JP2012207228A - 蛍光体及びそれを使用した発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高輝度の複合窒化物又は酸窒化物蛍光体を提供する。
【解決手段】窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体において、該蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気伝導度が50mS/m以下である窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体。励起光源と、該励起光源からの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体とを有する発光装置において、該蛍光体として、この蛍光体を用いた発光装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物又は酸窒化物を母体とする高輝度の蛍光体に関する。本発明はまた、この蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びにその発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置に関する。
蛍光体は、蛍光灯、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、可視光線、電子線などの高いエネルギーを有する励起源により励起されて、紫外線、可視光線、赤外線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に長時間曝されると、蛍光体の輝度が低下するという問題があった。
そこで、近年、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ホウ酸塩蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、三元系以上の窒化物について多くの新規物質が合成されている。特に最近、窒化珪素をベースとした多成分窒化物や酸窒化物において優れた特性を有する蛍光体が開発されている。
特許文献1には、一般式MSi:Eu[ここでMはCa,Sr,Baからなる群から選択される少なくとも一つのアルカリ土類金属元素であり、かつz=2/3x+4/3yである]で表される蛍光体が開示されている。これらの蛍光体は、アルカリ土類金属メタルを窒化してアルカリ土類金属の窒化物を合成し、これに窒化珪素を加えて合成するか、又はアルカリ土類金属及び珪素のイミドを原料としてN又はAr気流中で加熱することによって合成されている。いずれも空気や水分に敏感なアルカリ土類金属メタルを原料として使用しなくてはならず、工業的な大量合成には問題があった。
また、特許文献2には、構造M16Si1532のオキシニトリド、構造MSiAl、M13Si18Al121836、MSiAlON及びMSiAlON10のサイアロンから由来する酸窒化物蛍光体が開示されている。特に、MがSrの場合に、SrCOとAlN、Siとを1:2:1の割合で混合し、還元雰囲気中(N/H)で加熱し、SrSiAl:Eu2+が得られたことが記載されている。
この場合、得られる蛍光体は、酸窒化物のみであり、酸素を含まない窒化物は得られていない。
また、上記窒化物又は酸窒化物蛍光体は、使用される原料粉末の反応性がいずれも低いことから、焼成時に原料混合粉末の間の固相反応を促進する目的で高温において圧縮成形した状態、すなわち原料粉末間の接触面積を多くして加熱されるために、非常に硬い焼結体の状態で合成される。よって、この様にして得られた焼結体は蛍光体の使用目的に適した微粉末状態まで粉砕する必要がある。ところが、硬い焼結体からなる蛍光体を通常の機械的粉砕方法、例えばジョークラッシャーやボールミルなどを使用して長時間と多大なエネルギーをかけて粉砕すると、蛍光体の結晶母体中に多数の欠陥を発生させてしまい、蛍光体の発光強度を著しく低下させてしまうという不都合が生じていた。
このために、加熱時に圧縮成形せずに粉末状態で焼成する方法が試みられたが、低温では原料の窒化物粉末間での固相反応が促進せずに目的の蛍光体が生成しないため、1800℃以上の高温で蛍光体を合成する必要があった。ところが、この様な高温での焼成時には窒化物原料からの窒素の脱離を伴う分解反応が起こるという不都合が発生するために、それを抑制する目的で5気圧以上の窒素ガス雰囲気下で焼成する必要があり、高い焼成エネルギーが必要とされるだけでなく、非常に高価な高温高圧焼成炉が必要となり、蛍光体の製造コストを上昇させる原因となっていた。
また、酸素濃度の低い窒化物を合成する際には、アルカリ土類金属酸化物の原料粉末を使用する代わりに窒化カルシウム(Ca)、窒化ストロンチウム(Sr)などアルカリ土類金属窒化物を使用することが必要であるが、一般に2価の金属窒化物は水分含有雰囲気下で不安定であり、水分と反応して水酸化物を生成しやすく、特にSrの場合はこの傾向が著しい。このため、合成される蛍光体に含有される酸素濃度を低く抑えることが難しかった。
このようなことから、これらの金属窒化物を原料として使用しない新たな製造方法が求められていた。
近年、金属を出発原料とした窒化物蛍光体の製造方法に関し、特許文献3が報告された。特許文献3には窒化アルミニウム系蛍光体の製造方法の一例が開示され、原料として、遷移元素、希土類元素、アルミニウム及びその合金が使用できる旨が記載されている。しかし、実際に合金を原料として用いた実施例は記載されておらず、Al源としてAl金属を用いることを特徴としている。また、原料に着火し、瞬時に高温(3000K)まで上昇させる燃焼合成法を用いる点で、本発明と大きく異なり、この方法で高特性の蛍光体を得ることは困難であると推測される。すなわち、瞬時に3000Kという高温まで昇温させる方法では付活元素を均一に分布させることは出来ず、特性の高い蛍光体を得ることは困難である。また、合金原料から得られるアルカリ土類元素を含む窒化物蛍光体、更に珪素を含む窒化物蛍光体に関する記載は無い。
特表2003−515665号公報 特開2003−206481号公報 特開2005−54182号公報
合金を原料として窒化物あるいは酸窒化物を母体とする蛍光体を製造する新規な方法において、さらに高輝度な蛍光体の提供を可能とする技術が求められている。
本発明は、簡便な手法により、蛍光体の輝度を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明者等は、合金を原料として製造された窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体において、この蛍光体を必要に応じて粉砕、分級し、当該蛍光体の10倍の重量の水に分散させた後、1時間静置して得られる上澄み液中の溶解イオンの量の指標である電気伝導度と、蛍光体の発光効率とに相関関係があることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の(1)〜(7)を要旨とするものである。
(1) 下記一般式[2]で表される窒化物蛍光体であって、Cu−Kα線(1.54184Å)を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θが35.5゜〜37゜の範囲における最強ピークの高さImaxに対する、2θ=33.2゜±0.2゜のピークの高さIの強度比をI=(I×100)/Imaxとするとき、Iが3以下であることを特徴とする窒化物蛍光体。
1’ a’Srb’Cac’Ale’Sif’g’ [2]
(但し、a’、b’、c’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0.6≦b’≦0.99999
0≦c’<1
a’+b’+c’=1
0.8≦e’≦1.2
0.8≦f’≦1.2
2.5≦g’≦3.5
1’はEu及び/又はCeを表す。)
(2) M1’がEuである(1)に記載の窒化物蛍光体。
(3) 0.7≦b’≦0.99999である(1)又は(2)記載の窒化物蛍光体。
(4) 酸素を5重量%以下含有する(1)ないし(3)のいずれかに記載の窒化物蛍光体。
(5) (1)ないし(4)のいずれかに記載の蛍光体と液状媒体とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物。
(6) 励起光源と、該励起光源からの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体とを有する発光装置において、該蛍光体が(1)〜(4)のいずれかの蛍光体であることを特徴とする発光装置。
(7) (6)に記載の発光装置を有することを特徴とする画像表示装置。
(8) (6)に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
本発明によると、簡便な手法により、蛍光体の輝度を向上させることができる。
また、この蛍光体を含有する組成物を用いることによって、発光効率の高い発光装置を得ることができる。この発光装置は、画像表示装置や照明装置等の用途に好適に用いられる。
本発明の発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。 本発明の発光装置を用いた面発光照明装置の一例を示す模式的断面図である。 本発明の発光装置の他の実施の形態を示す模式的な斜視図である。 実施例3の洗浄後の蛍光体の発光スペクトルを示すチャートである。 実施例3の洗浄後の蛍光体の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 比較例1の未洗浄の蛍光体の粉末X線回折パターンを示すチャートである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[蛍光体の組成]
本発明の窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の組成については特に制限はないが、以下に例を挙げて説明する。
本発明の蛍光体は、好ましくは付活元素Mと、少なくともSiを含む4価の金属元素Mと、Si以外の金属元素の1種類以上とを含むものであって、詳しくは、本発明の蛍光体は、付活元素M、2価の金属元素M、及び少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含むものである。例えば、SrSi:Eu,Ce等が挙げられる。ここで、Si以外の金属元素としては、アルカリ土類金属元素が好ましい。
本発明の蛍光体は、また、付活元素M、2価の金属元素M、3価の金属元素M、及び少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含むことができ、下記一般式[1]で表される窒化物又は酸窒化物を母体とすることが好ましい。
[1]
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5 )
付活元素Mとしては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を構成する結晶母体に含有可能な各種の発光イオンを使用することができるが、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素を使用すると、発光特性の高い蛍光体を製造することが可能なので好ましい。また、付活元素MとしてはMn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にCe及び/又はEuを含むことが高輝度の赤色発光を示す蛍光体を得ることができるので更に好ましい。また、輝度を上げることや蓄光性を付与するなど様々な機能を持たせるために、付活元素MとしてはCe及び/又はEu以外に共付活剤を1種又は複数種含有させても良い。
付活元素M以外の元素としては、各種の2価、3価、4価の金属元素が使用可能であるが、2価の金属元素MがMg、Ca、Sr、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素、3価の金属元素MがAl、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素、4価の金属元素MがSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素であることが、発光特性の高い蛍光体を得ることができるので好ましい。
また、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をCa及び/又はSrとするのがより好ましく、90モル%以上をCa及び/又はSrとするのが更に好ましく、Mの全てをCa及び/又はSrとするのが最も好ましい。
また、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をAlとするのが好ましく、90モル%以上をAlとするのがより好ましく、Mの全てをAlとするのが最も好ましい。
また、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をSiとするのが好ましく、90モル%以上をSiとするのがより好ましく、Mの全てをSiとするのが好ましい。
特に、Mの50モル%以上がCa及び/又はSrであり、かつ、Mの50モル%以上がAlであり、かつ、Mの50モル%以上がSiとなるようにすることにより、発光特性が特に高い蛍光体が製造できるので好ましい。
また、前記一般式[1]におけるa〜fの数値範囲の好適理由は次の通りである。
aが0.00001より小さいと十分な発光強度が得られない傾向にあり、aが0.15より大きいと濃度消光が大きくなって発光強度が低くなる傾向にある。従って、aは0.00001≦a≦0.15の範囲となるように原料を混合する。同様の理由で、0.0001≦a≦0.1が好ましく、0.001≦a≦0.05がより好ましく、0.002≦a≦0.04がさらに好ましく、0.004≦a≦0.02とするのが最も好ましい。
aとbの合計は、蛍光体の結晶母体中において付活剤Mが金属元素Mの原子位置を置換するので、1となるように原料混合組成を調整する。
cが0.5より小さい場合も、cが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、cは0.5≦c≦1.5の範囲となるように原料を混合する。発光強度の観点からも0.5≦c≦1.5が好ましく、0.6≦c≦1.4がより好ましく、0.8≦c≦1.2が最も好ましい。
dが0.5より小さい場合も、dが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、dは0.5≦d≦1.5の範囲となるように原料を混合する。また、発光強度の観点からも0.5≦d≦1.5が好ましく、0.6≦d≦1.4がより好ましく、0.8≦d≦1.2が最も好ましい。
eは窒素の含有量を示す係数であり、
Figure 2012207228
となる。この式に0.5≦c≦1.5,0.5≦d≦1.5を代入すれば、eの範囲は
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式[1]で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
前記一般式[1]で表される蛍光体中の酸素は、原料金属中の不純物として混入する場合、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。酸素の割合であるfは蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で0≦f≦0.5が好ましい。
前記一般式[1]で表される蛍光体の中でも、下記一般式[2]で表される蛍光体とすることができる。
1’ a’Srb’Cac’2’ d’Ale’Sif’g’ [2]
(但し、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0.1≦b’≦0.99999
0≦c’<1
0≦d’<1
a’+b’+c’+d’=1
0.5≦e’≦1.5
0.5≦f’≦1.5
0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
ここで、M1’は前記一般式[1]におけるMと同様に、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選ばれる付活元素を表す。付活元素M1’としては中でも、Mn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にEu及び/又はCeを含むことが好ましい。
2’はMg及び/又はBaを表し、好ましくはMgである。Mgを含有させることにより、蛍光体の発光波長を長波にすることができる。
a’の範囲は、通常0.00001≦a’≦0.15であり、好ましくは0.001≦a’≦0.05、より好ましくは0.002≦a’≦0.01である。
b’の範囲は、通常0.1≦b’≦0.99999であり、好ましくは0.6≦b’≦0.99999、より好ましくは0.7≦b’≦0.99999である。
c’の範囲は、通常0≦c’<1であり、好ましくは0≦c’≦0.5、より好ましくは0≦c’≦0.3である。
dの範囲は、通常0≦d’<1であり、好ましくは0≦d’≦0.5、より好ましくは0≦d’≦0.2である。
a’、b’、c’、d’相互の関係は通常、
a’+b’+c’+d’=1
を満足する。
e’の範囲は通常、0.5≦e’≦1.5であり、好ましくは0.8≦e’≦1.2、より好ましくは0.9≦e’≦1.1である。
f’の範囲は通常、0.5≦f’≦1.5であり、好ましくは0.8≦f’≦1.2、より好ましくは0.9≦f’≦1.1である。
g’の範囲は、通常
0.8(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’)であり、好ましくは0.9×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.1×(2/3+e’+4/3×f’)、より好ましくは、2.5≦g’≦3.5である。
以下に、一般式[2]においてb’の値が、0.6≦b’≦0.99999の範囲であり、かつ、d’=0である蛍光体、すなわち、Sr置換量が多い蛍光体を「SCASN蛍光体」と略記する。
本発明の蛍光体に含まれる酸素は、原料金属中の不純物として混入するもの、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に混入するものなどが考えられる。
酸素の含有量は蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。蛍光体の酸素含有量は後述する洗浄により減少する傾向がある。
蛍光体の組成の具体例としては、(Sr,Ca,Mg)AlSiN:Eu、(Sr,Ca,Mg)AlSiN:Ce、(Sr,Ca)Si:Eu、(Sr,Ca)Si:Ce等が挙げられる。
[蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体を製造するには、例えば下記一般式[3]の組成となるように、原料となる金属やその合金を秤量し、これを融解させて合金化して蛍光体原料用合金を製造し、次いでこの蛍光体原料用合金の粉砕、窒化、洗浄を行う。その際、例えばSiとアルカリ土類金属元素を含む合金を製造する場合であれば、高融点(高沸点)のSi金属及び/又はSiを含む合金を融解させた後、低融点(低沸点)のアルカリ土類金属を融解させることが好ましい。
[3]
(但し、M、M、M、M、a、b、c、dはそれぞれ前記一般式[1]におけると同義である。)
〈原料金属の純度〉
合金の製造に使用する金属の純度は、合成される蛍光体の発光特性の点から、付活元素Mの金属原料としては不純物が0.1モル%以下、好ましくは0.01モル%以下まで精製された金属を使用することが好ましい。付活元素MとしてEuを使用する場合には、Eu原料としてEu金属を使用することが好ましい。付活元素M以外の元素の原料としては、2価、3価、4価の各種金属等を使用するが、同様の理由から、いずれも含有される不純物濃度は0.1モル%以下が好ましく、0.01モル%以下の高純度の金属原料を使用することが発光特性の高い蛍光体を製造できる点で好ましい。
〈原料金属の形状〉
原料金属の形状に制限は無いが、通常、直径数mmから数十mmの粒状又は塊状のものが用いられる。
2価の金属元素Mとしてアルカリ土類金属を用いる場合、その原料としては、粒状、塊状など形状は問わないが、原料の化学的性質に応じて適切な形状を選択するのが好ましい。例えば、Caは粒状、塊状のいずれでも大気中で安定であり、使用可能であるが、Srは化学的により活性であるため、塊状の原料を用いることが好ましい。
〈原料金属の融解〉
原料金属の融解にあたっては、特に、Siと2価の金属元素Mとしてアルカリ土類金属元素を含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次の問題点がある。
Siの融点は1410℃であり、アルカリ土類金属の沸点と同程度である(例えば、Caの沸点は1494℃、Srの沸点は1350℃、Baの沸点は1537℃である)。特に、Srの沸点がSiの融点より低いため、SrとSiを同時に融解させることは極めて困難である。
そこで、本発明ではSi金属を先に融解させて好ましくは母合金を製造し、次いでアルカリ土類金属を融解することによって、この問題点を解決した。
さらに、このようにSi金属を融解後アルカリ土類金属の融解を行うことにより、得られる合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
本発明における原料金属の融解法については、特に制限はないが、通常、アーク融解法や、高周波融解法等を用いることができる。
以下、(1)アーク融解・電子ビーム融解の場合、(2)高周波融解の場合を例に更に詳しく説明する。
(1)アーク融解・電子ビーム融解の場合
アーク融解・電子ビーム融解の場合は、以下の手順で融解を行う。
i)Si金属又はSiを含む合金を電子ビームあるいはアーク放電により融解し、
ii)次いで間接加熱によりアルカリ土類金属を融解し、Siとアルカリ土類金属を含む合金を得る。
ここで、Siを含む溶湯にアルカリ土類金属が溶け込んだ後、電子ビームあるいはアーク放電により加熱・攪拌して混合を促進しても良い。
(2)高周波融解の場合
アルカリ土類を含む合金は酸素との反応性が高いため、大気中ではなく真空あるいは不活性ガス中で融解する必要がある。このような条件では通常、高周波融解が好ましい。しかしながら、Siは半導体であり、高周波を用いた誘導加熱による融解が困難である。例えば、アルミニウムの20℃における比抵抗率は2.8×10−8Ω・mであるのに対し、半導体用多結晶Siの比抵抗率は10Ω・m以上である。このように比抵抗率が大きいものを直接高周波融解することはできないため、一般に導電性のサセプタを用い、熱伝導や放射によりSiに熱移動を行って融解する。サセプタは、ディスク状、管状なども可能であるが坩堝を用いるのが好ましい。サセプタの材質は、黒鉛、モリブデン、炭化珪素などが一般に用いられるが、これらはアルカリ金属と反応しやすいという問題点がある。一方、アルカリ土類金属を融解可能な坩堝(アルミナ、カルシアなど)は絶縁体であり、サセプタとして使用することができない。従って、アルカリ土類金属と珪素を坩堝に仕込んで高周波融解するにあたり、公知の導電性の坩堝(黒鉛など)をサセプタとして使用して、間接的な加熱によりSi金属とアルカリ土類金属を同時に融解することは不可能である。そこで、次のような順序で融解することで、この問題点を解決する。
i)Si金属を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解する。
ii)次に、絶縁性の坩堝を使用して、アルカリ土類金属を融解することにより、Siとアルカリ土類を含む合金を得る。
上記i)、ii)の工程の間でSi金属を冷却しても良いし、冷却せず連続してアルカリ土類金属を融解しても良い。連続して行う場合には導電性の容器にアルカリ土類金属の融解に適したカルシア、アルミナなどで被覆した坩堝を使用することもできる。
更に具体的な工程を記述すると、以下の通りである。
i)高周波融解にあたり、Si金属と金属M(例えばAl、Ga)を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解し、導電性の合金(母合金)を得る。
ii)次いで、アルカリ土類金属耐性坩堝を使用して、i)の母合金を融解させた後、アルカリ土類金属を融解させることにより、Siとアルカリ土類金属を含む合金を得る。
Si金属あるいはSiを含む母合金を先に融解させ、次いでアルカリ土類金属を融解させる具体的方法としては、例えば、Si金属あるいはSiを含む母合金を先に融解させ、そこにアルカリ土類金属を添加する方法等が挙げられる。
Siを2価の金属元素M以外の金属Mと合金化して導電性を付与することもできる。この場合、得られる合金の融点がSiより低いことが好ましい。SiとAlの合金は、融点が1010℃付近と、アルカリ土類金属の沸点より融点が低くなるので特に好ましい。
Siと2価の金属元素M以外の金属Mとの母合金を用いる場合、その組成には特に制限はないが、母合金が導電性を有していることが好ましく、通常、モル比でSi:M=1:0.01〜5の範囲として、アルカリ土類金属の沸点よりも融点の低い母合金を製造することが好ましい。
なお、Siを含む母合金に、さらにSi金属を加えることもできる。
本発明において、Si金属を融解させた後にアルカリ土類金属を融解させること以外に、他の原料金属の融解時期には特に制限はないが、通常、量が多いもの、もしくは、融点が高いものを先に融解させる。
付活元素Mを均一に分散させるため、また、付活元素Mの添加量は少量であるため、Si金属を融解させた後に付活元素Mを融解させることが好ましい。
前述の一般式[3]で表され、4価の金属元素MがSiであり、2価の金属元素Mとして少なくともSrを含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次のような手順で融解させることが好ましい。
(1) Siと3価の金属元素Mとの母合金を製造する。この際、好ましくはSiとMとは、一般式[3]におけるSi:M比で合金化する。
(2) (1)の母合金を融解させた後、Srを融解させる。
(3) その後、Sr以外の2価の金属元素、付活元素Mを融解させる。
このような原料金属の融解時の雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、中でもArが好ましい。
また、圧力は、通常、1×10Pa以上、1×10Pa以下が好ましく、安全性の面から、大気圧以下で行うことが望ましい。
〈溶湯の鋳造〉
原料金属の融解により製造された合金溶湯から直接蛍光体を製造するには技術的課題が多く存在する。そのため、原料金属の融解により製造された合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体を得る。ただし、この鋳造工程において溶融金属の冷却速度によって偏析が生じ、溶融状態で均一組成であったものが組成分布に偏りが生じることもある。従って、冷却速度はできるだけ速いことが望ましい。また、金型は銅などの熱伝導性のよい材料を使用することが好ましく、熱が放散しやすい形状であることが好ましい。また、必要に応じて水冷などの手段により金型を冷却する工夫をすることも好ましい。
このような工夫により、例えば厚さに対して底面積の大きい金型を用い、溶湯を金型へ注湯後、できるだけ早く凝固させることが好ましい。
また、合金の組成によって偏析の程度は異なるので必要な分析手段、例えばICP発光分光分析法などによって、得られた凝固体の数箇所より試料を採取して組成分析を行い、偏析の防止に必要な冷却速度を定めることが好ましい。
このような鋳造時の雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、中でもArが好ましい。
〈鋳塊の粉砕〉
鋳造工程で得られた合金塊は次いで粉砕することにより、所望の粒径、粒度分布を有する合金粉末を調製することができる。粉砕方法としては、乾式法や、エチレングリコール、ヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いる湿式法で行うことが可能である。以下、乾式法を例に詳しく説明する。
この粉砕工程は、必要に応じて、粗粉砕工程、中粉砕工程、及び微粉砕工程等の複数の工程に分けてもよい。この場合、全粉砕工程を同じ装置を用いて粉砕することもできるが、工程によって使用する装置を変えてもよい。
粗粉砕工程とは、直径1cm程度に粉砕する工程であり、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、クラッシングロール、インパクトクラッシャーなどの粉砕装置を使用することができる。中粉砕工程とは、直径1mm程度に粉砕する工程であり、コーンクラッシャー、クラッシングロール、ハンマーミル、ディスクミルなどの粉砕装置を使用することができる。微粉砕工程では、ボールミル、チューブミル、ロッドミル、ローラーミル、スタンプミル、エッジランナー、振動ミル、ジェットミルなどの粉砕装置を使用することができる。
中でも、不純物の混入を防止する観点から、微粉砕工程では、ジェットミルを用いることが好ましい。ジェットミルを用いるためには、粒径数mm程度(例えば50μm〜5mm)まで予め合金塊を粉砕しておく必要がある。ジェットミルでは、主に、ノズル元圧から大気圧に噴射される流体の膨張エネルギーを利用して粒子の粉砕を行うため、粉砕圧力により粒径を制御すること、不純物の混入を防止することが可能である。粉砕圧力は、装置によっても異なるが、通常、ゲージ圧で0.01MPa以上、2MPa以下の範囲であり、中でも、0.05MPa以上、0.4MPa未満が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がさらに好ましい。
いずれの場合も粉砕工程中に鉄等の不純物の混入が起こらないよう、粉砕機の材質と被粉砕物の関係を適切に選択する必要がある。例えば、接粉部は、セラミックライニングが施されていることが好ましく、セラミックの中でも、アルミナ、タングステンカーバイド、ジルコニア等が好ましい。
また、合金粉末の酸化を防ぐため、粉砕は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は10%以下、特に5%以下が好ましい。また、酸素濃度の下限としては、通常、10ppm程度である。特定の範囲の酸素濃度とすることによって、粉砕中に合金の表面に酸化被膜が形成され、安定化すると考えられる。酸素濃度が5%より高い雰囲気中で粉砕工程を行う場合、粉砕中に粉塵が発熱燃焼する恐れがあるため、粉塵を生じさせないような設備が必要である。不活性ガスの種類に特に制限はないが、通常、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体のうち1種単独雰囲気又は2種以上の混合雰囲気が用いられ、特に経済性の観点から窒素が好ましい。
〈合金粉末の分級〉
粉砕工程で粉砕された合金粉末は、バイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ等の慣性分級装置、サイクロン等の遠心分離機を使用して、前述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整される。
この分級工程についても、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は10%以下、特に5%以下が好ましい。不活性ガスの種類に特に制限はないが、通常、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの1種又は2種以上が用いられ、特に経済性の観点から窒素が好ましい。
〈合金の窒化〉
蛍光体原料用合金の窒化処理は例えば以下の様にして行われる。
即ち、まず、窒化処理原料である合金粉末をるつぼ、或いはトレイに充填する。ここで使用するるつぼ或いはトレイの材質としては、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、タングステン等が挙げられるが、窒化ホウ素が耐食性に優れることから好ましい。
この合金粉末を充填したるつぼ或いはトレイを、雰囲気制御が可能な加熱炉に納めた後、窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換する。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通しても良い。
窒化処理の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素を含むガス、例えば窒素、アンモニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。系内の酸素濃度は製造される蛍光体の酸素含有量に影響し、余り高い含有量となると高い発光が得られなくなるため、窒化処理雰囲気中の酸素濃度は、低いほど好ましく、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。また、必要に応じて、炭素、モリブデン等の酸素ゲッターを系内加熱部分に入れて、酸素濃度を低下させても良い。
窒化処理は、窒素含有ガスを充填した状態或いは流通させた状態で加熱することにより行うが、その圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何れの状態でも良い。大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とするのが好ましい。大気圧未満にすると加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して特性の高い蛍光体を得ることができないおそれがある。窒素含有ガスの圧力は少なくともゲージ圧で0.2MPa以上が好ましく、10MPaから200MPaが最も好ましい。
合金粉末の加熱は、通常800℃以上、好ましくは1000℃以上、更に好ましくは1200℃以上で、通常2200℃以下、好ましくは2100℃以下、更に好ましくは2000℃以下の温度で実施する。加熱温度が800℃より低いと、窒化処理に要する時間が非常に長くなり好ましくない。一方、加熱温度が2200℃より高いと、生成する窒化物が揮発或いは分解し、得られる窒化物蛍光体の化学組成がずれて、特性の高い蛍光体が得られず、また、再現性も悪いものとなるおそれがある。
窒化処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、合金粉末と窒素との反応に必要な時間で良いが、通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上とする。加熱時間が1分より短いと窒化反応が完了せず特性の高い蛍光体が得られない。加熱時間の上限は生産効率の面から決定され、通常24時間以下である。
〈洗浄〉
蛍光体原料用合金を窒化して得られた蛍光体をジョークラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル等で粗粉砕した後、中性又は酸性の溶液を用いて洗浄を行う。
ここで用いる中性の溶液としては、水を用いることが好ましい。使用可能な水の種類は、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。用いる水の電気伝導度は、通常0.001mS/m以上、好ましくは0.01mS/m、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.1mS/m以下である。また、水の温度は、通常、室温(25℃程度)が好ましいが、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、また、好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下の温水又は熱水を用いることにより、目的とする蛍光体を得るための洗浄回数を低減することも可能である。
また、酸性の溶液としては酸性の水溶液が好ましい。酸性水溶液の種類に特に制限はないが、塩酸、硫酸などの鉱酸の1種又は2種以上を希釈した水溶液が使用できる。酸水溶液の酸の濃度は、通常0.1mol/l以上、好ましくは0.2mol/l以上、また、通常5mol/l以下、好ましくは2mol/l以下である。中性の水溶液ではなく、酸性の水溶液を用いることは、蛍光体の溶解イオン量の低減効率の点で好ましいが、この洗浄に用いる酸水溶液の酸濃度が5mol/lを超えると蛍光体表面を溶解するおそれがあるため、好ましくなく、0.1mol/l未満では酸を用いた効果が十分に得られない。本発明では、この酸としてフッ酸のような腐食性の強い酸は必要としない。
蛍光体の洗浄方法としては、特に制限はないが、具体的には、得られた蛍光体粒子を上述の中性又は酸性の溶液(以下「洗浄媒」と称す場合がある。)に入れて所定時間撹拌することにより分散させ、その後、蛍光体粒子を固液分離する方法が挙げられる。
蛍光体を洗浄する際の撹拌手法には特に制限はなく、蛍光体粒子を均一に分散させることができればよい。例えば、チップスターラーや撹拌機等を用いることができる。
洗浄媒量は特に制限はないが、過度に少ないと十分な洗浄効果が得られず、過度に多いと大量の洗浄媒を要し、不合理であることから、洗浄する蛍光体の重量の2倍以上、特に5倍以上で、1000倍以下、特に100倍以下であることが好ましい。
撹拌時間は、後述の実施例では10分間であるが、蛍光体と上述のような洗浄媒とを十分に接触させることができるような時間であれば良く、通常1分以上、1時間以下である。
洗浄媒と蛍光体粒子とを固液分離する手法には、特に制限はなく、例えば、濾過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。
ただし、蛍光体粒子の洗浄方法は、上述のような、洗浄媒中での蛍光体粒子の撹拌による分散後の固液分離に特に制限はなく、蛍光体粒子を洗浄媒の流体にさらす方法等であっても良い。
また、このような洗浄工程は複数回行っても良い。
また、複数回の洗浄工程を行う場合、水洗浄と酸水溶液による洗浄とを組み合わせて行なっても良いが、その場合、蛍光体への酸の付着を防止するために、酸水溶液で洗浄した後水洗浄を行うようにすることが好ましい。また、水洗浄後、酸水溶液で洗浄し、その後水洗浄するようにしても良い。
また、複数回の洗浄工程を行う場合、洗浄工程の間に前述の粉砕工程や分級工程を入れても良い。
本発明において、蛍光体の洗浄は、洗浄後の蛍光体について、次のような水分散試験を行い、その時の上澄み液の電気伝導度が所定の値以下となるまで行う。
即ち、洗浄後の蛍光体を、必要に応じて乾式ボールミル等で解砕ないし粉砕し、篩又は水簸により分級を行って所望の重量メジアン径に整粒し、その後、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させる。このときの上澄み液の電気伝導度を測定し、その電気伝導度が通常、50mS/m以下、好ましくは10mS/m以下、最も好ましくは5mS/m以下となるまで、必要に応じて上述の洗浄操作を繰り返す。
この蛍光体の水分散試験に用いられる水としては、特に制限はないが、上述の洗浄媒の水と同様に脱塩水又は蒸留水が好ましく、特に電気伝導度は、通常0.001mS/m以上、好ましくは0.01mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.1mS/m以下である。また、上記蛍光体の水分散試験に用いられる水の温度は、通常、室温(25℃程度)である。
このような洗浄を行うことにより、蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気伝導度が50mS/m以下である本発明の蛍光体を得ることができる。
なお、上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度の測定は、東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」等を用いて行うことができる。
上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度は、蛍光体の構成成分が一部溶解した結果、イオンとなって水中に溶け出すことにより上昇する。上記上澄み液の電気伝導度が低い、ということは、蛍光体中のこの水溶性成分の含有量が少ないことを意味する。
前述の如く、蛍光体の酸素含有量も上述の洗浄によって減少するが、これは酸素を含む不純物相、例えば結晶性の悪い窒化物が加水分解して生じた水酸化物が除去されるためと推察される。
例えば、前述のSCASN蛍光体では、洗浄工程において、次のようなことが起きていると推定することができる。
(1) 結晶性の悪い窒化物等が加水分解して、例えばSr(OH)などの水酸化物となり、水中に溶け出す。温水、あるいは希薄な酸で洗浄すると、これらが効率よく除去され、電気伝導度が低下する。一方、酸濃度が高すぎると、あるいは、長時間酸にさらすと、母体のSCASN蛍光体自体が分解するおそれがあり、好ましくない。
(2) 合金の窒化工程における焼成時に使用する窒化ホウ素(BN)製ルツボから混入したホウ素が、水溶性のホウ素窒素−アルカリ土類化合物を形成して蛍光体に混入するが、上記洗浄によりこれが分解・除去される。
本発明における発光効率及び輝度向上の理由は完全には明らかとはされていないが、焼成直後の蛍光体を空気中に取り出したときわずかなアンモニア臭が感じられるところから、洗浄により、この未反応又は反応不十分な部分が分解して生成した部分が除去されたことによると考えられる。
なお、蛍光体は多くの場合、粉体で使用され、他の分散媒中に分散した状態で使用される。従って、これらの分散操作を容易にするため、蛍光体に各種表面処理を行うことが当業者の中では通常の手法として行われている。かかる表面処理が行われた蛍光体にあっては表面処理が行われる前の段階が本発明による蛍光体と理解するのが適切である。
上記洗浄後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供する。
[蛍光体の特性]
(粉末X線回折パターン)
SCASN蛍光体の場合、上述の洗浄操作を行うことによって、Cu−Kα線(1.54184Å)を用いた粉末X線回折ピークのうち、2θ=33.2±0.2゜のピーク強度(高さ)比が低下する傾向にある。これは、洗浄を行うことによって、蛍光体から不純物が除去されていることを示している。
SCASN蛍光体の粉末X線回折パターンにおいて、2θが35.5゜〜37゜の範囲における最強ピークの高さImaxに対する、2θ=33.2゜±0.2゜のピークの高さIの強度比をI=(I×100)/Imaxとするとき、Iは通常15%以下であり、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、特に3%以下が好ましい。ここでピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
(発光スペクトル)
例えば、本発明により得られるEu付活SCASN蛍光体は、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、波長465nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
まず、本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常590nmより大きく、中でも600nm以上、また、通常650nm以下、中でも640nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると黄味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると暗赤味を帯びる傾向があり、何れも橙色ないし赤色光としての特性が低下するおそれがあるので好ましくない。
また、本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常50nmより大きく、中でも70nm以上、更には75nm以上、また、通常120nm未満、中でも100nm以下、更には90nm以下の範囲であることが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると発光強度が低下するおそれがあり、広過ぎると色純度が低下するおそれがあるので、何れも好ましくない。
なお、本発明の蛍光体を波長465nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光ピーク波長、ピーク相対強度及びピーク半値幅の算出は、例えば、日本分光社製蛍光測定装置等の装置を用いて行なうことができる。
(重量メジアン径D50
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
(その他)
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明の蛍光体は、その吸収効率も高いほど好ましい。その値は通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。吸収効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
[蛍光体の用途]
本発明の蛍光体は、高輝度であり、演色性が高いという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に好適に用いることができる。例えば、本発明の蛍光体が、橙色ないし赤色蛍光体である場合、緑色蛍光体、青色蛍光体等を組み合わせれば、高演色性の白色発光装置を実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。
[蛍光体含有組成物]
本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液状媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液状媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体含有組成物に使用可能な液状媒体としては、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させると共に、好ましくない反応等を生じないものであれば、任意のものを目的等に応じて選択することが可能である。液状媒体の例としては、硬化前の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられ、例えば、付加反応型シリコーン樹脂、縮合反応型シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液を用いることができる。これらの液状媒体は一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
液状媒体の使用量は、用途等に応じて適宜調整すればよいが、一般的には、本発明の蛍光体に対する液状媒体の重量比で、通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは15重量%以下の範囲である。
また、本発明の蛍光体含有組成物は、本発明の蛍光体及び液状媒体に加え、その用途等に応じて、その他の任意の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、拡散剤、増粘剤、増量剤、干渉剤等が挙げられる。具体的には、アエロジル等のシリカ系微粉、アルミナ等が挙げられる。
[発光装置]
次に、本発明の発光装置について説明する。本発明の発光装置は、励起光源としての第1の発光体と、第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを、少なくとも備えて構成される。
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、具体的数値としては、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下のピーク発光波長を有する発光体が使用される。この第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(light emitting diode。以下、適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層、GaN発光層、又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、GaN系LDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がさらに高く、より好ましい。
(第2の発光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、後述する第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(緑色蛍光体、青色蛍光体等)を含有する。
蛍光体の組成には特に制限はないが、結晶母体であるY、ZnSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(PO)Cl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物に、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、(Zn,Cd)S、SrGa、SrS、ZnS等の硫化物、YS等の酸硫化物、(Y,Gd)Al12、YAlO、BaMgAl1017、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、BaAl1219、CeMgAl1119、(Ba,Sr,Mg)O・Al、BaAlSi、SrAl、SrAl1425、YAl12等のアルミン酸塩、YSiO、ZnSiO等の珪酸塩、SnO、Y等の酸化物、GdMgB10、(Y,Gd)BO等の硼酸塩、Ca10(PO)(F,Cl)、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO)Cl等のハロリン酸塩、Sr、(La,Ce)PO等のリン酸塩等を挙げることができる。
ただし、上記の結晶母体及び付活元素又は共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。例えば、「YSiO:Ce3+」、「YSiO:Tb3+」及び「YSiO:Ce3+,Tb3+」を「YSiO:Ce3+,Tb3+」と、「LaS:Eu」、「YS:Eu」及び「(La,Y)S:Eu」を「(La,Y)S:Eu」とまとめて示している。省略箇所はカンマ(,)で区切って示す。
<第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)>
本発明の発光装置における第2の発光体は、橙色ないし赤色蛍光体(これを以下適宜「第1の蛍光体」と呼ぶ。)として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、本発明の蛍光体以外に、その他の一種又は二種以上の橙色ないし赤色蛍光体を、第1の蛍光体として併用してもよい。
赤色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「赤色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、また、通常700nm以下、好ましくは680nm以下が望ましい。
本発明の蛍光体以外の橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
さらに、特開2004−300247号公報に記載された、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本実施形態において用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O:Eu、Y:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Mn、(Ba,Mg)SiO:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、LiY(SiO):Eu、Ca(SiO):Eu、(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu、SrBaSiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)Al12:Ce、(Tb,Gd)Al12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)SiN:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu等のEu付活窒化物蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN:Ce等のCe付活窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO)Cl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、(BaMg)Si:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)(Zn,Mg)Si:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La):Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn):Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)WO:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO)(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−xScCe)(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGeqO12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
また、赤色蛍光体のうち、ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上、また、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲内にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体の例としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Mg)(PO:Sn2+等が挙げられる。
<第2の蛍光体>
更に、本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体(本発明の蛍光体)とは発光波長の異なる蛍光体を含有していてもよい(これを以下適宜「第2の蛍光体」と呼ぶ。)。第2の蛍光体としては、一種類の蛍光体を単独で使用してもよく、二種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)と併用する第2の蛍光体の例としては、緑色の発光を発する蛍光体(以下適宜「緑色蛍光体」という。)、及び、青色の発光を発する蛍光体(以下適宜「青色蛍光体」という。)が挙げられる。
{緑色蛍光体}
緑色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「緑色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常490nm以上、好ましくは500nm以上、また、通常570nm以下、好ましくは550nm以下が望ましい。
このような緑色蛍光体として、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)SiO:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、緑色蛍光体としては、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO):Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、SrSi:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si:Eu、Eu付活βサイアロン、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiO)Cl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiO)Cl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
{青色蛍光体}
青色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「青色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常420nm以上、好ましくは440nm以上、また、通常480nm以下、好ましくは470nm以下が望ましい。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なうBaMgAl1017:Euで表わされるユウロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)(PO)Cl:Euで表わされるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、SrAl1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaAl13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa:Ce、CaGa:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO)Cl:Eu、(Ba,Sr,Ca)(PO)(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAlSi:Eu、(Sr,Ba)MgSi:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、YSiO:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO)・nB:Eu、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
なお、上述のような蛍光体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(第2の蛍光体の選択)
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の発光装置を橙色ないし赤色発光の発光装置として構成する場合には、第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)のみを使用すればよく、第2の蛍光体の使用は通常は不要である。
一方、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合には、所望の白色光が得られるように、第1の発光体と、第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)と、第2の蛍光体を適切に組み合わせればよい。具体的に、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合における、第1の発光体と、第1の蛍光体と、第2の蛍光体との好ましい組み合わせの例としては、以下の(i)〜(iii)の組み合わせが挙げられる。
(i)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。
(ii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体及び緑色蛍光体を併用する。
(iii)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として
橙色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。
(第2の蛍光体の物性)
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも15μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
(発光装置の構成)
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていればよく、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、赤色蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、青色蛍光体と緑色蛍光体を含有する層の上に赤色蛍光体を含有する層が積層されていてもよい。
上述の第1の発光体、第2の発光体及びフレームに加えて、通常は封止材料が用いられる。具体的に、この封止材料は、上述の第1の蛍光体及び/又は第2の蛍光体を分散させて第2の発光体を構成したり、第1の発光体、第2の発光体及びフレーム間を接着したりする目的で採用される。
使用される封止材料としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料を用いることができる。
(発光装置の実施形態)
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す図である。本実施形態の発光装置1は、フレーム2と、光源である青色LED(第1の発光体)3と、青色LED3から発せられる光の一部を吸収し、それとは異なる波長を有する光を発する蛍光体含有部(第2の発光体)4からなる。
フレーム2は、青色LED3、蛍光体含有部4を保持するための樹脂製の基部である。フレーム2の上面には、図1中上側に開口した断面台形状の凹部(窪み)2Aが形成されている。これにより、フレーム2はカップ形状となっているため、発光装置1から放出される光に指向性をもたせることができ、放出する光を有効に利用できるようになっている。更に、フレーム2の凹部2A内面は、銀などの金属メッキにより、可視光域全般の光の反射率を高められており、これにより、フレーム2の凹部2A内面に当たった光も、発光装置1から所定方向に向けて放出できるようになっている。
フレーム2の凹部2Aの底部には、光源として青色LED3が設置されている。青色LED3は、電力を供給されることにより青色の光を発するLEDである。この青色LED3から発せられた青色光の一部は、蛍光体含有部4内の発光物質(第1の蛍光体及び第2の蛍光体)に励起光として吸収され、また別の一部は、発光装置1から所定方向に向けて放出されるようになっている。
また、青色LED3は前記のようにフレーム2の凹部2Aの底部に設置されているが、ここではフレーム2と青色LED3との間は銀ペースト(接着剤に銀粒子を混合したもの)5によって接着され、これにより、青色LED3はフレーム2に設置されている。更に、この銀ペースト5は、青色LED3で発生した熱をフレーム2に効率よく放熱する役割も果たしている。
更に、フレーム2には、青色LED3に電力を供給するための金製のワイヤ6が取り付けられている。つまり、青色LED3の上面に設けられた電極(図示省略)とは、ワイヤ6を用いてワイヤボンディングによって結線されていて、このワイヤ6を通電することによって青色LED3に電力が供給され、青色LED3が青色光を発するようになっている。なお、ワイヤ6は青色LED3の構造にあわせて1本又は複数本が取り付けられる。
更に、フレーム2の凹部2Aには、青色LED3から発せられる光の一部を吸収し異なる波長を有する光を発する蛍光体含有部4が設けられている。蛍光体含有部4は、蛍光体と透明樹脂とで形成されている。蛍光体は、青色LED3が発する青色光により励起されて、青色光よりも長波長の光である光を発する物質である。蛍光体含有部4を構成する蛍光体は一種類であっても良いし、複数からなる混合物であってもよく、青色LED3の発する光と蛍光体発光部4の発する光の総和が所望の色になるように選べばよい。色は白色だけでなく、黄色、オレンジ、ピンク、紫、青緑等であっても良い。また、これらの色と白色との間の中間的な色であっても良い。また、透明樹脂は蛍光体含有部4の封止材料であり、ここでは、上述の封止材料を用いている。
モールド部7は、青色LED3、蛍光体含有部4、ワイヤ6などを外部から保護するとともに、配光特性を制御するためのレンズとしての機能を持つ。モールド部7には主にエポキシ樹脂を用いることができる。
図2は、図1に示す発光装置1を組み込んだ面発光照明装置の一実施例を示す模式的断面図である。図2において、8は面発光照明装置、9は拡散板、10は保持ケースである。
この面発光照明装置8は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース10の底面に、多数の発光装置1を、その外側に発光装置1の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置したものである。発光の均一化のために、保持ケース10の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板9を固定している。
そして、面発光照明装置8を駆動して、発光装置1の青色LED3に電圧を印加することにより青色光等を発光させる。その発光の一部を、蛍光体含有部4において波長変換材料である本発明の蛍光体と必要に応じて添加した別の蛍光体が吸収し、より長波長の光に変換し、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により、高輝度の発光が得られる。この光が拡散板9を透過して、図面上方に出射され、保持ケース10の拡散板9面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
また、本発明の発光装置において、特に励起光源(第1の発光体)として面発光型のものを使用する場合、蛍光体含有部(第2の発光体)を膜状とするのが好ましい。即ち、面発光型の発光体からの光は断面積が十分大きいので、第2の発光体をその断面の方向に膜状とすると、第1の発光体からの蛍光体への照射断面積が蛍光体単位量あたり大きくなるので、蛍光体からの発光の強度をより大きくすることができる。
また、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いる場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とするのが好ましい。ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図3は、このように、第1の発光体として面発光型のものを用い、第2の発光体として膜状のものを適用した発光装置の一例を示す模式的斜視図である。図3中、11は、前記蛍光体を有する膜状の第2の発光体、12は第1の発光体としての面発光型GaN系LD、13は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、第1の発光体12のLDと第2の発光体11とそれぞれ別個につくっておいてそれらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させても良いし、第1の発光体12の発光面上に第2の発光体11を製膜(成型)させても良い。これらの結果、第1の発光体12と第2の発光体11とを接触した状態とすることができる。
[発光装置の用途]
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、高輝度であり、且つ、演色性も高いことから、中でも画像表示装置や照明装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。なお、本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
後述の各実施例及び各比較例において、各種の評価は以下の手法で行った。
〈水分散試験における上澄み液の電気伝導度〉
篩により分級して重量メジアン径9μmに整粒した後(ただし、洗浄後の蛍光体粒子の重量メジアン径が9μmの場合は、この操作は行わない。)、この蛍光体粒子を蛍光体重量の10倍量の水に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌して分散させた。1時間放置後、蛍光体が沈降していることを確認し、上澄み液の電気伝導度を測定した。
電気伝導度は東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」を用いて、測定した。洗浄及び測定は室温で行った。
なお、各実施例及び各比較例で洗浄及び蛍光体の水分散試験に使用している水の電気伝導度は、0.03mS/mである。
〈発光スペクトル、色度座標、及び輝度〉
日本分光社製蛍光測定装置において、励起光源として150Wキセノンランプを用いた。キセノンランプの光を焦点距離10cmの回折格子分光器に通し、450nm〜475nmの光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により発生した光を焦点距離25cmの回折格子分光器により分光し、浜松フォトニクス社製マルチチャンネルCCD検出器「C7041」によって300nm〜800nmの各波長の発光強度を測定した。続いて、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。
この発光スペクトルの480nm〜800nmの波長領域のデータから、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyを算出した。
また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、後述する参考例1における蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出した。
尚、色度座標及び輝度は、励起青色光をカットして測定した。
〈化学組成〉
ICP発光分光分析法(Inductively
Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry;以下、「ICP法」と称する場合がある。)により、ジョバイボン社製ICP化学分析装置「JY 38S」を使用して分析した。
〈蛍光体の重量メジアン径D50
測定前に、超音波分散器((株)カイジョー製)を用いて周波数を19KHz、超音波の強さを5Wとし、25秒間試料を超音波で分散させた。なお、分散液には、再凝集を防止するため界面活性剤を微量添加した水を用いた。
重量メジアン径の測定においては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製)を使用した。
〈粉末X線回折測定〉
粉末X線回折測定条件の詳細は以下の通りである。
測定装置:PANalytical社製 PW1700型
粉末X線回折測定条件:
X線源:Cu−Kα線(λ=1.54184Å)、
出力設定:40kV・30mA
測定時光学条件:発散スリット=1°
散乱スリット=1°
受光スリット=0.2mm
回折ピークの位置 2θ(回折角)
測定範囲:2θ=10〜89.95°
スキャン速度:0.05度(2θ)/sec,連続スキャン
試料調製:めのう乳鉢を用いて人力で粉砕し、試料成形治具(旧Philips社製
PW1001/00型)を使って成形
サンプルホルダー:PANalytical社製 PW1781/00型
試料部寸法
外径:53mm
内径:27mm
深さ:2.6mm
また、以下において、合金の原料に用いた金属単体は、いずれも不純物濃度0.01モル%以下の高純度品である。また、原料金属の形状は、Srは塊状、その他は粒状である。
(合成例1)
実施例1〜3、及び比較例1で使用した焼成品は以下の方法で合成した。
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各金属を秤量し、黒鉛ルツボを用い、アルゴン雰囲気で高周波誘導式溶融炉を用いて原料金属を溶融した後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、元素比がAl:Si=1:1である合金(母合金)を得た。
Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.008:0.792:0.2:1:1(モル比)となるよう母合金、その他原料金属を秤量した。炉内を真空排気した後、排気を中止し、炉内にアルゴンを所定圧まで充填した。この炉内でカルシアルツボ内の母合金を溶解し、次いでSr、Eu、Caを加えて、全成分が融解した溶湯が誘導電流により撹拌されるのを確認後、ルツボから水冷された銅製の金型(厚さ40mmの板状)へ溶湯を注湯して凝固させた。
得られた厚み40mmの板状合金についてICP法で組成分析を行った。板の重心付近一点と、板の端面付近一点から約10gサンプリングし、ICP法により元素分析を行ったところ、
板の中心部 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.782:0.212:1:0.986、
板の端面 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.756:0.210:1:0.962
であり、分析精度の範囲において実質的に同一組成であった。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
得られた合金はSr(Si0.5Al0.5と類似した粉末X線回折パターンを示し、AlB型のアルカリ土類シリサイドと呼ばれる金属間化合物と同定された。
この板状合金塊を、窒素気流中で重量メジアン径17.4μmに粉砕して得た合金粉末5gを、内径55mmの窒化ホウ素製トレイに充填し、熱間等方加圧装置(HIP装置)内にセットした。装置内を真空排気した後、300℃に加熱し、300℃で真空排気を1時間継続した。その後、窒素を1MPa充填し、冷却後に0.1MPaまで放圧し、再び1MPaまで窒素を充填する操作を2回繰り返した。加熱開始前に50MPaまで窒素を充填し、600℃/hrで試料温度1900℃まで昇温し、それと同時に内圧を平均45MPa/hrで190MPaまで昇圧した。その後装置内圧を190MPaに保ちながら1900℃まで加熱し、この温度で1時間保持して目的の蛍光体を得て、粗粉砕を行った。
得られた蛍光体の粉末X線回折測定の結果、CaAlSiNと同型の斜方晶の結晶相が生成していた。
(実施例1)
合成例1で得られた蛍光体を重量比で10倍量の水に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌し、分散させた。1時間静置後、蛍光体が沈降していることを確認し、濾過することにより、蛍光体を分離した。
この洗浄後の蛍光体について、水分散試験を行い、上澄み液の電気伝導度を測定し、結果を表1に示した。
また、洗浄後の蛍光体を120℃で乾燥した後、発光特性を計測し、結果を表1に示した。
表1において、輝度は、後述の参考例1で得られた蛍光体の輝度を100としている。
(実施例2)
合成例1で得られた蛍光体を重量比で10倍量の水に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌し、分散させた。1時間静置後、蛍光体が沈降していることを確認し、濾過することにより、蛍光体を分離した。この操作を17回繰り返した。
この洗浄後の蛍光体について、水分散試験を行い、上澄み液の電気伝導度を測定し、結果を表1に示した。
また、洗浄後の蛍光体を120℃で乾燥した後、発光特性を計測し、結果を表1に示した。
(実施例3)
合成例1で得られた蛍光体を重量比で5倍量の0.5mol/l塩酸水溶液に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌し、分散させた。1時間静置後、蛍光体が沈降していることを確認し、濾過することにより、蛍光体を分離した。この操作を6回繰り返した。
この洗浄後の蛍光体について、水分散試験を行い、上澄み液の電気伝導度を測定し、結果を表1に示した。
また、洗浄後の蛍光体を120℃で乾燥した後、発光特性を計測し、発光スペクトルを図4に、発光特性のデータを表1及び表2に示した。
なお、表2において、相対ピーク強度は、後述の参考例1の相対ピーク強度を100として示した。
また、この洗浄後の蛍光体の粉末X線回折パターンを図5に示す。図5から、2θが35.5゜以上37゜以下の範囲にある最強ピーク(Imax)に対する、2θ=33.2゜±0.2゜のピーク強度比Iは1.9%であることがわかった。
(比較例1)
合成例1で得られた蛍光体について、洗浄を行うことなく、そのまま水分散試験を行い、上澄み液の電気伝導度を測定し、結果を表1に示した。
また、発光特性を計測し、結果を表1及び表2に示した。
また、この蛍光体の粉末X線回折パターンを図6に示す。図6から、2θが35.5゜以上37゜以下の範囲にある最強ピークに対する、2θ=33.2゜±0.2゜のピーク強度比Iは4.6%であることがわかった。
(合成例2)
実施例4及び比較例2で使用した蛍光体は、HIP装置で焼成する前に、常圧窒素気流中、1030℃で8時間、仮焼成を行ったこと以外は合成例1と同様の方法で合成した。
(実施例4)
合成例2で得られた蛍光体を重量比で10倍量の水に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌し、分散させた。1時間静置後、蛍光体が沈降していることを確認し、濾過することにより、蛍光体を分離した。得られた蛍光体をボールミルで粉砕し、分級を行って重量メジアン径D50を9μmとした。得られた蛍光体を重量比で5倍重量の0.5mol/l塩酸水溶液に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌し、分散させた。1時間静置後、濾過することにより蛍光体を分離し、さらに10倍量の水に分散して濾過する操作を6回繰り返した。得られた蛍光体の重量メジアン径D50は9μmであったことから、前述の洗浄操作によって、重量メジアン径D50は変化しなかった。
この洗浄後の蛍光体について、水分散試験を行い、上澄み液の電気伝導度を測定し、結果を表1に示した。また、発光特性を計測し、結果を表1に示した。
(比較例2)
合成例2で得られた蛍光体を洗浄することなく、そのまま水分散試験を行い、上澄み液の電気伝導度を測定し、結果を表1に示した。また、発光特性を計測し、結果を表1に示した。
(参考例1)
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.008:0.992:1:1となるように、Eu、Ca、AlN、及びSiをアルゴン雰囲気中で秤量し、混合機を用いて混合した。この混合粉を窒化ホウ素製るつぼへ充填して、雰囲気加熱炉中にセットした。装置内を1×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、装置内へ窒素を0.1MPaまで充填した後、1600℃まで加熱し、5時間保持して目的の蛍光体を得た。
この蛍光体について、蛍光高度分光計で465nm励起による発光特性を測定したところ、発光波長は648nmであった。
Figure 2012207228
Figure 2012207228
これらの結果から明らかなように、蛍光体の洗浄操作により、水分散試験における上澄み液の電気伝導度が低下するにつれ、蛍光体の輝度が向上する。
また、実施例3と比較例1の粉末X線回折パターンを比較すると、実施例3においては結晶性が向上しており、洗浄により結晶性の悪い部分が除去されていることがわかる。
1 発光装置
2 フレーム
2A フレームの凹部
3 青色LED(第1の発光体)
4 蛍光体含有部(第2の発光体)
5 銀ペースト
6 ワイヤ
7 モールド部
8 面発光照明装置
9 拡散板
10 保持ケース
11 第2の発光体
12 第1の発光体
13 基板

Claims (8)

  1. 下記一般式[2]で表される窒化物蛍光体であって、Cu−Kα線(1.54184Å)を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θが35.5゜〜37゜の範囲における最強ピークの高さImaxに対する、2θ=33.2゜±0.2゜のピークの高さIの強度比をI=(I×100)/Imaxとするとき、Iが3以下であることを特徴とする窒化物蛍光体。
    1’ a’Srb’Cac’Ale’Sif’g’ [2]
    (但し、a’、b’、c’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
    0.00001≦a’≦0.15
    0.6≦b’≦0.99999
    0≦c’<1
    a’+b’+c’=1
    0.8≦e’≦1.2
    0.8≦f’≦1.2
    2.5≦g’≦3.5
    1’はEu及び/又はCeを表す。)
  2. 1’がEuである請求項1に記載の窒化物蛍光体。
  3. 0.7≦b’≦0.99999である請求項1又は2記載の窒化物蛍光体。
  4. 酸素を5重量%以下含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の窒化物蛍光体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光体と液状媒体とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物。
  6. 励起光源と、該励起光源からの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体とを有する発光装置において、該蛍光体が請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光体であることを特徴とする発光装置。
  7. 請求項6に記載の発光装置を有することを特徴とする画像表示装置。
  8. 請求項6に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
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