えて合計6種類の試料を作製し、試験例1と同様に鉄損、渦電流損及びヒステリシス損を求めた。その結果を図6に示す。
図6から明らかなように、加熱温度を600℃以上とすると、ヒステリシス損が大幅に下がることがわかる。一方、850℃を超えると渦損が増大する。そのため、ヒステリシス損と渦損の和で示される鉄損は、600℃以上850℃以下で第二熱処理を行うことで、効果的に低減できることがわかる。特に、750℃以上800℃以下においては顕著に鉄損が低い。
なお、本発明の実施例は、上述した実施例に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明の圧粉磁心は、高周波チョークコイル、高周波同調用コイル、バーアンテナコイル、電源用チョークコイル、電源トランス、スイッチング電源用トランス、リアクトルなどに好適に利用できる。本発明の圧粉磁心の製造方法は、各種インダクタに用いられる圧粉磁心を得るのに好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を有する複数の被覆粒子からなる被覆粉末と、これら被覆粒子を一体化する保形材とを備える圧粉磁心であって、
    前記軟磁性粒子は、Fe-Si-Al合金粒子とFe-Ni合金粒子と混合粒子で構成され、
    当該圧粉磁心をX線回折法により分析した際、次の回折ピーク強度比が0.45以下であることを特徴とする圧粉磁心。
    Fe2O3の1stピークの積分強度/{(Fe-Si-AlとFe-Niの重複した1stピークの積分強度×Fe-Si-AlとFe-Niの合計体積に占めるFe-Niの体積分率)+FeNi3の1stピークの積分強度}
  2. 前記混合粒子の配合は、質量%で、
    Fe-Si-Al合金粒子が80%以上99%以下、
    Fe-Ni合金粒子が1%以上20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記Fe-Si-Al合金粒子は、当該合金に占めるSiとAlの含有量が、以下の式を満たす材料で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
    {Si含有量+(Al含有量/2)}≧5質量%
  4. Fe-Si-Al合金粒子とFe-Ni合金粒子との混合粒子からなる軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を有する複数の被覆粒子で構成される被覆粉末を準備する原料粉末準備工程と、
    この被覆粉末に、成形体を保形するための成形用樹脂を混合して造粒する造粒工程と、
    この造粒粉を圧縮成形して圧粉成形体とする成形工程と、
    この圧粉成形体を大気雰囲気下で所定温度に加熱して前記バインダを気化させる第一熱処理工程と、
    第一熱処理工程後の成形体を非酸化性雰囲気で所定温度に加熱してから冷却することによって、圧粉成形体を構成する軟磁性粉末の歪を緩和する第二熱処理工程とを備え、
    前記第一熱処理工程から第二熱処理工程に移行する過程で雰囲気の入れ替えを行う際、雰囲気中の酸素濃度が5000ppm以下になるまでは、雰囲気温度を500℃以下に保持することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  5. 前記第二熱処理工程における冷却過程は、500℃〜350℃の温度域を1℃/min以上の急冷とすることを特徴とする請求項4に記載の圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記第二熱処理工程における加熱温度が600℃以上850℃以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の圧粉磁心の製造方法。
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