JP2012204019A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL素子において、表面プラズモンによる光の損失を低減し、且つ素子内部での短絡を抑制する。
【解決手段】有機EL素子1は、一面にナノオーダーサイズの凹凸2’が設けられた金属層2と、金属層2の一面側に設けられた発光層31を含む複数の有機層3と、を備え、有機層3の各界面における凹凸の高さが、金属層2に設けられた凹凸2’より小さくなるように構成されている。この構成によれば、金属層2の一方面の凹凸2’により、表面プラズモンを伝搬光に変えて、光の損失を低減することができ、また、各有機層3の各界面の凹凸を、金属層2面上の凹凸2’より小さくすることにより、素子内部での短絡を抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の光取出し効率の向上に関する。
エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、陽極及び陰極で挟持させた発光層が透明基板上に形成されたものであり、電極間に電圧印加されたとき、発光層にキャリアとして注入された電子及びホールの再結合により生成された励起子によって発光する。EL素子は、発光層の蛍光物質に有機物を用いた有機EL素子と、無機物を用いた無機EL素子に大別される。特に、有機EL素子は、低電圧で高輝度の発光が可能であり、蛍光物質の種類によって様々な発光色が得られ、また、平面状の発光パネルとしての製造が容易であることから、各種表示装置やバックライトとして用いられる。更に、近年では、高輝度に対応したものが実現され、これを照明器具に用いることが注目されている。
図4に一般的な有機EL素子の断面構成を示す。有機EL素子101は、透光性を有する基板105上に、透光性を有する陽極層104が設けられ、この陽極層104の上に、ホール注入層133、ホール輸送層132と及び発光層131から成る有機層103が設けられる。また、有機層103上に、光反射性を有する陰極層102が設けられる。そして、陽極層104と陰極層102との間に電圧が印加されることによって、有機層103で発光した光は、陽極層104及び基板105を透過して取り出される。このような有機EL素子101において、陰極層102には、一般的に、高い光反射性及び導電性を有するアルミニウム(Al)や銀(Ag)等の金属材料が用いられる。
ところが、高い導電性を有する金属材料は、金属中の自由電子が集団的に振動して、擬似的な粒子として振る舞うプラズモンと呼ばれる状態となることが知られている。すなわち、金属材料の表面に対して、所定波長の光が入射すると、電子密度の疎密のパターンの波、すなわち表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが金属表面を伝搬して失活することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。つまり、図4に示した有機EL素子101においては、発光層131で発光した光(星印で示す)のうち、陰極層102に入射した光の一部は、陰極層102の表面を伝搬して失活してしまい(矢印で示す)、有効光として取出されず、光取出し効率が低下してしまうことがある。
表面プラズモンによる光の損失を抑制するためには、基板上にナノオーダーの凹凸を設け、その上に陽極層及び発光層を含む有機層、及び金属で形成される陰極層を積層し、各界面に凹凸状のコルゲート構造を形成することが考えられる(例えば、特許文献1参照)。この構成によれば、金属表面で発生した表面プラズモンが、凹凸状のコルゲート構造によって伝搬光に変わるので、表面プラズモンによる光の損失を抑制することができる。
有機EL討論会第10回例会予稿集S9−2
特開2009−9861号公報
しかしながら、上記特許文献1に示される凹凸状のコルゲート構造においては、全層の界面に凹凸が形成されているので、膜厚が不均一となり、短絡が発生し易く、この有機EL素子を組み込んだデバイスの信頼性を低下させる虞がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、金属表面で発生する表面プラズモンによる光の損失を抑制し、素子外への光取出し効率を向上させることができ、しかも素子内における短絡が発生し難く、信頼性の高い有機EL素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、一面にナノオーダーサイズの凹凸が設けられた金属層と、前記金属層の前記一面側に設けられた発光層を含む複数の有機層と、を備え、前記有機層の各界面における凹凸の高さが、前記金属層に設けられた凹凸より小さくなるように構成されていることを特徴とする。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記金属層の凹凸は、その高さが10〜200nmであり、その幅が該凹凸の高さ以上になるように形成されていることが好ましい。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記金属層は、前記有機層に電圧を印加する第1の電極層と成り、前記有機層を介して前記第1の電極層と対になる第2の電極層が形成されていることが好ましい。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記金属層は、前記有機層を形成するための基板と成ることが好ましい。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機層は、前記金属層の前記一面側に、絶縁層と、前記有機層に電圧を印加する第1の電極層とを介して設けられ、前記有機層の前記第1の電極層側とは反対側に、第2の電極層が設けられていることが好ましい。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記金属層は光反射性を有し、前記第1の電極層は透光性を有することが好ましい。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機層の各界面における凹凸の高さが、前記第2の電極層に近接するに従って小さくなるように形成されていることが好ましい。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機層又は前記第2の電極層は、塗布型材料で形成されることが好ましい。
本発明によれば、金属層の一方面の凹凸により、表面プラズモンを伝搬光に変えて、光の損失を抑制し、また、各有機層の各界面の凹凸を、金属層上の凹凸より小さくすることにより、素子内部での短絡を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の側断面図。 本発明の第2の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の側断面図。 本発明の第3の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の側断面図。 従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の側断面図。
本発明の第1の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)について、図1を参照して説明する。本実施形態の有機EL素子1は、一面にナノオーダーサイズの凹凸2’が設けられた金属層2と、この金属層2の一面側に設けられた複数の有機層31,32,33(これらを総称して有機層3という)と、を備える。これら有機層3には、発光層となる層(以下、発光層31)を含む。
有機EL素子1は、有機層3の各界面における凹凸31’,32’の高さが、金属層2に設けられた凹凸2’より小さくなるように構成されている。本実施形態において、金属層2は、有機層3に電圧を印加する第1の電極層と成り、有機層3を介して金属層2(第1の電極層)と対になる第2の電極層4が形成されている。また、これら金属層2、有機層3及び第2の電極層4は、基板5上に形成されている。有機層3は、発光層31、ホール輸送層32及びホール注入層33を備え、これらは上記の順で金属層2上に設けられている。この構成において、金属層2(第1の電極層)は、有機層3に電子を注入する陰極として、第2の電極層4は、ホール注入層33に正孔を注入する陽極として機能する。
本実施形態において、先ず基板5上に凹凸6(詳細は後述する)が形成され、凹凸6が形成された基板5上に、金属層2を構成する金属材料を蒸着等することにより、基板5の表面に膜厚が略均一な層が形成される。これにより、金属層2には、基板5と接する面とは反対側の面において、基板5上に形成された凹凸6と略同形状の凹凸2’が形成される。
基板5としては、例えば、ソーダガラスや無アルカリガラス等のリジッドな透明ガラス板が用いられるが、これらに限定されるものではない。例えば、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等のフレキシブルな透明プラスチック板、Al・銅(Cu)・ステンレス等から成る金属フィルム等、任意のものを用いることができる。
凹凸6を基板5上に形成する方法としては、例えば、基板5に予めUV硬化樹脂や熱可塑性樹脂を塗布しておき、UVナノインプリントや熱ナノインプリントによってナノオーダーサイズの凹凸6を設ける方法が挙げられる。また、例えば、基板5にシリカやフッ化マグネシウム等のナノ粒子を塗布する方法を用いることができる。なお、これらの方法によれば、凹凸6と基板5とが別部材として構成されるが、基板5が例えば、樹脂材料のような、表面加工を行える材料から形成されたものでれば、基板5自体に凹凸6を形成することができ、この場合、凹凸6と基板5とは一体として構成される。また、所望の形状の凹凸6を形成できる方法であれば、上述した方法に限られない。
凹凸6の高さや幅は、有機EL素子1を組み込むデバイスにおいて、特異的な波長依存性や出射角度依存性が要求される場合、均一又は周期的に設定されることが好ましい。一方、ブロードな波長及び全出射角度で、可能な限り均等に光取出し効率を向上させる場合、凹凸6の高さや幅は、ランダムに設定されることが好ましい。また、凹凸6の高さは、一般的な有機層3の膜厚10〜200nmより小さいことが好ましく、特に10〜100nm以下であることが好ましい。凹凸6の幅は、凹凸6の高さ以上であることが好ましい。
このように設定された、凹凸6の高さや幅は、基板5上に金属層2が略均一に設けられることにより、金属層2の有機層3(発光層31)と接する界面における凹凸2’に反映される。つまり、金属層2の凹凸2は、高さが10〜200nmで、幅が凹凸2’の高さ以上になるように形成されることになる。凹凸2の高さが10nm未満では、表面プラズモンによる光の損失を低減する効果を期待できず、また、凹凸2の高さが200nmを越えると、有機層の膜厚よりも高くなり、素子内における短絡が発生し易くなる。また、凹凸2の幅が、高さよりも短いと、やはり、素子内における短絡が発生し易くなる。従って、金属層2の凹凸2は、高さが10〜200nmで、幅が凹凸2’の高さ以上になるように形成されることによって、光の損失を低減し、且つ短絡を抑制することができる。
金属層2(第1の電極(陰極))を構成する材料としては、AlやAg、又はこれら金属を含む化合物を用いることができる。また、Alと他の電極材料を組み合わせて積層構造等として構成するものであってもよい。このような電極材料の組み合わせとしては、アルカリ金属とAlとの積層体、アルカリ金属と銀との積層体、アルカリ金属のハロゲン化物とAlとの積層体、アルカリ金属の酸化物とAlとの積層体、アルカリ土類金属や希土類金属とAlとの積層体、これらの金属種と他の金属との合金等が挙げられる。具体的には、ナトリウム(Na)、Na−カリウム(K)合金、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)等とAlとの積層体、Mg−Ag混合物、Mg−インジウム混合物、Al−Li合金、LiF/Al混合物/積層体、Al/Al混合物等が挙げられる。また、上記に列挙したもの以外についても、金属層2(陰極)から発光層31への電子注入を促進させる層、すなわち電子注入層(不図示)を陰極と発光層の間に挿入させることが好ましい。電子注入層を構成する材料としては、上記の金属層2を構成する材料と共通のもの、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、上記材料を含めて、電子注入を促進させるドーパントを混合した有機半導体材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、基板5上に凹凸6を形成しなくても、基板5上に金属層2を形成した後に、金属層2の表面にナノオーダーサイズの凹凸を形成してもよい。例えば、金属層2にAgを用いて熱により凝集させたり、AlやAgといった金属表面にモールドを押し付けて凹凸構造を転写してもよい。
本実施形態においては、基板5上に金属層2を設け、この金属層2(第1の電極層(陰極))上に発光層31等を含む有機層3と、第2の電極層4(陽極)とを順次積層させる。また、第2の電極層4は透光性を有する導電性材によって形成され、また、金属層2(第1の電極層)は、光反射性を有する材料によって形成される。この構成においては、有機層3(発光層31)直接又は金属層2で反射されて、第2の電極層4を透過して、有機EL素子1外へ取出される。
ここで、有機層3及び第2の電極層4は、塗布型材料で形成されることが好ましい。こうすれば、スピンコート、スプレーコート、ダイコート、グラビア印刷等の塗布によって有機層3及び第2の電極層4を成膜することができ、効率的に複数の層を形成することができる。また、塗布によれば、有機層3の各界面における凹凸31’,32’の高さが、金属層2の凹凸2’の高さよりも小さく、第2の電極層4に近接するに従って小さくなるように形成することができる。すなわち、金属層2の凹凸2’となった面上に、発光層31を構成する有機材料を塗布したとき、金属層2の凹状となった部分に、有機材料が溜まるので、発光層31の膜厚が、金属層2の凸状となった部分よりも、若干ながら厚くなり、その結果、発光層31の凹凸31’の表面は、金属層2の凹凸2’の表面よりも凹凸が小さくなる。同様に、ホール輸送層32の凹凸32’の表面は、発光層31の凹凸31’の表面よりも平滑になり、第2の電極層4に近接する層ほど、その表面が平滑になる。こうすれば、第2の電極層4と、有機層3における第2の電極層4と接する層(本例ではホール注入層33)との界面は、平坦になり、この界面における短絡を効果的に抑制することができる。
発光層31を構成する有機EL材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したもの等や、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、ピラン、キナクリドン、ルブレン、及びこれらの誘導体、又は、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、及びこれらの発光性化合物から成る基を分子の一部分に有する化合物等が挙げられる。また、上記化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、いわゆる燐光発光材料、例えば、Ir錯体、Os錯体、Pt錯体、ユーロピウム錯体等々の発光材料、又はそれらを分子内に有する化合物若しくは高分子も好適に用いることができる。これらの材料は、必要に応じて、適宜選択して用いることができる。
ホール輸送層32を構成する材料としては、LUMOが小さい低分子〜高分子材料を用いることができる。このものとしては、例えば、ポリビニルカルバゾール(PVCz)や、ポリピリジン、ポリアニリン等の側鎖や主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体等の芳香族アミンを含むポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホール注入層33を構成する材料としては、チオフェン、トリフェニルメタン、ヒドラゾリン、アリールアミン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニルアミン等を含む有機材料が挙げられる。具体的には、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、TPD等の芳香族アミン誘導体等で、上記材料を単独で用いてもよく、また二種類以上の材料を組み合わせて用いてもよい。
第2の電極層4(陽極)を構成する導電性物質としては、Ag、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、錫酸化物、Au等の金属の微粒子、導電性高分子、導電性の有機材料、ドーパント(ドナー又はアクセプタ)含有有機層、導電体と導電性有機材料(高分子含む)の混合物、これら導電性材料と非導電性材料の混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、非導電性材料としては、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、導電性を高めるために、スルホン酸、ルイス酸、プロトン酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のドーパントを用いたドーピングを行ってもよい。なお、ドーパントについても、これらに限定されるものではない。
また、上記のような導電性材料に加えて、AgやCu等の金属材料やカーボン等の導電性材料を細線形成したグリッド構造(メッシュ構造)のものを用いてもよい。細線幅のサイズとしては、導電性及び透光性の観点から、1〜100μm程度であることが好ましい。なお、細線幅間隔、細線アスペクト比についても任意のものを用いることができる。これらのグリッド構造は上記を含む導電性ペーストをスクリーン印刷等を用いて形成することができるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態によれば、金属層2(第1の電極層)の表面にナノオーダーサイズの凹凸2’を設けたので、金属表面で発生する表面プラズモンを伝搬光に変えて表面プラズモンによる光の損失を抑制し、素子外への光取出し効率を向上させることができる。また、有機層3の各層の界面での凹凸が、金属層2の凹凸2’よりも小さいので、素子内部での短絡を抑制することができる。更に、有機層3又は第2の電極層4に塗布材料を用いて、塗布プロセスを実施することにより、金属層2の凹凸2’よりも各有機層3界面での凹凸を小さくすることができる。
図4に示したような、一般的な有機EL素子101は、基板105上に、透光性を有する陽極層104を形成し、この上に有機層103等を形成することにより作成される。この場合、陽極層104上に有機層103を形成する工程において、短絡を抑制するため、陽極層104上の表面粗さを低減する必要がある。一般的に、陽極部分は発光エリアを規定するため、及び陰極層102との短絡を防ぐために、パターニング形成される。このパターニングには、膜形成後のバンク形成やエッチング、スクリーン印刷等による印刷パターニングの方法がある。通常、バンク形成やエッチングには、レジスト塗布、現像液、レジスト剥離液への浸漬の工程があり、ウェットプロセスで形成された陽極はダメージを受け易く、陽極としての特性が低下する虞がある。これに対して、印刷によるパターニングでは、例えば、スクリーン印刷を用いた場合は、版メッシュに起因する表面凹凸が発生することがある。また、グラビア印刷やスリットダイコート等を用いた場合は、塗り始めと塗り終わりに膜厚段差が発生することがある。これらの表面粗さや膜厚段差は、陽極層104の上部に有機層103を積層して有機EL素子101を形成した場合に、短絡を発生させる原因となる。
上述した何れの印刷においても、印刷インクの粘度を低下させれば、塗布後のレベリング性を改善することができる。しかしながら、粘度を低下させれば、厚膜化が困難になる。一般に、ウェットプロセスで形成する電極材料として、頻用される高導電タイプPEDOT:PSS等の導電性高分子材料を用いた場合、膜厚100〜200nm程度のITO等の透明酸化物導電膜と同等の導電性を得ようとすると、500〜1000nm程度の膜厚が必要となる。従って、この種の導電性高分子材料を用いた場合、印刷インクの粘度を安易に低くできないことがある。また、導電性の高い材料の場合、比較的薄膜化が容易なので、印刷インクの粘度を低くすることができるが、この場合、下地との濡れ性の問題やにじみ等の問題があり、安定的に陽極層104を形成することが容易ではない。
これに対して、本実施形態の有機EL素子1は、図1に示したように、基板5に陰極及び光反射層として機能する金属層2から形成するものであり、通常の素子形成順序とは逆の積層構造になっている。つまり、陽極として機能する第2の電極4を、有機層3を形成した後に形成する。こうすれば、第2の電極層4の表面粗さによって、有機層3がダメージ等を受ける虞がなく、効果的に短絡を抑制することができる。また、この有機EL素子1を組み込んだデバイスの信頼性を向上させることができる。
また、基板5として、フレキシブルな材料から構成され、ロール状に巻かれた状態で供給される帯状のシート材を用いることもできる。この場合、帯状の基板5上に金属層2を形成し、その上に、有機層3をスリットコータ等によって連続的に形成し、更に、第2の電極層4を夫々スクリーン印刷等によって定間隔で形成し、形成後、再びロール状に巻き取り回収する。こうすれば、いわゆるロールツーロール方式により、複数の有機EL素子1が連続的に形成された発光シートロール(不図示)を作成することができる。そして、この発光ロールシートを所定隔で裁断すれば、複数の有機EL素子1を、短時間で数多く製造することができる。特に、近年では、発光層31の複層化や、それらの間に電荷調整層を配置する等、有機層3が多層化される傾向にあり、ロールツーロール方式による有機層3の形成は、上述したような多数層から成る有機層を、同時に数多く製造することができ、プロセスコストを低減させることができる。
ところで、上述したような塗布プロセスで各有機層3を積層した場合、上層に形成された有機層3(例えばホール輸送層32)が、下地の有機層3(例えば発光層31)を溶解させてしまうことがある。また、有機層3の濡れ性が悪い等により、ある有機層3上に次層の塗布溶液が均一に広がらないことがある。そこで、本実施形態においては、例えば、膜厚について、次層の形成により溶解する分量を予め考慮に入れて、先層の膜厚を狙いの膜厚以上に形成することが好ましい。また、濡れ性の改善するため、塗布溶液に濡れ性を向上させる溶媒(アルコール等)を添加することが好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)について、図2を参照して説明する。本実施形態の有機EL素子1は、有機層3を形成するための基板として、金属層2を有するものである。つまり、上記第1の実施形態における基板5の機能が、金属層2に組み込まれている。また、金属層2の一面には、上記第1の実施形態と同様の手法により、凹凸2’が形成されている。他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
この構成によれば、第1の電極層(陰極)として機能する金属層2が露出しているので、給電用の配線等を接続するための電極取出し部を、金属層2のいずれの箇所にも設けることができる。また、金属層2(基板)に、金属箔のような、フレキシブルな金属を使用すれば、バリアフィルムよりも安価で同等の封止をすることができ、製造コストを大幅に削減することができる。なお、金属層2(基板)にフレキシブルな金属を用いた場合、金属層2の表面に凹凸2’を形成する方法としては、例えば、巻き取りロールにナノオーダーサイズの凹凸構造を形成し、そこにフレキシブルな金属層2を通過させればよい。こうすれば、金属層2の表面に凹凸2’を簡易に形成することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)について、図3を参照して説明する。本実施形態の有機EL素子1は、金属層2の一面側に、絶縁層8と、第1の電極層9とを介して設けられ、金属層2は基板5上に設けられている。有機層3の、第1の電極層9側とは反対側に、第2の電極層4が設けられる。また、金属層2は光反射性を有し、第1の電極層9は透光性を有する。すなわち、本実施形態においては、金属層2は、光反射層として機能し、第1の電極層9が、有機層3に電圧を印加する陰極としての機能する。また、上記第1の実施形態と同様に、金属層2の一面には、凹凸2’が形成されているが、第1の電極層9は、絶縁層8を介して設けられているので、第1の電極層9の凹凸9’の高さは、金属層2の凹凸2’よりも小さくなっている。他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
この構成によれば、第1の電極層9の凹凸9’の高さが、金属層2の凹凸2’よりも小さくなっているので、より確実に短絡を抑制することができる。また、第1の電極層9が透光性を有するので、発光層31で発光した光のうち、第1の電極層9側へ出射された光は、第1の電極層9を透過して、金属層2に入射する。このとき、金属層2には、ナノオーダーの凹凸2’が設けているので、金属表面で発生する表面プラズモンを伝搬光に変えて表面プラズモンによる光の損失を抑制し、素子外への光取出し効率を向上させることができる。
次に、上述した実施形態の実施例について、比較例と対比しながら具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1は、図1に示した第1の実施形態に係る有機EL素子1に対応するものである。基板5として、厚み0.7mmの無アルカリガラス板(No.1737;コーニング製)を用い、その上に熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)を塗布した。その後、深さ50nm、ピッチ200nmの三角溝が形成されたモールドを用い、PMMAのガラス転移温度である105℃以上に昇温してモールドをプレスし、冷却後モールドと基板5と引き離すことによりモールドのパターンを樹脂に転写することで、基板5上に、高さ50nm、ピッチ200nmの三角溝形状の微細な凹凸6を形成した。
真空蒸着法により、凹凸6が形成された基板5上に、金属層2として、アルミニウムを80nmの厚みで成膜して、これを陰極とした。このとき、原子間力顕微鏡(AFM)により陰極表面を確認したところ、高さ50nm、ピッチ200nmの三角溝形状の微細な凹凸2’が形成されていることが確認された。
次に、赤色高分子(アメリカンダイソース社製「Light Emitting polymer ADS111RE」)をテトラヒドロフタン(THF)溶媒に1wt%になるよう溶解した溶液を、金属層2(陰極)上に膜厚が約200nmになるようにスピンコータで塗布し、100℃で10分間焼成することによって発光層31を得た。次に、TFB(Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(4,4’-(N-(4-sec-butylphenyl))diphenyl amine);アメリカンダイソース社製「Hole Transport Polymer ADS259BE」)をTHF溶媒に1wt%になるよう溶解した溶液を、発光層31の上に、膜厚約12nmになるようにスピンコータで塗布して、TFB被膜を作製し、これを200℃で10分間焼成することによって、ホール輸送層32を得た。このホール輸送層32上に、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS;スタルクヴィテック社製「Baytron P AI 4083」、PEDOT:PSS=1:6)とイソプロピルアルコールを1:1で混合した溶液を、PEDOT−PSSの膜厚が30nmになるようにスピンコータで塗布し、150℃で10分間焼成することにより、ホール注入層33を得た。更に、ホール注入層33上に、ITOナノ粒子(粒子径約40nm;シーアイ化成社製ITCW15wt%-G30)にメチルセルロース(信越化学社製60SH)を5wt%混合した溶液を、スクリーン印刷機を用いて膜厚が300nm程度になるようパターン形成し、120℃15分間乾燥することにより第2の電極層4(陽極)を形成して、有機EL素子1を作製した。
(実施例2)
実施例2は、図2に示した第2の実施形態に係る有機EL素子1に対応するものである。金属層2(基板)としてアルミ箔(約30μm厚)を用いて、平滑面側に、実施例1と同じモールドをプレスすることで、実施例1と同一の三角溝形状の微細な凹凸2’をアルミ箔上に形成し、そのアルミ箔上に発光層31を実施例1と同一の方法で形成した。これ以外は、実施例1と同様にして有機EL素子1を作製した。
(実施例3)
実施例3は、図3に示した第3の実施形態に係る有機EL素子1に対応するものである。基板5として、厚み0.7mmの無アルカリガラス板(No.1737;コーニング製)を用い、その上に熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)を塗布した。その後、深さ50nm、ピッチ200nmの三角溝が形成されたモールドを用い、PMMAのガラス転移温度である105℃以上に昇温してモールドをプレスし、冷却後モールドと基板5と引き離すことによりモールドのパターンを樹脂に転写することで、基板5上に高さ50nm、ピッチ200nmの三角溝形状の微細な凹凸6を形成した。次に、真空蒸着法により、凹凸6が形成された基板5上に、アルミニウムを80nmの厚みで成膜し金属層2を反射層として形成し、その上に、PMMAを100nm塗布してこれを硬化させて絶縁層8を形成した。更に、この上にIZOをスパッタ法で100nm形成して、これを第1の電極層9(第1の電極層)とした。有機層3及び第2の電極層4は、実施例1と同様にして作成し、これにより有機EL素子1を作製した。
(比較例1)
基板として厚み0.7mmの無アルカリガラス板(No.1737;コーニング製)を用い、三角溝形状の微細な凹凸6を形成することなく、真空蒸着法により、基板上にアルミニウムを80nmの厚みで成膜して陰極とした。これ以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例2)
基板としてアルミ箔(約30μm厚)を用い、これにモールドのプレスをすることなく、平滑な面に、発光層31を形成した。これ以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例3)
基板として厚み0.7mmの無アルカリガラス板(No.1737;コーニング製)を用い、三角溝形状の微細な凹凸6を形成することなく、真空蒸着法により、基板上にアルミニウムを80nmの厚みで成膜して陰極とした。これ以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
(評価)
各実施例及び比較例として作成された有機EL素子において、電極間に電流密度が10mA/cmとなるように電流を流し、大気放射光を積分球によって計測した。そして、これらの計測結果に基づいて大気放射光の外部量子効率を算出した。外部量子効率は、発光層31内に注入され再結合した電子の数に対して放射される光子の割合であり、大気放射光の外部量子効率は有機EL素子の印加電流と大気放射光量から算出される。実施例1〜3、及び比較例1〜3の外部量子効率を算出し、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3の夫々の比を下記の表1に示す。
Figure 2012204019
表1に示したように、実施例1〜3は、夫々比較例1〜3と比較して、外部量子効率比において優れていることが確認された。また、電圧2V印加時の電流値は、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3において、夫々ほぼ同等の電流値であり、実施例1〜3は、金属層2の表面に凹凸2’が形成されているにも拘わらず、短絡が抑制されていることが確認された。
つまり、金属層2の一方面にナノオーダーサイズの凹凸2’を設け、この上に有機層3等を積層することにより、金属層2の表面で発生する表面プラズモンを伝搬光に変えて、表面プラズモンによる光の損失を抑制することができる。すなわち、電極層又は光反射層に、金属材料を用いた場合においても、その金属材料の表面に入射した光は、表面プラズモンによって損失され難く、その多くが他方側へ反射されて、素子外へ取出されるので、光取出し効率が向上する。また、各有機層3の各界面の凹凸を、金属層2面上の凹凸2’より小さくすることにより、素子内部での短絡を抑制することができる。
なお、本発明は、一面にナノオーダーサイズの凹凸2’が設けられた金属層2の一面側に、複数の有機層3が設けられ、有機層3の各界面における凹凸の高さが、金属層2に設けられた凹凸2’より小さくなるように構成されていれば、上述した構成に限られない。例えば、発光層31の光取出し方向に、光取出し効率を向上させるための粒子を分散させた光取出し層が形成されていてもよい。
1 有機EL素子
2 第1の電極層(又は反射層)
2’ 凹凸
3 有機層
31 発光層
31’ 凹凸
32 有機層(ホール輸送層)
32’ 凹凸
33 有機層(ホール注入層)
4 第2の電極層
5 基板
6 凹凸
8 絶縁層
9 第1の電極層
9’ 凹凸

Claims (8)

  1. 一面にナノオーダーサイズの凹凸が設けられた金属層と、前記金属層の前記一面側に設けられた発光層を含む複数の有機層と、を備え、
    前記有機層の各界面における凹凸の高さが、前記金属層に設けられた凹凸より小さくなるように構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記金属層の凹凸は、その高さが10〜200nmであり、その幅が該凹凸の高さ以上になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記金属層は、前記有機層に電圧を印加する第1の電極層と成り、前記有機層を介して前記第1の電極層と対になる第2の電極層が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記金属層は、前記有機層を形成するための基板と成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記有機層は、前記金属層の前記一面側に、絶縁層と、前記有機層に電圧を印加する第1の電極層とを介して設けられ、
    前記有機層の前記第1の電極層側とは反対側に、第2の電極層が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記金属層は光反射性を有し、前記第1の電極層は透光性を有することを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記有機層の各界面における凹凸の高さが、前記第2の電極層に近接するに従って小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記有機層又は前記第2の電極層は、塗布型材料で形成されることを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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