JP2012192331A - 水性塗料廃液の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性塗料を含む廃液の処理工程を簡略化し、かつ、処理コストの低減化を図り、処理後の廃液を塗装ブースの洗浄用等の工場用水としてリサイクルすることを可能とする水性塗料廃液の処理方法を提供する。
【解決手段】水性塗料を含む廃液に酸を添加した後、アルカリを添加して中和処理する反応工程1と、前記工程による処理液から固形分を除去するろ過工程2と、メリーゴーランド方式で水溶性の有機成分を吸着剤により除去する吸着工程3とを経て、前記水性塗料を含む廃液を塗装ブース用水としてリサイクルする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車塗装の材料として使用される水性塗料を含む廃液を、塗装ブース用水としてリサイクル可能とする水性塗料廃液の処理方法に関する。
自動車製造等の塗装工程においては、従来、有機溶剤を使用した塗料が用いられてきたが、環境保全の観点から、揮発性有機化合物(VOC)の排出削減が求められるようになり、近年、有機溶剤を使用しない、あるいはまた、有機溶媒の使用量を大幅に減らして水で代替した、水性塗料を使用することが一般的になってきている。
しかしながら、水性塗料は、水質基準とされているBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)及びSS(浮遊物質)分を増大させる要因となる有機物や還元性物質が水溶性であるため、水に一旦溶解した有機成分の分離除去が困難であるという課題を有していた。
このため、水性塗料廃液の処理においては、従来は、添加剤を加えることにより、有機成分を凝集させて除去する方法が採用されていた(例えば、特許文献1参照)。
図2に、従来の水性塗料廃液の処理方法の工程の一例の概要を示す。
図2に示す方法においては、一次凝集工程11において、凝集剤の添加により有機成分である塗料成分が固形化され、処理槽の底部に沈殿する。これらの凝集剤や凝集した塗料成分の沈殿物は、処理槽の底部に付着して溜まるため、処理水を抜き出した後、人手によってスラッジを掻き出さなければならなかった。
また、前記処理水は、有機成分が十分に除去されていないため、さらに、二次凝集工程12、中和工程13を経て、スラッジを除去した後、曝気槽において微生物処理工程14を経てから、工場廃水とされていた。
また、前記一次凝集工程において、凝集剤を添加する代わりに、酸を添加して塗料成分を固形化させ、中和した後、固形分を除去する方法も提案されている(特許文献2参照)。
特公昭52−45139号公報 特開2001−219176号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような凝集剤等の添加剤を用いた方法は、添加剤等の凝集剤が高価である上に、沈殿物の回収のための人件費がかさみ、コストを要するものであった。しかも、汚水(水性塗料廃液)成分を80%以上含んだ状態のスラッジを処理する必要があった。
また、工場廃水とするためには、凝集工程を2度も経なければならず、微生物処理も必要であり、処理工程数が多く、煩雑であった。
さらに、微生物処理では、界面活性剤を十分に除去することができないため、発泡等の問題が発生し、微生物処理後の廃水は塗装ブースの洗浄用等の工場用水としてリサイクルすることはできなかった。
これに対して、特許文献2に記載されているように、酸及びアルカリを添加する方法においては、高価な凝集剤を使用せず、安価な酸及びアルカリが用いられ、pH調整は全自動化が可能であり、しかも、同一槽で反応を行うことができるため、処理の簡便化及びコストの低減化が図られるという利点を有している。
しかしながら、この方法においても、廃液中には、未反応の有機成分、特に、有機溶媒等のアルコール系化合物や高分子カルボン酸等の不揮発性分やその他の添加剤が残存しているため、工場廃水とするためには、さらに、二次凝集工程、中和工程、微生物処理工程等を経る必要があった。また、このように、微生物処理工程を経る場合には、上記の方法と同様に、界面活性剤が十分に除去されず、発泡等の問題が生じるため、微生物処理後の廃水は塗装ブースの洗浄用等の工場用水としてリサイクルすることはできなかった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、水性塗料を含む廃液の処理工程を簡略化し、かつ、処理コストの低減化を図り、処理後の廃液を塗装ブースの洗浄用等の工場用水としてリサイクルすることを可能とする水性塗料廃液の処理方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る水性塗料廃液の処理方法は、水性塗料を含む廃液に酸を添加した後、アルカリを添加して中和処理する反応工程と、前記工程による処理液から固形分を除去するろ過工程と、水溶性の有機成分を吸着剤により除去する吸着工程とを経て、前記水性塗料を含む廃液を塗装ブース用水としてリサイクルすることを特徴とする。
このような工程によれば、水性塗料を含む廃液を微生物処理する必要がなく、処理工程の簡略化及び処理コストの低減化を図ることができる。
前記吸着剤は、活性炭、アルミナ、珪藻土、シリカゲル及びゼオライトのうちから選ばれたいずれか1種であることが好ましい。
これらの材質からなる吸着剤によれば、廃液中に残存する添加剤や有機成分を好適に吸着除去することができる。
また、前記吸着工程は、メリーゴーランド方式で行うことが好ましい。
これにより、廃液中に残存する添加剤や有機成分を、簡便かつ低コストで、効率的に除去することができる。
本発明に係る水性塗料廃液の処理方法によれば、水性塗料を含む廃液の処理工程を簡略化することができ、かつ、処理コストの低減化が図られる。
また、本発明に係る処理方法においては、従来法で行われていた微生物処理が不要となり、有機成分や添加剤が残留しないため、処理後の廃液を塗装ブースの洗浄用等の工場用水として再利用することができ、水性塗料による塗装工程での洗浄水利用をクローズド化させることも可能となる。
本発明に係る廃液処理方法の概要を示す工程図である。 従来の廃液処理方法の概要を示す工程図である。
以下、本発明を、より詳細に説明する。
本発明に係る水性塗料の廃液処理方法の処理工程の概要を図1に示す。
図1に示すように、本発明に係る処理方法においては、水性塗料を含む廃液に酸を添加した後、アルカリを添加して中和処理する反応工程1と、前記工程による処理液から固形分を除去するろ過工程2と、水溶性の有機成分を吸着剤により除去する吸着工程を吸着させる工程3とを経る。
すなわち、本発明に係る処理方法は、水性塗料を含む廃液を、微生物処理せずに、最終工程において吸着剤により処理することを特徴とするものである。
以下、本発明に係る処理方法を、各工程順に詳細に説明する。
反応工程1においては、まず、廃液に酸を添加して酸性にする。
ここでいう廃液は、水性塗料が含まれているものでよく、前記水性塗料は、特に、自動車塗装用の水性塗料に限定されるものではない。
廃液に添加する酸は、一般的な無機酸を用いることができ、特に限定されるものではなく、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。酸の濃度は、安全性やpH調整の容易性等の観点から、希酸を用いることが好ましい。
前記酸は、よく撹拌しながら滴下していき、廃液のpHが1〜6程度になるように調整することが好ましい。このようにして、廃液を酸性にすることにより、樹脂塗料成分を固形化させることができる。
前記酸を滴下後、酸と廃液との反応を促進するために、廃液を加熱することが好ましい。
このときの加熱温度は、30〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜80℃である。
前記加熱温度が低すぎる場合、樹脂塗料成分が硬化しないおそれがあり、一方、前記廃液は水系であるため、加熱温度の上限は100℃とする。
上記のように加熱する場合、加熱時間は、20〜120分間であることが好ましく、より好ましくは30〜60分間である。
加熱時間が短すぎる場合、酸と廃液との反応が十分に進行せず、樹脂塗料成分が固化しないおそれがあり、一方、長すぎると、廃液と酸とが共沸して蒸発し、作業性、安全性、環境負荷の点で好ましくない。
次に、上記のようにして酸性化された廃液に、アルカリを添加して中和する。
ここで添加するアルカリは、一般的な無機アルカリを用いることができ、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらは、安全性やpH調整の容易性等の観点から、希アルカリを用いることが好ましい。
そして、上記のような酸及びアルカリによる反応工程を経て、固化した樹脂塗料成分は、機械的な脱水により廃スラッジとして分離・回収される。同時に、残留SSの一部も、この時点で捕捉除去することができる。
除去されずに残ったSSは、別途、次のろ過工程2において捕捉除去される。残留SSは、後の吸着工程3における吸着効率を低下させることとなるため、吸着工程3の前にできる限り除去しておくことが好ましい。
このろ過工程2におけるろ過方法及びろ過材は、特に限定されるものではなく、ろ布やろ紙等を用いることもできるが、効率やコストの点から、砂ろ過により行うことが好ましい。
次に、前記ろ過工程2においてSSが除去された廃液は、吸着工程3へ送られる。この吸着工程3において、水溶性の有機成分を除去する。
この吸着工程3において用いられる吸着剤は、特に限定されるものではないが、水溶性の有機成分を吸着する観点から、活性炭、アルミナ、珪藻土、シリカゲル又はゼオライトのうちから選ばれた1種であることが好ましく、特に、活性炭を用いることが好ましい。
前記吸着剤として活性炭を用いる場合、その種類や形状等は特に限定されるものではないが、例えば、粒径0.1〜100mm程度の破砕状、粒状、粉末状等の植物質、石炭質又は石油質等の原材料からなるものを用いることができる。
また、その量は処理する廃液量に対して0.05〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜25重量%である。
前記活性炭の量が0.05重量%未満である場合、親水性の有機成分を十分に除去することが困難であり、一方、50重量%を超える場合、それ以上の量に見合った吸着効果は得られず、コスト高になるため好ましくない。
前記吸着工程3は、メリーゴーランド方式で行うことが好ましい。
メリーゴーランド方式とは、吸着剤が充填された複数の塔を直列の系で接続し、廃液が流入する最初の塔での吸着能力が低下したとき、この塔を系列から取り外し、最終段に新たな活性炭が充填された塔を付け加えていく方式をいう。
このような方式とすることにより、廃液中に残存する有機成分を除去するための曝気処理や微生物処理を行うことなく、BODやCOD等がほぼ一定の安定した水質の処理液を得ることができ、しかも、全体の廃液処理コストを約1/3低減することが可能となる。また、従来のような微生物処理が不要となるため、処理の制御が簡便となり、かつ、廃液中に含まれる界面活性剤等の添加剤も除去することができる。
上記のような工程を経て処理された廃液は、有機成分や添加剤が残留していないため、塗装ブースの洗浄用等の工場用水としてリサイクルすることが可能である。このようなリサイクルによれば、水性塗料による塗装工程での洗浄水利用をクローズド化させることも可能となる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されるものではない。
[実施例1]
水性塗料を含む廃液10.89kgに、62%硝酸103.0gを滴下してpH1〜2とした。30分間撹拌した後、消石灰14.9gにて中和し、ガーゼでろ過した。
得られたろ液のうち100gを分取し、活性炭(粒状白鷺XS7100−3(日本エンバイロケミカルズ株式会社製))5.0gを添加し、50℃まで昇温して30分間撹拌した後、処理液99.7g(収率72.3%)を得た。
この処理液中のSSは10mg/L、CODは500mg/L未満であった。
[実施例2]
水性塗料を含む廃液500.1gに、62%硝酸4.9gを滴下してpH1〜2とした。30分間撹拌した後、ろ紙でろ過し、無色透明なろ液364.2gを得た。
得られたろ液を50%水酸化ナトリウム水溶液0.3gにて中和し、ガーゼでろ過した。
得られたろ液に、活性炭(粒状白鷺WH2C8/32SS(日本エンバイロケミカルズ株式会社製))20.3gを添加し、50℃まで昇温して30分間撹拌した後、処理液364.5g(収率72.8%)を得た。
この処理液中のSSは180mg/L、CODは29000mg/L未満であった。
[比較例1]
水性塗料を含む廃液500.3gに、62%硝酸5.7gを滴下してpH2〜3とした。50℃まで昇温して30分間撹拌した後、50%水酸化ナトリウム水溶液1.6gにて中和し、ガーゼでろ過し、さらに、ろ紙でろ過し、薄褐色のろ液351.2g(収率70.2%)を得た。
このろ液(処理液)中のSSは1020mg/L、CODは34000mg/L未満であった。
上記実験例の結果から、廃液を酸及びアルカリにより反応処理した後、ろ過処理、次に吸着処理した場合(実施例1,2)、吸着処理を経ない処理廃液(比較例1)と比較して、SS及びCODを効果的に低減させることができ、塗装ブースの洗浄水としてリサイクル可能な水質レベルとすることが可能であることが認められた。

Claims (3)

  1. 水性塗料を含む廃液に酸を添加した後、アルカリを添加して中和処理する反応工程と、前記工程による処理液から固形分を除去するろ過工程と、水溶性の有機成分を吸着剤により除去する吸着工程とを経て、前記水性塗料を含む廃液を塗装ブース用水としてリサイクルすることを特徴とする水性塗料廃液の処理方法。
  2. 前記吸着剤は、活性炭、アルミナ、珪藻土、シリカゲル及びゼオライトのうちから選ばれたいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料廃液の処理方法。
  3. 前記吸着工程は、メリーゴーランド方式で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の水性塗料廃液の処理方法。
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