JP2012189050A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異音抑制と生産性向上との両立。
【解決手段】第一内歯車部12を形成の第一回転体10と、第一内歯車部12と同軸上に第二内歯車部22を形成の第二回転体20と、内歯車部12,22に対し偏心する第一外歯車部32を形成し、この歯車部32が偏心側で第一内歯車部12と噛合しつつ遊星運動する第一遊星歯車30と、内歯車部12,22に対し第一外歯車部32と反対側へ偏心する第二外歯車部42を形成し、この歯車部42が偏心側で第二内歯車部22と噛合しつつ遊星運動する第二遊星歯車40と、内歯車部12,22に対し第一外歯車部32と同一側へ偏心する外周面52を有し、この周面52により第一遊星歯車30を同軸支持する遊星キャリア50と、外周面52に保持され、第二遊星歯車40を第二外歯車部42の偏心側へ付勢し且つ遊星キャリア50を外周面52の偏心側へ付勢する弾性部材60とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、クランク軸及びカム軸とそれぞれ連動回転する第一回転体及び第二回転体の間を遊星歯車機構により連係させて、それらクランク軸及びカム軸間の回転位相(以下、「機関位相)という)に応じたバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置が、知られている。
例えば特許文献1の開示装置では、個別の第一回転体及び第二回転体に同軸上に形成される第一内歯車部及び第二内歯車部に対して、共通の遊星歯車に同軸上に形成される第一外歯車部及び第二外歯車部を、一体的に偏心させて当該偏心側にて噛合させている。このような特許文献1の開示装置では、遊星歯車の内周側において遊星キャリアが公転方向へと回転するのに伴って、当該遊星キャリアにより同軸上に支持される遊星歯車が遊星運動することで、バルブタイミングを決める機関位相が変化することになる。但し、特許文献1の開示装置では、第一内歯車部と第一外歯車部との噛合箇所及び第二内歯車部と第二外歯車部との噛合箇所において、製造公差に起因するバックラッシが不可避的に生じるので、歯打ちによる異音の発生が懸念される。
そこで、特許文献2の開示装置では、第一歯車部及び第二歯車部に対して第一外歯車部及び第二外歯車部と同一側へ偏心する外周面を遊星キャリアに設けて、かかる外周面に保持させた弾性部材により第一外歯車部及び第二外歯車部を偏心側へ付勢している。このような特許文献2の開示装置の付勢作用によると、第一外歯車部と第二外歯車部とは、偏心側にて噛合する第一内歯車部と第二内歯車部とにそれぞれ押し付けられてバックラッシを消失させ得るので、各噛合箇所での異音の発生を抑制可能となるのである。
特開2007−71058号公報 特開2009−13964号公報
しかし、特許文献2の開示装置を組み立てるに際しては、遊星歯車にて一体形成された第一外歯車部と第二外歯車部とを、各別の内歯車部に同時に噛み合わせるには、外歯車部同士及び内歯車部同士の同軸度や、それら各歯車部の輪郭度に精度が求められる。その結果、各歯車部の加工時間が増大するため、生産性の低下を招いてしまうのである。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、異音の抑制と生産性の向上とを両立させるバルブタイミング調整装置を、提供することにある。
請求項1に記載の発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、第一内歯車部を形成し、クランク軸及びカム軸のうち一方と連動して回転する第一回転体と、第一内歯車部に対して同軸上に第二内歯車部を形成し、クランク軸及びカム軸のうち他方と連動して回転する第二回転体と、第一内歯車部及び第二内歯車部に対して偏心する第一外歯車部を形成し、この第一外歯車部が偏心側において第一内歯車部と噛合しつつ遊星運動する第一遊星歯車と、第一内歯車部及び第二内歯車部に対して第一外歯車部とは反対側へ偏心する第二外歯車部を形成し、この第二外歯車部が偏心側において第二内歯車部と噛合しつつ遊星運動する第二遊星歯車と、第一内歯車部及び第二内歯車部に対して第一外歯車部と同一側へ偏心する外周面を有し、この外周面により第一遊星歯車を内周側から同軸上に支持する遊星キャリアと、第二遊星歯車の内周側において外周面により保持され、第二遊星歯車を第二外歯車部の偏心側へ付勢し且つ遊星キャリアを外周面の偏心側へ付勢する弾性部材とを、備え、第一遊星歯車及び第二遊星歯車の公転方向へ遊星キャリアが回転するのに伴って、第一遊星歯車及び第二遊星歯車が遊星運動することにより、機関位相が変化する。
この発明では、個別の第一回転体及び第二回転体に同軸上に形成される第一内歯車部及び第二内歯車部に対して、個別の第一遊星歯車及び第二遊星歯車に形成される第一外歯車部及び第二外歯車部が、相反側へ偏心して各々の偏心側にて噛合する。ここで第二遊星歯車は、それの内周側にて遊星キャリアの外周面に保持される弾性部材により第二外歯車部の偏心側へと付勢されるので、かかる第二遊星歯車の第二外歯車部については、当該偏心側にて噛合する第二内歯車部に押し付けられてバックラッシを消失させ得る。また、各内歯車部に対し第一外歯車部と同一側となる外周面の偏心側へ弾性部材が付勢する遊星キャリアにおいて、外周面が内周側から同軸支持する第一遊星歯車の第一外歯車部については、当該偏心側にて噛合する第一内歯車部に押し付けられてバックラッシを消失させ得る。さらに装置の組立時には、相異なる遊星歯車に形成された第一外歯車部と第二外歯車部とにつき、各々の偏心側へ相対変位させながら、各別の内歯車部との噛合具合を同時に調整可能となるので、各歯車部の輪郭度や内歯車部同士の同軸度に対する要求精度を低下させ得る。以上によれば、バックラッシの消失による異音の発生抑制効果と、要求精度の低下による生産性の向上効果とを、両立して発揮することができるのである。
請求項2に記載の発明によると、円筒状に形成される遊星キャリアは、軸方向の全域において内周面と同軸上に有する外周面により、第一遊星歯車を支持し且つ弾性部材を保持する。
この発明では、外周面により第一遊星歯車を支持し且つ弾性部材を保持する遊星キャリアは、軸方向全域において当該外周面を内周面と同軸上に有する簡素な円筒状に形成されるので、遊星キャリアの加工精度を低下させ得る。これによれば、生産性の向上に貢献できるのである。
請求項3に記載の発明は、第一内歯車部及び第二内歯車部に対して同軸上に回転軸を有し、内周面に対して偏心する回転軸が遊嵌される遊星キャリアを、回転軸と共に公転方向へ回転駆動するアクチュエータを、備える。
この発明では、簡素な円筒状の遊星キャリアのうち内周面に対して、第一内歯車部及び第二内歯車部とは同軸上の回転軸が偏心状態で遊嵌されることにより、それら回転軸及び遊星キャリアの公転方向への回転駆動が可能となっている。これによれば、遊星キャリアの加工精度だけでなく、遊星キャリアの回転駆動に必要な回転軸の配置精度も低下させ得るので、生産性の向上に貢献できるのである。
請求項4に記載の発明は、第一遊星歯車及び第二遊星歯車に軸方向に嵌合することにより、第一外歯車部及び第二外歯車部を各々の偏心側へ相対変位可能に連結する連結部材を、備える。
この発明では、連結部材が第一遊星歯車及び第二遊星歯車に軸方向に嵌合することにより、第一外歯車部及び第二外歯車部の相反側への偏心形態が確実に維持され得る。また、そうした偏心形態の第一外歯車部と第二外歯車部とについては、弾性部材の付勢作用を受けることにより各々の偏心側へと相対変位して、各別の内歯車部との噛合状態も維持され得るので、バックラッシを消失させることによる異音の発生抑制に貢献できる。しかも装置の組立時には、相異なる遊星歯車に形成された第一外歯車部と第二外歯車部とにつき、各々の偏心側へ相対変位させながら、各別の内歯車部との噛合具合を同時に調整し得るので、要求精度の低下による生産性の向上にも貢献できるのである。
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す図であって、図3のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 本発明の一実施形態の変形例によるバルブタイミング調整装置を示す図であって、図5のIV−IV線断面図である。 図4のV−V線断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は車両に搭載され、内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設置されている。尚、本実施形態においてカム軸2は、内燃機関の「動弁」のうち吸気弁(図示しない)を機関トルクの伝達によって開閉するものである。したがって、バルブタイミング調整装置1は、クランク軸に対するカム軸2の機関位相に応じたバルブタイミングを、吸気弁につき調整する。具体的にバルブタイミング調整装置1は、図1に示すように、アクチュエータ4、通電制御回路部7及び位相調整機構8等を組み合わせて構成されている。
アクチュエータ4は、本実施形態ではブラシレスモータ等の電動モータからなり、内燃機関の固定節に固定されるケース5と、このケース5により正逆回転自在に支持される回転軸6とを、有している。通電制御回路部7は、駆動ドライバ及びその制御用マイクロコンピュータ等の電子回路から構成され、ケース5の外部及び/又は内部に配置されてアクチュエータ4と電気的に接続されている。通電制御回路部7は、バルブタイミングを内燃機関の運転状態に応じたタイミングに調整するための通電をアクチュエータ4に対して行うことにより、回転軸6の回転駆動を制御する。
位相調整機構8は、第一回転体10、第二回転体20、第一遊星歯車30、第二遊星歯車40、遊星キャリア50、弾性部材60及び連結部材70を備えている。金属製の第一回転体10は、全体として中空状に形成されており、位相調整機構8の他の構成要素20,30,40,50,60,70を内部に収容している。
図1〜3に示す第一回転体10は、歯車部材11及びスプロケット部材14の間に筒壁部材16を同軸上に共締めしてなる。有底円筒状を呈する歯車部材11は、歯底円の内周側に歯先円を有する第一内歯車部12を、周壁部に形成している。段付円筒状のスプロケット部材14は、周壁部から径方向外側へ突出する歯15を、回転方向に複数有している。スプロケット部材14は、それらの歯15とクランク軸の複数の歯との間でタイミングチェーン(図示しない)が掛け渡されることにより、クランク軸と連繋する。かかるスプロケット部材14とクランク軸との連繋により、クランク軸から出力される機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット部材14へ伝達されることで、第一回転体10がクランク軸と連動して回転する。したがって、第一回転体10の回転方向は、一定(図2,3の反時計方向)となる。
図1,3に示すように、有底円筒状を呈する金属製の第二回転体20は、それよりも大径円筒状の筒壁部材16内に同軸上に配置されている。第二回転体20は、カム軸2に同軸上に固定される固定部21を、底壁部に形成している。かかる固定部21の固定により第二回転体20は、カム軸2と連動して回転可能となっており、また第一回転体10に対して相対回転可能となっている。ここで第二回転体20の回転方向は、第一回転体10と同一方向(図3の反時計方向)となる。
第二回転体20は、歯底円の内周側に歯先円を有する第二内歯車部22を、周壁部に形成している。第一内歯車部12に対して第二内歯車部22は、軸方向のカム軸2側にずれた状態で、同軸上に配置されている。第二内歯車部22の内径は第一内歯車部12の内径よりも小さく設定され、また第二内歯車部22の歯数は第一内歯車部12の歯数よりも少なく設定されている。
図1,2に示すように、円環板状を呈する金属製の第一遊星歯車30は、歯底円の外周側に歯先円を有する第一外歯車部32を、周壁部に形成している。第一外歯車部32は、内歯車部12,22に対して径方向に偏心して配置され、当該偏心側にて第一内歯車部12と噛合している。
図1,3に示すように、円環板状を呈する金属製の第二遊星歯車40は、歯底円の外周側に歯先円を有する第二外歯車部42を、周壁部に形成している。第二外歯車部42は、第一外歯車部32に対して軸方向のカム軸2側にずれた状態で、内歯車部12,22に対しては径方向のうち当該第一外歯車部32と反対側に偏心して配置され、当該偏心側にて第二内歯車部22と噛合している。第二外歯車部42の外径は第一外歯車部32の外径よりも小さく設定され、またそれら第二外歯車部42及び第一外歯車部32の歯数は、それぞれ噛合する第二内歯車部22及び第一内歯車部12の歯数よりも同数ずつ、少なく設定されている。
図1〜3に示すように、金属製の遊星キャリア50は、軸方向の全域において内周面51と外周面52とを同軸上に有する円筒状に、形成されている。遊星キャリア50は、内歯車部12,22に対して第一外歯車部32と同一側へ同一量だけ偏心して配置され、それら各内歯車部12,22と同軸上の回転軸6に対しても偏心している。即ち、これらの構成から遊星キャリア50の内外周面51,52は、内歯車部12,22及び回転軸6に対して偏心し且つ第一外歯車部32に対して同軸上の円筒面状を、呈している。
遊星キャリア50の内周面51に開口する一対の嵌合溝53は、回転軸6に設けられた継手部6aに対して、隙間をあけて嵌合する遊嵌状態で連係している。かかる嵌合溝53と継手部6aとの連係により遊星キャリア50は、アクチュエータ4によって回転軸6と共に回転駆動可能となっており、また内歯車部12,22に対して相対回転可能となっている。
図1,2に示すように遊星キャリア50の外周面52は、アクチュエータ4側の軸方向端部を含む部分にて、第一遊星歯車30の中心孔34に同軸上に嵌合している。かかる中心孔34との嵌合により外周面52は、第一遊星歯車30を内周側から、遊星運動可能に支持している。ここで第一遊星歯車30の遊星運動とは、内歯車部12,22に対する第一外歯車部32及び外周面52の偏心軸線E1周りに自転しつつ、回転軸6の中心軸線と一致する遊星キャリア50の回転軸線R周りに公転する運動をいう。
図1,3に示すように、遊星キャリア50の外周面52のうちカム軸2側の軸方向端部を含む部分には、それぞれ弾性部材60を個別に保持する保持孔54が開口している。各弾性部材60は、断面が概ねV字状を呈する金属製の板ばねであり、対応する保持孔54と第二遊星歯車40の中心孔44との間に挟持されている。かかる弾性部材60を介することにより外周面52は、保持孔54の形成部分にて第二遊星歯車40を内周側から、遊星運動可能に支持している。ここで第二遊星歯車40の遊星運動とは、内歯車部12,22に対する第二外歯車部42の偏心軸線E2周りに自転しつつ、遊星キャリア50の回転軸線R周りに公転する運動をいう。
各弾性部材60は、遊星キャリア50と第二遊星歯車40との間において弾性変形することにより、それぞれ復原力を発生する。ここで図3に示すように、各外歯車部32,42の偏心軸線E1,E2が含まれる仮想平面Pを挟んで対称位置に配置される本実施形態の各弾性部材60は、発生させた復原力の合力を、第二遊星歯車40及び遊星キャリア50の各々に対して径方向の相反側に作用させる。かかる復原力作用により、第二遊星歯車40は内歯車部12,22に対する第二外歯車部42の偏心側へ付勢される一方、遊星キャリア50は歯車40とは反対側へ、即ち内歯車部12,22に対する外周面52及び第一外歯車部32の偏心側へ付勢されることになる。
図1〜3に示すように、細長の円柱棒状を呈する金属製の連結部材70は、各外歯車部32,42の偏心軸線E1,E2と共に遊星キャリア50の回転軸線Rを含む仮想平面P上に、一対設けられている。各連結部材70は、回転軸線Rを径方向に挟む両側、即ち第一外歯車部32の偏心側と第二外歯車部42の偏心側とに、配置されている。各連結部材70においてアクチュエータ4側の軸方向端部を含む部分は、第一遊星歯車30を貫通する一対の第一嵌合孔36のうち各々対応する一方に対して、軸方向に嵌合している。ここで本実施形態では、円筒孔状の各第一嵌合孔36に対して、各連結部材70が圧入状態で嵌合固定されている。一方、各連結部材70においてカム軸2側の軸方向端部を含む部分は、第二遊星歯車40を貫通する一対の第二嵌合孔46のうち各々対応する一方に対して、軸方向に嵌合している。ここで本実施形態では、仮想平面Pに沿って延びる長孔状の各第二嵌合孔46に対して、各連結部材70が第二遊星歯車40の径方向にスライド変位可能に嵌合されている。かかる各第二嵌合孔46への嵌合形態により各連結部材70は、第一外歯車部32と第二外歯車部42とを各々の偏心側へ相対変位可能に連結しているのである。
以上の構成により位相調整機構8は、遊星歯車30,40を主体とした遊星歯車機構を介して、回転体10,20間を連係する形となっている。このような位相調整機構8では、遊星キャリア50と共に回転軸6が遊星歯車30,40の公転方向へ回転駆動されることにより、機関位相が調整されて所望のバルブタイミングが得られることとなる。
具体的には、回転軸6が第一回転体10と同速に回転駆動されるときには、遊星キャリア50が内歯車部12,22に対して相対回転しないので、遊星歯車30,40のいずれも遊星運動しない。その結果、遊星歯車30,40が遊星キャリア50及び回転体10,20と連れ回りするので、機関位相の変化が生じず、バルブタイミングが保持されることとなる。一方、回転軸6が第一回転体10よりも高速に回転駆動されるときには、遊星キャリア50が内歯車部12,22に対して進角側へ相対回転するので、遊星歯車30,40がそれぞれ遊星運動する。その結果、第一回転体10に対して第二回転体20が進角側へと相対回転するので、機関位相が進角側へ変化し、バルブタイミングが進角することとなる。また一方、回転軸6が第一回転体10よりも低速に回転駆動される又は第一回転体10とは反対方向に回転駆動されるときには、遊星キャリア50が内歯車部12,22に対して遅角側へ相対回転するので、遊星歯車30,40がそれぞれ遊星運動する。その結果、第一回転体10に対して第二回転体20が遅角側へと相対回転するので、機関位相が遅角側へ変化し、バルブタイミングが遅角することとなる。
ここまで説明したように装置1では、個別の回転体10,20に同軸上に形成される内歯車部12,22に対して、個別の遊星歯車30,40に形成される外歯車部32,42が、相反側へ偏心して各々の偏心側にて噛合する。ここで第二遊星歯車40は、遊星キャリア50の外周面52に保持される各弾性部材60により、第二外歯車部42の偏心側へと付勢されるので、かかる第二外歯車部42については、当該偏心側にて噛合する第二内歯車部22に押し付けられてバックラッシを消失させ得る。また、各弾性部材60により第一外歯車部32の偏心側へ付勢される遊星キャリア50において、外周面52が内周側から同軸支持する第一遊星歯車30の第一外歯車部32については、当該偏心側にて噛合する第一内歯車部12に押し付けられてバックラッシを消失させ得る。
ここで、遊星歯車30,40に対して連結部材70が軸方向に嵌合して外歯車部32,42間を連結している装置1では、それら外歯車部32,42の相反側への偏心形態が確実に維持され得る。また、そうした偏心形態の外歯車部32,42については、各弾性部材60の付勢作用を受けることにより各々の偏心側へと相対変位して、各別の内歯車部12,22との噛合状態も維持され得るので、上述の如きバックラッシの消失作用は確実なものとなる。しかも、相異なる遊星歯車30,40に形成されて同軸度の不要な偏心形態の外歯車部32,42については、装置1の組立時に各々の偏心側へと相対変位させながら、各別の内歯車部12,22との噛合具合を同時に調整し得る。故に、各歯車部32,42,12,22の輪郭度や内歯車部12,22同士の同軸度に対して、要求精度を低下させることが可能になる。
以上によれば、バックラッシの消失による異音の発生抑制効果と、要求精度の低下による生産性の向上効果とを、両立して発揮できるのである。さらに装置1では、軸方向の全域にて外周面52を内周面51と同軸上に有する円筒状の遊星キャリア50につき、その簡素な形状に応じて加工精度の低下を図り得るので、生産性の向上に貢献できる。加えて装置1では、簡素形状の遊星キャリア50のうち内周面51に対して、内歯車部12,22と同軸上の回転軸6が偏心状態で遊嵌されることにより、それら回転軸6及び遊星キャリア50の公転方向への回転駆動が可能となっている。このような装置1によれば、遊星キャリア50の加工精度だけでなく、遊星キャリア50の回転駆動に必要な回転軸6の配置精度も低下させ得るので、これによっても、生産性の向上に貢献できるのである。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
具体的に連結部材70については、第二遊星歯車40に圧入状態で嵌合固定し且つ第一遊星歯車30にスライド移動可能に嵌合させてもよいし、遊星歯車30,40の双方にスライド移動可能に嵌合させてもよい。また、図4,5に示すように連結部材70を設けずに、弾性部材60の付勢作用のみにより外歯車部32,42の相反側への偏心形態を維持する構成としてもよい。さらに弾性部材60の配設数については、適宜設定可能であり、例えば図5に示すように、唯一の弾性部材60が発生する復原力により第二遊星歯車40と遊星キャリア50とを、それぞれ第二外歯車部42の偏心側と外周面52(第一外歯車部32)の偏心側とへ付勢する構成としてもよい。
加えて、回転体10をカム軸2と連動回転させ、回転体20をクランク軸と連動回転させてもよい。また加えて、内歯車部12,22に対して外歯車部42と同一側へ偏心する遊星キャリア50の外周面52により遊星歯車40を内周側から支持し、且つ遊星歯車30を外歯車部32の偏心側へ付勢する弾性部材60を同外周面52により保持する構成としてもよい(この場合、上述の実施形態の説明において「第一」を「第二」として、また逆に「第二」を「第一」として読み替えることにより、特許請求の範囲に記載の発明に対応する実施形態として、考えることができる)。
さらに加えて、回転軸6と共に遊星キャリア50を回転駆動するアクチュエータ4としては、電動モータ以外の例えば電動ブレーキ等を採用してもよい。そして、本発明は、吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用できるのである。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 アクチュエータ、6 回転軸、6a 継手部、7 通電制御回路部、8 位相調整機構、10 第一回転体、11 歯車部材、12 第一内歯車部、14 スプロケット部材、20 第二回転体、22 第二内歯車部、30 第一遊星歯車、32 第一外歯車部、34 中心孔、36 第一嵌合孔、40 第二遊星歯車、42 第二外歯車部、44 中心孔、46 第二嵌合孔、50 遊星キャリア、51 内周面、52 外周面、53 嵌合溝、54 保持孔、60 弾性部材、70 連結部材、E1,E2 偏心軸線、P 仮想平面、R 回転軸線

Claims (4)

  1. 内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    第一内歯車部を形成し、前記クランク軸及び前記カム軸のうち一方と連動して回転する第一回転体と、
    前記第一内歯車部に対して同軸上に第二内歯車部を形成し、前記クランク軸及び前記カム軸のうち他方と連動して回転する第二回転体と、
    前記第一内歯車部及び前記第二内歯車部に対して偏心する第一外歯車部を形成し、この第一外歯車部が偏心側において前記第一内歯車部と噛合しつつ遊星運動する第一遊星歯車と、
    前記第一内歯車部及び前記第二内歯車部に対して前記第一外歯車部とは反対側へ偏心する第二外歯車部を形成し、この第二外歯車部が偏心側において前記第二内歯車部と噛合しつつ遊星運動する第二遊星歯車と、
    前記第一内歯車部及び前記第二内歯車部に対して前記第一外歯車部と同一側へ偏心する外周面を有し、この外周面により前記第一遊星歯車を内周側から同軸上に支持する遊星キャリアと、
    前記第二遊星歯車の内周側において前記外周面により保持され、前記第二遊星歯車を前記第二外歯車部の偏心側へ付勢し且つ前記遊星キャリアを前記外周面の偏心側へ付勢する弾性部材とを、
    備え、前記第一遊星歯車及び前記第二遊星歯車の公転方向へ前記遊星キャリアが回転するのに伴って、前記第一遊星歯車及び前記第二遊星歯車が遊星運動することにより、前記クランク軸及び前記カム軸の間の回転位相が変化することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 円筒状に形成される前記遊星キャリアは、軸方向の全域において内周面と同軸上に有する前記外周面により、前記第一遊星歯車を支持し且つ前記弾性部材を保持することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記第一内歯車部及び前記第二内歯車部に対して同軸上に回転軸を有し、前記内周面に対して偏心する前記回転軸が遊嵌される前記遊星キャリアを、前記回転軸と共に前記公転方向へ回転駆動するアクチュエータを、
    備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記第一遊星歯車及び前記第二遊星歯車に軸方向に嵌合することにより、前記第一外歯車部及び前記第二外歯車部を各々の偏心側へ相対変位可能に連結する連結部材を、
    備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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