JP2012243568A - 絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

絶縁電線及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012243568A
JP2012243568A JP2011112445A JP2011112445A JP2012243568A JP 2012243568 A JP2012243568 A JP 2012243568A JP 2011112445 A JP2011112445 A JP 2011112445A JP 2011112445 A JP2011112445 A JP 2011112445A JP 2012243568 A JP2012243568 A JP 2012243568A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coating layer
insulated wire
extrusion coating
conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011112445A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5561238B2 (ja
Inventor
Takanori Yamazaki
孝則 山崎
Shigehiro Morishita
滋宏 森下
Hideto Momose
秀人 百生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP2011112445A priority Critical patent/JP5561238B2/ja
Publication of JP2012243568A publication Critical patent/JP2012243568A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5561238B2 publication Critical patent/JP5561238B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Insulated Conductors (AREA)
  • Processes Specially Adapted For Manufacturing Cables (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】高い部分放電開始電圧を有するとともに、耐熱性と密着性とに優れた絶縁電線及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁電線10は、導体20と、導体20上に押出被覆層30を有する絶縁被覆とを備えている。押出被覆層30は、電子線照射により架橋され、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)、及びメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混合した樹脂組成物を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線及びその製造方法に係り、特に、例えば回転電機や変圧器などの電機機器のコイルに用いられる絶縁電線及びその製造方法に関するものである。
回転電機や変圧器などの電機機器のコイルに用いられるエナメル被覆絶縁電線などの一般的な絶縁電線は、コイルの用途や形状に合致した断面形状、例えば丸形状や矩形状に形成された導体上に単層、又は複数層の絶縁被覆が形成された構造となっている。この導体上に絶縁被覆を形成する方法には、樹脂を有機溶剤に溶解させた絶縁塗料を塗布・焼付けする方法と、予め調合した樹脂組成物を導体上に押出被覆する方法とがある。
近年、電機機器への小型化の要求により、絶縁被覆には過酷な加工ストレスに耐えられる機械的特性、例えば密着性や耐摩耗性などが求められている。また、電機機器への高効率化・高出力化の要求から、インバータ制御や高電圧化が進展している。その結果、コイルの運転温度が以前よりも上昇傾向にあり、絶縁被覆には高い耐熱性をも求められている。
インバータサージ電圧などのより高い電圧が電機機器中のコイルにかかることから、部分放電の発生によって、絶縁被覆が劣化・損傷することがある。この部分放電による絶縁被覆の劣化・損傷を防ぐため、部分放電開始電圧の高い絶縁被覆の開発が進められている。絶縁被覆の部分放電開始電圧を高くするために、絶縁被覆に比誘電率の低い樹脂を用いる方法や絶縁被覆の厚さを厚くする方法がある。
その一例としては、特定の構造を有するフッ素系ポリイミド樹脂を含有する絶縁塗料を導体上に塗布することで、絶縁被覆の比誘電率を低くした構成を有する巻線の絶縁被覆材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1記載のフッ素系ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を用いて絶縁電線を形成した場合は、比誘電率が2.3〜2.8であり、通常の巻線の絶縁被膜の比誘電率と比較して低い比誘電率が付与できるので、絶縁被覆の発熱量と熱による劣化とが抑えられるとしている。
他の一例としては、部分放電開始電圧を上げるための絶縁層の厚膜化を、導体とエナメル層の接着強度を下げることなく実現した耐インバータサージ絶縁ワイヤが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2記載の絶縁ワイヤは、導体上にエナメル焼き付け層と、その外側に設けられた押出被覆層とを有することで、部分放電開始電圧と導体/エナメル層の接着強度との両方を確保しており、そのエナメル焼付け層と押出被覆層との間に接着層を更に介在させることで、エナメル焼付け層と押出被覆層との接着力を強化している。
更に他の一例としては、絶縁層が耐熱性と耐薬品性とに優れた2層以上の押出被覆層からなる多層絶縁電線が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2002−56720号公報 特許第4177295号公報 国際公開第2005/106898号
しかしながら、上記特許文献1記載のフッ素系ポリイミド樹脂からなる絶縁被覆は、導体との密着性が低い。そのため、例えばコイル成形工程などにおける過酷な加工ストレスによって、絶縁被覆が導体から剥離する現象(被覆浮き)が発生してしまうことが懸念される。この被覆浮きは、絶縁破壊を起こす要因となる。
一方、上記特許文献2記載の絶縁ワイヤにおいては、押出被覆樹脂層の厚さを厚くすることによって部分放電開始電圧を高くすることができると考えられる。しかしながら、エナメル焼付け層と押出被覆層とは、樹脂組成物の性質と形成方法とが大きく異なることから、製造工程が煩雑になりやすく、製造コストが増大しやすいという問題がある。また、エナメル焼き付け層と押出被覆樹脂層との密着性を確保するために、それらの層間に接着層を介在させる場合は、製造コストが更に増大する。
また、上記特許文献3記載の多層絶縁電線は、2層以上の押出被覆層に熱可塑性樹脂を使用しており、製造工程の煩雑性、製造コストの増大を回避する必要があるという点では、上記特許文献2記載の絶縁ワイヤと変わるところはない。
従って、本発明の目的は、高い部分放電開始電圧を有するとともに、耐熱性と密着性とに優れた絶縁電線及びその製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、下記[1]〜[6]に記載した各発明により達成することができる。
[1]即ち、本発明は、導体と、前記導体上に設けられ、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)、及びメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混合した樹脂組成物からなり、電子線照射により架橋された押出被覆層を有する絶縁被覆と、を備えたことを特徴とする絶縁電線にある。
[2]上記[1]記載の前記樹脂組成物としては、前記樹脂(A)と前記樹脂(B)とが重量比で、(B)/(A)=30/70〜70/30の範囲で混和されていることが好適である。
[3]上記[1]又は[2]記載の前記樹脂(A)は、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートのうちのいずれかからなることが好ましい。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の前記樹脂(B)は、無水マレイン酸やグリシジルメタクリレート等で変性させてなる樹脂が更に含まれていることが好ましい。
[5]本発明にあっては更に、導体上に、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)と、メルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)とを混合した樹脂組成物を押出被覆して形成した押出被覆層を有する絶縁被覆を形成する工程と、前記押出被覆層を含む絶縁被覆を、電子線照射により架橋処理する工程と、を含むことを特徴とする絶縁電線の製造方法が提供される。
[6]上記[5]記載の前記絶縁被覆を形成する工程後に、前記絶縁被覆を250℃以上300℃以下で加熱処理する工程を更に含むことが好適である。
本発明によれば、高い部分放電開始電圧を有するとともに、押出被覆層の耐熱性や導体と押出被覆層との間の密着性に優れた絶縁電線及びその製造方法が得られる。
本発明の実施の形態に係る典型的な絶縁電線の一例を示す模式図である。 絶縁電線の他の一例を示す模式図である。 絶縁電線の更に他の一例を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
(絶縁電線の構成)
図1において、全体を示す符号10は、この実施の形態に係る典型的な絶縁電線を例示している。この絶縁電線10の基本の構成は、導体20と、この実施の形態における特徴部をなす押出被覆層30とを有する。
この導体20としては、例えば銅又は銅合金の単線を用いてもよく、複数の銅線又は複数の銅合金線を撚り合わせて形成した構成としてもよい。銅としては、無酸素銅や酸素含有量の少ない低酸素銅などを用いることができる。導体20の断面形状としては、円形断面を有する一例を例示しているが、図示例に限定されるものではなく、例えば矩形断面などの各種断面形状に形成した構成であっても構わない。
絶縁電線10は、例えば回転電機や変圧器などの電機機器のコイルに好適に用いられる。より具体的には、略U字形状に変形加工された断面が短形形状からなる複数本の絶縁電線の端末同士をTIG溶接などの溶接方法によって繋ぎ合わせて形成されるコイルなどに好適な絶縁電線である。なお、このような略U字形状に変形加工された複数本の絶縁電線の端末同士を溶接して繋ぎ合わせて形成されるコイルにおいては、特に、固定子コアから該固定子コアの軸方向に突出する部分(コイルエンドともいう。)の絶縁電線が該固定子コアの周方向に沿って複数の断部を有するように、一部が階段状に変形加工された複数本の絶縁電線の端部同士を繋ぎ合わせて形成されるコイルであっても構わない。
この押出被覆層30は、図1に示すように、電子線照射により架橋され、導体20上に押出被覆した絶縁被覆であり、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)、及びメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混合した樹脂組成物により構成されている。この樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)とが重量比で、(B)/(A)=30/70〜70/30の範囲で混和されていることが好適である。
MFRが1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を用いると、弾性率の低下が抑えられ、樹脂組成物の融点以上の高温の成形温度であっても、押出被覆層30が変形しにくく、押出被覆層30の押出成形性がよい。上記従来の特許文献2記載の部分放電開始電圧(900Vp)よりも高い部分放電開始電圧が得られるとともに、絶縁特性、導体20と押出被覆層30との間の密着性を向上させることが可能になる。なお、樹脂(B)のメルトフローレートは、例えば、JIS K7210に準拠する方法により測定することができる。また、樹脂(A)の融点は、例えば、JIS K7122に準拠する方法により測定することができる。
融点(Tm)が200℃以上の熱可塑性樹脂(A)と、オレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)とが重量比で、(B)/(A)=30/70〜70/30の範囲で混和することで、より一層、導体20と押出被覆層30との間の密着性を維持しつつ、従来の部分放電開始電圧よりも高い部分放電開始電圧を有する絶縁被覆構成として放電劣化の発生を防止することができる。
融点が200℃以上の樹脂(A)としては、例えばエンジニアリングプラスチック、もしくはスーパーエンジニアプラスチックからなる樹脂を用いることができる。これらのプラスチックの一例としては、例えば熱可塑性ポリイミド(Tm:338℃)、ポリエーテルエーテルケトン(Tm:334℃)、ポリエーテルケトン(Tm:373℃)、ポリフェニレンサルファイド(Tm:285℃)、ポリブチレンナフタレート(Tm:243℃)、ポリブチレンテレフタレート(Tm:224℃)、ポリエチレンナフタレート(Tm:269℃)、ポリエチレンテレフタレート(Tm:258℃)などのエンジニアリングプラスチック、もしくはスーパーエンジニアプラスチックが挙げられる。
樹脂(A)としては、例えば従来の部分放電開始電圧よりも高い1500V以上の高い部分放電開始電圧を得るため、誘電率の小さいポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンやポリフェニレンサルファイドを用いることが望ましい。
一方、MFRが1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)としては、例えばポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体などのエチレン共重合体、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレングリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
樹脂(B)としては、例えば無水マレイン酸やグリシジル基を有する樹脂群が混和されていることが望ましい。その一例としては、例えばポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体などのエチレン共重合体、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレングリシジルメタクリレート共重合体などからなる樹脂を無水マレイン酸やグリシジルメタクリレート等で変性させてなる樹脂を、1種もしくは2種類以上含有させることが好適である。
なお、上記樹脂(A)と上記樹脂(B)とを混合した樹脂組成物には、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤、着色剤などを添加することも可能である。また、この樹脂組成物を有する押出被覆層30の厚さを通常の押出被覆層よりも薄くすることは可能であるが、図1に示す押出被覆層30の厚さとしては30μm以上であることが好ましい。
(絶縁電線の製造方法)
上記のように構成された絶縁電線10は、次の工程(イ)及び(ロ)を有する製造方法により効果的に得られる。
(イ)導体20上に、上記樹脂(A)と上記樹脂(B)とを混合した樹脂組成物を押出被覆して押出被覆層を有する絶縁被覆を形成する工程、及び
(ロ)押出被覆層を含む絶縁被覆を、電子線照射により架橋処理する工程。
この架橋処理工程では、上記樹脂(A)と上記樹脂(B)とを混合した樹脂組成物を有する押出被覆層30を押出被覆して形成した後に、その押出被覆層30の絶縁被覆を電子線照射により架橋処理することが肝要である。但し、絶縁電線10を用いて電機機器のコイルを成形する場合は、架橋処理工程は、コイル成形工程の前に行われる。
融点が200℃以上の熱可塑性の樹脂(A)のみを電子線照射によって架橋処理するのには、高い線量の電子線を照射する必要がある。しかしながら、この実施の形態のように、樹脂(A)とオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)とを混合することで、架橋しやすくなり、低い線量の電子線であっても、架橋が可能となる。これにより、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合した樹脂組成物の融点よりも高温の成形温度による押出被覆層30の変形を抑えることができるので、押出被覆層30の押出成形性が良好となり、押出被覆層30の絶縁性能を確保することができる。
この製造方法では更に、次の工程(ハ)を有することが肝要である。
(ハ)押出被覆層30を押出被覆して形成した後であって、押出被覆層30の絶縁被覆を電子線照射により架橋処理する前に、その押出被覆層30を250℃以上300℃以下で加熱処理する工程。
この温度条件で加熱処理することにより、導体20と押出被覆層30との密着性を低下させることなく、従来の部分放電開始電圧(900Vp)よりも高い部分放電開始電圧、例えば1500Vp以上の高い部分放電開始電圧を実現することができる。
上記樹脂(A)と上記樹脂(B)とを混合した樹脂組成物を導体20上に押出被覆して押出被覆層30を形成した後、その樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度、例えば250℃以上の温度で加熱処理すると、導体20と押出被覆層30との密着を強固なものにすることが可能である。このガラス転移温度以上で加熱処理を行えば、著しい効果がある。
上記樹脂(B)は、上述したように、MFRが1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を用いるので、樹脂組成物の融点よりも極めて高温の成形温度であっても、押出被覆層30が変形しにくく、押出被覆層30の押出成形性がよくなり、導体20と押出被覆層30との間の密着性を向上させることができる。それに加えて、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂(A)と、オレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)とを重量比で、(B)/(A)=30/70〜70/30の範囲で混和するので、更に密着性を維持しながら、従来の部分放電開始電圧よりも高い部分放電開始電圧を有する絶縁電線10を得ることが可能となる。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態に係る絶縁電線10によると、導体20上に押出被覆した絶縁被覆は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)、及びMFRが1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混合した樹脂組成物により構成されるため、押出被覆層30の厚さが薄くても、高い部分放電開始電圧を有する。それに加えて、導体20と押出被覆層30との密着性が優れており、その密着性を低下させることなく、高温の成形温度による変形や絶縁性能の低下を抑えることができるようになる。
[変形例]
以上の説明から明らかなように、本発明の絶縁電線及びその製造方法を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であり、次に示すような第1及び第2の変形例も可能である。なお、図2及び図3において、上記実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
(第1の変形例)
この第1の変形例にあっても、上記実施の形態に係る絶縁電線10と基本的な構成において変わるところはない。図2において、上記実施の形態と大きく異なるところは、上記実施の形態では、導体20上に押出被覆して一層の第1の押出被覆層30を形成していたものを、この第1変形例にあっては、第1の押出被覆層30上に二層目の第2の押出被覆層31を形成した点にある。
この第1変形例に係る絶縁電線11は、図2に示すように、導体20上に第1押出被覆層30を押出被覆形成し、この第1押出被覆層30上に第2押出被覆層31を押出被覆して形成した構成となっている。この第2押出被覆層31としては、上記第1の実施の形態に係る樹脂(A)と同様に、例えば熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルイミド、ポリエーテルイミド、又はポリフェニレンサルファイド等の樹脂からなる。この絶縁電線11における第1押出被覆層30の厚さは20μm以上であり、第2押出被覆層31の厚さとしては30μm以上であることが好ましい。
この押出被覆層30,31を形成することにより、耐摩耗性を向上させることができる。そのため、例えば電機機器のコイルを成形する際に、巻線工程などにおいて強い外力(張力)がかかる場合などでも、絶縁被覆層の表面に被覆割れや微小なクラック等が発生するのを防止することが可能となる。
(第2の変形例)
この第2の変形例にあっても、上記実施の形態に係る絶縁電線10と基本的な構成において変わるところはない。図3において、この第2変形例による絶縁電線12にあっては、導体20上に押出被覆して一層目の第1押出被覆層30を形成し、次に、第1押出被覆層30上に二層目の第2押出被覆層31を形成し、更に、第2押出被覆層31上に三層目の第3押出被覆層32を形成した点が、上記実施の形態とは大きく異なっている。
この第2変形例に係る絶縁電線12の第2及び第3押出被覆層31,32は、上記第1の実施の形態に係る樹脂(A)からなる。導体20上に3層の押出被覆層を押出被覆して形成した第1及び第3押出被覆層31,32のそれぞれの厚さは20μm以上であり、第2押出被覆層31の厚さとしては30μm以上であることが好ましい。
この押出被覆層30〜32を形成することで、耐摩耗性の向上、絶縁被覆層の表面における被覆割れや微小なクラック等の発生を更に防止することが可能となる。なお、3層以上の絶縁被覆構造とした場合は、押出被覆層の合計の厚さとしては、70〜100μmの範囲に設定することが好ましい。
以下に、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例及び比較例を挙げて、表1を参照しながら、絶縁電線について詳細に説明する。なお、この実施例にあっては、絶縁電線の典型的な一例を挙げており、本発明は、これらの実施例に限定されるものではないことは勿論である。
各種の押出被覆層を有する実施例1〜8、及び比較例1〜4の試料を製作した。これらの試料について、密着性及び耐熱性の比較と評価を行った。これらの試料における押出被覆層の成分、処理条件、及び絶縁被覆厚さを下記の表1にまとめて示す。
(絶縁電線の製作)
導体として外径1.25mmの銅線を複数本準備し、押出機を用いて、約300〜370℃の押出温度で、表1に示す成分を含有する12通りの樹脂組成物を銅線上に押出被覆して押出被覆層を形成した。この押出被覆層の形成後、温度(設定温度)が200〜300℃である電気炉を通して、第1の加熱処理を施した。更に、その押出被覆層を250℃以上300℃以下で第2の加熱処理を施して、絶縁被覆厚さが約100μmである断面円形状の絶縁電線を作製した。なお、比較例1を除いて、実施例1〜8及び比較例2〜4については、第2の加熱処理後、押出被覆層の樹脂組成物に、架橋処理として線量が30Mradの電子線照射を施すことで絶縁電線を作製した。
以上のように作製した12種類の絶縁電線に対して、部分放電開始電圧の測定と、密着性及び耐熱性の試験とを行った。
(部分放電開始電圧の測定)
得られた絶縁電線の部分放電開始電圧の測定にあたり、先ず、絶縁電線を500mmの長さで2本切り出し、39N(4kgf)の張力を掛けながら撚り合わせて、絶縁電線の中央部の120mmの範囲に6回の撚りを有するツイストペアの試料を用意した。次に、この試料の端部である10mmの部位をアビソフィックス装置で剥離した。その後、絶縁被膜の乾燥のため、120℃の恒温槽中に30分間保持し、デシケータ中で室温になるまで18時間放置した。
部分放電開始電圧の測定は、部分放電自動試験システム(総研電気株式会社製、DAC−6024)を用いた。その測定条件としては、25℃で相対湿度50%の雰囲気とし、50Hzの電圧を10〜30V/sで昇圧しながら、ツイストペア試料に課電した。そして、ツイストペア試料に50pCの放電が毎秒50回発生した電圧を部分放電開始電圧とした。この測定結果を下記表1にまとめて示す。
(密着性の評価)
この密着性は、JIS C3003に準拠した急激伸張試験を実施することにより評価した。急激伸張試験の結果、絶縁被覆の浮き(剥離)の長さが破断点から2mm以下のものを◎印(優秀)とし、2〜20mmのものを○印(合格)とし、20mmよりも長いものを×印(不合格)として評価した。この評価結果を下記表1にまとめて示す。
(耐熱性の評価)
この耐熱性の評価にあたり、先ず、絶縁電線を500mmの長さで2本切り出し、39N(4kgf)の張力を掛けながら撚り合わせて、絶縁電線の中央部の120mmの範囲に6回の撚りを有するツイストペア試料を用意した。次に、このツイストペア試料を老化試験機(東洋精機株式会社製、ギヤーオーブンSTD60P)の中に350℃で5分間保持して加熱した。その後、部分放電開始電圧を部分放電開始電圧試験により測定した。その時の部分放電開始電圧の低下が上記試験による測定値よりも20%未満のものを○印とし、20%以上低下したものを×印として評価した。この評価結果を下記表1にまとめて示す。
下記表1から明らかなように、実施例1〜8に示したように、エンジニアリングプラスチックもしくはスーパーエンジニアプラスチックからなる樹脂(A)、及びオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混合した樹脂組成物を用いて導体上に押出被覆層を形成した後、押出被覆層に電子線照射したものは、部分放電開始電圧が1500Vp以上となり、比較例1〜4と比較して高い値となった。密着性試験、及び耐熱性試験も、比較例1〜4と比較して良好な結果であった。
これに対して、MFRが規定範囲外にある樹脂(B)を含有し、かつ、電子線照射しない比較例1では、実施例1〜8の部分放電開始電圧の値よりも、部分放電開始電圧が低い値となり、耐熱性も劣った。
一方、押出被覆層に電子線照射したが、オレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混和していない比較例2〜4では、実施例1〜8の部分放電開始電圧よりも、部分放電開始電圧が低い値となった。比較例2及び3では、密着性試験、及び耐熱性も劣った。
以上より、実施例1〜8の絶縁電線は、押出被覆層の厚さが薄くても、高い部分放電開始電圧を有するとともに、導体と押出被覆層との間の密着性、及び押出被覆層の耐熱性に優れており、実用的に支障のない製品が得られるということが理解できる。
なお、上記実施例においては、銅導体の断面形状が円形のものを使用したが、例えば矩形状断面を有する銅導体を用いても、上記実施例と同様に、部分放電開始電圧の高い絶縁電線を得ることができる。
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態、変形例、及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきであり、本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であることは勿論である。
Figure 2012243568
10〜12…絶縁電線、20…導体、30〜32…押出被覆層

Claims (6)

  1. 導体と、
    前記導体上に設けられ、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)、及びメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)を混合した樹脂組成物からなり、電子線照射により架橋された押出被覆層を有する絶縁被覆と、
    を備えたことを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記樹脂組成物は、前記樹脂(A)と前記樹脂(B)とが重量比で、(B)/(A)=30/70〜70/30の範囲で混和されている請求項1記載の絶縁電線。
  3. 前記樹脂(A)は、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートのうちのいずれかからなる請求項1又は2記載の絶縁電線。
  4. 前記樹脂(B)は、無水マレイン酸やグリシジルメタクリレート等で変性させてなる樹脂が更に含まれている請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁電線。
  5. 導体上に、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂(A)と、メルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のオレフィン系共重合樹脂を含む樹脂(B)とを混合した樹脂組成物を押出被覆して形成した押出被覆層を有する絶縁被覆を形成する工程と、
    前記押出被覆層を含む絶縁被覆を、電子線照射により架橋処理する工程と、
    を含むことを特徴とする絶縁電線の製造方法。
  6. 前記絶縁被覆を形成する工程後に、前記絶縁被覆を250℃以上300℃以下で加熱処理する工程を更に含む請求項5記載の絶縁電線の製造方法。
JP2011112445A 2011-05-19 2011-05-19 絶縁電線及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5561238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011112445A JP5561238B2 (ja) 2011-05-19 2011-05-19 絶縁電線及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011112445A JP5561238B2 (ja) 2011-05-19 2011-05-19 絶縁電線及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012243568A true JP2012243568A (ja) 2012-12-10
JP5561238B2 JP5561238B2 (ja) 2014-07-30

Family

ID=47465057

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011112445A Expired - Fee Related JP5561238B2 (ja) 2011-05-19 2011-05-19 絶縁電線及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5561238B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103450631A (zh) * 2013-09-09 2013-12-18 苏州德尔泰高聚物有限公司 一种聚醚醚酮电缆料及其制备方法
WO2014112405A1 (ja) * 2013-01-17 2014-07-24 ダイキン工業株式会社 絶縁電線

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0512924A (ja) * 1990-05-23 1993-01-22 Fujikura Ltd 絶縁電線及びこれを使用したケーブル
JP2006012649A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Toray Ind Inc 樹脂被覆電線
JP2008257924A (ja) * 2007-04-02 2008-10-23 Furukawa Electric Co Ltd:The 絶縁電線及びそれを用いた変圧器
JP2010055964A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Furukawa Electric Co Ltd:The 絶縁ワイヤ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0512924A (ja) * 1990-05-23 1993-01-22 Fujikura Ltd 絶縁電線及びこれを使用したケーブル
JP2006012649A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Toray Ind Inc 樹脂被覆電線
JP2008257924A (ja) * 2007-04-02 2008-10-23 Furukawa Electric Co Ltd:The 絶縁電線及びそれを用いた変圧器
JP2010055964A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Furukawa Electric Co Ltd:The 絶縁ワイヤ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014112405A1 (ja) * 2013-01-17 2014-07-24 ダイキン工業株式会社 絶縁電線
CN104903977A (zh) * 2013-01-17 2015-09-09 大金工业株式会社 绝缘电线
CN104903977B (zh) * 2013-01-17 2018-12-28 大金工业株式会社 绝缘电线
US10991478B2 (en) 2013-01-17 2021-04-27 Daikin Industries, Ltd. Insulated wire
CN103450631A (zh) * 2013-09-09 2013-12-18 苏州德尔泰高聚物有限公司 一种聚醚醚酮电缆料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5561238B2 (ja) 2014-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9224523B2 (en) Inverter surge-resistant insulated wire
JP2013033607A (ja) 絶縁電線及びその製造方法
US9514863B2 (en) Inverter surge-resistant insulated wire and method of producing the same
JP5699971B2 (ja) 絶縁電線
US11615914B2 (en) Magnet wire with thermoplastic insulation
US20130130031A1 (en) Insulated wire
WO2015033821A1 (ja) 平角電線およびその製造方法並びに電気機器
JP2015138626A (ja) 絶縁電線とその製造方法、及び電気機器のコイルとその製造方法
JP2014154511A (ja) 絶縁電線およびその製造方法
US8809684B2 (en) Insulated wire
JP5561238B2 (ja) 絶縁電線及びその製造方法
JP5516303B2 (ja) 絶縁電線およびその製造方法
JP5521568B2 (ja) 絶縁電線
US12283401B2 (en) Magnet wire with thermoplastic insulation
JP5445109B2 (ja) 絶縁電線
JP6519231B2 (ja) 巻線及びその製造方法
JP2011210519A (ja) 絶縁電線
US20250253093A1 (en) Magnet wire with thermoplastic insulation
JP2014067656A (ja) 絶縁電線およびその製造方法
JP2012015038A (ja) 絶縁電線
JP2015099742A (ja) 耐インバータサージ絶縁ワイヤ及びその製造方法
JP2015228285A (ja) 巻線及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130920

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140318

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140513

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140526

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5561238

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees