JP2012207277A - 銅系摺動材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 連続焼結法にて作製されるCu合金層中のBi粒の粗大化を抑制し、耐疲労性及び耐焼付性に優れた銅系摺動材料を提供する。
【解決手段】 Cu合金層に含有させるBiとSnの質量比をBi/Sn=1.7〜3.4、BiとPの質量比をBi/P=500〜2100とすることで、焼結後の冷却工程にてCu合金粉末中のCu合金にCu−Sn−P系化合物が析出する。これにより、Cu合金粉末中のCu合金と液相になったBiの熱収縮率の差が緩和され、Biの液相がCu合金粉末中に留まるため、Bi粒の粗大化を抑制し、Bi粒の平均粒子面積を60〜350μmと微細に分散させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐疲労性及び耐焼付性に優れた銅系摺動材料に係り、特に自動車、産業機械等における半割軸受、ブシュ、スラストワッシャ等の材料として好適な銅系摺動材料に関する。
従来から、内燃機関用すべり軸受に使用される銅系摺動材料は、連続焼結法により製造されるのが一般的である。この連続焼結法とは、帯鋼上にCu合金粉末を連続的に散布し、焼結、圧延を連続的に施す製造方法である。また、すべり軸受用の銅系摺動材料には、近年の環境規制に対応するため、Pbフリー化が求められており、Pbの代替材料としてBiを含有した焼結Cu合金を使用するものが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許第3421724号公報 米国特許2003/0068106A1号公報 特表2010−535287号公報 特開平4−28836号公報 特開平5−263166号公報
ところで、近年、内燃機関のクランク軸は高回転化される傾向にあり、すべり軸受にはより良好な耐焼付性が求められている。すべり軸受用の銅系摺動材料として、上記したBiを含有した焼結Cu合金を使用する場合、良好な耐焼付性を得るためには、焼結Cu合金にBiを10質量%以上含有させることが望ましい。
ところで、特許文献1〜3では、連続焼結法にてBiを含有したCu合金の焼結を実施しているが、この焼結Cu合金が良好な強度を有するか否かは、Biの含有量に大きく影響される。具体的には、図4(a)に示すように、帯鋼上にCu合金粉末を散布した場合、Cu合金層に多くの隙間が存在している。また、図4(b)に示すように、BiはCu合金粉末中に存在しており、その後の一次焼結工程にて昇温すると、Biが271℃付近で溶融して液相となる。そして、焼結温度に到達して冷却が開始されると、Biに対しCu合金の収縮速度が早いため、図4(c)に示すように、BiがCu合金粉末中から押し出され、Cu合金粉末同士の隙間に流れ出る。この隙間に流れ出たBiがCu合金粉末表面を伝いながら拡がることにより、図3及び図4(d)に示すように、Cu合金層中のBi粒が粗大化してしまう。なお、図3は、図4(d)に示す一次焼結後の焼結Cu合金に、さらに、圧延工程と二次焼結工程を施した後のCu合金の組織である。このBi粒が粗大化する現象は、Cu合金層中にBiが10質量%以上含有されている場合に、特に影響を受ける。BiはCu合金に殆ど固溶しないため、Cu合金層中に単独で存在しており、また、Cu合金に対しBiの強度が著しく低い。動荷重を受ける軸受では、特許文献2の段落[0030]に記載されているように、粗大化したBiまたはBiとCu合金との粒界を起点に割れが生じて、Cu合金層の疲労破壊が起きやすい。
また、特許文献2,3では、軸受用のCu合金層の組成をCu−Sn−P−Bi系とし、Cu合金の素地をCu、SnおよびPの固溶体とした軸受が提案されている。この軸受は、使用中に摺動負荷を受けると、Cu合金の素地中のSnが軸受の摺動面に移動し、摺動面にSnを多く含む層が形成されることにより、軸受の耐焼付性が高まる旨が記載されている。しかしながら、軸受の摺動面となるCu合金の表面にSnが濃化した場合には、摺動面付近のCu合金が硬くなり、耐焼付性が低下してしまう。
一方、特許文献4,5によれば、Biを含有したCu合金粉末をメカニカルアロイング法で作製し、このCu合金粉末を用いて比較的低温(400〜800℃、より好ましくは400〜700℃)で焼結を行うと、微細なBi粒を有する銅系摺動材料を得ることが可能な旨が記載されている。しかしながら、連続焼結法において800℃以下の温度で焼結を行うと、鋼裏金とCu合金層との接着が十分に得られないため、耐疲労性が低下してしまう。また、800℃を超える温度で焼結を行うと、鋼裏金との接着は良好であるが、特許文献4に記載されているように、Cu合金粉末の焼結が進み過ぎて、Cu合金層中のBi粒が粗大化してしまう。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、連続焼結法にて作製されるCu合金層中のBi粒の粗大化を抑制し、耐疲労性及び耐焼付性に優れた銅系摺動材料を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、鋼裏金層及びCu合金層からなる銅系摺動材料であって、前記Cu合金層はSnを6〜12質量%、Biを11〜30質量%、Pを0.01〜0.05質量%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる銅系摺動材料において、前記Biは、前記Snとの質量比がBi/Sn=1.7〜3.4、前記Pとの質量比がBi/P=500〜2100であり、前記Cu合金層には、Cu−Sn−P系化合物が分散することにより、前記Cu合金層の厚さ方向と平行な方向の断面に平均粒子面積が60〜350μmのBi粒が分散していることを特徴とする。
請求項2に係る発明においては、請求項1記載の銅系摺動材料において、前記Snは、前記Biとの質量比がBi/Sn=2.1〜3.1であり、且つ前記Cu合金層に6.8〜9質量%含有させることを特徴とする。
請求項3に係る発明においては、請求項1又は請求項2記載の銅系摺動材料において、前記Cu合金層は、さらにNi、Fe、Agからなる群の中から少なくとも1種以上を総量で0.1〜10質量%含有することを特徴とする。
請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅系摺動材料において、前記Cu合金層は、さらに無機化合物を0.1〜10質量%含有することを特徴とする。
請求項1に係る発明においては、銅系摺動材料にBiを添加すると、良好な摺動特性が得られることが知られているが、Cu合金層にBiを11〜30質量%含有させることで、高い摺動特性を達成している。また、Biの含有量が11質量%より少ないと、摺動特性が十分ではなく、耐焼付性が低下してしまう。一方、Biの含有量が30質量%を超えて多いと、耐疲労性が低下してしまう。
また、請求項1に係る発明においては、Cu合金層にCu−Sn−P系化合物を分散させることで、Bi粒の平均粒子面積を60〜350μmと微細に制御できることを見出した。これは、以下のメカニズムによると推測される。本発明の銅系摺動材料は、帯鋼上にCu合金粉末を連続的に散布し、焼結、圧延を繰り返して製造される。まず、散布工程において、図2(a)に示すように、帯鋼上にCu合金粉末を散布した後には、Cu合金層が多孔質な状態となっている。また、図2(b)に示すように、BiはCu合金粉末中に存在しており、その後の焼結工程にて昇温すると、Biが271℃付近で溶融して液相となる。そして、焼結を800〜900℃で行い、その後の冷却工程にて冷却が開始されると、BiよりもCu合金の熱収縮率が高く、Cu合金のほうが早く収縮するため、BiがCu合金粉末中から押し出され、Cu合金粉末同士の隙間に流れ出る。このとき、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出させることで、Cu合金の収縮が抑制される。このように、Cu合金とBiの熱収縮率の差を緩和することで、図2(c)に示すように、Biの液相がCu合金粉末中から押し出されるのを防ぐことができ、図2(d)に示す組織となる。その後、緻密化のための圧延、焼結を施すことで、図1に示すように、Cu合金層中にBi粒を微細に分散することが可能となる。
また、Cu−Sn−P系化合物は、以下のメカニズムでCu合金に析出する。まず、焼結温度(800〜900℃)では、常温時(20℃)よりBiの液相に多くのSn、Pが固溶可能な状態になるため、Sn、PがCu合金からBiの液相に拡散する。その後、冷却工程にて温度が低下すると、Biの液相にSn、Pが過飽和の状態となり、Sn、PがBiの液相からCu合金に拡散する。このため、Biの液相とCu合金の界面付近にSn、Pが濃化する。このとき、冷却工程における800℃から450℃までの冷却速度が早い場合には、Cu合金にSn、Pが過飽和の状態で固溶されるが、800℃から450℃までの冷却速度を4〜10分間かけて冷却することで、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出させることが可能となる。これにより、Cu合金と液相になったBiの熱収縮率の差が緩和され、Biの液相がCu合金粉末中に留まるため、Bi粒の粗大化を抑制することができる。
上述のように、Cu合金には、Cu−Sn−P系化合物を析出させることにより、Bi粒の粗大化を抑制することが可能となるが、Cu−Sn化合物、Sn−P化合物が析出してもよい。なお、Cu−Sn−Bi合金を用い、上述と同様の方法でCu−Sn化合物のみを析出させた場合には、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られなかった。
また、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出させ、Cu合金がSnを過飽和の状態に固溶するのを防ぐことで、摺動環境下で軸受表面にSnが濃化するのを防止し、耐焼付性を低下させるのを抑制することができる。Cu合金にSnが過飽和の状態で存在する場合には、Snが不安定で移動し易く、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層を形成する。一方、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出させた場合には、Cu合金に過飽和の状態で存在するSnが少なくなるので、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層を形成しないため、良好な耐焼付性を有する。
また、請求項1に係る発明においては、BiとSnの質量比をBi/Sn=1.7〜3.4、BiとPの質量比をBi/P=500〜2100とすることで、良好な耐疲労性を有することを見出した。このように、BiとSnの質量比、BiとPの質量比を制御することで、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出させることが可能となり、Bi粒の平均粒子面積を60〜350μmに制御することができる。また、BiとSnの質量比(Bi/Sn)が1.7より小さいと、Biに対しSnの含有量が多い。Snは、Pに比べてBiに拡散し易く、焼結工程にてBiの液相がSnを飽和に固溶した状態となり、Biの液相にPが拡散することが困難となる。このため、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出することがなく、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られない。一方、BiとSnの質量比(Bi/Sn)が3.4を超えて大きいと、Biに対しSnの含有量が少な過ぎるため、Cu−Sn−P系化合物の析出量が十分でなく、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られない。
また、BiとPの質量比(Bi/P)が500より小さいと、Biに対しPの含有量が多い。このため、焼結工程にてBiの液相がPを多く固溶した状態となり、その後の冷却工程にてBiの液相で余剰となったPの一部が、鋼裏金とCu合金の接着面付近にて鋼裏金と脆いFe−P化合物を形成することで、耐疲労性が低下してしまう。一方、BiとPの質量比(Bi/P)が2100を超えて大きいと、Biに対しPの含有量が少な過ぎるため、Cu−Sn−P系化合物の析出量が十分ではなく、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られない。
また、請求項1に係る発明においては、Cu合金にSnを6〜12質量%含有させているが、Snの含有量が6質量%より少ないと、Cu合金にSnが固溶され、Snが余剰となることがない。このため、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出することがなく、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られない。一方、Snの含有量が12質量%を超えて多いと、焼結工程にてCu−Snの液相が多く発生するようになり、Cu合金粉末が一部流動する。このため、Cu合金粉末からBiの液相が流れ出るのを抑制することができず、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られない。
また、請求項1に係る発明においては、Cu合金にPを0.01〜0.05質量%含有させているが、Pの含有量が0.01質量%より少ないと、Cu合金にPが固溶され、Pが余剰となることがない。このため、Cu−Sn−P系化合物の析出量が十分ではなく、Bi粒の粗大化を抑制する効果が得られない。一方、Pの含有量が0.05質量%を超えて多いと、焼結工程にてBiの液相がPを多く固溶した状態となり、その後の冷却工程にてBiの液相で余剰となったPの一部が、鋼裏金とCu合金の接着面付近にて鋼裏金と脆いFe−P化合物を形成することで、耐疲労性が低下してしまう。
また、請求項1に係る発明においては、Cu合金層に分散されるBi粒の平均面積を60〜350μmに制御することで、良好な耐疲労性を有することを見出した。なお、Biの平均粒子面積とは、Cu合金層の厚さ方向に平行な方向の断面における各Bi粒の面積の平均値である。Biは、Cu合金に対し強度が著しく低く、Bi粒が疲労の起点となることが多い。このBi粒の平均面積を350μmより大きく制御した場合には、粗大化したBi粒に亀裂が発生し、耐疲労性が著しく低下してしまう。
また、請求項2に係る発明においては、BiとSnの質量比をBi/Sn=2.1〜3.1とし、且つSnを6.8〜9質量%含有させることで、良好な耐焼付性を有することを見出した。これは、以下のメカニズムによると推測される。Cu合金には、Cu−Sn−P系化合物の他に、Cu−Sn化合物、Sn−P化合物が析出しているが、これらの化合物がCu合金に比べて硬いため、Cu合金に多く析出すると、Cu合金が硬くなり過ぎる。一方、これらの化合物の析出量が少ないと、Cu合金にSnが過飽和の状態で固溶されており、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層を形成するため、その部分が硬化する。このため、摺動環境下で軸受表面の順応性が失われ、耐焼付性が低下してしまう。
上述のように、BiとSnの質量比(Bi/Sn)が大きくなると、Cu−Sn−P系化合物の析出量が少なくなり、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層を形成し易く、その部分が硬化し易くなる。一方、BiとSnの質量比(Bi/Sn)が小さくなると、Cu−Sn−P系化合物の析出量が多くなるが、Cu−Sn化合物、Sn−P化合物の析出量も多くなり、Cu合金が硬化し易くなる。このような状況下で、BiとSnの質量比をBi/Sn=2.1〜3.1とすることで、Cu合金にSnが過飽和の状態で固溶されることがなく、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層が形成され難くなる。また、Cu合金におけるCu−Sn化合物、Sn−P化合物の析出量も少ないため、Cu合金が硬化し難く、良好な耐焼付性を有することが可能となる。
また、BiとSnの質量比がBi/Sn=2.1〜3.1であるとき、Snの含有量が増加すると、Cu−Sn−P系化合物の析出量だけでなく、Cu−Sn化合物の析出量も増加する。本発明者は、実験の結果、Snの含有量を9質量%以下とすることで、もっとも良好な耐焼付性を有することを見出した。一方、Snの含有量は少ないほうが好ましいが、6.8質量%より少ないと、Cu−Sn−P系化合物の析出量が少な過ぎるため、耐焼付性が低下してしまう。
また、請求項3に係る発明のように、Cu合金層を強化するため、Ni、Fe、Agからなる群の中から少なくとも1種以上を総量で0.1〜10質量%含有させてもよい。これらの含有量が総量で0.1質量より少ないと、Cu合金層の強化が不十分となる。また、これらの含有量が総量で10質量%を超えて多くなると、Cu合金層が脆くなり、耐疲労性が低下してしまう。
また、請求項4に係る発明のように、Cu合金層を強化するため、無機化合物を0.1〜10質量%含有させてもよい。この無機化合物としては、炭化物、窒化物、珪化物、酸化物などを使用することができる。また、無機化合物は、平均粒径が1〜10μmのものを使用することができる。無機化合物の含有量が0.1質量%より少ないと、Cu合金層の強化が不十分となる。また、無機化合物の含有量が10質量%を超えて多くなると、Cu合金層中で無機化合物粒が凝集するため、強度が低下してしまう。
Cu−Sn−P−Bi系のCu合金層の組織を示す模式図である。 Cu−Sn−P−Bi系のCu合金層の作製工程におけるBiの挙動を説明するための図である。 従来のCu−Bi系のCu合金層の組織を示す模式図である。 従来のCu−Bi系のCu合金層の作製工程におけるBiの挙動を説明するための図である。
本実施形態に係るBiを含有したCu合金を用いた実施例1〜17と比較例1〜13について、Bi粒の平均粒子面積を測定するとともに、軸受疲労試験を行った。また、実施例1〜17と比較例1については、軸受焼付試験を行った。実施例1〜17及び比較例1〜13の組成(質量%)、BiとSnの質量比(Bi/Sn)、BiとPの質量比(Bi/P)を表1に示す。実施例1〜17は、アトマイズ法にて表1に示す組成で作製したCu合金粉末を用い、その粉末を帯鋼上に散布し、焼結、圧延を繰り返して摺動材料を作製した。なお、焼結は830℃の温度で行い、焼結後の冷却工程にて830℃から450℃まで7分で降温させることにより、Cu合金にCu−Sn−P系化合物を析出させた。この摺動材料を半円筒状に加工し、すべり軸受を作製した。
Figure 2012207277
比較例1は、特許文献2,3に記載されたCu合金であり、実施例の作製方法とは、焼結後の冷却工程にて830℃から450℃まで2分で降温させることにより、Cu合金にSn、Pを過飽和の状態で固溶させ、Cu−Sn−P系化合物が析出しないようにした点のみを異ならせた方法にて、表1に示す組成ですべり軸受を作製した。また、比較例2は、特許文献1に記載されたCu合金であり、実施例と同じ作製方法にて、表1に示す組成ですべり軸受を作製した。また、比較例3,4は、特許文献4,5に記載されたCu合金であり、メカニカルアロイング法にて表1に示す組成で作製したCu合金粉末を用い、その粉末を帯鋼上に散布し、焼結、圧延を繰返して摺動材料を作製した。なお、焼結工程において、比較例3は700℃、比較例4は830℃の温度条件で焼結を実施した。この摺動材料を半円筒状に加工し、すべり軸受を作製した。また、比較例5〜13は、実施例と同じ作製方法にて、表1に示す組成ですべり軸受を作製した。
次に、作製されたすべり軸受について、電子顕微鏡を用いてCu合金層の厚さ方向に平行な方向の断面において、その厚さ方向の中央部付近の画像を200倍(観察視野:Cu合金層の厚さ方向の長さ200μm、Cu合金層の厚さ方向に垂直な方向の長さ300μmで画定される長方形の範囲)で撮影し、その画像を一般的な画像解析手法(解析ソフト:Image−Pro Plus(Version4.5);(株)プラネトロン製)を用いて、各Bi粒の面積を測定し、平均を算出している。この値をBi粒の平均粒子面積とし、その測定結果を表1に示す。また、実施例1〜17は、一般的なTEM分析を用いて、Cu合金層にCu−Sn−P系化合物が分散していることを確認した。
軸受疲労試験の試験条件を表2に示す。実施例1〜17及び比較例1〜13は、軸受試験機にて表2に示す試験条件で軸受疲労試験を実施した。また、実施例1〜17及び比較例1は、軸受試験機にて表3に示す試験条件で軸受焼付試験を実施した。これらの試験結果を表1に示す。表1の耐疲労性欄には試料に疲労が起こらなかった限界の圧力を、耐焼付性欄には試料に焼付が起こらなかった限界の圧力を示す。
Figure 2012207277
Figure 2012207277
実施例1〜17は、比較例1〜13と比較し、何れも良好な耐疲労性を有している。実施例1〜17では、BiとSnの質量比をBi/Sn=1.7〜3.4、BiとPの質量比をBi/P=500〜2100とすることで、段落[0015]で説明したように、焼結後の冷却工程にてCu合金粉末中のCu合金にCu−Sn−P系化合物を析出することが可能となる。これにより、Cu合金粉末中のCu合金と液相になったBiの熱収縮率の差が緩和され、Biの液相がCu合金粉末中に留まるため、Bi粒の粗大化を抑制し、Cu合金層の耐疲労性を高めることができる。
実施例1〜17は、比較例1と比較し、何れも良好な耐焼付性を有するが、実施例1〜17のうち実施例1,4,5,13〜17は、特に良好な耐焼付性を有している。実施例1,4,5,13〜17では、BiとSnの質量比をBi/Sn=2.1〜3.1とし、且つSnを6.8〜9質量%含有させることで、段落[0024]で説明したように、Cu合金にSnが過飽和の状態で固溶されることがなく、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層が形成され難くなる。また、Cu合金におけるCu−Sn化合物、Sn−P化合物の析出量も少ないため、Cu合金が硬化し難く、Cu合金層の耐焼付性を高めることができる。
実施例16は、Cu合金にNi、Fe、Agを含有させ、実施例17は、Cu合金に無機化合物(この実施例ではMoC)を含有させているが、実施例1〜15と同じく、Bi粒の粗大化を抑制し、Cu合金層の耐疲労性を高めることができる。また、Cu合金が硬化し難く、Cu合金層の耐焼付性を高めることができる。
比較例1は、実施例1と比較し、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性及び耐焼付性が劣った結果となっている。この比較例1では、Cu合金の組成が実施例1と同じであるが、冷却工程での冷却速度が実施例1より早く、Cu合金にSn、Pが過飽和の状態で固溶されるため、Cu−Sn−P系化合物を析出することがない。このため、Cu合金とBiの熱収縮率の差が緩和されることなく、BiがCu合金粉末同士の隙間に流れ出すことにより、Bi粒が粗大化し、耐疲労性が低下している。また、摺動環境下で軸受表面にSnの濃化層を形成することにより、その部分が硬化し、耐焼付性が低下している。
比較例2は、実施例1と比較し、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が劣った結果となっている。この比較例2では、Cu合金にPを含有しないため、Cu−Sn−P系化合物を析出することがなく、Cu−Sn化合物を析出する。このため、Cu合金とBiの熱収縮率の差が緩和されることなく、BiがCu合金粉末同士の隙間に流れ出すことにより、Bi粒が粗大化し、耐疲労性が低下している。
比較例3は、実施例1と比較し、Bi粒の平均粒子面積が同程度に小さいが、耐疲労性が劣った結果となっている。これは、焼結温度が700℃と低く、Cu合金層と帯鋼との接着が十分でなかったためである。また、比較例4は、実施例1と比較し、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が劣った結果となっている。これは、焼結温度が830℃と高く、Cu合金粉末同士の焼結が進み過ぎ、メカニカルアロイング粉末を使用したときのBi粒を微細化する効果が失われたためである。
比較例5は、実施例よりBiとSnの質量比(Bi/Sn)が大きい。すなわち、Biに対しSnの含有量が少なく、Cu−Sn−P系化合物の析出量が十分でないため、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が低下している。また、比較例6は、実施例よりBiとSnの質量比(Bi/Sn)が小さい。すなわち、Biに対しSnの含有量が多く、焼結工程にてBiの液相がSnのみを固溶して飽和の状態となるため、Biの液相にPが拡散することが困難となり、Cu−Sn−P系化合物を析出することがない。その結果、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が低下している。
比較例7は、実施例よりBiとPの質量比(Bi/P)が小さい。すなわち、Biに対しPの含有量が多く、焼結工程でBiの液相にPが多く固溶され過ぎるため、冷却工程にてBiの液相で余剰となったPの一部が、鋼裏金と脆いFe−P化合物を形成する。その結果、Bi粒の平均粒子面積が小さいが、耐疲労性が低下している。また、比較例8は、実施例よりBiとPの質量比(Bi/P)が大きい。すなわち、Biに対しPの含有量が少なく、Cu−Sn−P系化合物の析出量が極めて少なくなるため、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が低下している。
比較例9は、実施例よりBiの含有量が多い。Biは、Cu合金に対し強度が著しく低いため、Bi粒の平均粒子面積は小さいが、耐疲労性が低下している。
比較例10は、実施例よりSnの含有量が多く、焼結工程にてCu−Snの液相が多く発生するため、Cu合金粉末の表面が一部流動し、Cu合金粉末からBiの液相が流れ出してしまう。その結果、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が低下している。また、比較例11は、実施例よりSnの含有量が少なく、Cu合金に全てのSnが固溶されるため、Cu−Sn−P系化合物を析出することがない。その結果、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が低下している。
比較例12は、実施例よりPの含有量が多く、焼結工程にてBiの液相にPが多く固溶され過ぎるため、冷却工程にてBiの液相で余剰となったPが、Cu−Sn−P系化合物だけでなく、鋼裏金と脆いFe−P化合物を形成する。その結果、Bi粒の平均粒子面積は小さいが、耐疲労性が低下している。また、比較例13は、実施例よりPの含有量が少なく、Cu−Sn−P系化合物の析出量が十分でないため、Bi粒の平均粒子面積が大きく、耐疲労性が低下している。
本実施形態に係る銅系摺動材料は、内燃機関のすべり軸受や各種産業機械のすべり軸受材料に適用できる。また、本実施形態に係る銅系摺動材料は、Cu合金層上にオーバレイ層を形成させた多層軸受としても使用される。

Claims (4)

  1. 鋼裏金層及びCu合金層からなる銅系摺動材料であって、前記Cu合金層はSnを6〜12質量%、Biを11〜30質量%、Pを0.01〜0.05質量%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる銅系摺動材料において、
    前記Biは、前記Snとの質量比がBi/Sn=1.7〜3.4、前記Pとの質量比がBi/P=500〜2100であり、
    前記Cu合金層には、Cu−Sn−P系化合物が分散することにより、前記Cu合金層の厚さ方向と平行な方向の断面に平均粒子面積が60〜350μmのBi粒が分散していることを特徴とする銅系摺動材料。
  2. 前記Snは、前記Biとの質量比がBi/Sn=2.1〜3.1であり、且つ前記Cu合金層に6.8〜9質量%含有させることを特徴とする請求項1記載の銅系摺動材料。
  3. 前記Cu合金層は、さらにNi、Fe、Agからなる群の中から少なくとも1種以上を総量で0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の銅系摺動材料。
  4. 前記Cu合金層は、さらに無機化合物を0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅系摺動材料。
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