JP2012241922A - バッチ式塗膜乾燥炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶媒蒸気を速やかに炉外に排出することができ、塗膜を効率的に乾燥させることができるバッチ式塗膜乾燥炉を提供する。
【解決手段】塗膜が形成された平面状のワーク3が載せられるステージ2と、その上方の天井部に配置されワーク3を加熱する赤外線加熱装置5と、ステージ2を挟んで設置された送風手段11及び排気手段12とを備える。この構成により、赤外線加熱装置5とワーク3との間の空間内にワーク3の上面から離隔した高さの横風を形成し、塗膜から発生する有機溶媒蒸気を速やかに炉外に排出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池用電極塗膜や太陽光発電用電極塗膜など、塗工装置によりペーストを塗工した膜乾燥に用いられるバッチ式塗膜乾燥炉に関するものである。
上記のような塗膜の乾燥炉としては、特許文献1に示されるように天井部に多数の赤外線ヒータを配置した構造の炉が知られている。上記のような塗膜には有機溶媒が含まれており、乾燥工程において塗膜が形成されたワークから大量の有機溶媒蒸気が発生する。この有機溶媒蒸気は所定濃度以上で300℃以上に加熱されると爆発する可能性があるため、速やかに炉外に排出する必要がある。
このため従来から、炉室内に多量の熱風を打ち込んで乾燥を促進すると同時に有機溶媒蒸気を希釈し、熱風とともに炉外に排出することが行なわれている。しかし従来の塗膜乾燥炉においては熱風をワークに直接接触させているため、塗膜は表面から乾燥が進行する。このため塗膜内部の溶媒は表面に向かって移動し、溶媒中に溶けているバインダーも表面側に移動する。この結果、塗膜内部におけるバインダー濃度は表面側が高く、ベースとなるシート例えば金属箔やガラス板側が低くなり、シートとの接着強度が不十分となるという傾向がある。特にリチウムイオン電池用電極は金属シート上に塗膜を形成しており、組立て時に多重に巻いたり、あるいは折り曲げ構造をとるために、シートと塗膜との接着性の低下はシートと塗工膜の剥離の原因となり電池の歩留低下に直結する。
また、塗膜表面から乾燥が進行すると表面にバインダーが析出して膜が形成されてしまい、塗膜内部からの溶媒の移動を妨げるという問題もある。このような状態となると塗膜乾燥速度が低下し、乾燥終了までに長時間を要するため生産性の低下を招くこととなる。
特許第3953911号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、有機溶媒蒸気を速やかに炉外に排出することができ、シートとの接着強度を低下させることなく塗膜を効率的に乾燥させることができるバッチ式塗膜乾燥炉を提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、塗膜が形成された平面状のワークが載せられるステージと、その上方の天井部に配置されワークを加熱する赤外線加熱装置と、この赤外線加熱装置とワークとの間の空間内に、ワークの上面から離隔した高さの横風を形成するために前記ステージを挟んで設置された送風手段及び排気手段とを備えたことを特徴とするものである。
なお、送風手段は送風用スリットを備え、排気手段は吸引用スリットを備えたものであることが好ましい。また、ワークが載せられるステージが高さ調節可能なものであり、ワークの上面からの横風の離隔距離を可変とした構造が好ましく、ワークの上面からの横風の離隔距離は、10〜500mmの範囲とすることが好ましい。さらに赤外線加熱装置が、フィラメントが封入された石英管を、冷却流体が供給される外側管の内部に封入した二重管式ヒータであることが好ましい。
本発明によれば、ワークが載せられるステージを挟んで設置された送風手段及び排気手段とによって、ワークの上面から離隔した高さに横風を形成する。このため赤外線加熱装置により加熱されたワークの塗膜から発生する有機溶媒蒸気は、この横風によって速やかに炉外に排出される。しかもこの横風は直接ワークに接触することがないため、ワーク表面の塗膜は専ら赤外線によって乾燥される。赤外線は波長をコントロールすることによって塗膜の内部にも浸透させることができるので、ワークの表面に直接熱風を当てて乾燥させる場合よりも塗膜全体を均等に乾燥させることが可能となり、シートとの接着強度を低下させることなく塗膜を効率的に乾燥させることができる。
請求項2のように送風手段は送風用スリットを備え、排気手段は吸引用スリットを備えたものとしておけば、横風を高さ方向の幅が薄い帯状とすることができ、ワークの塗膜から発生する有機溶媒蒸気を確実に排気できるとともに、横風のワークとの接触を確実に防止することができる。
なお塗膜やワークの種類によっては横風とワークの上面との最適な離隔距離が変わるため、ワークが載せられるステージを高さ調節可能としておけば、容易に最適距離に設定することができる。最適距離は10〜500mmの範囲である。
また赤外線加熱装置が、フィラメントが封入された石英管を、冷却流体が供給される外側管の内部に封入した二重管式ヒータとすれば、フィラメント温度を700℃程度の高温として塗膜乾燥に適した近赤外線を照射しながら、ヒータの外表面温度を150℃以下の低温に維持することが可能となり、炉内温度の上昇を抑制することができるので、有機溶媒蒸気による爆発をより確実に防止することが可能となる。
本発明の実施形態を示す断面図である。 二重管式ヒータの説明図である。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は本発明のバッチ式塗膜乾燥炉の断面図であり、1はボックス状の炉体である。炉体1の中央下方部には、ワーク3が載せられるステージ2が設けられている。本実施形態ではワーク3はリチウムイオン電池用の電極シートであり、アルミニウム等のシート上に厚さが100〜300μmの塗膜が形成されたものである。この塗膜は、正極活物質であるコバルト酸リチウム、導電物質であるカーボン粉末、バインダーであるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)などが有機溶媒であるNMP(N−メチル-ピロリドン)と混練されたペースト状のものである。なおこのステージ2は、炉底を貫通する昇降ロッド4により水平を保ったまま昇降可能に支持され、高さ調節することができる。
ステージ2の上方の炉体1の天井部には、ワーク3を加熱するための赤外線加熱装置5が設けられている。本発明において赤外線加熱装置5の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では二重管式ヒータが用いられている。
この二重管式ヒータは図2に示すように、フィラメント6が封入された石英管7を、冷却流体が供給される外側管8の内部に封入した構造である。石英管7も外側管8もともに石英ガラスからなる。外側菅8の端部付近には冷却流体供給口9と冷却流体排出口10とが設けられており、冷却流体である冷却エアを流して外側菅8を冷却する。
石英ガラスはローパスフィルタとしての機能を有するものであり、フィラメント6から放射される赤外線のうち波長が3.5μm以上の赤外線をほぼ完全に吸収する。このためフィラメント6の温度を700℃以上の高温とすれば、有機溶媒や水の分子中の水素結合を切断する能力に優れた波長が3.5μm以下の近赤外線のみを透過させ、ワーク3に照射することができる。
長波長の赤外線を吸収した石英管7と外側管8は温度が上昇するため、冷却流体を流さない場合にはそれ自体が赤外線の放射体となり、炉壁等を加熱して炉内温度の上昇を招く。しかし本実施形態では冷却エアを流すことにより、外側管8の表面温度を150℃未満に維持することができるので、炉内温度の上昇を抑制しつつ、波長が3.5μm以下の近赤外線による効率的な塗膜乾燥が可能となる。
なお、図2に示す実施形態ではフィラメント6が封入された石英管7はU字状であり、片側のみから電源が供給できる構造となっているが、石英管7を直線状として両側から電源を供給してもよい。本発明においては赤外線加熱装置5は必ずしも二重管式ヒータのみに限定されるものではなく、二重管式ヒータとともに一般的なセラミック製赤外線ヒータや温風ヒータを併用することもできる。
本発明では、この赤外線加熱装置5とワーク3との間の空間内に、ワーク3の上面から離隔した高さの横風が形成される。そのためにステージ2を挟んだ左右の位置に、ボックス状の送風手段11と排気手段12とが形成されている
送風手段11は先端に送風用スリット13を備え、奥部の給気ダクト14から供給される空気を送風用スリット13から吹き出す。なお15は送風手段11の内部に配置された圧力分散用のパンチングメタル、16は風量調整用ダンパーである。送風用スリット13は高さ方向の幅が狭く、紙面に垂直方向の幅が広い扁平なスリットである。
一方、排気手段12も同様な形状の吸引用スリット17を備えたものである。この構造によって、送風用スリット13と吸引用スリット17との間に扁平な横風18を安定して形成することができる。この横風18は高さ方向の広がりが小さいため、ワーク3の上面から横風18までの離隔距離を正確に設定することができる。なお19は排気手段12に接続された排気ダクトである。
この横風18はワーク3に直接風を当てることなく、加熱されたワーク3から発生する有機溶媒蒸気を炉外に排出する役割を持つ。このためにはワーク3の上面からの横風18の離隔距離は、10〜500mmの範囲とすることが好ましい。離隔距離が10mm未満であると横風18がワーク3に直接当たる可能性があり、塗膜の表面乾燥が促進されるので好ましくない。逆に500mmを超えるとワーク3から発生する有機溶媒蒸気の除去能力が低下するので好ましくない。
この離隔距離はワーク3や塗膜の種類に応じて変更できることが好ましい。そこで前述したようにワーク3が載せられるステージ2を昇降ロッド4により高さ調節可能とし、離隔距離を可変としておくことが好ましい。
このように構成された本発明のバッチ式塗膜乾燥炉は、塗膜が形成されたワーク3をステージ2の上に載せ、赤外線加熱装置5から放射される近赤外線によってワーク3を加熱することにより塗膜を乾燥させるものである。赤外線加熱装置5として二重管式ヒータを用いれば、炉内温度の上昇を抑制しつつ、波長が3.5μm以下の近赤外線による効率的な塗膜乾燥が可能となることは前述したとおりである。
この塗膜乾燥に伴い有機溶媒蒸気が発生するが、ワーク3の上面から離隔した高さの横風18によって速やかに炉外に排出されるため、炉内の有機溶媒蒸気濃度は低いレベルに抑制される。このため有機溶媒蒸気による爆発の危険はない。しかもこの横風18はワーク3の上面に直接接触しないので、塗膜の表面乾燥を促進するおそれがない。
なお本発明のバッチ式塗膜乾燥炉は温度や離隔距離などの乾燥条件を比較的自由に設定することができるので、塗膜の種類に応じた最適乾燥条件を得るための試験炉として使用することも可能である。
1 炉体
2 ステージ
3 ワーク
4 昇降ロッド
5 赤外線加熱装置
6 フィラメント
7 石英管
8 外側管
9 冷却流体供給
10 冷却流体排出口
11 送風手段
12 排気手段
13 送風用スリット
14 給気ダクト
15 パンチングメタル
16 風量調整用ダンパー
17 吸引用スリット
18 横風
19 排気ダクト

Claims (5)

  1. 塗膜が形成された平面状のワークが載せられるステージと、その上方の天井部に配置されワークを加熱する赤外線加熱装置と、この赤外線加熱装置とワークとの間の空間内にワークの上面から離隔した高さの横風を形成するために、前記ステージを挟んで設置された送風手段及び排気手段とを備えたことを特徴とするバッチ式塗膜乾燥炉。
  2. 送風手段は送風用スリットを備え、排気手段は吸引用スリットを備えたものであることを特徴とする請求項1記載のバッチ式塗膜乾燥炉。
  3. ワークが載せられるステージが高さ調節可能なものであり、ワークの上面からの横風の離隔距離を可変としたことを特徴とする請求項1記載のバッチ式塗膜乾燥炉。
  4. ワークの上面からの横風の離隔距離を、10〜500mmとしたことを特徴とする請求項1記載のバッチ式塗膜乾燥炉。
  5. 赤外線加熱装置が、フィラメントが封入された石英管を、冷却流体が供給される外側管の内部に封入した二重管式ヒータであることを特徴とする請求項1記載のバッチ式塗膜乾燥炉。
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