JP2012255577A - ループヒートパイプ及び該ヒートパイプを備えた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸発器に内臓されたウィック中に、始動時に作動液が残留していても始動をスムーズに行うことができるループヒートパイプを提供する。
【解決手段】外部から加熱される蒸発器1と、外部に熱を放散する凝縮器2と、蒸発器2から蒸発器1に作動液の蒸気7を送る蒸気管3と、凝縮器2から蒸発器1に作動液6を送る液管4とを備え、蒸発器1にウィック5を内蔵するループヒートパイプ10において、蒸発器1の蒸気管3側の外壁に蓄熱材11を配置して、動作初期の蒸発器1の液管4側の温度上昇速度を蒸気管3側の温度上昇速度よりも速くすることにより、蒸発器1に残留する液相の作動液を短時間で蒸発器1から排出して始動性を向上させたループヒートパイプ10である。蒸発器1を電子機器に内臓された回路基板20上の発熱体21に取り付ければ、発熱体の冷却装置30となる。
【選択図】図7

Description

本出願はループヒートパイプ及び該ヒートパイプを備えた電子機器に関する。以下に説明される実施の形態では、実施例として流体を搬送する流体搬送装置(ヒートパイプ)並びにヒートパイプを備えた電子機器が説明される。
従来、流体(作動液)の潜熱で熱を輸送するヒートパイプが知られている。このうち、ループヒートパイプは、外部から加熱されて作動液の蒸発が生じる蒸発器と、外部に熱を放散して蒸気の凝縮が生じる凝縮器とが、蒸気管と液管によってループを形成するように連結されたものである。このようなループヒートパイプ(循環型ヒートパイプとも呼ばれる)の構成は特許文献1の図1に開示されている。
ループヒートパイプでは、蒸発器で発生した作動液の蒸気は蒸気管で凝縮器に流れ、凝縮器で液体となった作動液が液管で蒸発器に流れるループが形成されている。作動液と作動液の蒸気は、液管或いは蒸発器に設けられたウィックの毛細管圧力をポンプ力として使用することにより蒸発器と凝縮器の間を循環する。ウィックは、例えばセラミックやニッケル、或いは銅、銅酸化物を原料とした多孔質材料、或いはポリエチレン樹脂等の高分子材料を原料とする多孔質材料で構成される。
液管に設けられるウィックは液管の内周面に取り付けられる。一方、凝縮器に設けられるウィックは円筒状をしており、開口部が液管側に位置し、底部が蒸気管側に位置する。凝縮器に設けられる円筒状のウィックの外周面には、底部側から所定深さの溝であるグルーブがウィックの軸線に平行に複数本設けられている。
このようなループヒートパイプは、直管型ヒートパイプのように、液体と蒸気が対向流とならないことから、作動液を円滑に流動させることができる。したがってループヒートパイプは、直管型ヒートパイプでは熱輸送が困難な、トップヒートモードでの熱輸送若しくは冷却に使用される。トップヒートモードとは、外部から加熱されて作動液の蒸発が生じる蒸発器を、作動液蒸気が外部に熱を放出して凝縮する凝縮器より高い位置に配置し、上から下に熱を輸送する熱輸送形態のことである。
ループヒートパイプでは、蒸発器のグルーブ内には液相と気相の作動液が共存しており、グルーブ内の作動液の分布により、蒸発器に熱が加わった後のループヒートパイプの始動性が異なる。特に、グルーブ内に液相の作動液が存在する場合には、グルーブ内の作動液を蒸発させるために加熱が必要なため、蒸発器が加熱されてからループヒートパイプが始動する(startup)までに時間がかかる。この間はウィックの有効利用面積が小さいため、ウィックポンプ力の低下、グルーブ利用率減少による熱抵抗の上昇により、設計した動作温度よりも高い動作温度までヒートポンプが動作しないという問題がある。この問題は非特許文献1にも報告されている。
特許第4459783号(図1)
Jentung Ku; 1998 Operating Characteristics of Loop Heat Pipes. Society of Automotive Engineers, Inc.
このように蒸発器のグルーブ内に液相の作動液が存在する場合には、ループヒートパイプの始動が遅れ、ループヒートパイプを半導体冷却装置として使用した場合には、半導体の温度が仕様温度を超えてしまい、半導体の破損を引き起こす問題が生じていた。しかしながら、非特許文献1にはこの現象の記載はあるものの、この現象を回避するための解決策の記載はなかった。
本出願は、ウィックのグルーブ内に作動液が多く残留するループヒートパイプの始動時に、速やかにループヒートパイプを始動させることができるループヒートパイプ及び該ヒートパイプを用いた冷却装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本出願のループヒートパイプは、ウィックを内蔵する蒸発器と、凝縮器と、蒸発器と凝縮器とを繋ぐ液管及び蒸気管と、を有し、蒸発器において、冷間からの入熱時に、蒸気管側の第1の部位よりも、液管側の第2の部位が高温となるような温度差発生手段を設けることを特徴としている。
また、上記目的を達成するための本出願の電子機器は、電子部品と、電子部品に熱的に接触し、ウィックを内蔵する蒸発器と、凝縮器と、蒸発器と凝縮器とを繋ぐ液管及び蒸気管と、を有し、蒸発器において、冷間からの電子部品からの入熱時に、蒸気管側の第1の部位よりも、液管側の第2の部位が高温となるような温度差発生手段を設けるループヒートパイプを備えたことを特徴としている。
本出願のヒートパイプによれば、ウィックのグルーブ内の残留作動液が多くても、ヒートパイプの始動時に蒸発器の液管側の温度上昇速度が蒸気管側の温度上昇速度よりも速くなり、残留作動液が短時間で排出されてヒートパイプの始動性が向上する。また、本出願の電子機器によれば、電子機器の冷間からの起動時に、蒸発器に温度差発生手段が設けられたループヒートパイプにより、回路基板上の発熱体の温度を、過度に上昇させることなく起動させることが可能である。
(a)は従来のループヒートパイプの構成を示す図、(b)は(a)の蒸発器に内蔵されたウィックを作動液の入口側から見た斜視図、(c)は(a)の蒸発器に内蔵されたウィックを作動液の出口側から見た斜視図である。 (a)は、ループヒートパイプの始動時に図1(a)に示した蒸発器内にあるウィックのグルーブの目詰まりが小さく、グルーブ内に液相の作動液が少々存在する状態を示す図、(b)は(a)に示した状態でループヒートパイプの蒸発器に熱が加わった時の時間に対する半導体集積回路の温度変化を示す特性図である。 (a)は、ループヒートパイプの始動時に図1(a)に示した蒸発器内にあるウィックのグルーブの目詰まりが大きく、グルーブ内に液相の作動液が多量に存在する状態を示す図、(b)は(a)に示した状態でループヒートパイプの蒸発器に熱が加わった時の時間に対する半導体集積回路の温度変化を示す特性図である。 ループヒートパイプの蒸発器に、本出願の蓄熱材を取り付ける工程の一実施例を示す組み立て斜視図である。 図4(a)に示した本出願の蓄熱材が取り付けられたループヒートパイプの蒸発器を、回路基板に実装された半導体集積回路に取り付けて冷却装置を構成する工程を示す組み立て斜視図である。 (a)は、ウィックが1個内蔵されたループヒートパイプの蒸発器に、本出願の蓄熱材を取り付けた冷却装置の実施例の構成を示す斜視図、(b)は、ウィックが2個内蔵されたループヒートパイプの蒸発器に、本出願の蓄熱材を取り付けた実施例の構成を示す斜視図である。 (a)は、融点40°Cの潜熱蓄熱材が取り付けられた本出願の蒸発器を備えた冷却装置の図6(a)のA−A線における断面図、(b)は(a)の状態で半導体集積回路が動作を開始した直後の蒸発器の熱勾配を示す図、(c)は(b)は(a)に示した状態で半導体集積回路が動作を開始した時の、時間に対する半導体集積回路の温度変化を示す特性図である。 図6(a)に示した潜熱蓄熱材の厚み、使用量、およびディレイタイムの関係を示す図である。 (a)は、融点50°Cの潜熱蓄熱材が取り付けられた本出願の蒸発器を備えた冷却装置の図6(a)のA−A線における断面図、(b)は(a)の状態で半導体集積回路が動作を開始した直後の蒸発器の熱勾配を示す図、(c)は(b)は(a)に示した状態で半導体集積回路が動作を開始した時の、時間に対する半導体集積回路の温度変化を示す特性図である。 (a)は、潜熱蓄熱材を取り外した状態の蒸発器を備えた冷却装置の要部の断面図、(b)は(a)の状態で半導体集積回路が動作を開始した直後の蒸発器の熱勾配を示す図、(c)は(b)は(a)に示した状態で半導体集積回路が動作を開始した時の、時間に対する半導体集積回路の温度変化を示す特性図である。
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本出願の実施の形態を説明する前に、従来のループヒートパイプの構成及び始動時の問題点を図1から図3を用いて説明する。
図1(a)は従来のループヒートパイプ10の構成を示すものである。ループヒートパイプ10には、蒸発器1、凝縮器2、蒸発器1から凝縮器2に作動液の蒸気7を送る蒸気管3、及び凝縮器2から蒸発器1に作動液6を送る液管4がある。蒸発器1は、外部から加熱されて作動液を蒸気にするものであり、凝縮器2は、外部に熱を放散することにより蒸気を凝縮させて液相の作動液にするものである。蒸発器1の中には、凝縮器2で凝縮された作動液6を蒸発器1に還流させる毛細管圧力を生じさせるウイック5が設けられている。蒸発器1を発熱体に取り付ければ、発熱体を冷却することができる。
ウィック5は、図1(b)、(c)に示すように円筒状をしており、液管4側が開口して中空部8が設けられている。また、ウィック5の外周面には、ウィック5の軸線方向に、蒸発管3側から液管4側に向かって複数本の溝であるグルーブ9が設けられている。ウィック5は、セラミックス、金属、樹脂などを材料とした多孔質体である。ループヒートパイプ10の内部は、完全に真空引きされた後、水系、アルコール系、フッ化炭化水素化合物系など液体が作動流体(作動液)として封入されている。作動液は、熱が加えられる蒸発器1のウィック5で液相の作動液6が蒸気7になって蒸気管3を流れ、凝縮器2で蒸気7が液相の作動液6になって蒸発器1に還流する。作動液はウィック5の毛細管力によってループ内を循環する。
図2(a)は、ループヒートパイプの蒸発器1に熱が加えられる前の、蒸発器1の部分を断面で示している。この状態では、ウィック5のグルーブ9の目詰まりが小さく、グルーブ9内に液相の作動液6aが少々残留する程度である。この状態で蒸発器1に熱が加えられると、グルーブ9内の液相の作動液6aの量は少量であるので直ぐに蒸発する。従って、図2(b)に示すように、ループヒートパイプの蒸発器1に熱が加えられる始動時には、グルーブ9内の液相の作動液6aが蒸発した後、ウィック5が本来の動作を行う。この結果、蒸発器1を取り付けた半導体集積回路の温度は最初に目標温度から少し上昇するだけで、後は目標温度に近い状態で推移する。
図3(a)は、ループヒートパイプの蒸発器1に熱が加えられる前の、蒸発器1の部分を断面で示している。この状態では、ウィック5のグルーブ9の目詰まりが大きく、グルーブ9内に液相の作動液6aが多量に残留する。この状態で蒸発器1に熱が加えられると、グルーブ9内の液相の作動液6aの残留量が多いので、液相の作動液6aが蒸発してグルーブ9内の液相の作動液6aが排出されるまでに時間がかかる。すると、図2(c)に示すように、ループヒートパイプの蒸発器1に熱が加えられる始動時には、グルーブ9内の液相の作動液6aが完全に蒸発するまでの間、ウィック5が本来の動作を行うことができない。この結果、蒸発器1を取り付けた半導体集積回路の温度は、最初に仕様温度を超えてしまう。グルーブ9内の液相の作動液6aが完全に蒸発した後は、目標温度に近い状態で推移する。
このように蒸発器1のグルーブ9内に液相の作動液6aが多く存在する状態でループヒートパイプが始動された場合には、ループヒートパイプが正常に動作するまでに時間がかかる。このため、ループヒートパイプを電子機器に搭載された半導体用の冷却装置として使用した場合には、蒸発器1を取り付けた半導体集積回路の温度が半導体の仕様温度を超えてしまい、半導体の破損を引き起こす問題が生じていた。
本出願は、ウィックのグルーブ内に液相の作動液が多く残留する状態でのループヒートパイプの始動時に、蒸発器の過度の温度上昇(過熱)を招くことなく、速やかにループヒートパイプを始動させることができるものである。以下にはループヒートパイプ及びループヒートパイプを用いた電子機器が説明される。
過熱が最小限になるようにループヒートパイプを始動させるためには、蒸発器に熱が加わる入熱時点でグルーブ内に残留している作動液を速やかにグルーブから排除する必要がある。そこで、本発明者らは、過熱が最小限になるようにループヒートパイプを始動させるためには、入熱時点の蒸発器の蒸気側と液側の温度上昇速度が異なるようにすれば良いことを見出した。これは、入熱時点で蒸発器の蒸気管側の第1の部位と、液管側の第2の部位の昇温速度が異なると、先に温度が上昇した側から優先的に蒸気発生が始まり、その結果、グルーブに残留する作動液を、発生した蒸気の圧力で素早く押し出すことが可能になるからである。
ループヒートパイプの始動時に、蒸発器の温度上昇速度に差をつけるためには、熱容量の違う材料を接合して蒸発器を作る、蒸発器の半分に冷却器をあてがう、蒸発器の半分に加熱器をあてがう、蓄熱材を蒸発器の蒸気側に設置する等の方法が考えられる。入熱初期の過熱状態に至る過程のみ温度上昇に差がつけば良いことを考え、本発明者らは、蓄熱材を用いて蒸発器の温度上昇速度に差をつける装置を案出した。特に、潜熱を利用する蓄熱材は少量でも大きな熱量に対応可能であるため、潜熱を利用した装置を案出した。
潜熱蓄熱材としては、塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物、パラフィン等があるが、パラフィン系の材料を用いた。パラフィン系の材料は分子量の制御により、広い範囲で融解温度を設定することが可能であるからである。潜熱蓄熱材は、パラフィンをアルミラミネートフィルムに封止したシートを用いて、伝熱効率及びサイクル性の向上を図った。このような潜熱蓄熱材としては、三菱電線製MHSシリーズ(登録商標)を使用できる。これは、この材料が潜熱蓄熱材として、内部で相変化は起こしてもバルクとしての外見上は固体として取り扱いが可能であるため非常に適応しやすいからである。ここにあげた材料以外でも多種のものがあり、それぞれ適応が可能である。
以上のことから、本出願では、ループヒートパイプの蒸発器に、パラフィンをアルミラミネートフィルムに封止した潜熱蓄熱材(以後単に蓄熱材と言う)を取り付け、ループヒートパイプの始動時に蒸発器に熱勾配を持たせるようにした。この結果、ループヒートパイプのウィックのグルーブ内に作動液が、始動前に多く残留する場合でも、作動液をグルーブから素早く排出することに成功した。以下にこの本出願の蓄熱材の蒸発器への取り付けについて説明する。なお、従来と同じ構成部材には同じ符号を付して説明する。
図4は、ループヒートパイプの蒸発器1の蒸気管3側に、本出願の一実施例の蓄熱材11を取り付ける工程を示すものである。この実施例では、蒸発器1、蒸気管3及び液管4は断面が矩形をしているが、蒸発器1、蒸気管3及び液管4は断面が円形でも良い。本出願では、蒸発器1の蒸気管3側の外壁1Aに、外壁1Aを覆う蓄熱材11を取り付ける。蓄熱材11は蒸発器1の蒸気管3側の全周を覆うようにするために、この実施例では蓄熱材11を予め左側蓄熱材11Aと右側蓄熱材11Bに分割しておく。そして、左側蓄熱材11Aと右側蓄熱材11Bの内側には、蒸発器1の形状に合わせて凹部11Cを形成しておく。蓄熱材11の分割の仕方は左右分割に限定されるものではない。また、蓄熱材11の蒸発器1への取り付け長さL及び蓄熱材11の厚さTについては後述する。
なお、蓄熱材11としてパラフィンをアルミラミネートフィルムに封止したシートを用いる場合は、図4に示すような形状の左側蓄熱材11Aと右側蓄熱材11Bを金属の筐体として形成し、内部にシートを詰め込んだり、パラフィンを充填するようにすれば良い。また、シート状の蓄熱材11を直接蒸発器1の蒸気管3側の外壁1Aに巻き付けるようにしても良い。
図4に示した左側蓄熱材11Aと右側蓄熱材11Bを蒸発器1の蒸気管3側の外壁1Aに取り付けると、図5に示すようになる。蓄熱材11が取り付けられた蒸発器1は、電子機器の回路基板20に実装された発熱部材である半導体集積回路21の上に、ヒートスプレッダ22を介して取り付けられ、半導体用の冷却装置30が構成される。蒸発器1の回路基板20への取り付け方法については図示を省略するが、蒸発器1にフランジ部等を設けておいてねじ等を用いて取り付ければ良い。
また、この実施例では、蒸発器1によって回路基板20に実装された半導体集積回路21を発熱体として冷却するので、蒸発器1の底面が平坦に形成されており、シート状のヒートスプレッダ22を介して蒸発器1が半導体集積回路21に取り付けられる。一方、発熱体が平坦な形状をしていない場合は、蒸発器1の底面を発熱体の形状に合わせて作るか、或いはヒートスプレッダ22を発熱体の形状に合わせて構成すれば良い。
図5に示した電子機器に内蔵された半導体用の冷却装置30は、電子機器の回路基板20が動作して半導体集積回路21が発熱した時に、半導体集積回路21から熱を奪って冷却する動作を行う。この半導体用の冷却装置30における蒸発器1の動作について以下に説明する。
図6(a)は、ウィック5が1個内蔵されたループヒートパイプ10の蒸発器1に、本出願の蓄熱材11を取り付けた半導体用の冷却装置30の一実施例の構成を示すものである。円筒状のウィック5を内蔵する蒸発器1は断面が矩形状であり、蒸発器1の平坦な底面1Bがヒートスプレッダ22を介して回路基板20の上に実装された半導体集積回路21の上に取り付けられて半導体用の冷却装置30が構成されている。また、蒸発器1に接続する蒸気管3と液管4の断面は、この実施例では円形になっている。
図6(b)は、ウィック5が2個内蔵されたループヒートパイプ10の蒸発器1に、本出願の蓄熱材11を取り付けた半導体用の冷却装置30の実施例の構成を示すものであり、回路基板20、半導体集積装置21及びヒートスプレッダ22の図示は省略してある。円筒状のウィック5を2個並列に内蔵する蒸発器1は断面が長方形状である。この実施例の蒸発器1は、回路基板20の上に実装された半導体集積回路21が大きい場合に使用される。この実施例でも蒸発器1に接続する蒸気管3と液管4の断面は、円形になっている。回路基板20の上に実装された半導体集積回路21が更に大きく、より広範囲の部分を冷却する必要がある場合には、ウィック5を横に並列に並べる個数を多くすれば良い。
図7(a)は、融点40°Cの蓄熱材11が取り付けられた本出願の蒸発器1を備えた半導体用の冷却装置30を示しており、図6(a)のA−A線における半導体用の冷却装置30の断面を示している。蓄熱材11の蒸発器1への取り付け長さLは、ウィック5に設けられたグルーブ9の長さMを、蓄熱材11が半分覆う程度にすれば良い。この実施例の半導体集積回路21は、動作温度60°C、仕様温度70°Cで使用する30mm角の発熱体である。また、ループヒートパイプ10の蒸発器1は、半導体集積回路21より一回り大きな40mm角で、厚さは10mmとした。また、使用したパラフィンの総量は7.5gとした。ただし、図7(a)はこの寸法を正確に表すものではない。
図7(b)は、図7(a)の状態で半導体集積回路21が動作を開始した直後の蒸発器1の熱勾配を示している。即ち、図7(b)は、蒸発器1の液管4側の端部を”0”とし、他端部を”L”とした場合の温度勾配を示すものである。冷間状態から半導体集積回路21が動作を開始して熱が発生すると、蒸発器1の液管4側の温度は上昇するが、蒸発器1の蒸発管3側の温度は蓄熱材11に吸収されて上昇しない。この結果、半導体集積回路21の動作開始直後は、蒸発器1の液管4側が温度が高く、蒸気管3側の温度は低い。電子機器がONされて冷間状態から半導体集積回路21が動作を開始し、所定時間が経過すると蓄熱材11の蓄熱量が飽和し、以後は熱を吸収しなくなるので、蒸発器1の蒸気管3側の温度が上昇し、液管4側の温度と同じになる。
図7(c)は、図7(a)の状態で電子機器に実装された半導体集積回路21が動作を開始した後の、時間に対する半導体集積回路21の温度変化を示すものである。このように、蓄熱材11を取り付けた本出願の蒸発器1を使用すれば、電子機器にある発熱する電子部品である半導体集積回路21の温度が仕様温度を超えることがない。
図8は、図7(a)に示した蓄熱材11の厚みT、使用量、およびディレイタイムの関係を示す図である。融点40°Cのパラフィン系の融解潜熱は200J/kg相当であり、半導体集積回路21の発熱量を100W、蒸発器1のケースのサイズが40mm角とする。そして、蒸発器1のケースの蒸気管3側に蓄熱材11を取り付けた場合に、蓄熱材11が蒸発器1のケースを覆う面積を24平方センチメートルとする。また、蓄熱材11の比重は1g/ccとして計算している。図8に示した計算結果から、ディレイタイムとして、蒸発器1のケースの液管側と蒸気管側で温度上昇速度に5秒以上の差を持たせる場合には、蓄熱材11の厚さTとしては1mm以上が適当である。しかし、蓄熱材11の厚さTを厚くすると、蓄熱材11の蒸発器1のケースへの設置が困難になるため、蓄熱材11の厚さTは4mm以内が適用範囲と考えられる。
図9(a)は、融点50°Cの蓄熱材11が取り付けられた本出願の蒸発器1を備えた半導体用の冷却装置30を示しており、図9(b)は図9(a)の状態で電子機器の半導体集積回路30が動作を開始した直後の蒸発器の熱勾配を示している。蓄熱材11にはパラフィンをアルミラミネートフィルムで密封したシートを用いたことは図8(a)の蓄熱材11と同じであり、パラフィンの総量も7.5gである。また、図9(c)は、図9(a)に示した状態で半導体集積回路30が動作を開始した時の、時間に対する半導体集積回路30の温度変化を示すものである。
このように、蓄熱材11の融点を50°Cに変更しても、ループヒートパイプ10を用いた電子機器に実装された半導体用の冷却装置30の動作初期の過熱状態を効果的に抑制することができるが、融点が40°Cの時よりも動作初期の目標温度は上昇している。したがって、蓄熱材11の融点は、蒸発器1のサイズなどに応じて適宜選択すれば良い。
図10(a)は、蓄熱材11を取り外した状態の蒸発器1を備えた電子機器の半導体用の冷却装置30の要部を示すものであり、図10(b)は図10(a)の状態で半導体集積回路21が動作を開始した直後の半導体蒸発器21の熱勾配を示すものである。また、図10(c)は、図10(a)に示す状態で半導体集積回路21が動作を開始した時の、時間に対する半導体集積回路21の温度変化を示す特性図である。このように、蒸発器1に蓄熱材11が取り付けられていない状態では、半導体集積回路21の動作初期に過熱状態を抑制できず、半導体集積回路21が仕様温度を越えるオーバーシュートを起こす。以上のことから、蓄熱材11を用いて、半導体集積回路21の動作初期に蒸発器1の温度上昇速度に差をつけた本願のループヒートパイプを使用した半導体用の冷却装置30は優れたスタートアップ性能を示すことが分かる。
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態について詳述したが、本出願は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本出願の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。即ち、蒸発器の温度上昇速度に差をつけるためには、蓄熱材を蒸発器の蒸気側に設置する構成以外にも、熱容量の違う材料を接合して蒸発器を作る構成、蒸発器の半分に冷却器をあてがう構成、蒸発器の半分に加熱器をあてがう構成が可能である。ここで、本出願の容易な理解のために、本出願の具体的な形態を以下に付記する。
(付記1)ウィックを内蔵する蒸発器と、
凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを繋ぐ液管及び蒸気管と、を有し、
前記蒸発器において、冷間からの入熱時に、前記蒸気管側の第1の部位よりも、前記液管側の第2の部位が高温となるような温度差発生手段を設けることを特徴とするループヒートパイプ。
(付記2)前記温度差発生手段は、前記第2の部位に相当する前記蒸発器の外周を覆う蓄熱材であることを特徴とする付記1に記載のループヒートパイプ。
(付記3)前記温度差発生手段は、前記蒸発器の第1の部位と第2の部位を熱容量の違う材料を接合して蒸発器を作ることにより得られることを特徴とする付記1に記載のループヒートパイプ。
(付記4)前記温度差発生手段は、前記蒸発器の第1の部分に冷却器をあてがうことによって構成されることを特徴とする付記1に記載のループヒートパイプ。
(付記5)前記温度差発生手段は、前記蒸発器の第2の部分に加熱器をあてがうことによって構成されることを特徴とする付記1に記載のループヒートパイプ。
(付記6)前記温度差発生手段は、前記蒸発器への冷間からの入熱時に、前記蒸気管側の第1の部位の温度上昇速度を、前記液管側の第2の部位の温度上昇速度よりも遅らせるように構成されていることを特徴とする付記1に記載のループヒートパイプ。
(付記7)前記ウィックは円筒状で、前記液管側が開口しており、その外周面には前記ウィックの軸線方向に前記蒸発管側から前記液管側に向かって複数本の溝が設けられており、
前記液管側の第2の部位は、前記蒸発器の前記蒸発管側の端部から、前記溝の中間部の位置までの部位であることを特徴とする付記1から6の何れかに記載のループヒートパイプ。
(付記8)前記蓄熱材には、パラフィンをアルミラミネートフィルムで密封したシートを使用したことを特徴とする付記7に記載のループヒートパイプ。
(付記9)前記蓄熱材の厚さは、1〜4mmであることを特徴とする付記8に記載のループヒートパイプ。
(付記10) 電子部品と、
前記電子部品に熱的に接触し、ウィックを内蔵する蒸発器と、
凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを繋ぐ液管及び蒸気管と、を有し、
前記蒸発器において、冷間からの前記電子部品からの入熱時に、前記蒸気管側の第1の部位よりも、前記液管側の第2の部位が高温となるような温度差発生手段を設けるループヒートパイプを備えたことを特徴とする電子機器。
1 蒸発器
1A 外壁
1B 底部
2 凝縮器
3 蒸気管
4 液管
5 ウィック
6 作動液
7 作動液の蒸気
8 中空部
9 グルーブ(溝)
10 ヒートパイプ
11,11A,11B 蓄熱材
11C 凹部
20 回路基板
21 集積回路
30 半導体冷却装置

Claims (3)

  1. ウィックを内蔵する蒸発器と、
    凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器とを繋ぐ液管及び蒸気管と、を有し、
    前記蒸発器において、冷間からの入熱時に、前記蒸気管側の第1の部位よりも、前記液管側の第2の部位が高温となるような温度差発生手段を設けることを特徴とするループヒートパイプ。
  2. 前記温度差発生手段は、前記第2の部位に相当する前記蒸発器の外周を覆う蓄熱材であることを特徴とする請求項1に記載のループヒートパイプ。
  3. 電子部品と、
    前記電子部品に熱的に接触し、ウィックを内蔵する蒸発器と、
    凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器とを繋ぐ液管及び蒸気管と、を有し、
    前記蒸発器において、冷間からの前記電子部品からの入熱時に、前記蒸気管側の第1の部位よりも、前記液管側の第2の部位が高温となるような温度差発生手段を設けるループヒートパイプを備えたことを特徴とする電子機器。
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