JP2012207656A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、多数のデータ等を予め用意しなくても、広い運転領域において筒内圧センサの故障を精度よく判定することを目的とする。
【解決手段】ECU50は、吸気行程中に取得した筒内圧の基準出力値αPθ0と、吸気行程中の吸気圧Pimとに基いて、センサ出力値αPθのオフセット成分を補正した補正出力値Pfixθを算出する。また、補正出力値Pfixθに基いて、圧縮行程中の2つの判定対象クランク角θ1,θ2における発熱量パラメータQθ1,Qθ2を算出し、発熱量パラメータQθの勾配Kに基いて、筒内圧センサ44の出力感度の異常を検出する。これにより、故障判定に必要なデータの量及び適合工数等を抑制することができる。また、燃焼毎にばらつきが生じ易い筒内圧の積分値や最大値等を故障判定に用いることがないので、故障の判定基準の余裕代を最小限に設定することができる。
【選択図】図4
【解決手段】ECU50は、吸気行程中に取得した筒内圧の基準出力値αPθ0と、吸気行程中の吸気圧Pimとに基いて、センサ出力値αPθのオフセット成分を補正した補正出力値Pfixθを算出する。また、補正出力値Pfixθに基いて、圧縮行程中の2つの判定対象クランク角θ1,θ2における発熱量パラメータQθ1,Qθ2を算出し、発熱量パラメータQθの勾配Kに基いて、筒内圧センサ44の出力感度の異常を検出する。これにより、故障判定に必要なデータの量及び適合工数等を抑制することができる。また、燃焼毎にばらつきが生じ易い筒内圧の積分値や最大値等を故障判定に用いることがないので、故障の判定基準の余裕代を最小限に設定することができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、筒内圧センサの故障判定機能を備えた内燃機関の制御装置に関する。
従来技術として、例えば特許文献1(特開平7−310585号公報)に開示されているように、筒内圧センサの故障判定機能を備えた内燃機関の制御装置が知られている。従来技術では、筒内圧センサにより検出した筒内圧を所定の積分区間で積分し、筒内圧積分値を算出する。また、基本燃料噴射量に基いて、正常な燃焼状態での筒内圧積分値に対応する基準値を算出し、この基準値と前記筒内圧積分値とを比較することにより、筒内圧センサの故障を判定するようにしている。
ところで、上述した従来技術では、基本燃料噴射量に基いて基準値を設定するためのデータ(データマップ等)を予め用意しておく必要がある。このため、データマップに設定された運転領域に応じて、故障判定が可能な運転領域が制限されるという問題がある。これに対し、全ての運転領域で故障判定を実行しようとすると、全運転領域に対応する多数の基本燃料噴射量に対して、それぞれ適合する基準値を求める作業が必要となり、データの適合工数が増加する。
一方、基準値との比較により故障を判定する方法では、エンジンの環境変化(例えばデポジットの堆積により生じる圧縮比の変化等)と、筒内圧センサの故障とを区別するのが困難である。また、筒内圧の積分値や最大値(Pmax)等は、燃焼毎のばらつきが大きく、同一の運転状態でも変化する傾向がある。しかし、これらの点を考慮して故障の判定基準に余裕代をもたせると、判定精度の低下を招くことになる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、多数のデータ等を予め用意しなくても、広い運転領域において筒内圧センサの故障を精度よく判定することが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
第1の発明は、筒内圧に対応する信号を出力する筒内圧センサと、
吸気行程に含まれる所定のクランク角が到来したときに、前記筒内圧センサの出力値を基準出力値として取得する基準出力取得手段と、
吸気行程中の吸気圧を取得する吸気圧取得手段と、
圧縮行程に含まれる任意のクランク角である判定対象クランク角において前記筒内圧センサの出力値を取得し、当該出力値から前記基準出力値と前記吸気圧との差分を減算した値である補正出力値を算出する補正出力算出手段と、
前記補正出力値と、前記判定対象クランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて断熱圧縮中の発熱量に対応する発熱量パラメータを算出する発熱量パラメータ算出手段と、
互いに異なる2つの判定対象クランク角においてそれぞれ算出された前記発熱量パラメータに基いて、当該2つの判定対象クランク角の間における前記発熱量パラメータの変化量を算出するパラメータ変化量算出手段と、
前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサが故障したものと判定する故障判定手段と、
を備えることを特徴とする。
吸気行程に含まれる所定のクランク角が到来したときに、前記筒内圧センサの出力値を基準出力値として取得する基準出力取得手段と、
吸気行程中の吸気圧を取得する吸気圧取得手段と、
圧縮行程に含まれる任意のクランク角である判定対象クランク角において前記筒内圧センサの出力値を取得し、当該出力値から前記基準出力値と前記吸気圧との差分を減算した値である補正出力値を算出する補正出力算出手段と、
前記補正出力値と、前記判定対象クランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて断熱圧縮中の発熱量に対応する発熱量パラメータを算出する発熱量パラメータ算出手段と、
互いに異なる2つの判定対象クランク角においてそれぞれ算出された前記発熱量パラメータに基いて、当該2つの判定対象クランク角の間における前記発熱量パラメータの変化量を算出するパラメータ変化量算出手段と、
前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサが故障したものと判定する故障判定手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明によると、前記吸気圧取得手段は、少なくとも機関回転数とスロットル開度とに基いて所定の物理モデルにより吸気行程中の吸気圧を算出する構成としている。
第3の発明は、筒内圧に対応する信号を出力する筒内圧センサと、
前記筒内圧センサにより検出した筒内圧と、前記筒内圧を検出したクランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて断熱圧縮中の発熱量に対応する発熱量パラメータを算出する発熱量パラメータ算出手段と、
圧縮行程に含まれる任意のクランク角である2つの判定対象クランク角においてそれぞれ算出された前記発熱量パラメータに基いて、当該2つの判定対象クランク角の間における前記発熱量パラメータの変化量を算出するパラメータ変化量算出手段と、
前記発熱量パラメータの変化量に基いて、前記筒内圧センサの出力のずれ度合いを判定する出力ずれ判定手段と、
を備えることを特徴とする。
前記筒内圧センサにより検出した筒内圧と、前記筒内圧を検出したクランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて断熱圧縮中の発熱量に対応する発熱量パラメータを算出する発熱量パラメータ算出手段と、
圧縮行程に含まれる任意のクランク角である2つの判定対象クランク角においてそれぞれ算出された前記発熱量パラメータに基いて、当該2つの判定対象クランク角の間における前記発熱量パラメータの変化量を算出するパラメータ変化量算出手段と、
前記発熱量パラメータの変化量に基いて、前記筒内圧センサの出力のずれ度合いを判定する出力ずれ判定手段と、
を備えることを特徴とする。
第4の発明は、前記発熱量パラメータの変化量に基いて、前記筒内圧センサの出力を補正するセンサ出力補正手段を備える。
第5の発明によると、前記出力ずれ判定手段は、前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサの出力にドリフトが発生したものと判定する構成としている。
第6の発明によると、前記出力ずれ判定手段は、前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサが故障したものと判定する構成としている。
第7の発明は、吸気行程に含まれる所定のクランク角が到来したときに、前記筒内圧センサの出力値を基準出力値として取得する基準出力取得手段と、
吸気行程中の吸気圧を取得する吸気圧取得手段と、
前記判定対象クランク角において前記筒内圧センサの出力値を取得し、当該出力値から前記基準出力値と前記吸気圧との差分を減算した値である補正出力値を算出する補正出力算出手段と、を備え、
前記発熱量パラメータ算出手段は、前記筒内圧に代えて前記補正出力値を用いることにより、前記補正出力値と、前記判定対象クランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて前記発熱量パラメータを算出し、
前記パラメータ変化量算出手段は、前記各判定対象クランク角においてそれぞれ前記補正出力値に基いて算出された2つの発熱量パラメータ間の変化量を算出する構成としている。
吸気行程中の吸気圧を取得する吸気圧取得手段と、
前記判定対象クランク角において前記筒内圧センサの出力値を取得し、当該出力値から前記基準出力値と前記吸気圧との差分を減算した値である補正出力値を算出する補正出力算出手段と、を備え、
前記発熱量パラメータ算出手段は、前記筒内圧に代えて前記補正出力値を用いることにより、前記補正出力値と、前記判定対象クランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて前記発熱量パラメータを算出し、
前記パラメータ変化量算出手段は、前記各判定対象クランク角においてそれぞれ前記補正出力値に基いて算出された2つの発熱量パラメータ間の変化量を算出する構成としている。
第1の発明によれば、吸気行程中に取得した筒内圧の基準出力値と、吸気行程中の吸気圧とに基いて、センサ出力値に含まれる誤差のうちのオフセット成分を補正した補正出力値を算出し、この補正出力値に基いて、圧縮行程中の2つの判定対象クランク角における発熱量パラメータを算出することができる。これにより、出力感度の誤差と相関がある発熱量パラメータの変化量を算出し、この変化量に基いて出力感度の異常を検出することができる。このため、多数のデータ等を予め用意しなくても、広い運転領域において筒内圧センサの故障を精度よく判定することができる。従って、故障判定に必要なデータの量及び適合工数を抑制し、故障判定の制御を容易に実現することができる。また、燃焼毎にばらつきが生じ易い筒内圧の積分値や最大値等を故障判定に用いることがないので、故障の判定基準の余裕代を最小限に設定し、判定精度を向上させることができる。
第2の発明によれば、吸気圧取得手段は、少なくとも機関回転数とスロットル開度とに基いて所定の物理モデルにより吸気行程中の吸気圧を算出することができる。従って、吸気圧センサが必要ないので、システムの構成を簡略化してコストダウンを促進することができる。また、吸気圧センサを搭載しない内燃機関に対しても、本発明を適用することができ、発明の適用対象を広げることができる。
第3の発明によれば、発熱量パラメータの変化量に基いて筒内圧センサの出力のずれ度合いを速やかに検出することができ、検出処理を複数のサイクルにわたって行う必要がない。従って、プレイグニッション等によりドリフトが突発的に発生した場合でも、これに対処するドリフト補正を高い精度で速やかに実行することができる。これにより、筒内圧を常に正確に検出し、その検出結果を用いた制御により燃費及び排気エミッションを向上させることができる。
第4の発明によれば、センサ出力補正手段は、発熱量パラメータの変化量に基いて、筒内圧センサの出力を補正することができ、筒内圧の検出精度を向上させることができる。
第5の発明によれば、出力ずれ判定手段は、発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、センサ出力にドリフトが発生したものと判定することができる。従って、プレイグニッション等によりドリフトが突発的に発生した場合でも、ドリフトの検出処理を複数のサイクルにわたって行う必要がないので、ドリフト補正を高い精度で速やかに実行することができる。
第6の発明によれば、出力ずれ判定手段は、発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、筒内圧センサが故障したものと判定することができる。これにより、過度の出力ずれによるセンサの故障を高い精度で速やかに実行することができる。
第7の発明によれば、第1,3の発明を組合わせて両者の効果を相乗的に発揮することができる。即ち、絶対圧補正を実行した後の補正出力値に基いて出力ずれの度合いを判定することができるので、例えばドリフト及び故障の判定、センサ出力の補正等を実行する場合において、判定や補正の精度を更に向上させることができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図4を参照しつつ、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための構成図である。本実施の形態のシステムは、多気筒型の内燃機関としてのエンジン10を備えている。なお、図1では、エンジン10の1気筒のみを例示している。また、本発明は、単気筒を含む任意の気筒数のエンジンに適用されるものである。エンジン10の各気筒には、ピストン12により燃焼室14が画成されており、ピストン12はエンジンのクランク軸16に連結されている。
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図4を参照しつつ、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための構成図である。本実施の形態のシステムは、多気筒型の内燃機関としてのエンジン10を備えている。なお、図1では、エンジン10の1気筒のみを例示している。また、本発明は、単気筒を含む任意の気筒数のエンジンに適用されるものである。エンジン10の各気筒には、ピストン12により燃焼室14が画成されており、ピストン12はエンジンのクランク軸16に連結されている。
また、エンジン10は、各気筒の燃焼室14内(筒内)に吸入空気を吸込む吸気通路18と、各気筒から排気ガスが排出される排気通路20とを備えている。吸気通路18には、アクセル開度等に基いて吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ22が設けられている。排気通路20には、排気ガスを浄化する触媒24が設けられている。また、各気筒には、吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁26と、筒内の混合気に点火する点火プラグ28と、吸気ポートを筒内に対して開閉する吸気バルブ30と、排気ポートを筒内に対して開閉する排気バルブ32とが設けられている。
また、本実施の形態のシステムは、センサ40〜46を含むセンサ系統と、エンジン10の運転状態を制御するECU(Electronic Control Unit)50とを備えている。クランク角センサ40は、クランク軸16の回転に同期した信号を出力するもので、エアフローセンサ42は吸入空気量を検出する。また、筒内圧センサ44は、筒内圧に対応する信号を出力する公知のセンサにより構成され、気筒毎にそれぞれ設けられている。ECU50は、クランク角に応じて変化する各種のデータを、当該クランク角と共に時系列データとして記憶する機能を備えている。この時系列データには、筒内圧センサ44や吸気圧センサ46の出力値、及び当該出力値に基いて算出される各種のパラメータ等が含まれる。
吸気圧センサ46は、エンジン10の吸気圧に対応する信号を出力するもので、例えば吸気通路18のサージタンク等に設けられている。センサ系統には、この他にも、エンジン制御に必要な各種のセンサが含まれている。このようなセンサの例を挙げると、スロットルバルブ22の開度(スロットル開度)を検出するスロットルセンサ、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ、排気空燃比を検出する空燃比センサ等である。
ECU50は、例えばROM、RAM、不揮発性メモリ等を含む記憶回路を備えた演算処理装置により構成されている。ECU50の入力側には、センサ系統が接続されており、ECU50の出力側には、スロットルバルブ22、燃料噴射弁26、点火プラグ28等を含む各種のアクチュエータが接続されている。そして、ECU50は、エンジンの運転情報をセンサ系統により検出しつつ、各アクチュエータを駆動して運転状態を制御する。
具体的には、クランク角センサ40の出力に基いてエンジン回転数(機関回転数)とクランク角とを検出し、エアフローセンサ42の出力に基いて吸入空気量を算出する。また、吸入空気量、エンジン回転数等に基いてエンジンの負荷(負荷率)を算出する。そして、クランク角に基いて燃料噴射時期や点火時期を決定し、これらの時期が到来したときには、燃料噴射弁26や点火プラグ28を駆動する。これにより、筒内で混合気を燃焼させ、エンジンを運転することができる。また、ECU50は、筒内圧センサ44の出力に基いて、公知の燃焼制御を実行したり、ノッキングやプレイグニッション等を検出する。
[実施の形態1の特徴]
本実施の形態は、筒内圧センサ44及び吸気圧センサ46の出力値に基いて、筒内圧センサ44の故障を判定することを特徴としている。以下、この故障判定制御について説明する。まず、図2は、筒内圧センサの出力値、吸気圧、補正出力値及び発熱量パラメータと、クランク角との関係を示す特性線図である。なお、補正出力値と発熱量パラメータについては後述する。図2において、クランク角0°(°CA)は、圧縮上死点(TDC)に対応している。また、図2(a)は、TDCを中心として1サイクルに対応するクランク角の範囲(−360°〜360°)を示しており、図2(b)は、1サイクル中の部分的なクランク角の範囲(−60°〜60°)を示している。
本実施の形態は、筒内圧センサ44及び吸気圧センサ46の出力値に基いて、筒内圧センサ44の故障を判定することを特徴としている。以下、この故障判定制御について説明する。まず、図2は、筒内圧センサの出力値、吸気圧、補正出力値及び発熱量パラメータと、クランク角との関係を示す特性線図である。なお、補正出力値と発熱量パラメータについては後述する。図2において、クランク角0°(°CA)は、圧縮上死点(TDC)に対応している。また、図2(a)は、TDCを中心として1サイクルに対応するクランク角の範囲(−360°〜360°)を示しており、図2(b)は、1サイクル中の部分的なクランク角の範囲(−60°〜60°)を示している。
図2(a)において、筒内圧センサ44の出力値αPθ(以下、センサ出力値αPθと称す)は、筒内圧センサ44により検出及び出力される実際の筒内圧に対応している。ここで、Pθは、任意のクランク角θにおいて取得されるセンサ出力値であって、出力感度の誤差を含まない真の値(理論値)を表している。また、αは、出力感度の誤差に対応する係数(以下、感度変化係数と称す)を表している。即ち、本実施の形態では、実際のセンサ出力値αPθを、真の出力値Pθと感度変化係数αとの乗算値として表記している。
このため、筒内圧センサ44の出力感度に誤差がない状態では、実際のセンサ出力値αPθが真の出力値Pθと等しくなり、感度変化係数α=1となる。また、感度変化係数αは、出力感度の誤差が大きいほど増加する。しかし、筒内圧センサ44の使用時に得られるのは実際のセンサ出力値αPθであり、出力感度の誤差量、即ち、感度変化係数αの値は容易に求めることができない。そこで、故障判定制御では、センサ出力値αPθ、基準出力値αPθ0及び吸気圧Pimに基いて、補正出力値Pfixθと発熱量パラメータQθとを算出し、出力感度の誤差量を判定する。
故障判定制御では、まず、吸気行程に含まれる所定のクランク角θ0が到来したときに、その時点における実際のセンサ出力値αPθ0を取得し、当該取得値を基準出力値αPθ0として記憶する。また、吸気行程中における吸気圧センサ46の出力値を吸気圧Pimとして取得し、その値を記憶する。ここで、吸気圧Pimは、出力感度の誤差を判定する場合の参照値となる絶対圧である。なお、本実施の形態では、図2(a)に示すように、吸気行程の終了時期に対応するBTDC180°を所定のクランク角θ0として選択し、BTDC180°でのセンサ出力値を基準出力値αP-180°として取得する場合を例示している。しかし、本発明において、クランク角θ0は、BTDC180°に限定されるものではなく、吸気行程に含まれる任意のクランク角に設定してよい。
次の処理では、圧縮行程に含まれる任意のクランク角(以下、判定対象クランク角θと称す)において、実際のセンサ出力値αPθを取得する。そして、下記(1)式に示すように、センサ出力値αPθから基準出力値αPθ0と吸気圧Pimとの差分を減算し、判定対象クランク角θにおける補正出力値Pfixθを算出する。ここで、(1)式は、吸気行程中の基準出力値αPθ0と、絶対圧である吸気圧Pimとに基いてセンサ出力値αPθを補正する処理(絶対圧補正処理)を表している。この補正処理により得られた補正出力値Pfixθは、センサ出力値αPθに含まれる誤差のうちのオフセット成分を除去した値に対応している。
Pfixθ=αPθ−(αPθ0−Pim) ・・・(1)
なお、センサ出力値αPθは、判定対象クランク角θが実際に到来したときに取得してもよいし、または、ECU50に記憶されたセンサ出力値の時系列データの中から、判定対象クランク角θに基いて取得してもよい。これと同様に、補正出力値Pfixθについても、判定対象クランク角θの到来時に算出してもよいし、または、予め算出しておいた時系列データの中から、判定対象クランク角θに基いて取得してもよい。
次の処理では、上記補正出力値Pfixθと、判定対象クランク角θでの筒内容積Vθと、定数である比熱比κとに基いて、下記(2)式の演算を行うことにより、判定対象クランク角θでの発熱量パラメータQθを算出する。なお、発熱量パラメータQθ(所謂PVκ)は、断熱圧縮行程での発熱量に対応するものである。また、筒内容積Vθは、クランク角をパラメータとするデータマップ、関数式等として予め記憶されており、判定対象クランク角θに基いて当該記憶データを参照することにより算出される。
Qθ=Pfixθ×Vθ κ ・・・(2)
また、上述した補正出力値Pfixθ及び発熱量パラメータQθの算出処理は、互いに異なる2つの判定対象クランク角θでそれぞれ実行される。以下の説明では、これら2つの判定対象クランク角θを、圧縮行程に含まれる任意のクランク角θ1,θ2とする(θ1≠θ2)。具体的には、まず、第1の判定対象クランク角θ1に対応する実際のセンサ出力値αPθ1に基いて、前記(1)により補正出力値Pfixθ1を算出し、前記(2)式により発熱量パラメータQθ1を算出する。これと同様に、第2の判定対象クランク角θ2に対応する実際のセンサ出力値αPθ2に基いて補正出力値Pfixθ2を算出し、発熱量パラメータQθ2を算出する。なお、基準出力値αPθ0と吸気圧Pimとは、これらの算出処理において共通の値が用いられる。
そして、上記2つの発熱量パラメータQθ1,Qθ2に基いて、下記(3)式により発熱量パラメータQθの勾配Kを算出する。
K=(Qθ1−Qθ2)/(θ1−θ2) ・・・(3)
ここで、勾配Kは、図2(b)に示すように、2つの判定対象クランク角θ1,θ2の間における発熱量パラメータQθの変化量(変化率)に相当している。一般に、筒内圧センサ44の出力感度に誤差がない状態であれば、発熱量パラメータQθは、図2(b)中に点線で示すように、圧縮行程(断熱圧縮行程)中に一定値となる。しかし、出力感度に誤差がある場合には、実線で示すように、断熱圧縮行程中であっても、発熱量パラメータQθの値が変化する。図3は、発熱量パラメータの変化率と感度変化係数との関係を示す特性線図である。この図に示すように、発熱量パラメータQθの変化率(勾配K)と、感度変化係数αとの間には一定の相関がある。具体的には、感度変化係数αの値、即ち、出力感度の誤差が大きいほど、勾配Kも増加する傾向がある。
本実施の形態では、この点に着目することにより、発熱量パラメータQθの勾配Kに基いて出力感度の誤差が許容範囲内であるか否かを判定する。詳しく述べると、ECU50には、勾配Kの許容範囲が所定の上限判定値Kmax及び下限判定値Kminとして予め記憶されている。勾配Kの許容範囲は、図3に示す特性線に基いて設定されるもので、実用上の要求精度等に応じて決定される感度変化係数αの許容範囲(αmax〜αmin)に対応している。そして、ECU50は、勾配Kが許容範囲から外れた場合、即ち、勾配Kが上限判定値Kmaxを超えるか、または、勾配Kが下限判定値Kmin未満である場合(K>KmaxまたはK<Kmin)に、筒内圧センサ44が故障したものと判定する。
なお、断熱圧縮中の発熱量パラメータQθが一定とならずに変化する現象は、感度変化係数α≠1である場合の補正出力値Pfixα≠1と、感度変化係数α=1である場合の補正出力値Pfixα=1との間に、差分{(α−1)×(Pθ−Pθ0)}が生じることに対応している。即ち、補正出力値Pfixθには、センサの出力感度の誤差が反映される。
[実施の形態1を実現するための具体的な処理]
次に、図4を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンは、エンジンの運転中に繰返し実行されるものとする。図4に示すルーチンでは、まず、ステップ100において、吸気行程中の所定のクランク角θ0におけるセンサ出力値を基準出力値αPθ0として取得し、ステップ102では、吸気行程中の吸気圧Pimを取得する。
次に、図4を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンは、エンジンの運転中に繰返し実行されるものとする。図4に示すルーチンでは、まず、ステップ100において、吸気行程中の所定のクランク角θ0におけるセンサ出力値を基準出力値αPθ0として取得し、ステップ102では、吸気行程中の吸気圧Pimを取得する。
次に、ステップ104では、前述の絶対圧補正処理を実行することにより、補正出力値Pfixθを算出し、ステップ106では、前記(2)式により発熱量パラメータQθを算出する。そして、ステップ108では、圧縮行程中の2つの判定対象クランク角θ1,θ2における発熱量パラメータQθ1,Qθ2に基いて、前記(3)式により発熱量パラメータQθの勾配Kを算出する。
次に、ステップ110では、勾配Kが前述の許容範囲(Kmax〜Kmin)から外れているか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップ112において、筒内圧センサ44の故障(センサ感度の異常)が生じているものと判定する。一方、ステップ110の判定が不成立の場合には、筒内圧センサ44が正常な状態であると判定し、本ルーチンを終了する。
以上詳述した通り、本実施の形態によれば、吸気行程中に取得した筒内圧の基準出力値αPθ0と、吸気行程中に取得した絶対圧である吸気圧Pimとに基いて、センサ出力値αPθのオフセット成分を補正した補正出力値Pfixθを算出することができる。そして、この補正出力値Pfixθに基いて、圧縮行程中の2つの判定対象クランク角θ1,θ2における発熱量パラメータQθ1,Qθ2を算出し、更に出力感度の誤差と相関がある発熱量パラメータQθの勾配Kに基いて、出力感度の異常を検出することができる。
このため、多数のデータ等を予め用意しなくても、広い運転領域において筒内圧センサ44の故障を精度よく判定することができる。従って、故障判定に必要なデータの量及び適合工数を抑制し、故障判定制御を容易に実現することができる。また、本実施の形態では、絶対圧である吸気圧Pimを参照して故障を判定しており、燃焼毎にばらつきが生じ易い筒内圧の積分値や最大値等を用いることがない。これにより、故障の判定基準(感度変化係数αの許容範囲)の余裕代を最小限に設定し、判定精度を向上させることができる。
なお、前記実施の形態1では、図4中のステップ100が請求項1における基準出力取得手段の具体例を示し、ステップ102が吸気圧取得手段の具体例を示している。また、ステップ104は補正出力算出手段の具体例、ステップ106は発熱量パラメータ算出手段の具体例、ステップ108はパラメータ変化量算出手段の具体例をそれぞれ示している。さらに、ステップ110,112は、故障判定手段の具体例を示すものである。
実施の形態2.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態では、前記実施の形態1と同様の構成及び制御において、吸気圧センサを使用せず、吸気行程中の吸気圧をエアモデルにより算出することを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態では、前記実施の形態1と同様の構成及び制御において、吸気圧センサを使用せず、吸気行程中の吸気圧をエアモデルにより算出することを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
[実施の形態2の特徴]
図5は、本発明の実施の形態2において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。本実施の形態では、吸気圧Pimの検出処理を除いて、実施の形態1と同様の制御を実行する。具体的には、図5に示すように、ステップ200、204〜212において、前記図4中のステップ100,104〜112と同様の処理を実行する。また、ステップ202では、吸気圧センサ46の出力に代えて、公知のエアモデルにより算出した吸気圧の算出値を吸気圧Pimとして取得する。
図5は、本発明の実施の形態2において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。本実施の形態では、吸気圧Pimの検出処理を除いて、実施の形態1と同様の制御を実行する。具体的には、図5に示すように、ステップ200、204〜212において、前記図4中のステップ100,104〜112と同様の処理を実行する。また、ステップ202では、吸気圧センサ46の出力に代えて、公知のエアモデルにより算出した吸気圧の算出値を吸気圧Pimとして取得する。
ここで、エアモデルとは、クランク角、機関回転数、スロットル開度等の演算パラメータに基いて、吸気行程中の吸気圧(サージタンクの内圧)Pimを理論的に算出する所定の物理モデルである。なお、本発明では、上記演算パラメータとして、スロットル開度に代えて吸入空気量を用いてもよい。また、VVT等の可変動弁機構により吸気バルブ30のバルブタイミングを変化させる場合には、当該バルブタイミングの設定値が上記演算パラメータに加えられる。また、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR弁が搭載されている場合には、当該EGR弁の開度が上記演算パラメータに加えられる。
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施の形態では、吸気圧センサ46が必要ないので、システムの構成を簡略化してコストダウンを促進することができる。また、吸気圧センサを搭載しない内燃機関に対しても、本発明を適用することができ、発明の適用対象を広げることができる。なお、本実施の形態では、図5中のステップ202が請求項2における吸気圧取得手段の具体例を示している。
実施の形態3.
次に、図6乃至図10を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1と同様の構成において、発熱量パラメータの変化量に基いて、筒内圧センサの出力のずれ度合いを判定することを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
次に、図6乃至図10を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1と同様の構成において、発熱量パラメータの変化量に基いて、筒内圧センサの出力のずれ度合いを判定することを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
[実施の形態3の特徴]
過給機付きのエンジン等では、プレイグニッションが突発的に発生して筒内圧センサに急激な圧力上昇が作用し、センサ出力にドリフト(オフセット)が生じる場合がある。ドリフトの要因は、筒内圧センサのハードウェア的な特性(ダイヤフラム及び圧電素子のヒステリシス)や、センサが組込まれた回路の特性(チャージアンプに電荷が蓄えられる)等にも依存しており、これらの要因はハードウェアにより改善するのが困難である。従って、ドリフトの影響を除去するためには、センサ出力に対してソフトウェア的な補正処理を行う必要がある。
過給機付きのエンジン等では、プレイグニッションが突発的に発生して筒内圧センサに急激な圧力上昇が作用し、センサ出力にドリフト(オフセット)が生じる場合がある。ドリフトの要因は、筒内圧センサのハードウェア的な特性(ダイヤフラム及び圧電素子のヒステリシス)や、センサが組込まれた回路の特性(チャージアンプに電荷が蓄えられる)等にも依存しており、これらの要因はハードウェアにより改善するのが困難である。従って、ドリフトの影響を除去するためには、センサ出力に対してソフトウェア的な補正処理を行う必要がある。
従来の補正処理としては、数十サイクル程度の処理期間を用いてドリフトを緩やかに補正する方法(例えば、圧縮行程の2点間の圧力にPVκ=一定という関係が成立するように補正する方法)等が知られている。しかし、従来の補正処理では、[kPa]単位の比較的低い筒内圧を使用するので、ノイズの影響等を除去するために、複数のサイクル(最低でも5サイクル程度)にわたって平均化処理を行う必要がある。図6及び図7は、この問題を具体的に示すものである。ここで、図6は、プレイグニッションの発生時と非発生時のそれぞれにおける筒内圧センサの出力波形を示しており、図7は、図6から1サイクルが経過した後の出力波形を示している。
図6中に点線で示すように、プレイグニッションに伴ってセンサ出力のドリフトが発生すると、このドリフトは、サイクル毎にドリフト補正(絶対圧補正)を実行しても、出力の平均化処理(サイクル間なまし)の影響により、少なくとも次のサイクルまで残存する(図7参照)。このように、従来技術では、プレイグニッションのような突発的な圧力上昇によりドリフトが発生した場合に、補正処理が間に合わず、補正精度が低下するという問題がある。
そこで、本実施の形態では、圧縮行程中における前記発熱量パラメータQθ(PVκ)の特性線の勾配、即ち、変化量に基いて、筒内圧センサ44の出力ずれの度合いを判定し、センサ出力のドリフトやセンサの故障を速やかに検出する構成としている。以下、図8及び図9を参照して、出力ずれの検出原理について説明する。図8は、ドリフトの発生時と非発生時のそれぞれについて、1サイクル中の発熱量パラメータQθの挙動を示す特性線図であり、図9は、図8中の一部を拡大して示す要部拡大図である。
発熱量パラメータQθは、前述したように、任意のクランク角θでの筒内圧Pθに対して、当該クランク角θでの筒内容積Vθと比熱比κとに基いて算出される値Vθ κを乗算した値である。このため、筒内圧Pθにドリフトが残存している場合には、図8及び図9に示すように、発熱量パラメータQθの勾配が正常時(ドリフトが存在しない場合)の値に対して大きくずれるようになる。特に、圧縮行程では、勾配のずれが大きく、かつ、ずれが安定的に出現する。このため、本実施の形態では、まず、前述した2つの判定対象クランク角θ1,θ2において、下記(4)式により発熱量パラメータQθをそれぞれ算出する。なお、図9では、例えばTDCを基準(0°)として、θ1=BTDC120°(−120°)とし、θ2=BTDC60°(−60°)とした場合を例示している。
Qθ=Pθ×Vθ κ ・・・(4)
次に、判定対象クランク角θ1,θ2でそれぞれ算出した発熱量パラメータQθ1,Qθ2に基いて、下記(5)式により発熱量パラメータQθの勾配(変化量)aを算出する。
a=(Qθ1−Qθ2)/(θ1−θ2) ・・・(5)
そして、勾配aの算出値に基いて、センサ出力のずれ度合いを判定する。具体的な一例を挙げると、本実施の形態では、例えば圧縮行程中の発熱量パラメータQθの勾配aを複数のサイクルにわたって算出し、複数サイクルにおける勾配aの平均値ave及び標準偏差σを算出する。そして、これらの算出結果に基いて得られる判定値(ave+3σ)を基準として、勾配aの絶対値|a|が判定値(ave+3σ)よりも大きい場合、即ち、下記(6)式が成立する場合に、センサ出力のドリフトが発生したものと判定する。
|a|>(ave+3σ) ・・・(6)
ここで、判定値(ave+3σ)は、勾配aのばらつきが正規分布であることを前提として、当該ばらつきの許容範囲を定めるものである。即ち、勾配aのばらつきが許容されるレベルで生じた場合には、その値はほとんど判定値(ave+3σ)以下となり、上記(6)式は成立しない。一方、ドリフトの発生や筒内圧センサの故障等により勾配aの値が異常に増減した場合には、勾配aの値が許容限度から外れて上記(6)式が成立するので、これらの現象を検出することができる。
なお、上記判定処理では、判定値(ave+3σ)を一旦算出した時点でECU50に記憶しておき、その後の判定処理は、記憶した判定値(ave+3σ)を用いて実行する構成としてもよい。また、例えば一定の期間が経過する毎に、複数サイクルの勾配aを用いて判定値(ave+3σ)を新たに算出し、その記憶内容を更新する構成としてもよい。これにより、常に複数サイクルの勾配aを用いて判定値(ave+3σ)を算出する必要がないので、判定処理を速やかに実行することができる。
このように、本実施の形態によれば、発熱量パラメータQθの勾配aに基いてドリフトの発生を速やかに検出することができ、検出処理を複数のサイクルにわたって行う必要がない。従って、プレイグニッション等によりドリフトが突発的に発生した場合でも、これに対処するドリフト補正を高い精度で速やかに実行することができる。これにより、筒内圧を常に正確に検出し、その検出結果を用いた制御により燃費及び排気エミッションを向上させることができる。
[実施の形態3を実現するための具体的な処理]
次に、図10を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。図10は、本発明の実施の形態3において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンは、エンジンの運転中に繰返し実行されるものとする。図10に示すルーチンでは、まず、ステップ300において、筒内圧センサ44の出力を筒内圧Pθとして取得する。
次に、図10を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。図10は、本発明の実施の形態3において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンは、エンジンの運転中に繰返し実行されるものとする。図10に示すルーチンでは、まず、ステップ300において、筒内圧センサ44の出力を筒内圧Pθとして取得する。
次に、ステップ302では、圧縮行程中の2つの判定対象クランク角θ1,θ2において、前記(4)式により発熱量パラメータQθ1,Qθ2を算出し、ステップ304では、前記(5)式により発熱量パラメータQθの勾配(変化量)aを算出する。また、ステップ306では、複数サイクルの勾配aに基いて勾配aの平均値aveと標準偏差σとを算出し、判定値(ave+3σ)を算出する。なお、判定値(ave+3σ)の算出処理は、前述したように、必ずしも本ルーチンの演算サイクル毎に実行する必要はない。
次に、ステップ308では、勾配aの絶対値|a|が判定値(ave+3σ)よりも大きいか否かを判定する。この判定が成立した場合には、ステップ310において、センサ出力のドリフトが発生したものと判定し、必要に応じて筒内圧を補正する処理(ドリフト補正)を実行する。一方、ステップ308の判定が不成立の場合には、ドリフトが発生していないものと判定し、本ルーチンを終了する。
なお、前記実施の形態3では、図10中のステップ302が請求項3における発熱量パラメータ算出手段の具体例を示し、ステップ304がパラメータ変化量算出手段の具体例を示している。また、ステップ306,308,310は、請求項3,5における出力ずれ判定手段の具体例を示している。
また、前記実施の形態3では、発熱量パラメータQθの変化量(勾配)aに基いてセンサ出力のドリフトを検出する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば発熱量パラメータQθの変化量に基いて筒内圧センサの故障を検出する構成としてもよい。詳しく述べると、発熱量パラメータQθの変化量は、センサの出力ずれによっても増加するので、前記勾配aが許容範囲から外れた場合には、過度の出力ずれによる筒内圧センサ44の故障と判定する。この判定処理は、図10中のステップ310を「ドリフト発生と判定」に代えて「故障と判定」とすることにより実現することができる。上記構成は、請求項6における出力ずれ判定手段の具体例を示している。
また、筒内圧センサ44の故障を判定する場合において、図10中のステップ308で用いる判定値(許容範囲)は、例えばドリフト判定用の判定値(ave+3σ)よりも大きな値に設定し、勾配aが極端に増減した場合にセンサの故障と判定する構成としてもよい。さらに、本発明では、例えばステップ308の判定が成立した初回のサイクルにおいて、まず、ドリフトが発生したものと判定し、ステップ308の判定が複数サイクルにわたって継続的に成立した場合には、筒内圧センサの故障と判定する構成としてもよい。
一方、本発明では、発熱量パラメータQθの変化量aを出力ずれの度合いとみなすことにより、変化量aに基いて筒内圧センサの出力を補正する構成としてもよい。即ち、筒内圧センサの出力は、発熱量パラメータQθの変化量aが増加するほど、基準の状態(正規の状態)から大きくずれていると判断することができる。従って、例えば変化量aが増加するほど補正量が大きくなる補正係数を算出し、この補正係数に基いてセンサ出力を補正することにより、筒内圧の検出精度を向上させることができる。上記構成は、請求項4におけるセンサ出力補正手段の具体例を示している。
また、本発明では、前記実施の形態1,3を組合わせる構成としてもよい。この場合には、まず、実施の形態1で説明した(1)式〜(3)式を実行する。即ち、2つの判定対象クランク角θ1,θ2において、補正出力値Pfixθを算出し、当該補正出力値Pfixθを用いて発熱量パラメータQθを算出し、更に、発熱量パラメータQθ1,Qθ2に基いて、発熱量パラメータQθの勾配Kを算出する。そして、この勾配Kを実施の形態3の勾配aとして用いることにより、実施の形態3で説明したドリフト及び故障の判定、センサ出力の補正等を実行する。この構成は、請求項7における発熱量パラメータ算出手段及びパラメータ変化量算出手段の具体例を示している。上記構成によれば、絶対圧補正を実行した後の補正出力値Pfixθに基いてドリフト及び故障の判定、センサ出力の補正等を実行することができるので、判定や補正の精度を更に向上させることができる。
10 エンジン(内燃機関)
12 ピストン
14 燃焼室
16 クランク軸
18 吸気通路
20 排気通路
22 スロットルバルブ
24 触媒
26 燃料噴射弁
28 点火プラグ
30 吸気バルブ
32 排気バルブ
40 クランク角センサ
42 エアフローセンサ
44 筒内圧センサ
46 吸気圧センサ
50 ECU
αPθ センサ出力値
αPθ0 基準出力値
Pim 吸気圧
Pfixθ 補正出力値
θ1,θ2 判定対象クランク角
Qθ 発熱量パラメータ
K 勾配(発熱量パラメータの変化量)
Kmax,Kmin 判定値(許容範囲)
12 ピストン
14 燃焼室
16 クランク軸
18 吸気通路
20 排気通路
22 スロットルバルブ
24 触媒
26 燃料噴射弁
28 点火プラグ
30 吸気バルブ
32 排気バルブ
40 クランク角センサ
42 エアフローセンサ
44 筒内圧センサ
46 吸気圧センサ
50 ECU
αPθ センサ出力値
αPθ0 基準出力値
Pim 吸気圧
Pfixθ 補正出力値
θ1,θ2 判定対象クランク角
Qθ 発熱量パラメータ
K 勾配(発熱量パラメータの変化量)
Kmax,Kmin 判定値(許容範囲)
Claims (7)
- 筒内圧に対応する信号を出力する筒内圧センサと、
吸気行程に含まれる所定のクランク角が到来したときに、前記筒内圧センサの出力値を基準出力値として取得する基準出力取得手段と、
吸気行程中の吸気圧を取得する吸気圧取得手段と、
圧縮行程に含まれる任意のクランク角である判定対象クランク角において前記筒内圧センサの出力値を取得し、当該出力値から前記基準出力値と前記吸気圧との差分を減算した値である補正出力値を算出する補正出力算出手段と、
前記補正出力値と、前記判定対象クランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて断熱圧縮中の発熱量に対応する発熱量パラメータを算出する発熱量パラメータ算出手段と、
互いに異なる2つの判定対象クランク角においてそれぞれ算出された前記発熱量パラメータに基いて、当該2つの判定対象クランク角の間における前記発熱量パラメータの変化量を算出するパラメータ変化量算出手段と、
前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサが故障したものと判定する故障判定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記吸気圧取得手段は、少なくとも機関回転数とスロットル開度とに基いて所定の物理モデルにより吸気行程中の吸気圧を算出する構成としてなる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 筒内圧に対応する信号を出力する筒内圧センサと、
前記筒内圧センサにより検出した筒内圧と、前記筒内圧を検出したクランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて断熱圧縮中の発熱量に対応する発熱量パラメータを算出する発熱量パラメータ算出手段と、
圧縮行程に含まれる任意のクランク角である2つの判定対象クランク角においてそれぞれ算出された前記発熱量パラメータに基いて、当該2つの判定対象クランク角の間における前記発熱量パラメータの変化量を算出するパラメータ変化量算出手段と、
前記発熱量パラメータの変化量に基いて、前記筒内圧センサの出力のずれ度合いを判定する出力ずれ判定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記発熱量パラメータの変化量に基いて、前記筒内圧センサの出力を補正するセンサ出力補正手段を備えてなる請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力ずれ判定手段は、前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサの出力にドリフトが発生したものと判定してなる請求項3または4に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力ずれ判定手段は、前記発熱量パラメータの変化量が許容範囲から外れた場合に、前記筒内圧センサが故障したものと判定してなる請求項3または4に記載の内燃機関の制御装置。
- 吸気行程に含まれる所定のクランク角が到来したときに、前記筒内圧センサの出力値を基準出力値として取得する基準出力取得手段と、
吸気行程中の吸気圧を取得する吸気圧取得手段と、
前記判定対象クランク角において前記筒内圧センサの出力値を取得し、当該出力値から前記基準出力値と前記吸気圧との差分を減算した値である補正出力値を算出する補正出力算出手段と、を備え、
前記発熱量パラメータ算出手段は、前記筒内圧に代えて前記補正出力値を用いることにより、前記補正出力値と、前記判定対象クランク角での筒内容積と、比熱比とに基いて前記発熱量パラメータを算出し、
前記パラメータ変化量算出手段は、前記各判定対象クランク角においてそれぞれ前記補正出力値に基いて算出された2つの発熱量パラメータ間の変化量を算出する構成としてなる請求項5または6に記載の内燃機関の制御装置。
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-
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