JP2012253565A - クロマキー合成用グリーンスクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】クロマキー合成に当たり、人物の髪の毛先などの解像度限界部分においても、背景色と混じり合うことがなく、このため、映像合成後のコンピューターによる画像処理を不要とする。
【解決手段】クロマキー合成用グリーンスクリーンの少なくとも一方の表面に蛍光色層が設け、光反射部分の、L*a*b*表色系における(a*+b*1/2の値が110以上、L*が70以上95以下、a*が−100以上−70以下、b*が60以上90以下とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、映画やテレビ番組などの作製で、前景映像と背景映像とを合成する、いわゆる、クロマキー合成において利用されるグリーンスクリーンに関する。
映画やテレビ番組等の映像作製時などで、グリーンに着色したスクリーン(クロマキー合成用グリーンスクリーン)を背景にして、例えば人物だけを撮影し、この映像のグリーンの色情報をキー信号として、他の背景映像と置き換え、あたかも人物がその背景の中に現実に存在するかのように見せる映像合成が行われている。
最近、コンピューターによるデジタルグラフィックス技術の発展に伴い、より高品質な映像合成が求められてきている。しかしながら、従来の映像合成では、たとえば人物の髪の毛先などの解像度の限界部分で、背景色と前景色が混じり合い、被写体の輪郭と背景が不自然に合成されると云う問題があった。このために、単純に背景色のグリーンの色情報を置き換えるだけでなく、コンピューターを用いて背景色と被写体との輪郭の色変化を計算し、より自然な映像となるような画像処理を行う必要があり、この画像処理に多大な労力と費用がかかっている。
このような問題を解決するために、特開2004−7770公報(特許文献1)、特開2004−15520公報(特許文献2)、特開2001−16501公報(特許文献3)等で様々な提案がなされていたが、十分に問題が解決したとは云えなかった。
特開2004−7770公報 特開2004−15520公報 特開2001−16501公報
本発明は、上記従来の問題を解決する、すなわち、クロマキー合成に当たり、人物の髪の毛先などの解像度限界部分においても、背景色と混じり合うことがなく、このため、映像合成後のコンピューターによる画像処理が不要となるクロマキー合成用グリーンスクリーンを提供することを目的とする。
従来、クロマキー合成において、撮影に用いられる各種機材、照明方法、あるいは、合成後の処理方法について数多くの検討が行われていたが、スクリーンについての検討はほとんどなされておらず、従前のままのものが継続して使用されてきた。本発明者等はこのスクリーンについて詳細に検討を行い、本発明に至った。
すなわち、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、上記課題を解決するために請求項1に記載の通り、少なくとも一方の表面に蛍光色層が設けられていることを特徴とするクロマキー合成用グリーンスクリーンである。
また、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、上記課題を解決するために請求項2に記載の通り、前記一方の表面における光反射部分の、L***表色系における(a*2+b*21/2の値が110以上であることを特徴とするクロマキー合成用グリーンスクリーンである。
また、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、一方の表面における光反射部分が、L***表色系において、L*が70以上95以下、a*が−100以上−70以下、b*が60以上90以下であることを特徴とする。
また、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、編布または織布からなる二次元組織体の少なくとも一方の表面に蛍光グリーン色の樹脂が被覆されてなることを特徴とする。
また、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、前記二次元組織体の全面が前記樹脂により被覆されてなり、かつ、目付が50g/m2以上1000g/m2以上であることを特徴とする。
また、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、多数の貫通孔が設けられ、かつ、目付が50g/m2以上1000g/m2以上であることを特徴とする。
本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンによれば、従来用いられているままの機材での撮影映像による、クロマキー合成を行った段階で、人物等の輪郭が自然な映像となり、その毛先などの解像度限界部分においても、背景色と混じり合うことがないので、その後のコンピューターによる画像処理作業が不要となる。
従来技術に係るクロマキー合成用グリーンスクリーンを用いた場合の合成映像の例を示す写真である。 本発明に係るクロマキー合成用グリーンスクリーンを用いた場合の合成映像の例を示す写真である。
本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは少なくとも一方の表面に蛍光色層が設けられている。このような蛍光色層が、L***表色系における(a*2+b*21/2の値が110以上であると特に高い効果が得られ、クロマキー合成を行った映像が、人物等の輪郭が自然なものとなり、その毛先などの解像度限界部分においても、背景色と混じり合うことがない。
本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンは、従来のクロマキー合成機材をそのまま用いることができるために、その光反射部分が、L***表色系において、L*が70以上95以下、a*が−100以上−70以下、b*が60以上90以下であることが好ましい。
ここで、従来、用いられてきた一般的なクロマキー合成用グリーンスクリーンは、一方の表面を起毛させた、軟質なニット布2層とこれらの間の薄いウレタンフォームからなるサンドイッチ型のボンデッド・ファブリックからなり、上記の起毛面が黄緑色となっているものであり、軽く、取り扱い性が良いものであった。
しかし、その反面、汚れやすく、一旦汚れるとその汚れは除去できず、さらに汚れた部分はクロマキー処理で障害となるために、事実上の使い捨てとなり、高コストとなっていた。さらに、かさばるために、移動や保管に困難が生じることが多かった。
さらに、上記の従来のクロマキー合成用グリーンスクリーンでは軽量であるために風にそよいでしまい、風があるシーンでは照明によっては影ができてクロマキー処理の障害となり、それを防ぐために、厳重な固定が必要であると云う欠点があった。さらに、難燃化が困難であるために、照明灯の配線が錯綜する撮影現場での使用に不安があるとともに、火災シーンなどでは使用が困難であるという問題があった。
しかも従来のスクリーンでは上記構成により、吸水しやすいために、撮影時などで水を用いるシーンの後では重くなり、その後の処理にも苦労すると云う問題があった。
本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、編布または織布からなる二次元組織体の少なくとも一方の表面に蛍光グリーン色の樹脂が被覆されてなると、樹脂被覆部分を拭き取る、あるいは洗浄することにより、汚れた場合であっても容易に汚れを除去できるので好ましい。さらに裏面側も樹脂(必ずしも蛍光グリーン色の樹脂である必要はない)によって被覆されていると、吸水を効果的に防止することができるので、水を用いたシーンの後での取り扱い性が良好となる。
さらに上記のように編布または織布を用いることにより、強度が著しく高くなり、伸び、たるみなどの発生が効果的に防止されるために、耐久性が向上する。このような効果は特に織布を用いたときに高いので、織布を用いることが好ましい。
用いる編布または織布を構成する繊維としてはポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いることができるがこのうち、ポリエステルであるとタフネス、寸法安定性、防炎性に優れるために好ましい。
繊維としてはマルチフィラメント、トウ、ストランド、ヤーン(単糸、撚り糸)などを用いることができるが、マルチフィラメント、すなわち、単繊維24〜96本程度からなる糸であると薄く、かつ、タフネス、引き裂き強度が良好となるので好ましい。
本発明において用いる樹脂のベース成分としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及び、ポリウレタンが挙げられ、このような樹脂の中で特に軟質塩化ビニル樹脂であると経済性、生産性、加工性、取り扱い性、自己消火性に優れているので好ましい。
その他、本発明の効果を妨げることがない範囲において、上記樹脂に可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防炎剤、充填剤を配合することができ、また、本発明の効果を妨げない範囲において、艶消剤、抗菌剤、防かび剤、防汚剤を樹脂表面にコーティングすることができる。
さらに、樹脂に蛍光色性を付与するための蛍光着色成分としてはディスパースイエローなどが挙げられ、大日精化社などから入手できる。
本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、さらに二次元組織体の全面が前記樹脂により被覆されてなり、かつ、目付が50g/m2以上1000g/m2以上であると、風によるそよぎが防止されるので、風のある、例えば暴風シーンであっても厳重な固定が必要でなく、取り扱い性がよい。ここで目付が50g/m2未満であると風にはためきやすく破れやすくなり、1000g/m2超であると取り扱いが困難となる。このようなスクリーンは、樹脂被覆により、効果的に嵩密度が高くなっているので、上記のように従来のスクリーンに比べて高い目付であってもコンパクトとなるので保管や移動が容易となる。このように全面が樹脂により被覆されているスクリーンは、カレンダー法、メルトコーティング法、フィルムラミネート法、ゾルコーティング法などで製造することができる。
また、本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、多数の貫通孔が設けられ、かつ、目付が50g/m2以上1000g/m2以上であると、取り扱い性が著しく向上するとともに、空気の流通が可能となるために、風によるそよぎが効果的に防止される。また、目付が50g/m2未満であると、風によるはためきが生じやすくそのとき破れやすくなり、1000g/m2超であると十分な取り扱い性向上が得られにくい。
このような多数の貫通孔を有するクロマキー合成用グリーンスクリーンを得るためには、ペースト状の樹脂に織物を浸漬し引き上げるなどの方法で製造できる。
形成される貫通孔の大きさとしては撮影時の撮影機器により解像されたい大きさ以下であることが必要であるが、一般的な撮影の場合には4mm以下であることが必要である。
このような貫通孔を有するクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、貫通孔による開口率は5%以上40%以下であることが好ましい。5%未満であると十分な空気の流通性が得られにくく、風によるそよぎが大きくなり、40%超であると、クロマキー合成が困難となるおそれがある。
本発明のクロマキー合成用グリーンスクリーンにおいて、表面の蛍光色層を評価する方法としては分光測色計を用い、その表面のL***表色系の色空間値を調べる。そして、その(a*2+b*21/2の値が100を越えたときに蛍光性を有すると判断される。この(a*2+b*21/2の値が110以上であると高い効果が得られるので好ましい。
なお、多数の貫通孔を有するスクリーンの場合には、その貫通孔のない部分について色空間値を調べれば良いが、目の細かいメッシュ状のスクリーンの場合には、分光測色計の測定面に評価対象のスクリーン、及び、標準白色版(JIS K7105準拠)を重ねてL***表色系の色空間値(前者の値)を測定し、ついで、標準白色版のL***表色系の色空間値(後者の値)を測定し、メッシュ状のスクリーンの開口率によって前者の値から後者の値による影響を除くことで、光反射部分のL***表色系の色空間値を求めることができる。
以下に本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
250デニールのポリエステルマルチフィラメントからなる平織布(打ち込み22×24本/inch、目付50g/m2)の両面に、メルトコート法により表1に示す樹脂配合組成物(表1中配合量は純成分量)を、目付量が上地336g/m2(撮影時で撮影機側となる面)、下地136g/m2となるように被覆して、目付581g/m2、厚さ0.45mmの蛍光グリーン色のクロマキー合成用グリーンスクリーン(実施例1)を得た。このスクリーンの樹脂成分はポリ塩化ビニルであり、スクリーン自体も難燃性である。
このクロマキー合成用グリーンスクリーンのL***表色系の色空間値をミノルタCM−3600dにより測定したところ、それぞれ87.5、−87.5、81.8であり、このときの(a*2+b*21/2の値は120であった。また、θ(色相)は137、60°グロス値は1.8であった。
<実施例2>
250デニールのポリエステルマルチフィラメントからなる平織布(打ち込み24×25本/inch)55g/m2の両面に、ディップコート法により別表の配合組成物を、トータルの目付量が両面で128g/m2となるように被覆して、開口率32%、厚さ0.19mm、θ(色相)144、60°グロス値3.3のクロマキー合成用グリーンスクリーン(実施例2)を得た。このスクリーンの樹脂成分はポリ塩化ビニルであり、スクリーン自体も難燃性である。
また、分光測色計の測定面に評価対象のスクリーン、及び、標準白色版を重ねてL***表色系の色空間値を測定したところ、L***のそれぞれが、89.0,−65.2、46.9であり、標準白色版のL***表色系の色空間値は、97.58、−0.18、−0.42であったところから、次式群(1)
により、メッシュ状のスクリーンの開口率32%によって前者の値から後者の値による影響を除くことで、クロマキー合成用グリーンスクリーン(実施例2)の光反射部分のL***表色系の色空間値を求めたところ、それぞれ、85.0、−95.8、69.8であり、これら値より求めた(a*2+b*21/2の値は118であった。
[数1]
89.0=97.58×0.32+0.68L*
∴L*=(89.0−31.2)/0.68=85.0
−65.2=−0.18×0.32+0.68a*
∴a*=(−65.2+0.06)/0.68=−95.8
46.9=−0.42×0.32+0.68b*
∴b*=(46.9+0.13)/0.68=69.2
……(1)
<比較例>
市販のクロマキー合成用グリーンスクリーン(ローズブランド(ROSE BRAND)社製、デジタルキーグリーン(Digital Key Green)。一方の表面を起毛させた、軟質なニット布2層とこれらの間の薄いウレタンフォームからなるサンドイッチ型のボンデッド・ファブリックからなり、上記の起毛面が黄緑色となっているもの。厚さ1.24mm、目付202g/m2、θ131、60°グロス値1.7。比較例)について、光反射部分のL***表色系の色空間値を求めたところ、それぞれ、82.8、−63.8、74.2であり、これら値より求めた(a*2+b*21/2の値は98であった。
<評価>
これらクロマキー合成用グリーンスクリーンを用いて、全く同じ条件でスタジオで人物の撮影を行い、クロマキー合成により、戸外での撮影シーンと合成した。その合成結果のうち、比較例のスクリーンでの結果を図1に、実施例1のスクリーンでの結果を図2にそれぞれ示した。
これらの写真より、本発明に係るスクリーンでは人物と戸外での撮影シーンとが非常に自然に合成されているのに対し、従来のスクリーンでは人物の輪郭が白く縁取られていることが判る。従来のスクリーンを用いた場合の映像では、コンピューター処理による輪郭線の除去作業が必要になるのに対し、本発明に係るスクリーンを用いた場合の映像では、コンピューター処理による輪郭線の除去作業が不要であった。なお、実施例2のスクリーンでの結果は実施例1のスクリーンでの結果と同一であった。
上記同様に、ただし、人物撮影時に送風機を用いて人物の髪の毛を少しそよがせたところ、実施例1及び実施例2のスクリーンを用いた場合には、毛先(複数の毛から構成される)と背景とが違和感なく合成されたが、比較例のスクリーンを用いた場合には、毛先と背景との境界が白く縁取られていた。
上記同様に、ただし、人物撮影時に送風機を用いて人物の髪の毛を大きくそよがせたところ、実施例1及び実施例2のスクリーンを用いた場合には、ばらけた毛とと背景とが違和感なく合成された(毛がそよいだ部分の背景が、その部分の毛の存在を示し、黒っぽく見える)が、比較例のスクリーンを用いた場合には、ばらけた毛は背景に飲み込まれたように存在感がなくなってしまっていた。
なお、上記実施例のスクリーン、及び、それを用いて合成された映像を見た、映像制作担当のフレームアーティスト、及び、テクニカルディレクターによる意見・感想を以下記載する。
・グリーンの発色が従来と異なり、見ただけで、輪郭がにじむようなことがなくなると思った。
・従来品よりも均一なグリーンが得られている。
・Frame(auto desk)(クロマキー合成ソフトウェア)による処理で、修正がほとんど不要となっている。すごい。
・発色も良い点も評価できるが、火にも強く、水に対しても対応可能なのはすばらしい。
・是非スタッフにも使わせたい。なぜなら合成での後処理が短時間で済むからだ。

Claims (6)

  1. 少なくとも一方の表面に蛍光色層が設けられていることを特徴とするクロマキー合成用グリーンスクリーン。
  2. 前記一方の表面における光反射部分の、L***表色系における(a*2+b*21/2の値が110以上であることを特徴とするクロマキー合成用グリーンスクリーン。
  3. 前記一方の面の光反射部分が、L***表色系において、L*が70以上95以下、a*が−100以上−70以下、b*が60以上90以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーン。
  4. 編布または織布からなる二次元組織体の少なくとも一方の表面に蛍光グリーン色の樹脂が被覆されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーン。
  5. 前記二次元組織体の全面が前記樹脂により被覆されてなり、かつ、目付が50g/m2以上1000g/m2以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーン。
  6. 多数の貫通孔が設けられ、かつ、目付が50g/m2以上1000g/m2以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のクロマキー合成用グリーンスクリーン。
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