JP2012189360A - 時計用デテント脱進機、及び機械式時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】がんぎ車2と、このがんぎ車2の歯部2aと接触可能な振り石、及び外し石を有し、てん真を中心に自由振動するてんぷと、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有し、がんぎ車2に対して接離可能に支持されている作動レバー23とを備え、止め石6は、歯部2aの歯先端面2a1よりもがんぎ車2の径方向内側で歯部2aと接触する凸部61を有し、歯部2aは、止め石6との接触面71のうち、少なくとも凸部61に対応する部位に傾斜面71aを形成し、この傾斜面71aは、がんぎ車2の歯部2aと、止め石6とが接触した状態において、軸部の軸心と歯部2aの歯先とを結ぶ径方向の直線KLに対し、がんぎ車2の軸部側に向かって傾斜している。
【選択図】図4
Description
てんぷは、がんぎ車の歯部と接触可能な振り石、及び作動レバーに取り付けられている片作動ばねと接触可能な外し石を有している。
作動レバーは復帰ばねを介し、がんぎ車に対して接離可能に支持されている。復帰ばねは、作動レバーを原位置に復帰するように付勢している。また、作動レバーには、がんぎ車の歯部と接触可能な止め石が設けられている。
続いて、がんぎ車が1歯分回転する間に、作動レバーに復帰ばねの付勢力が作用し、作動レバーが原位置に復帰する。これにより、がんぎ車の歯部に止め石が再び接触し、がんぎ車の回転が停止する(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献1参照)。
(機械式時計)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1は、機械式時計のムーブメントを裏蓋側からみた平面図である。
同図に示すように、機械式時計100は、ムーブメント101を備えている。ムーブメント101は、このムーブメント101の基板を構成する地板102を有している。地板102には巻真案内孔103が形成されており、ここに巻真104が回転可能に組み込まれている。
一方、ムーブメント101の表側(図1における紙面手前側)には、表輪列105を構成する四番車106、三番車107、二番車108、及び香箱車110が配置されていると共に、表輪列105の回転を制御するデテント脱進機1が配置されている。
二番車108は、香箱車110の不図示の香箱歯車に噛合う二番かなと、二番歯車(何れも不図示)とを有している。二番車108が回転すると、三番車107が回転するように構成されている。
四番車106は、三番車107の三番歯車に噛合う不図示の四番かなと、四番歯車(何れも不図示)とを有している。四番車106が回転することによりデテント脱進機1が駆動する。このデテント脱進機1が駆動することにより、四番車106が1分間に1回転するように制御されると共に、二番車108が1時間に1回転するように制御される。
図2は、デテント脱進機の斜視図、図3は、デテント脱進機の平面図である。
図2、図3に示すように、デテント脱進機1は、四番車106が回転することにより回転するがんぎ車2と、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有するデテント7と、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な振り石3、及びデテント7と接触可能な外し石4を有するてんぷ5とを備えている。
このように構成されたがんぎ車2は、表輪列105によって図3における時計回り方向(矢印CW1参照)に向かって回転力が付与されている。
外し石4は、デテント7に設けられている後述の片作動ばね24と接触可能になっている。外し石4によってデテント7が作動する。
デテント7は、固定ワッシャ12の大径ワッシャ12aと小径ワッシャ12bとにより挟持されている円板状のデテント固定部21と、デテント固定部21に復帰ばね22を介して支持されている作動レバー23と、外し石4と接触可能な片作動ばね24とが一体成形されたものである。
ここで、一体成形を行う方法として、例えば電鋳加工によりデテント7を形成したり、フォトリソグラフィーのような光学的な手法を取り入れたLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセスやDRIE、MIMによりデテント7を形成したりすることが可能である。
円弧部31は、アーム部28の基端部からがんぎ車2とは反対側(図3、図4における右側)に向かって、且つ直線Lと略直交する方向に沿って延出し、この後、デテント固定部21の周囲の約3/4を取り囲むように円弧状に形成されている。
また、舌片部32cは、この先端が作動レバー23の先端部30から僅かに突出するように延出形成されている。この舌片部32cの先端部30から突出した部位に、てんぷ5の外し石4が接触するようになっている。
なお、片作動ばね24は、復帰ばね22と同様に、例えばニッケルなどの弾性材料により形成されていることが望ましい。
ここで、作動レバー23の止め石取付部29には、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6が設けられている。
図4は、図3のA部拡大図である。
図2〜図4に示すように、止め石6は、例えば人工ルビー等により、角柱状で、且つその断面形状が作動レバー23の先端部30に向かうに従って漸次幅広となるように略台形状に形成されたものである。
より具体的には、止め石6は、作動レバー23のアーム部28が直線Lに沿っている状態で、直線Lに略直交し、且つ先端側(図4における上側)に位置する停止面6aと、この停止面6aに対向する下面6bと、停止面6a、及び下面6bのがんぎ車2とは反対側(図4における右側)に位置し、且つ直線Lに沿う側面6cと、停止面6a、及び下面6bのがんぎ車2側(図4における左側)に位置し、直線Lに対して傾斜している背面6dとを有している。
ここで、がんぎ車2の歯部2aは、このがんぎ車2の回転方向(図3における矢印CW1方向)側の面が止め石6に接触する接触面71となっている。接触面71は、この接触面71と歯先端面2a1とが接続する角部2a2と、がんぎ車2の軸部19の軸心とを結ぶ径方向の直線KL(以下、単に「径方向の直線KL」という)に対して傾斜した傾斜面71aにより構成されている。より具体的には、傾斜面71aは、径方向の直線KLに対して、がんぎ車2の軸部19側に向かって傾斜した状態になっている。
このように構成されたがんぎ車2の歯部2aと止め石6の凸部61とが接触したとき、止め石6に、がんぎ車2側に向かう力が作用し、作動レバー23ががんぎ車2側に向かって接近するように変位しようとする(詳細は後述する)。
また、ストッパアーム41は、固定ピン43を中心にして回転可能に設けられており、これによってストッパピン42の位置が調整できるようになっている。このストッパピン42の位置を調整することにより、作動レバー23の移動規制位置が、がんぎ車2の歯部2aに止め石6が接触可能、且つアーム部28の長手方向が直線L上となる位置に設定される。
次に、図3、図5〜図8に基づいて、デテント脱進機1の動作について説明する。
図5は、図4の作用説明図、図6〜図8は、デテント脱進機の動作説明図である。
まず、図3、図5に示すように、デテント7の作動レバー23が直線Lに沿う位置に存在している状態では、がんぎ車2の歯部2aにおける接触面71(傾斜面71a)と、作動レバー23に設けられている止め石6の凸部61とが接触し、両者2,6が係合してがんぎ車2が停止した状態になっている。
また、図3に示すように、地板102には、作動レバー23のがんぎ車2に接近する方向に向かう変位を規制するストッパ40が設けられている。このストッパ40に作動レバー23のアーム部28が当接し、作動レバー23が直線Lに沿う位置で停止する。そして、がんぎ車2が回転力F1に抗して停止する。
また、大つば11が矢印CCW1方向に向かって回転することにより、がんぎ車2が矢印CW1方向に向かって回転し始めるのとほぼ同時に、がんぎ車2の歯部2aに振り石3の接触面3aが接触する(図6における2点鎖線参照)。そして、がんぎ車2の回転力が振り石3を介しててんぷ5に伝達される。このとき、てんぷ5は、矢印CCW1方向に向かって回転力が付与される。
さらに、大つば11が矢印CW2方向に向かって回転し、所定角度に達すると、片作動ばね24の舌片部32cから外し石4が離間する。すると、片作動ばね24の復元力により、舌片部32cが作動レバー23側に向かって変位し(図8における矢印Y5参照)、原位置に戻る。
これを繰り返すことにより、てんぷ5がてん真9を中心にして自由振動すると共に、デテント7が図3、図6〜図8に示す状態を繰り返す。このため、がんぎ車2が常に一定速度で回転する。
したがって、上述の第一実施形態によれば、がんぎ車2の歯部2aの接触面71が、径方向の直線KLに対し、がんぎ車2の軸部19側に向かって傾斜した状態になっているので、歯部2aと止め石6とが接触した際、止め石6にがんぎ車2の軸部19側に向かう力F2(図5参照)を作用させることができる。
これに加え、止め石6に凸部61を形成することにより、歯部2aの接触面71の歯先端面2a1よりも径方向内側で止め石6と歯部2aとが接触するので、止め石6に凸部61が形成されていない場合と比較して、止め石6を歯部2aの根元側に容易に引き込むことができる。
さらに、歯部2aの接触面71では、この接触面71と、凸部61の端面61aと斜面61bとの間の稜線部61cとが線接触した状態になっているので、歯部2aと凸部61との間に生じる摩擦抵抗が、接触面71と凸部61とが面接触する場合と比較して低減される。
このため、がんぎ車2の歯部2aと作動レバー23の止め石6との係脱動作を確実に安定させることができ、この結果、がんぎ車2の動作を安定させることができる。
次に、この発明の第二実施形態を図1を援用し、図9に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図9は、第二実施形態における止め石の平面図であって、前述の第一実施形態の図4に対応している。
この第二実施形態において、機械式時計100は、ムーブメント101を備えている点、ムーブメント101の表側に、表輪列105の回転を制御するデテント脱進機1が配置されている点、デテント脱進機1は、四番車106が回転することにより回転するがんぎ車2と、がんぎ車2に対して接離可能に支持されている作動レバー23を有するデテント7と、がんぎ車2と接触可能な振り石3、及びデテント7と接触可能な外し石4を有するてんぷ5とを備えている点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
すなわち、第二実施形態のがんぎ車2の歯部63aは、この接触面64が弧状面64aにより構成されている。
すなわち、止め石62の凸部65は、歯部63aの歯先端面63a1よりも径方向内側で止め石62と歯部63aとを接触させる接触部として機能することになる。
このような構成のもと、がんぎ車2の歯部63aと止め石62の凸部65とが接触したとき、止め石62に、がんぎ車2側に向かう力F3が作用する。この結果、作動レバー23にがんぎ車2側に向かう力が作用する。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、歯部63aの接触面64を弧状面64aにより構成することで、止め石62の凸部65が接触している位置における接線SLは、径方向の直線KLに対する傾斜が大きくなる。このため、止め石62に作用するがんぎ車2の軸部19側に向かう力F3を前述の第一実施形態の力F2(図5参照)よりも大きく設定することができる。よって、さらに確実に作動レバー23をがんぎ車2側に向かって引き込むことが可能になる。
次に、この発明の第三実施形態を図10に基づいて説明する。
図10は、第三実施形態における止め石の平面図であって、前述の第一実施形態の図4に対応している。
同図に示すように、第一実施形態と、第三実施形態との相違点は、第一実施形態の止め石6の停止面6aに形成されている凸部61と、第三実施形態の止め石82の上面82aに形成されている凸部81の形状とが異なる点にある。
したがって、この第三実施形態によれば、止め石82の凸部81に曲面部81aを形成することにより、歯部2aの接触面71と、止め石82の凸部81とを確実に線接触させることができる。このため、前述の第一実施形態の歯部2aの接触面71と、止め石6の凸部61とが接触する状態と比較して、歯部2aの接触面71と、止め石82の凸部81との接触抵抗を低減できる。よって、よりスムーズに、作動レバー23をがんぎ車2側に向かって引き込むことが可能になる。
次に、この発明の第四実施形態を図11、図12に基づいて説明する。
図11は、第四実施形態における止め石の平面図であって、前述の第一実施形態の図4に対応している。図12は、図11のB部拡大図である。
図11、図12に示すように、第一実施形態と、第三実施形態との相違点は、第一実施形態の止め石6に形成されている凸部61の機能と、第四実施形態の止め石84に形成されている凸部83の機能とが異なる点にある。以下に詳述する。
このような構成のもと、がんぎ車2の歯部2aと止め石84とが接触した状態では、止め石84に形成されている凸部83の斜面83bに、歯部2aの歯先端面2a1が当接するようになっている。これにより、作動レバー23のがんぎ車2側に向かう変位が規制される。
さらに、図1に示すように地板102にストッパ40を設ける必要がなくなり、デテント脱進機1の部品点数を減少させることができる。
次に、この発明の第五実施形態を図13に基づいて説明する。
図13は、第五実施形態における止め石の平面図であって、前述の第一実施形態の図4に対応している。
ここで、この第五実施形態の止め石92には、第一実施形態に示す凸部61と第四実施形態に示す凸部83とが形成されている。
したがって、この第五実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果に加え、第四実施形態と同様の効果を奏することができる。
2 がんぎ車
2a,63a 歯部
2a1,63a1 歯先端面
2a2 角部(歯先)
3 振り石
4 外し石
5 てんぷ
6,62,82,84,92 止め石
6a 停止面(端面)
9 てん真
19 軸部
23 作動レバー
61,65,81 凸部
64 接触面
64a 弧状面
71 接触面
71a 傾斜面
81a 曲面部
83 凸部(突起部)
105 表輪列
111 ぜんまい
KL 径方向の直線
SL 接線
Claims (7)
- がんぎ車と、
このがんぎ車の歯部と接触可能な振り石、及び外し石を有し、てん真を中心に自由振動するてんぷと、
前記がんぎ車の歯部と接触可能な止め石を有し、前記がんぎ車に対して接離可能に支持されている作動レバーとを備え、
前記止め石は、前記歯部の歯先よりも前記がんぎ車の径方向内側で前記歯部と接触する接触部を有し、
前記歯部は、前記止め石との接触面のうち、少なくとも前記接触部に対応する部位に傾斜面を形成し、
この傾斜面は、前記がんぎ車の歯部と、前記止め石とが接触した状態において、前記がんぎ車の回転中心と前記歯部の歯先とを結ぶ径方向の直線に対し、前記がんぎ車の回転中心側に向かって傾斜していることを特徴とする時計用デテント脱進機。 - がんぎ車と、
このがんぎ車の歯部と接触可能な振り石、及び外し石を有し、てん真を中心に自由振動するてんぷと、
前記がんぎ車の歯部と接触可能な止め石を有し、前記がんぎ車に対して接離可能に支持されている作動レバーとを備え、
前記止め石は、前記歯部の歯先よりも前記がんぎ車の径方向内側で前記歯部と接触する接触部を有し、
前記歯部は、前記止め石との接触面のうち、少なくとも前記接触部に対応する部位に弧状面を形成し、
この弧状面上の任意の接線は、前記がんぎ車の歯部と、前記止め石とが接触した状態において、前記がんぎ車の回転中心と前記歯部の歯先とを結ぶ径方向の直線に対し、前記がんぎ車の回転中心側に向かって傾斜していることを特徴とする時計用デテント脱進機。 - 前記止め石には、前記歯部の前記接触面側の端面に、前記接触面側に向かって突出する凸部が形成され、この凸部を前記接触部として機能させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記凸部の前記歯部に接触する部位には、曲面部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の時計用デテント脱進機。
- がんぎ車と、
このがんぎ車の歯部と接触可能な振り石、及び外し石を有し、てん真を中心に自由振動するてんぷと、
前記がんぎ車の歯部と接触可能な止め石を有し、前記がんぎ車に対して接離可能に支持されている作動レバーとを備え、
前記止め石に、この止め石と前記歯部とが接触した状態で、前記作動レバーの前記がんぎ車の回転中心側に向かう変位を規制する規制部を設けたことを特徴とする時計用デテント脱進機。 - 前記止め石には、前記歯部の前記接触面側の端面であって、且つ前記歯部の歯先に対応する箇所に、突起部が形成され、この突起部を前記規制部として機能させたことを特徴とする請求項5に記載の時計用デテント脱進機。
- 請求項1〜請求項6の何れかに記載の時計用デテント脱進機と、
動力源を構成するぜんまいと、
このぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列とを備え、
この表輪列の回転を前記時計用デテント脱進機により制御することを特徴とする機械式時計。
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