JP2012246213A - 電子機器用カバーガラスのガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

電子機器用カバーガラスのガラス基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板の表面の活性化に伴う電子機器用カバーガラスのガラス基板の強度低下の抑制方法を提供する。
【解決手段】金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍において、前記金属酸化物の金属イオンαを、前記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβで置換する置換工程と、前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、前記置換工程後、表面失活用イオンγの注入処理を施す注入工程と、を有し、前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンγのイオン濃度を、前記金属イオンβのイオン濃度以下とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、電子機器用カバーガラスのガラス基板及びその製造方法に関し、特に化学強化された電子機器用カバーガラスのガラス基板及びその製造方法に関する。
携帯電話などのように、液晶パネル、有機ELパネル等の画像表示パネルを備えた携帯型電子機器では、画像表示パネルを保護するために、ディスプレイ用カバーガラスや携帯電子機器等の筐体用ガラスのような電子機器用カバーガラス(以降、これらを総称してMCGとも言う。)が設けられる。
このようなMCGは、例えば、次のように作製される。まず、金属酸化物を含有するガラス基板を所定形状に切断して、小片化された板状のガラス基板を作製する。
次に、この小片化されたガラス基板を熔融塩に浸漬する。この熔融塩には、例えば、ガラス基板が含有する金属酸化物の金属イオンNaよりも大きな半径を有する金属イオンKが含まれている(図2(a))。ガラス基板をこの熔融塩に浸漬させることにより、ガラス基板の表面近傍において、金属イオン同士の交換が行われる。そうすると、ガラス基板の表面近傍にはイオン半径が比較的大きな金属イオンKが多く存在することになる(図2(b))。その結果、ガラス基板の表面近傍には、熔融塩への浸漬前に比べて圧縮応力を向上させた層が形成されることになる。
この技術の呼び方として、本願明細書においては、圧縮応力を向上するという機能面を考慮して「化学強化」とも言う。また、上記の工程の呼び方については「置換工程」または「イオン交換工程」とも言う。
この置換工程の後、化学強化されたガラス基板の表面を水や水溶液で洗浄する。そして、化学強化されたガラス基板の表面に、必要に応じて、反射防止膜等の各種の機能膜を成膜する。
このようにして、MCGは形成されている。この技術について開示している具体的な先行技術文献としては、特許文献1〜3が既に知られている。
一方、置換工程の後に洗浄を行うと、化学強化の際のイオン交換によりガラス基板の表面近傍に多数存在する金属イオンKが、Kよりもイオン半径が小さいヒドロニウムイオンとイオン交換されてしまう。そうすると、ガラス基板の表面近傍にはヒドロニウムイオンにより水和層が形成されてしまう。
この水和層には引張応力が働いており、圧縮応力を向上させた層を化学強化により形成したとしても、効果が相殺されてしまうことになり、その結果、MCGの強度を低下させることになるおそれがある。
そこで、本出願人は、置換工程の後、化学強化されたガラス基板の表面近傍において、Kが過度に存在する部分をエッチング処理して除去するという技術を見出した(例えば特許文献4参照)。この技術について具体的に言うと、Kが過度に存在する部分を除去し、予めKの存在数を減らすことにより、そもそもヒドロニウムイオンとのイオン交換の機会を減らす。それにより、引張応力が働く水和層の形成を抑制することができ、その結果、MCGにおいて高強度を発揮させることができる。
特開2007−99557号公報 国際公開番号WO2009/078406号公報 特開2009−167086号公報 特開2010−168270号公報 特開平8−180402号公報
一方、化学強化されたガラス基板の表面近傍に対してエッチング処理を行うと、ガラス基板の表面は除去されていき、それに伴い、これまでエッチング液やエッチングガスに触れていなかった新生面がガラス基板に形成されていくことになる。
この新生面は、例えば略ゲル状の状態になっており、新生面近傍においてはイオン拡散が激しい状態(以降、この状態を「活性状態」とも言い、「表面が活性化されている」とも言う。)となっている。このままだと、上記の状態をいくらか保持したまま、反射防止膜等の各種の機能膜を成膜する工程を行うことになる。しかしながらその工程の最中において、イオン拡散が激しい状態が維持され、Naがガラス基板の表面近傍に過度に移動するおそれがある。その結果、ガラス基板の表面にヤケが生じたり、そのせいで応力緩和が発生したり、ガラス基板の強度が低下したりするおそれがある。
なお、ガラス基板の表面状態における耐候性を向上させる技術として、MCGについての技術ではなく、磁性記録媒体用のガラス基板についての技術が知られている(例えば特許文献5参照)。この技術は、化学強化後の磁性記録媒体用のガラス基板のKがガラス基板から溶出するのを抑制する技術である。
この技術について、磁気記録媒体用のガラス基板の表面部分を記載した図6を用いて具体的に説明する。
まず、磁気記録媒体用のガラス基板を化学強化すべくガラス基板中のNaと熔融塩中のKとの置換工程を行った後、ガラス基板を温水中に浸漬させることにより脱アルカリ金属処理を行っている(図6(a))。この脱アルカリ金属処理により除去されたKの存在を埋めるべく、イオン半径がKよりも小さいZn2+をガラス基板の表面近傍に多量に注入している(図6(b))。このZn2+の注入により、Zn2+がK溶出のバリヤー層(いわば蓋)になる、という技術である。
なお、図6(c)には、ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係を記載している。これを見ると、Kが除去された状況下で、Zn2+が蓋の代わりとなるべく、表面近傍においてはZn2+が多量に存在していることがわかる。
ところが、脱アルカリ金属処理によりKが除去され、イオン半径がNaよりも小さなZn2+がこれほど多量に注入されると、化学強化により折角獲得した圧縮応力が結局元に戻るか、化学強化前よりも劣化してしまう可能性も否定できない。
それに加え、特許文献5に記載の磁気記録媒体用のガラス基板に対し、本願発明の用途の一つであるMCG特有の静圧強度試験(詳細は実施例の項目にて詳述)を行った場合、その劣化が顕著になるおそれもある。
そこで本発明の目的は、ガラス基板の表面の活性化に伴う電子機器用カバーガラスのガラス基板の劣化を抑制することにある。
本発明者は、上述の目的を達成できる電子機器用カバーガラスのガラス基板及びその製造方法について検討した。その際、Kが過度に存在する部分をエッチング処理にて除去することにより、なぜ新生面が活性化させるのかについて検討した。
本発明者らが検討を重ねた結果、活性化の要因の中で主となるのは、ガラス基板中のSiに結合した水酸基(以降、OH基と言う。)であるという知見を得た。即ち、OH基が存在することに主として起因して、ガラス基板中のイオン拡散が過度に引き起こされているという知見を得た。その知見に基づき、本発明者は、OH基がイオン拡散に寄与できない状態にすることにより、ガラス基板の表面の活性化を抑制するという手段を想到した。
なお、本明細書において「電子機器用カバーガラス(即ちMCG)」は、最終的に電子機器に装着自在な状態となっているガラス基板のことを指す。また、「ガラス基板」とは、MCGとなる前の状態のガラス製の基板のことを指す。
以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の形態は、
金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍において、前記金属酸化物の金属イオンαを、前記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβで置換する置換工程と、
前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、表面失活用イオンγの注入処理を施す注入工程と、
を有し、
前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンγのイオン濃度を、前記金属イオンβのイオン濃度以下とすることを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法である。
本発明の第2の形態は、第1の形態に記載の発明であって、
前記金属イオンαはNaであり、前記金属イオンβはKであり、前記表面失活用イオンγはZn2+であることを特徴とする。
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態に記載の発明であって、
前記置換工程と前記注入工程の間に、前記化学強化層の一部であって、表面近傍に位置する部分を除去する除去工程を更に有することを特徴とする。
本発明の第4の形態は、第1ないし第3の形態のいずれかに記載の発明であって、
前記置換工程と前記注入工程の間に、前記化学強化層に対して酸洗浄を行う酸洗浄工程を更に有することを特徴とする。
本発明の第5の形態は、
金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍において、前記金属酸化物の金属イオンNaを金属イオンKで置換する置換工程と、
前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、表面近傍に位置する部分をエッチングにより除去する除去工程と、
前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、酸洗浄を行う酸洗浄工程と、
前記除去工程及び前記酸洗浄工程後、前記化学強化層に対し、表面失活用イオンZn2+の注入処理を施す注入工程と
を有し、
前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンZn2+のイオン濃度を、前記金属イオンKのイオン濃度以下とすることを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法である。
本発明の第6の形態は、
金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層は、
前記金属酸化物の金属イオンαと、
前記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβと、
前記ガラス基板の表面を失活させるための表面失活用イオンγと
を含み、
前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンγのイオン濃度が、前記金属イオンβのイオン濃度以下であることを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板である。
本発明によれば、ガラス基板の表面の活性化に伴う電子機器用カバーガラスのガラス基板の劣化を抑制することができる。
本実施形態による電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法を工程順に示す図であり、(a)ないし(i)は、その断面概略図である。 図1(b)で行われている置換工程でのイオン交換の様子を示す、ガラス基板の表面部分の概略断面図である。 図1(c)で行われている除去工程の様子を示す、ガラス基板の表面部分の概略断面図である。 図1(d)で行われている注入工程において行われる架橋の様子を示す図である。 本実施形態における、電子機器用カバーガラスのガラス基板の表面部分の概略断面図(図5(a)(b))と、電子機器用カバーガラスのガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係を記載した図(図5(c))である。 特許文献5に記載の技術における、磁気記録媒体用のガラス基板の表面部分の概略断面図(図6(a)(b))と、磁気記録媒体用のガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係を記載した図(図6(c))である。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態においては、電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法の基本工程を示す図として初めに図1を用い、次の順序で説明を行う。なお各図に共通の部分は、同じ符号を使用している。
1.電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法
A)ガラス基板の準備工程
B)化学強化のための置換工程
C)エッチングによる除去工程
D)表面失活用イオンの注入工程
E)レジスト層の形成工程
F)レジスト層に対するパターニング工程
G)エッチングによる切断工程
H)加飾層の形成工程
I)端面処理工程
2.MCGについての説明
3.実施の形態による効果
なお、変形例については実施の形態2〜4に記載する。
<1.電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法>
A)ガラス基板の準備工程
まず、本実施形態における工程全体の概略について述べる。本実施形態において、図1(a)のガラス基板1の表面近傍には、ガラス基板1の一部として化学強化層2が形成される。その後、化学強化層2の主表面を失活させてから、ガラス基板1は所定の外周形状に切断される。その切断された各ガラス基板1の化学強化層2(ひいては表面失活用イオン注入層3)を覆うように、加飾層5が設けられることとなる。
本実施形態のガラス基板1を構成するガラス材料としては、イオン交換処理が可能なアルカリ金属酸化物を含むガラス材料であれば如何様なガラス材料でも利用できる。ガラス材料について例示をするならば、
(1)ダウンドロー法等を利用した板状のガラス基板1の作製に用いられるSiOと、Alと、LiOおよびNaOから選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物と、を含むアルミノシリケートガラス、
(2)フロート法等を利用した板状のガラス基板1の作製に用いられるソーダライムガラス、
など、公知のガラス材料を用いることが好適である。
なお、ダウンドロー法を利用して板状のガラス基板1を作製した場合、フロート法などと比較して、ガラス基板1の表面の傷が極めて少なくなり、平滑性においてもナノメータオーダの粗さに留まる。このため、ガラス基板1の作製時に主表面を形成するための鏡面研磨加工を省略することができる上に、主表面に存在するマイクロクラックの発生も極めて小さくできる。
また、ガラス基板1は、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどで構成されていることが好ましい。中でも、ガラス基板1は、SiO、Al、LiO及びNaOからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることが好ましい。
特に、アルミノシリケートガラスは、以下の化合物を以下の範囲で含有することが好ましい。
SiO :62wt%〜75wt%
Al:5wt%〜15wt%
LiO :0wt%〜8wt%
NaO :4wt%〜16wt%
ZrO :0wt%〜12wt%
MgO :0wt%〜6wt%
SiOは、ガラス骨格を形成する主要成分である。SiOの割合は、化学的耐久性や、熔融温度を考慮すると、62wt%〜75wt%であることが好ましい。
Alは、ガラス表面のイオン交換性能を向上させるため含有される。Alの割合は、化学的耐久性などを考慮して、5wt%〜15wt%であることが好ましい。
LiOは、ガラス基板1の表面近傍において、Naとイオン交換されることになるLiの元となる成分である。LiOの割合は、イオン交換性能や、化学的耐久性を考慮して、0wt%〜8wt%であることが好ましい。
NaOも同様に、ガラス基板1の表面近傍において、Kとイオン交換されることになるNaの元となる成分である。NaOの割合は、機械的強度や、化学的耐久性を考慮して、4wt%〜16wt%であることが好ましい。
ZrOは、機械的強度を高める効果がある。ZrOの割合は、化学的耐久性や、均質なガラスを安定して製造することを考慮して、0wt%〜12wt%であることが好ましい。
MgOも同様に、機械的強度を高める効果がある。MgOの割合は、化学的耐久性や、均質なガラスを安定して製造することを考慮して、0wt%〜6wt%であることが好ましい。
B)化学強化のための置換工程
化学強化のための置換工程では、図1(b)に示すように、1種以上のアルカリ金属を含むガラス基板1を、1種以上のアルカリ金属を含む熔融塩と接触させる。これにより、イオン交換処理を行う。この置換工程では、通常、ガラス基板1を熔融塩中に浸漬することで、ガラス基板1の両面をイオン交換処理する。もちろん、片面を保護した状態で、もう片面のみに対してイオン交換処理を行っても構わない。以降、「主表面」とは、ガラス基板の外表面の少なくとも一部のことを言う。また、「表面近傍」とは、「主表面」を含むガラス基板の少なくとも一部の層状の領域のことを言う。
ここで、このイオン交換処理に関して、図1(b)で行われている置換工程でのイオン交換の様子を示す図2を用いて、再度説明する。
上記の熔融塩には、例えば、ガラス基板1が含有する金属酸化物の金属イオンα(ここではNa)よりも大きな半径を有する金属イオンβ(ここではK)が含まれている(図2(a))。ガラス基板1をこの熔融塩に浸漬させることにより、ガラス基板1の表面近傍において、金属イオン同士の交換が行われる。そうすると、ガラス基板1の表面近傍にはイオン半径が比較的大きな金属イオンKが多く存在することになる(図2(b))。
つまり、金属酸化物を含有するガラス基板1の表面近傍において、上記金属酸化物の金属イオンαを、上記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβで置換することになる。その結果、ガラス基板1の表面近傍には、熔融塩への浸漬前に比べて圧縮応力を向上させた層が形成されることになる。
なお、本実施形態における「化学強化層2」とは、ガラス基板1の一部であって、ガラス基板1の表面近傍に位置する化学強化された部分のことを指す。それと共に、金属イオンαの元となる化合物が含有されており、その金属イオンαが金属イオンβにより置換された部分であって、圧縮応力を向上させた部分のことを指す。
ここで金属イオンαとβの種類であるが、上記のようなイオン半径の大きさの関係を有していれば特に限定されない。ただ、金属イオンαは、ガラス基板1に元々含有されている化合物に由来するものが好ましい。具体的な金属イオンαとしては、例えばアルカリ金属イオン、特にその中でもLiやNaが挙げられる。本実施形態においては、金属イオンαをNaとした場合について述べる。
そして、金属イオンβは、ガラス基板1に元々含有されていない、又は、含有されていたとしても少量の化合物に由来するものが好ましい。イオン交換を行ったときに、化学強化層2において圧縮応力が、置換工程前後で飛躍的に向上するためである。具体的な金属イオンβとしては、例えばアルカリ金属イオン、特にその中でもKが挙げられる。本実施形態においては、金属イオンβをKとした場合について述べる。
なお、熔融塩の組成、熔融塩の温度、及び浸漬時間は、ガラス基板1の組成や、ガラス基板1における圧縮応力が向上された化学強化層2の厚み等に応じて適宜選択できる。たとえば、ガラス基板1の組成が、上述したアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスであれば、熔融塩の組成、熔融塩の温度、及び浸漬時間としては、一般的には、下記に例示する範囲から選択することが好ましい。
(1)熔融塩の組成:硝酸カリウム、または、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混塩(2)熔融塩の温度:320℃〜470℃
(3)浸漬時間:3分〜600分
なお、この置換工程は、硝酸カリウム及び/又は硝酸ナトリウムの熔融塩を用いてガラス基板1を構成する材料のガラス点移転以下の温度で行われることが好ましい。このような低温での化学強化を行うことにより、表層面のアルカリイオンをイオン半径の大きなイオンと交換することができる。
なお、ガラス基板1を化学強化した後、ガラス基板1に付着している熔融塩やその他の付着物を取り除くために、ガラス基板1を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、水などの洗浄液で洗い流す方法や、洗浄液に浸漬する浸漬法、洗浄液を流しながら回転するロール体をガラス基板1に接触させるスクラブ洗浄法などを利用することができる。浸漬法では、洗浄液に超音波を印加した状態で実施してもよい。
化学強化層2のサイズについてであるが、一例を挙げると、厚さ0.5mm〜1.1mmのガラス基板1を用いた場合、この化学強化層2は、ガラス基板1の主表面から厚さ方向に30〜150μmの範囲で層状に形成される。
C)エッチングによる除去工程
化学強化のための置換工程の後、図1(c)に示すように、化学強化によりガラス基板1の表面近傍においてイオン交換がなされた化学強化層2の一部であって、最も表面に位置する部分をエッチングにより除去する除去工程を行う。
上記の除去工程を行う理由は、従来技術で説明した通りであるが、再度説明する。
まず、B)化学強化のための置換工程を行った後だと、上記化学強化層2の中でも、ガラス基板1の表面近傍(例えば、最表層から深さ数μmまでの領域)には、化学強化によりKのイオン濃度が非常に高い層が形成されている。
このようにKのイオン濃度が非常に高い層が存在する状態のガラス基板1を水や水溶液で洗浄すると、化学強化の際のイオン交換でせっかく化学強化層2に入れ込んだKが、このKよりも小さいイオン半径を有するヒドロニウムイオン(H)とイオン交換されてしまう。そのため、最も表面に近い部分は水和層となってしまう。
その結果、ガラス基板1の化学強化層2における表面近傍においては、洗浄により引張応力が働く水和層が形成されてしまう。
特に、この水和層の形成の傾向は、洗浄液に酸性溶液を用いると顕著となる。また、ダウンドロー法により成形されたガラス基板1は、プレス法により成形され、その後研磨加工されて得られたガラス基板1に比べてイオン交換が早く進行するので、この傾向が顕著となる。
そこで、図3に示すように、化学強化されたガラス基板1の表面近傍において、Kが過度に存在する部分(斜線部分)をエッチング処理して予め除去しておく。つまり、Kが過度に存在する部分を除去し、予めKの存在数を減らすことにより、そもそもヒドロニウムイオンとのイオン交換の機会を減らす。それにより、引張応力が働く水和層の形成を抑制することができ、その結果、MCGにおいて高強度を発揮させることができる。
なお、この化学強化層2の一部を除去する方法としては、エッチングや研磨加工などを挙げることができる。ただ、ガラス基板1を、熔融ガラスから直接シート状に成形する場合においては、主表面に傷を付けないようにするために、エッチングを選択することが好ましい。
が過度に存在する部分をエッチングにより除去する場合に用いる処理液は、フッ化水素酸、ヘキサフルオロケイ酸(HSiF)、及びバッファードフッ酸からなる群から選ばれた少なくとも一つを含有する溶液であることが好ましい。
この場合、エッチング温度は、20℃〜60℃、さらに好ましくは30℃〜50℃の範囲である。エッチング時間は、3分〜60分であることが好ましい。また、エッチングの際の処理形態としては、ガラス基板1をエッチング液に浸漬した状態でエッチング液をポンプで循環させる形態でも良く、ガラス基板1をエッチング液に浸漬した状態でガラス基板1を上下動させる形態でも良く、ガラス基板1にエッチング液をシャワー状に接触させる形態でも良い。
が過度に存在する部分をエッチングにより除去した後、ガラス基板1の表面には付着物が付着していることがあるので、かかる付着物を取り除くために、超音波を印加した状態でガラス基板1を洗浄しても良い。このときの洗浄液としては、水や硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が挙げられ、市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄剤など)を併用してもよい。
このようにして得られたガラス基板1は、化学強化されて圧縮応力を向上させた化学強化層2を有する。そして、その化学強化層2の表面近傍におけるK濃度は5000ppm以下となっている。即ち、ガラス基板1は、K濃度が5000ppmを超える化学強化層2の表面近傍の部分が除去されている。
なお、化学強化層2の表面近傍におけるK濃度が5000ppm以下となっていることは、以下の手法で判別できる。例えば、試料に電子線を照射し、照射部位から励起された各種の信号の中から任意の設定波長のX線を分光結晶で選別して検出器によって計測する波長分散型X線分析装置(WDX)や、試料に電子線を照射し、照射部位から励起された各種の信号全てを半導体検出器で増幅してエネルギー別に信号を振り分けるエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で測定することができる。その他の具体的な測定方法としては、2次イオン質量分析(SIMS)及びイオンクロマト(IC)が挙げられる。例えば、当該ガラス基板1を酸に溶解させて水溶液とした後に、当該水溶液をIC及び誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)等の機器を用いて表面に拡散した物質(Zn、K等)を分析しても良い。こうすることにより、化学強化層2の表面近傍におけるK濃度が5000ppm以下となっていることを確認できる。
D)表面失活用イオンの注入工程
が過度に存在する部分をエッチングにより除去した後、本実施形態においては、ガラス基板1の主表面(即ち化学強化層2の主表面)を失活させるべく、化学強化層2に対し、表面失活用イオンγの注入処理を施す注入工程を行う。本実施形態の主な特徴の一つが、この注入工程である。以下、詳述する。
まず、化学強化されたガラス基板1の表面近傍に対してエッチング処理を行うと、ガラス基板1の表面近傍(即ち化学強化層2における表面近傍の部分)は除去されていき、それに伴い、これまでエッチング液やエッチングガスに触れていなかった新生面がガラス基板1に形成されていくことになる。
この新生面は、例えば略ゲル状の状態になっており、新生面近傍においてはイオン拡散が激しい活性状態となっている。この活性状態のせいで、ガラス基板1の表面にヤケが生じたり、そのせいで応力緩和が発生したり、ガラス基板1の強度が低下したりするおそれがある。
そこで本発明者は、上記の化学強化層2の表面の活性化の要因の中で主となるのは、ガラス基板1中のSiに結合したOH基であるという知見を得た。即ち、OH基が存在することに主として起因して、ガラス基板1中のイオン拡散が過度に引き起こされているという知見を得た。
その知見に基づき、注入工程においては、化学強化層2に対して表面失活用イオンγ(例えばZn2+)の注入処理を施す。その際に、化学強化層2内では、上記ガラス基板1における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係(図5(c))において、上記表面失活用イオンγのイオン濃度を、上記金属イオンβのイオン濃度以下とする。
この具体的な手法として一例を挙げると、C)エッチングによる除去工程後のガラス基板1を、表面失活用イオンγを有する水溶液に浸漬させることにより、本工程を行うことができる。
上記の浸漬を行うことにより、化学強化層2の表面近傍には表面失活用イオンγが注入される。そして、図1(d)に示すように、ガラス基板1の中の化学強化層2の一部として、「表面失活用イオン注入層3」が形成されることになる。
なお、本実施形態における「表面失活用イオン注入層3」とは、ガラス基板1の中の化学強化層2の一部であって、ガラス基板1の表面近傍に位置する、表面失活用イオンが注入された部分のことを指す。それと共に、化学強化層2の表面近傍に存在するOH基が失活されている部分のことを指す。
ここで、化学強化層2の表面近傍に存在するOH基の失活のメカニズムについて、図4を用いて説明する。
まず、注入工程前であって化学強化層2の表面が活性化している状態だと、図4(a)に示すように、ガラス基板1におけるSiにOH基が結合した状態となっている。そこで、注入工程により、図4(b)に示すように、表面失活用イオンγを間に挟んでそれぞれ離れたOH基同士を架橋させ、OH基の状態を解消させる。本実施形態においては、OH基をこのように変化させることを「失活」とも言う。
この表面失活用イオンγは、OH基同士を架橋させることができるものならば基本的にどのイオンを使用しても構わない。ただ、ガラス基板1に元々含まれていないイオンが好ましい。なぜなら、ガラス基板1に元々含まれている種類のイオンを注入したところで、元々含まれているイオンによって表面の活性状態がある程度抑えられている可能性もある一方、元々含まれていないイオンを用いる場合だと更に顕著な表面失活効果が期待できるためである。
また、後述するように、本実施形態においては特許文献5のような脱アルカリ金属処理を行っていない。そのため、ガラス基板1の中から金属イオンαやβが除去される処理が行われず、金属イオンαやβが除去されてスペースが生じることもない。その結果、このようなスペースがないところに対して、表面失活用イオンγを注入しなければならない。
この注入を速やかに行うためには、表面失活用イオンγのイオン半径をできるだけ小さくするのが好ましい。具体的に言うと、金属イオンβよりも小さいことが好ましく、特に金属イオンαよりも小さければ更に好ましい。
ただ、表面失活用イオンγが小さすぎるあまり、表面失活用イオンγが注入されやすくなりすぎて、化学強化層2内に過度に表面失活用イオンγが注入されないようにする必要がある。具体的には、後述する表面失活用イオンγ水溶液の条件下において、ガラス基板1における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係(図5(c))において、表面失活用イオンγのイオン濃度が、上記金属イオンβのイオン濃度以下となる程度の大きさのイオン半径を表面失活用イオンγが有するのが好ましい。
この表面失活用イオンγについて一例を挙げるとするならば、Zn2+が挙げられる。また、Zn2+の元となる化合物としては、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO・6HO)が挙げられる。本実施形態においては、表面失活用イオンγをZn2+とした場合について述べる。
この硝酸亜鉛六水和物を水に溶解させた硝酸亜鉛六水和物水溶液に、ガラス基板1を浸漬させる。この水溶液の濃度、浸漬温度、浸漬時間については、ガラス基板1の組成や置換工程で用いた金属イオンβの種類、表面失活用イオンγの種類等に応じて随時変化させれば良い。ただ、硝酸亜鉛六水和物を用いた場合について一例を挙げるとするならば、以下の条件が挙げられる。
水溶液の濃度:0.3wt%〜10wt%
浸漬温度 :52.5℃〜54.9℃
浸漬時間 :1分〜1時間
以上のように、D)表面失活用イオンの注入工程を行うことにより、OH基がイオン拡散に寄与できない状態にすることができる。それにより、ガラス基板1の表面の活性化を抑制することができる。
以下、D)表面失活用イオンの注入工程の存在理由も含め、本実施形態の技術が、磁性記録媒体用のガラス基板1についての技術(特許文献5)とは全く異なることを説明する。この説明においては図5及び図6を使用する。
図5は、本実施形態における、MCG用のガラス基板1の表面部分の概略断面図(図5(a)(b))と、MCG用のガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係を記載した図(図5(c))である。
図6は、特許文献5の技術における、磁気記録媒体用のガラス基板1の表面部分の概略断面図(図6(a)(b))と、磁気記録媒体用のガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係を記載した図(図6(c))である。
先にも述べたように、特許文献5においては、磁性記録媒体用のガラス基板1を化学強化すべくガラス基板1中のNaと熔融塩中のKとの置換工程を行った後、ガラス基板1を温水中に浸漬させることにより脱アルカリ金属処理を行っている(図6(a))。この脱アルカリ金属処理により除去されたKの存在を埋めるべく、イオン半径がKよりも小さいZn2+をガラス基板1の表面近傍に多量に注入している(図6(b))。このZn2+の注入により、Zn2+がK溶出のバリヤー層(いわば蓋)になっている。その証拠として、図6(c)に示すように、Kが除去された状況下で、Zn2+が蓋の代わりとなるべく、表面近傍においてはZn2+が、化学強化の主要因となっているKに比べて多量に存在している。
これに対し、本実施形態においては、特許文献5で言うところの脱アルカリ金属処理を行っていない。そもそも、本願発明の用途の一つであるMCGでは、磁性記録媒体に求められるほどの耐アルカリ溶出性は必要とされておらず、特許文献5に記載のような脱アルカリ金属処理を行う必要がない。
ともかく、本実施形態においては、脱アルカリ金属処理を行わないまま、D)表面失活用イオンの注入工程が行われることになる。
なお、本実施形態においては、C)エッチングによる除去工程を行っている。これは、特許文献5に記載の脱アルカリ金属処理のような、アルカリ金属のみの除去とは全く異なる。つまり、本実施形・BR>ヤにおいては、図5(a)(b)に示すように、化学強化層2の一部であって、表面近傍に位置する部分(即ちKが過度に存在する部分)を除去している。つまり、ガラス基板1そのものの一部(斜線部分)を除去している。
本実施形態においては、このようにC)エッチングによる除去工程を行った後、D)表面失活用イオンの注入工程が行われる。そうすると、図6(c)に示すように、化学強化層2の表面近傍であっても、Zn2+のイオン濃度はKのイオン濃度以下となる。
一方、特許文献5だと、化学強化層2の表面近傍では、Kのイオン濃度に比べてZn2+のイオン濃度が非常に高くなっている。
この点における、本実施形態と特許文献5に記載の技術との違いについて、以下説明する。
特許文献5では、脱アルカリ金属処理を行うため、化学強化層2の表面近傍ではKやNaが脱離していく。その結果、化学強化層2の表面近傍には、KやNaが存在していた部分であって空いたスペースが形成される(図6(a))。
その後、磁性記録媒体用のガラス基板1を硝酸亜鉛水溶液に浸漬させることにより、磁性記録媒体用のガラス基板1に対してZn2+を注入する。ここで、Zn2+は上記の空いたスペースに対して重点的に注入されることになる(図6(b))。
その結果、図6(c)のグラフに示すような関係を有する磁性記録媒体用のガラス基板1が得られる。
その一方、本実施形態では、脱アルカリ金属処理を行っていないため、上記のような空いたスペースは形成されていない。それは、C)エッチングによる除去工程を行ったとしても、同様である(図5(a)(b))。また、図5(c)に示すように、C)エッチングによる除去工程で網掛部分が除去されたとしても、化学強化層2の表面近傍には多くの金属イオンα、βが既に存在している。
そのため、硝酸亜鉛六水和物水溶液にガラス基板1を浸漬させたとしても、ガラス基板1には空いたスペースが形成されていないことから、Kに対して少量のZn2+しか化学強化層2に注入することができない。
そこで、本実施形態ではこの特徴を利用し、化学強化により獲得した圧縮応力を維持するような構成としている。つまり、意図的にZn2+を少量しか化学強化層2に注入しないような手法を用い、Kによる圧縮応力の向上の働きを打ち消さないようにしている。
その結果、図5(c)のグラフに示すような関係を有するガラス基板1が得られる。
図5(c)と図6(c)を比べれば、化学強化層2の表面近傍におけるZn2+のイオン濃度が、Kのイオン濃度以下となっていることがわかる。このような関係を有することにより、表面近傍においてZn2+を、化学強化の主要因になっているKとほぼ同等ないしそれ以下のイオン濃度に留めることができる。その結果、化学強化により獲得した圧縮応力を維持することができる。
なお、本実施形態において「脱アルカリ金属処理を行っていない」ことは、「上記ガラス基板1における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、上記表面失活用イオンγのイオン濃度を、上記金属イオンβのイオン濃度以下とする」ことからも明らかである。更に言えば、仮に脱アルカリ金属処理を行っていたとしても、上記表面失活用イオンγのイオン濃度が上記金属イオンβのイオン濃度以下となる程度の処理しか行われていないならば、本発明の思想を適用し得る。
E)レジスト層の形成工程
表面失活用イオンγが注入されたガラス基板1に対して脱水ベーク処理を行う。その後、図1(e)に示す通り、ガラス基板1の主表面を覆うように、感光性レジスト液を塗布する。なお、本実施形態においては一つの面のみに塗布する場合について説明するが、複数の面に塗布しても構わない。
本実施形態においては、この感光性レジスト液として、ポジ型レジストを使用する。なお、本実施形態におけるポジ型レジストには公知のものを用いて良い。一例としてポジ型レジストの材質を挙げると、アジド系、ジアゾ系、キノンジアゾ系のものが挙げられる。
塗布方法としては、本実施形態においては、ガラス基板1の主表面に上記感光性レジスト液を滴下した後、所定の回転数にてガラス基板1を回転させるスピンコート法を用いる。次いで、主表面上に感光性レジスト液がスピンコートされたガラス基板1をホットプレートにて所定の温度と時間でベーク処理する。その後、例えば室温に保たれた冷却プレート上に移載して冷却処理し、乾燥して、感光性のレジスト層4を形成する。以降、感光性のレジスト層4を単にレジスト層4とも言う。
F)レジスト層に対するパターニング工程
a)露光工程
上記塗布工程の後、図1(f)に示すように、フォトマスク6が有する所定のパターンをレジスト層4に転写すべく、フォトマスク6を備えた露光装置を用いて、レジスト層4を露光させる。なお、本実施形態においては、先に述べたように、本実施形態におけるレジスト層4はポジ型レジストである。そのため、露光した部分のレジスト層4(露光部4a)が後述の現像工程において溶解部となる。逆に、露光しなかった部分のレジスト層4(非露光部4b)は非溶解部となる。
本実施形態では、ガラス基板1において、露光部4aに対応する部分をウエットエッチング(後述のG)エッチングによる切断工程)にて除去することになる。この除去は、ガラス基板1を切断して複数のガラス基板1を作製するためにも用いられるし、複数のガラス基板1の各々に対してエッチングを用いた穴あけ加工や所定の外周形状への加工にも用いられる。
このとき用いられるフォトマスク6は、公知のものであれば良い。一例を挙げるとすると、クオーツガラス、ソーダガラス、プラスチックフィルムの如き透明基板とクロム膜やエマルジョン膜の如きパターニング用のマスク薄膜とから成っている。
なお、必要に応じて露光前ベーク及び/又は露光後ベークを行っても良い。
b)現像工程
i)現像
所定の形状に露光した後、ポジ型レジストからなるレジスト層4を所定の現像剤で現像する。それにより、レジスト層4において露光された露光部4a(溶解部)を除去し、フォトマスク6のパターンに対応するパターンであって凹凸からなるレジストパターン4’を形成する。この際、現像剤としてはレジストの種類に応じて公知のものを用いれば良い。
ii)リンス・乾燥
上記現像剤の滴下供給を止めた直後に、ガラス基板1を回転させながらガラス基板1の上方から、上記現像剤を洗い流すためにリンス剤を滴下供給する。その後、上記のリンス処理を行ったガラス基板1に対して乾燥処理を行う。この際、リンス剤としては、レジストパターン4’の倒れを防止すべく、フッ素系化合物のように表面自由エネルギーが低い物質を用いるのが好ましい。
このようにして露光されたレジスト層4を現像し、露光部4aを除去して、フォトマスク6のパターンに相応する凸部及び凹部を有するレジストパターン4’が作成される。なお、必要に応じて、レジストパターン4’が形成されたガラス基板1に対しベーク処理を行っても良い。
こうして、所定の凹凸形状からなるレジストパターン4’が形成され、このレジストパターン4’が主表面上に形成されたガラス基板1が得られる。
なお、現像工程の最中又は現像工程の後に、必要に応じてベークを行っても良い。
G)エッチングによる切断工程
続いて、フッ酸を用いたウエットエッチングをガラス基板1に対して行う。こうして図1(g)のように、レジストパターン4’に対応してガラス基板1が切断される。この際、1つのガラス基板1から、複数のガラス基板1を取り出すと同時に、ガラス基板1に穴をあけたり所定の外周形状に加工したりする。
その結果、化学強化及び表面失活用イオンγの注入が行われた後のガラス基板1であって、最表面にレジストパターン4’が残存しているガラス基板1が作製される。
本工程でのエッチングは、通常、ガラス基板1をエッチング溶液に浸漬させて行う。エッチング溶液としては、少なくともフッ酸を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、塩酸等のその他の酸や、界面活性剤等の各種の添加剤が添加されていてもよい。
その後、硫酸と過酸化水素水の混合液からなる剥離液によってレジストパターン4’の残存を除去し、レジストパターン4’を完全に剥離する。次いで上記の乾燥処理と同様の手法で、ガラス基板1を乾燥させる。
レジストパターン4’の剥離について具体的に言うと、ガラス基板1を上記剥離液に所定の時間浸漬し、その後、リンス剤により剥離液を洗い流す。リンス剤としては公知のリンス剤を用いて良く、イソプロピルアルコールや純水を用いても良い。
なお、ここで用いる剥離液としては、レジスト層4を構成するレジストの種類に応じて適宜選択しても良く、レジストを膨潤溶解又は化学的に分解して剥離除去できる化合物であれば良い。
H)加飾層の形成工程
上記のG)エッチングによる切断工程によりガラス基板1を小片に切断した後、図1(h)に示すように、イオン交換された板状ガラスの少なくとも一方の表面に、一層以上の加飾層5を形成する加飾層形成工程を実施する。
加飾層5の成膜方法としては、加飾層5を構成する材料、膜厚等に応じて公知の成膜方法が適宜利用でき、たとえば、スクリーン印刷等の各種印刷方法、ディッピング法、スプレーコート法、ゾルゲルコート法、メッキ法等の公知の液相成膜法や、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の気相成膜法などが利用できる。
なお、本実施形態における加飾層5としては、加飾層として公知のものであればどのようなものでも構わない。一例を挙げるとするならば、加飾印刷(エポキシ、ポリエステル、ウレタン等)、ARコート、ITO被覆、防汚コート、加飾フィルム、飛散防止フィルムなどが挙げられる。
本実施形態においては、加飾層5の形成工程の後であっても、ガラス基板1において高い強度を維持することができる。
I)端面処理工程
その後、図1(i)に示すように、G)エッチングによる切断工程を経て形成されていた切断面の少なくとも一部を研磨する。ここで、切断面とは、ウエットエッチングにより形成された凸を成す曲面からなる端面を意味する。この端面処理工程を実施することにより、研磨処理により端面を平坦とすることができる。
以上の工程を経た後、必要に応じてガラス基板1の洗浄等を行う。このようにして、本実施形態における電子機器用カバーガラス(MCG)のガラス基板1を完成させる。
<2.MCGについての説明>
以上の方法を用いて製造されたガラス基板1の一例について説明する。
本実施形態において製造されたガラス基板1は、以下の構成を有している。即ち、金属酸化物を含有するガラス基板1の表面近傍に形成された化学強化層2は、上記金属酸化物の金属イオンαと、上記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβと、上記金属酸化物含有ガラス基板1の表面を失活させるための上記表面失活用イオンγとを含んでいる。そして、上記化学強化層2内では、上記ガラス基板1における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、上記表面失活用イオンγのイオン濃度が、上記金属イオンβのイオン濃度以下となっている。
上記のような構成を有することにより、ガラス基板1における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、表面近傍においてZn2+は、化学強化の主要因になっているKとほぼ同等ないしそれ以下のイオン濃度に留めることができる。その結果、化学強化により獲得した圧縮応力を維持することができる。
なお、本実施形態によって作製されるガラス基板1は、用途に合わせて任意の形状のものとすることができる。例えば、本発明によって作製するガラス基板は、画像表示パネルと、画像表示パネルの画像表示面側に設けられたMCGと、を少なくとも備えた携帯型電子機器、特に携帯電話のMCGとして用いられることが好ましい。また、本発明に係るガラス基板は、携帯型電子機器の筐体として用いることもできる。携帯型電子機器、特に携帯電話は、その利用態様から、MCGの主表面部分が機械的衝撃に曝されることが多い上に、多様なデザイン性も求められることが多い。しかしながら、本実施形態におけるガラス基板は、上述したように、双方のニーズに応えることが容易である。
<3.実施の形態による効果>
ここで挙げた電子機器用カバーガラスのガラス基板、及びこれまでに述べたその製造方法においては、以下の効果を奏する。
即ち、活性状態となった化学強化層2の表面近傍に対し、表面失活用イオンγを注入することにより、ガラス基板1内においてSiと結合しているOH基を、化学強化層2の表面近傍において失活させることができる。
その結果、イオン拡散を激しい状態から通常の状態へと戻すことができ、Naがガラス基板1の表面近傍に過度に移動するおそれを解消することができる。それにより、ガラス基板1の表面にヤケが生じることを抑制でき、ひいては応力緩和の発生を抑制することができる。
以上の結果、ガラス基板1の表面の活性化に伴う電子機器用カバーガラスのガラス基板1の劣化を抑制することができる。その結果、電子機器用カバーガラスのガラス基板1、ひいては電子機器用カバーガラス(MCG)の強度や耐傷性を高いまま維持することができる。
[実施の形態2]
実施の形態2においては、C)エッチングによる除去工程を省略した場合について述べる。
上述の通り、C)エッチングによる除去工程を行うとガラス基板1の主表面に新生面が形成され、表面近傍が活性状態となってしまう。しかしながら、本発明の思想は、C)エッチングによる除去工程を行わない場合についても適用できる。更に言えば、ガラス基板1の主表面がわずかでも活性状態にあるならば、その活性状態を失活させるために、D)表面失活用イオンの注入工程を行う場合すべてに適用可能である。
[実施の形態3]
実施の形態3においては、実施の形態2のようにC)エッチングによる除去工程を省略した上で、B)化学強化のための置換工程とD)表面失活用イオンの注入工程の間に、上記化学強化層2に対して酸洗浄を行う場合について述べる。
この酸洗浄工程は、C)エッチングによる除去工程で述べた洗浄方法を用いることができる。つまり、洗浄液として、硫酸、塩酸、硝酸などの酸性の水溶液を用いる。この際、超音波を印加した状態でガラス基板1を洗浄しても良い。
[実施の形態4]
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
本実施形態においては、上記の内容以外の変形例について列挙する。
本実施形態におけるガラス基板は、1枚のガラス基板を加工対象としても良いし、予め複数枚のガラス基板1を積層加工しておいて、それを1枚のガラス基板として加工を行っても良い。
本実施形態においてはポジ型レジストを用いたが、もちろんネガ型レジストを用いても構わない。具体的なネガ型レジストの材質としては、不飽和ポリエステル系、アクリレート系、ナイロン系、Ene付加反応系、カチオン重合系の如き光重合性のものや金属イオン重クロム酸型、光二量化型の光架橋が起こるものを用いることができる。
また、本実施形態におけるレジストは、レジスト液以外であっても良く、フィルム状のレジストを用いても構わない。
また、本実施形態におけるレジストは、エネルギービームを照射して露光したときに反応性を有するものであれば良い。つまり、露光装置を用いて露光を行う以外にも、エネルギービームによる直接描画を行っても構わない。具体的には、現像剤による現像処理を行う必要のあるレジストであれば良く、紫外線、X線、電子線、イオンビーム、プロトンビーム等に感度を持つレジストであっても良い。
また、実施の形態1においてはレジストを用いたが、G)エッチングによる切断工程に耐えられる膜をガラス基板1上に形成することができるのならば、レジスト以外の手段を用いても構わない。
また、本実施形態におけるエッチングではウエットエッチングを行ったが、その一部又は全部をドライエッチングとしても良い。また、エッチングの際の加工精度に応じて、エッチング方法を選択しても良い。
また、本実施形態において1枚のガラス基板1から複数のガラス基板1を取り出す加工、穴あけ及び外形加工にエッチングを用いたが、場合に応じて機械加工を行っても良い。
また、本実施形態の思想は、少なくともB)化学強化のための置換工程→D)表面失活用イオンの注入工程という順番さえ守っていれば、これらの工程の前後に別の工程を設けても適用可能である。例えば、E)レジスト層の形成工程〜G)エッチングによる切断工程を上記の工程の前に行っても良い。つまり、小片化したガラス基板に対して、化学強化を行っても構わない。また、B)化学強化のための置換工程→D)表面失活用イオンの注入工程の間に別の工程を盛り込んで主表面が活性状態となったとしても、D)表面失活用イオンの注入工程で主表面を失活することにより良好なガラス基板1を作製できるのならば、その別の工程を更に設けても良い。
(実施例1)
A)ガラス基板の準備
まず、SiOを62.2wt%、Alを13.0wt%、LiOを0.95wt%、NaOを10.7wt%、MgOを5.1wt%、ZrOを3.9wt%含むアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、長辺80mm、短辺45mm、板厚0.5mmの板状のガラス基板1(シート状ガラス)に成型した(図1(a))。
B)化学強化のための置換工程
次いで、このガラス基板1を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO)60wt%と硝酸ナトリウム(NaNO)40wt%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した(図1(b)、図2)。次いで、このガラス基板1に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。
C)エッチングによる除去工程
次いで、このガラス基板1を35℃に保った3wt%HSiF水溶液に浸漬し、ガラス基板1を上下に揺動させて10分間エッチングを行って、ガラス基板1の主表面を約1μmエッチングした(図1(c)、図3、図5(a)。図1(c)の二点鎖線、図3と図5(a)における斜線部分を除去。)。その後、このガラス基板1を40℃に保った15wt%HSO水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら5分間洗浄処理した。
D)表面失活用イオンの注入工程
次いで、52.5℃に保った0.3wt%の硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO・6HO)水溶液にこのガラス基板1を1時間浸漬させた(図1(d)、図4、図5(b))。その後、このガラス基板1を硝酸亜鉛六水和物水溶液から取り出し、常温の流水シャワーにて洗浄し、乾燥させた。
以上のように、本実施例の評価のための試料を作製した。また、複数の試料に対して各々評価を行うべく、上記の手法で複数の試料を作製した。
なお、本明細書における実施例及び比較例においては、E)レジスト層の形成工程〜I)端面処理工程においては省略している。
(実施例2)
実施例2においては、以下の点を除き、実施例1と同様の手法で試料を作製した。
水溶液の濃度:3wt%
浸漬温度 :54.9℃
(実施例3)
実施例3においては、以下の点を除き、実施例1と同様の手法で試料を作製した。
水溶液の濃度:10wt%
浸漬温度 :53.0℃
(比較例1)
比較例1においては、D)表面失活用イオンの注入工程を行わなかった。それに加え、以下の点(評価方法)についても従来から変化させた。それ以外については、実施例1と同様の手法で試料を作製した。
(評価方法)
上記の実施例及び比較例で作製した試料に対し、MCG特有の静圧強度試験を行った。
この静圧強度試験においては、MCGの主表面における外周縁部3mmで当接する支持台にMCGをセットし、支持台に当接した反対側の主表面側から、MCGの中心部に対して加圧部材で押圧させて静圧強度試験を行った。加圧部材は、先端がφ10mmのステンレス合金からなるものを使用した。なお、加圧速度は10mm/分とした。
従来のディスプレイ用のガラスの曲げ試験や、磁気記録媒体などの環状線荷重による試験では、加工されたガラス端部に最大応力がかかることを前提としている。これは、従来のディスプレイ用のガラスや磁気記録媒体は、主としてガラス端部にてガラス基板自体が保持されることに起因している。つまり、実際の使用態様を考慮して、強度試験が行われている。
ところが、本実施例のガラス基板1の用途であるMCGは、携帯電話のような携帯型電子機器にも用いられる。特に、携帯型電子機器がタッチパネル式のものならば、ガラス基板1の中心部分において高い強度が求められる。そのため、従来の評価方法だと、MCGとしての機能を適切に評価できないおそれがある。つまり、従来の評価方法だと、中心部分の強度が求められているにもかかわらず、ガラス端部の強度がガラス基板全体の強度と評価されてしまうおそれがある。その結果、実際には中心部分において充分な強度を有さないガラス基板であるにもかかわらず、MCGとして適切なガラス基板と評価されてしまうおそれがある。
また、ガラスを切り出す加工などを行った場合、それによって生じるガラス外周の微細な欠陥(粗さやマイクロクラック、チッピングなど)が、従来の静圧強度試験の際に破壊起点となりやすくなる。そのため、正確な強度を得ることが難しくなるし、MCGの実際の用途を反映した評価を行うことが困難になってしまうおそれがある。
そこで、本実施例の評価方法を用いると、ガラス基板1の中心部分に特化した、中心集中荷重の強度試験を行うことができる。この場合、応力は押下直下に集中し外周部での応力は相対的に非常に小さくなる。そのため、ガラス切り出し加工などよって生じるガラス外周部の欠陥は破壊起点となり難く、ガラス自体とガラス表面の強度が強く反映されることになる。その結果、MCGの実際の用途を反映した評価を行うことができる。
なお、上記の評価方法においては外周縁部3mmで当接する支持台としたが、2〜5mm程度の外周縁部で当接するように支持台を設定することも可能である。
(評価結果)
実施例1〜3及び比較例1で作製した各々の試料に対して、上記の静圧強度試験を行った。その結果を表1に示す。なお、実施例1においては2つの試料各々についての結果を示し、実施例2〜3においては4つの試料各々についての結果を示す。また、比較例1においては5つの試料各々についての結果を示す。
その結果、実施例1〜3及び比較例1における各々の試料の強度の平均値を求めたとき、比較例1の平均値に比べて実施例1〜3の平均値が上回っていた。特に、実施例2の試料についての結果は全て、比較例1に比べて良好であった。
以下、本実施形態において好ましい形態を付記する。
〔付記1〕
前記注入工程を行う時間は1分以上60分以下であることを特徴とするガラス基板の製造方法。
〔付記2〕
前記ガラス基板は、前記化学強化層の上に、一層以上の加飾層が設けられていることを特徴とするガラス基板。
〔付記3〕
前記ガラス基板は、ディスプレイパネル保護用カバーガラス、及び、タッチパネルから選択される少なくとも一方の態様で利用されることを特徴とするガラス基板。
〔付記4〕
前記ガラス基板は、前記画像表示エリアの平面方向の輪郭形状に略一致する平面形状を有するカバーガラスであり、
略矩形の画像表示エリアを有する画像表示パネルと、
前記画像表示パネルの画像表示面側に設けられる前記カバーガラスと
を有することを特徴とする画像表示装置。
〔付記5〕
前記ガラス基板はカバーガラスであり、
略矩形の画像表示エリアを有する画像表示パネルと、
前記画像表示パネルの画像表示面側に設けられる前記カバーガラスと
を有することを特徴とする携帯型電子機器。
1 ガラス基板
2 化学強化層
3 表面失活用イオン注入層
4 レジスト層
4a 露光部
4b 非露光部
4’ レジストパターン
5 加飾層
6 フォトマスク

Claims (6)

  1. 金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍において、前記金属酸化物の金属イオンαを、前記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβで置換する置換工程と、
    前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、表面失活用イオンγの注入処理を施す注入工程と、
    を有し、
    前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンγのイオン濃度を、前記金属イオンβのイオン濃度以下とすることを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  2. 前記金属イオンαはNaであり、前記金属イオンβはKであり、前記表面失活用イオンγはZn2+であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  3. 前記置換工程と前記注入工程の間に、前記化学強化層の一部であって、表面近傍に位置する部分を除去する除去工程を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  4. 前記置換工程と前記注入工程の間に、前記化学強化層に対して酸洗浄を行う酸洗浄工程を更に有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  5. 金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍において、前記金属酸化物の金属イオンNaを金属イオンKで置換する置換工程と、
    前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、表面近傍に位置する部分をエッチングにより除去する除去工程と、
    前記置換工程により前記ガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層に対し、酸洗浄を行う酸洗浄工程と、
    前記除去工程及び前記酸洗浄工程後、前記化学強化層に対し、表面失活用イオンZn2+の注入処理を施す注入工程と
    を有し、
    前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンZn2+のイオン濃度を、前記金属イオンKのイオン濃度以下とすることを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  6. 金属酸化物を含有するガラス基板の表面近傍に形成された化学強化層は、
    前記金属酸化物の金属イオンαと、
    前記金属イオンαよりもイオン半径が大きい金属イオンβと、
    前記ガラス基板の表面を失活させるための表面失活用イオンγと
    を含み、
    前記化学強化層内では、前記ガラス基板における主表面からの厚さ方向の距離とイオン濃度との関係において、前記表面失活用イオンγのイオン濃度が、前記金属イオンβのイオン濃度以下であることを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板。
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