JP2012240000A - 触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金が表面に修飾された白金粒子の電位サイクルに対する耐久性を安定的に向上させることができる触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】白金合金または白金からなる白金粒子を少なくとも含む触媒を製造する方法であって、前記白金粒子の表面に銅層を被覆する工程と、前記銅層が被覆された白金粒子を金イオン水溶液に接触させることにより、前記銅層の銅を金に置換する工程と、該金に置換された白金粒子の表面を、非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理する工程と、を少なくとも含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、白金粒子及び白金粒子を担持した導電性担体からなる触媒の製造方法に係り、白金粒子の表面に金を好適に修飾することができる触媒の製造方法に関する。
従来から、めっき、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)などの表面処理は、一般的に、粒子などの基材表面を異種材料で被覆することにより、基材の性質を維持したまま、基材表面の性質のみを改質するために行われることがある。一方、この種の表面処理は、被覆材となる高価な金属材料の使用量の低減、利用率の向上、あるいは、特性劣化の抑制のために利用される。
例えば、燃料電池用電極には、粒状カーボンなどの導電性担体に白金粒子を担持させたものを触媒として用い、酸素センサなどには、白金粒子そのものが触媒として用いられる。このような白金粒子は、白金または白金合金からなる、数ナノメートルの粒子である。このような触媒は、白金粒子の表面およびその近傍が触媒として機能するため、高価な白金または白金合金の利用率の向上(使用量の低減)が望まれている。
さらに、燃料電池使用環境下において、このような触媒を用いた場合には、白金粒子が酸化、溶出し、再析出により粗大化することがあり、電池性能が低下することが知られている。そのため、白金粒子の表面の一部に薄い金層を形成し(白金粒子の表面に金を修飾し)、白金粒子の酸化、溶出を抑制する技術が提案されている。
例えば、(1)白金粒子を含む触媒を電極(作用極)上に固定し、この電極を窒素雰囲気中で、硫酸銅水溶液に浸漬し、触媒に適切な還元電位を印加することにより、銅の単原子層を白金粒子の表面に析出させて銅被覆白金粒子を製造し、(2)銅被覆白金粒子を含む触媒を精製水で濯ぎ、溶液中に存在する銅イオンを除去し、(3)銅被覆白金粒子を含む触媒を、HAuCl水溶液に浸漬することにより、単原子層の銅を金に置換する触媒の製造技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
このように、特許文献1に記載の製造方法によれば、アンダーポテンシャルディポジション(UPD)法を用いて、白金粒子表面を銅層(銅単原子層)で被覆し、この銅層を金でガルバニック置換することにより、白金粒子の表面に金が修飾された触媒を得ることができる。
特表2009−510705号公報
ここで、特許文献1に示す触媒は、白金粒子の表面に金の修飾により、白金粒子の耐久性を向上させることを目的としている。しかしながら、発明者らの後述する実験によれば、この触媒に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV)などの電位サイクルを付与した際には、金の修飾によらず、白金粒子が溶出することにより白金粒子の耐久性が低下することがあった。また、製作するロットごとに白金の粒子の耐久性にばらつきも大きかった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金が表面に修飾された白金粒子の電位サイクルに対する耐久性を安定して向上させることができる触媒の製造方法を提供することにある。
発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、白金粒子に付着(修飾)する金と、白金との馴染み性が充分でなく、金が、白金粒子の電気化学的に弱い部分(たとえば、白金粒子の表面の凸部または角部などの反応性の高く白金粒子の溶出しやすい部分)を覆っていないことが原因であると考えた。そこで、発明者らは、金が修飾された白金に熱エネルギを付与することにより、一旦付着した金の金原子を、この白金粒子の溶出しやすい部分に拡散(移動)することができるとの新たな知見を得た。
本発明は、発明者らのこの新たな知見に基づくものであり、本発明に係る触媒の製造方法は、白金合金または白金からなる白金粒子を少なくとも含む触媒を製造する方法であって、前記白金粒子の表面に銅層を被覆する工程と、前記銅層が被覆された白金粒子を金イオン水溶液に接触させることにより、前記銅層の銅を金に置換する工程と、該金に置換された白金粒子の表面を、非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、金に置換された白金粒子の表面を、非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理することにより、白金粒子の付着した金の金原子を、白金粒子表面の白金粒子の溶出しやすい部分に拡散(移動)することができると考えられる。これにより、金が表面に修飾された白金粒子の電位サイクルに対する耐久性を安定的に向上させることができる。
ここで、本発明でいう非酸化性ガスとは、加熱処理時に、金および白金に対して酸化しないガスであり、水素ガスなどの還元性ガス、または窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを挙げることができる。
また、より好ましい態様としては、前記加熱処理工程において、前記白金粒子を、200℃〜400℃の加熱温度範囲内で加熱処理する。本発明によれば、この加熱温度範囲内で、加熱処理を行うことにより、白金粒子表面上の白金粒子の溶出しやすい部分(例えばエッジ部分)に、金原子を好適に拡散させ、この部分を金で被覆することができる。
すなわち、加熱温度が200℃未満である場合には、金原子が充分に拡散しないことがあり、加熱温度が400℃を超えた場合には、金(金粒子)が溶融することにより、金と白金の合金化が起こるおそれがある。
さらに、より好ましい白金粒子の加熱温度としては、300℃以下である。加熱温度が300℃を超えた場合には、白金粒子の表面に付着(修飾)した金粒子の粗大化がはじまるおそれがあり、触媒の耐久性が低下するおそれがある。
前記銅を金に置換する工程において、前記金イオン水溶液として、AuCl を含む塩など、銅を金に置換することができる水溶液であれば、その水溶液の種類は特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記銅を金に置換する工程において、前記金イオン水溶液として、AuBr またはAuI を含む塩と、ハロゲン化水素と、を添加した水溶液を用いる。
この態様によれば、銅層が被覆された白金粒子を、AuBr またはAuI を含む塩と、ハロゲン化水素と、を添加した水溶液に接触させることにより、銅層の銅を金に置換する。この際、従来では、AuCl を含む塩(例えば塩化金酸(HAuCl))を添加した水溶液を用いていたところ、これに比べて、Cu−Au間の電位ギャップが小さいAuBr またはAuI を含む塩が添加された水溶液を用いることにより、銅を金に置換する反応を穏やかにし、これにより、金の粗大粒子の生成を抑制することができる。この結果、その後の白金粒子の加熱処理による金原子が、白金粒子の表面において拡散しやすくなる。
さらに、この水溶液にハロゲン化水素が添加されているので、AuイオンはAuBr またはAuI の金錯イオンの状態で安定化する。これは、金錯イオンに含まれる同種のアニオン(Cl、Br、またはIなど)を添加することになるからである。このような結果、Cu−Au間の電位ギャップが小さいAuBr またはAuI の金錯イオンの状態が保持されるので、銅から金への置換反応をより穏やかにすることができる。
さらに、より好ましい態様としては、前記ハロゲン化水素に、HBrまたはHIを用いる。この態様によれば、HBrまたはHIを用いることにより、HClに比べて上述したAuBr またはAuI の金錯イオンの状態で安定化させることができる。
本発明によれば、金が表面に修飾された白金粒子の電位サイクルに対する耐久性を安定的に向上させることができる。
本実施形態に係る触媒の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は、触媒の部分拡大断面図であり、(b)は、加熱処理における白金粒子の表面の状態を説明するための模式図。 実施例1および比較例1〜3にかかる触媒の電位サイクル試験の結果を示した図であり、(a)は、実施例1および比較例1にかかる触媒の電位サイクル数と白金表面積維持率との関係を示した図、(b)は、比較例2および比較例3にかかる触媒の電位サイクル数と白金表面積維持率との関係を示した図。 実施例2、実施例3、および比較例4かかる触媒の電位サイクル数と白金表面積維持率との関係を示した図。 金粒子の粒径と、その融点との関係を説明するための参考図。 温度変化に伴う金粒子の粒径とそのカウント数とを説明するための参考図。 実施例4、実施例5、および比較例5にかかる触媒の電位サイクル数と白金表面積維持率との関係を示した図。
以下の本実施形態に係る触媒の製造方法を実施形態について説明する。
本発明に係る触媒の製造方法は、表面に金を修飾した白金合金または白金からなる白金粒子を含む触媒の製造方法であり、以下に示す銅層被覆工程、金置換工程、および加熱処理工程を経て、触媒を製造することができる。
1.銅層被覆工程
まず白金粒子、または白金粒子を担持した導電性担体を準備する。白金粒子は、白金合金または白金からなり、白金合金として、例えば、PtFe合金、PtMo合金、PtCu合金、PtRu合金、PtSn合金、PtW合金、PtCo合金、PtNi合金、PtIr合金、PtAu合金などを挙げることができ、触媒として作用することができる白金合金であれば特に限定されるものではない。また、白金粒子の大きさは特に限定されるものではなく、例えば燃料電池用の電極触媒に用いる場合には、2〜10nmが好ましい。
また、導電性担体の材料として、カーボン、チタン酸化物(TiO,Tiなど)、モリブデン酸化物、またはタンタル酸化物等を挙げることができ、その形態は、粉末状、板状、棒状、または網状のいずれの形態であってもよい。
このような白金粒子(または導電性担体に担持された白金粒子)の表面に、UPD法により銅単原子層(銅層)を被覆する。より具体的には、被覆すべき銅イオンを含む溶液中に、白金粒子(または導電性担体)が固定(接着)された作用極(WE)、この作用極に対する対極(CE)及び参照極(RE)を浸漬する。次に、外部電源を用いて参照極に対して作用極を所定の電位に保持することにより、白金粒子の表面に銅層を析出させる。このようなUPD法は、上述した特許文献1に記載の如く、一般的に知られた方法である。
別の方法としては、不活性ガス雰囲気下で、銅電極が浸漬された銅イオンを含む酸水溶液に、白金粒子またはこれを担持した導電性担体を投入して酸水溶液を攪拌し、白金粒子またはこれを担持した導電性担体を銅電極に接触させることにより、白金粒子の表面に銅単原子層(銅層)を析出してもよい。銅イオンを含む酸水溶液としては、硫酸銅(CuSO)、塩化銅(CuCl)、酢酸銅(Cu(CHCOO))、硝酸銅(Cu(NO)を挙げることができる。
この態様における銅析出のメカニズムは、以下のとおりである。上述した酸水溶液中に銅または銅合金からなる銅電極を浸漬すると、銅電極は銅の標準電極電位になる。そして、白金粒子を投入した後、酸水溶液を攪拌すると、この電位状態の銅電極に接触した白金粒子またはこれを担持した導電性担体の電位は、銅の標準電極電位と等しくなる。ここで、白金粒子は、銅イオンを含む酸水溶液中に存在するので、銅電極が電源として作用し、接触後、ほぼ瞬時に白金粒子の表面に銅イオンが析出する(Pt+Cu2++2e-→Cu−Pt)と共に、銅電極の銅がこれに応じて溶出する(Cu→Cu2++2e-)。この方法によれば、外部電源を用いることなく、白金粒子の表面に銅単原子層(銅層)を被覆することができる。
2.金置換工程
金置換工程では、銅層が被覆された白金粒子を金イオン水溶液に接触させることにより、前記銅層の銅を金に置換する。ここで、金イオン水溶液として、AuCl を含む塩など、銅を金に置換することができる水溶液を用いてもよく、この水溶液に、HClをさらに添加してもよい。しかしながら、本実施形態では、銅層が被覆された白金粒子を、AuBr またはAuI を含む塩と、ハロゲン化水素と、を添加した水溶液に接触させることにより、前記銅層の銅を金に置換する。これにより、図1(a)に示すように、表面に金(粒子)12を修飾(付着)した白金粒子11が、導電性担体10に担持された触媒を得ることができる。
ここで、AuBr またはAuI を含む塩としては、HAuBr、NaAuBr、KAuBr、HAuI、NaAuI、KAuIなどを挙げることができ、溶液中において、AuBr またはAuI の金錯イオンとして電離することができる塩であれば特に、これらの塩に限定されるものではない。また、この水溶液に、過塩素酸(HClO)等の酸をさらに含有してもよい。
ここで、AuCl 、AuBr 、AuI のそれぞれの標準電極電位は、
AuCl +3e=Au+4Cl +1.00V
AuBr +3e=Au+4Br +0.87V
AuI +3e=Au+4I +0.56V
である。
従って、ハロゲン元素の原子番号が大きくなるに従って標準電極電位が小さくなる。従来では、AuCl を含む塩を用いて銅から金への置換を行っていた。しかしながら、AuCl を含む塩を用いた場合に比べて、銅から金への置換反応時におけるCu−Au間の電位ギャップをより小さくするには、AuBr またはAuI を含む塩を用いればよいことがわかる。
このようにして、従来は、AuCl を含む塩(例えば塩化金酸(HAuCl))を添加した水溶液を用いていたところ、これに比べて、Cu−Au間の電位ギャップが小さいAuBr またはAuI を含む塩が添加された水溶液を用いることにより、銅を金に置換する反応を穏やかにし、これにより、金の粗大粒子の生成を抑制することができる。これにより、電位サイクルに対する白金粒子の耐久性を高めることができる。
さらに、AuBr およびAuI は水溶液中では、Au3+に変化するおそれがある。ここでAu3+の標準電極電位は、
Au3++3e=Au +1.49V
となり、Au3+の標準電極電位は、AuBr およびAuI の金錯イオンの標準電極電位よりも大きい。従って、銅を金に置換する際には、水溶液でAuBr またはAuI の金錯イオンの状態で安定して存在することが望ましい。
そこで、本実施形態では、AuBr またはAuI を含む塩の水溶液に、さらにハロゲン化水素を添加している。上述した水溶液にハロゲン化水素をさらに添加するので、AuイオンはAuBr またはAuI の金錯イオンの状態で安定化する。これは、金錯イオンに含まれる同種のアニオンを添加することになるからである。
このような結果、Cu−Au間の電位ギャップが小さいAuBr またはAuI の状態が保持されるので、銅から金への置換反応をより穏やかにすることができる。特に、ハロゲン化水素に、HBrまたはHIを用いることにより、HClに比べて上述したAuBr またはAuI の錯イオンの状態で安定化させることができる。
また、より好ましくは、ハロゲン化水素(HBrまたはHI)が、水溶液に200μM以上となるように添加されていることが好ましい。この範囲の濃度のハロゲン化水素が添加されることにより、AuBr またはAuI の金錯イオンの状態を安定化することができる。一方、ハロゲン化水素(HBrまたはHI)は、前記水溶液に1000μM以下となるように添加されていることがより好ましい。ハロゲン化水素の濃度がこの範囲を超えたときは、白金が一部被毒するおそれがある。
3.加熱処理工程
加熱処理工程では、金置換工程後の触媒を加熱炉内に投入し、金に置換された白金粒子の表面を、非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理する。具体的には、加熱炉内において、水素ガスなどの還元性ガス、または窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを導入し、白金粒子を、200℃〜400℃の加熱温度範囲内、より好ましくは、200℃〜300℃の加熱温度範囲内で加熱処理する。なお、非酸化性ガスは、加熱処理時において、金および白金に対して酸化しないガスであれば上述したガスに限定されるものではない。
ここで、図1(b)に示すように、金置換工程で、例えば、HAuCl、HAuBrなどが添加された金イオン水溶液を用いた場合、ハロゲン元素(例えばCl原子やBr原子(図中ではCl原子))が、白金粒子の不安定な部分に付着すると考えられる。
しかしながら、本実施形態では、上述した加熱温度範囲内で加熱処理を行うことにより、ハロゲン元素を白金粒子の不安定な部分から脱離させ、白金粒子の付着した金の金原子を、この不安定部分(例えばエッジ部分)に拡散(移動)させることができると考えられる。これにより、白金粒子の不安定な部分に金が修飾され、白金粒子の電位サイクルに対する耐久性を安定的に向上させることができる。
なお、加熱温度が200℃未満である場合には、金原子の拡散が充分出ないことがあり、加熱温度が400℃を超えた場合には、金(金粒子)が溶融することにより、金と白金の合金化が起こるおそれがある。上述した温度範囲における加熱処理時間は、1〜4時間であることが好ましい。加熱時間が1時間未満の場合には、金原子の拡散が発現し難く、4時間を越えた場合には、金が粗大化するおそれがある。
以下に本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
まず、銅被覆工程において、白金粒子の表面にUPD法(上述した外部電源を用いない方法)により銅単原子層(銅層)を被覆した。具体的には、銅材を浸漬した硫酸銅水溶液(50mM CuSO/0.1M HSO)、25mlに、白金粒子を30質量%担持した白金担持カーボン(30mass%Pt/C)1gに対して硫酸酸溶液200mlとなるように、白金担持カーボンを投入し、攪拌した。これにより、白金粒子の表面に銅層が被覆された白金担持カーボンを含む懸濁液を得た。
次に、金置換工程において、50μMのHAuCl、0.1MのHClOを含む水溶液を準備し、銅層が被覆された白金担持カーボンを含む懸濁液を加え、30分攪拌した。これにより、銅層の銅を金に置換した。攪拌後の懸濁液を濾過後、乾燥することにより、金が修飾された白金担持カーボンを得た。
次に、加熱処理工程において、白金担持カーボンをアルゴンガス雰囲気下で200℃まで1時間昇温し、この温度を2時間保持し、その後放冷した。これにより、加熱処理を行った金修飾白金担持カーボンを得た。
(比較例1)
実施例1で準備した銅層を被覆前の白金担持カーボンを準備し、白金粒子に金を修飾することなく、実施例1と同じ加熱条件で加熱処理を行った。すなわち、比較例1が、実施例1と相違する点は、白金粒子に金を修飾していない点である。
(比較例2)
実施例1と同じように、金修飾白金担持カーボンを作製した。実施例1と相違する点は、加熱処理工程を行っていない点である。すなわち、比較例2は、加熱処理を行っていない、金修飾白金担持カーボンであり、実施例1の加熱処理前の白金担持カーボンに相当する。
(比較例3)
実施例1と同様の銅層を被覆する前の白金担持カーボンを準備し、これを比較例3の白金担持カーボンとした。すなわち、比較例3は、加熱処理を行っていない、かつ白金粒子に金を修飾していない白金担持カーボンであり、比較例1の加熱処理前の白金担持カーボンに相当する。
<白金粒子の粒径の測定>
XRDにより、実施例1および比較例1〜3の白金担持カーボンに担持された白金粒子の白金粒径を測定した。この結果を、表1に示す。
Figure 2012240000
<電位サイクル試験>
実施例1、2および比較例1〜3の白金担持カーボンに対して、電位サイクル試験を行った。具体的には、まず、白金担持カーボンをグラッシーカーボン電極上に塗布した。次に、0.1Nの過塩素酸溶液を窒素ガスでバブリングすることにより、溶存酸素を除去し、この溶液中に、上記電極を浸漬した。
次に、ポテンショスタットを用いて、サイクリックボルタンメトリーにより電極の電位を、掃引速度200mV/s、400〜1100mVの範囲で、5000回繰り返し変化させ、電極の電位に対する電流を測定した。このときに得られた、1サイクル目から1000サイクル毎の電圧値と電流値との波形(サイクリックボルタモグラム)を用いて、白金に吸着した水素の量(水素吸着量)を算出し、この水素吸着量から白金粒子の表面面積を算出した。電位サイクル試験前の初期の白金粒子の表面積に対する、電位サイクルごとの白金粒子の表面積の割合(白金表面積維持率)を算出した。この結果を図2(a),(b)に示す。図2(a),(b)は、電位サイクル数毎の白金表面積維持率を測定した結果である。
(結果1および考察)
表1に示すように、実施例1および比較例1の白金粒子の粒径が、比較例2および3のものに比べて大きかった。実施例1および比較例1の白金粒子は、加熱処理により、粒径が大きくなったと考えられる。
また、図2(b)からも明らかなように、加熱処理前においては、比較例3および比較例4の白金表面積維持率は、電位サイクル数によらず略同じである。すなわち、白金粒子への金の修飾に拘わらず、電位サイクル数が進むに従って白金粒子の白金が溶出していると考えられる。
しかしながら、図2(a)に示すように、加熱処理後においては、実施例1の白金表面積維持率は、比較例1のものに比べて高くなった。以上のことから、金を修飾した白金粒子に対して上述した加熱処理を行うことにより、白金粒子の溶出しやすい部分(エッジ部分)に金が拡散し、白金粒子の耐久性を高めることができたと考えられる。
(実施例2)
実施例1と同じように、加熱処理を行った金修飾白金担持カーボンを作製した。なお、本実施例では、加熱処理工程において、白金担持カーボンをアルゴンガス雰囲気下で200℃まで1時間昇温し、この温度を2時間保持し、その後放冷した。
(実施例3)
実施例2と同じように、加熱処理を行った金修飾白金担持カーボンを作製した。実施例2と相違する点は、加熱処理工程において、白金担持カーボンをアルゴンガス雰囲気下で300℃まで1時間昇温し、この温度を2時間保持し、その後放冷した点である。
(比較例4)
実施例1と同じように、実施例1で準備した銅層を被覆前の白金担持カーボンを準備して、これを比較例4の白金担持カーボンとした。
上述した、実施例2、実施例3、および比較例4の白金担持カーボンに対して、実施例1と同じように電位サイクル試験を行った。この結果を、図3に示す。図3は、電位サイクル数毎の白金表面積維持率を測定した結果である。
(結果2および考察)
図3に示すように、実施例2および実施例3の白金表面積維持率は、比較例4のものに比べて高くなった。このことから、少なくとも200℃〜300℃の加熱温度範囲内で、加熱処理を行えば、金修飾された白金粒子の耐久性は向上すると考えられる。
以下の表2は白金粒子を加熱した際の金粒子の粒径を測定した結果であり、この結果からも加熱温度400℃までは、その粒径の大きさに変化がほとんどないことがわかる。
Figure 2012240000
また、図4は、金粒子の粒径と、その融点との関係を説明するための参考図であり、この結果からも、加熱する温度が上昇するにしたがって、金の粒径が大きくなり、加熱温度が300℃を超え始めると、金粒径の粗大化が始まると考えられる。
さらに、図5は、温度変化に伴う金粒子の粒径とそのカウント数とを説明するための参考図であり、この結果からも、3nm程度の粒径の金粒子の融点は、400℃程度である。このことから、金を含む触媒に対して、熱処理温度400℃を超えて加熱を行った場合には、金が溶融し、粗大化すると共に、金と白金が合金化するおそれがあると考えられる。このことから、加熱処理工程における加熱処理温度は、400℃以下であることが好ましいと言える。
このように、加熱処理温度を200℃〜400℃の範囲内で加熱することにより、白金粒子の表面の金が、白金粒子のエッジ部分(反応しやすい部分)に移動して、この部分を覆うので、電位サイクルに対する加熱処理された白金担持カーボンの耐久性が向上したものと考えられる。
(実施例4)
実施例1と同じように、加熱処理を行った金修飾白金担持カーボンを作製した。
(実施例5)
実施例1と同じように、加熱処理を行った金修飾白金担持カーボンを作製した。実施例1と相違する点は、金置換工程において、HAuClの代わりに、同じ添加量のHAuBrを用いた点である。
(比較例5)
実施例1と同じように、実施例1で準備した銅層を被覆前の白金担持カーボンを準備して、これを比較例5の白金担持カーボンとした。
実施例4、実施例5、および比較例5の白金担持カーボンに対して、上述した、XRDにより、白金担持カーボンに担持された白金粒子の白金粒径を測定した。この結果を、表3に示す。また、実施例4、実施例5、および比較例5の白金担持カーボンに対して、実施例1と同じように電位サイクル試験を行った。この結果を、図6に示す。図6は、電位サイクル数毎の白金表面積維持率を測定した結果である。
Figure 2012240000
(結果3および考察)
図6に示すように、実施例5、実施例4、比較例5の順に、電位サイクル数の増加に伴う白金表面積維持率は高くなった。実施例4では、HAuClを添加した水溶液を用いたが、実施例5では、Cu−Au間の電位ギャップが小さいHAuBrが添加された水溶液を用いたことにより、実施例4に比べて、銅を金に置換する反応が穏やかになり、金の粗大粒子の生成を抑制することができたので、実施例5の白金表面積維持率が、実施例4のものに比べて、高くなったと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。

Claims (3)

  1. 白金合金または白金からなる白金粒子を少なくとも含む触媒を製造する方法であって、
    前記白金粒子の表面に銅層を被覆する工程と、
    前記銅層が被覆された白金粒子を金イオン水溶液に接触させることにより、前記銅層の銅を金に置換する工程と、
    該金に置換した白金粒子の表面を、非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする触媒の製造方法。
  2. 前記加熱処理工程において、前記白金粒子を、200℃〜400℃の加熱温度範囲内で加熱処理することを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
  3. 前記銅を金に置換する工程において、
    前記金イオン水溶液として、AuBr またはAuI を含む塩と、ハロゲン化水素と、を添加した水溶液を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
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