JP2012255191A - アルミニウム合金 - Google Patents

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【課題】 表面粗度が小さく、バフ研磨無しでも光輝性に優れた押出形材が得られるアルミニウム合金の提供。
【解決手段】 Siを0.30〜0.60wt%、Mgを0.35〜0.65wt%、Bを0.015〜0.054wt%含有することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、表面粗度が小さく、バフ研磨無しでも光輝性に優れた押出形材が得られるアルミニウム合金に関する。
A6063、A6061等の6000系のアルミニウム合金は、押出形材にして建材や家具、家電製品等に、広く用いられている。しかし従来のアルミ押出形材は、ダイスから押出したときにダイラインと呼ばれる細かいスジが表面に多数形成され、そのため表面が平滑ではなく、光輝性も低いものであった。オーディオパネル等の高い意匠性が求められるものでは、押出後にバフ研磨を行ってダイラインを無くしている。
本発明は以上に述べた実情に鑑み、表面粗度が小さく、バフ研磨無しでも光輝性に優れた押出形材が得られるアルミニウム合金の提供を目的とする。
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるアルミニウム合金は、Siを0.30〜0.60wt%、Mgを0.35〜0.65wt%、Bを0.015〜0.054wt%含有することを特徴とする。
従来のアルミ押出形材の表面にダイラインが形成されるのは、押出中にダイスのベアリングにアルミが厚く不均一にコーティングされ、このアルミコーティングが形材の表面に転写されるためと考えられる。請求項1記載の発明によるアルミニウム合金は、Bを0.015〜0.054wt%添加したことで、Bによって生成する化合物がダイスのベアリングをクリーニング(研磨)する作用があり、これによりベアリング上のアルミコーティングが薄く均一に形成されるため、ダイラインが抑制され、表面粗度が小さく光輝性に優れた押出形材が得られる。Siを0.30〜0.60wt%、Mgを0.35〜0.65wt%含有することで、機械的性質や押出性も概ね良好である。
押出形材の断面形状の一例を示す図である。 B含有量と表面粗さとの関係を示すグラフである。 実施例2と比較例1による押出形材の外観の写真である。 (a)はダイスの模式図であり、(b)は実施例2と比較例1を押出したダイスのベアリングの写真である。 実施例1〜4及び比較例1による押出形材の断面組織観察写真である。 実施例4による押出形材の断面組織観察写真と、その中の粒子1,2の拡大写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明のアルミニウム合金は、Siを0.30〜0.60wt%、Mgを0.35〜0.65wt%、Bを0.015〜0.054wt%含有する。さらに不純物として、Fe、Mn、Ti、Cu等を含有する場合がある。以下、各成分の働きや成分範囲をこのように限定した理由について説明する。
Siは、MgSiを析出させて材料に強度を付与するために添加されるものであり、含有量増とともに強度が向上する。Siが0.60wt%より多いと押出加工性及び表面性状が低下し、Siが0.30wt%より少ないと強度が低下する。よって、概ね良好な押出性と強度と表面性状を確保するため、Siは0.30〜0.60wt%とした。Siの含有量を0.40〜0.48wt%とすると、押出性と機械的性質をバランスよく向上させられるので、より好ましい。
Mgは、MgSiを析出させて材料に強度を付与するために添加されるものであり、含有量増とともに強度が向上する。Mgが0.65wt%より多いと押出加工性及び表面性状が低下し、Mgが0.35wt%より少ないと強度が低下する。よって、概ね良好な押出性と強度と表面性状を確保するため、Mgは0.35〜0.65wt%とした。Mgの含有量を0.45〜0.53wt%とすると、押出性と機械的性質をバランスよく向上させられるので、より好ましい。
Bは、JIS A6063合金に通常は添加されないが、Bを微量添加すると、Bによって生成する化合物によるダイスベアリングのクリーニング作用により、押出形材の表面が平滑化する効果が得られる。Bが0.054wt%より多いと、ビレットの鋳造が困難になり、Bが0.015wt%より少ないと表面平滑化効果が十分に得られない。よってBは、0.015〜0.054wt%とした。
Feは、不純物として存在するものであり、多すぎると押出形材の表面性状、強度が低下する。Feの含有量は、おおむね0.07〜0.13wt%が好ましい。
Mnは、微量添加により強度、表面性状が向上する。多すぎると効果が無い。Mnの含有量は、おおむね0.02〜0.05wt%が好ましい。
次に、本発明のアルミニウム合金より押出形材を製作する手順を説明する。まず、上述の元素が添加されたアルミニウム合金溶湯を用い、従前の連続鋳造方法によりビレットを製作する。次に、ビレットの組織を均質化するために、そのビレットを一般的な温度、時間にて均質化処理する。その後、ビレットを熱間押出加工して所定の断面形状に押出す。その後、押出した形材に対して人工時効硬化処理の後、必要に応じてアルマイト処理等の表面処理を行う。均質化処理、熱間押出加工、人工時効硬化処理は、A6063合金における通常の条件で行うことができる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。表1は、実施例、比較例の合金成分を示している。比較例1はBを含有しないもの、比較例2,3はBの含有量が請求項1の範囲から外れるもの、比較例4はSi,Mgの含有量が請求項1の範囲から外れるものである。表2は、実施例、比較例の合金を押出したときの押出状況と、押出後のダイス観察結果を示している。図1は、押出した形材の断面形状を示しており、オーディオパネルに用いられるものである。
表2に示すとおり、実施例1〜5、比較例1〜3については押出状況は良好であり、押出後のダイスにも特に問題は無い。実施例6は、Si,Mgの含有量が多いため、実施例1〜5と比較すると押出性は若干悪くなるが、概ね良好である。比較例4は、実施例6よりもさらにSi,Mgの含有量が多いため、さらに押出性が悪くなる。
表3は、実施例と比較例の押出形材をT5熱処理したものの引張強さ、耐力、伸びを示している。
表3に示すように、Bを0.02〜0.05wt%含有する実施例1〜4と、Bを含有しない比較例1とを比較すると、引張強さ、耐力、伸びともにさほど違いはないことが確認された。実施例1〜6は、いずれもA6063T5の規格を十分に満足する高い強度を有する。特に実施例6は、Si,Mgの含有量が多いため、実施例1〜5よりも引張強さと耐力が高い。
表4は、実施例と比較例の押出形材の表面粗さRa,Rzと生地光沢度を示している。また、B含有量と表面粗さRaとの関係を図2に示す。図3は、実施例2と比較例1の合金より作成した押出形材の外観の写真である。
表4と図2に示すように、Bを含有しない比較例1では表面粗さRaが約0.3μmであるのに対して、Bを0.02〜0.05含有する実施例1〜6では、Raが約0.1μm以下と大幅に小さい。生地光沢度も、実施例1〜6は、Bを含有しない比較例1と比べて大幅に向上する。実施例1〜6の内では、B含有量の多少によって表面粗さ、光沢度ともに大きな違いはないが、Si,Mgの含有量の多い実施例6は、実施例1〜5と比較して若干表面粗さが大きい。図3に示すように、実施例1〜6の押出形材の表面は、ダイラインが目立たず、バフ研磨をしたような鏡面状になる。B含有量が0.015wt%より少ない比較例1と比較例2は、Bを含有しない比較例1よりは表面粗さが小さくなるものの、Raは0.1μmよりも大きいレベルで、ダイラインも目立つ状態となる。
以上の結果より明らかなように、Bを0.015〜0.054wt%添加することで、押出後にバフ研磨をしなくても、ダイラインが目立たない平滑な表面の押出形材を得ることができる。
実施例2と比較例1の押出形材にアルマイト処理(シルバー、ダークブロンズ)を行い、表面外観を観察した。その結果を表5に示す。
表5に示すとおり、実施例2、比較例1とも、アルマイトによる表面欠陥の発生は無く、Bを添加した本発明の実施例においても表面処理性が良好であることを確認した。
Bを微量添加することにより押出形材の表面が平滑になる原因を調べるため、図4(a)に示すように、Bを0.03wt%含有する実施例2を押出したダイスと、Bを含有しない比較例1を押出したダイスを上下に分割し、そのベアリングを観察した。図4(b)はそのベアリングの拡大写真である。図4(b)に示すように、比較例1のもの(右側)は、ベアリングにアルミコーティングが厚く不均一に形成されているのに対して、実施例2のもの(左側)は、アルミコーティングが薄く均一に形成されている。アルミコーティングの表面粗さを測定したところ、実施例2のものはRa=0.05μm、比較例1のものではRa=0.24μmであった。押出形材の表面は、ダイスのベアリングのアルミコーティングが転写されて形成されるため、このようにアルミコーティングが薄く均一になったことで、押出形材の表面が平滑になるものと考えられる。
図5は、実施例1〜4と比較例1による押出形材の断面組織の写真である。同図に示すように、Bの添加量が多くなるにつれて、比較的大きな黒い粒子が目立って増えていることが分かる。図6は、その粒子を拡大した写真である。これらの粒子は、添加されたBによって生成された化合物であり、これらの粒子がダイスのベアリングをクリーニング(研磨)することでベアリングのアルミコーティングが薄く均一になり、それに伴って押出形材の表面が平滑になるものと考えられる。
以上に述べたように、Bを0.015〜0.054wt%添加した本発明のアルミニウム合金は、Bによって生成する化合物がダイスのベアリングをクリーニング(研磨)する作用があり、これによりベアリング上のアルミコーティングが薄く均一に形成されるため、ダイラインが抑制され、バフ研磨をしなくても、表面粗度が小さく光輝性に優れた押出形材が得られる。Siを0.30〜0.60wt%、Mgを0.35〜0.65wt%含有することで、機械的性質や押出性も概ね良好である。特に、Siを0.40〜0.48wt%、Mgを0.45〜0.53wt%含有するものは、押出性と機械的性質をバランスよく向上させられるので、生産性、汎用性に優れ、表面性状も一層優れたものとなる。
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。合金成分は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更することができる。ビレットの均質化処理の条件、押出条件、押出形材の断面形状、押出後の時効処理の条件は任意である。本発明のアルミニウム合金の用途は任意であり、例えばサッシや手すり等の建材、家具、電気製品、自動車等の部品等に用いることができる。

Claims (1)

  1. Siを0.30〜0.60wt%、Mgを0.35〜0.65wt%、Bを0.015〜0.054wt%含有することを特徴とするアルミニウム合金。
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