JP2012244065A - 薄膜光電変換装置およびその製造方法、薄膜光電変換モジュール - Google Patents

薄膜光電変換装置およびその製造方法、薄膜光電変換モジュール Download PDF

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秀忠 時岡
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Abstract

【課題】透明導電膜と光電変換層との間に良好な電気的接合特性を有し、光電変換効率に優れた光電変換装置を得ること。
【解決手段】透光性絶縁基板1上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜2と、p型半導体層4aとi型半導体層4bとn型半導体層4cとが前記透明導電膜2側から順次積層されてなり光電変換を行う光電変換層4と、導電膜からなる裏面電極層6とをこの順で有し、前記透明導電膜2と前記p型半導体層4aとの間に、前記透明電極層2よりも電子の感じるポテンシャルエネルギーが高いポテンシャル制御層3を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜光電変換装置およびその製造方法、薄膜光電変換モジュールに関する。
従来、薄膜光電変換装置の光電変換効率の向上に関する技術として、特許文献1には、基板における光入射面と反対側に、凹凸形状を有する酸化亜鉛(ZnO)から成る透明導電膜を具備し、入射した光が該凹凸形状により散乱されることにより光閉じ込め効果が向上して、光電変換装置の高光電変換効率化が図れることが述べられている。
このようなZnOから成る透明導電膜を有する薄膜光電変換装置は、酸化錫(SnO)から成る透明導電膜を有する薄膜光電変換装置と比較して、優れた光散乱特性を得やすい、という利点がある。
特許第3801342号明細書
A. Alkaya, R. Kaplan, H. Canbolat, S.S. Hegedus, "A comparison of fill factor and recombination losses in amorphous silicon solar cells on ZnO and SnO2", Renewable Energy 2009 Vol.34 No.6 p.1595 F. Smole, M. Topic, J. Furlan, "Analysis of TCO/p(a-Si:C:H) heterojunction and its influence on p-i-n a-Si:H solar cell performance", Journal of Non-Crystalline Solids 1996 Vol.194 No3 p.312
しかしながら、ZnOから成る透明導電膜を有する薄膜光電変換装置は、透明導電膜とp型半導体層との間のポテンシャル障壁が高くなり、透明導電膜とp型半導体層との電気的接合特性が悪化するため、光電変換装置の開放端電圧(Voc)、フィルファクタ(FF)が低下するという問題があった(たとえば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、透明導電膜と光電変換層との間に良好な電気的接合特性を有し、光電変換効率に優れた薄膜光電変換装置およびその製造方法、薄膜光電変換モジュールを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜光電変換装置は、透光性絶縁基板上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜と、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とが前記透明導電膜側から順次積層されてなり光電変換を行う光電変換層と、導電膜からなる裏面電極層とをこの順で有し、前記透明導電膜と前記p型半導体層との間に、前記透明電極層よりも電子の感じるポテンシャルエネルギーが高いポテンシャル制御層を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、透明電極層とp型半導体層との間にポテンシャル制御層を備えることにより、透明電極層とp型半導体層との間の界面でのポテンシャル障壁を低下させることができるため、透明電極層とp型半導体層との間の電気的接合特性を向上でき、光電変換効率を向上させることができる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の概略構成を示す断面図である。 図2−1は、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の製造方法を説明するための断面図である。 図2−2は、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の製造方法を説明するための断面図である。 図2−3は、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の製造方法を説明するための断面図である。 図2−4は、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の製造方法を説明するための断面図である。
以下に、本発明にかかる薄膜光電変換装置およびその製造方法、薄膜光電変換モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置は、透光性絶縁基板1上に、第1電極層となる透明電極層2、ポテンシャル制御層3、薄膜半導体層である光電変換層4、裏面透明導電層5、第2電極層となる裏面電極層6がこの順で積層されている。
透光性絶縁基板1は、ガラスや透明樹脂、プラスチック、石英などの種々の透光性を有する絶縁基板が用いられる。
透明電極層2は、ZnOを主成分とする透明導電性材料(TCO)によって構成される。また、ZnOを主成分とするTCOはAl、Ga、B、Sb、F等から選択した少なくとも1種類以上の元素を添加した透光性膜によって構成されてもよい。また、透明電極層2は、表面に凹凸が形成された表面テクスチャ構造を有していてもよいが必須ではない。この表面テクスチャ構造は、入射した太陽光を散乱させ、光電変換層4での光利用効率を高める機能を有する。
このような透明電極層2は、スパッタリング法、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ゾルゲル法、電子ビーム堆積法、原子層堆積法、印刷法、スプレー法等の種々の方法により作製することができる。透明電極層2は、製膜条件によっては自己組織的に凹凸構造が形成される場合もあるが、製膜後に希釈塩酸(HCl)等の酸もしくはアルカリ溶液を用いたウェットエッチングにより凹凸構造を形成してもよい。
光電変換層4は、pin接合を有するシリコン系薄膜半導体層からなり、透光性絶縁基板1の主面に略平行なp型半導体層4a、i型半導体層4bおよびn型半導体層4cが順次積層されたpin半導体接合を含んでいる。ここで、シリコン系薄膜半導体層は、シリコン半導体、または炭素、ゲルマニウム、酸素またはその他の元素の少なくとも1つが添加された薄膜から構成することができる。この光電変換層4は、たとえばプラズマCVD法、熱CVD法等を用いて堆積形成される。
また、i型半導体層4bは、非晶質シリコン、非晶質酸化シリコン、非晶質炭化シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、微結晶シリコン、微結晶酸化シリコン、微結晶炭化シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、単結晶半導体、多結晶半導体のうちのいずれか1つからなる半導体層を有することが好ましい。i型半導体層4bが、これらの材料からなる半導体層を有することで、効率の良い光電変換を行うことができる。
また、光電変換層4における各層の接合特性を改善するために、p型半導体層4aとi型半導体層4bとの間、i型半導体層4bとn型半導体層4cとの間に、各接合層のバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する非単結晶シリコン(Si)層、非単結晶炭化シリコン(Si1−x)層、非単結晶酸化シリコン(Si1−x)層、非単結晶シリコンゲルマニウム(SiGe1−x)層等の半導体層を介在させてもよい。
すなわち、p型半導体層4aとi型半導体層4bとの間には、p型半導体層4aとi型半導体層4bのバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する非単結晶シリコン(Si)層、非単結晶炭化シリコン(Si1−x)層、非単結晶酸化シリコン(Si1−x)層、非単結晶シリコンゲルマニウム(SiGe1−x)層等の半導体層を介在させてもよい。同様に、i型半導体層4bとn型半導体層4cとの間には、i型半導体層4bとn型半導体層4cのバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する非単結晶シリコン(Si)層、非単結晶炭化シリコン(Si1−x)層、非単結晶酸化シリコン(Si1−x)層、非単結晶シリコンゲルマニウム(SiGe1−x)層等の半導体層を介在させてもよい。
ポテンシャル制御層3は、透明電極層2とp型半導体層4aとの間に挟まれた層であり、透明電極層2とp型半導体層4aとが直接接合された場合よりも、界面でのポテンシャル障壁を低下させる機能を有する。このようなポテンシャル制御層3は、透明電極層2よりも電子の感じるポテンシャルエネルギー(以下、ポテンシャルエネルギーと呼ぶ場合がある)が大きい。ここで、たとえば金属のように荷電子帯の最上端のエネルギーとフェルミ準位が一致している場合には、電子の感じるポテンシャルエネルギーは、仕事関数ということになる。また、たとえば半導体のように荷電子帯の最上端のエネルギーとフェルミ準位が異なる場合には、電子の感じるポテンシャルエネルギーは、イオン化ポテンシャルということになる。すなわち、本実施の形態では、透明電極層2よりも大きいポテンシャルエネルギーを有するポテンシャル制御層3を透明電極層2とp型半導体層4aとの間に備えることにより、p型半導体層4aのフェルミ準位は電子エネルギーの低い側に曲げられ、透明電極層2とp型半導体層4aとの間のポテンシャル障壁が低下する。これにより、透明電極層2とp型半導体層4aとの間の電気的接合特性を向上させることができ、また、光電変換層4の内蔵電位が増大する。その結果、薄膜光電変換装置の開放端電圧(Voc)とフィルファクタ(FF)とを向上させることができるため、薄膜光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
ポテンシャル制御層3は、透明電極層2と同様にZnOを主成分とし、ZnO(ポテンシャル制御層3)の電子の感じるポテンシャルエネルギー(仕事関数またはイオン化ポテンシャル)を高める(大きくする)効果を有する1種類以上の元素を添加した材料によって構成されることが好ましい。このように、透明電極層2と同様にZnOを主成分とすることにより、透明電極層2とポテンシャル制御層3との間の接合特性が良好となるため、透明電極層2、ポテンシャル制御層3、およびp型半導体層4aの間の電気的接合特性がより高まる。このような材料としては、たとえばGaをドープしたマグネシウム添加ZnO(Zn1−xMgO(0.1≦x≦0.5))が挙げられる。ポテンシャル制御層3の材料としてZn1−xMgO(0.1≦x≦0.5)を用いることにより、透明電極層2とポテンシャル制御層3との間の接合特性の改善効果が確実に得られる。また、Mg組成比(x)を上記の範囲とすることにより、上記の改善効果がより確実に得られる。Mg組成比(x)をx>0.5とすると、Zn1−xMgOがZnMgOとMgOとに分離してしまい、Zn1−xMgOの導電率が著しく低下するため、透明電極層2とポテンシャル制御層3との間の接合特性が悪化する。
しかしながら、透明電極層2とp型半導体層4aとを直接接合させるよりも界面のポテンシャル障壁を低下させることが重要であるため、これを達成する材料であれば例えばSnO、酸化インジウム(In)、酸化チタン(TiO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化ニオビウム(Nb)の少なくとも1つ以上を主成分とする材料であってもよい。以下では、ポテンシャル障壁を低下させるために特に有望であると考える、ZnOを主成分とするポテンシャル制御層3について述べる。
ポテンシャル制御層3(ZnO)の電子の感じるポテンシャルエネルギー(仕事関数またはイオン化ポテンシャル)を高めるための添加元素としては、たとえばマグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、マンガン(Mn)等から1種類以上が選択される。その中でも、MgはZnとイオン半径がほぼ同じ(Mg2+イオン半径:0.57Å、Zn2+イオン半径:0.60Å)であり、比較的高いキャリア移動度を有する膜が得られるため、好ましい。
また、ポテンシャル制御層3は、膜中にキャリアを発生させ導電率を低下させるため、ポテンシャル制御層3(ZnO)の電子の感じるポテンシャルエネルギーを高める上記の元素に加え、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、アンチモン(Sb)、フッ素(F)等から選択した少なくとも1種類以上の元素も添加した材料によって構成されてもよい。ただし、ポテンシャル制御層3は、透明電極層2とp型半導体層4aとの間の電気伝導に寄与し、その電気伝導は膜厚方向(基板に垂直な方向)である。膜面方向(基板に平行な方向)の電気伝導は主に透明電極層2が担っているため、ポテンシャル制御層3は膜厚方向に十分な導電性を有していればよく、膜面方向には必ずしも導電性を持たなくてもよい。
ポテンシャル制御層3の電子の感じるポテンシャルエネルギー(仕事関数またはイオン化ポテンシャル)は、ポテンシャル増大材料の添加量が多いほど高くなる。ポテンシャル制御層3の電子の感じるポテンシャルエネルギー(仕事関数またはイオン化ポテンシャル)が高いほど、透明電極層2とp型半導体層4aとの間のポテンシャル障壁は低下し、電気的接合特性は良好となる傾向があるため、薄膜光電変換装置の開放端電圧(Voc)とフィルファクタ(FF)とが向上する。
ただし、ポテンシャル増大材料の添加量を多くしすぎると、ポテンシャル制御層3の膜厚方向の導電率が低下し、薄膜光電変換装置のフィルファクタ(FF)を低下させる可能性がある。この導電率低下によるフィルファクタ(FF)の低下量が、ポテンシャル障壁低下によるフィルファクタ(FF)の向上量を上回ると、薄膜光電変換装置のフィルファクタ(FF)が低下することになる。実際には、ポテンシャル制御層3の膜厚方向の導電率を同定することは難しく、最適なポテンシャル増大材料の添加量はp型半導体層4aにより異なる。このため、薄膜光電変換装置の光電変換効率が最大となるように添加量と膜厚とを調整する必要がある。
このようなポテンシャル制御層3は、スパッタリング法、MOCVD法、ゾルゲル法、電子ビーム堆積法、原子層堆積法、印刷法、スプレー法等の種々の方法により作製することができる。例えば、スパッタリング法を用いて、GaドープZn1−xMgO(0.1≦x≦0.5)を作製する場合は、GaドープZnOターゲットと酸化マグネシウム(MgO)ターゲットとを用いた同時スパッタリング法を用い、各ターゲットに印加する電力を制御することにより所望のZn:Mg組成比を有するGaドープZn1−xMgO膜を成膜することができる。
また、MOCVD法であれば、Zn系材料の成膜ガスとMg系材料の成膜ガスとのガス流量比を制御することにより、所望のZn:Mg組成比を有する膜を成膜することができる。このとき、上記透明電極層2と同様に、製膜条件によっては自己組織的に凹凸構造が形成される場合もあるが、製膜後に希釈塩酸(HCl)等の酸もしくはアルカリ溶液を用いたウェットエッチングにより凹凸構造を形成してもよい。この凹凸構造は、透明電極層2またはポテンシャル制御層3のどちらか一方、もしくは透明電極層2とポテンシャル制御層3の両方に形成されていることが好ましい。
裏面透明導電層5は、ZnO、ITO、SnO、Inのうちの少なくとも1種を含むTCOによって構成される。また、これらのTCOにAl、Ga、B等から選択した少なくとも1種類以上の元素を添加した膜などの透光性膜によって構成されてもよい。裏面透明導電層5は、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、原子層堆積法、CVD法、低圧CVD法、MOCVD法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法等により形成される。
裏面電極層6は、高反射率および導電性を有する、銀(Ag)、Al、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、パラジウム(Pr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)等から選択した少なくとも1種類以上の元素または合金からなる層により構成される。なお、これらの裏面電極層6の高反射率および導電性材料としての具体的材料は特に限定されるものではなく、周知の材料から適宜選択して用いることができる。
次に、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の製造方法について図2−1〜図2−4を参照して説明する。図2−1〜図2−4は、本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置の製造方法を説明するための断面図である。まず、透光性絶縁基板1を用意する。透光性絶縁基板1は、例えば、ガラスや透明樹脂、プラスチック、石英などの種々の透光性を有する絶縁物で形成されたものを用いる。
つぎに、透光性絶縁基板1上に透明電極層2を公知の方法で形成する。たとえば、透光性絶縁基板1上にTCOからなる透明電極層2をスパッタリング法により形成する。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。そして、透明電極層2の製膜後に、希釈塩酸(HCl)等の酸もしくはアルカリ溶液を用いたウェットエッチングにより透明電極層2の表面に凹凸構造を形成する(図2−1)。
次に、透明電極層2上にポテンシャル制御層3として、たとえばAl原子をドープしたZnOターゲットとMgOターゲットを用いた同時スパッタリング法により、ZnOを主成分としたAlドープZn1−xMgO膜を形成する(図2−2)。ここで、ポテンシャル制御層3の表面も、透明電極層2の表面の凹凸構造に沿った凹凸構造とされる。また、これ以降に形成される各層の表面も透明電極層2の表面の凹凸構造に沿った凹凸構造とされる。
この場合は、透明電極層2の表面に凹凸構造を形成することで、ポテンシャル制御層3の形成工程においては特に凹凸構造の形成を行わなくても光電変換層4での光利用効率を高める表面テクスチャ構造が得られる。また、透明電極層2の表面には凹凸構造を形成せずに、ポテンシャル制御層3の表面に凹凸構造の形成を行ってもよい。この場合も、光電変換層4での光利用効率を高める表面テクスチャ構造が得られる。また、透明電極層2の形成工程およびポテンシャル制御層3の形成工程のそれぞれにおいて、各表面に凹凸構造を形成してもよい。
次に、ポテンシャル制御層3上に光電変換層4としてp型半導体層4a、i型半導体層4b、およびn型半導体層4cをプラズマCVD法により順次積層形成する(図2−3)。
次に、光電変換層4上に裏面透明導電層5を公知の方法で形成する。たとえば光電変換層4上にTCOからなる裏面透明導電層5をスパッタリング法により形成する(図2−4)。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。
次に、裏面透明導電層5上に裏面電極層6を公知の方法で形成する。例えば、裏面透明導電層5上に高反射率を有するAg膜からなる裏面電極層6をスパッタリング法により形成する(図2−4)。以上の処理により、図1に示す本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置が得られる。
上述した本実施の形態にかかる薄膜光電変換装置においては、透明電極層2と光電変換層4との間に、透明電極層2よりも電子の感じるポテンシャルエネルギー(仕事関数またはイオン化ポテンシャル)が高く、透明電極層2とp型半導体層4aとが直接接合された場合よりも界面でのポテンシャル障壁を低下させる機能を有するポテンシャル制御層3を備える。これにより、透明電極層2とp型半導体層4aとの間の電気的接合特性を向上させることができ、薄膜光電変換装置の開放端電圧(Voc)とフィルファクタ(FF)とを向上させることができるため、薄膜光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
したがって、本実施の形態によれば透明電極層2とp型半導体層4aとの間に良好な電気的接合特性を有し、光電変換効率に優れた薄膜光電変換装置を実現することができる。
なお、上記においては1つの光電変換層4を備える薄膜光電変換装置について説明したが、光電変換層4が2つ以上積層されたタンデム型の薄膜光電変換装置にも適用可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(比較例)
比較例では、ポテンシャル制御層3を備えていない従来の薄膜光電変換セルを作製した。まず、透光性絶縁基板1として、厚さ5mmのガラス基板を使用した。ガラス基板上に、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚1μmで成膜し、薬液として0.5wt%に希釈された塩酸を用いてエッチング処理を60秒間実施することにより、表面に凹凸構造を有する透明電極層2を形成した。
次に、透明電極層2上に、光電変換層4として、膜厚20nmのp型微結晶Si膜、膜厚3μmのi型微結晶Si膜、膜厚30nmのn型微結晶Si膜をプラズマCVD法により積層した。
次に、裏面透明導電層5として、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚100nmで成膜した。次に、裏面透明導電層5上に、Ag膜をスパッタリング法で膜厚500nmに成膜して裏面電極層6を形成した。以上により、ポテンシャル制御層3を備えていない比較例の薄膜光電変換セルを作製した。
作製した比較例の薄膜光電変換セルのセル特性を評価した結果、光電変換効率(η)は6.6%、短絡電流密度(Jsc)は21.1mA/cm、開放端電圧(Voc)は0.48V、フィルファクター(FF)は0.65であった。
(実施例)
実施例では、上述した実施の形態にかかる薄膜光電変換装置としてポテンシャル制御層3を備えた薄膜光電変換セルを作製した。実施例の薄膜光電変換セルは、比較例の薄膜光電変換セルと比較して、Al原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnOにMgを添加したAlドープZn1−xMgO膜からなるポテンシャル制御層3が透明電極層2と光電変換層4との間に存在するという点のみが異なる。
まず、透光性絶縁基板1として、厚さ5mmのガラス基板を使用した。ガラス基板上に、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚1μmで成膜し、薬液として0.5wt%に希釈された塩酸を用いてエッチング処理を60秒間実施することにより、表面に凹凸構造を有する透明電極層2を形成した。
次に、透明電極層2上にポテンシャル制御層3として、Al原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnOターゲットとMgOターゲットを用いた同時スパッタリング法により、膜厚100nmのAlドープZn1−xMgOを形成した。このとき、ポテンシャル制御層3のZn:Mgの組成比が0.8:0.2となるように、スパッタリング時の各ターゲットへの投入電力比を調整した。
次に、ポテンシャル制御層3上に光電変換層4として、膜厚20nmのp型微結晶Si膜、膜厚3μmのi型微結晶Si膜、膜厚30nmのn型微結晶Si膜をプラズマCVD法により積層した。
次に、裏面透明導電層5として、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚100nmで成膜した。次に、裏面透明導電層5上に、Ag膜をスパッタリング法で膜厚500nmに成膜して裏面電極層6を形成した。以上により、ポテンシャル制御層3を備える実施例の薄膜光電変換セルを作製した。
作製した実施例の薄膜光電変換セルのセル特性を評価した結果、変換効率(η)は7.6%、短絡電流密度(Jsc)は21.3mA/cm、開放端電圧(Voc)は0.51V、フィルファクター(FF)は0.70であった。
実施例と比較例とのセル特性を比較することにより、実施例の薄膜光電変換セルは主に開放端電圧(Voc)とフィルファクター(FF)が増大したことにより、光電変換効率(η)が向上したことがわかる。したがって、透明電極層2と光電変換層4との間にポテンシャル制御層3を備えることにより、薄膜光電変換セルの光電変換効率(η)の向上を図ることができる、といえる。
なお、上記の実施の形態で説明した構成を有する薄膜光電変換セルを透光性絶縁基板上に複数形成し、隣接する薄膜光電変換セル同士を電気的に直列または並列に接続することにより、透明導電膜とp型半導体層との間に良好な電気的接合特性を有し、光電変換効率に優れた薄膜光電変換モジュールが実現できる。この場合は、たとえば隣接する薄膜光電変換セルの一方の透明導電膜と他方の裏面電極層とを電気的に接続すればよい。
以上のように、本発明にかかる薄膜光電変換装置は、透明導電膜と光電変換層との間に良好な電気的接合特性を有する光電変換効率に優れた薄膜光電変換装置の実現に有用である。
1 透光性絶縁基板
2 透明電極層
3 ポテンシャル制御層
4 光電変換層
4a p型半導体層
4b i型半導体層
4c n型半導体層
5 裏面透明導電層
6 裏面電極層

Claims (15)

  1. 透光性絶縁基板上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜と、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とが前記透明導電膜側から順次積層されてなり光電変換を行う光電変換層と、導電膜からなる裏面電極層とをこの順で有し、
    前記透明導電膜と前記p型半導体層との間に、前記透明電極層よりも電子の感じるポテンシャルエネルギーが高いポテンシャル制御層を備えること、
    を特徴とする薄膜光電変換装置。
  2. 前記ポテンシャル制御層は、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化モリブデンおよび酸化ニオビウムのうちのいずれか1つ以上を主成分とすること、
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜光電変換装置。
  3. 前記ポテンシャル制御層は、マグネシウムが添加された酸化亜鉛(Zn1−xMgO)を主成分とすること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置。
  4. 前記ポテンシャル制御層は、マグネシウムが添加された酸化亜鉛(Zn1−xMgO)を主成分とし、Mg組成比(x)が0.1以上であること、
    を特徴とする請求項3に記載の薄膜光電変換装置。
  5. 前記i型半導体層が、非晶質シリコン、非晶質酸化シリコン、非晶質炭化シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、微結晶シリコン、微結晶酸化シリコン、微結晶炭化シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、単結晶半導体、多結晶半導体のうちのいずれか1つからなる半導体層を有すること、
    を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薄膜光電変換装置。
  6. 透光性絶縁基板上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜と、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とが前記透明導電膜側から順次積層されてなり光電変換を行う光電変換層と、導電膜からなる裏面電極層とをこの順で積層する薄膜光電変換装置の製造方法であって、
    前記透明導電膜と前記p型半導体層との間に、前記透明電極層よりも電子の感じるポテンシャルエネルギーが大きいポテンシャル制御層を形成する工程を有すること、
    を特徴とする薄膜光電変換装置の製造方法。
  7. 前記ポテンシャル制御層は、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化モリブデンおよび酸化ニオビウムのうちのいずれか1つ以上を主成分とすること、
    を特徴とする請求項6に記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  8. 前記ポテンシャル制御層は、マグネシウムが添加された酸化亜鉛(Zn1−xMgO)を主成分とすること、
    を特徴とする請求項6または7に記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  9. 前記ポテンシャル制御層は、マグネシウムが添加された酸化亜鉛(Zn1−xMgO)を主成分とし、Mg組成比(x)が0.1以上であること、
    を特徴とする請求項8に記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  10. 前記ポテンシャル制御層は、スパッタリング法または化学気相成長法により形成されること、
    を特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  11. 前記ポテンシャル制御層は、材料の異なる2つ以上のスパッタリングターゲットを用いた同時スパッタリング法により形成されること、
    を特徴とする請求項10に記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  12. 前記透明電極層を形成する工程では、前記透明電極層の表面に凹凸を形成する工程を含まず、
    前記ポテンシャル制御層を形成する工程では、前記ポテンシャル制御層の表面に凹凸を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする請求項6〜11のいずれか1つに記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  13. 前記透明電極層を形成する工程では、前記透明電極層の表面に凹凸を形成する工程を含み、
    前記ポテンシャル制御層を形成する工程では、前記ポテンシャル制御層の表面に凹凸を形成する工程を含まないこと、
    を特徴とする請求項6〜11のいずれか1つに記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  14. 前記透明電極層を形成する工程および前記ポテンシャル制御層を形成する工程は、それぞれ表面に凹凸を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする請求項6〜11のいずれか1つに記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  15. 請求項1〜5に記載の薄膜光電変換装置の少なくとも2つ以上が電気的に接続されていること、
    を特徴とする薄膜光電変換モジュール。
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