JP2012197729A - エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】ブロック側ウォータジャケット13とヘッド側ウォータジャケット14とに独立して冷却液を流通可能にしたエンジン1において、制御系が不要なサーモスタット9を用いながら、エンジン1を効率良く暖機可能にする。
【解決手段】サーモスタット9は、冷却液が暖機完了温度よりも低く設定される第1設定温度未満のときにブロック側ウォータージャケット13の冷却液流通を停止させてヘッド側ウォータジャケット14の冷却液流通量を小側に制限する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとに独立して冷却液を流通可能にしたエンジンに関する。
例えば特許文献1には、エンジンから排出される冷却水の熱を大気放出させるためのラジエータ回路と、エンジンから排出される冷却液をラジエータを通さずにシリンダヘッドやシリンダブロックに戻すためのバイパス回路と、ラジエータ回路とバイパス回路とに流す冷却水の流量を制御するための電気式の温度制御バルブと、シリンダヘッドとシリンダブロックとに冷却水を分配供給する量を制御するための電気式の分配制御バルブとを備えた構成が記載されている。
この特許文献1の段落0030,0031には、「エンジンを冷間始動すると、分配制御バルブによってシリンダブロック側への冷却水供給を停止してシリンダヘッド側のみに少量供給する状態にし、温度制御バルブによってラジエータ回路に冷却水を流さずにバイパス通路のみを流すことにより暖機を行う」と記載されている。
また、特許文献1の段落0033には、「前記暖機運転終了後において、シリンダブロックの温度が所定温度(110℃)未満のときに、分配制御バルブによってシリンダブロック側への冷却水供給を停止したまま、シリンダヘッド側の冷却水供給量を増大させる」と記載されている。
さらに、特許文献1の段落0037には、「前記暖機運転終了後であって、シリンダブロックの温度が所定温度(110℃)以上のときには、分配制御バルブによってシリンダヘッド側への冷却水供給を停止した状態で、シリンダブロック側に冷却水を供給し、これにより、冷却水はシリンダブロックを冷却した後、シリンダヘッドを冷却する」と記載されている。
特開2002−138835号公報(特に段落0020、0021、0030−0037、図1〜図3参照)
上記特許文献1に係る従来例では、温度制御バルブと分配制御バルブとで冷却水の循環経路を変えるようにしているものの、これら両方の制御バルブの動作は、センサから入力されるシリンダブロックの温度に基づいてアクチュエータ(エンジン制御用電子制御装置)でもって個別に制御するようになっている。そのために、前記センサやアクチュエータなどの制御系が必要になるなど、エンジン冷却系の設備コストが高くつくことが懸念される。ここに改良の余地がある。
なお、この特許文献1の段落0048には、前記電気式の温度制御バルブをサーモスタット式の温度制御バルブにすることが可能であるとの記載があるが、前記電気式の分配制御バルブについてはそのような記載は無い。
このような事情に鑑み、本発明は、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとに独立して冷却液を流通可能にしたエンジンにおいて、制御系が不要なサーモスタットを用いながら、エンジンを効率良く暖機可能とすることを目的としている。
本発明に係るエンジンは、ブロック側ウォータージャケットとヘッド側ウォータージャケットとから排出される冷却液をラジエータを通してから前記両ウォータジャケットに戻すためのラジエータ通路と、このラジエータ通路において前記ラジエータをバイパスするように接続されるバイパス通路と、冷却液を流動させるためのウォーターポンプと、冷却液の温度を感知して自動的に前記ブロック側ウォータージャケットと前記ヘッド側ウォータージャケットとにおける冷却液流通量を調整するためのサーモスタットとを備え、前記サーモスタットは、冷却液が暖機完了温度よりも低く設定される第1設定温度未満のときに前記ブロック側ウォータージャケットの冷却液流通を停止させて前記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量を小側に制限する、ことを特徴としている。
なお、サーモスタットとは、自動車関連業界において温度感知型自動作動弁のことを意味している。
本発明では、制御系が不要なサーモスタットを用いているから、エンジン冷却系を従来例(特許文献1)に比べて簡易な設備にすることが可能になって、設備コストを抑制することが可能になる。
そして、本発明では、一般にエンジンの冷間始動時にシリンダヘッドのほうがシリンダブロックよりも昇温しやすくなることを考慮し、サーモスタットがブロック側ウォータジャケットの冷却液流通を停止してヘッド側ウォータジャケットとバイパス通路とを閉ループとする暖機経路を作る。このときのヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量は少量とされる。これにより、シリンダブロックとシリンダヘッドとを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させることが可能になる。このように制御系が不要なサーモスタットを用いながらも、エンジンを効率良く暖機することが可能になる。
好ましくは、前記サーモスタットは、前記冷却液が前記第1設定温度以上かつ前記暖機完了温度未満のときに前記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量を増やす構成にすることができる。この場合、シリンダブロック側の暖機を促進させつつシリンダヘッド側の冷却性能を確保することが可能になる。
好ましくは、前記サーモスタットは、前記冷却液が前記暖機完了温度以上のときに前記両ウォータージャケットの冷却液流通量を最大にする構成にすることができる。この場合、シリンダヘッドおよびシリンダブロックの冷却性能を確保することが可能になる。
好ましくは、前記ラジエータ通路において前記ウォータポンプより下流側は、二股に分かれており、その第1通路が前記ヘッド側ウォータジャケットの導入口に、また第2通路が前記ブロック側ウォータジャケットの導入口にそれぞれ接続されており、前記サーモスタットは、前記第1、第2通路の各入口開度を調整するための第1、第2開閉面を備えかつ前記ウォータポンプの吐出側から前記第1通路に冷却液を常に流通させるための常開通路を備える弁体と、前記第1通路の冷却液の温度変化を感知して前記弁体を変位させるサーモアクチュエータとを備え、かつ前記サーモアクチュエータは、前記第1通路の冷却液が、前記第1設定温度未満のときに前記弁体で前記第1、第2通路の各入口を全閉状態にする、構成にできる。
ここでは、ラジエータ通路において前記ウォータポンプより下流側の構成を特定しているとともに、サーモスタットが単一の弁体とサーモアクチュエータとを含む構成であることを特定している。この特定によりサーモスタットの構成が比較的簡素であって比較的安価に製造できることが明らかになる。
好ましくは、前記ラジエータ通路において前記ウォータポンプより下流側は、二股に分かれており、その第1通路が前記ヘッド側ウォータジャケットの導入口に、また第2通路が前記ブロック側ウォータジャケットの導入口にそれぞれ接続されており、前記サーモスタットは、前記第1、第2通路の各入口開度を調整するための第1、第2開閉面を備えかつ前記ウォータポンプの吐出側から前記第1通路に冷却液を常に流通させるための常開通路を備える弁体と、前記第1通路の冷却液の温度変化を感知して前記弁体を変位させるサーモアクチュエータとを備え、かつ前記サーモアクチュエータは、前記第1通路の冷却液が、前記第1設定温度未満のときに前記弁体で前記第1、第2通路の各入口を全閉状態にし、また、前記第1設定温度以上かつ前記暖機温度未満のときに前記弁体で前記第1通路の入口開度を所定量開く状態にし、さらに前記暖機完了温度以上のときに前記弁体で前記第1、第2通路の各入口を全開状態にする、構成にできる。
ここでは、ラジエータ通路において前記ウォータポンプより下流側の構成を特定しているとともに、サーモスタットが単一の弁体とサーモアクチュエータとを含む構成であることを特定している。この特定によりサーモスタットの構成が比較的簡素であって比較的安価に製造できることが明らかになる。しかも、サーモアクチュエータの動作をさらに詳しく特定している。
好ましくは、前記サーモアクチュエータは、前記第1通路の入口近傍に固定されかつ内部にサーモワックスが充填されるシリンダと、このシリンダ内に進退変位可能に挿入されかつ前記シリンダから外部に突出する外部突出端に前記弁体が取り付けられるピストンロッドとを備える、構成にすることができる。ここでは、サーモアクチュエータと弁体の構成を特定することによりサーモスタットの構成を明らかにしている。
好ましくは、冷却液の温度を感知して自動的にラジエータ通路の冷却液流通量を調整するためのラジエータサーモスタットをさらに備え、このラジエータサーモスタットは、前記冷却液が前記暖機完了温度未満のときに前記ラジエータ通路の冷却液流通を停止することにより前記ヘッド側ウォータジャケットと前記バイパス通路とを閉ループとする暖機経路を作り、前記冷却液が前記暖機完了温度以上のときに前記ラジエータ通路および前記バイパス通路から前記ウォータポンプに冷却液を流通させる状態にすることにより、前記両ウォータジャケットと前記ラジエータ通路および前記バイパス通路とを閉ループとする温調循環経路を作る、構成にすることができる。
ここでは、エンジンにサーモスタットとラジエータサーモスタットとを備えることを特定している。この場合、制御系が不要な2つのサーモスタットを用いているから、エンジン冷却系を従来例(特許文献1)に比べて簡易な設備にすることが可能になって、設備コストを抑制することが可能になる。
そして、一般に、エンジンの冷間始動時にシリンダヘッドのほうがシリンダブロックよりも昇温しやすくなることを考慮し、2つのサーモスタットがブロック側ウォータジャケットの冷却液流通を停止してヘッド側ウォータジャケットとバイパス通路とを閉ループとする暖機経路を作る。このときのヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量は少量とされる。これにより、シリンダブロックとシリンダヘッドとを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させることが可能になる。
そして、冷却液の温度が暖機完了温度に到達するまでの上昇過程では、この温度上昇に伴いサーモスタットがヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量を徐々に増加させる。これにより、シリンダヘッドが過剰に昇温することを防止できるようになる。こうして、シリンダブロックとシリンダヘッドとを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させる状態が継続されることになる。
さらに、暖機が完了すると、ラジエータサーモスタットで冷却液をラジエータに流通させる状態にするとともに、サーモスタットでヘッド側ウォータジャケットとブロック側ウォータジャケットへの冷却液流通量を最大にする。これにより、ヘッド側ウォータジャケットおよびブロック側ウォータージャケットとバイパス通路およびラジエータ通路とを閉ループとする温調循環経路が作られるので、シリンダヘッドおよびシリンダブロックの熱を冷却液で回収してラジエータで大気に発散させることが可能になる。
本発明は、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとに独立して冷却液を流通可能にしたエンジンにおいて、制御系が不要なサーモスタットを用いながら、エンジンを効率良く暖機することが可能になる。
本発明に係るエンジンの一実施形態で、その冷却系の構成を模式的に示す図であって、2つのサーモスタットが共に閉弁しているときの冷却液循環経路を説明する図である。 図1において2つのサーモスタットが共に全開したときの冷却液循環経路を説明するための図である。 図1のラジエータサーモスタットの構成を示す断面図であり、ラジエータサーモスタットの閉弁状態を示している。 図1のラジエータサーモスタットの構成を示す断面図であり、ラジエータサーモスタットの開弁状態を示している。 図1のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1、第2通路を共に閉じた状態を示している。 図5のサーモスタットの弁体およびラジエータ通路の二股分岐部分を示す斜視図である。 図6のサーモスタットの弁体とラジエータ通路の下流側第1通路の入口との相対位置を示す図である。 図1のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1通路の入口を所定量開いた状態を示している。 図1のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1、第2通路を共に全開にした状態を示している。 本発明の他の実施形態のエンジンに備えるサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1、第2通路を共に閉じた状態を示している。 図10のサーモスタットの弁体およびラジエータ通路の二股分岐部分を示す斜視図である。 図10のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1通路の入口を所定量開いた状態を示している。 図10のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1、第2通路を共に全開にした状態を示している。 本発明の他の実施形態のエンジンに備えるサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1、第2通路を共に閉じた状態を示している。 図14のサーモスタットの弁体およびラジエータ通路の二股分岐部分を示す斜視図である。 図15のサーモスタットの弁体とラジエータ通路の下流側第1通路の入口との相対位置を示す図である。 図14のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1通路の入口を所定量開いた状態を示している。 図14のサーモスタットの構成を示す断面図であり、下流側第1、第2通路を共に全開にした状態を示している。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図9に、本発明の一実施形態を示している。この実施形態では直列多気筒型のエンジンを例に挙げて説明する。図1に示すエンジン1は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを少なくとも備えている。
シリンダブロック11内にはウォータジャケット13が設けられている。また、シリンダヘッド12内にはウォータジャケット14が設けられている。これらブロック側ウォータジャケット13およびヘッド側ウォータジャケット14が冷却液の内部通路である。冷却液は、例えばエチレングリコールの水溶液などの不凍液とされている。
なお、この実施形態でのシリンダブロック11はクローズドデッキタイプと呼ばれるものであって、ブロック側ウォータジャケット13とヘッド側ウォータジャケット14とを連通させていない。
ヘッド側ウォータジャケット14の冷却液の導入口15は、シリンダヘッド12において気筒配列方向の一端(例えば前端)面に設けられている。ヘッド側ウォータジャケット14の冷却液の排出口16は、シリンダヘッド12において気筒配列方向の他端(例えば後端)面に設けられている。
このヘッド側ウォータジャケット14の排出口16と導入口15とには、ラジエータ通路2が連通連結されている。このラジエータ通路2には、ウォータポンプ4およびラジエータ5が設けられている。
ウォータポンプ4は、ラジエータ通路2においてヘッド側ウォータジャケット14の導入口15寄り位置に設けられている。このウォータポンプ4は、図示していないがクランクシャフトの回転を動力伝達装置(例えばプーリやベルトなどを含む)で伝達されて作動する機械式ウォータポンプとされている。このウォータポンプ4は電動式のウォータポンプとすることが可能である。
ラジエータ5は、冷却液の熱を大気に発散させるための熱交換器であり、ラジエータ通路2においてウォータポンプ4よりも冷却液流通方向の上流側に設けられている。
また、ラジエータ通路2においてラジエータ5の上流側と下流側とには、ラジエータ5をバイパスするためのバイパス通路6が接続されている。このバイパス通路6においてラジエータ通路2との上流側接続部分寄り位置には、ヒータコア7が設けられている。このヒータコア7は車両室内を暖房するための熱交換器である。
ブロック側ウォータジャケット13の冷却液の導入口17は、シリンダブロック11において気筒配列方向の一端(例えば前端)面の下方に設けられている。また、ブロック側ウォータジャケット13の排出口18は、シリンダブロック11において気筒配列方向の他端(例えば後端)面に設けられている。
ラジエータ通路2において両ウォータジャケット13,14の排出口16,18寄り位置(冷却液流通方向上流側)は、二股に分かれていて、その上流側第1通路21がヘッド側ウォータジャケット14の排出口16に、また上流側第2通路22がブロック側ウォータジャケット13の排出口18にそれぞれ接続されている。
ラジエータ通路2においてウォータポンプ4より冷却液流通方向下流側は、図6に示すように、二股に分かれていて、その下流側第1通路23がヘッド側ウォータジャケット14の導入口15に、また下流側第2通路24がブロック側ウォータジャケット13の導入口17にそれぞれ接続されている。
そして、ラジエータ通路2においてバイパス通路6との下流側接続部より冷却液流通方向上流側には、ラジエータサーモスタット8が設けられており、また、ラジエータ通路2において下流側の二股分岐部分には、サーモスタット9が設けられている。
まず、ラジエータサーモスタット8は、図3および図4に示すように、フレーム81、サーモアクチュエータ82、弁体83などを備えている。
フレーム81は、弁体83の弁座となるリングプレート811にアッパーアーチ812とロアーアーチ813とガイドロッド814とを設けた構成である。
サーモアクチュエータ82は、バイパス通路6内の冷却液の温度変化を感知して弁体83を変位させるための駆動源であり、フレーム81に支持されている。
弁体83はフレーム81のリングプレート811の中心孔(符号省略)を開閉するものである。なお、弁体83がリングプレート811の中心孔を開いた状態が開弁状態であり、塞いだ状態が閉弁状態である。この弁体83は円筒形圧縮コイルスプリング84により閉弁状態になるように付勢されている。
このような構成のラジエータサーモスタット8の動作を説明する。サーモアクチュエータ82のシリンダ821内のサーモワックスがバイパス通路6内の冷却液温度の高低変化に反応して溶融膨張または凝固収縮することによってシリンダ821がガイドロッド814に沿って中心軸線方向に進退変位し、当該シリンダ821に固定された弁体83でもってラジエータ通路2からウォータポンプ4への冷却液流通路を開閉するような構成になっている。
具体的に、ラジエータサーモスタット8は、バイパス通路6の冷却液温度が暖機完了温度(例えば約88℃)未満になると、サーモワックスが凝固収縮してワックス圧が低くなるので、図3に示すように弁体83が自動的に閉弁状態になってラジエータ通路2からウォータポンプ4への冷却液流通を停止させる状態にする一方、バイパス通路6の冷却液温度が前記暖機完了温度以上になると、サーモワックスが溶融膨張されてワックス圧が高くなるので、図4に示すように弁体83が自動的に開弁状態になってラジエータ通路2からウォータポンプ4へ冷却液を流通させる状態にする。そして、ラジエータサーモスタット8は、弁体83の開閉状態に関係無くバイパス通路6からウォータポンプ4へ冷却液を常に流通させる状態にする。
次に、サーモスタット9は、図5から図9に示すように、サーモアクチュエータ91、弁体92などを備えている。
サーモアクチュエータ91は、下流側第1通路23の冷却液の温度変化を感知して弁体92を変位させるための駆動源である。このサーモアクチュエータ91は、シリンダ93と、ピストンロッド94とを備えている。シリンダ93は、図5に示すように、下流側第1通路23の入口近傍に固定されていて、内部にサーモワックスが充填されている。ピストンロッド94は、シリンダ93内に進退変位可能に挿入されている。
弁体92は、下流側第1通路23の入口開度と下流側第2通路24の入口開度とを調整可能とするものであって、ピストンロッド94の外部突出端に取り付けられている。
この弁体92には、下流側第1通路23の入口を開閉するための第1開閉面921と、下流側第2通路24の入口を開閉するための第2開閉面922と、ウォータポンプ4の吐出側から下流側第1通路23に冷却液を常に流通させるための常開通路923とが設けられている。
なお、弁体92は、円柱形部材の円周の一部分を除去したような形状とされていて、この弁体92においてピストンロッド94の取り付け面となる平坦面が第1開閉面921とされており、また、弁体92の円弧状外周面の一部が第2開閉面922とされている。さらに常開通路923は、弁体92において中心軸線方向(あるいは変位方向)と平行に真っ直ぐに貫通形成される貫通孔とされている。
さらに、この弁体92は、シリンダ93のサーモワックスが凝固収縮しているときに、弁体92の第1開閉面921が下流側第1通路23の入口付近に設けられている鍔状弁座25に当接されることによって、当該第1開閉面921が下流側第1通路23の入口を閉塞したうえで、弁体92の第2開閉面922が下流側第2通路24の入口を閉塞するようになる。但し、このとき、図7に示すように、常開通路923の出口が鍔状弁座25の中心孔に露呈するようになっているので、ウォータポンプ4から下流側第1通路23へ冷却液が少量ながら常に流通するようになる。ところで、前記した鍔状弁座25は、ラジエータ通路2の下流側二股分岐部分において下流側第2通路24の入口よりも下流側第1通路23の入口寄り位置に、径方向内向きに突出するように設けられている。
そして、冷却液温度の上昇に伴いサーモワックスが徐々に溶融膨張されると、シリンダ93からピストンロッド94が徐々に飛び出すことになるから、弁体92が鍔状弁座25から離隔して遠ざかる向きに徐々に変位されることになって、下流側第1、第2通路23,24の入口を徐々に開くようになる。
このような構成のサーモスタット9の動作を説明する。サーモアクチュエータ91のシリンダ93内のサーモワックスが下流側第1通路23の冷却液温度の高低変化に反応して溶融膨張または凝固収縮することによってピストンロッド94がその中心軸線方向に進退変位し、当該ピストンロッド94に固定された弁体92でもって下流側第1通路23の入口および下流側第2通路24の入口の各開度を制御する。なお、サーモスタット9は、弁体92の開度に関係無く常開通路923を経てウォータポンプ4の吐出側から下流側第1通路23に冷却液を常に流通するようになっている。
具体的に、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度よりも低く設定される第1設定温度未満のときには、シリンダ93内のサーモワックスが凝固収縮してワックス圧が低くなるので、図5に示すように弁体92が下流側第1、第2通路23,24の各入口を共に閉じるように自動的に変位させられる。
そして、下流側第1通路23の冷却液温度が第1設定温度以上かつ暖機完了温度未満のときには、サーモワックスが溶融膨張されてワックス圧が高くなるので、図8に示すように弁体92が下流側第1通路23の入口を冷却液温度に応じて開くように自動的に変位させられる。
さらに、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度以上になると、図9に示すように、弁体92が下流側第1、第2通路23,24の各入口を共に全開にするように自動的に変位させられる。
このようなエンジン1の内部通路(ウォータジャケット13,14)と、外部通路(ラジエータ通路2、バイパス通路6)と、2つのサーモスタット8,9とによって適宜の閉ループの冷却液循環経路が作られるようになる。
次に、エンジン1の作動に伴う冷却液循環経路を説明する。
例えばエンジン1を冷間始動したときには、つまり下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度よりも低く設定される第1設定温度未満のときには、ラジエータサーモスタット8が図3に示すように閉弁するとともに、サーモスタット9の弁体92が図5に示すように下流側の第1、第2通路23,24の各入口を閉塞しているので、ヘッド側ウォータジャケット14とバイパス通路6とを閉ループとして冷却液を循環させる暖機経路(図1の実線矢印参照)が作られている。
この場合、ウォータポンプ4の作動に伴いヘッド側ウォータジャケット14内の冷却液が排出口16からラジエータ通路2に排出されるが、この冷却液はラジエータ5を通過せずにバイパス通路6を経てヘッド側ウォータジャケット14の導入口15に戻される。しかも、バイパス通路6からウォータポンプ4に供給された冷却液は、サーモスタット9の常開通路923から少量ながらヘッド側ウォータジャケット14に供給されるようになる。
このようにしてヘッド側ウォータジャケット14を冷却液が繰り返し流通する際に冷却液がシリンダヘッド12の特に燃焼室近傍の熱を吸収して昇温が促進されるようになる。その結果、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させることが可能になる。
ところで、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度に到達するまでの上昇過程では、この温度上昇に伴い、サーモスタット9の弁体92が図8に示すように下流側第2通路24の入口を閉塞したままであるが、下流側第1通路23の入口開度を徐々に開くようになるので、ヘッド側ウォータジャケット14への冷却液流通量が徐々に増加されることになる。
これにより、シリンダヘッド12が過剰に昇温することを防止できるようになる。こうして、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させる状態が継続されることになる。
そして、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度以上になると、2つのサーモスタット8,9のサーモワックスのワックス圧がさらに高くなるので、ラジエータサーモスタット8の弁体83が図4に示すように全開になって冷却液をバイパス通路6だけでなくラジエータ5にも流通させる状態にするとともに、サーモスタット9の弁体92が図9に示すように下流側の第1、第2通路23,24の各入口を全開にするようになってヘッド側ウォータジャケット14とブロック側ウォータジャケット15への冷却液流通量を最大にする。これにより、ヘッド側ウォータジャケット14およびブロック側ウォータージャケット13とバイパス通路6およびラジエータ通路2とを閉ループとして冷却液を循環させる温調循環経路(図2の二点鎖線矢印参照)が作られる。
この場合、ウォータポンプ4の作動に伴いヘッド側ウォータジャケット14内の冷却液が排出口16からラジエータ通路2に排出されることに加えて、ブロック側ウォータジャケット13内の冷却液が排出口18からラジエータ通路2に排出されることになる。この冷却液はバイパス通路6を経てヘッド側ウォータジャケット14の導入口15およびブロック側ウォータジャケット13の導入口17に戻されるだけでなく、ラジエータ5を通過してからヘッド側ウォータジャケット14の導入口15およびブロック側ウォータジャケット13の導入口17に戻される。このような冷却液流通過程では、シリンダヘッド11およびシリンダブロック12の熱を冷却液で回収してラジエータ5で大気に発散させるようになるから、冷却液およびエンジン1の温度が一定範囲内に調整されることになる。
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、ブロック側ウォータジャケット13とヘッド側ウォータジャケット14とに独立して冷却液を流通可能にしたエンジン1において、エンジン冷却系に制御系が不要な2つのサーモスタット8,9を用いながら、エンジン1を効率良く暖機、ならびに温度調整できるようにしている。
これにより、本発明では、エンジン冷却系を従来例(特許文献1)に比べて簡易な設備とすることができて、設備コストを抑制することが可能になる。
しかも、サーモスタット9については、ラジエータ通路2の下流側二股分岐部分に設置することによって、単一の弁体92で下流側第1、第2通路23,24の各入口を開閉することが可能になるなど、構成簡素化が達成されている。そのため、このサーモスタット9を比較的安価に製造することが可能になるなど、エンジン冷却系の設備コストを低減するうえで有利になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態において、サーモスタット9の弁体92の常開通路923を貫通孔にした例を挙げているが、本発明は特に限定されるものではない。例えば図10から図13に示すように、弁体92の第1開閉面921(ピストンロッド94の取り付け面)を斜面とし、この斜面からなる第1開閉面921の先端を鍔状弁座25に当接させたときに当該斜面と鍔状弁座25との間にできる隙間を常開通路923とすることが可能である。
この場合、エンジン1を冷間始動したときには、サーモスタット9の弁体92が図10に示すように下流側の第1、第2通路23,24の各入口を閉塞し、常開通路923のみによって下流側第1通路23への少量の冷却液流通を許容する。そして、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度に到達するまでの上昇過程では、この温度上昇に伴い、サーモスタット9の弁体92が図12に示すように下流側第2通路24の入口を閉塞したままであるが、下流側第1通路23の入口開度を徐々に開くようになる。さらに、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度以上になると、サーモスタット9の弁体92が図13に示すように下流側の第1、第2通路23,24の各入口を全開にする。
(2)上記実施形態において、サーモスタット9の弁体92の常開通路923を貫通孔にした例を挙げているが、本発明は特に限定されるものではない。例えば常開通路923は、図14から図18に示すように、弁体92の第1開閉面921(ピストンロッド94の取り付け面)から外周面(第2開閉面922)に跨って形成される斜め溝とすることが可能である。
この場合、エンジン1を冷間始動したときには、サーモスタット9の弁体92が図14に示すように下流側の第1、第2通路23,24の各入口を閉塞し、常開通路923のみによって下流側第1通路23への少量の冷却液流通を許容する。そして、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度に到達するまでの上昇過程では、この温度上昇に伴い、サーモスタット9の弁体92が図17に示すように下流側第2通路24の入口を閉塞したままであるが、下流側第1通路23の入口開度を徐々に開くようになる。さらに、下流側第1通路23の冷却液温度が暖機完了温度以上になると、サーモスタット9の弁体92が図18に示すように下流側の第1、第2通路23,24の各入口を全開にする。
本発明は、例えばブロック側ウォータジャケットとヘッド側ウォータジャケットとに独立して冷却液を流通可能にしたエンジンに適用することが可能である。
1 エンジン
11 シリンダブロック
12 シリンダヘッド
13 ブロック側ウォータジャケット
14 ヘッド側ウォータジャケット
15 ヘッド側ウォータジャケットの導入口
16 ヘッド側ウォータジャケットの排出口
17 ブロック側ウォータジャケットの導入口
18 ブロック側ウォータジャケットの排出口
2 ラジエータ通路
23 下流側第1通路
24 下流側第2通路
4 ウォータポンプ
5 ラジエータ
6 バイパス通路
8 ラジエータサーモスタット
9 サーモスタット
91 サーモアクチュエータ
92 弁体
921 第1開閉面
922 第2開閉面
923 常開通路
93 シリンダ
94 ピストンロッド

Claims (7)

  1. ブロック側ウォータージャケットとヘッド側ウォータージャケットとから排出される冷却液をラジエータを通してから前記両ウォータジャケットに戻すためのラジエータ通路と、このラジエータ通路において前記ラジエータをバイパスするように接続されるバイパス通路と、冷却液を流動させるためのウォーターポンプと、冷却液の温度を感知して自動的に前記ブロック側ウォータージャケットと前記ヘッド側ウォータージャケットとにおける冷却液流通量を調整するためのサーモスタットとを備え、
    前記サーモスタットは、冷却液が暖機完了温度よりも低く設定される第1設定温度未満のときに前記ブロック側ウォータージャケットの冷却液流通を停止させて前記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量を小側に制限する、ことを特徴とするエンジン。
  2. 請求項1に記載のエンジンにおいて、
    前記サーモスタットは、前記冷却液が前記第1設定温度以上かつ前記暖機完了温度未満のときに前記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液流通量を増やす、ことを特徴とするエンジン。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンにおいて、
    前記サーモスタットは、前記冷却液が前記暖機完了温度以上のときに前記両ウォータージャケットの冷却液流通量を最大にする、ことを特徴とするエンジン。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンにおいて、
    前記ラジエータ通路において前記ウォータポンプより下流側は、二股に分かれており、その第1通路が前記ヘッド側ウォータジャケットの導入口に、また第2通路が前記ブロック側ウォータジャケットの導入口にそれぞれ接続されており、
    前記サーモスタットは、前記第1、第2通路の各入口開度を調整するための第1、第2開閉面を備えかつ前記ウォータポンプの吐出側から前記第1通路に冷却液を常に流通させるための常開通路を備える弁体と、前記第1通路の冷却液の温度変化を感知して前記弁体を変位させるサーモアクチュエータとを備え、
    かつ前記サーモアクチュエータは、前記第1通路の冷却液が、前記第1設定温度未満のときに前記弁体で前記第1、第2通路の各入口を全閉状態にする、ことを特徴とするエンジン。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンにおいて、
    前記ラジエータ通路において前記ウォータポンプより下流側は、二股に分かれており、その第1通路が前記ヘッド側ウォータジャケットの導入口に、また第2通路が前記ブロック側ウォータジャケットの導入口にそれぞれ接続されており、
    前記サーモスタットは、前記第1、第2通路の各入口開度を調整するための第1、第2開閉面を備えかつ前記ウォータポンプの吐出側から前記第1通路に冷却液を常に流通させるための常開通路を備える弁体と、前記第1通路の冷却液の温度変化を感知して前記弁体を変位させるサーモアクチュエータとを備え、
    かつ前記サーモアクチュエータは、前記第1通路の冷却液が、前記第1設定温度未満のときに前記弁体で前記第1、第2通路の各入口を全閉状態にし、また、前記第1設定温度以上かつ前記暖機温度未満のときに前記弁体で前記第1通路の入口開度を所定量開く状態にし、さらに前記暖機完了温度以上のときに前記弁体で前記第1、第2通路の各入口を全開状態にする、ことを特徴とするエンジン。
  6. 請求項4または5に記載のエンジンにおいて、
    前記サーモアクチュエータは、前記第1通路の入口近傍に固定されかつ内部にサーモワックスが充填されるシリンダと、このシリンダ内に進退変位可能に挿入されかつ前記シリンダから外部に突出する外部突出端に前記弁体が取り付けられるピストンロッドとを備える、ことを特徴とするエンジン。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のエンジンにおいて、
    冷却液の温度を感知して自動的にラジエータ通路の冷却液流通量を調整するためのラジエータサーモスタットをさらに備え、
    このラジエータサーモスタットは、前記冷却液が前記暖機完了温度未満のときに前記ラジエータ通路の冷却液流通を停止することにより前記ヘッド側ウォータジャケットと前記バイパス通路とを閉ループとする暖機経路を作り、前記冷却液が前記暖機完了温度以上のときに前記ラジエータ通路および前記バイパス通路から前記ウォータポンプに冷却液を流通させる状態にすることにより、前記両ウォータジャケットと前記ラジエータ通路および前記バイパス通路とを閉ループとする温調循環経路を作る、ことを特徴とするエンジン。
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