JP2012207547A - 電動スクロール型圧縮機 - Google Patents

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実 米良
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博史 深作
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Abstract

【課題】回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受に関し、耐久性の向上を実現できる電動スクロール型圧縮機を提供する。
【解決手段】ハウジング10には、外部からモータ室42内に連通する吸入口46と、転がり軸受25を保持するとともに、回転軸24の一端面24Cとの間に油室100を形成する軸受保持部14とが形成されている。回転軸24には、一端面24Cに開いて油室100に臨む第1開口71と、他端部24Bで背圧室39に開く第2開口72と、第1開口71と第2開口72とを連通させる連通孔73とからなる給油孔70が形成されている。モータ室42の壁面には、吸入口46から帰還する潤滑油を油室100内に案内する可能な案内路111が形成されている。軸受保持部14には、油室100を、案内路111に連通する帰還室101と、第1開口71に連通する噴射室102とに区画する区画壁103が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は電動スクロール型圧縮機に関する。
特許文献1に従来の電動スクロール型圧縮機が開示されている。この電動スクロール型圧縮機は、モータ室が形成されたハウジングと、モータ室内に設けられ、回転軸を回転可能なモータ機構と、モータ室内に設けられ、回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受とを備えている。
また、この電動スクロール型圧縮機は、ハウジングに固定された固定スクロールと、ハウジング内で回転軸の他端部によって公転のみ可能に設けられ、固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロールと、ハウジング内に固定され、可動スクロールとの間に背圧室を形成する軸支部材とを備えている。背圧室内には、潤滑油を含んで背圧が付与される。
ハウジングには、外部からモータ室内に連通する吸入口と、軸受の外輪を保持する軸受保持部とが形成されている。回転軸には、第1開口と第2開口と連通孔とからなる給油孔が形成されている。第1開口は、回転軸の一端部で回転軸の径外方向に開いて、軸受の内輪と対向している。第2開口は、他端部で背圧室に開いている。連通孔は、第1開口と第2開口とを連通させている。
上記構成である従来の電動スクロール型圧縮機は、背圧室から給油孔を介して、潤滑油を含む背圧を軸受に供給することにより、背圧室内の潤滑油の量、及び軸受に供給される潤滑油の量の適正化を図っている。
特開2010−14108号公報
ところで、上記従来の電動スクロール型圧縮機に対しては、回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受に関し、耐久性を向上させることが求められている。
この点、上記従来の電動スクロール型圧縮機では、第1開口が回転軸の一端部で回転軸の径外方向に開いて、軸受の内輪と対向している。このため、給油孔を介して第1開口から吐出される潤滑油が回転軸から径外方向に飛散し易い。また、回転軸の回転に伴う遠心力によっても、第1開口から吐出される潤滑油が回転軸から径外方向に飛散し易い。さらに、ハウジングに形成された吸入口を介して外部からモータ室内に帰還する潤滑油が軸受保持部に接近する場合でも、回転軸から径外方向に飛散する潤滑油によって、その帰還する潤滑油が軸受から遠ざけられてしまう場合がある。その結果、上記従来の電動スクロール型圧縮機は、軸受に対して充分な量の潤滑油を供給し難くなるおそれがあり、耐久性を向上させることが難しい。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受に関し、耐久性の向上を実現できる電動スクロール型圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の電動スクロール型圧縮機は、モータ室が形成されたハウジングと、前記モータ室内に設けられ、回転軸を回転可能なモータ機構と、前記モータ室内に設けられ、前記回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受と、前記ハウジングに固定された固定スクロールと、前記ハウジング内で前記回転軸の他端部によって公転のみ可能に設けられ、前記固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロールと、前記ハウジング内に固定され、前記可動スクロールとの間に背圧室を形成する軸支部材とを備えるスクロール型圧縮機において、
前記ハウジングには、外部から前記モータ室内に連通する吸入口と、前記軸受を保持するとともに、前記一端部の一端面との間に油室を形成する軸受保持部とが形成され、
前記回転軸には、前記一端面に開いて前記油室に臨む第1開口と、前記他端部で前記背圧室に開く第2開口と、前記第1開口と前記第2開口とを連通させる連通孔とからなる給油孔が形成され、
前記モータ室の壁面には、前記吸入口から帰還する潤滑油を前記油室内に案内可能な案内路が形成され、
前記軸受保持部には、前記油室を、前記案内路に連通する帰還室と、前記第1開口に連通する噴射室とに区画する区画壁が形成されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の電動スクロール型圧縮機では、背圧室内の潤滑油を含む背圧は、給油孔を構成する第2開口、連通孔及び第1開口を介して、油室内に供給される。また、ハウジングに形成された吸入口からモータ室内に帰還する潤滑油は、モータ室の壁面に形成された案内路により、油室内に案内される。案内路は、帰還する潤滑油を油室内に案内可能であれば形状は問わず、例えば、平面、曲面、屈曲面、溝又は孔等であってもよい。
そして、軸受保持部に形成された区画壁は、油室を、案内路に連通する帰還室と、第1開口に連通する噴射室とに区画している。これにより、この電動スクロール型圧縮機では、吸入口から帰還する潤滑油は、帰還室に溜まって、軸受に供給される。その一方、背圧室内の潤滑油を含む背圧は、噴射室に噴射された後、軸受に供給される。この際、第1開口から背圧が噴射室に勢いよく噴射されたとしても、区画壁に遮られるので、帰還室内に溜まった潤滑油を飛散させ難い。その結果、この電動スクロール型圧縮機は、例えば、吸入口から帰還する潤滑油が極めて少なくなる場合等、運転条件が大きく変化しても、軸受に対して充分な量の潤滑油を供給することができる。
したがって、本発明の電動スクロール型圧縮機は、回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受に関し、耐久性の向上を実現できる。
本発明の電動スクロール型圧縮機は、作動時には、上方から下方に向かって吸入口、案内路、帰還室、区画壁及び噴射室がこの順に位置することが好ましい(請求項2)。この場合、吸入口から帰還する潤滑油は、重力により鉛直方向下方に垂れるように移動するだけで、容易に案内路に案内されて、帰還室内に溜まる。また、区画壁により、上方の帰還室と下方の噴射室とが確実に区画される。このため、この電動スクロール型圧縮機は、本発明の作用効果を確実に奏することができる。
上記の場合において、軸受保持部は、ハウジング内に凸設されたボスを有し、案内路は、ボスに設けられた切り欠きであることが好ましい(請求項3)。ボスに設けられた切り欠きを案内部とすることで、吸入口から帰還する潤滑油を確実に帰還室に案内することができるともに、案内部を形成する製造工程の複雑化を抑制できる。
軸受は転がり軸受であることが好ましい(請求項4)。転がり軸受の場合、外輪と内輪との間を利用して、潤滑油を帰還室に案内し易い。
給油孔は絞り部を有することが好ましい(請求項5)。この場合、絞り部によって、背圧室から噴射室に噴射される背圧を調整できるので、背圧室内の潤滑油の量、及び噴射室に供給される潤滑油の量を適正化し易くなる。絞り部は、給油孔自体に形成されていてもよいし、給油孔と噴射室との間に形成された隙間であってもよい。
絞り部は、連通孔に対して絞り部材が嵌合されることにより形成されていることが好ましい(請求項6)。この場合、回転軸に対して、例えば段付き孔等の絞り形状を直接形成する必要がなくなるので、製造工程の簡略化を実現できる。
固定スクロールは、固定基板と、前記固定基板と一体をなす固定渦巻壁とを有し、可動スクロールは、固定基板と対面する可動基板と、可動基板と一体をなし、固定渦巻壁に噛み合わされる可動渦巻壁とを有することが好ましい。そして、可動スクロールには、給気通路が形成されていることが好ましい。この給気通路は、可動渦巻壁の一端面に開き、圧縮室と連通可能な流入口と、可動基板に形成されて背圧室に連通する流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通させる給気孔とからなり、可動スクロールの弾性変形又は公転軸方向の変位によって圧縮室を背圧室に連通させることが好ましい(請求項7)。
例えば、始動時や高負荷時等において、背圧室内の背圧が不足して可動スクロールを充分に固定スクロール側に付勢することができなくなると、可動スクロールの中心側が固定スクロールに対して離間する方向に弾性変形したり、可動スクロール自体が公転軸方向に僅かに変位したりする。そうすると、上記構成の給気通路により、以下の通り、圧縮室を背圧室に連通させることができる。すなわち、固定基板と可動渦巻壁の内終端部の一端面とが離間し、流入口と圧縮室との間を封止していたオイルシールが破壊されて、流入口と圧縮室とが連通し、給気孔及び流出口を介して、背圧室内に高圧の冷媒が流入する。その結果、背圧室内の背圧を適度に維持することができるとともに、給油孔を介して噴射室に潤滑油を一層供給し易くなる。
本発明の電動スクロール型圧縮機は、回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受に関し、耐久性の向上を実現できる。
実施例1の電動スクロール型圧縮機の縦断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、(a)は軸受保持部の近傍を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)に示す矢視A方向から見た吸入口及び軸受保持部を抜き出して示す図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、可動スクロール及び軸支部の近傍を示す要部拡大断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、図1のIV−IV断面を示す断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、給気通路の作用を説明する要部拡大断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、(a)は軸受保持部の近傍を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)に示す矢視B方向から見た吸入口及び軸受保持部を抜き出して示す図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、(a)は軸受保持部の近傍を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)に示す矢視C方向から見た吸入口及び軸受保持部を抜き出して示す図である。
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1のスクロール型圧縮機は、ハウジング10を備えている。ハウジング10は、後端側が開口する有底筒状のフロントハウジング11と、蓋状をなしてフロントハウジング11の後端側を塞ぐリヤハウジング12とからなる。なお、図1において、紙面右側を先端側と規定し、紙面左側を後端側と規定する。先端側は、本発明の一端側に相当し、後端側は、本発明の他端側に相当する。また、図1において、紙面上側を上側と規定し、紙面下側を下側と規定する。図1は、実施例1のスクロール型圧縮機の作動時の姿勢を示している。この姿勢に基づいて、以下の説明を行う。
フロントハウジング11内には、軸支部材15が設けられているとともに、軸支部材15の後方に固定スクロール16が設けられている。固定スクロール16と軸支部材15との間には、円環形状をなす金属薄板製のプレート61が介在されている。フロントハウジング11とリヤハウジング12とは、軸支部材15、プレート61及び固定スクロール16を互いに当接させた状態で収納しながら、フロントハウジング11の後端とリヤハウジング12の前端とが互いに突き合わされ、ボルト13によって相互に固定されている。フロントハウジング11内には、軸支部材15よりも前方にモータ室42が形成されている。
フロントハウジング11の底壁11Aの内面中央には、軸受保持部14が設けられている。また、フロントハウジング11の底壁11Aにおける軸受保持部14の上方には、吸入口46が貫設されている。
図1及び図2に示すように、軸受保持部14は、底壁11Aの内面中央から円筒状に突出するボス14Aを有している。ボス14Aの内筒面14Bには、本発明の軸受の一例である転がり軸受25の外輪25Aが嵌め合わされている。転がり軸受25の内輪25Bには、前後方向に延びる回転軸24の先端部24Aが嵌め合わされている。これにより、軸受保持部14は、転がり軸受25を保持している。そして、転がり軸受25は、回転軸24の先端部24Aを回転可能に支持している。
軸受保持部14は、先端部24Aの先端面24Cとの間に油室100を形成している。油室100は、ボス14Aの内側において、回転軸24の先端面24Cから離れる方向に凹設されている。図2(b)に示すように、油室100は、回転軸24の中心軸線Rを中心とする浅い丸穴形状とされている。図2(a)に示すように、油室100の内筒面100Bの内径は、転がり軸受25の外輪25Aより小さく、内輪25Bより大きくされている。
軸受保持部14には、油室100を区画する区画壁103が形成されている。区画壁103は、油室100の底面100Aにおける中心軸線Rより上方の位置から回転軸24の先端面24Cに接近するように凸設されている。区画壁103は、断面略矩形状のリブである。図2(b)に示すように、区画壁103は、略水平方向に延びて、油室100の内筒面100Bと接続している。
区画壁103と回転軸24の先端面24Cとの隙間は狭くされている。区画壁103と先端面24Cとの隙間に潤滑油が介在することにより、双方の間にオイルシールが形成される。こうして、区画壁103は、油室100を上方の帰還室101と、下方の噴射室102とに区画している。
図2(a)及び(b)に示すように、フロントハウジング11の底壁11Aの内面には、溝状の案内路111が形成されている。案内路111は、吸入口46の下方からボス14Aの上面及び後面まで屈曲しつつ延在している。図示しない外部配管を介して、軸受保持部14の上方に位置する吸入口46からモータ室42内に潤滑油を含む冷媒が帰還する。この際、冷媒に含まれる潤滑油の一部は、吸入口46から重力により鉛直方向下方に垂れる。そして、案内路111に案内されて、転がり軸受25の外輪25Aと外輪25Bとの間を通過し、帰還室101に導かれる。
図1及び図3に示すように、軸支部材15は、筒状の本体部17と、本体部17の後端の開口縁から外側に張り出す鍔部18とからなる。本体部17の中央には軸孔19が貫設されている。鍔部18は、フロントハウジング11の内周面に形成された段差21に当接して前止まりされている。鍔部18の後面側には、後述する可動スクロール22の自転を規制して、公転のみ可能とする自転阻止ピン23Aが後方に向けて凸設されている。
軸支部材15には、転がり軸受26が保持されている。転がり軸受26は、回転軸24の後端部24Bを回転可能に支持している。軸支部材15と、回転軸24の後端部24Bとの間には、封止用のシール材30が設けられている。
図1に示すように、回転軸24には、中心軸線Rに沿って長く延びる連通孔73が貫設されている。図2(a)に示すように、連通孔73の先端は、回転軸24の先端面24Cに開く第1開口71とされている。そして、連通孔73に対して第1開口71から細い円筒形状の絞り部材122が嵌合されることにより絞り部121が形成されている。第1開口71は、噴射室102と連通する。その一方、第1開口71は、区画壁103、及び先端面24Cと区画壁103との間のオイルシールにより、帰還室101とは連通しない。
図3に示すように、連通孔73の後端は、回転軸24の後端部24Bに開く第2開口72とされている。第1開口71と、第2開口72と、連通孔73とにより、給油孔70が構成されている。
回転軸24の後端部24Bには、回転軸24の中心軸線Rから偏心した位置に円柱状の偏心ピン32が突出して形成されている。偏心ピン32には、円筒状のブッシュ33が嵌合して支持されている。回転軸24の中心軸線Rは、可動スクロール22の公転軸でもある。ブッシュ33の外周面の略半周部分には、外側へ扇状に広がるバランスウェイト35が一体に形成されている。このバランスウェイト35は、後述する可動スクロール22の公転に伴う遠心力を相殺する役割をはたす。
固定スクロール16は、基壁16A及び外周壁16Bによって有底筒状をなす固定基板16Cと、外周壁16Bの内側で、かつ基壁16Aの前面に一体をなして立ち上げられた固定渦巻壁16Dとからなる。
一方、ブッシュ33と固定スクロール16との間には、ラジアル軸受34を介して可動スクロール22が設けられている。可動スクロール22は、固定基板16Cと対面する円板状の可動基板22Aと、可動基板22Aの後面に一体をなして立ち上げられた可動渦巻壁22Bとからなる。可動渦巻壁22Bは、固定渦巻壁16Dに噛み合わされている。
固定渦巻壁16Dの先端面16Fは、冷媒に含まれる潤滑油が介在する状態で可動基板22A上を摺動可能とされている。可動渦巻壁22Bの先端面22Fも、冷媒に含まれる潤滑油が介在する状態で固定基板16C上を摺動可能とされている。可動基板22Aの外周縁も、冷媒に含まれる潤滑油が介在する状態で固定基板16Cの外周縁と摺動可能とされている。その潤滑油の油膜がオイルシールとして作用することにより、先端面16F及び固定基板16Cの間と、先端面22F及び可動基板22Aの間と、可動基板22Aの外周縁及び固定基板16Cの外周縁の間とが封止される。
可動基板22Aの前面には、自転阻止ピン23Aの先端部を遊嵌状態で受ける自転阻止孔37が凹設されている。自転阻止孔37には円筒状のリング23Bが遊嵌されている。自転阻止ピン23Aがリング23Bの内周面を摺動及び転動することにより、可動スクロール22は自転を規制されて中心軸線(公転軸)R周りで公転のみ可能となっている。
固定基板16C、固定渦巻壁16D、可動基板22A及び可動渦巻壁22Bにより、圧縮室38が区画されている。可動スクロール22が公転すると、圧縮室38は両渦巻壁16D、22Bの外周側から中心側へ移動されつつ容積が減少し、その結果として、圧縮室38内の冷媒が圧縮される。
可動基板22Aの前面は、金属薄板製であるプレート61の後面と当接している。このため、可動スクロール22は、プレート61に対して摺接しながら公転する。
可動基板22Aの前面側(圧縮室38とは反対側を向く背面側)であって、かつ可動基板22Aと軸支部材15との間には、回転軸24の後端部24Bが臨む背圧室39が形成されている。背圧室39は、第2開口72及び自転阻止孔37とも連通している。軸支部材15、外周壁16B及び可動渦巻壁22Bの最外周部との間には、吸入室41が形成されている。
図1に示すように、モータ室42内には、ステータ44がフロントハウジング11の内周面に固定して設けられている。ステータ44の内側には、回転軸24に固定されたロータ45が設けられている。ロータ45、ステータ44及び回転軸24によってモータ機構40が構成されている。ステータ44への通電によってロータ45及び回転軸24が一体に回転すると、その駆動力が偏心ピン32及びブッシュ33を介して可動スクロール22に伝達され、可動スクロール22が公転する。
フロントハウジング11の内周面の後端側には、モータ室42と吸入室41とを連通させる吸入通路43が凹設されている。吸入口46には、図示しない外部配管が接続されて、モータ室42に連通している。図示は省略するが、その外部配管は、蒸発器と接続されている。さらに、蒸発器は、配管によって膨張弁及び凝縮器と接続されている。スクロール型圧縮機、蒸発器、膨張弁及び凝縮器は車両用空調装置の冷凍回路を構成している。冷凍回路における低圧でかつ低温の冷媒は、吸入口46からモータ室42内に導入され、吸入通路43を経て吸入室41内に供給される。
固定基板16Cの後端とリヤハウジング12の前端との間には、吐出室47が形成されている。固定基板16Cの中央には、吐出ポート48が貫設されている。圧縮室38と吐出室47とは、吐出ポート48を介して互いに連通している。固定基板16Cの後端には、吐出室47内において、吐出ポート48を開閉するための図示しない吐出弁と、この吐出弁の開度を規制するリテーナ49とが設けられている。
リヤハウジング12内には、吐出室47より後方に、車両に搭載された状態で上下方向に延びる油分離室151が形成されている。油分離室151と吐出室47との間には隔壁152が設けられている。隔壁152には、油分離室151と吐出室47とを連通する吐出孔153が貫設されている。油分離室151内には、冷媒に含まれる潤滑油を分離するためのオイルセパレータ155が設けられている。オイルセパレータ155は、円筒状をしており、油分離室151内に嵌合状態で収容されている。
吐出室47から吐出孔153を通して油分離室151に導入された冷媒は、オイルセパレータ155による遠心分離によって潤滑油を分離させ、分離された潤滑油は落下して油分離室151に貯留される。オイルセパレータ155より上方に位置する油分離室151の上端は吐出口56とされている。吐出口56は、冷凍回路の凝縮器に配管によって接続されている。
リヤハウジング12、固定スクロール16及びプレート61には、接続通路158と連通路159とスリット60とからなる給油通路157が形成されている。スリット60は、プレート61に円弧状に切り欠かれた細溝である。図示は省略するが、スリット60は、吸入室41の形成領域を廻り込むように配置されて背圧室39まで延びている。接続通路158及び連通路159は、リヤハウジング12及び固定スクロール16にそれぞれ貫設されて、油分離室151の底部とスリット60とを連通させている。接続通路158には、異物を除去するためのフィルタ162が固定されている。フィルタ162の後端部は、油分離室151内に突出している。油分離室151に貯留された潤滑油は、若干の冷媒とともに給油通路157を介して背圧室39に供給される。この際、スリット60により、潤滑油の供給量が適度に絞られる。
図3及び図4に示すように、可動スクロール22には、流入口51と流出口52と給気孔53とからなる給気通路50が形成されている。流入口51は、可動渦巻壁22Bにおいて、図4に示す内終端部22Cの先端面22Fの中心部に開いている。内終端部22Cは、可動スクロール22の中心に向かって渦巻状に収束する可動渦巻壁22Bの内側の終端部である。図3に示すように、流出口52は、可動基板22Aの前面側(背面側)であって回転軸24の後端部24Bと対面する位置に開いている。給気孔53は、可動渦巻壁22B及び可動基板22Aに貫設された細孔である。給気孔53は、中心軸線Rと平行に延びて、流入口51と流出口52とを連通させている。
図5に示すように、始動時や高負荷時等において、背圧室39内の背圧が不足して可動スクロール22を充分に固定スクロール16側に付勢することができなくなると、可動スクロール22の中心側が固定スクロール16に対して離間する方向に弾性変形したり、可動スクロール22自体が公転軸R方向に僅かに変位したりする。そうすると、以下の通り、給気通路50が圧縮室38を背圧室39に連通させることができる。すなわち、固定基板16Cと可動渦巻壁22Bの内終端部22Cの先端面22Fとが離間し、流入口51と圧縮室38との間を封止するオイルシールが破壊されて、流入口51と圧縮室38とが連通する。そして、給気孔53及び流出口52を介して、背圧室39内に高圧の冷媒が流入する。その結果、背圧室39内の背圧を適度に維持することができる。
以上のように構成されたスクロール型圧縮機は次のように作動する。すなわち、車両の運転者が車両用空調装置に対する操作を行うと、それに基づいて、図示しないモータ制御回路がモータ機構40を制御して、ロータ45及び回転軸24を回転させる。そうすると、偏心ピン32が固定スクロール16の軸心周りに旋回される。このとき、可動スクロール22は、自転阻止ピン23Aがリング23Bの内周面に沿って摺動及び転動することにより、その自転が阻止されて中心軸線(公転軸)R周りで公転のみが許容される。そして、可動スクロール22の公転によって圧縮室38が両スクロール16、22の渦巻壁16D、22Bの外周側から中心側へと容積を減少しながら移動される。このため、蒸発器から吸入口46を介してモータ室42内に戻る冷媒は、吸入通路43を介して吸入室41内に取り込まれ、さらに吸入室41から圧縮室38内へと吸入されて圧縮される。吐出圧力まで圧縮された冷媒は、吐出ポート48から吐出室47に吐出され、吐出口56を介して凝縮器へ排出される。こうして、車両用空調装置の空調が行われる。
ここで、実施例1の電動スクロール型圧縮機では、背圧室39内の潤滑油を含む背圧は、給油孔70を構成する第2開口72、連通孔73及び第1開口71を介して、噴射室102内に供給される。この際、上述した給油通路157及び給気通路50により、背圧室39内における背圧と、潤滑油の量とが適正に維持されるので、給油孔70を介して噴射室102に潤滑油を供給し易い。また、吸入口46からモータ室42内に冷媒とともに帰還する潤滑油は、その一部が案内路111により帰還室101内に案内される。
そして、この電動スクロール型圧縮機では、区画壁103により、油室100が帰還室101と噴射室102とに区画されているので、吸入口46から帰還する潤滑油は、帰還室101に溜まって、転がり軸受25に供給される。その一方、背圧室39内の潤滑油を含む背圧は、噴射室102に噴射された後、転がり軸受25に供給される。この際、第1開口71から背圧が噴射室102に勢いよく噴射されたとしても、区画壁103、及び区画壁103と先端面24Cとの間に形成されたオイルシールに遮られるので、帰還室101内に溜まった潤滑油を飛散させ難い。その結果、この電動スクロール型圧縮機は、例えば、吸入口46から帰還する潤滑油が極めて少なくなる場合等、運転条件が大きく変化しても、転がり軸受25に対して充分な量の潤滑油を供給することができる。
したがって、実施例1の電動スクロール型圧縮機は、回転軸24の先端部24Aを回転可能に支持する転がり軸受25に関し、耐久性の向上を実現できる。
また、この電動スクロール型圧縮機は、作動時に、上方から下方に向かって吸入口46、案内路111、帰還室101、区画壁103及び噴射室102がこの順に位置している。この構成により、吸入口46から帰還する潤滑油は、重力により鉛直方向下方に垂れるように移動するだけで、容易に案内路111に案内されて、帰還室101内に溜まる。また、区画壁103により、上方の帰還室101と下方の噴射室102とが確実に区画される。このため、この電動スクロール型圧縮機は、本発明の作用効果を確実に奏することができる。
さらに、給油孔70に対して第1開口71から絞り部材122が嵌合されることにより絞り部121が形成されている。この絞り部121によって、背圧室39から噴射室102に噴射される背圧を調整できるので、この電動スクロール型圧縮機は、背圧室39内の潤滑油の量、及び噴射室102に供給される潤滑油の量を適正化し易くなる。また、回転軸24に連通孔73を形成する際、例えば段付き孔等の絞り形状を直接形成する必要がなくなるので、製造工程の簡略化を実現できる。
また、軸受として転がり軸受25を採用しているので、外輪25Aと内輪25Bとの間を利用して、潤滑油を帰還室101に案内し易い。
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の電動スクロール型圧縮機は、実施例1における案内路111の代わりに、案内路としての切り欠き112を採用している。実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例2の電動スクロール型圧縮機において、軸受保持部14のボス14Aは、吸入口46の下方に位置する部位が切り欠かれている。この切り欠き112により、ボス14Aは、図6(b)に示すように、矢視B方向から見た場合、上部が開く円弧形状となっている。図6(a)に示すように、ボス14Aの内筒面14Bに転がり軸受25の外輪25Aが嵌め合わされた状態において、切り欠き112は、転がり軸受25よりも先端側に深く凹設されて、帰還室101と連通している。
このような構成である実施例2の電動スクロール型圧縮機は、吸入口46から帰還する潤滑油が鉛直方向下方に垂れると、切り欠き112により、その潤滑油を直接帰還室101に案内することができる。また、転がり軸受25の外輪25Aの上部にも、吸入口46から帰還する潤滑油が接触し易くなる。この潤滑油は、外輪25Aを伝って、外輪25Aと内輪25Bとの隙間にも供給され易い。
したがって、実施例2の電動スクロール型圧縮機も、実施例1の電動スクロール型圧縮機と同様に、回転軸24の先端部24Aを回転可能に支持する転がり軸受25に関し、耐久性の向上を実現できる。また、切り欠き112の加工は比較的容易であるので、案内部を形成する製造工程の複雑化を抑制できる。
(実施例3)
図7に示すように、実施例3の電動スクロール型圧縮機は、実施例1における絞り部121の代わりに、絞り部123を採用している。実施例3のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例3の電動スクロール型圧縮機では、図7(a)に示すように、連通孔73に対して第1開口71から絞り部材122が嵌合されていない。すなわち、第1開口71、連通孔73、及び第2開口72は同一の内径とされており、給油孔70の加工が簡素化されている。
その一方、図7(b)に示すように、軸受保持部14の区画壁103には、下方に延在する突出部124が形成されている。図7(a)に示すように、突出部124は、第1開口71よりも下方まで延びて、第1開口71と隙間を有して対向している。第1開口71と突出部124との隙間は、オイルシールが形成されない程度に狭くされている。このような第1開口71と突出部124との隙間が絞り部123とされている。そして、この絞り部123によって、背圧室39から噴射室102に噴射される背圧を調整できるので、この電動スクロール型圧縮機は、背圧室39内の潤滑油の量、及び噴射室102に供給される潤滑油の量を適正化し易くなる。
したがって、実施例3の電動スクロール型圧縮機も、実施例1、2の電動スクロール型圧縮機と同様に、回転軸24の先端部24Aを回転可能に支持する転がり軸受25に関し、耐久性の向上を実現できる。また、軸受保持部14に区画壁103を形成する際、突出部124を同時加工できるので、製造工程の複雑化を抑制できる。
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施例において、吸入口46の位置はモータ室42内のどの位置にあってもよい。モータ機構40の駆動により、モータ室42内では冷媒の旋回流が発生するので、遠心力により潤滑油がモータ室42の壁面に付着する。この付着した潤滑油の一部は案内路111、112によって油室100へと案内される。
実施例1では軸受として転がり軸受25が採用されているが、滑り軸受など異なる種類のものを採用してもよい。
本発明は例えば車両用空調装置に利用可能である。
42…モータ室
10…ハウジング(11…フロントハウジング、12…リヤハウジング)
24…回転軸
40…モータ機構
24A…回転軸の一端部(先端部)
25…軸受(転がり軸受)
16…固定スクロール
24B…回転軸の他端部(後端部)
38…圧縮室
22…可動スクロール
39…背圧室
15…軸支部材
46…吸入口
24C…一端部の一端面(先端部の先端面)
100…油室
14…軸受保持部
71…第1開口
72…第2開口
73…連通孔
70…給油孔
111、112…案内路(112…切り欠き)
103…区画壁
101…帰還室
102…噴射室
14A…ボス
121、123…絞り部
122…絞り部材
16C…固定基板
16D…固定渦巻壁
22A…可動基板
22B…可動渦巻壁
22F…可動渦巻壁の一端面(先端面)
51…流入口
52…流出口
53…給気孔
50…給気通路
R…公転軸(回転軸の中心軸線)

Claims (7)

  1. モータ室が形成されたハウジングと、前記モータ室内に設けられ、回転軸を回転可能なモータ機構と、前記モータ室内に設けられ、前記回転軸の一端部を回転可能に支持する軸受と、前記ハウジングに固定された固定スクロールと、前記ハウジング内で前記回転軸の他端部によって公転のみ可能に設けられ、前記固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロールと、前記ハウジング内に固定され、前記可動スクロールとの間に背圧室を形成する軸支部材とを備えるスクロール型圧縮機において、
    前記ハウジングには、外部から前記モータ室内に連通する吸入口と、前記軸受を保持するとともに、前記一端部の一端面との間に油室を形成する軸受保持部とが形成され、
    前記回転軸には、前記一端面に開いて前記油室に臨む第1開口と、前記他端部で前記背圧室に開く第2開口と、前記第1開口と前記第2開口とを連通させる連通孔とからなる給油孔が形成され、
    前記モータ室の壁面には、前記吸入口から帰還する潤滑油を前記油室内に案内可能な案内路が形成され、
    前記軸受保持部には、前記油室を、前記案内路に連通する帰還室と、前記第1開口に連通する噴射室とに区画する区画壁が形成されていることを特徴とする電動スクロール型圧縮機。
  2. 作動時には、上方から下方に向かって前記吸入口、前記案内路、前記帰還室、前記区画壁及び前記噴射室がこの順に位置する請求項1記載の電動スクロール型圧縮機。
  3. 前記軸受保持部は、前記ハウジング内に凸設されたボスを有し、
    前記案内路は、前記ボスに設けられた切り欠きである請求項2記載の電動スクロール型圧縮機。
  4. 前記軸受は転がり軸受である請求項1乃至3のいずれか1項記載の電動スクロール型圧縮機。
  5. 前記給油孔は絞り部を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の電動スクロール型圧縮機。
  6. 前記絞り部は、前記連通孔に対して絞り部材が嵌合されることにより形成されている請求項5記載の電動スクロール型圧縮機。
  7. 前記固定スクロールは、固定基板と、前記固定基板と一体をなす固定渦巻壁とを有し、
    前記可動スクロールは、前記固定基板と対面する可動基板と、前記可動基板と一体をなし、前記固定渦巻壁に噛み合わされる可動渦巻壁とを有し、
    前記可動スクロールには、前記可動渦巻壁の一端面に開き、前記圧縮室と連通可能な流入口と、前記可動基板に形成されて前記背圧室に連通する流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通させる給気孔とからなり、前記可動スクロールの弾性変形又は前記公転軸方向の変位によって前記圧縮室を前記背圧室に連通させる給気通路が形成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の電動スクロール型圧縮機。
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