JP2012201006A - 加飾フィルム及び加飾成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】小ロット及び短納期で商業生産することが可能であるとともに、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルム及び加飾成形品を提供する。
【解決手段】基材フィルム3の面上に、光輝層4、パターン層5、隠蔽層7の順、またはパターン層5、光輝層4、隠蔽層7の順で積層されて形成された加飾フィルム1であって、基材フィルム3は、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはアクリルフィルムで形成され、光輝層4及び隠蔽層7は、シルクスクリーン印刷によって積層され、パターン層5は、オフセット印刷によって積層されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯電話等の小型デジタル機器に複雑な意匠を設けるために用いる、フィルムインサート成形用の加飾フィルムと、その加飾フィルムを用いて製造する加飾成形品に関するものである。
従来から、プラスチック成形品に、複雑な意匠(例えば、木目模様)を付与する方法としては、例えば、特許文献1〜3に記載されている方法がある。
特許文献1〜3に記載されている方法は、まず、アクリルフィルムやポリエチレンテレフラレートを用いて形成されている基材フィルム上に、印刷法により絵柄を形成して、加飾フィルムを形成する。
そして、上記のように形成した加飾フィルムを、射出成形用金型の中に入れて型閉めした後、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の溶融樹脂を用いて射出成形して、基材フィルムが最外層となるように絵柄と成形樹脂とを一体化させる方法である。すなわち、特許文献1〜3に記載されている方法は、いわゆる、成形同時加飾法である。
上記の方法等において、絵柄を形成する方法としては、一般的な印刷法(例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷)が想定されるが、実際の製品には、グラビア印刷、または、シルクスクリーン印刷のうち一方のみを使用していることが多い。
両者(グラビア印刷、シルクスクリーン印刷)の使い分けに関し、少量多品種生産を行う場合には、製版の時間が短くて済むシルクスクリーン印刷が使用される場合が多い。一方、細やかな意匠が必要であり、ある程度のまとまった数量を生産する場合には、グラビア印刷が用いられる場合が多い。
上述したように、絵柄を形成する方法として、数ある印刷方法のうち、グラビア印刷とシルクスクリーン印刷の二種が多く使われている理由の一つは、射出成形を行う溶融樹脂が濃色であった場合に、インキの膜厚を大きくして、成形樹脂の色を隠蔽する必要があるためである。
すなわち、オフセット印刷やフレキソ印刷といった、平版または凸版を使用する印刷法では、インキの膜厚は、1μm以上2μm以下の範囲内程度と薄い膜厚であり、条件検討(版仕様選択、インキ粘度調整等)によって、5μm以上10μmが以下の範囲内程度の厚さで積層することが可能なシルクスクリーン印刷に比べて劣る。
また、真珠のような、透明かつ光輝感のある意匠を取り入れた絵柄を印刷する場合には、インキ層の厚みによる深みのある表現をしたい場合に、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷が使われる場合が多い。
特開平10−16498号公報 特開平10−71680号公報 特許第4194670号公報
ところで、グラビア印刷は、オフセット印刷と比較すると、インキの膜厚を大きくすることが可能であるとともに、濃淡の印刷に好適な印刷法である。しかしながら、グラビア印刷は、製版の手間がかかるために、小ロットや短納期の商業生産への適用は困難である。
一方、シルクスクリーン印刷を用いた場合には、グラビア印刷と比較すると、製版に時間がかからず、その結果、版の価格も安価となる。しかしながら、シルクスクリーン印刷を用いた場合では、シルクスクリーン版の解像可能な最小開口径の制限があるため、濃淡の階調表現が困難であり、グラビア印刷やオフセット印刷と比較して、印刷スピードも遅くなる。
すなわち、プラスチック成形品に複雑な意匠を付与する方法として、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷を用いた場合には、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルムを、小ロット及び短納期で商業生産することが困難であった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、小ロット及び短納期で商業生産することが可能であるとともに、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルム及び加飾成形品を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、基材フィルムの面上に、光輝層、パターン層、隠蔽層の順、または前記パターン層、前記光輝層、前記隠蔽層の順で積層されて形成された加飾フィルムであって、
前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはアクリルフィルムで形成され、
前記光輝層及び前記隠蔽層は、シルクスクリーン印刷によって積層され、
前記パターン層は、オフセット印刷によって積層されていることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に従属する発明であって、前記光輝層は、少なくとも塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂とを混合した混合物、または少なくともポリエステル樹脂を混合した混合物で生成された透明インキに対し、雲母またはガラスの微粉末に酸化チタンを多層コーティングして生成されるパール顔料を質量比30%以下の割合で含む混合物で生成され、
前記パターン層は、少なくとも顔料と紫外線硬化型樹脂を混合した混合物で生成され、
前記隠蔽層は、少なくとも顔料と、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を混合した混合物、または少なくとも顔料とポリエステル樹脂を混合した混合物で生成され、
前記隠蔽層の厚さは、20μm以上50μm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に従属する発明であって、前記隠蔽層の面上に積層された接着層を備え、
前記接着層は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つを含んで生成され、
前記接着層の厚さは、3μm以上10μm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載した加飾フィルムと、前記接着層の面上に積層された成形樹脂と、を備えた加飾成形品であって、
前記加飾フィルムと前記成形樹脂は、インサート成形、または真空成形によって固着されていることを特徴とするものである。
本発明の第一実施形態における、加飾フィルムの概略構成を示す断面図である。 本発明の第一実施形態における、加飾成形品(フィルムインサート成形品)の概略構成を示す断面図である。 型開き状態の成形金型を示す図である。 型閉じ状態の成形金型を示す図である。 中間加飾成形品の一例を示す図である。 図5のVI‐VI線断面図である。 加飾成形品の一例を示す図である。 図7のVIII‐VIII線断面図である。 第一実施形態の変形例における、加飾フィルムの概略構成を示す断面図である。 第一実施形態の変形例における、加飾成形品の概略構成を示す断面図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態は本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。
(構成)
まず、図1を用いて、本実施形態の加飾フィルムの構成を説明する。
図1は、本実施形態における、加飾フィルムの概略構成を示す断面図である。
加飾フィルム1は、加飾成形品であるフィルムインサート成形品を形成する部材であり、図1に示すように、基材フィルム3の面上に、光輝層4、パターン層5、隠蔽層7、接着層9を順に積層して形成されている。なお、以下の説明において、「加飾成形品」と「フィルムインサート成形品」は、同じ部材を示している。
(基材フィルム3の構成)
基材フィルム3としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはアクリルフィルムを用いている。すなわち、基材フィルム3は、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはアクリルフィルムで生成されている。基材フィルム3の厚さは、特に規定しないが、50μm以上200μm以内の範囲内が扱いやすいため、好適である。なお、基材フィルム3は、基材フィルム3を形成する工程の後工程である、光輝層4を形成する工程を行う前に、一定寸法の四辺形(長方形、正方形)に形成しておく。
また、基材フィルム3の材料としては、紫外線吸収剤を練りこんだものを使用すること好適である。これは、基材フィルム3は、フィルムインサート成形品の最表面層になるフィルムであるため、基材フィルム3に紫外線吸収機能を付与することにより、光輝層4やパターン層5、隠蔽層7の紫外線暴露による変色を軽減することが可能となるためである。
この場合、基材フィルム3の材料として適用可能な、代表的な紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンや、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール等がある。
なお、基材フィルム3の片面(光輝層4を積層する面と反対側の面、図1中では、上側
の面)には、加飾フィルム1またはフィルムインサート成形品の成形後に、基材フィルム3が最表層となるように、コート層(図示せず)を設けても良い。この場合、例えば、基材フィルム3として、表面硬度に劣る基材を用いる場合に、コート層によるハードコートを、基材フィルム3の片面に設けることにより、表面硬度を改善することが可能となる。
(光輝層4の構成)
光輝層4は、基材フィルム3の面上(図1中では、下側の面上)に積層されている層であり、シルクスクリーン印刷により基材フィルム3の面上に積層されて形成されている。
また、光輝層4は、真珠(パール)に似た光沢を発するインキから成る層であり、真珠の持つ独特の光輝感を、印刷法によって設けたものである。したがって、光輝層4を構成するインキとしては、例えば、透明インキに、パール顔料粉を質量比として30%以下の割合で混ぜ合わせて形成した「パールインキ」を用いる。
光輝層4を構成する「パールインキ」は、具体的には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の混合物、または、ポリエステル樹脂が主成分となって形成されており、さらに、ポリイソシアネート樹脂等の触媒を添加して80℃〜100℃程度の温度で乾燥させることにより、触媒を加えない場合と比較して樹脂架橋密度が上昇する性質を持っている透明インキに、パール顔料粉を加えて調製して形成する。
パール顔料粉としては、雲母やガラスの微粉末に酸化チタンを多層コーティングし、干渉光の効果で様々な色に光る性質の無機顔料を用いる。パール顔料粉として、代表的な製品には、日本板硝子社製の「マイクログラス メタシャインシリーズ」や、Merck社製「Miraval」等が挙げられる。
ここで、「パールインキ」を形成する際には、質量比30%を超える割合で透明インキにパール顔料粉を混合すると、シルクスクリーン版の開口部にパール顔料粉が詰まってしまうため、透明インキに対するパール顔料粉の割合を、質量比として30%以下としている。
なお、透明インキにパール顔料粉を混合する際に最適な混合比は、パール顔料粉の粒径によって異なるが、粒径が50μmのパール顔料粉を用いる場合には、質量比で5%以上20%以下の範囲内であることが望ましい。また、光輝層4は、目的に応じて基材フィルム3の印刷可能な領域の全面に積層してもよいし、部分的な積層にとどめてもよい。
光輝層4を形成する際に用いるシルクスクリーン印刷インキとしては、加飾フィルム1を用いたインサート成形(後述)を行う場合において、射出される溶融樹脂の流れに対して、インキ流れを起こしにくいものを用いる。
また、光輝層4の厚さは、加飾フィルム1を用いたインサート成形の際に、数秒から数十秒の間、加飾フィルム1にかかりうる300℃程度の高温や、数百メガパスカルの圧力に耐えることが可能な厚さであればよいが、耐性が不足する場合には、光輝層4の厚みを適宜増す等して対処する。
以上により、光輝層4は、少なくとも塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂とを混合した混合物、または少なくともポリエステル樹脂を混合した混合物で生成された透明インキに対し、雲母またはガラスの微粉末に酸化チタンを多層コーティングして生成されるパール顔料を質量比30%以下の割合で含む混合物で生成されている。
(パターン層5の構成)
パターン層5は、光輝層4の面上(図1中では、下側の面上)に積層されている層であり、オフセット印刷法により光輝層4の面上に積層されて形成されている。また、パターン層5の厚さは、2μm以下である。
なお、パターン層5を、オフセット印刷法により形成する際には、本実施形態における効果のひとつである、階調表現に優れた意匠を形成するために、スクリーン線数が1イン
チあたり175線以上となるような製版を行って印刷することが望ましい。この場合、印刷するデザインパターンは、裏刷り(本実施形態の加飾フィルム1を用いた成形品では、基材フィルム3を通して、印刷した面と反対側からデザインパターンを見ることになる)であることに留意する。
パターン層5を形成する印刷インキには、紫外線硬化型樹脂を混合した、UV硬化型のオフセット印刷用インキを使用する。
UV硬化型のオフセット印刷用インキを使用する理由としては、基材フィルム3が非吸収性の基材であるために、基材に対するインキ成分の浸透が前提となっている溶剤使用型のインキでは、基材フィルム3への密着性が得られにくいことが挙げられる。また、UV硬化型のオフセット印刷用インキであれば、溶剤使用型に比べ乾燥時間も短くてすむため、時間当たりの生産効率がよいことが挙げられる。
パターン層5を形成するオフセット印刷インキの色には、CMYK(シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、キー・プレート(Key
Plate))から成るプロセスカラー、調色による特色インキ、金属粒子を分散したインキや、透明インキ等、多数の色が存在し、多数の色表現が可能である。
特に、耐光性が求められる成形製品の製造を行う場合においては、パターン層5を形成するオフセット印刷インキとして、耐光性の高い色材成分(例えば、藍色のフタロシアニンブルー、紅色のキナクリドンレッド、黄色のモノアゾイエロー)を含む印刷インキを用いることが可能である。
すなわち、パターン層5を形成するオフセット印刷インキには、上述した紫外線硬化型樹脂とともに、上記のインキ等からなる顔料が混合されている。したがって、パターン層5は、少なくとも顔料と紫外線硬化型樹脂とを混合した混合物で生成されている。
また、パターン層5を形成するオフセット印刷インキとしては、基材フィルム3及び光輝層4に対して密着性が高いものを用いることが望ましい。この場合、基材フィルム3及び光輝層4に対して必要な密着性の目安としては、「JIS K 5600−5−6」に規定されている方法で試験を行った後に、剥がれている部位が認められない程度が目安となる。
また、パターン層5を形成するオフセット印刷インキと基材フィルム3との密着性を向上させるためには、上述した方法の他に、例えば、基材フィルム3に対してコロナ放電等の易接着処理を施してもよい。
(隠蔽層7の構成)
隠蔽層7は、パターン層5の面上(図1中では、下側の面上)に積層されている層であり、シルクスクリーン印刷によりパターン層5の面上に積層されて形成されている。
また、隠蔽層7は、フィルムインサート成形品を形成する際に、光輝層4及びパターン層5の下地となる部分であり、隠蔽層7を形成する工程の後工程において形成される接着層9や、後述する成形樹脂の色味を隠蔽するために設けられる層である。
隠蔽層7を形成するシルクスクリーン印刷用インキは、上述した光輝層4を形成するシルクスクリーン印刷用インキと同様、加飾フィルム1を用いたインサート成形(後述)を行う場合において、隠蔽層7が射出される溶融樹脂の流れに対して、インキ流れを起こしにくいものを用いる。
また、隠蔽層7を形成するシルクスクリーン印刷用インキとしては、光輝層4を形成するシルクスクリーン印刷用インキと同様、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の混合物、または、ポリエステル樹脂を主成分としており、さらに、この主成分にポリイソシアネート樹脂等の触媒を添加して、80℃〜100℃程度の温度で乾燥させること
により、触媒を加えない場合と比較して、樹脂架橋密度が上昇する性質を持っているインキを使用する。
隠蔽層7の厚さは、20μm以上であることが好適であり、隠蔽層7を形成する顔料を含むインキの色としては、白色の他に、パターン層5に合わせた色等が使用可能である。
ここで、隠蔽層7の厚さを20μm以上であることが好適な理由は、フィルムインサート成形品を形成する際に下地となる光輝層4及びパターン層5の色を、隠蔽層7により必要十分に隠蔽するためには、隠蔽層7の透過率が20%以下であることが好ましいが、隠蔽層7の透過率を20%程度とするためには、隠蔽層7の厚さを20μm以上とすることが必要なためである。
また、隠蔽層7は、総厚みが50μm以下であれば、厚さが増すほど隠蔽性(隠蔽層7が光を遮断する割合)が増加し、インサート成形時のインキ流れが低減されるため、使用可能な材料の量を考慮して、20μm以上50μm以下の範囲内において、厚みを決定することが好適である。これは、隠蔽層7の厚さを、50μmを超える厚さとした場合では、上記の隠蔽性が頭打ちになるため、材料の使用量を考慮すると、コストや手間の観点から好ましくないためである。
以上により、隠蔽層7は、少なくとも顔料と、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を混合した混合物、または少なくとも顔料とポリエステル樹脂を混合した混合物で生成されている。
また、本実施形態では、隠蔽層7の厚さを、20μm以上50μm以下の範囲内に設定する。
なお、隠蔽層7を、パターン層5パターン層5の面上に積層する際には、隠蔽層7を、一度のシルクスクリーン印刷によって、目標とする厚さで積層してもよいが、これに限定するものではなく、複数回に分けて積層してもよい。
ここで、隠蔽層7を、複数回のシルクスクリーン印刷によって積層させる場合、必要があれば、重ね刷りを行うための、シルクスクリーン印刷用インキの色を異ならせてもよい。この場合、例えば、パターン層5を形成した後に、白色のシルクスクリーン印刷用インキによって印刷を行い、その後、灰色や黒色のシルクスクリーン印刷用インキを用いて同様の印刷を行うことにより、二層構造の隠蔽層7を形成することによって、隠蔽層7全体の光透過率を低下させ、隠蔽層7の隠蔽性能を高めることが可能となる。
(接着層9の構成)
接着層9は、隠蔽層7の面上(図1中では、下側の面上)に積層されている層であり、シルクスクリーン印刷により隠蔽層7の面上に積層されて形成されている。
なお、本実施形態では、接着層9の厚みを、3μm以上10μm以下の範囲内とする。
これは、接着層9がその機能を果たすには、少なくとも3μmの厚みが必要なためである。また、10μmを超える厚みを積層してしまうと、他の層に比べて柔らかい層である接着層9が剥離面となる破壊が起こり得るので好ましくないためである。
また、接着層9は、上記の隠蔽層7と後述する成形樹脂との間に配置される層であり、隠蔽層7と成形樹脂を密着させて、フィルムインサート成形品としての一体性を得るために設置される層である。
接着層9の色は、隠蔽層7やパターン層5の色調に影響を与えないために、無色透明とすることが好適である。
接着層9を形成するシルクスクリーン印刷用インキとしては、隠蔽層7を形成するシルクスクリーン印刷用インキと同様、加飾フィルム1を用いたインサート成形(後述)を行う場合において、接着層9が射出される溶融樹脂の流れに対して、インキ流れを起こしに
くいものを用いる。
また、接着層9は、上記のシルクスクリーン印刷用インキとともに、射出樹脂に対する耐性を有しているシルクスクリーン印刷用の接着剤として、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つで生成されているものを用いる。この場合、希釈溶剤成分として、シクロヘキサノンや、キシレンを含むものを用いることが可能である。
以上により、第一実施形態の接着層9は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つを含んで生成されており、その厚さが、3μm以上10μm以下の範囲内となっている。
(加飾成形品の構成)
以下、図1を参照しつつ、図2を用いて、本実施形態の加飾フィルム1を備えた加飾成形品の構成について説明する。
図2は、本実施形態における、加飾成形品(フィルムインサート成形品)の概略構成を示す断面図である。
図2中に示すように、加飾成形品13は、上述した加飾フィルム1と、成形樹脂11を備えている。
成形樹脂11は、加飾フィルム1のうち、接着層9側に射出した溶融樹脂を固化させて形成された層であり、加飾フィルム1に積層されている。すなわち、成形樹脂11は、接着層9の面上(図2中では、下側の面上)に積層されている層である。
また、成形樹脂11と加飾フィルム1とは、インサート成形、または、真空成形により固着されている。
(加飾成形品の製造方法)
以下、図1及び図2を参照しつつ、図3から図9を用いて、本実施形態の加飾成形品の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、成形樹脂11と加飾フィルム1とを、インサート成形により固着する場合について説明する。
以下、射出成形用の金型内に、一定寸法の四辺形に形成されている加飾フィルム1を配置して型閉めを行い、その後、溶融樹脂を金型内に射出して、射出樹脂が固化したところで取り出すことによって、加飾フィルム1が表面に接着した加飾成形品13を製造する工程について説明する。
上記の工程により、加飾フィルム1は、三次元的な形状に成形されるため、加飾フィルム1上に形成されている二次元的パターンは、射出成形時の加飾フィルム1の伸縮に合わせて、大きさを調整する必要がある。
図3及び図4は、加飾成形品の製造に用いる射出成形用の金型(成形金型)の概略構成を示す断面図である。なお、図3は、型開き状態の成形金型を示す図であり、図4は、型閉じ状態の成形金型を示す図である。
図3及び図4中に示すように、成形金型23は、雌型25と、雄型27を備えており、雌型25の内周面となる成形面に加飾フィルム1を配置した後に、図4中に示すように、型閉めを行う。
ここで、成形金型23内に加飾フィルム1を配置する前には、加飾フィルム1を、図外の他の金型を用いてプレフォームすることにより、三次元形状を予め付与しておき、成形金型23に供給することも可能である。
また、成形金型23内に加飾フィルム1を配置する際には、成形金型23へ加飾フィルム1を挿入した状態で、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせが必要になる。
成形金型23へ加飾フィルム1を挿入した状態で、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせを行う方法としては、雌型25が有する位置合わせ穴29へ、雄型27が有する固定ピン31を挿入して保持する方法がある。
ここで、位置合わせ穴29は、雌型25において、加飾フィルム1に形成されているパターンのうち、最終製品である加飾成形品13に付与されないエリアに、予め形成されている。
また、固定ピン31は、雄型27において、位置合わせ穴29と嵌合するエリアに、予め形成されている。
また、成形金型23へ加飾フィルム1を挿入した状態で、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせを行う方法としては、位置合わせ穴29へ固定ピン31を挿入する方法以外にも、以下の方法を用いることが可能である。
この方法は、例えば、加飾フィルム1に形成されているパターンのうち最終製品に付与されないエリアに予め形成した位置合わせマーク(図示せず)を、射出成形装置(図示せず)側に設けた画像認識装置(図示せず)により視認し、加飾フィルム1の搬送装置(図示せず)側の駆動により微調整して合わせ込む方法である。この場合、位置合わせマークは、射出成形品(加飾成形品13)の製品部分から見て、対角2点以上で認識するのが望ましい。
この場合、各位置合わせマーク位置で、画像パターンの伸縮に合わせて、上下左右の位置を均等割りする制御方法や、加飾フィルム1の搬送時の張力の制御により微調整をかけて、上下左右の位置を均等割りする制御方法を用いることが望ましい。
そして、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせを行い、成形金型23を型閉じした後に、加飾フィルム1を挿入した成形金型23内に溶融樹脂を射出する。このとき、加飾フィルム1の接着層9側に溶融樹脂を射出する。
なお、本実施形態で用いる成形機は、溶融樹脂を成形金型23内に射出する方式のものである。
ここで、成形金型23内に射出される溶融樹脂の温度は、使用する樹脂の物性等に応じて設定する。これは、例えば、使用する樹脂がアクリル樹脂であれば、240℃以上260℃以下の範囲内とし、使用する樹脂がABS樹脂でれば、230℃とする。
なお、雄型27が有する注入口33(射出口)の位置を、溶融樹脂を成形金型23内へ射出する際に発生する熱やガスにより、加飾フィルム1が異常に変形しないように、成形金型23の形状や溶融樹脂の種類に合わせて設定してもよい。
加飾フィルム1を挿入した成形金型23内に射出した溶融樹脂が固化した後、成形金型23を型開きして、成形金型23から、図5及び図6中に示すような、固化した溶融樹脂と加飾フィルム1からなる中間加飾成形品15を取り出す。なお、図5は、中間加飾成形品15の一例を示す図であり、図6は、図5のVI‐VI線断面図である。
図5及び図6中に示すように、中間加飾成形品15は、最終的に製品(加飾成形品13)となる加飾部17の周囲に、バリ(図示せず)と、加飾成形品13のダミー部分19が一体化している。ここで、ダミー部分19には、上述した位置合わせにおいて、固定ピン31が挿通されて形成された挿通孔21が存在している。
そして、加飾部17から、上記のバリとダミー部分19を取り除くことにより、図7及び図8中に示すような、加飾成形品13を製造する。なお、図7は、加飾成形品13の一例を示す図であり、図8は、図7のVIII‐VIII線断面図である。
(変形例)
上述した第一実施形態では、加飾フィルム1の構成を、基材フィルム3上に、光輝層4、パターン層5の順に積層した構成について説明したが、加飾フィルム1の構成は、これに限定するものではなく、図9中に示すように、基材フィルム3上に、パターン層5、光輝層4の順に積層した構成としてもよい。なお、図9は、第一実施形態の変形例における、加飾フィルム1の概略構成を示す断面図である。
この場合、光輝層4とパターン層5との配置を入れ替えることにより、意匠表現の幅を広げることが可能となる。なお、図9中に示す構成をとる場合には、パターン層5を形成するオフセット印刷インキとしては、基材フィルム3と密着するものを用いる。
また、加飾フィルム1の構成を、基材フィルム3上に、パターン層5、光輝層4の順に積層した構成とした場合、加飾成形品13の構成は、図10中に示すような構成となる。なお、図10は、第一実施形態の変形例における、加飾成形品13の概略構成を示す断面図である。
(実施例)
以下、図1から図10を参照して、第一実施形態の加飾フィルム1及び加飾成形品13を製造し、この製造した加飾成形品13の物性を検証した結果を説明する。
加飾フィルム1を製造する際には、基材フィルム3として、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製 「コスモシャイン A4300」)を用い、ロールで供給された基材フィルム3を、断裁工程により枚葉状(一定寸法の四辺形)にした。
そして、得られた枚葉状の基材フィルム3に対して、シルクスクリーン印刷によって光輝層4を設けた。
ここで、光輝層4を設けるシルクスクリーン印刷には、帝国インキ社製「IPX−000メジウム」に対し、ガラス微粉末からなるパール顔料の日本板硝子社製「マイクログラス メタシャイン チタニアコート」を10%の割合で混合して作ったパールインキを用いた。
また、乳剤の厚さを30μmとし、メッシュ数が100線/インチのシルクスクリーン版を用いてシルクスクリーン印刷を行うことで、光輝層4全体の厚さを15μmとした。
次に、枚葉オフセット印刷機(UV乾燥ユニット付き)を用いて、藍色、紅色、黄色、墨色による4色印刷を行い、パターン層5を形成した。
このとき、基材フィルム3への密着性を得るため、ポリエステル樹脂を主成分とするUV乾燥型インキ(東洋インキ社製「FD Oニュー HW−PT」)を用いた。また、枚葉オフセット印刷の、版交換に時間がかからないという利点を生かし、数種類の印刷版を用意して印刷を行った。
上記のUVオフセット印刷を行った後、シルクスクリーン印刷によって隠蔽層7を設けた。
隠蔽層7を設けるシルクスクリーン印刷には、ポリエステル樹脂を主成分とする2液熱硬化型の白色インキ(帝国インキ社製 「IPX−675白」)を用い、乳剤の厚さが30μmであり、メッシュ数が100線/インチのシルクスクリーン版を用いて、二回のシルクスクリーン印刷を重ねて行うことで、隠蔽層7全体の厚さを30μmとした。
続いて、シルクスクリーン印刷によって接着層9を設けた。
ここで、接着層9を設けるためのシルクスクリーン印刷用の接着剤には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂を主成分とする接着剤(帝国インキ社製「IMB−003」)を用い、接着層9の厚さを4μmとした。
以上の工程によって形成された加飾フィルム1を成形金型23内に固定した。
ここで、加飾フィルム1を成形金型23内に固定する前に、位置合わせ穴29を、加飾フィルム1の端部(成形後にダミー部分19となる位置)に設けた。そして、位置合わせ穴29と成形金型23の固定ピン31とを合わせて、上記の位置合わせを行った。
なお、溶融樹脂を射出する前には、加飾フィルム1のプレフォームを、成形金型23内にて行った。
上記のプレフォームを行った加飾フィルム1を成形金型23に固定した状態で型閉めを行い、加飾フィルム1の接着層9側に、温度が240℃、射出速度が100mm/秒の条件にて、溶融したアクリル樹脂(三菱レイヨン社製 「アクリペット」)を射出した。
次に、射出した溶融樹脂を固化させて得られた中間加飾成形品15の、周囲に残ったバリをトリミングし、更に、ダミー部分19を断裁して除去し、バリ取りの仕上げを行って加飾成形品13を得た。
そして、以上のように製造した加飾成形品13と、加飾成形品13の製造方法により、オフセット印刷による細やかな階調性と、光輝感の両方を有する加飾フィルムを得ることが可能であることが検証された。
本発明の加飾成形品及びその製造方法を用いることにより、高精細な階調意匠と光輝感の両方を有するプラスチック成形品を、少数多柄であるとともに、短納期という条件で製造することが可能となる。
このような加飾成形品及びその製造方法は、携帯電話やパソコン等の電子機器を形成するプラスチック筐体の他、化粧品容器や玩具等のプラスチック成形品に対する、表面加飾への応用が可能である。
1 加飾フィルム
3 基材フィルム
4 光輝層
5 パターン層
7 隠蔽層
9 接着層
11 成形樹脂
13 加飾成形品
15 中間加飾成形品
17 加飾部
19 ダミー部分
21 挿通孔
23 成形金型
25 雌型
27 雄型
29 位置合わせ穴
31 固定ピン
33 注入口

Claims (4)

  1. 基材フィルムの面上に、光輝層、パターン層、隠蔽層の順、または前記パターン層、前記光輝層、前記隠蔽層の順で積層されて形成された加飾フィルムであって、
    前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはアクリルフィルムで形成され、
    前記光輝層及び前記隠蔽層は、シルクスクリーン印刷によって積層され、
    前記パターン層は、オフセット印刷によって積層されていることを特徴とする加飾フィルム。
  2. 前記光輝層は、少なくとも塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂とを混合した混合物、または少なくともポリエステル樹脂を混合した混合物で生成された透明インキに対し、雲母またはガラスの微粉末に酸化チタンを多層コーティングして生成されるパール顔料を質量比30%以下の割合で含む混合物で生成され、
    前記パターン層は、少なくとも顔料と紫外線硬化型樹脂を混合した混合物で生成され、
    前記隠蔽層は、少なくとも顔料と、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を混合した混合物、または少なくとも顔料とポリエステル樹脂を混合した混合物で生成され、
    前記隠蔽層の厚さは、20μm以上50μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載した加飾フィルム。
  3. 前記隠蔽層の面上に積層された接着層を備え、
    前記接着層は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つを含んで生成され、
    前記接着層の厚さは、3μm以上10μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した加飾フィルム。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載した加飾フィルムと、前記接着層の面上に積層された成形樹脂と、を備えた加飾成形品であって、
    前記加飾フィルムと前記成形樹脂は、インサート成形、または真空成形によって固着されていることを特徴とする加飾成形品。
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