JP2012209197A - 多層セパレータ及びリチウムイオン2次電池 - Google Patents

多層セパレータ及びリチウムイオン2次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】反りの発生及び膜剥離の発生を抑制することができる多層セパレータを提供すること。
【解決手段】融点又はガラス転移点が150℃以上の耐熱性樹脂を含有する空孔率が40体積%以下の第一の多孔質膜12と、融点が150℃以下であるポリオレフィン樹脂を含有する第二の多孔質膜14と、を少なくとも一層ずつ含み、前記第一の多孔質膜12の表面に開口部の溝幅よりも底部の溝幅の方が狭い形状を有している溝1を有する、多層セパレータ10。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層セパレータ及びリチウムイオン2次電池に関する。
従来、様々な多孔質膜が開発されており、フィルター、電解膜、非水溶媒型電池のセパレータ等として使用されている。
リチウムイオン2次電池の分野では、反応性の高い活物質を使用しているために、電池あるいは使用機器には各種の安全装置が設けられている。リチウムイオン2次電池においては、外部回路の短絡、過充電等により、電池の発熱、発火、あるいは破裂事故等が発生することを防止するための一つの手段として、正極と負極とを分離するセパレータが活用されている。すなわち、セパレータには、ポリエチレンやポリプロピレン製の微多孔膜の孔が、異常時の発熱によって閉塞し、セパレータを通じた電池反応を停止する機能を有するとともに、高温になってもセパレータとしての形状を維持し、正極と負極とが直接接触することを防止する機能を有することが要求されている。
特に、近年需要が増加している大容量のリチウムイオン2次電池では、容量が大きいために内部短絡を起こすとその箇所が発熱し、内部短絡が拡大しやすいため、このような場合に発生しがちな事故を回避し得る高性能なセパレータの開発が切望されている。
さらに、現在、広く用いられている延伸によって製造した微多孔膜のセパレータは、膜形状維持特性が必ずしも十分ではなく、高温でも膜形状維持特性に優れたセパレータが求められている。
こうした従来のポリオレフィン微多孔膜のもつ問題点を解消するために、これまで種々の試みがなされ、その1つとして、ポリオレフィン微多孔膜を基材としてその上にポリオレフィンよりも融点の高い耐熱性樹脂からなる多孔質膜をコーティングして一体化した多層セパレータが、異常発熱時の膜孔の閉塞機能と高温での膜形状維持特性とを両立させるセパレータとして提案されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1には、電池用セパレータとして、ポリオレフィンからなる微多孔膜と耐熱性樹脂からなる多孔質膜とを複合化した多層セパレータを用いることにより、微少短絡による発熱によりポリオレフィンが溶融した場合でも、耐熱性樹脂は溶融せずに残り、正極と負極とを接触させず、2次的な大面積での短絡を防止し、短絡に伴う電池の急激な温度上昇を防ぐことができることが開示されている。
なお、上記特許文献1に開示された多層セパレータは、何れもポリオレフィン微多孔膜の片面に耐熱性樹脂の膜をコーティングしたものである。多孔質層を形成するための一般的な手法として、溶融押出し法、相分離法、溶媒キャスト法などが挙げられるが、これらの手法で多孔質膜を形成すると、耐熱性樹脂は析出・凝固することによって密度が増すため、体積が収縮する。そのため、片面コーティングでは、この収縮を緩和するために多層セパレータには激しく反り(カール)が発生するため、決して実用的なものではない。
そこで、多層セパレータの反りを低減させるために、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱層樹脂からなる多孔質膜をコーティングして一体化したセパレータが提案されている(特許文献2参照)。
特開2006−289657号公報 特願2005−209570号公報
しかし、上記特許文献2に開示されているような多層セパレータの場合、両面で等しく応力が働いているために反りは抑えられるものの、応力が緩和されていないため、常に膜が剥離する方向に残留収縮応力が働き、膜剥離が生じやすいという問題がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、反りの発生及び膜剥離の発生を抑制することができる多層セパレータ及びそれを用いたリチウムイオン2次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多層セパレータの一表面に少なくとも一箇所以上の溝を形成しておくことで、多層セパレータの両面に同一の多孔質膜を形成せずとも反りの発生を抑制することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、2層以上の多孔質膜の積層体からなり、上記積層体の少なくとも一方の表面に溝を有する、多層セパレータを提供する。
上記多層セパレータによれば、積層体の表面に形成された溝の部分で応力を分散・緩和させることができ、反りの発生を抑制することができるとともに、応力が残留しないことから多孔質膜の剥離を抑制することができる。また、捲回型電池のように多層セパレータを湾曲させて電池の構成部材として用いる場合でも、溝が形成されていることで、内外周差によるよれの発生を低減することができる。
上記多層セパレータにおいて、上記溝は、その延在方向に垂直な平面で切断した断面において、開口部の溝幅よりも底部の溝幅の方が狭い形状を有していることが好ましい。また、上記溝の上記断面の形状は、V字型又はU字型であることがより好ましい。溝がこのような断面形状を有していることにより、溝の部分で応力を十分に分散・緩和させながら、溝を有する多孔質膜の機能を十分に維持することができる。
上記多層セパレータは、上記多孔質膜として、融点又はガラス転移点が150℃以上の耐熱性樹脂を含有する第一の多孔質膜と、融点が150℃以下であるポリオレフィン樹脂を含有する第二の多孔質膜と、を少なくとも一層ずつ含み、上記第一の多孔質膜の表面に上記溝を有することが好ましい。
第一の多孔質膜及び第二の多孔質膜を備える多層セパレータは、上記第一の多孔質膜により高温での膜形状維持特性を得ることができ、上記第二の多孔質膜により異常発熱時の膜孔の閉塞機能を得ることができるため、内部短絡の発生を十分に抑制することができる。また、上記多層セパレータにおいて、耐熱性樹脂を含有する第一の多孔質膜は、膜形成時に体積の収縮が生じやすいが、当該第一の多孔質膜の表面に溝が形成されていることにより、応力が分散・緩和され、多層セパレータに反りが発生することを十分に抑制することができ、かつ膜剥離を十分に抑制することができる。さらに、溝の存在によって応力が分散・緩和されるため、第二の多孔質膜の両面に第一の多孔質膜を形成せずとも、多層セパレータに反りが発生することを十分に抑制することができる。
ここで、上記多層セパレータは、上記積層体の少なくとも一方の最外層として上記第一の多孔質膜を備え、最外層である上記第一の多孔質膜にのみ上記溝を有することが好ましい。多層セパレータが最外層の第一の多孔質膜にのみ溝を有することで、応力を十分に分散・緩和させることができ、反りの発生及び膜剥離の発生を十分に抑制することができる。多層セパレータにおいて、第二の多孔質膜には溝を形成しない方が好ましい。また、最外層である第一の多孔質膜が第二の多孔質膜の両面に形成されている場合、両方の第一の多孔質膜に溝が形成されることとなる。
また、上記多層セパレータにおいて、上記溝を有する上記第一の多孔質膜の空孔率は、40体積%以下であることが好ましい。溝を有する第一の多孔質膜の空孔率が40体積%以下であることで、耐熱性をより向上させることができ、高温でのより優れた膜形状維持特性を得ることができる。このとき、上記第一の多孔質膜は溝を有することで表面積が向上するため、空孔率を低くしても、電解質溶液の流れやすさやリチウムイオンの移動のしやすさ等を十分に確保することができる。
上記多層セパレータにおいて、上記溝を有する上記多孔質膜の厚みは、上記溝の深さよりも大きくしてもよい。この場合、上記多孔質膜の厚み方向の途中までしか溝が切られていない状態となるため、当該多孔質膜の機能を十分に確保することが可能となる。例えば、溝を有する多孔質膜が耐熱性樹脂を含む第一の多孔質膜である場合には、十分な耐熱性を確保することが可能となる。
本発明はまた、正極、負極、電解質、及び、セパレータを備えるリチウムイオン2次電池であって、上記セパレータが上記本発明の多層セパレータである、リチウムイオン2次電池を提供する。かかるリチウムイオン2次電池は、セパレータが上述した本発明の多層セパレータであるため、セパレータの反りや膜剥離が抑制されたものとなる。
本発明によれば、反りの発生及び膜剥離の発生を抑制することができる多層セパレータ及びそれを用いたリチウムイオン2次電池を提供することができる。
本発明の多層セパレータの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の多層セパレータの一実施形態を示す上面図である。 本発明の多層セパレータにおける溝の断面形状を示す模式断面図である。 本発明の多層セパレータにおける溝の配置パターンを示す上面図である。 本発明のリチウムイオン2次電池の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(多層セパレータ)
図1は、本発明の多層セパレータの一実施形態を示す模式断面図であり、図2は、その上面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の多層セパレータ10は、第一の多孔質膜12及び第二の多孔質膜14の2層の多孔質膜が積層された構造を有し、第一の多孔質膜12に溝1が形成されている。本実施形態において、第一の多孔質膜12は、耐熱性樹脂を含有する多孔質膜であり、第二の多孔質膜14は、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜である。多層セパレータ10において、溝1は、その延在方向に垂直な平面で切断した断面(図1)において、開口部1aの溝幅W1よりも底部1bの溝幅W2の方が狭い形状を有している。より具体的には、溝1はV字型の断面形状を有しており、底部1bの溝幅W2は実質的に0である。また、溝1は、図2に示すように上面から見て格子状に形成されている。
溝1の断面形状の例を、溝1の部分拡大図である図3(a)〜(e)に示す。図3(a)〜(e)は、溝1の延在方向に垂直な平面で切断した断面図である。図3(a)に示す溝1は、図1に示すものと同じV字型の断面形状を有している。図3(b)に示す溝1は、U字型(半円型又は半楕円型)の断面形状を有している。図3(c)及び(d)に示す溝1は、矩形状の断面形状を有している。図3(e)に示す溝1は、台形状の断面形状を有している。
図3(a)及び(b)に示すV字型及びU字型の断面形状を有する溝1は、その開口部1aから底部1bに向かって傾斜した壁面により形成されている。これらの断面形状では、開口部1aの溝幅W1よりも底部1bの溝幅W2の方が狭い形状となっており、底部1bは第二の多孔質膜14と点接触しているため、底部1bの溝幅W2は実質的に0となる。このような断面形状の溝1を有する第一の多孔質膜12は、第二の多孔質膜14との接触面積が大きく、溝1を有しない場合と接触面積が実質的に同等となるため、溝1により応力を緩和することで、第二の多孔質膜14からの第一の多孔質膜12の膜剥離を抑制することができるとともに、第一の多孔質膜12の効果、すなわち高温での膜形状維持特性の向上効果をより十分に得ることができる。
図3(c)及び(d)に示す矩形状の断面形状を有する溝1は、第一の多孔質膜12の表面に垂直な壁面により形成されている。底部1bは、図3(c)では第二の多孔質膜14の表面により形成され、図3(d)では第一の多孔質膜12の表面に平行な面により形成されている。これらの断面形状では、開口部1aの溝幅W1と底部1bの溝幅W2とは略同一である。図3(c)に示す断面形状の溝1を有する第一の多孔質膜12は、反りを抑制する効果をより十分に得ることができる。一方、図3(d)に示す断面形状の溝1を有する第一の多孔質膜12は、第二の多孔質膜14の表面全体が第一の多孔質膜12により覆われるため、第一の多孔質膜12の効果、すなわち高温での膜形状維持特性の向上効果をより十分に得ることができる。
図3(e)に示す台形状の断面形状を有する溝1は、その開口部1aから底部1bに向かって傾斜した壁面により形成されている。底部1bは、第二の多孔質膜14の表面により形成されている。この断面形状では、開口部1aの溝幅W1よりも底部1bの溝幅W2の方が狭い形状となっている。このような断面形状の溝1を有する第一の多孔質膜12は、図3(c)に示すものと比較して、第二の多孔質膜14との接触面積を大きくできるため、第一の多孔質膜12の効果、すなわち高温での膜形状維持特性の向上効果をより十分に得ることができる。
これらの断面形状の中でも、反り及び膜剥離の発生を抑制する効果、並びに、高温での膜形状維持特性の向上効果がバランス良く高水準で得られることから、図3(a)及び(b)に示すV字型及びU字型が好ましい。
溝1の深さDは、第一の多孔質膜12の厚みと同一(図3(a),(b),(c)及び(e))であってもよく、第一の多孔質膜12の厚み未満(図3(d))であってもよい。深さDが大きいほど、反りを抑制する効果が向上する傾向にあり、深さDが小さいほど、高温での膜形状維持特性が向上する傾向にある。
溝1の開口部1aにおける溝幅W1は、500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。この溝幅W1が500μmを超えると、高温での膜形状維持特性が低下する傾向がある。一方、溝1の底部1bにおける溝幅W2は、500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。この溝幅W2が500μmを超えると、高温での膜形状維持特性が低下する傾向がある。
溝1の断面形状は、上述したもの以外の形状であってもよい。例えば、溝1は、その深さDが第一の多孔質膜12の厚み未満であって、断面形状がV字型、U字型又は台形状であるものであってもよい。また、溝1の壁面は、平面や曲面などどのような面であってもよい。
溝1の形成箇所は、一箇所以上であれば何箇所であってもよく、全ての溝がつながっていてもよく、複数の溝が分断されて形成されていてもよい。高温での膜形状維持特性の観点からは、複数の溝が分断されて形成されている方が好ましく、反りを低減する観点からは、第一の多孔質膜12の全体に一様に溝が分布していることが好ましい。なお、高温での膜形状維持特性は、溝1の底部1bにおいて露出する第二の多孔質膜14の面積を小さくするほど優れるため、所望の膜形状維持特性が得られるように、溝1の断面形状や配置パターンを調整することが望ましい。
溝1の配置パターンの例を、図4(a)〜(c)に示す。図4(a)〜(c)は、多層セパレータ10を第一の多孔質膜12側から見た上面図である。図4(a)に示す溝1の配置パターンは、図2に示す格子状の配置パターンにおける溝1の交差部に、溝1を形成しなかった配置パターンである。このように溝1を非連続的に配置した場合、第一の多孔質膜12は連続した膜となるため、高温での膜形状維持特性をより十分に向上させることができる。
図4(a)に示すものと同様に溝1を非連続的に配置した例として、図4(b)に示す配置パターンが挙げられる。図4(b)に示す溝1の配置パターンは、溝1の延在方向を一方向としたものであって、溝1の延在方向における非連続部分の位置を、隣り合う溝1とずらしたものである。このような配置パターンでも、高温での膜形状維持特性をより十分に向上させることができる。
また、図4(c)に示す溝1の配置パターンのように、溝1を連続的に配置しつつ、非連続の第一の多孔質膜12を互い違いに配置してもよい。
以下、多層セパレータ10を構成する各多孔質膜について説明する。
第二の多孔質膜14は、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜(ポリオレフィン微多孔膜)である。上記ポリオレフィン樹脂を含有する第二の多孔質膜14は、公知のものであれば、いかなる材質のものであってもよく、いかなる製法により製造されたものであってもよい。
第二の多孔質膜14に使用されるポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの単独重合体または共重合体は、1種を単独で使用することができるが、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。第二の多孔質膜14に使用されるポリオレフィン樹脂は、異常発熱時の膜孔の良好な閉塞機能を得る観点から、融点が150℃以下であることが好ましい。
第二の多孔質膜14としては、通常、空孔率が30〜95体積%、膜厚25μmでの透気度が2000秒/100cc以下、好ましくは800秒/100cc以下、平均貫通孔径が0.005〜1μm、引張破断強度が80MPa以上、好ましくは100MPa以上、突刺強度が3000mN以上、好ましくは5500mN以上の機械物性を有する微多孔膜が望ましい。
本明細書において、空孔率とは、多孔質膜の空孔部分の体積を、多孔質膜の空孔部分と中実部分とを合わせた体積で割った値である。この空孔率は、例えば、重量法により測定できる。
第二の多孔質膜14の厚さは、適宜選択されるが、通常、0.1〜50μmであり、好ましくは1〜25μmである。厚さが0.1μm未満では、膜の機械的強度不足から実用に供することが難しくなる傾向があり、50μmを超えると、実効抵抗が大きくなり過ぎる傾向があり、いずれも好ましくない。
第一の多孔質膜12は、耐熱性樹脂を含有する多孔質膜である。第一の多孔質膜12は、多層セパレータ10の耐熱性を高めるための被覆層であり、リチウムイオン2次電池を使用する際の一般的条件において熱的に安定であれば特に限定されるものではない。
リチウムイオン2次電池では、約150℃以上でセパレータの熱溶融が問題となることが多いので、第一の多孔質膜12としては、特に約150〜500℃の範囲で耐熱性のある多孔質膜を採用することが好ましい。耐熱性に優れ、高温での膜形状維持特性に優れた第一の多孔質膜12を得る観点から、耐熱性樹脂は、融点又はガラス転移点が150℃以上の樹脂であることが好ましい。
耐熱性樹脂(耐熱性高分子)としては、特に限定されず、種々の公知の樹脂が挙げられるが、多層セパレータ10はリチウムイオン2次電池の電池用セパレータに利用されることから、電解液に対して親和性を有すると同時に電解液や電池反応に対しても安定であり、十分な耐熱性を有しているものであることが望ましい。
このような要求に応える耐熱性樹脂として、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、及びポリフェニレンスルフィドなどを例示できる。これらは直鎖状ポリマーの状態で用いてもよいが、モノマーやオリゴマーやプレポリマーなどの前駆体の状態で用い、それらの前駆体を加熱などの方法で後重合させて架橋体としてもよい。これらの中でも、特に製膜性の観点から、ポリアミドイミドが好適である。これらの耐熱性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一の多孔質膜12の平均孔径は、通常、0.1μm以上であり、好ましくは0.2μm以上である。
第一の多孔質膜12の空孔率は、発生する応力の総量を小さくするためには大きい方が好ましく、耐熱性の観点からは小さいほうが好ましい。なお、溝1を有する第一の多孔質膜12は、溝1の存在により応力を緩和することができるとともに、表面積が向上するため、空孔率を比較的小さくすることが可能である。溝1を有する第一の多孔質膜12の空孔率は、優れた耐熱性を得る観点から、40体積%以下であることが好ましく、25〜35体積%であることがより好ましい。
第一の多孔質膜12の形成方法について、以下に説明する。第二の多孔質膜14の少なくとも片方の表面に、上記耐熱性樹脂を含む第一の多孔質膜12を形成する方法としては、分離膜の製法に一般的に用いられる製法である相分離法の他に、抽出法、延伸法、荷電粒子照射法などの利用が考えられるが、その形成過程で第二の多孔質膜14に損傷を与えたり、その形成により第二の多孔質膜14の特性を阻害したりすることは好ましくない。そこで、第二の多孔質膜14に含まれるポリオレフィン樹脂の融点を越えるような温度に晒すことなく、化学劣化や放射線劣化を伴わない、第二の多孔質膜14の機械的特性や物質透過特性を損なわない方法として、例えば、以下に示すような高分子物質の相分離による多孔化方法が好適に利用できる。
すなわち、第二の多孔質膜14の少なくとも片方の表面に、耐熱性樹脂を良溶媒に溶解させた耐熱性樹脂溶液を塗布し、貧溶媒を含む凝固液に接触させることにより相分離した後、乾燥することにより、多孔性の第一の多孔質膜12を形成することができる。
ここで、耐熱性樹脂溶液の塗布は、通常、慣用の流延または塗布方法、例えば、ロールコーター、エヤナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター法などにより行われる。溝1は、上記塗布方法により耐熱性樹脂溶液を塗布する際に、所望のパターンとなるように塗布することで形成することができる。
上記耐熱性樹脂溶液に用いる溶媒は、以下に示すように、耐熱性樹脂の性状に応じ適宜選択される。例えば、耐熱性樹脂がポリアミドイミドである場合、良溶媒としては、特に限定されるものではないが、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DAMc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。なお、耐熱性樹脂溶液中に水分が存在する場合は、加熱・脱水したモレキュラーシーブで耐熱性樹脂溶液を処理することで、水分を除去しておくことが好ましい。
上記耐熱性樹脂溶液の耐熱性樹脂の濃度としては、製膜するのに好適な粘度が得られる濃度であればよく、特に限定されるものではないが、耐熱性樹脂溶液全量を基準として、概ね1〜20質量%の範囲が好適である。
リチウムイオン2次電池用セパレータにおいて、耐熱性樹脂からなる第一の多孔質膜12の孔構造を適切なものとするためには、耐熱性樹脂溶液に相分離剤を混合することが好ましい。相分離剤の濃度は、耐熱性樹脂溶液全量を基準として、5〜50質量%が好適である。
相分離剤としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、上述した耐熱性樹脂の良溶媒と凝固液のどちらに対しても可溶なものであれば用いることが可能である。
凝固液は、耐熱性樹脂に対する良溶媒及び貧溶媒の混合液からなる。貧溶媒の割合は、凝固液全量を基準として30〜80質量%が好適である。また、耐熱性樹脂溶液に相分離剤を用いた場合は、耐熱性樹脂溶液中での良溶媒と相分離剤との含有量比とほぼ同等になるように、凝固液にも相分離剤を加えることがプロセス上好ましい。
耐熱性樹脂がポリアミドイミドである場合、良溶媒としては、上述した耐熱性樹脂溶液に用いる良溶媒と同様のものが用いられる。一方、貧溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、水等が挙げられ、中でもアルコール類、水が好ましい。
また、耐熱性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドである場合、良溶媒としては、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン等が挙げられる。一方、貧溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類等が挙げられる。
次に、耐熱性樹脂としてポリアミドイミドを用いた場合を例にして、耐熱性樹脂溶液からなる塗膜を相分離することによる多孔化方法の概要を説明する。
上記のとおり、耐熱性樹脂溶液を第二の多孔質膜14上に塗布した後の塗膜は、貧溶媒を含む凝固液を用いる方法によって耐熱性樹脂を相分離させる。相分離は、凝固液として例えば水とN−メチル−2−ピロリドンとの混合液などを用い、これを塗膜と接触させる方法により行う。このとき、塗膜を、凝固液と接触させる前に加湿させることで、表面の開孔率を大きくすることが出来る。塗膜を加湿してから凝固液に浸漬させることで、耐熱性樹脂溶液が十分に相分離してから脱溶媒が進行し、表層構造が緻密になりにくくなる。加湿は、相対湿度60〜100%で行うことが好ましい。相分離した塗膜は、引き続いて水洗した後、乾燥させて多孔化工程を完結させる。
ポリアミドイミド以外の耐熱性樹脂についても、耐熱性樹脂を含む溶液を調製し、これを第二の多孔質膜14上に塗布し、上記と同様な工程を行うことによって相分離させれば、多孔化した第一の多孔質膜12を容易に形成することができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、多層セパレータが2層の多孔質膜からなる場合を示したが、多層セパレータは3層以上の多孔質膜で構成されていてもよい。このような多層セパレータとしては、例えば、第二の多孔質膜14の両面に第一の多孔質膜12を形成した3層構造のセパレータが挙げられる。このとき、両面の第一の多孔質膜12にそれぞれ溝1が形成されていることが好ましい。このような3層構造のセパレータの場合、反りの発生をより十分に抑制することができる。
また、上記実施形態においては、耐熱性樹脂溶液の塗布時に溝1を形成する場合を説明したが、溝1は、第一の多孔質膜12を形成した後に形成してもよい。この場合、溝1の深さDは第一の多孔質膜12の厚みより大きくてもよい。すなわち、第二の多孔質膜14の第一の多孔質膜12側の表面にまで溝1が形成されていてもよい。
(リチウムイオン2次電池)
図5は、本実施形態に係るリチウムイオン2次電池を示す模式断面図である。図5に示すように、リチウムイオン2次電池100は、正極20と、正極20に対向する負極30と、正極20及び負極30の間に介在し、正極20の主面及び負極30の主面にそれぞれに接触するセパレータ10と、を備えたリチウムイオン2次電池である。ここで、セパレータ10は、上述した多層セパレータ10である。
リチウムイオン2次電池100は、主として、発電要素40、発電要素40を密閉した状態で収容するケース50、及び発電要素40に接続された一対のリード60,62を備えている。
発電要素40は、一対の正極20、負極30が、多層セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。正極活物質層24の主面及び負極活物質層34の主面が、多層セパレータ10の主面にそれぞれ接触している。本実施形態においては、多層セパレータ10の第一の多孔質膜12と正極活物質層24とが接触し、第二の多孔質膜14と負極活物質層34とが接触しているが、多層セパレータ10の向きは逆であってもよい。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極20及び負極30を総称して、電極20、30といい、正極集電体22及び負極集電体32を総称して集電体22、32といい、正極活物質層24及び負極活物質層34を総称して活物質層24、34ということがある。
まず、電極20、30について具体的に説明する。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている正極活物質を使用できる。例えば、リチウム含有金属酸化物が挙げられる。リチウム含有金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等が挙げられる。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFPTFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。
イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr、Li(CFSON、LiN(CSO等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
導電助剤も、正極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
正極活物質層24中のバインダーの含有量は特に限定されないが、活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1質量%〜15質量%であることが好ましく、3質量%〜10質量%であることがより好ましい。活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、得られた電極活物質層24において、バインダーの量が少なすぎて強固な活物質層を形成できなくなる傾向を抑制できる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
正極活物質層24中の導電助剤の含有量も特に限定されないが、添加する場合には通常、活物質に対して0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜12質量%とすることがより好ましい。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている負極活物質を使用することができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することができる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)、等が挙げられる。
バインダー及び導電助剤には、上述した正極20に用いる材料と同様の材料を用いることができる。また、バインダー及び導電助剤の含有量も、上述した正極20における含有量と同様の含有量を採用すればよい。
電極20、30は、通常用いられる方法により作製できる。例えば、活物質、バインダー、溶媒、及び、導電助剤を含む塗料を集電体上に塗布し、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
集電体22、32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する方法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体22、32を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして活物質層24、34が形成された電極を、その後、必要に応じて例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
以上の工程を経て、電極20、30を作製することができる。
次に、リチウムイオン2次電池100の他の構成要素を説明する。
電解質は、正極活物質層24、負極活物質層34、及び、多層セパレータ10の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
ケース50は、その内部に発電要素40及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン2次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図5に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間に多層セパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリアミドイミド樹脂溶液(不揮発分濃度:30質量%、溶媒:NMP、ガラス転移温度:283℃)50質量部に、ポリエチレングリコール(数平均分子量Mn=1000)20質量部とNMP30質量部とを加えて、室温にて均一になるように混合し、耐熱性樹脂溶液を調製した。
得られた耐熱性樹脂溶液を、膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(第二の多孔質膜、空孔率:40%、シャットダウン温度:134℃)の片面に、450μm×450μmの目(溝で囲まれた塗膜のサイズ)と50μmのギャップ(溝の開口部の溝幅)からなる図2に示した格子状のパターンが形成されているスクリーン印刷器を用いて、溝の断面形状が図3(c)に示した矩形状となるように塗布し、厚み28μmの塗膜を形成した。この塗膜を、ポリエチレン微多孔膜と共に水50質量部及びNMP50質量部からなる凝固液に3分間浸漬し、次いでイオン交換水で水洗した後に60℃の熱風で30分間乾燥することで多孔化処理し、ポリエチレン微多孔膜の表面に、溝が格子状に存在する厚み4μmの耐熱性多孔質膜(第一の多孔質膜)を形成した。これにより、多層セパレータを得た。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(実施例2)
1450μm×1450μmの目と50μmのギャップからなる格子状のパターンが形成されているスクリーン印刷器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(比較例1)
実施例1で用いた耐熱性樹脂溶液を、実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜の片面にバーコータを用いて塗布したこと以外は実施例1と同様にして、溝の無い厚み4μmの耐熱性多孔質膜がポリエチレン微多孔膜の表面に形成された多層セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが顕著であり、ハンドリングが困難なものであった。
(実施例3)
450μm×450μmの目と150μmのギャップからなる格子状のパターンが形成されているスクリーン印刷器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(実施例4)
スクリーン印刷器による耐熱性樹脂溶液の塗布時の塗膜厚みを38μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして多層セパレータを作製した。乾燥後の熱性性多孔質膜(第一の多孔質膜)の厚みは6μmであった。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(実施例5)
実施例1で用いた耐熱性樹脂溶液を、実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜の片面にバーコータを用いて塗布し、厚み12μmの溝の無い塗膜を形成した後、該塗膜の上から、実施例1と同様にして450μm×450μmの目と50μmのギャップからなる格子状のパターンが形成されているスクリーン印刷器を用いて耐熱性樹脂溶液を塗布し、多孔化処理を行うことで多層セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(実施例6)
実施例1で用いた耐熱性樹脂溶液を、実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜の片面に、450μm×450μmの目と50μmのギャップからなる格子状のパターンが形成されているスクリーン印刷器を用いて、溝の断面形状が図3(a)に示したV字型となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして多層多セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(実施例7)
実施例1で用いた耐熱性樹脂溶液を、実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜の片面に、450μm×450μmの目と50μmのギャップからなる格子状のパターンにおいて、図4(a)に示したようにギャップが交差しないようにギャップを非連続的に配置したパターン(非連続パターン)が形成されているスクリーン印刷器を用いて、溝の断面形状が図3(a)に示したV字型となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして多層セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが抑制されており、ハンドリング性に優れたものであった。
(比較例2)
実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜を、実施例1で用いた耐熱性樹脂溶液に浸漬(ディップ)し、クリアランス80μmのマイヤーバーに通した後に、実施例1と同様に多孔化処理を行うことで、厚み4μmの耐熱性多孔質膜が、ポリエチレン微多孔膜の両面に形成された多層セパレータを作製した。得られた多層セパレータは、反りが無くハンドリング性に優れたものであったが、僅かな力が加わるだけで膜剥離が生じ、実用性が不十分であった。
<熱収縮率の測定>
実施例及び比較例で得られた多層セパレータを、2.5cm×7.5cmにカットして試験片とした。この試験片を、2枚のスライドガラスで挟み、試験片がカールしない程度にクリップで荷重をかけた状態で各試験温度(100℃、140℃、180℃)に加熱し、10分間保持した。加熱後の試験片を回収し、下記式;
{(加熱前の試験片面積−加熱後の試験片面積)/加熱前の試験片面積}×100
により熱収縮率(%)を算出した。
<反り量の測定>
実施例及び比較例で得られた多層セパレータを、5.0cm×5.0cmにカットして試験片とした。この試験片を平滑な面上に静置し、最も反り高さが大きい箇所をすきまゲージを用いて測定し、反り量とした。
<膜状態の評価>
実施例及び比較例で得られた多層セパレータについて、膜剥がれの有無を評価した。膜剥がれが確認されなかったものを良好とした。
実施例及び比較例で作製した多層セパレータに関する情報及び評価結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 2012209197

本発明によって、膜剥離が少なく、反りが抑制された信頼性に優れた、リチウムイオン2次電池用に適した多層セパレータ及びそれを用いたリチウムイオン2次電池を提供することができる。したがって、本発明は産業界への寄与が大である。
1…溝、10…多層セパレータ、12…第一の多孔質膜、14…第二の多孔質膜、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…発電要素、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン2次電池。

Claims (8)

  1. 2層以上の多孔質膜の積層体からなり、前記積層体の少なくとも一方の表面に溝を有する、多層セパレータ。
  2. 前記溝は、その延在方向に垂直な平面で切断した断面において、開口部の溝幅よりも底部の溝幅の方が狭い形状を有している、請求項1記載の多層セパレータ。
  3. 前記溝の前記断面の形状がV字型又はU字型である、請求項2記載の多層セパレータ。
  4. 前記多孔質膜として、融点又はガラス転移点が150℃以上の耐熱性樹脂を含有する第一の多孔質膜と、融点が150℃以下であるポリオレフィン樹脂を含有する第二の多孔質膜と、を少なくとも一層ずつ含み、前記第一の多孔質膜の表面に前記溝を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層セパレータ。
  5. 前記積層体の少なくとも一方の最外層として前記第一の多孔質膜を備え、最外層である前記第一の多孔質膜にのみ前記溝を有する、請求項4記載の多層セパレータ。
  6. 前記溝を有する前記第一の多孔質膜の空孔率が40体積%以下である、請求項4又は5記載の多層セパレータ。
  7. 前記溝を有する前記多孔質膜の厚みが、前記溝の深さよりも大きい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層セパレータ。
  8. 正極、負極、電解質、及び、セパレータを備えるリチウムイオン2次電池であって、
    前記セパレータが請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層セパレータである、リチウムイオン2次電池。
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