JP2012208117A - 地中電磁波3次元成分検出センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】地中に設けられた狭隘な観測用ボアホール内において、波長の長い微弱な地中電磁波の水平電界成分を感度よく検出できるようにする。
【解決手段】水平電界成分検出センサとして、全長が観測用ボアホールの内径より小さい一対の線状の導体からなる短尺ダイポールアンテナ素子を所定の離隔距離以上離して深さ方向に平行に多数配列し、各短尺ダイポールアンテナ素子の一方側の素子をコンデンサCを介して差動増幅器の一方側の入力に接続し、他方側の素子をそれぞれコンデンサCを介して差動増幅器の他方側の入力に接続し、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差により差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量C(<<C)に誘導される電荷の合計値による電位差を検出することによって各短尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差が加算されるようにし、長尺のダイポールアンテナと同等の検出感度と指向特性が得られるようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、狭隘な観測ボアホール内において地中電磁波の3次元成分を検出する地中電磁波3次元成分検出センサに関する。
発明者は、地中において微弱な電磁波パルスを検出し、その到来方位を検出することで地殻変動等による地中起源の電磁波パルスの発生源を特定する地中電磁波観測システムの研究を行っている(例えば、特許文献1参照)。
図6に、特許文献1に開示された従来の地中電磁波観測システムの構成を示す。
本システムは、東西方向の磁界成分を検出するサーチコイル12と、南北方向の磁界成分を検出するサーチコイル14と、垂直方向の電界成分を検出する垂直ダイポールアンテナ16とから構成されたセンサ部10と、センサ部10により検出された信号をAD変換してコンピュータ解析により到来方位を演算する信号処理部20とを備え、地上から深さ方向に100mに亘って設けられた狭隘な観測用ボアホール内にセンサ部10を挿入して地中電磁波を検出するものであり、東西方向の磁界センサ12により検出された東西方向の磁界成分と、南北方向の磁界センサ14により検出された南北方向の磁界成分とから地中電磁波の水平面内における到来方向を演算し、同時に電界センサ16により検出された垂直方向の電界成分の位相情報とから地中電磁波が水平面内のいずれの方位から到来した電磁波であるかを特定する。
特開2005−274371号公報 特開2009−156661号公報 特開2010−164327号公報
このように、従来の地中電磁波観測システムでは、地中電磁波の水平面内の到来方位を求めることはできるものの、到来する電磁波の垂直方向の方位を特定することができず、到来した電磁波が地中を起源とするものであるか、地上を起源とするもの(例えば、雷によるもの)であるかを分離することができない。
また、この地中電磁波観測システムを用いて、地上の雷によって生じた電磁波を観測したところ、電磁波の偏波面が時間とともに回転する楕円偏波となる場合があることが観測された。電磁波は、時間的に変動する電界と磁界が結合して媒質中を伝搬するものであり、偏波面が回転する電磁波の3次元到来方位を正確に求めるためには、電磁波の電界3方向成分と磁界3方向成分を同時に検出する必要がある。
通常、電磁波の磁界成分を検出するためには、コイルが用いられるが、検出感度を高めるために強磁性体をコアとして多数回の巻線を設けたサーチコイルを用いることで小型化を図ることができる。従って、電磁波の3次元磁界成分を検出するセンサは、図7に示すようにサーチコイルを互いに直交する3方向に配備することで構成でき、狭隘な観測用ボアホール内に挿入して地中電磁波の磁界3次元成分を検出することができる。
これに対して、電磁波の電界成分を検出するためには、通常は直線上に一対の線状導体を備えた線状ダイポールアンテナが用いられる。従って、電磁波の電界3次元成分を検出するためには、線状ダイポールアンテナを互いに直交する3方向に設ける必要がある。
電界とは、空間における単位長さ当りの電位勾配であるが、ダイポールアンテナにより検出される電界は、ダイポールアンテナの一方側の素子の中点の電位と他方側の素子の中点の電位の差分として与えられるので、検出感度を上げるためにはダイポールアンテナの両側の素子の中点間の電位差が大きくなるようにダイポールアンテナの素子の長さを長くする必要がある。
しかしながら、地中にセンサを挿入するために設けられる小さな直径の観測用ボアホールにおいて電磁波の3次元電界成分を検出するには、垂直方向の電界成分の検出は深さ方向に長尺のダイポールアンテナを設けることで対応することが可能であるものの、水平方向の電界成分の検出は、図8に示すように、観測用ボアホールの直径以上にダイポールアンテナの素子の長さを長くできないという制約があるため、実用的な検出感度を得ることが困難であるという問題があった。
一方、3次元空間において互いに直交する3方向の電界成分を同時に検出するセンサとして、例えば特許文献2には、立方体状や球状の金属製筐体の各面に導電性電極が配置された電界検出部を持つ3次元電界センサが開示されている。
しかしながら、かかる従来の3次元電界センサでは、本願発明が対象とする地中電磁波のような波長の長い微弱な電磁波の電界成分を検出するためには、各検出電極の面積を大きくするとともに、対向する検出電極間の距離も大きくする必要があり、狭隘な観測用ボアホール内で地中電磁波の電界成分を検出することは困難である。
また、面状や球状の検出電極では、広い角度範囲での方向成分の電界を誘起するので、遠方より到来する電磁波の到来方向を精度よく検出することは難しい。
また、地中に設けられたボアホール内において電磁波の到来方位を検出するシステムとして、例えば特許文献3には、ボアホールの垂直方向において外周上にダイポールアンテナを複数配列したダイポールアレイアンテナを用いて、信号の位相差から受信波の到来方位を推定するボアホールレーダシステムが開示されている。
かかるボアホールレーダシステムは、送信アンテナから地中に電磁波を放射し、地中内の亀裂、断層、地下水などによる散乱波や反射波を他方のボアホールに設けた受信アンテナで受信して到来方位を検出することで、地中内の亀裂、断層、地下水などの3次元位置を推定するものであり、受信アンテナとして送信アンテナから送信する電磁波の波長に同調させたダイポールアンテナを使用することができるので、検出感度を高く保つことができる。
しかしながら、本願発明において検出する地中電磁波は、地殻変動等によって自然界において発生した電磁波であって、検出対象は波長の長い50kHz以下の低周波の電磁波であるが、周波数範囲が広く、同調型の受信アンテナを使用することができない。
また、上述のボアホールレーダシステムでは、水平方向の到来方位は、ダイポールアレイアンテナに到達する信号の位相差によって検出するので、地中電磁波の水平2方向の電界成分を分離して検出することはできない。更には、上述のボアホールレーダシステムでは、地中内の亀裂、断層、地下水などの深さ方向の位置を検出するためには送信アンテナと受信アンテナを深さ方向に上下させる必要があり、自然界で発生した電磁波の垂直方向の到来方位を瞬時に検出することはできない。
このように、上述のボアホールレーダシステムのダイポールアレイアンテナは、本願発明が目的とする自然界において発生した電磁波の3次元電界成分を検出する目的に使用することはできず、検出された地中電磁波が地中を起源とするものであるか、地上を起源とするものであるかを分離することは不可能である。
それ故に、本願発明の主たる目的は、地中に設けられた狭隘な観測用ボアホール内において、波長の長い微弱な地中電磁波の水平電界成分を感度よく検出することができる地中電磁波3次元成分検出センサを提供することである。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、地中に設けられた狭隘な観測用ボアホール内において地中電磁波の3次元電界成分を検出する3次元電界センサを備えたものであって、前記3次元電界センサは、3次元電界成分のうち水平2方向の電界成分を検出する水平電界成分検出センサとして、全長が前記観測用ボアホールの内径より小さい一対の線状の導体からなる短尺ダイポールアンテナを深さ方向に平行に複数配列した短尺ダイポールアンテナアレイと、前記各短尺ダイポールアンテナアレイのそれぞれに対応して、前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位の電位差を前記配列された各短尺ダイポールアンテナについて加算する差動増幅器とを備えたものである。
この発明によれば、水平2方向の電界成分を検出する水平電界成分検出センサとして、全長が観測用ボアホールの直径より小さい一対の線状の導体からなる短尺ダイポールアンテナを深さ方向に平行に複数配列し、差動増幅器により各短尺ダイポールアンテナの一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位の電位差を加算するようにしたので、狭隘な観測用ボアホールに挿入して地中電磁波の水平電界成分を感度よく検出できる地中電磁波3次元成分検出センサを構成することができる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記水平電界成分検出センサは前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子はそれぞれ前記差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記対応する差動増幅器の一方側の入力に接続され、前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して他方側の素子はそれぞれ前記一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記対応する差動増幅器の他方側の入力に接続され、前記各短尺ダイポールアンテナアレイに対応する差動増幅器は、前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位との電位差により前記差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に誘導される電荷の合計値による電位差を検出するようにしたものである。
この発明によれば、前記水平電界成分検出センサは、各短尺ダイポールアンテナの一方側の素子をそれぞれ差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して差動増幅器の一方側の入力に接続し、他方側の素子を一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して差動増幅器の他方側の入力に接続し、差動増幅器は、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差により差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に誘導される電荷の合計値による電位差を検出することによって、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差を加算するようにしたので、各ダイポールアンテナ素子から電流を吸い上げることがなくなり、短尺ダイポールアンテナの周囲の微弱な空間電界を乱すことを防止でき、配列する短尺ダイポールアンテナの素子数に比例した検出感度を得ることが可能となる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記水平電界成分検出センサは前記配列された各短尺ダイポールアンテナと隣接する短尺ダイポールアンテナとの間を前記各短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積に対して隣接する短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積の影響が無視できる離隔距離を空けて配列するようにしたものである。
この発明によれば、前記水平電界成分検出センサは、各短尺ダイポールアンテナと隣接する短尺ダイポールアンテナとの間を各短尺ダイポールアンテナによる電荷蓄積に対して隣接する短尺ダイポールアンテナによる電荷蓄積の影響が無視できる離隔距離を空けて配列するようにしたので、配列する短尺ダイポールアンテナの素子数に比例した検出感度を得ることが可能となる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記水平2方向の電界成分を検出する前記短尺ダイポールアンテナアレイは、前記水平2方向の短尺ダイポールアンテナアレイに配列される各短尺ダイポールアンテナのそれぞれを、深さ方向に互いに前記離隔距離を空けた各水平面のそれぞれにおいて直交する方向に配列するようにしたものである。
この発明によれば、水平2方向の短尺ダイポールアンテナアレイは、各短尺ダイポールアンテナのそれぞれの素子を、深さ方向に互いに離隔距離を空けた各水平面のそれぞれにおいて直交する方向に配列するようにしたので、水平2方向の電界成分の検出を同一容積内で行うことができ、水平2方向の短尺ダイポールアンテナアレイの空間利用効率を高め、地中電磁波3次元成分検出センサの全体の容積を低減することができる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記3次元電界センサは、3次元検出方向のうち垂直方向の電界成分を検出する垂直電界成分検出センサとして、前記水平2方向の電界成分検出用の複数の短尺ダイポールアンテナの合計長さに相当する長さの長尺ダイポールアンテナと、前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位の電位差を検出する垂直方向電界成分検出用差動増幅器とを備えたものであって、前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子は、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力に接続され、前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して他方側の素子は、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力に接続され、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器は、前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位との電位差により前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に誘導される電荷による電位差を検出するようにしたものである。
この発明によれば、3次元検出方向のうち垂直方向の電界成分を検出する垂直方向電界成分検出センサとして、水平2方向の電界成分検出用の複数の短尺ダイポールアンテナの合計長さに相当する長さの単一の長尺ダイポールアンテナを用い、前記短尺ダイポールアンテナアレイと同様に、長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子は、垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力に接続し、長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して他方側の素子は、一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力に接続し、垂直方向電界成分検出用差動増幅器は、長尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差により垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に誘導される電荷による電位差を検出することによって、長尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差を検出するようにしたので、垂直方向の電界成分についても水平2方向の電界成分と同等の検出感度と指向特性を得ることができ、地中電磁波の3次元電界成分を均等に検出することができる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記長尺ダイポールアンテナは、円筒導体で形成され、前記長尺ダイポールアンテナの地上側円筒導体内には、前記長尺ダイポールアンテナの接続点と前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の入力側を接続するための接続用同軸ケーブルを備え、前記長尺ダイポールアンテナの地上側素子の地上端において、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力を前記接続用同軸ケーブルのシールド部に接続し、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力を前記接続用同軸ケーブルの芯線部に接続し、前記長尺ダイポールアンテナの地上側素子の地下端において、前記長尺ダイポールアンテナの地上側素子を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記接続用同軸ケーブルのシールド部に接続し、前記長尺ダイポールアンテナの地下側素子を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記接続用同軸ケーブルの芯線部に接続したものである。
この発明によれば、長尺ダイポールアンテナを円筒導体で形成し、地上側素子の円筒導体内に接続用同軸ケーブルを備え、長尺ダイポールアンテナと垂直方向電界成分検出用差動増幅器を接続する接続ケーブルを長尺ダイポールアンテナの地上側素子内を通過させるようにし、長尺ダイポールアンテナの地上側素子からコンデンサを介した垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力との接続には接続用同軸ケーブルのシールド部を用い、長尺ダイポールアンテナの地下側素子からコンデンサを介した垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力との接続には接続用同軸ケーブルの芯線部を用いるようにしたので、長尺ダイポールアンテナの地下側素子からコンデンサを介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力へ接続する接続線は接続用同軸ケーブルのシールド部によって遮蔽され、長尺ダイポールアンテナの地上側素子との電気的結合が抑制される。これにより、接続ケーブルを地上側素子に沿わせて布設せざるを得ない狭隘なボアホール用の垂直ダイポールアンテナにおいて、ダイポールアンテナ本来の指向特性と信号対雑音比を有する長尺ダイポールアンテナを提供することができる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記長尺ダイポールアンテナは、3重同軸ケーブルで形成され、前記3重同軸ケーブルの外側シールド部をアンテナ素子とするものであって、前記長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地上端において、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力を前記地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部に接続し、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力を前記地上側3重同軸ケーブルの芯線部に接続し、前記長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地下端において、前記地上側3重同軸ケーブルの外側シールド部を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部に接続し、前記長尺ダイポールアンテナの地下側3重同軸ケーブルの外側シールド部を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記地上側3重同軸ケーブルの芯線部に接続したものである。
この発明によれば、長尺ダイポールアンテナを、外側シールド部と内側シールド部が絶縁された3重同軸ケーブルで形成し、3重同軸ケーブルの外側シールド部をアンテナ素子として用い、長尺ダイポールアンテナの地上側素子からコンデンサを介した垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力との接続には地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部を用い、長尺ダイポールアンテナの地下側素子からコンデンサを介した垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力との接続には地上側3重同軸ケーブルの芯線部を用いるようにしたので、長尺ダイポールアンテナの地下側素子からコンデンサを介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力へ接続する接続線は地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部によって遮蔽され、長尺ダイポールアンテナの地上側素子との電気的結合が抑制される。これにより、接続ケーブルを地上側素子に沿わせて布設せざるを得ない狭隘なボアホール用の垂直ダイポールアンテナにおいて、ダイポールアンテナ本来の指向特性と信号対雑音比を有する長尺ダイポールアンテナを提供することができる。
この発明にかかる地中電磁波3次元成分検出センサは、前記3次元電界センサによる地中電磁波の3次元電界成分の検出方向のそれぞれに対応して地中電磁波の3次元磁界成分を検出するサーチコイルを配備した3次元磁界センサを更に備え、前記3次元電界センサによる電界3方向成分と前記3次元磁界センサによる磁界3方向成分に基づいて地中電磁波の到来方位を演算する到来方位演算手段を備えたものである。
この発明によれば、3次元電界センサに加えて、地中電磁波の磁界成分を検出するサーチコイルを3次元電界センサの3次元検出方向のそれぞれに対応して配備した3次元磁界センサを備え、3次元電界センサによる電界3方向成分と3次元磁界センサによる磁界3方向成分に基づいて地中電磁波の到来方位を演算するようにしたので、地中電磁波の偏波面が回転している場合であっても、地中電磁波の3次元到来方位を正確に検出することができ、検出された電磁波が地上起源のものか、地中起源のものかを正しく分離することができる。
本願発明によれば、地中に設けられた狭隘な観測用ボアホール内において、波長の長い微弱な地中電磁波の水平電界成分を感度よく検出することができるという効果がある。
本願発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
本願発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの概略構成図である。(1)は水平電界成分検出センサの回路構成を示し、(2)は垂直電界成分検出センサの回路構成を示し、(3)は電界3次元成分検出センサのアンテナ素子の配列構成を示す。 本願発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの水平電界成分検出センサの基本原理説明図である。(1)は短尺ダイポールアンテナアレイの指向特性を理論的に解明するためのアンテナ素子の配置設定を示し、(2)は電流駆動型の電界検出センサの回路構成を示し、(3)は電荷加算型の電界検出センサの回路構成を示す。 本願発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの水平電界成分検出センサによる検出電位の測定実験データを示す図である。(1)は測定実験に用いた磁気シールドボックスの外観を示し、(2)はシールドボックス内の左右壁面に設置した電界印加用電極に直交する方向の検出電位変化を4種類のダイポールアンテナで測定した結果を示す。 本願発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの水平電界成分検出センサによる検出電位の測定実験データを示す図である。(3)は短尺ダイポールアンテナの素子間隔によって検出電位に変化を生ずる要因となる各アンテナ素子の検出電位に影響を及ぼす空間領域を示す。 本願発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの水平電界成分検出センサによる検出電位の測定実験データを示す図である。(4)は電極間の中心線上での検出電位変化の測定結果を示し、(5)は測定環境でのアンテナ素子間隔による検出電位変化の測定結果を示す。 この発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの水平電界成分検出センサによる指向特性の測定データを示す図である。(1)は水平電界成分の指向特性の測定状況を示し、(2)は水平電界成分の指向特性の測定結果を示す。 この発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの垂直電界成分検出センサによる指向特性の測定データを示す図である。(1)は垂直電界成分の指向特性の測定状況を示し、(2)は垂直電界成分の指向特性の測定結果を示す。 この発明の他の実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの概略構成図である。 従来の地中電磁波観測システムの概略構成図である。 地中電磁波の磁界3方向成分検出センサの概略構成図である。 地中電磁波の電界成分検出センサの問題点を示す図である。
空間に振動電界が存在することは、その変動する電界の方向に沿って変位電流が流れていることを意味している。従って、電磁波の電界成分は、変位電流に対して平行においた線状ダイポールアンテナ素子に電流を誘起させ、両側のアンテナ素子の集合点(接続点)に接続した抵抗にその電流を流させ、その抵抗の両端の電位差を読み取ることにより検出することができる。それ故、多くの誘起電流を検出するには、検出しようとする変動電界の波長の1/4にまで素子の長さを長くすれば良いことは、アンテナ理論の教えるところである。
しかしながら、波長の判らない自然界の電磁波を検出する場合は、むしろアンテナの設置できる空間の広さによって制限されることが多い。特に、地中電磁波を観測する場合には、地中にセンサを挿入するための観測用ボアホールを設け、そのなかに3次元方向に形成したダイポールアンテナを挿入することになるが、観測用ボアホール内では特に水平方向の長さの制約が大きく、実用的な検出感度を得ることは困難である。
線状ダイポールアンテナの電流誘起に寄与する空間は、アンテナ素子の周囲にできる円柱状領域である。従って、地上の水平ダイポールアンテナにおいては、必要に応じてアンテナ素子の長さを長くとることにより、電流誘起に寄与する円柱状領域を長くすることができ、検出感度を高めることができる。
このため、観測用ボアホール内で垂直電界成分を検出するセンサには長尺の一対のアンテナ素子を有する垂直ダイポールアンテナを用いているが、水平電界成分を測定する場合においても、何らかの方法で円柱状空間領域を必要な分だけ確保することで、必要な検出感度を得ることができると考えられる。
ここで、地中電磁波は、先に述べたように波長の長い電磁波であり、検出しようとする地中電磁波の電界成分は観測用ボアホール全体に一様に掛っていると考えられるので、観測用ボアホールの内径に相当する短尺の円柱状空間を深さ方向に多数設け、各短尺の円柱状空間において検出される電界成分を加算することで、長尺の水平ダイポールアンテナと同等の円柱状領域を得ることができると考えられる。
このように、観測用ボアホール内に平行に設けた多数の短尺の水平ダイポールアンテナに誘起された電界成分を合算することで、長尺の水平ダイポールアンテナと同等の検出感度を得ることができるというのが本願発明の基本的考え方である。
すなわち、本願発明の水平電界成分検出センサは、短尺の水平ダイポールアンテナを深さ方向に平行に配列したダイポールアンテナアレイが基本となっており、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差を合算することで、長尺のダイポールアンテナと同等の検出性能を得ようとするものである。
通常のアレイアンテナでは、各アンテナ素子間の信号位相を制御することによって、鋭い電磁波ビームを特定の方向に向けることを目的とするが、本願発明においては、各アンテナ素子間に信号位相差を与えずに信号強度のみを増加させることを目的としており、その場合の構造は波長を全く考慮する必要が無いことを特徴としている。
従って、短尺ダイポールアンテナを平行に配列したダイポールアンテナアレイの指向特性は、単一の短尺ダイポールアンテナの指向特性と一致し、平行に配列したN個の短尺ダイポールアンテナの誘起電流の合計は、単一の短尺ダイポールアンテナの誘起電流のN倍として得ることができる。このように、全長が観測用ボアホールの内径より小さい短尺ダイポールアンテナを多数平行に配備し、各短尺ダイポールアンテナに誘起された電流を加算することで、狭隘なボアホールに挿入して地中電磁波の水平電界成分を検出するセンサを構成することができる。
図2(2)に、本願発明の電磁波3次元成分検出センサの一実施形態にかかる電流駆動型の電界成分検出センサを示す。電流駆動型の電界成分検出センサは、全長が観測用ボアホールの内径よりも小さい一対の線状の導体からなるN個の短尺ダイポールアンテナ素子(110A1、110B1)、(110A2、110B2)、・・・、(110AN、110BN)を平行に配列した短尺ダイポールアンテナアレイ110と、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子の電位差を加算する差動増幅器120とを備えるものである。各短尺ダイポールアンテナの一方側の素子(110A1、110A2、・・・、110AN)は、それぞれ入力抵抗器Rを介して差動増幅器120の一方側の入力120に接続され、各短尺ダイポールアンテナの他方側の素子(110B1、110B2、・・・、110BN)は、それぞれ入力抵抗器Rを介して差動増幅器120の他方側の入力120に接続され、差動増幅器の他方側の入力120は、帰還抵抗器Rを介して差動増幅器の出力120に接続され、差動増幅器の一方側の入力120は、整合抵抗器Rを介して接地されている。
このような構成により、差動増幅器の出力120において得られる出力電圧Vは、上記(2)式の関係が満たされているとすると、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子に誘起される電位の電位差をVとすると、V=N×Vとなり、単一の短尺ダイポールアンテナのN倍の電圧出力が得られる。
しかしながら、実際に、N個の短尺ダイポールアンテナを配列して図2(2)に示すような差動増幅器による加算を行った結果、短尺ダイポールアンテナの素子数に比例した電圧が得られないことが確認された。これは、図2(2)のような回路では、各短尺ダイポールアンテナに誘起された電流は入力抵抗器・帰還抵抗器・整合抵抗器を介して差動増幅器側に吸い上げられるため、各短尺ダイポールアンテナにより検出される微弱な空間電界が乱されることが原因であると考えられる。
そこで、次に、各短尺ダイポールアンテナの空間電界を乱すことなく各短尺ダイポールアンテナの両側の素子に誘起される電位の電位差を加算できるようにした、より好ましい実施形態を示す。
図2(3)に、本願発明の電磁波3次元成分検出センサの他の実施形態にかかる電荷加算型の電界検出センサを示す。電荷加算型の電界検出センサは、各短尺ダイポールアンテナの両素子の接続点をコンデンサC、C、Cにより直列に接続し、コンデンサCの両端の電圧を高入力インピーダンス差動増幅器により測定することを基本とする。
空間に現れた交流電界Eにより短尺ダイポールアンテナの両側の素子には電荷が蓄積され、両側の素子は導体であるため、それぞれ等電位が形成される。両側の素子の電位をそれぞれV、Vとすると、接続点には電位差V(V=V−V)が生ずる。
また、コンデンサC1、Co、C1は直列接続のため、各コンデンサには等しい電荷Qが蓄えられ、それぞれのコンデンサの両端に静電容量に逆比例した電位差V1、V、Vが発生する。ここで、C=Cの関係が成り立つので、V=(C/C)Vとなり、ダイポールアンテナ素子間の接続点の電位差Vは、
このように、各ダイポールアンテナの両側の素子に蓄積された電荷による電位の差によって2つのコンデンサCを介して高入力インピーダンス差動増幅器の入力コンデンサCに誘導された電荷を加算することで、各ダイポールアンテナの空間電界を乱すことなく各短尺ダイポールアンテナの両側の素子間の電位差を加算することができる。
すなわち、図2(3)に示すように、配列されたN個の短尺ダイポールアンテナの各素子の接続点に同一の静電容量のコンデンサCを取り付け、それぞれのコンデンサの他端を共通のコンデンサCに接続する。このようにコンデンサC、C、Cを直列に接続するのは、空間に一様に生じた電界Eが配列された各短尺ダイポールアンテナに対して独立した電界供給源(ある種の電源)であると考え、それぞれの短尺ダイポールアンテナに電位V=E×l(lは両側のアンテナ素子の中心間距離)を与えるためである。
このため、各コンデンサCの両端に電荷Qが発生するが、コンデンサCにはダイポールの素子数Nに相当する電荷N×Qが蓄積される。これにより、コンデンサCの両端(C−D間)には電位差N×Vが現れ、結果として単一の短尺ダイポールアンテナが検出する電圧VのN倍の電圧N×Vを得る事ができる。
なお、このような電荷加算型の電界検出センサの近似関係が得られる条件は、C<<Cであるので、コンデンサCは現実に設ける必要はなく、接続ケーブル等による浮遊容量を用いることができる。
次に、上述のような理論に基づいて、短尺ダイポールアンテナアレイによる電界検出センサによって長尺のダイポールアンテナと同等の電界検出性能が得られるかどうかについて検証するため、測定実験を行った。その結果を図3、図4aに示す。
電荷加算型の電界検出センサの場合は、高入力インピーダンスの差動増幅器を使用するため、通常の環境では商用電源周波数成分の混入が大きく、測定が困難な状態になる。
このため、測定は、内容積が60cm×60cm×60cmのパーマロイ合金製の磁気シールドボックス内で行った。
図3a(1)に、測定実験を行った磁気シールドボックスの外観を示す。磁気シールドボックス内には50cm×50cmの銅板電極を左右壁面に50cm隔てて平行に配置し、両電極間の中央付近に被測定用短尺ダイポールアンテナを置き、両銅板電極間に信号を印加して、測定実験を行った。
印加信号としては、測定に使用するダイポールアンテナの両素子に対して交流的に平衡電界となるように、両電極には互いに逆相となる5kHzで1Vppの信号(両端間では2Vpp)を印加した。
短尺ダイポールアンテナアレイによる電界検出測定実験に先立って、最初に、単一の短尺ダイポールアンテナによって上記磁気シールドボックス内の銅板電極に挟まれた領域内の空間電位分布の確認のための測定実験を行った。
この測定実験においては、図2(3)に示した電荷加算型の電界検出センサにおける素子数が1つである単一の短尺ダイポールアンテナを、両電極の中心を結ぶ軸上(左右方向)に沿って1cm刻みで移動させ、各点における短尺ダイポールアンテナの両素子間の電位差を測定し、軸中心での値を基準として軸方向に積算していくことにより、軸方向の相対的な空間電位分布を得た。
この測定実験では、線形が0.8mmφの銅線で形成した片側素子長が2cm、3cm、4cm、5cmの4種類の単一短尺ダイポールアンテナについて測定を行った。
図3a(2)に、上記4種類の素子長の短尺ダイポールアンテナによる測定実験で得られた空間内での軸方向の空間電位分布の測定結果を示す。
各電位分布では、中央付近は電位勾配が一定(均一電界)になっていると考えられるので、その勾配をそれぞれの素子長で割り算した結果、すべての素子長の短尺ダイポールアンテナにおいて、ほぼ2.4mV/mの電界強度であることを示している。
このことから、電荷加算型の短尺ダイポールアンテナによって、その素子長に関係なく空間電界を正しく測定できることが検証された。
次に、短尺ダイポールアンテナアレイにおいて、検出電界の短尺ダイポールアンテナのアンテナ素子間隔依存性を確認する測定実験を行った。
前述したように、空間電界が存在する領域内に置かれた単一のダイポールアンテナの素子には、その構造に見合った電荷が蓄積されるが、ダイポールアンテナアレイにすると、アンテナ素子間の間隔が短い場合には、互いの素子に十分な電荷を蓄積することができないと考えられる。図3b(3)に、このようなダイポールアンテナのアンテナ素子への電荷蓄積に寄与する周囲の円柱状の有効領域直径と素子間隔との関係を示す。従って、アンテナ素子の素子間隔Dがこの円柱の直径よりも短くなれば、円柱の一部が隣の円柱と領域を共有することになり、アンテナ素子に十分な電荷を供給することができなくなる。
このような短尺ダイポールアンテナアレイの素子間隔による電界検出の依存性を確認するために次のような測定実験を行った。
短尺ダイポールアンテナアレイの素子間隔による電界検出の依存性を確認するには、理想的には均一電界を持った広い測定空間が必要であるが、前述のように、通常の環境では商用電源周波数成分の混入によって測定が困難なため、この測定実験においても上述の磁気シールドボックスを用いた。
磁気シールドボックスのような狭い空間では、均一電界となる空間領域が狭いため、短尺ダイポールアンテナアレイ全体で空間電界の素子間隔依存性を確認することは不可能である。そこで、単一の短尺ダイポールアンテナを2つ用い、両者の素子間隔を変化させて測定を行い、図3b(3)の妥当性を確認した。この測定に先立って、磁気シールドボックス内の測定領域での空間電界分布を測定した。
この測定においては、一辺の素子長が5cmの短尺ダイポールアンテナを用い、銅板電極の中央において中心軸に直交する方向に5mm刻みで移動させ、検出される電位差(相対電界値)の変化を測定した。
その結果、図3c(4)に示すように、中心軸から約7cmの範囲では均一と見られる電界領域が得られているが、シールドボックスの奥や扉面など壁面に近くなる領域では小さく、不均一電界であることがわかった。このような不均一電界は、短尺ダイポールアンテナアレイの素子間隔が大きくなった場合に、正しい素子間隔依存性を得ることができない。そこで、以下のように2つの短尺ダイポールアンテナのアンテナ素子間隔依存性を測定した。
短尺ダイポールアンテナアレイの素子間隔による電界検出の依存性を確認する測定実験は、2つの短尺ダイポールアンテナを平行に配列した2素子の短尺ダイポールアンテナアレイを用いて行った。
測定に使用した2素子の短尺ダイポールアンテナアレイは、各短尺ダイポールアンテナの一辺の素子長をいずれも5cmとし、2つの短尺ダイポールアンテナのアンテナ素子間の中央を外部電界印加用電極間の軸中央となるようにし、図3c(4)に示す測定領域に沿って、2つの短尺ダイポールアンテナの素子間隔を最小間隔3.5cmから、1cm刻みで、最大間隔27cmまで変化させた。
測定は、両短尺ダイポールアンテナにより単独で検出した後、両短尺ダイポールアンテナの素子からそれぞれコンデンサCを介して素子間隔の長さの接続線に接続し、別々に各短尺ダイポールアンテナの接続点側で電圧を測定し、その平均値をダイポールアンテナアレイの出力電圧とした。
図3c(5)に、その測定結果を示す。図において、●印で示したものが短尺ダイポールアンテナアレイの出力電圧であり、+印で示したものが単独で測定した2つの短尺ダイポールアンテナの出力電圧値の合算値をプロットしたものである。
図3c(5)は、測定値を0Vからのスケールで表示したものであり、単独の短尺ダイポールアンテナの出力電圧の合算値に対して、短尺ダイポールアンテナアレイとした状態の出力電圧値はそれ程かけ離れていないことが判る。
しかし、間隔5cm付近では、短尺ダイポールアンテナアレイとした状態の出力電圧は単独の短尺ダイポールアンテナの出力電圧の合算値に比べて10%程度少なく現れており、そのような状況は素子間隔13cmまで現れている。
これは、図3b(3)の説明で述べたように、2つの短尺ダイポールアンテナへの電荷供給に寄与する領域が共有するため、2つの素子に十分な電荷を供給できていないことを物語っている。
図3c(5)では、素子間隔が15cm、16cmにおいても実測値と合算値がずれており、その原因は不明であるが、概ね14cm以上離す事で、両者が一致した値を示すものとみなすことができる。
このため、本願発明の一実施形態にかかる短尺ダイポールアンテナアレイの素子間隔は14cmとすることとした。
次に、短尺ダイポールアンテナアレイによる指向特性を確認する測定実験を行った。
この測定実験では、素子間隔5cmの9素子の短尺ダイポールアンテナアレイを図2(3)のように差動増幅器と接続したものを用い、短尺ダイポールアンテナアレイを図3a(1)の磁気シールドボックス内で短尺ダイポールアンテナアレイの中心位置を回転中心として回転させたときの検出電圧の変化を測定した。
図4a(1)に水平電界成分の指向特性の測定状況を示し、図4a(2)に水平電界成分の指向特性の測定結果を示す。
この結果、短尺ダイポールアンテナアレイの指向特性は、上記(2)式が示す単一の短尺ダイポールアンテナの指向特性と一致していることが確認された。これにより、短尺ダイポールアンテナを平行に配列した短尺ダイポールアンテナアレイにおいて各短尺ダイポールアンテナ素子の両側の素子の電位差を合算することで、長尺のダイポールアンテナとほぼ同等の電位差が得られ、指向特性としては単一の短尺ダイポールアンテナが示す微小ダイポールアンテナの特性が得られるという理論が証明された。
以下、上述のような短尺ダイポールアンテナアレイによる電界検出センサの理論的な検討およびそれを実証する測定実験結果に基づいて実際に構成した本願発明の地中電磁波3次元成分検出センサの実施形態について説明する。
図1に、本願発明の一実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの概略構成を示す。図1(1)は水平2方向の電界成分を検出する水平電界成分検出センサの回路構成を示し、図1(2)は垂直方向の電界成分を検出する垂直電界成分検出センサの回路構成を示し、図1(3)は電界3次元成分検出センサにおけるアンテナ素子の配列構成を示す。この実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサでは、水平電界成分検出センサには上述の短尺ダイポールアンテナアレイを用い、垂直電界成分検出センサには、単一の長尺ダイポールアンテナを用いている。
図1(1)は、地中電磁波の電界3方向成分のうちの水平2方向の電界成分を検出する水平電界成分検出センサの回路構成を示しており、全長が観測用ボアホールの内径より小さい一対の線状の導体からなる4個の東西方向短尺ダイポールアンテナ(111A1,111B1)、(111A2,111B2)、(111A3,111B3)、(111A4,111B4)を深さ方向に平行に配列して東西方向電界成分検出用短尺ダイポールアンテナアレイを形成し、同様に東西方向短尺ダイポールアンテナと同じ長さの4個の南北方向短尺ダイポールアンテナ(112A1,112B1)、(112A2,112B2)、(112A3,112B3)、(112A4,112B4)を深さ方向に平行に配列して南北方向電界成分検出用短尺ダイポールアンテナアレイを形成する。
東西方向短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子(111A1,111A2,111A3,111A4)は、それぞれ差動増幅器121の一方側の入力121と他方側の入力121の間の静電容量Cに対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサCを介して東西方向電界成分検出用差動増幅器121の一方側の入力121に接続され、東西方向短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して他方側の素子(111B1,111B2,111B3,111B4)は、それぞれ一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサCを介して東西方向電界成分検出用差動増幅器121の他方側の入力121に接続される。これにより、東西方向電界成分検出用差動増幅器121の入力121と121の間コンデンサCの両端には、前述のように各短尺ダイポールアンテナの両側の素子に誘起された電位に基づく電荷の4倍の電荷が誘起され、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子間の電位差の4倍の電圧がそれぞれ東西方向電界成分検出用差動増幅器121に入力され、各短尺ダイポールアンテナにより検出される電位差の4倍の電位差が検出される。
同様に、南北方向短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子(112A1,112A2,112A3,112A4)は、それぞれ差動増幅器122の一方側の入力122と他方側の入力122の間の静電容量Cに対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサCを介して南北方向電界成分検出用差動増幅器122の一方側の入力122に接続され、南北方向短尺ダイポールアンテナ素子の検出方向に対して他方側の素子(112B1,112B2,112B3,112B4)は、それぞれ一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサCを介して、南北方向電界成分検出用差動増幅器122の他方側の入力122に接続される。これにより、南北方向電界成分検出用差動増幅器122の入力122と122の間のコンデンサCの両端には、前述のように各短尺ダイポールアンテナの両側の素子に誘起された電位に基づく電荷の4倍の電荷が誘起され、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子間の電位差の4倍の電圧がそれぞれ南北方向電界成分検出用差動増幅器122に入力され、各短尺ダイポールアンテナにより検出される電位差の4倍の電位差が検出される。
なお、東西方向電界成分検出用差動増幅器121の入力121と121の間のコンデンサCと南北方向電界成分検出用差動増幅器122の入力122と122の間のコンデンサCは、前述のように実際に設ける必要はなく、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子からコンデンサCを介してそれぞれ東西方向電界成分検出用差動増幅器121と南北方向電界成分検出用差動増幅器122の入力に接続される接続ケーブル等による浮遊容量によって代用することができる。
図1(2)は、地中電磁波の電界3方向成分のうちの垂直方向の電界成分を検出する垂直方向電界成分検出センサの回路構成を示す。
垂直方向電界成分検出センサは、水平2方向の電界成分検出センサのような観測用ボアホールの内径による制約がないため、単一の長尺ダイポールアンテナ(113,113)を用い、水平電界成分検出センサによる検出特性と均等な検出特性を有するものとするため、検出回路は水平電界成分検出センサと同様にコンデンサ結合による差動増幅を行う回路構成とした。
すなわち、長尺ダイポールアンテナの地上側素子113は、垂直方向電界成分検出用差動増幅器123の一方側の入力123と他方側の入力123の間の静電容量Cに対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサCを介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器123の一方側の入力123に接続され、長尺ダイポールアンテナの地下側素子113は、一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサCを介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器123の他方側の入力123に接続され、垂直方向電界成分検出用差動増幅器123によって、長尺ダイポールアンテナの一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位との電位差によって垂直方向電界成分検出用差動増幅器123の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量Cに誘導された電荷による電位差が検出される。
なお、垂直電界成分検出センサにおいては、狭隘なボアホール内において長尺の垂直ダイポールアンテナを用いるため、アンテナ素子(113,113)と垂直方向電界成分検出用差動増幅器123を接続する接続ケーブルは、長尺ダイポールアンテナの地上側素子113に沿って布設することになるが、長尺ダイポールアンテナの地上側素子113にのみ接続ケーブルが近接して布設されることで長尺ダイポールアンテナの両側の素子間に不平衡電圧が発生してノイズ源となるという問題があった。
本願発明では、このような問題を解決するため、長尺ダイポールアンテナのアンテナ素子(113,113)と垂直方向電界成分検出用差動増幅器123を接続する接続ケーブルを長尺ダイポールアンテナの地上側素子内を通過させ、当該接続ケーブルが長尺ダイポールアンテナの地上側素子の電気的特性に影響を与えない構成とした。
具体的には、長尺ダイポールアンテナは、2重シールドが施され外側シールドと内側シールドが絶縁された3重同軸ケーブル(トライアキシャルケーブル)で形成し、その外側シールド部をアンテナ素子として用い、長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地下端において、長尺ダイポールアンテナの地上側アンテナ素子を形成する地上側3重同軸ケーブルの外側シールド部113を、コンデンサCを介して地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部113に接続し、長尺ダイポールアンテナの地下側アンテナ素子を形成する地下側3重同軸ケーブルの外側シールド部113を、コンデンサCを介して地上側3重同軸ケーブルの芯線部113に接続し、長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地上端において、垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力123を、接続ケーブル113を介して地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部113に接続し、垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力123を、接続ケーブル113を介して地上側3重同軸ケーブルの芯線部113に接続するようにした。
このように、長尺ダイポールアンテナを3重同軸ケーブルで形成し、3重同軸ケーブルの外側シールド部をアンテナ素子とし、地上側3重同軸ケーブルの外側シールド部により検出した信号は、地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部を介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力に導き、地下側3重同軸ケーブルの外側シールド部により検出した信号は、地上側3重同軸ケーブルの芯線部を介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力に導くようにしたので、地下側アンテナ素子で検出した信号は地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部で遮蔽され、地上側アンテナ素子に影響を及ぼさなくなる。
なお、長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地上端と垂直方向電界成分検出用差動増幅器の入力を接続する接続ケーブル(113、113)は、大地に対する電気的平衡状態を維持させるため、地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部113と芯線部113から2本の同種の細い同軸ケーブルに接続替えし、それぞれ垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側入力123と他方側入力123に接続している。
また、垂直電界成分検出用差動増幅器123の入力123と123の間のコンデンサCについても、前述のように実際に設ける必要はなく、長尺ダイポールアンテナの両側の素子からコンデンサCを介して垂直電界成分検出用差動増幅器123に接続される接続ケーブル等による浮遊容量によって代用することができる。
ここで、上記実施形態による垂直電界成分検出センサについて、指向特性を確認する測定実験を行った。この測定実験では、一辺の素子長が20cmのダイポールアンテナを図1(2)の接続方法で差動増幅器と接続したものを用い、このダイポールアンテナを短尺ダイポールアンテナアレイと同じ図3a(1)の磁気シールドボックス内でダイポールアンテナの中心位置を回転中心として回転させたときの検出電圧の変化を測定した。
図4b(1)に垂直電界成分の指向特性の測定状況を示し、図4b(2)に垂直電界成分の指向特性の測定結果を示す。
この結果、図1(2)のように構成された垂直電界成分検出センサにより、理想的な微小ダイポールアンテナとほぼ同様の対称な指向特性が得られることが確認された。
図1(3)は、上記のような東西方向電界成分検出センサと南北方向電界成分検出センサと垂直方向電界成分検出センサの各アンテナ素子をどのように配置して観測用ボアホール1に挿入可能な地中電磁波の電界3方向成分を検出する3次元電界センサを形成するかを示している。
上述のように、水平電界成分検出用の短尺ダイポールアンテナアレイにおいて、各短尺ダイポールアンテナを図3b(3)に示すアンテナ電位に寄与する円柱状の有効領域が重なるように配置すると、配列した短尺のダイポールアンテナの数に相当する電界検出性能が得られないので、各短尺ダイポールアンテナ素子と隣接する短尺ダイポールアンテナ素子との間を各短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積に対して隣接する短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積の影響が無視できる離隔距離を空けて配列する。この実施形態では、前述の短尺ダイポールアンテナアレイの素子間隔による電界検出の依存性の測定実験の結果に基づき、短尺ダイポールアンテナアレイのアンテナ素子間の離隔距離は14cmとした。
なお、ここで実際に使用する観測用ボアホールの内径は19cmであるので、水平電界成分検出用の2つの短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナの全長は、いずれも17cmとした。
また、垂直方向電界成分検出用の長尺ダイポールアンテナの全長は、水平電界成分検出センサと等しい検出感度を有するものとするため、水平電界成分検出用の短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナの長さにアンテナ素子数をかけた68cmとした。
このような条件で、観測用ボアホール内で3次元電界成分を検出する3次元電界センサを構成するため、図1(3)に示すように、東西方向の短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナ(111A1,111B1)、(111A2,111B2)、(111A3,111B3)、(111A4,111B4)のアンテナ素子のそれぞれと、南北方向の短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナ(112A1,112B1)、(112A2,112B2)、(112A3,112B3)、(112A4,112B4)のアンテナ素子のそれぞれを、深さ方向に互いに離隔距離を空けた各水平面のそれぞれにおいて直交する方向に配列し、垂直方向の長尺ダイポールアンテナ(113,113)を水平電界成分検出用の短尺ダイポールアンテナアレイの下部に配置した。
この実施形態では、水平電界成分検出用の短尺ダイポールアンテナアレイは、各アンテナ素子には0.8mmφの銅線を用い、これを図1(3)に示したように配列するため、穴あきプリント基板に各アンテナ素子を固定し、各アンテナ素子の中央端側にそれぞれコンデンサCを介して接続ケーブルを配線し、対応する水平方向電界成分検出用差動増幅器の入力側と接続するようにした。
すなわち、水平電界成分検出センサは、短辺が観測用ボアホールの内径の半分よりわずかに小さい長方形の東西方向アンテナ素子固定用プリント基板131,131と、短辺が観測用ボアホールの内径の半分よりわずかに小さい長方形の南北方向アンテナ素子固定用プリント基板132,132と、プリント基板131,131とプリント基板132,132を直交する方向に固定する円形支持板133、133とを備え、東西方向アンテナ素子固定用プリント基板131,131に東西方向の各短尺ダイポールアンテナの両側の素子を深さ方向に所定の離隔距離を空けてそれぞれ固定し、南北方向アンテナ素子固定用プリント基板132,132に南北方向の各短尺ダイポールアンテナの両側の素子を深さ方向に所定の離隔距離を空けてそれぞれ固定することで、水平電界成分検出用の短尺ダイポールアンテナアレイを形成することができる。
また、垂直電界成分検出用の長尺ダイポールアンテナは、地上側3重同軸ケーブルと地下側3重同軸ケーブルを絶縁支持板134で連結させ、地上側3重同軸ケーブルの地上端を水平電界成分検出センサ用のアンテナ素子が固定されたプリント基板131,131,132,132に固定して垂直方向に吊り下げた状態で使用するものとし、地上側3重同軸ケーブルの地上端から前述の専用の接続ケーブル(113C、113D)を介して垂直方向電界成分検出用差動増幅器の入力側と接続するようにした。
このように形成された、東西方向の短尺ダイポールアンテナアレイと南北方向の短尺ダイポールアンテナアレイと垂直方向の長尺ダイポールアンテナに対して、東西方向の短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナの両側の素子からコンデンサCを介して接続される東西方向電界成分検出用差動増幅器121と、南北方向の短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナの両側の素子からコンデンサCを介して接続される南北方向電界成分検出用差動増幅器122と、垂直方向の長尺ダイポールアンテナの両側の素子からコンデンサCを介して接続される垂直方向電界成分検出用差動増幅器123を備え、東西方向電界成分検出用差動増幅器121と南北方向電界成分検出用差動増幅器122において、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子に誘起される電位の電位差を加算する電荷加算型の電界検出が行われ、地中電磁波の東西方向の電界成分出力VWEと南北方向の電界成分出力VNSがそれぞれ出力され、垂直方向電界成分検出用差動増幅器123において、東西方向電界成分検出用差動増幅器121と南北方向電界成分検出用差動増幅器122と同様のコンデンサ結合による差動増幅によって電界検出が行われ、地中電磁波の垂直方向の電界成分出力VUDが出力される。
このように、水平電界成分検出センサは、水平2方向の短尺ダイポールアンテナアレイのアンテナ素子の長さを同じにして同じ数のアンテナ素子を配列としたものとし、垂直電界成分検出センサは、水平電界成分検出センサの短尺ダイポールアンテナの長さに素子数を掛けた長さの長尺ダイポールアンテナとすることで、各3次元電界成分について検出感度の等しい直交3方向電界センサを容易に実現することができる。
上記実施形態では、垂直電界成分検出センサは、長尺ダイポールアンテナを3重同軸ケーブルによって形成するものとして説明したが、アンテナ素子を円筒導体(例えば、円筒パイプ)で形成し、円筒導体内に同軸ケーブルを備えるようにしてもよい。
すなわち、長尺ダイポールアンテナの地上側円筒導体内に、長尺ダイポールアンテナの接続点と垂直方向電界成分検出用差動増幅器の入力側を接続するための接続用同軸ケーブルを設け、長尺ダイポールアンテナの地上側素子の地下端において、長尺ダイポールアンテナの地上側素子を、コンデンサCを介して接続用同軸ケーブルのシールド部に接続し、長尺ダイポールアンテナの地下側素子を、コンデンサCを介して接続用同軸ケーブルの芯線部に接続し、長尺ダイポールアンテナの地上側素子の地上端において、垂直電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力を接続用同軸ケーブルのシールド部に接続し、垂直電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力を接続用同軸ケーブルの芯線部に接続することで、上記実施形態と同様の効果を奏する垂直電界成分検出センサを構成することができる。
また、上述のような地中電磁波の電界3方向成分を検出する3次元電界センサに対して、更に地中電磁波の磁界3方向成分を検出する3次元磁界センサを組み合せることで、地中電磁波の偏波面が回転している場合でも3次元到来方位を正確に検出できる地中電磁波3次元成分検出センサを構成することができる。
図5に、このような本願発明の他の実施形態にかかる地中電磁波3次元成分検出センサの概略構成を示す。この実施形態の地中電磁波3次元成分検出センサでは、観測用ボアホール1に挿入されるセンサ部100と、センサ部100で検出された信号を処理して地中電磁波の到来方位を演算する信号処理部200を備える。
センサ部100は、図1に示した地中電磁波の電界3方向成分を検出する3次元電界センサに加えて、地中電磁波の磁界3方向成分を検出する3次元磁界センサを備える。
3次元磁界センサは、3次元電界センサによる地中電磁波の電界成分の3次元検出方向のそれぞれに対応して、地中電磁波の東西方向の磁界成分を検出する東西方向磁界成分検出用サーチコイル141と、サーチコイル141の両端の電位差を増幅して地中電磁波の東西方向の磁界成分を出力する東西方向磁界成分検出用差動増幅器151と、地中電磁波の南北方向の磁界成分を検出するサーチコイル142と、サーチコイル142の両端の電位差を増幅して地中電磁波の南北方向の磁界成分を出力する南北方向磁界成分検出用差動増幅器152と、地中電磁波の垂直方向の磁界成分を検出するサーチコイル143と、サーチコイル143の両端の電位差を増幅して地中電磁波の垂直方向の磁界成分を出力する垂直方向磁界成分検出用差動増幅器153を備える。
信号処理部200は、検出部100の3次元電界センサにより検出された電界3方向成分と3次元磁界センサにより検出された磁界3方向成分が入力され、入力された各センサ信号に対してサンプリングする際の折り返し歪(エイリアス)を防止するためのLPF(低域濾波器)210と、LPF210を通過した信号に対して設定された条件で電磁波パルスを切り出してサンプリングするAD変換器220と、AD変換器220においてサンプリングされた信号を取り込んで到来方位を演算する演算処理を行うコンピュータ230と、コンピュータ230により求められた到来方位を表示する表示機240を備える。
ここで、地中電磁波3次元成分検出センサにより検出された電界3方向成分と磁界3方向成分から地中電磁波の到来方位を演算する処理について説明する。
従って、地中電磁波の到来方位は、次のような信号処理によって求めることができる。

1)上記地中電磁波3次元成分検出センサで検出される電磁界6成分はE,E,E,H,H,Hであるが、それらは変動電磁界であり、さまざまな周波数成分を含んでいるので、まず検出された電磁界6成分の信号を周波数成分に分解し、周波数毎の振幅と位相を算出する。
2)一つの周波数成分において電磁界6成分の信号間には位相差が生じているので、その中から基準となる信号を決め、それに対してπ/2以上の位相差を有する成分は逆相となるので負符号を付ける。その結果として、正負符合を含んだ電磁界6成分がえられるので、それを(4)式に代入することで、一周波数成分についてのポインティングベクトルが決定される。
4)伝搬方向の逆が到来方位を表しているので、それを地中で検出された電磁波パルスの一周波数成分の到来方位とする。
5)他の周波数成分についても上記2)〜4)を同時に繰り返して実行し、すべての周波数成分について到来方位を決定する。
6)検出した一つの電磁波パルスについて算出した周波数毎に色分けし、それらの到来方位線を同一立体地図上に描画することにより波源位置方向が明らかとなる。
なお、上記実施形態では、水平電界成分検出センサの各短尺ダイポールアンテナアレイにおいて、短尺ダイポールアンテナの素子数が4の場合について説明しているが、予想される電磁界が平面波近似を満たしている(波源から十分に遠方である)限り深さ方向に制限はないので、検出感度を上げるために多数のアンテナ素子を配列することができる。
例えば、各短尺ダイポールアンテナの一辺の素子長が5cmの場合に、20個の短尺ダイポールアンテナを用いて短尺ダイポールアンテナアレイを構成することにより、一辺の素子長が1mの長尺のダイポールアンテナと同等の検出感度を得ることができる。
また、上記実施形態では、水平電界成分検出センサの短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナは同じ長さのものを使用するものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、長さが不均一な短尺ダイポールアンテナを組合せた短尺ダイポールアンテナアレイであっても本願発明の効果を奏する。
また、上記実施形態では、水平2方向の各短尺ダイポールアンテナのそれぞれを互いに離隔距離を空けた各水平面のそれぞれにおいて直交する方向に配列するものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、各検出方向の短尺ダイポールアンテナアレイのそれぞれについて所定の離隔距離を開けて深さ方向に平行に配列するものである限り、各3次元電界成分について検出感度の等しい直交3方向電界センサを構成することができ、本願発明の効果を奏する。
また、上記実施形態では、水平電界成分検出センサの短尺ダイポールアンテナアレイにおいて各短尺ダイポールアンテナと隣接する短尺ダイポールアンテナとの間を各短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積に対して隣接する短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積の影響が無視できる離隔距離を空けて配列するものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、短尺ダイポールアンテナアレイの各短尺ダイポールアンテナと隣接する短尺ダイポールアンテナとの間隔を所定の離隔距離よりも短くしてもよい。この場合には、短尺ダイポールアンテナアレイのアンテナ素子数に比例した検出感度が得られないことになるが、その分素子数を増やすことによって対応することができる。
また、上記実施形態では、水平電界成分検出センサとして電荷加算型の電界検出を行うものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、差動増幅器において各短尺ダイポールアンテナの一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位の電位差を加算するものである限りどのようなものでも本願発明の効果を奏する。
なお、上述の電流駆動型の電界検出においては、各短尺ダイポールアンテナに誘起された電流が差動増幅器側に吸い上げられるため、各短尺ダイポールアンテナにより検出される微弱な空間電界が乱され、短尺ダイポールアンテナの素子数に比例した検出感度が得られないことが確認されているが、この場合においてもその分素子数を増やすことによって対応することができる。
また、上記実施形態では、水平電界成分検出センサの各短尺ダイポールアンテナアレイの各アンテナ素子は、穴あきプリント基板を用いて固定するものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、各短尺ダイポールアンテナを平行に配列できるものである限り、どのような固定方法を用いたものであってもよい。
以上述べたように、本願発明によれば、全長が観測用ボアホールの内径より小さい一対の線状の導体からなる短尺ダイポールアンテナを深さ方向に平行に複数配列し、各短尺ダイポールアンテナの両側の素子に誘起される電位の電位差を加算することにより長尺のダイポールアンテナと同等の検出感度と指向特性を得ることが可能となり、狭隘な観測用ボアホール内で波長の長い微弱な地中電磁波の水平電界成分を感度よく検出することができる地中電磁波3次元成分検出センサを構成できる。
更に、このような3次元電界成分検出センサに加えて地中電磁波の3次元磁界成分を検出する3次元磁界成分検出センサを組合せることで、狭隘な観測ボアホール内で地中電磁波の正確な3次元到来方位を検出することができ、検出された地中電磁波の偏波面が回転している場合であっても、それが地中起源のものか地上起源のものかを正しく分離することが可能となる。
また、このような地中電磁波3次元成分検出センサを複数箇所に設置することにより、例えば地殻変動によって発生する微弱な電磁波パルスの発生源の位置を正確に特定することが可能となり、地震予知等の分野において有用な地中電磁波観測システムを構成することができる。
本願発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本願発明の効果を奏する限り、各実施形態で述べた構成要素を適宜入れ替えたり、新たな構成要素を追加したり、一部の構成要素を削除したりしてもよいことはいうまでもない。
1 観測用ボアホール
110A1〜110AN 短尺ダイポールアンテナ一方側素子
110B1〜110BN 短尺ダイポールアンテナ他方側素子
120 差動増幅器
111A1〜111A4 東西方向短尺ダイポールアンテナ一方側素子
111B1〜111B4 東西方向短尺ダイポールアンテナ他方側素子
121 東西方向電界成分検出用差動増幅器
112A1〜112A4 南北方向短尺ダイポールアンテナ一方側素子
112B1〜112B4 南北方向短尺ダイポールアンテナ他方側素子
122 南北方向電界成分検出用差動増幅器
113 垂直方向長尺ダイポールアンテナ地上側3重同軸ケーブルの外側シールド部
113 垂直方向長尺ダイポールアンテナ地下側3重同軸ケーブルの外側シールド部
113 垂直方向長尺ダイポールアンテナ地上側素子の接続ケーブル
113 垂直方向長尺ダイポールアンテナ地下側素子の接続ケーブル
113 垂直方向長尺ダイポールアンテナ地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部
113 垂直方向長尺ダイポールアンテナ地上側3重同軸ケーブルの芯線部
123 垂直方向電界成分検出用差動増幅器
131、131 東西方向アンテナ素子固定用プリント基板
132、132 南北方向アンテナ素子固定用プリント基板
133、133 円形支持板
134 垂直方向長尺ダイポールアンテナ絶縁支持板
100 センサ部
141 東西方向磁界成分検出用サーチコイル
151 東西方向磁界成分検出用差動増幅器
142 南北方向磁界成分検出用サーチコイル
152 南北方向磁界成分検出用差動増幅器
143 垂直方向磁界成分検出用サーチコイル
153 垂直方向磁界成分検出用差動増幅器
200 信号処理部
210 低域濾波器
220 AD変換器
230 コンピュータ
240 表示器

Claims (8)

  1. 地中に設けられた狭隘な観測用ボアホール内において地中電磁波の3次元電界成分を検出する3次元電界センサを備えた地中電磁波3次元成分検出センサであって、
    前記3次元電界センサは、3次元電界成分のうち水平2方向の電界成分を検出する水平電界成分検出センサとして、
    全長が前記観測用ボアホールの内径より小さい一対の線状の導体からなる短尺ダイポールアンテナを、深さ方向に平行に複数配列した短尺ダイポールアンテナアレイと、
    前記各短尺ダイポールアンテナアレイのそれぞれに対応して、前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位の電位差を、前記配列された各短尺ダイポールアンテナについて加算する差動増幅器と、
    を備えたことを特徴とする、地中電磁波3次元成分検出センサ。
  2. 前記水平電界成分検出センサは、
    前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子は、それぞれ前記差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記差動増幅器の一方側の入力に接続され、
    前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して他方側の素子は、それぞれ前記一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記差動増幅器の他方側の入力に接続され、
    前記差動増幅器は、前記配列された各短尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位との電位差により前記差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に誘導される電荷の合計値による電位差を検出するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
  3. 前記水平電界成分検出センサは、
    前記配列された各短尺ダイポールアンテナと隣接する短尺ダイポールアンテナとの間を、前記各短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積に対して隣接する短尺ダイポールアンテナ素子による電荷蓄積の影響が無視できる離隔距離を空けて配列するようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
  4. 前記水平2方向の電界成分を検出する前記短尺ダイポールアンテナアレイは、
    前記水平2方向の短尺ダイポールアンテナアレイに配列される各短尺ダイポールアンテナのそれぞれを、深さ方向に互いに前記離隔距離を空けた各水平面のそれぞれにおいて直交する方向に配列するようにしたことを特徴とする、請求項3に記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
  5. 前記3次元電界センサは、3次元電界成分のうち垂直方向の電界成分を検出する垂直方向電界成分検出センサとして、前記水平2方向の電界成分検出用の複数の短尺ダイポールアンテナの合計長さに相当する長さの長尺ダイポールアンテナと、前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位の電位差を検出する垂直方向電界成分検出用差動増幅器とを備えたものであって、
    前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子は、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に対して十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力に接続され、
    前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して他方側の素子は、前記一方側の素子の接続に用いたコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力に接続され、
    前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器は、前記長尺ダイポールアンテナの検出方向に対して一方側の素子に誘起される電位と他方側の素子に誘起される電位との電位差により前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力と他方側の入力の間の静電容量に誘導される電荷による電位差を検出するようにした、
    ことを特徴とする、請求項4に記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
  6. 前記長尺ダイポールアンテナは、円筒導体で形成され、前記長尺ダイポールアンテナの地上側円筒導体内には、前記長尺ダイポールアンテナの接続点と前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の入力側を接続するための接続用同軸ケーブルを備え、
    前記長尺ダイポールアンテナの地上側素子の地上端において、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力を前記接続用同軸ケーブルのシールド部に接続し、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力を前記接続用同軸ケーブルの芯線部に接続し、
    前記長尺ダイポールアンテナの地上側素子の地下端において、前記長尺ダイポールアンテナの地上側素子を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記接続用同軸ケーブルのシールド部に接続し、前記長尺ダイポールアンテナの地下側素子を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記接続用同軸ケーブルの芯線部に接続した、
    ことを特徴とする、請求項5に記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
  7. 前記長尺ダイポールアンテナは、3重同軸ケーブルで形成され、前記3重同軸ケーブルの外側シールド部をアンテナ素子とするものであって、
    前記長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地上端において、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の一方側の入力を前記地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部に接続し、前記垂直方向電界成分検出用差動増幅器の他方側の入力を前記地上側3重同軸ケーブルの芯線部に接続し、
    前記長尺ダイポールアンテナの地上側3重同軸ケーブルの地下端において、前記地上側3重同軸ケーブルの外側シールド部を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサを介して前記地上側3重同軸ケーブルの内側シールド部に接続し、前記長尺ダイポールアンテナの地下側3重同軸ケーブルの外側シールド部を前記十分に大きい静電容量を有するコンデンサと同一の静電容量を有するコンデンサを介して前記地上側3重同軸ケーブルの芯線部に接続した、
    ことを特徴とする請求項5に記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
  8. 前記3次元電界センサによる地中電磁波の3次元電界成分の検出方向のそれぞれに対応して地中電磁波の3次元磁界成分を検出するサーチコイルを配備した3次元磁界センサを更に備えたものであって、
    前記3次元電界センサによる電界3方向成分と前記3次元磁界センサによる磁界3方向成分に基づいて地中電磁波の到来方位を演算する到来方位演算手段を備えたことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の地中電磁波3次元成分検出センサ。
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