JP2012253243A - 圧電膜素子、圧電膜素子の製造方法、及び圧電デバイス - Google Patents

圧電膜素子、圧電膜素子の製造方法、及び圧電デバイス Download PDF

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Kenji Shibata
憲治 柴田
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和史 末永
Kazutoshi Watanabe
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Abstract

【課題】非鉛の圧電膜と下部電極とのエッチング選択性を確保するとともに、高精度に加工することができる圧電膜素子、圧電膜素子の製造方法、及び圧電デバイスを提供する。
【解決手段】圧電膜素子1は、基板2と、基板2上に形成されたPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層4と、第1の下部電極層4上に形成されたTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層5と、第2の下部電極層5上に形成されたペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜7と、圧電膜7上に形成された上部電極とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電膜素子、圧電膜素子の製造方法、及び圧電デバイスに関する。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、特に電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、素子の変形から電圧を発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1−xTi)O系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられている。このPZTは、圧電体材料となる酸化物を焼結することにより形成される。
一方、現在、各種電子部品の小型かつ高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化と高性能化が強く求められるようになった。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電材料は、その厚みが特に10mm以下の厚さになると、材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生する。それらの問題を回避するために、焼結法に変わる薄膜技術等を応用した圧電体の形成法が研究されるようになってきた。
最近、RFスパッタリング法で形成したPZT薄膜等の圧電膜が、高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータや、小型低価格のジャイロセンサとして実用化されている(例えば、特許文献1)。また、鉛を用いないニオブ酸カリウムの圧電膜を用いた圧電膜素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
圧電膜を用いてアクチュエータやセンサを作製する場合、微細加工プロセスにより圧電薄膜を梁や音叉の形状に加工する必要がある。しかし、非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物は難加工性の材料であり、Arガスを用いたドライエッチングにより加工が可能であるものの、デバイス作製時に必要な下部電極とのエッチング選択性が得られないといった課題があった。
圧電膜の微細加工においては、圧電膜が加工できることに加え、下部電極層で選択的に加工を停止できることが、高精度で微細加工する際に必要である。
非特許文献2に記載の通り、本件発明者等によって、ArガスとCHFなどの反応性ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングにより、非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物の圧電膜を加工でき、かつ、Pt下部電極層で高いエッチング選択比を得られる加工方向が提案され、高精度の微細加工が実現されている。
しかし、高価な反応性ガスやエッチング装置を使用する他、特にCHFガスなどのフッ素系反応ガスは地球温暖化への影響が大きく(CO比11700倍)、環境負荷の観点から使用削減が望ましい。
そこでより簡便な手法として、Arスパッタを用いたドライエッチングプロセスが考えられるが、Arスパッタを用いた加工は、下部電極層との十分なエッチング選択比が得られず、高い加工精度が得られないという問題がある。
特開平10−286953号公報 特開2007−19302号公報
C.M. Kang、「Etching Characteristics of (Na0.5K0.5)NbO3 Thin Films in an Inductively Coupled Cl2/Ar Plasma」、Ferroelectrics, 357, p.179−184 (2007)。 堀切、「(K,Na)NbO3圧電薄膜の微細加工特性」、第71回応用物理学会学術講演会 講演予稿集、16P−NJ−10(2010)。
本発明の目的は、上記課題を解決するために、非鉛の圧電膜と下部電極とのエッチング選択性を確保するとともに、高精度に加工することができる圧電膜素子、圧電膜素子の製造方法、及び圧電デバイスを提供することにある。
本件発明者らは、上述したプロセスについて鋭意改良を行い、難加工性の圧電膜を簡便なArスパッタを用いて微細加工した場合でも、下部電極層の構造上の工夫により選択的にエッチングを停止できるとの知見を得て、本件発明に至ったものである。
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、基板と、前記基板上に形成されたPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層と、前記第1の下部電極層上に形成されたTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層と、前記第2の下部電極層上に形成されたペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜と、前記圧電膜上に形成された上部電極とを備えたことを特徴とする圧電膜素子を提供する。
また、本発明の一態様は、上記目的を達成するため、基板上にPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層を形成し、前記第1の下部電極層上にTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層を形成し、前記第2の下部電極層上にペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜を形成し、前記圧電膜上にマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを介してエッチングが前記第1又は第2の下部電極層で停止するように前記圧電膜をエッチングする工程を含む圧電膜素子の製造方法を提供する。
前記第2の下部電極層の厚さは、50nm以上500nm以下であることが望ましい。
前記圧電膜は、組成式(K1−xNa)NbOで表され、前記xが0.4≦x≦0.7の範囲が望ましい。
前記エッチングは、前記第2の下部電極層で停止するように行われるのが望ましい。
前記エッチングは、Arガスによるドライエッチングが望ましい。
また、本発明の一態様は、上記目的を達成するため、基板と、前記基板上に形成されたPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層と、前記第1の下部電極層上に形成されたTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層と、前記第2の下部電極層上に形成されたペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜と、前記圧電膜上に形成された上部電極とを有する圧電膜素子と、前記圧電膜素子の前記圧電膜上に形成された上部電極と、前記圧電膜素子の一方又は両方の端部を支持する支持部材とを備え、前記圧電膜素子は、前記第1の下部電極層及び前記上部電極への電圧の印加によって変位可能な構成の圧電体デバイスを提供する。
本発明によれば、非鉛の圧電膜と下部電極とのエッチング選択性を確保するとともに、高精度に加工することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電膜素子の構成を示す模式断面図である。 図2は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電体デバイスの概略の構成を示す断面図である。 図3は、本発明の実施例1の下部積層電極を用いた際のドライエッチング後の圧電膜素子の断面電子顕微鏡像を示す図である。
[実施の形態の要約]
本実施の形態に係る圧電膜素子は、基板と、前記基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成されたペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜と、前記圧電膜上に形成された上部電極とを備えた圧電膜素子において、前記下部電極層は、前記基板上に形成されたPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層と、前記第1の下部電極層上に形成されたTi、Cr若しくはこれらの合金、又はこれらの積層体からなる第2の下部電極層とを備える。
第1の下部電極層のみでは、圧電膜をエッチングする際に、第1の下部電極層がエッチングによって除去されてエッチングストッパとして機能しないことがある。そこで、第1の下部電極層の上に第2の下部電極層を形成することにより、第2の下部電極層がエッチングストッパとして機能し、第1の下部電極層がエッチングによって除去されるのを防ぐことができる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電膜素子の概略の構成を示す断面図である。
この圧電膜素子1は、基板2と、基板2上に形成された密着層3と、密着層3上に形成された下部積層電極6と、下部積層電極6上にドライエッチングによって所定のパターンに形成された圧電膜7とを備える。下部積層電極6は、密着層3上に形成された第1の下部電極層4と、第1の下部電極層4上に形成された第2の下部電極層5を有する。第2の下部電極層5は、第1の下部電極層4上に形成されたエッチングストップ層5aと、エッチングストップ層5a上に形成された下地層5bとを有する。
基板2としては、例えばSi基板、MgO基板、SrTiO基板、SrRuO基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、GaN基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス等からなる金属基板等を用いることができる。本実施の形態では、低価格で工業的に実績のあるSi基板を用いる。
密着層3は、基板2と第1の下部電極層4との密着性を高めるためのものであり、Ti、Ta等を用いることができる。なお、本実施の形態では、密着層3にTiを用いるが、Ti、Ta等の密着層なしでも第1の下部電極層4の面方位を制御することにより、同様の効果が得られる。
第1の下部電極層4は、Pt又はPtを主成分とする合金を用いることができる。
第2の下部電極層5を構成するエッチングストップ層5aは、圧電膜7をドライエッチングにより加工する際に選択的にエッチングを停止するためのものであり、Ti、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなるを用いることができる。
エッチングストップ層5aの厚さは、500nmを超える場合には、エッチングストップ層5a上に設けられるPt下地層5bの配向制御が困難になり、Pt下地層5b上に設けられるKNN膜の成膜に悪影響を与えるため、望ましくない。また、エッチングストップ層5aの厚さが50nm以下の場合には、エッチングを十分に停止できないことに加えて、面内のエッチングのばらつきを十分に許容しきれないため、望ましくない。よって、エッチングストップ層5aの厚さは、50nmを超え500nm以下、好ましくは60nm以上、450nm以下とする。
下地層5bは、圧電膜7の下地層として機能するためのものであり、Pt又はPtを主成分とする合金を用いることができる。
圧電膜7は、ペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物(以下「KNN」とも略す。)からなる。具体的には、KNNは、組成式(K1−xNa)NbOで表わされ、xは、例えば0.4≦x≦0.7である。また、ペロブスカイト構造は、擬立方晶系のペロブスカイト構造が好ましい。なお、本実施の形態では、KNN膜は特に他の元素を添加していないが、5原子数%以下のLi、Ta、Sb、Ca、Cu、Ba、Ti等をKNN膜に添加してもよい。
(圧電膜素子の製造方法)
次に、上記圧電膜素子1の製造方法の一例について説明する。
基板2として熱酸化膜付きSi基板を準備し、基板2上にTiからなる密着層3を形成し、密着層3上にRFマグネトロンスパッタリング法によりPtからなる第1の下部電極層4を形成する。
次に、第1の下部電極層4上にTiからなるエッチングストップ層5a、Ptからなる下地層5bの順に第2の下部電極層5を形成する。
次に、第2の下部電極層5の上に、RFマグネトロンスパッタリング法により(K1−xNa)NbO薄膜からなる圧電膜7を形成する。以下、圧電膜7の形成後の基板を「KNN薄膜付き基板」ともいう。
圧電膜7は、Na/(K+Na)=0.60の(K1−xNa)NbO焼結体をターゲットに用い、基板温度520℃、放電パワー700W、O/Ar混合比0.005、チャンバー内圧力1.3Paの条件で成膜する。圧電膜7のスパッタ成膜時間は膜厚がほぼ3μmになるような時間とする。
次に、所望の形状の上部電極を形成するためのパターン(穴)が形成された厚さ0.3mmのNi金属板(Niマスクパターン)を用意する。Niマスクパターンをマスクとして用い、KNN薄膜付き基板上に、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間10分の条件でスパッタ法によりPtからなる図示しない上部電極層を形成する。
次に、KNN薄膜付き基板上にマスクとしてTiマスクパターンを形成する。なお、マスクとしてTiの他に、Ta、W若しくはCr又はそれらの合金を用いた場合でも同様の微細加工を施すことができる。また、マスクとして、Ti、Ta、W及びCrのいずれか2つ以上の膜からなる積層体を用いても同様の微細加工を施すことができる。
次に、Tiマスクパターンをマスクとして用い、KNN薄膜付き基板をドライエッチングによる微細加工を行う。
ドライエッチングには、CCP−RIE(Capacitive Coupled Plasma‐Reactive Ion Etching)装置を用い、ガスはArを使用する。なお、Arの他に微量のN若しくはO、He、Cl、BCl、CHF、C、CF、SFなどなどの不活性ガス若しくは塩素系又はフッ素系反応性ガスを加えても同様の効果が期待できる。
Ptが一層のみの下部電極層、つまり第1の下部電極層4のみで下部電極を形成した場合、KNNからなる圧電膜7を加工する際の第1の下部電極層4でのエッチング停止が困難である。これは、PtがKNNと比較してエッチングにより除去され易いためである。そこで、第1の下部電極層4上にマスクとしても使用されるTiをエッチングストップ層5aとして積層する構造を採用した。Arガスを用いた簡便なエッチングにおいても、エッチングストップ層5aで選択的にエッチングを停止できる構造を実現することができる。
具体的には、上からKNN[圧電膜]/Pt[下地層]/Ti[エッチングストップ層]/Pt[下部電極層]/Ti[密着層]/SiO[熱酸化膜]/Si[基板]という順の構造体を作製し、Arガスを用いてドライエッチングを行っても、下部積層電極6でエッチングを停止させることができる。
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、下部電極にエッチングストップ層5aを含む積層構造を採用したので、KNNによる圧電膜7を下部積層電極6とのエッチング選択性を確保しながら、圧電膜を簡便かつ高精度に加工することができる。
また、本実施の形態の製造方法を用いることにより、良好なサイドエッチングが施された圧電膜素子やこれを用いた圧電デバイスを作製することができる。すなわち、サイドエッチングが施された圧電膜素子の側面の傾斜角は、後述する図3に示すように45°以上あるいは60°以上(但し、90°未満)を実現することができる。
なお、本実施の形態では加工プロセスにドライエッチングを用いた例について記述したが、同様に加工プロセスにウエットエッチングを用いた場合も同様の効果が期待できる。
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電体デバイスの概略の構成を示す断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の圧電膜素子1を可変容量キャパシタに適用した場合を示す。
この圧電体デバイス10は、デバイス基板11と、デバイス基板11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成され、第1の実施の形態と同様の圧電膜素子1とを備える。デバイス基板11及び絶縁層12は、圧電膜素子1の一方の端部を支持する支持部材として機能する。
圧電膜素子1は、第1の実施の形態と同様に、基板2上に、密着層3、第1の下部電極層4、第2の下部電極層5及び圧電膜7が形成されている。本実施の形態の場合、圧電膜素子1の圧電膜7上に上部電極17が形成されている。また、本実施の形態の圧電膜素子1の基板2は、突出した部分に上部キャパシタ電極16が設けられている。
デバイス基板11上の上部キャパシタ電極16の下に空隙13を介して下部キャパシタ電極14を形成し、下部キャパシタ電極14の表面にSiN等からなる絶縁層15を形成している。
そして、上部電極17及び第2の下部電極層5に、それぞれボンディングワイヤ18A、18Bを介して電圧を印加すると、圧電膜素子1の先端が変位し、これに伴って上部キャパシタ電極16が上下方向に変位する。上部キャパシタ電極16の変位によって上部キャパシタ電極16と下部キャパシタ電極14との間のキャパシタが変化し、本圧電体デバイス10は可変キャパシタとして動作する。
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、第1の実施の形態によるKNN膜の微細加工方法を用いることにより、高精度な圧電体デバイスを提供することができる。また、環境負荷の小さい、インクジェットプリンタ用ヘッドやジャイロセンサを従来品と同等の信頼性かつ製造コストで作製することができる。
上記実施の形態では、アクチュエータとして可変キャパシタについて説明したが、第1の実施の形態の圧電膜素子は、他のアクチュエータや、センサ、フィルタデバイス、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等の圧電体デバイスに適用することができる。他のアクチュエータしては、インクジェットプリンタ用ヘッド、スキャナ、超音波発生装置等に適用することができる。また、センサとしては、ジャイロセンサ、超音波センサ、圧力センサ、速度・加速度センサ等に適用することができる。
また、上記実施の形態では圧電膜素子を片持ち支持としたが、両持ち支持とし、圧電膜素子の中央部が変位するようにしてもよい。
以下に、KNNからなる圧電膜7の微細加工において、下部電極に積層構造を採用した場合における実施例1を記載する。
(1)基板の準備
基板2として、熱酸化膜付きSi基板((100)面方位、厚さ0.525mm、熱酸化膜厚さ205nm、サイズ4インチ)のウェハを用いた。なお、基板2として、熱酸化膜付き(001)面Si基板の他に、異なる面方位のSi基板や、熱酸化膜無しのSi基板、SOI基板でも同様の効果が得られる。
(2)下部積層電極の形成
まず、基板2上にスパッタ法により膜厚2.3nmのTiからなる密着層3を成膜した。次に、密着層3上にRFマグネトロンスパッタリング法により膜厚215nmのPtからなる第1の下部電極層4を形成した。密着層3と第1の下部電極層4は、基板温度100〜350℃、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間1〜3分、10分の条件で成膜した。
次に、第1の下部電極層4上に、エッチングストップ層5aとしてTiを400nm、また、下地層5bとしてPtを200nm、第1の下部電極層4と同一の条件でスパッタ成膜し第2の下部電極層5を形成した。第1の下部電極層4及び第2の下部電極層5を成膜した基板の構造は、上からPt[200nm]/Ti[400nm]/Pt[215nm]/Ti[2.3nm]/Si基板となる。
(3)圧電膜の形成
次に、下部積層電極6上に、RFマグネトロンスパッタリング法で(K1−xNa)NbO膜を形成した。(K1−xNa)NbO膜はNa/(K+Na)=0.60の(K1−xNa)NbO焼結体をターゲットに用い、基板温度520℃、放電パワー700W、O/Ar混合比0.005、チャンバー内圧力を1.3Paの条件で成膜した。KNN膜のスパッタ成膜時間は膜厚がほぼ3μmになるように調整して行った。
(4)上部電極層の形成
次に、KNN薄膜付き基板上に、スパッタ法により、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間10分の条件でPtを成膜し、上部電極層とした。なお、上部電極パターンは、厚さ0.3mmのNiマスクパターンを用いてKNN膜上に形成した。
(5)Tiマスクパターンの形成
上記で作製した上部電極付きのKNN薄膜付き基板上にマスクとして下記の通りTiパターンを形成した。
まず、上記試料上にRFマグネトロンスパッタリング法により、Tiを約1000nm成膜した。次に、OFPR−800などのフォトレジストを塗布し、露光及び現像をして、Ti膜上にレジストパターンを形成した。その後、フッ酸と硝酸の混合液(HF:HNO:HO=1:1:50)を用いTiをエッチングし、アセトン洗浄によりフォトレジストを除去することで、TiパターンをKNN圧電膜上に形成した。なお、後述するドライエッチング後には同様のエッチング液を用いて残留Tiパターンを除去した。
(6)ドライエッチング
上記でTiマスクパターンを施したKNN薄膜付き基板を用いてドライエッチングによる微細加工を行った。ドライエッチングはCCP−RIE装置を用い、ガスはArを使用した。エッチング条件は、RF出力400W、チャンバー内圧力は0.25Torrとした。ドライエッチング後はTiマクスを取り除き、試料の断面観察を行い、エッチング停止の有無を判別した。
図2は、実施例1の下部積層電極6を用いた際のドライエッチング後の圧電膜素子1の断面電子顕微鏡像を示す図である。
図2より、KNN膜が微細加工され、下部積層電極でエッチングが停止できている様子が確認できる。なお、図示する試料は、ドライエッチング後のTiマスクの除去を行っていないものである。
(実施例2〜8、比較例1〜5)
実施例1と同様の手順で作成され、圧電膜素子1の下部積層電極6の積層構造を変更した実施例2〜8及び比較例1〜5を表1に示す。
表1に示す通り、第2の下部電極層5のエッチングストップ層5aにTiの他にCrやTi合金を用いた場合も下部積層電極6におけるエッチング停止が実現可能である。なお、面内の膜圧分布も考慮すると50nm以上のCrやTi合金を用いたエッチングストップ層5aが必要となる。
[変形例1]
上記手順によって微細加工されたKNN膜を備えるウエハに、さらに必要に応じて基板加工や素子分離(チップ化)を施してもよい。
また、KNN膜はスパッタ法を用いて成膜したが、ゾルゲル法、エアソゾル蒸着法、水熱合成法などの成膜方法を用いても同様の結果が得られる。
[変形例2](ゾルゲル法によるKNNの成膜)
ゾルゲル法や、MOD法により圧電体膜を形成する場合には、所望の組成式となるよう材料の組成比を調製した前駆体溶液を用いて塗布層を形成し、塗布層を結晶化することで圧電体膜を形成する。例えば、Naを含む有機化合物としてナトリウムエトキシド、カリウムを含む有機金属化合物としてカリウムエトキシド、ニオブを含む有機金属化合物としてニオブエトキシドを用い、これらを所望のモル比となるように混合し、さらにアルコールなどの有機培養を用いて溶解、分散して、前駆体溶液を作製する。
本変形例では、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、二オブエトキシドを所定のモル比で混合して作製した前駆体溶液を、下地層として100nm厚さのPt層が設けられたNbドープのSrTiO基板上に、スピンコート法により塗布し、ホットプレート上で乾燥、仮焼結した後、700℃〜800℃でアニール処理を施した。この工程を繰り返し行い、1.5μm厚さのKNN膜を形成した。
このゾルゲル法により形成したKNN膜に対し、マスクとしてTa(タンタル)を1.3μm厚さ形成し、本実施の形態の加工方法を行ったところ、上記スパッタにより成膜した圧電体膜と同様に、第2の下部電極層においてエッチングを選択的に停止することができた。
[変形例3](AD法によるKNNの成膜)
次に、エアロゾルデポジション法(AD法)により形成したKNN膜の加工を検討した。主原料としては、所望のKNN膜の組成と同じ組成比の原料粉末を用い、ヘリウムガスを搬送ガスとして成膜を行った。また、副原料としてエアロゾルデポジション法で成膜されやすい誘電体の結晶粉末を混合してもよい。副原料は、主原料に対し重量比で3〜10%程度とするとよい。
本変形例においては、具体的には、主原料である「K:Na:Nb:O=7.5:6.5:16:70(原子量%)」の原料粉末に対し、Alを副原料として混合した材料を用い、基板温度500℃として吹きつけを行い、10μm厚さのKNN膜を成膜した。なお、基板としては、150μm厚さのPt層を形成したSi基板を用いた。
このAD法により形成したKNN膜に対し、マスクとしてW(タングステン)を1.3μm厚さ形成し、本発明の加工方法を行ったところ、上記スパッタにより成膜した圧電膜と同様に、第2の下部電極層においてエッチングを選択的に停止することができた。
なお、本発明は、上記実施の形態及び上記実施例に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で変形して実施することが可能である。
1…圧電膜素子、2…基板、3…密着層、4…第1の下部電極層、5…第2の下部電極層、5a…エッチングストップ層、5b…下地層、6…下部積層電極、7…圧電膜、10…圧電体デバイス、11…デバイス基板、12…絶縁層、13…空隙、14…下部キャパシタ電極、15…絶縁層、16…上部キャパシタ電極、17…上部電極、18A、18B…ボンディングワイヤ

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成されたPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層と、
    前記第1の下部電極層上に形成されたTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層と、
    前記第2の下部電極層上に形成されたペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜と、
    前記圧電膜上に形成された上部電極とを備えたことを特徴とする圧電膜素子。
  2. 前記第2の下部電極層の厚さは、50nm以上500nm以下である請求項1に記載の圧電膜素子。
  3. 前記圧電膜は、組成式(K1−xNa)NbOで表され、前記xが0.4≦x≦0.7の範囲である請求項1又は2に記載の圧電膜素子。
  4. 基板上にPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層を形成し、
    前記第1の下部電極層上にTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層を形成し、
    前記第2の下部電極層上にペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜を形成し、
    前記圧電膜上にマスクパターンを形成し、
    前記マスクパターンを介してエッチングが前記第1又は第2の下部電極層で停止するように前記圧電膜をエッチングする工程を含む圧電膜素子の製造方法。
  5. 前記第2の下部電極層の厚さは、50nm以上500nm以下である請求項4に記載の圧電膜素子の製造方法。
  6. 前記圧電膜は、組成式(K1−xNa)NbOで表され、前記xが0.4≦x≦0.7の範囲である請求項4又は5に記載の圧電膜素子の製造方法。
  7. 前記エッチングは、前記第2の下部電極層で停止するように行われる請求項4又は5に記載の圧電膜素子の製造方法。
  8. 前記エッチングは、Arガスによるドライエッチングである請求項4〜7のいずれか1項に記載の圧電膜素子の製造方法。
  9. 基板と、前記基板上に形成されたPt又はPtを主成分とする合金からなる第1の下部電極層と、前記第1の下部電極層上に形成されたTi、Cr若しくはこれらのいずれかを主成分とする合金の単層又は積層体からなる第2の下部電極層と、前記第2の下部電極層上に形成されたペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電膜と、前記圧電膜上に形成された上部電極とを有する圧電膜素子と、
    前記圧電膜素子の前記圧電膜上に形成された上部電極と、
    前記圧電膜素子の一方又は両方の端部を支持する支持部材とを備え、
    前記圧電膜素子は、前記第1の下部電極層及び前記上部電極への電圧の印加によって変位可能な構成の圧電体デバイス。
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