JP2012196663A - 触媒、窒素酸化物浄化用素子、及び窒素酸化物浄化用システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子とを含むゼオライトに金属を担持してなる触媒であって、吸湿処理した後固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを測定した際、−130〜−50ppmの信号強度の積分強度面積に対して、−130〜−92.5ppmの信号強度の積分強度面積が、41%以上である触媒。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、特定の物性を有するシリコアルミノフォスフェートゼオライトに、特定の状態の金属を担持したSCR触媒が提案されている。
また、特許文献2には、特定のテンプレートを用いて合成したSAPO−34に銅をイオン交換法によって担持したSCR触媒が提案されている。
一方、特許文献2に記載の触媒は、500℃以上の高温において高いNOx分解活性を有するが、200℃以下の排ガス温度におけるNOx分解活性は不十分であり、また特に水蒸気繰り返し吸脱着に対する耐久性が著しく低いという欠点があった。
(1) ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物
(2) アルキルアミン
テンプレートとして、(1)ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物と、(2)アルキルアミンの2つの群から各群につき1種以上の化合物を選択したテンプレートを用い、
ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料及びリン原子原料の混合割合を、水性ゲルの組成におけるアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料及びリン源の酸化物換算のモル比で、SiO2/Al2O3の値が0.5以上、かつP2O5/Al2O3の値が1.1以下とすることを特徴とする触媒の製造方法。
本発明の触媒は、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子とを含むゼオライトに金属を担持してなる触媒であって、下記(i)〜(iii)のいずれか1以上を満たすものである。
(i) 吸湿処理した後固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを測定した際、−130〜−50ppmの信号強度の積分強度面積に対して、−130〜−92.5ppmの信号強度の積分強度面積が、41%以上(以下、「条件(i)」と称す場合がある。)
(ii) 吸湿処理した後固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを測定した際、−130〜−50ppmの信号強度の積分強度面積に対して、−130〜−100ppmの信号強度の積分強度面積が、17%以上(以下、「条件(ii)」と称す場合がある。)
(iii) 吸湿処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルの−87.5ppm〜−97.5ppmの範囲におけるピークトップ位置から、乾燥処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルの−87.5ppm〜−97.5ppmの範囲におけるピークトップ位置を引いた差が、4.5ppm以内(以下、「条件(iii)」と称す場合がある。)
本発明で使用するゼオライトは、骨格構造に少なくともケイ素原子、アルミニウム原子、リン原子を含むゼオライト(以下、単に「ゼオライト」と称す場合がある。)であって、シリコアルミノフォスフェート(SAPO)と称されるものである。
0.1≦x≦0.3 ・・・(I)
(式中、xは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するケイ素原子のモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 ・・・(II)
(式中、yは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比を示す)
0.2≦z≦0.6 ・・・(III)
(式中、zは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するリン原子のモル比を示す)
さらに、yは通常0.2以上、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上であり、通常0.6以下、好ましくは0.55以下である。yの値が上記下限値より小さいまたは上記上限値より大きいと、合成時に不純物が混入しやすくなる傾向がある。
さらに、zは通常0.2以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上であり、通常0.6以下、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下である。zの値が上記下限値より小さいと、合成時に不純物が混入しやすくなる傾向があり、zの値が上記上限値より大きいと、金属を担持して窒素酸化物浄化用触媒としたとき、排ガス温度500℃以上における窒素酸化物浄化性能が十分でない場合がある。
ゼオライトは通常結晶性であり、メタン型のSiO4四面体あるいはAlO4四面体あるいはPO4四面体(以下、これらを一般化して「TO4」とし、含有する酸素原子以外の原子をT原子という。)が、各頂点の酸素原子を共有し連結した規則的な網目構造を持つ。T原子としてはAl、P、Si以外の原子も知られている。網目構造の基本単位のひとつに、8個のTO4四面体が環状に連結したものがあり、これは8員環と呼ばれている。同様に、6員環、10員環などもゼオライト構造の基本単位となる。
ゼオライトのフレームワーク密度が上記下限値未満では、構造が不安定となる場合があったり、耐久性が低下する傾向があり、一方、上記上限値を超過すると吸着量、触媒活性が小さくなる場合があったり、触媒としての使用に適さない場合がある。
本発明におけるゼオライトの粒子径について特に限定はないが、通常1μm以上であり、さらに好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であり、通常15μm以下であり、好ましくは10μm以下である。
なお、本発明におけるゼオライトの粒子径とは、下記に説明するゼオライトの製造において、テンプレートを除去した後の粒子径として測定した値をいう。また、この粒子径とは、電子顕微鏡でゼオライトを観察した際の、任意の10〜30点のゼオライト粒子の一次粒子径の平均値をいう。
本発明におけるゼオライトはそれ自体既知の化合物であり、通常用いられる方法に準じて製造することができる。
本発明におけるゼオライトのアルミニウム原子原料は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点でアルミニウム源としては擬ベーマイトが好ましい。
本発明におけるゼオライトのリン原子原料は通常リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。リン原子原料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明におけるゼオライトのケイ素原子原料は特に限定されず、通常、ヒュームドシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。高純度で、反応性が高い点でヒュームドシリカが好ましい。
本発明のゼオライトの製造に用いられるテンプレートとしては、公知の方法で使用される種々のテンプレートが使用でき、以下に示す(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物と(2)アルキルアミンとの2つの群から、各群につき1種以上の化合物を選択して用いることが好ましい。
ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物の複素環は通常5〜7員環であって、好ましくは6員環である。複素環に含まれるヘテロ原子の個数は通常3個以下、好ましくは2個以下である。窒素原子以外のヘテロ原子は任意であるが、窒素原子に加えて酸素原子を含むものが好ましい。ヘテロ原子の位置は特に限定されないが、ヘテロ原子が相互に隣り合わないものが好ましい。
アルキルアミンのアルキル基は、通常、鎖状アルキル基であって、アミン1分子中に含まれるアルキル基の数は特に限定されるものではないが、3個が好ましい。
また、アルキルアミンのアルキル基は一部水酸基等の置換基を有していてもよい。
アルキルアミンのアルキル基の炭素数は4以下が好ましく、1分子中の全アルキル基の炭素数の合計が10以下がより好ましい。
また、アルキルアミンの分子量は通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
2種のテンプレートを混合して用いるときは、通常、混合させる2種のテンプレートのモル比が1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。
3種のテンプレートを混合して用いるときは、通常、3つ目のテンプレートのモル比は、上記で混合された(1)と(2)の2種のテンプレートの合計に対して1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。
また、2種以上のテンプレートの混合比は特に限定されるものではなく、条件に応じて適宜選ぶことができるが、例えば、モルホリンとトリエチルアミンを用いる場合、モルホリン/トリエチルアミンのモル比は通常0.05以上、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上であり、通常20以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明で用いるゼオライトの製造には、まず、上述のケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、テンプレート及び水を混合して水性ゲルを調合する。その混合順序には制限がなく、用いる条件により適宜選択すればよいが、通常は、まず水にリン原子原料、アルミニウム原子原料を混合し、これにケイ素原子原料とテンプレートを混合する。
即ち、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料及びリン原子原料を各々の酸化物換算のモル比で表した場合、SiO2/Al2O3の値は、通常、0.3より大きく、好ましくは0.4以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.6以上である。また通常1.0以下であり、好ましくは0.8以下である。また同様の基準でのP2O5/Al2O3の比は通常0.5以上、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.75以下である。
水熱合成によって得られるゼオライトの組成は、水性ゲルの組成と相関があり、従って、所望の組成のゼオライトを得るためには水性ゲルの組成を、上記の範囲において適宜設定すればよい。
この温度範囲での昇温時間が1時間未満であると、得られたテンプレート含有ゼオライトを焼成して得られるゼオライトの耐久性が不十分となる場合がある。また、80℃から120℃までの温度範囲内に1時間以上置かれることが、得られるゼオライトの耐久性の面で好ましい。
一方、この温度範囲での昇温時間の上限は特に制限はないが、長すぎると生産効率の面で不都合な場合があり、通常50時間以下、生産効率の点で好ましくは24時間以下である。
水熱合成後、生成物であるテンプレートを含有したゼオライトを水熱合成反応液より分離するが、テンプレートを含有したゼオライトの分離方法は特に限定されない。通常、濾過又はデカンテーション等により分離し、水洗後、室温から150℃以下の温度で乾燥して生成物を得ることができる。
本発明の触媒では、上述のようなゼオライトに金属が担持されている。
本発明においてゼオライトに担持される金属は、ゼオライトに担持させて、触媒活性を発揮し得るものであれば、特に限定されるものではないが、好ましくは鉄、コバルト、パラジウム、イリジウム、白金、銅、銀、金、セリウム、ランタン、プラセオジウム、チタン、ジルコニア等の中の群から選ばれる。ゼオライトに担持させる金属は、これらの1種であってもよく、2種以上の金属を組み合わせてゼオライトに担持してもよい。ゼオライトに担持させる金属は、更に好ましくは、鉄及び/又は銅、特に好ましくは銅である。
本発明の触媒におけるゼオライトへの金属の担持量は、特に限定されないが、ゼオライトに対する金属の重量割合で通常0.1%以上、好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上であり、通常10%以下、好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下である。金属担持量が上記下限値未満では活性点が少なくなる傾向があり、触媒性能を発現しない場合がある。金属担持量が上記上限値超過では金属の凝集が著しくなる傾向があり、触媒性能が低下する場合がある。
本発明の触媒を製造する際のゼオライトへの金属の担持方法としては、特に限定されないが、一般的に用いられるイオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法等が用いられる。好ましくは、イオン交換法、含浸担持法である。
焼成の方法も特に限定されず、マッフル炉、キルン、流動焼成炉などを用いることができるが、上記雰囲気気体の流通下に焼成する方法が望ましい。
被焼成粉体1gあたりの気体の流通量が上記下限値未満では乾燥粉体中に残存する金属源由来の酸等が加熱時に除去されずゼオライトが破壊される可能性があり、上記上限値超過では粉体が飛散することがある。
本発明の触媒は、ゼオライト以外に、平均粒子径が0.1〜10μmである金属酸化物粒子、及び/又は無機バインダー、好ましくは平均粒子径が0.1〜10μmである金属酸化物粒子と無機バインダーの両方を含むことも可能であり、これらの成分を含むことにより、上述のような、触媒劣化や、窒素酸化物浄化性能及びその維持特性に優れる、水の吸着量が0.2(kg−水/kg−触媒)以下の触媒とすることもできる。
本発明の触媒のゼオライト含有量は、上記の金属酸化物粒子及び/又は無機バインダー等の他の成分を含まない場合、前述の好適な金属担持量を満たす値となるが、特に、上記の金属酸化物粒子及び/又は無機バインダー等の他の成分を含む場合のゼオライトの含有量(担持金属を含むゼオライト含有量)は、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは40〜99重量%、とりわけ好ましくは50〜90重量%である。
本発明の触媒中のゼオライト含有量が上記下限値以上であることにより、高い窒素酸化物浄化性能を得ることができる。
本発明の触媒の粒子径は特に限定されないが、窒素酸化物浄化用に使用する場合の粒子径は、平均一次粒子径として通常15μm以下、好ましくは10μm以下であり、下限は、通常0.1μmである。触媒の粒子径が大き過ぎると単位重量当たりの比表面積が小さくなるため、被処理ガスとの接触効率が悪く、従って、窒素酸化物の浄化効率が劣るものとなり、触媒の粒子径が小さ過ぎると取り扱い性が悪くなる。従って、前述の方法でゼオライトに金属を担持して得られた焼成後の触媒、或いは他の成分を添加して得られた焼成後の触媒は、必要に応じて、ジェットミル等の乾式粉砕又はボールミル等の湿式粉砕を行ってもよい。なお、触媒の平均一次粒子径の測定方法は、前述のゼオライトの平均一次粒子径の測定方法と同様である。
本発明の触媒の製造方法には特に制限はないが、例えば、前述の担持金属の金属源及びゼオライト、並びに必要に応じて用いられる前述の平均粒子径0.1〜10μmの金属酸化物粒子及び/又は無機バインダー、その他の各種添加剤を分散媒と混合した混合スラリーを調製し、この混合スラリーを乾燥させて分散媒を除去し、得られた乾燥粉体を焼成することにより製造される。
これら添加剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ゼオライトに対して重量比で50%以下、好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である。重量比を前記上限値超過とすると、触媒性能が低下する場合がある。
前述の金属酸化物や無機バインダーやその他の各種添加剤を使用する場合は、分散媒中に添加しておいても良い。
なお、混合スラリーの調製に用いるゼオライトは、前述の如く、テンプレートを含むゼオライトであってもよく、テンプレートを除去したゼオライトであってもよい。
ゼオライトは通常、分散媒と混合すると発熱することがあり、調合温度が上記上限値を超えるとゼオライトが酸又はアルカリにより分解する可能性がある。調合温度の下限は分散媒の融点である。
上記混合スラリーの乾燥方法としては、混合スラリー中の分散媒を短時間で除去できる方法であれば特に限定されないが、好ましくは混合スラリーを均一に噴霧した状態を経て、短時間に除去できる方法である。より好ましくは混合スラリーを均一に噴霧した状態を経て、高温の熱媒体と接触させて除去する方法であり、更に好ましくは混合スラリーを均一に噴霧した状態を経て、高温の熱媒体として熱風と接触させ乾燥して分散媒を除去することにより、均一な粉体を得ることのできる方法であることから、スプレードライ法を採用することが好ましい。
なお、ここで、混合スラリーから分散媒を除去するための乾燥時間とは、被乾燥物中の分散媒の量が1重量%以下になるまでの時間をいい、水が分散媒の場合の乾燥時間は、混合スラリーの温度が80℃以上になった時点から、被乾燥物中の水の含有量が1重量%以下になるまでの時間をいう。水以外の分散媒の場合の乾燥時間は、その分散媒の常圧における沸点より20℃低い温度になった時点から、被乾燥物中の分散媒の含有量が1重量%以下になるまでの時間をいう。
上記乾燥により得られた乾燥粉体は、次いで焼成することによって本発明の触媒を得る。
本発明の触媒は、前述の如く、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子とを含むゼオライトに金属を担持してなる触媒であって、下記条件(i)〜(iii)のいずれか1以上を満たすものであり、好ましくは、下記条件(i)〜(iii)のいずれか2以上、より好ましくは、下記条件(i)〜(iii)をすべて満たすものである。
条件(ii):吸湿処理した後固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを測定した際、−130〜−50ppmの信号強度の積分強度面積に対して、−130〜−100ppmの信号強度の積分強度面積が、17%以上
条件(iii):吸湿処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルの−87.5ppm〜−97.5ppmの範囲におけるピークトップ位置から、乾燥処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルの−87.5ppm〜−97.5ppmの範囲におけるピークトップ位置を引いた差が、4.5ppm以内
すなわち、ゼオライト骨格中のケイ素原子は、通常Si(OX)n(OY)4n(X、YはAl,P,Si、Hなどの原子を表す。;n=0〜2を表す。)型の結合をとる。乾燥したシリコアルミノフォスフェートゼオライトの固体29Si-DD/MAS−NMRで−92.5ppm付近に観測されるピークは、X、Yが共にAlでSi(OAl)4の場合に相当する。一般的に、吸湿処理したシリコアルミノフォスフェートゼオライトの固体29Si-DD/MAS−NMRにおいては、水の吸着によってSi−O−Alの結合角や結合長が変化し、Si(OAl)4のピークが−90.0ppm近傍にシフトする。水の吸着、脱着が繰り返されれば、Si−O−Alの結合変化が繰り返されることによってやがてゼオライト骨格の構造が破壊されていく。ゼオライト骨格の構造が破壊されれば、触媒表面積の低下、触媒活性点の減少等を経て触媒活性の低下を招くことから、吸湿処理した状態において−90.0ppm近傍の信号強度の積分強度面積は小さく、−92.5ppm近傍の信号強度の積分強度面積が大きいほうが望ましいと考えられる。
本発明の触媒は、或いはこの触媒を含む触媒混合物は造粒、成形(成膜を含む)等により所定の形状とすることにより、各種分野における窒素酸化物浄化用素子として使用することができる。特に、本発明の触媒を用いた本発明の窒素酸化物浄化用素子(以下、「本発明の浄化用素子」と称す場合がある。)は、自動車用排ガス触媒(SCR触媒)として有用であるが、その用途は何ら自動車用に限定されるものではない。
本発明の触媒又は窒素酸化物浄化用素子は、窒素酸化物浄化システムに用いることができる。なお本発明において、窒素酸化物浄化システムとは、窒素酸化物が本発明の窒素酸化物浄化用素子と接触し浄化されていれば、本発明の窒素酸化物浄化用素子を含む機械、装置類は全て該当する。該システムには、本発明の窒素酸化物浄化用素子以外の素子が含まれていても良く、例えば尿素タンク、尿素水噴射装置、尿素分解装置、CO酸化触媒、HC酸化触媒、NO酸化触媒、ディーゼルパーティキュレートフィルター(DPF)、アンモニア浄化触媒などの素子が含まれていても良い。該システム中の各素子の配置は特に限定されないが、例えば通常、本発明の窒素酸化物浄化素子の前段には尿素タンク、尿素水噴射装置、尿素分解装置、CO酸化触媒、HC酸化触媒、NO酸化触媒、DPFなどが配置され、窒素酸化物浄化素子の後段にはアンモニア浄化触媒などが配置される。
窒素酸化物含有排ガスとしては、具体的には、本ディーゼル自動車、ガソリン自動車、定置発電・船舶・農業機械・建設機械・二輪車・航空機用の各種ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン等から排出される多種多様の窒素酸化物含有排ガスが挙げられる。
調製した触媒は以下の方法に基づき触媒活性を評価した。
調製した触媒をプレス成形後、破砕して16〜28メッシュに整粒した。整粒した各触媒1mlを常圧固定床流通式反応管に充填した。触媒層に表1の組成のガスを1670ml/min(空間速度SV=100000/h)で流通させながら、触媒層を加熱した。150℃、200℃、500℃のそれぞれの温度で、出口NO濃度が一定となったとき、
下記式で、NO浄化率を算出し、触媒の窒素酸化物除去活性とした。
NO浄化率={(入口NO濃度)―(出口NO濃度)}/(入口NO濃度)×100
実装条件に近い繰り返し吸脱着試験条件として、図6に示す試験装置を用いて、触媒の「90℃−60℃−5℃の水蒸気繰り返し吸脱着試験」を実施した。
図6において、1は60℃に保持された恒温室、2は90℃に保持された恒温室、3は5℃に保持された恒温室である。恒温室1内には飽和水蒸気の容器4が設けられ、恒温室2内には試料を保持した真空容器5が設けられ、恒温室3内には水だめとなる容器6が設けられている。容器4と真空容器5とはバルブaを有する配管を介して連結されており、容器6と真空容器5はバルブ6を有する配管を介して連結されている。
試料を90℃に保たれた真空容器5内に保持し、5℃の飽和水蒸気雰囲気(90℃の相対湿度1%)と60℃の飽和水蒸気雰囲気(90℃の相対湿度28%)にそれぞれ90秒曝す操作を繰返す。すなわち、60℃の飽和水蒸気雰囲気に曝す操作は、図6中、バルブaを開く(バルブbは閉じたまま)。この状態で90秒保持した後、バルブaを閉じると同時にバルブbを開ける。このとき、60℃の飽和水蒸気雰囲気に曝されたときに試料1に吸着した水は、5℃の飽和水蒸気雰囲気で一部が脱着し、5℃に保った水だめの容器6に移動する。この状態で90秒保持する。
以上の吸着、脱着を2000回繰り返し行う。
試験後回収した試料について上記触媒活性の評価方法の条件に基づきNO浄化率を評価した。
本試験は実装条件に近い条件を再現したものである。車などのディーゼルエンジン排ガスは5〜15体積%の水を排ガス中に含む。車では走行中、排ガスが200℃以上の高温となり、相対湿度は5%以下に低下し、触媒は水分を脱着した状態になる。しかし、停止時に90℃近辺で相対湿度が15%以上となり、触媒は水を吸着する。本条件により、90℃の吸着時には相対湿度が28%となる。この実条件に近い状態での繰り返し耐久性が実装時には重要となる。
試料をアルカリ融解後、酸溶解し、得られた溶液を誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES法)により分析した。
吸湿処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルは、試料を固体NMR用試料管にサンプリング後、塩化アンモニウム飽和水溶液を張ったデシケーター中に一晩以上放置し、十分に吸湿させた後、密栓してシリコンゴムを標準物質として表2の条件で測定した。
また、乾燥処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルは、上記の吸湿処理をした試料を、シュレンク管で2時間以上、120℃で真空乾燥後、窒素雰囲気下でサンプリングし、シリコンゴムを標準物質として表2の条件で測定した。
水201.6g、85%リン酸67.8g、及び擬ベーマイト(25%水含有、サソール社製)57.1gを混合し、2時間攪拌した。この混合液にfumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)15.1g、水228.1g、モルホリン37.0g、及びトリエチルアミン42.9gを加え、さらに2時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
Al2O3/SiO2/P2O5/モルホリン/トリエチルアミン/H2O=1/0.6/0.7/1/1/60(モル比)
また、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、ケイ素原子がx=0.14、アルミニウム原子がy=0.49、リン原子がz=0.38であった。
水1484kg、75%リン酸592kg、及び擬ベーマイト(25%水含有、サソール社製)440kgを混合し、3時間攪拌した。この混合液にfumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)117kgと水1607kgを加え、10分間攪拌した。この混合液にモルホリン285kgとトリエチルアミン331kgを加え、1.5時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
Al2O3/SiO2/P2O5/モルホリン/トリエチルアミン/H2O=1/0.6/0.7/1/1/60(モル比)
以上のようにして得られたゼオライトに対し国際公開第2010/084930号公報の実施例2Aに開示されている方法により、銅を2.8重量%担持し、SCR触媒とした。
国際公開第2010/084930号公報の実施例1Aに開示されている方法により、シリコアルミノフォスフェートゼオライトを合成した。得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1000Å3)であった。また、ICP分析にてゼオライトの組成分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、ケイ素原子がx=0.09、アルミニウム原子y=が0.50、リン原子がz=0.40であった。
以上のようにして得られたゼオライトに対し国際公開第2010/084930号公報の実施例2Aに開示されている方法により、銅を2.5重量%担持し、SCR触媒とした。
国際公開第2009/099937号公報の実施例11に開示されている方法により、シリコアルミノフォスフェートゼオライトを合成した。得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1000Å3)であった。また、ICP分析にてゼオライトの組成分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、ケイ素原子がx=0.16、アルミニウム原子がy=0.49、リン原子がz=0.34であった。
次に、1.17gの酢酸銅(II)一水和物(キシダ化学社製)に24gの純水を加え溶解し、12.0gの上記ゼオライトを加え攪拌し、水スラリーとした。この水スラリーに対し、1mol/Lのアンモニア水溶液をスラリーのpHが7を超えないように注意しながら34.0g滴下した。この水スラリーを170℃金属板上に噴霧し乾燥させ、触媒前駆体とした。触媒前駆体を空気流通中、750℃で2時間焼成し、銅が1.8重量%担持されたSCR触媒を得た。
比較例2に記載のゼオライトに対し国際公開第2009/099937号の実施例11に開示されている方法により、銅を1.3重量%担持し、SCR触媒とした。
4,5,6 容器
a,b バルブ
Claims (16)
- 骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子とを含むゼオライトに金属を担持してなる触媒であって、吸湿処理した後固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを測定した際、−130〜−50ppmの信号強度の積分強度面積に対して、−130〜−92.5ppmの信号強度の積分強度面積が、41%以上である触媒。
- 骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子とを含むゼオライトに金属を担持した触媒であって、吸湿処理した後固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを測定した際、−130〜−50ppmの信号強度の積分強度面積に対して、−130〜−100ppmの信号強度の積分強度面積が、17%以上である触媒。
- 骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子とを含むゼオライトに金属を担持した触媒であって、吸湿処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルの−87.5ppm〜−97.5ppmの範囲におけるピークトップ位置から、乾燥処理後の固体29Si−DD/MAS−NMRスペクトルの−87.5ppm〜−97.5ppmの範囲におけるピークトップ位置を引いた差が、4.5ppm以内である触媒。
- 前記ゼオライトの構造が、IZAが定めるコードでCHAである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の触媒。
- 窒素酸化物浄化用である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の触媒。
- 前記ゼオライトの骨格構造に含まれるケイ素原子、アルミニウム原子、及びリン原子の合計に対するケイ素原子の存在割合をx、アルミニウム原子の存在割合をy、リン原子の存在割合をzとしたとき、xが0.1以上、0.3以下であり、かつyが0.2以上、0.6以下であり、かつzが0.2以上、0.6以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の触媒。
- ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料及びテンプレートを混合した後水熱合成してゼオライトを製造する際に、テンプレートとして、下記(1)及び(2)の2つの群の各群につき1種以上の化合物を選択したテンプレートを用いて製造された請求項1ないし6のいずれか1項に記載の触媒。
(1) ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物
(2) アルキルアミン - 前記ゼオライトに担持された金属が銅である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の触媒。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の触媒をハニカム状の成形体に塗布し得られる窒素酸化物浄化用素子。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の触媒を含む混合物を成形して得られる窒素酸化物浄化用素子。
- 請求項9又は10に記載の窒素酸化物浄化用素子を用いる窒素酸化物浄化システム。
- ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料及びテンプレートを混合した後水熱合成することにより、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含むゼオライトを製造し、該ゼオライトに、金属を担持する触媒の製造方法であって、該ゼオライトの製造に当たり、
テンプレートとして、(1)ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物と、(2)アルキルアミンの2つの群から各群につき1種以上の化合物を選択したテンプレートを用い、
ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料及びリン原子原料の混合割合を、水性ゲルの組成におけるアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料及びリン源の酸化物換算のモル比で、SiO2/Al2O3の値が0.5以上、かつP2O5/Al2O3の値が1.1以下とすることを特徴とする触媒の製造方法。 - 担持金属の金属源、及びゼオライトを分散媒と混合した混合スラリーを調製し、該混合スラリーの分散媒を除去して得られた粉体を焼成することを特徴とする請求項12に記載の触媒の製造方法。
- 前記金属源が銅及び/又は鉄の塩であることを特徴とする請求項13に記載の触媒の製造方法。
- 前記混合スラリーの分散媒を除去するのに要する時間が、60分以下であることを特徴とする請求項13又は14に記載の触媒の製造方法。
- 前記混合スラリーを均一に噴霧した状態を経て、熱風と接触させ乾燥して分散媒を除去することを特徴とする請求項13ないし15のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
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