JP2012255103A - 樹脂組成物、光ピックアップ用樹脂組成物及び光ピックアップ用成形体 - Google Patents

樹脂組成物、光ピックアップ用樹脂組成物及び光ピックアップ用成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性、成形性(特に薄肉成形性)、機械的強度、接着性及び放熱性に優れた樹脂組成物及び光ピックアップ用樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を成形してなる、低バリ性であり、光軸ズレが抑制され、ウェルド強度に優れた光ピックアップ用成形体を提供すること。
【解決手段】(A)液晶ポリマー60〜96質量%及び(B)ポリアリーレンスルフィド40〜4質量%からなる樹脂組成物100質量部、及び(C)黒鉛30〜60質量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。必要に応じて、さらに(D)非繊維状無機フィラー30〜50質量部や、(E)繊維状無機フィラー20〜50質量部を含有していてもよい前記樹脂組成物。また、該樹脂組成物を成形してなる光ピックアップ用成形体。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、光ピックアップ用樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる光ピックアップ用成形体に関する。
従来、CD、DVD、Blu−Ray等の光ピックアップは、アルミダイキャストや亜鉛ダイキャスト等の金属ダイキャストにより製造されてきた。しかし、近年、製品のコストダウンや軽量化のニーズの高まりから、光ピックアップの樹脂化が検討され始め、徐々に金属から樹脂へと材料が置き換わりつつある。そのため、光ピックアップ用の樹脂材料には、個々の光学部品の機能に応じて、(射出)成形時の寸法精度、寸法安定性、成形性(流動性)、機械的強度、剛性、耐環境性(耐熱性、耐湿性、耐薬品性等)、放熱性、難燃性等の特性が求められる。
また、近年、CD、DVD等の高記録密度化や高速処理化に際して、これらの特性のうち、寸法安定性、特に、環境(温度、湿度等)の変化に対する光学系の光軸ズレを小さくすることが、厳しく要求されるようになってきた。一方で、光ピックアップの軽量化や省スペース化等の目的でハウジングの一部の薄肉化や、ノート型パーソナルコンピュータの普及に伴い、スリム型の光ピックアップの樹脂化が進められている。
従来は、光ピックアップ用の樹脂材料としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を含有する樹脂組成物が用いられることが多かった(例えば、特許文献1参照)。また、主に成形性や低バリ性を向上させたものとして液晶ポリマー(LCP)樹脂組成物が使用されることもあり、さらに、該LCP樹脂組成物に、異方性を低減する為に板状の充填材を添加して改良した樹脂組成物も知られている(特許文献2参照)。
特開2001−294751号公報 特開昭63−146959号公報
ところが、従来使用されてきた光ピックアップ用のPPS樹脂組成物では、前記特性、特に寸法安定性、成形性(流動性)、機械的強度及び放熱性等をバランス良く改善することができておらず、特にスリム型(成形品高さ(最大厚み)5mm程度)やウルトラスリム型(成形品高さ(最大厚み)3mm程度)の光ピックアップ部品などの、薄肉の製品に適用することが困難であった。
一方、LCP樹脂組成物は、成形性や低バリ性などではPPS樹脂組成物に勝るものの、接着性が低い為に、光学部品の固定精度が十分に発現しない、あるいは、材料特性の異方性により、成形品が変形するために光学特性が十分に発現しないなどの問題があり、レンズホルダなどの極めて限定的な用途にしか適用できなかった。
そこで、本発明の課題は、寸法安定性、成形性(特に薄肉成形性)、機械的強度、接着性及び放熱性に優れた樹脂組成物及び光ピックアップ用樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を成形してなる、低バリ性であり、光軸ズレが抑制され、ウェルド強度に優れた光ピックアップ用成形体を提供することにある。
本発明者等は、上記課題について鋭意検討を行った結果、液晶ポリマー(LCP)とポリアリーレンスルフィドと黒鉛を含有する樹脂組成物であれば、光ピックアップ用として良好な特性、つまり寸法安定性、成形性(特に薄肉成形性)、機械的強度、接着性及び放熱性に優れること、さらに該樹脂組成物を成形してなる光ピックアップ用成形体であれば、低バリ性であり、光軸ズレが抑制され、ウェルド強度に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]〜[5]に関する。
[1](A)液晶ポリマー60〜96質量%及び(B)ポリアリーレンスルフィド40〜4質量%からなる樹脂組成物100質量部、及び(C)黒鉛30〜60質量部
を含有することを特徴とする樹脂組成物。
[2]光ピックアップ用である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]さらに(D)非繊維状無機フィラー30〜50質量部を含有する、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]さらに(E)繊維状無機フィラー20〜50質量部を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる、光ピックアップ用成形体。
本発明によれば、寸法安定性、成形性(特に薄肉成形性)、機械的強度、接着性及び放熱性に優れる樹脂組成物及び光ピックアップ用樹脂組成物、並びに低バリ性であり、光軸ズレが抑制され、ウェルド強度に優れた光ピックアップ用成形体を提供することができる。該樹脂組成物を用いることにより、スリム型(成形品高さ(最大厚み)5mm程度)やウルトラスリム型(成形品高さ(最大厚み)3mm程度)の光ピックアップを提供することも可能となる。
実施例及び比較例にて用いた、肉厚2.0mmの光ピックアップハウジングモデル型の外観を示す写真である。 実施例及び比較例における、光ピックアップハウジングモデル型のウェルド強度の評価方法の説明を補足する写真である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)液晶ポリマー60〜96質量%及び(B)ポリアリーレンスルフィド40〜4質量%からなる樹脂組成物100質量部、及び(C)黒鉛30〜60質量部を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
まず、本発明の樹脂組成物の各成分について以下に詳細に説明する。
((A)液晶ポリマー(LCP;Liquid Crystal Polymer))
液晶ポリマーは、溶融状態にて分子の直鎖が規則正しく並んだ液晶様性質を示すものであり、通常は、芳香族ポリエステル系樹脂であるため、液晶ポリエステルとも呼称される。液晶ポリマーとしては、サーモトロピック型液晶ポリマー(サーモトロピック型液晶ポリエステル)が好ましく用いられる。該液晶ポリマーとしては、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものが好ましく用いられる。
液晶ポリマーは、(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位[以下、構造単位(1)と称することがある]、(2)芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位[以下、構造単位(2)と称することがある]、(3)芳香族ジオールに由来する構造単位[以下、構造単位(3)と称することがある]の少なくとも1つを有していることが好ましい。なお、液晶ポリマーが該構造単位(2)を有する場合、構造単位(1)及び/又は(3)も有し、構造単位(3)を有する場合、構造単位(1)及び/又は(2)も有する。
前記(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位としては、以下の式で示される構造単位が挙げられる。
これらの構造単位は、芳香族環上にアルキル基、ハロゲン原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基(「各種」は、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状を含むことを示し、以下同様である。)、各種ブチル基、各種ペンチル基などが挙げられ、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレン基などが挙げられ、環形成炭素数6〜20のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
該(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位としては、1つだけを有していてもよいし、2つ以上を有していてもよい。
前記(2)芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位としては、以下の式で示される構造単位が挙げられる。
これらの構造単位は、芳香族環上にアルキル基、ハロゲン原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。該アルキル基、ハロゲン原子、アリール基としては、前記同様のものが例示でき、好ましいものも同じである。該(2)芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位としては、1つだけを有していてもよいし、2つ以上を有していてもよい。
前記(3)芳香族ジオールに由来する構造単位としては、以下の式で示される構造単位が挙げられる。
これらの構造単位は、芳香族環上にアルキル基、ハロゲン原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。該アルキル基、ハロゲン原子、アリール基としては、前記同様のものが例示でき、好ましいものも同じである。該(3)芳香族ジオールに由来する構造単位としては、1つだけを有していてもよいし、2つ以上を有していてもよい。
なお、液晶ポリマー及び樹脂組成物の耐熱性の観点から、液晶ポリマーの流動開始温度を高めるためには分子鎖の直線性を向上させることが好ましく、この観点からは、前記いずれの構造単位においても置換基を有していないことが好ましい。
(A)成分としては、(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位を有しているものであることがより好ましく、(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位を2つ以上有しているものであることがさらに好ましく、p−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する下記2つの構造単位を有しているものであることが特に好ましい。さらに、該p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位との割合は、液晶ポリマー及び樹脂組成物の耐熱性及び機械的強度の観点から、モル比で、1:99〜99:1であることが好ましく、10:90〜99:1であることがより好ましく、30:70〜99:1であることがさらに好ましく、55:45〜95:5であることが特に好ましい。
(液晶ポリマーの製造方法)
液晶ポリマー(液晶ポリエステル)の製造方法に特に制限はなく、公知の方法によって製造することができる。例えば、芳香族ジオールや芳香族ヒドロキシカルボン酸が有するフェノール性ヒドロキシル基を、無水酢酸等の脂肪酸無水物によってアシル化することによってアシル化物を得、得られたアシル化物が有するアシル基と、芳香族ジカルボン酸や芳香族ヒドロキシカルボン酸のアシル化物が有するカルボキシル基とが、エステル交換を起こすようにして重合させることによって、液晶ポリマーを製造することができる。
((B)ポリアリーレンスルフィド)
(B)成分は、ポリアリーレンスルフィド及び樹脂組成物の耐熱性及び機械的物性の観点から、構造式−[Ar−S]−(式中、Arは、環形成炭素数6〜12のアリーレン基を表す。)で示される繰り返し単位を70モル%以上(より好ましくは90モル%以上)含有する重合体が好ましく、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を70モル%以上(より好ましくは90モル%以上)有するものがより好ましく、ポリフェニレンスルフィド(PPS)であることがさらに好ましい。
(式中、R1は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子を表す。mは0〜4の整数を表す。)
1が表す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基、各種ペンチルオキシ基が挙げられる。カルボン酸金属塩基の金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
mは、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
前記構造式(I)で示される繰り返し単位は、下記構造式(I’)で示される繰り返し単位であることが好ましい。
(式中、R1及びmは、前記定義の通りである。)
ポリアリーレンスルフィドは、一般にその製造法により、実質上線状であり、分岐や架橋構造を有しない分子構造のもの(リニア型)と、熱架橋法により分岐や架橋構造を有する構造のもの(架橋型、セミリニア型(セミ架橋型))が知られているが、本発明においてはその何れのタイプのものについても有効である。他にも、モノマーとして、3個以上の官能基を有するモノマーを少量混合使用して重合した、分岐又は架橋型のポリアリーレンスルフィドも有効に用いることができる。
これらの中でも、ポリアリーレンスルフィドとしては、機械的強度等の観点から、リニア型、セミリニア型が好ましく、セミリニア型がより好ましい。
ポリアリーレンスルフィドは、前記構造式−Ar−S−(式中、Arは、環形成炭素数6〜12のアリーレン基を表す。)で示される繰り返し以外の構造単位を含んでいてもよい。例えば、p,p'−ジフェニレンケトンスルフィドに由来する構造単位、p,p'−ジフェニレンスルホンスルフィドに由来する構造単位、p,p'−ビフェニレンスルフィドに由来する構造単位、p,p'−ジフェニレンエーテルスルフィドに由来する構造単位、p,p'−ジフェニレンメチレンスルフィドに由来する構造単位、p,p'−ジフェニレンクメニルスルフィドに由来する構造単位、ナフチルスルフィドに由来する構造単位などが挙げられる。
さらにポリアリーレンスルフィドは、2種以上のポリアリーレンスルフィドの混合物であってもよい。
前記ポリアリーレンスルフィドは、例えばジハロゲン化芳香族化合物(例えばp−ジクロロベンゼン)と硫黄源(例えば硫化ソーダ)とを有機極性溶媒(例えばN−メチルピロリドン等)中で、触媒(例えばカルボン酸のアルカリ金属塩、水等)の存在下に反応させることにより製造することができる。
本発明で用いるポリアリーレンスルフィドは、樹脂温度300℃、せん断速度1200sec-1における溶融粘度が、好ましくは5〜500Pa・s、より好ましくは5〜200Pa・s、より好ましくは5〜100Pa・s、さらに好ましくは5〜50Pa・sである。この溶融粘度が500Pa・s以下であれば、成形時の流動性が低下して成形体の寸法精度が悪化することがなく、光ピックアップの光軸のズレを抑制できる。一方、溶融粘度が5Pa・s以上であれば、機械的強度が実用上好ましい程度となる。
本発明の樹脂組成物においては、(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計量に対して4〜40質量%、好ましくは4〜35質量%、より好ましくは10〜35質量%、さらに好ましくは20〜35質量%、特に好ましくは20〜30質量%である。40質量%を超えると、機械的強度及びウェルド強度が小さくなると共に、低バリ性が著しく低下して光ピックアップの光学系を汚染する恐れが生じる。一方、4質量%未満であると、寸法安定性が低下して光軸ズレも大きくなり、かつ接着性が低下するため、いずれの場合も、光ピックアップ用としての利用が困難になる。
((C)黒鉛)
黒鉛は、天然黒鉛を特に制限無く使用でき、例えば、土状黒鉛、鱗状黒鉛であってもよいし、球状化した黒鉛、薄片化した黒鉛であってもよい。また、石油コークス等を成形、焼成し、さらに超高温で高度黒鉛化した人造黒鉛を使用することもできる。製造コストの観点からは、天然黒鉛を使用することが好ましい。天然黒鉛の中でも、樹脂組成物の成形性や放熱性の観点から、鱗状黒鉛が好ましい。
黒鉛の平均粒径(50%累積径)に特に制限はないが、樹脂組成物の機械的強度の観点から、20〜180μm程度のものが好ましく、より好ましくは20〜150μm、より好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは20〜60μm、特に好ましくは40〜60μmである。なお、黒鉛の平均粒径は、JIS R1629に準じ、レーザー回折散乱法で測定することができる。
本発明の樹脂組成物において、(C)成分の配合量は、前記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して30〜60質量部であり、好ましくは40〜60質量部、より好ましくは50〜60質量部である。30質量部未満では、十分な放熱性とならず、光ピックアップの性能を維持するのに必要な放熱性が不足する。一方、60質量部を超えると、成形性が低下し、機械的強度及びウェルド強度が著しく低下する。
((D)非繊維状無機フィラー)
本発明の樹脂組成物は、前記成分のほかに、さらに(D)非繊維状無機フィラーを含有していてもよい。
非繊維状無機フィラーとしては、例えば、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、タルク、アルミナシリケートなどの粘土鉱物(珪酸塩);酸化珪素;アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属の硫酸塩;ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。これらの中でも、粘土鉱物(珪酸塩)が好ましく、タルクがより好ましい。
なお、該非繊維状無機フィラーは、シラン系やチタネート系のカップリング剤で予備処理して機械的強度を高めたものであってもよい。
非繊維状無機フィラーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は、前記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは20〜60質量部、より好ましくは30〜50質量部、さらに好ましくは40〜50質量部である。20質量部以上であれば、寸法安定性が良好となり、一方、60質量部以下であれば、成形性が良好であり、機械的強度及びウェルド強度が良好となる。
((E)繊維状無機フィラー)
本発明の樹脂組成物は、前記成分のほかに、さらに(E)繊維状無機フィラーを含有していてもよい。
繊維状無機フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石こう繊維、金属繊維の他、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカなどのウィスカ状充填剤、及びワラステナイトやアスベストなどが挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維が好ましい。
なお、該繊維状無機フィラーは、シラン系やチタネート系のカップリング剤で予備処理して機械的強度を高めたものであってもよい。
繊維状無機フィラーの形状としては、クロス状、マット状、集束切断(チョップドストランド)状、短繊維、フィラメント状のものなどがあり、集束切断状であることが好ましい。集束切断状である場合、平均繊維径は好ましくは5〜20μm(より好ましくは8〜15μm)であり、平均繊維長は好ましくは1〜5mm(より好ましくは2〜4mm)である。
繊維状無機フィラーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、前記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは15〜60質量部、より好ましくは20〜50質量部、さらに好ましくは30〜45質量部である。15質量部以上であれば、機械的強度が良好となり、光ピックアップの落下時の耐衝撃強度が良好となる。一方、60質量部以下であれば、材料特性に異方性が生じることがなく、また、ウェルド強度が良好となる。
(その他の成分)
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイトなどの酸化防止剤や、熱安定剤、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、その他、帯電防止剤、難燃剤、核剤、顔料等の各種添加剤を含有してもよい。
(樹脂組成物の調製方法及び成形方法)
本発明の樹脂組成物の調製方法に特に制限はないが、例えば各成分をタンブラーミキサーやヘンシェルミキサー等の混合機によって均一に混合した後、一軸押出機や二軸押出機にて好ましくは250〜380℃(より好ましくは280〜350℃)で溶融混練することによって本発明の樹脂組成物を得ることができる。さらに、射出成形、押出成形、溶媒成形、プレス成形、熱成形等の通常の成形方法によって成形することができる。
(樹脂組成物を成形してなる成形体の物性及び特性)
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体は、実施例に記載の方法によって測定される接着直後の破壊荷重が3kgf以上であり、好ましいものでは3.3〜3.6kgfであり、接着性に優れる。また、接着した後、ヒートショック試験をした後の破壊荷重も3kgf以上であり、好ましいものでは3.7〜4.1kgfであり、接着性に優れる。
実施例に記載の方法によって測定される熱伝導率は、6W/m・K以上であり、おおよそ6.2〜7.8W/m・Kであり、放熱性に優れる。実施例に記載の方法によって測定されるスパイラルフロー長さは200〜270mm、より詳細には230〜260mmであり、成形性に優れる。実施例に記載の方法によって測定される引張強度は、70MPa以上であり、おおよそ70〜92MPaであり、機械的強度に優れる。同様に、曲げ強度は120MPa以上であり、おおよそ123〜140MPaであり、機械的強度に優れる。同様に、アイゾット衝撃強度は、5kJ/m2以上であり、おおよそ5.2〜9.3kJ/m2であり、耐衝撃性に優れる。
また、実施例に記載の方法によって測定される線膨張係数は、MD方向がおおよそ0.7×10-5/K〜1.2×10-5/Kであり、TD方向がおおよそ1.0×10-5/K〜1.7×10-5/Kであり、寸法安定性に優れる。
さらに、本発明の光ピックアップ用成形体は、低バリ性であり、実施例に記載の方法によって測定される光軸ズレが2.5分以内であり、好ましいものでは0.9〜2.3分であり、光軸ズレが小さい。実施例に記載の方法によって測定されるウェルド強度は、10kgf以上であり、おおよそ11.8〜15.3kgfであり、ウェルド強度に優れる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1〜6、比較例1〜4>
表1に記載の各配合量(単位:質量部)にて各成分を、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、二軸押出機「TEM35」(東芝機械社製)を用い、この押出機のシリンダ温度を320℃に設定して溶融混練し、ペレットを製造した。
得られたペレットを用いて、以下の方法に従って、接着性、放熱性(熱伝導率)、成形性(流動性)、引張強度、曲げ強度、アイゾット衝撃強度及び寸法安定性(線膨張係数)を測定及び評価した。さらに、光ピックアップとしての特性、つまりバリ性、光軸ズレ及びウェルド強度を測定及び評価した。
(1.接着性)
日本製鋼所製の50T射出成形機により80×80×3.2mmの平板を成形し、サンプルとした。該平板に、φ5mmの穴をあけ、片側から穴をふさぐように、10×10×2mmのアルミニウム板を接着剤「8813」(協立化学産業株式会社製)にて固定した。接着箇所は、アルミ板角部4箇所とし、各箇所にて、前記接着剤を5mgずつ使用した。接着剤を硬化した後、フォースゲージを用い、穴の開口側からアルミ板を押して抜いた際の最大荷重(単位:kgf)を計測した。
なお、接着直後の初期状態と、−40℃(30分)〜85℃(30分)のヒートショック試験100サイクル後の状態の両方について、上記接着性試験を実施した。
破壊加重が3kgf以上であると、接着性が良好であるといえる。
(2.放熱性)
日本製鋼所製の50T射出成形機により80×80×3.2mmの平板を成形し、サンプルとし、熱伝導率の測定をホットディスク法にて行い、放熱性の指標とした。具体的には、UNITHERMTM 2021(ANTER社製)を使用し、23℃での熱伝導率を測定した。熱伝導率が高いほど、放熱性に優れることを示す。
(3.成形性(流動性))
スパイラル流動長:30トン射出成形機(東芝機械株式会社製)により、厚み1mmのスパイラルフロー金型を用いて、樹脂温度320℃、金型温度135℃、射出圧力100MPaの条件下に、厚さ1mmの試験片を作成し、その際のスパイラルフロー長さを測定した。該スパイラルフロー長さを成形性(流動性)の指標とした。スパイラルフロー長さが200〜270mmであると成形性(流動性)が良好である。
(4.引張強度)
ASTM D638に準拠して、引張強度を測定した。
(5.曲げ強度)
ASTM D790に準拠して、曲げ強度を測定した。
(6.アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠して、アイゾット衝撃強度を測定した。
(7.寸法安定性(線膨張係数))
ASTM E831に準拠して線膨張係数を測定し、寸法安定性の指標とした。
[9.光ピックアップハウジングにおける各特性の評価]
光ピックアップハウジングモデル型にて前記ペレットを射出成形し、主軸及び副軸をシャフトにて固定した状態で下記試験を行った。試験に用いた光ピックアップハウジングモデル型は、図1に示す外形を有するものである。
(9.1.バリ性)
光ピックアップハウジングモデル型におけるφ2.8mmの突き当てピン穴部を光学顕微鏡で観察し、バリの有無を目視判断し、低バリ性の程度について下記評価基準に従って評価した。
◎:バリが全く無い。
○:バリは認められたが、非常に小さく、バリを取り除く必要がなかった。
×:バリが大きく、取り除く必要がある。
(9.2.光軸ズレ)
オートコリメータを使用し、石英ガラス製の基準サンプルで戻り光の傾きを0分に調整した後、光ピックアップハウジングにリフレクトミラーを設置し、主軸及び副軸をシャフトにて固定した状態で、ミラーで反射した戻り光の光軸傾きを測定した。
次に、直径20cmの円柱型のオーブンと、そのオーブンの中心へ垂直にレーザー光を照射する機構及びレーザーの反射光の反射角を測定するレーザーオートコリメーター「MTS−2」(日商エレクトロニクス株式会社製)を用い、以下のようにして測定した。まず、光ピックアップハウジングモデル型にハーフミラーを所定の位置にセットした。次いで、この光ピックアップハウジングモデル型を、前記オーブン中に、ハーフミラー面が水平になるようにして固定し、室温(23℃)にてレーザー光を照射してその反射角を測定した。続いて、オーブンを80℃とし60分間保った後、再度レーザー光を照射して、その反射角を測定した。80℃における反射角と室温(23℃)における反射角の差を光軸のズレ(単位:分)とした。なお、非接触角度測定機構の分解能は、0.02分である。
光軸ズレは、2.5分以内であることが好ましい。
(9.3.ウェルド強度)
図2に示すように、光ピックアップハウジングモデル型の主軸部のうちの一方(右側)のみ、及び副軸部を、金属の治具に固定されたシャフトに通し、主軸部を上、副軸部を下にして垂直に設置した。主軸部のうちシャフトを通していない方にフォースゲージにて負荷をかけ、シャフトを通した右側主軸部が破壊する荷重(単位:kgf)を求めた。
破壊する荷重が10kgf以上であると、主軸部のウェルド強度が高くて好ましい。
(表1中の注釈の説明)
*1:液晶ポリマー「A−2500」、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位からなる液晶ポリエステル、上野製薬株式会社製
*2:ポリフェニレンスルフィド「H1G」、セミリニア型PPS、300℃,1200/sにおける溶融粘度が10〜20PaS、DIC株式会社製
*3:鱗状黒鉛「CB−150」、平均粒径50μm、日本黒鉛商事製
*4:「MS−K」、日本タルク株式会社製
*5:「CS 03 JA FT 591」、チョップドストランド(収束切断)タイプ、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm、オーウェンスコーニング社製
表1より、本発明の樹脂組成物は、寸法安定性、成形性(特に薄肉成形性)、機械的強度、接着性及び放熱性に優れており、かつ、光ピックアップ用成形体としたとき、低バリ性であり、光軸ズレが抑制されており、ウェルド強度に優れていることがわかる。
一方、(B)成分を含有していない場合(比較例1)、樹脂組成物の接着性が低くなり、さらに光ピックアップ用成形体とした場合には、光軸ズレが大きいという問題があることがわかる。(A)成分と(B)成分との含有比率が不適切であると(比較例2)、光ピックアップ用成形体とした場合に、バリが多く見られ、さらにウェルド強度が低くなった。(C)成分の含有量が少ないと(比較例3)、光ピックアップ用成形体とした場合に、光軸ズレが大きく、一方、(C)成分の含有量が多いと(比較例4)、初期の接着性に乏しく、かつ光ピックアップ用成形体とした場合に、ウェルド強度が低くなった。
本発明の樹脂組成物は、寸法安定性、成形性(特に薄肉成形性)、機械的強度、接着性及び放熱性に優れており、且つ該樹脂組成物を用いた成形体は、低バリ性であり、光軸ズレが抑制されており、かつウェルド強度に優れているため、CDやDVDなどの光ピックアップ用として有用である。光ピックアップ用成形体には、保持容器や光ピックアップ基盤などがあるが、特に光ピックアップ基盤に適用した場合、それを用いた光ピックアップ装置が70℃を超える高温下に置かれても、光軸のズレを抑制する効果が著しい。したがって、記録容量が大きく、また、書き込み可能なCD−R、CD−RW、DVD−RAMなどの光ピックアップ用部品、特に光ピックアップ基盤として本発明の樹脂組成物の成形体を利用することが有用である。

Claims (5)

  1. (A)液晶ポリマー60〜96質量%及び(B)ポリアリーレンスルフィド40〜4質量%からなる樹脂組成物100質量部、及び(C)黒鉛30〜60質量部
    を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 光ピックアップ用である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに(D)非繊維状無機フィラー30〜50質量部を含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに(E)繊維状無機フィラー20〜50質量部を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる、光ピックアップ用成形体。
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