JP2012506429A - 真性糖尿病及びその共存症の処置に有用である、水に不溶な安定なR−(+)−α−リポ酸塩 - Google Patents

真性糖尿病及びその共存症の処置に有用である、水に不溶な安定なR−(+)−α−リポ酸塩 Download PDF

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Abstract

本発明は、代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症、又は真性糖尿病、その続発症、合併症及びその共存症の予防又は処置に有用な経口的な栄養製品及び治療薬に関する。

Description

本発明は、代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症、又は真性糖尿病、その続発症、合併症及びその共存症の予防又は処置に有用な経口的な栄養製品及び治療薬に関する。本発明の医薬品及び方法はヒトの真性糖尿病、続発症、合併症及び共存症の予防又は処置に特に有用である。
真性糖尿病(一般に“糖尿病”と呼ばれる)は異常な高血糖値を生じる代謝障害症候群である。2型の真性糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)は糖尿病の最も一般的な形態であり、米国では1700万人が2型の真性糖尿病に罹っている。不良な疾患管理をともなった診断の遅れは、微小血管の損傷及び長期間にわたる合併症(例えば目、神経系及び腎臓の疾患)をもたらしうる。これらの合併症は、白内障、失明、神経損傷(ニューロパシー)、腎不全、循環器疾患及び死を招く。
糖尿病制御及び合併症の治験への取り組みによって、5年にわたる追跡調査の全体において、血中グルコースの厳密な制御が臨床的な合併症を有意に減少させることに有効であることが証明された。しかし、血中グルコースの最適な制御によっても疾患の合併症を予防できないことが治験のデータによって示された。
酸化ストレスが、糖尿病、当該の続発症、共存症及び合併症の進行と一般的に関連していることが知られている。活性酸素種(ROS;スーパーオキシドラジカルアニオン、ヒドロキシラジカル、ペルオキシラジカル、ヒドロペルオキシラジカル、過酸化水素及び次亜塩素酸が一例として挙げられる)及び活性窒素種(RNS;一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシ亜硝酸、一酸化二窒素及びアルキルペルオキシ硝酸塩が一例として挙げられる)のような高反応性の炎症性種の過剰な形成及び/又は不十分な除去として、酸化ストレスは一般的に定義されている。ROS及びRNSの両方は生理的条件において生成され、これらの種の多くはシグナル伝達分子及び防御機構としての生理的活性を有している。しかし、これらの反応性種の過剰な生成は、特に過剰が長期に継続しているときは、タンパク質、脂質及びDNAに対する損傷を引き起こす。
糖尿病における酸化ストレスの直接の証拠は、酸化ストレスのマーカー(例えば、血漿及び尿におけるF2−イソプロスタン、ニトロチロシン及びスーパーオキシドラジカルアニオンの血漿及び組織における値、並びに生理的抗酸化物質の不均衡)が測定された研究に基づいている。糖尿病において、これらマーカーは、非酵素、酵素及びミトコンドリアの経路を経由して生成されている。
抗酸化物質は酸化ストレスを排除することが知られているため、多くの臨床試験によって、糖尿病、その続発症及び共存症の過程に対する、ビタミンC、ビタミンE及びリポ酸のような抗酸化物質の有益な効果が評価されている。今まで、α−リポ酸を用いた臨床的な研究の結果のみによって、糖尿病及びその共存症にとっての処置としての臨床的使用が支持されている。例えば、糖尿病性神経障害におけるα−リポ酸(ALADIN)の研究では、α−リポ酸(>600mg/日)の投与によって患者の症状が有意に改善された。α−リポ酸(一日に600又は1200mg)の長期間(24ヶ月)の使用によって神経機能が改善されたことが、ALADIN II試験によって証明された。ALADIN III試験において、509人の患者の集団に600mgのα−リポ酸を6ヶ月間にわたって毎日投与したところ、早くも19日において神経障害に関するスコアが改善し、スコアの改善は7ヶ月間まで維持されることが、二重盲検のプラシーボ管理された、多施設におけるランダム化された試験によって示された。DEKEN(Deutsche kardiale autonome neurpathie)試験によって、心臓性自律神経障害に罹っている糖尿病患者における4ヶ月間にわたる一日に800mgのα−リポ酸の又はプラシーボの影響が評価され、心臓性自律神経障害の指標である心拍数の変動がα−リポ酸を用いた処置にともなって著しく改善されたことが示された。総合的症状スコア(Total Symptom Score)によって評価されるような、糖尿病多発性神経障害の感覚性の症状に対するα−リポ酸処置の効果が、SYDNEY試験によって調査された。3週間にわたるα−リポ酸の投与によって、痛み、刺すような痛み及び知覚麻痺のような感覚性の症状が改善された。α−リポ酸を用いた臨床試験の最近のメタ分析によって、3週間にわたるα−リポ酸(600mg/day)を用いた処置が安全であり、神経障害性の明らかな症状及び神経障害性の機能障害の改善に有効であると判断された[J. S. Johansen, A. K. Harris, DJ. Rychly, and A. Ergul, Oxidative stress and the use of antioxidants in diabetes: Linking basic science to clinical practice,“ Cardiovasc Diabetol 2005; 4:5,及びそれにおける引用文献]。
α−リポ酸は、キラル化合物である1,2−ジチオシクロペンタン−3−バレリアン酸にとっての一般名である。α−リポ酸は、ラセミ混合物であるRS−α−リポ酸(一般的にはチオクト酸としても知られている)及び単独のエナンチオマーであるR−(+)−α−リポ酸として市販されている。上記臨床試験のすべてにおいてRS−α−リポ酸が用いられた。
R−(+)−α−リポ酸は体内に見られるα−リポ酸の形態である。リジンと結合したR−(+)−α−リポ酸塩は、α−ケト酸デヒドロゲナーゼ(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼなど)の補酵素であり、細胞における糖代謝及びエネルギー代謝の重要な部位に作用する。加えて、R−(+)−α−リポ酸塩は、生理学的な酸化還元系として機能し、対応するR−(+)−α−ジヒドロリポ酸塩に細胞内において還元され、次に、細胞内及び細胞外の両方においてR−(+)−α−リポ酸塩に再び酸化される。
ジヒドロリポ酸塩は、ビタミンC、ビタミンE及び還元されたグルタチオンのような他の抗酸化物質を、酸化還元サイクルを通じて再生する。
α−リポ酸の2つのエナンチオマーの薬理学的な特性は、生理的活性の点で異なることが良く知られている。一例として、米国特許第5,693,664号、米国特許第5,948,810号、米国特許第6,284,787号及び米国特許出願公開第2008/0095741号(全てWessel et al.による)には、R−(+)−α−リポ酸、水溶性を有するその塩、そのエステル、及びそのアミドは、エナンチオマーであるS−(−)−α−リポ酸、水溶性を有するその塩、そのエステル及びそのアミドよりも、糖尿病及びその合併症の予防及び処置にとって好適であることが開示されている(Wesselによって開示されている水溶性の塩としては、α−メチルベンジルアミン、ジフェニルアミン、トロメタミン及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロピレングリコールのような有機アミドの塩が挙げられる)。例えば、グルコースの吸収は、リポ酸のR−エナンチオマーによって、2倍を超えて刺激され、これは200nMのインスリンの作用に匹敵した。一方、グルコースの吸収は、S−エナンチオマーによってほとんど変化しなかったか、又は変化がなかった。同様に、R−(+)−α−リポ酸はグルコース輸送体(GLUT 1及びGLUT 4)の細胞質ゾルから原形質膜への移行を刺激したが、S−(−)−α−リポ酸は影響を示さなかったか、又は抑制効果を示して、グルコース輸送体の総量を低下させると思われた。さらに、グルコース代謝に関与する重要な酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼの活性は、R−(+)−α−リポ酸によって増強されるが、S−(−)−α−リポ酸によって抑制される。
また、RS−α−リポ酸は、R−(+)−α−リポ酸より安定であることが知られている。RS−α−リポ酸は密閉された琥珀色の容器に入れて一年以上にわたって室温において保存されうる。対照的に、R−(+)−α−リポ酸は冷却された温度において密閉された琥珀色の容器に保存しなければならず、取扱いが困難な高分子へと徐々に重合され、硫黄含有化合物の損失によって生理的及び治療的に不活性な化合物に分解されるので、数ヶ月以内に使用されなければならない。
さらに、十分な量のマグネシウムは、解糖、アデノシン−3”,5”−環状一リン酸塩の形成、エネルギー依存性の膜輸送及び300を超える他の酵素過程に必須であることが知られている。マグネシウムはインスリン作用のための二次メッセンジャーとしての役割を果たす。また、糖尿病、高血圧又は加齢のようなインスリン耐性(すなわち、インスリン活性に対する感受性の低下)に関連した状態は、細胞内のマグネシウム含有量が低いことと関連がある。真性糖尿病において、細胞内の低いマグネシウム濃度は、増加した尿からの損失及びインスリン耐性の両方の結果としておそらく生じていると報告されている。長期にわたるマグネシウムの補給は、インスリン非依存性の糖尿病の対象における、膵島β細胞の応答及びインスリン作用の両方の改善に寄与しうる。
このため、真性糖尿病、続発症、合併症及び共存症を予防するか、又は処置する安定な薬剤の提供に対して、まだ対処されていない大きな必要性がある。その安定な薬剤がマグネシウムを含有していれば、マグネシウムを含有している安定な薬剤は、障害された解糖と関連する代謝障害に罹っている人々に対してさらなる治療上の利益を提供するであろうことが、上記に開示されているマグネシウムの特性によって示唆される。本発明は、マグネシウムを含有している安定な薬剤を提供することによってこの対処されていない必要性に取り組むものである。
本発明は真性糖尿病、その続発症、合併症及び共存症の予防又は処置に有用な経口的な栄養組成物及び治療組成物に関する。上記栄養組成物及び治療組成物は単位用量又は一人分のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を含んでいる。また、ヒトにおける真性糖尿病、続発症、合併症及び共存症を予防するか、又は処置する方法が開示されている。当該方法は、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を含んでいる補助物の安全かつ有効な量をヒトに投与することを包含している。さらに、温血動物における、真性糖尿病、続発症、合併症及び共存症を予防するか、又は処置する方法が開示されている。この方法では、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を含んでいる薬剤の治療的に有効な量が用いられる。また、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製する方法が提供される。いくつかの実施形態では、代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症、又は真性糖尿病、その続発症、合併症及び共存症の予防又は処置のための薬剤の製造における、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の使用を本発明は包含している。
その他の特徴、長所及び本発明の実施形態は、以下の記載、実施例及び添付の特許請求の範囲から、当業者にとって明らかであろう。
ヒトの胃腸管のpHの範囲であるpH4.0からpH8.0の範囲におけるpH値のそれぞれにおいて、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩(Mg RALA)における生体が利用可能なマグネシウムの割合を示しているグラフである。 本発明のR−(+)−α−リポ酸塩及びS−(−)α−リポ酸塩の相対的な保持時間を表しているクロマトグラムであり、本発明のR−(+)−α−リポ酸塩は少なくとも95%のキラル純度を有していることが、相対ピークの高さから確認される。
本発明は、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の単位用量又は一人分を含んでいる、真性糖尿病、その続発症、合併症及び共存症の処置に有用な経口的な栄養組成物及び治療組成物に関する。この薬剤によって組織における血糖の吸収は促進される。1型及び2型の真性糖尿病の場合又は組織のインスリン感受性(インスリン耐性)における異常の場合のように、血糖調節の制御の病理的な異常の場合に、この活性は臨床的に適切である。これは、単独療法の場合、及び真性糖尿病又はインスリン耐性の処置のための他の薬剤(例えば、経口な抗糖尿病薬、特にインスリン)との組合せの場合に当てはまる。さらに、本発明の安定な薬剤を用いた根本の疾患の処置によって、合併症、続発症、真性糖尿病の共存症又はインスリン耐性の共存症は、治療的な作用を受けうる。上記組成物は男性及び女性において有用である。
また、本発明は、ヒトにおける代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症を処置する方法、又は真性糖尿病、その続発症及び合併症を処置する方法であって、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の有効な量を含んでいる補助物の安全かつ有効な量をヒトに投与することを包含している、方法に関する。
加えて、本発明は、製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を含んでいる薬学的組成物の治療に有効な量を用いて、温血動物における代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症を予防する及び処置する方法、又は真性糖尿病、その続発症及び共存症を予防する及び処置する方法に関する。製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩及び適した薬剤担体を含んでいる経口的な薬剤組成物を用いて、温血動物における代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症を、予防する及び処置する方法、又は真性糖尿病、その続発症及び共存症を予防する又は処置する方法は、本発明の範囲に包含される。
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩はR−(+)−α−リポ酸のマグネシウム塩である。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は、Mg(C13の分子式、一般式
Figure 2012506429
及び434.94の分子量を有している、非吸湿性の安定な淡黄色の粉末である。本発明の製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は少なくとも約95%のキラル純度を有している。つまり、本発明の製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は、約5%未満のマグネシウムS−(−)−α−リポ酸塩を含んでいる。
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が選択されているのは、この安定な塩はマグネシウム及びR−(+)−α−リポ酸塩(R−(+)−α−リポ酸のアニオン)の両方を提供するからである。R−(+)−α−リポ酸塩はヒトの体において天然に見られるα−リポ酸の形態である。さらに、R−(+)−α−リポ酸塩は、細胞内においてジヒドロリポ酸に還元された後に、他の非酵素的な抗酸化物質及び酵素的な抗酸化物質(グルタチオン(GSH)、アスコルビン酸塩、α−トコフェノール、カタラーゼ及びGSH過酸化物が挙げられる)の濃度を元に戻す能力と、遊離ラジカルを捕捉する特性とを併せ持っている広く分布した生理学的な抗酸化物質である。R−(+)−α−リポ酸塩の生理学的な形態であるR−(+)−エナンチオマーは、全ての真核細胞及び原核細胞に存在している。ヒトに対して長期的に投与される場合には、R−(+)−α−リポ酸塩は安全であり、毒性を示さないことが証明されている。マグネシウムは体内において4番目に豊富な元素であり、2番目に豊富な細胞内のイオンである。マグネシウムは300を超える酵素系における補助因子であるため、多くの生合成過程(一例としては解糖、アデノシン−3”,5”−環状一リン酸塩の形成、エネルギー依存性の膜輸送及び遺伝情報の伝達が挙げられる)にとって、十分な量のマグネシウムが必須である。インスリンとマグネシウムとの間の関係はPaolisso et al.によって最近研究されている[G. Paolisso、 A. Scheen、 F. D‘Onofrio、 and P. Lefebvre、 Magnesium and glucose homeostasis. Diabetologia 1990; 33(9): 511−514.]。マグネシウムはインスリン作用のための二次メッセンジャーとしての役割を果たすことが、これらの研究によって示された。反対に、インスリン自身は細胞内のマグネシウムの蓄積の重要な制御因子であることが示された。また、インスリン耐性に関連した状態(例えば高血圧又は加齢)は、細胞内の低いマグネシウム含有量と関連していることが、著者らにより報告されている。真性糖尿病において、細胞内の低いマグネシウム濃度は、排尿による損失及びインスリン耐性の増大の両方の結果としておそらく生じていると報告されている。そのような細胞内の低いマグネシウム含有量が、糖尿病の大血管障害及び微小血管障害に関する合併症の発生に寄与する程度は、まだ立証されていない。細胞内のマグネシウム含有量の減少が、2型(非インスリン依存性)の真性糖尿病において発生するインスリン応答及びインスリン作用の異常の原因になると報告されている。長期にわたるマグネシウムの補給は、インスリン非依存性の糖尿病の対象における、膵島β細胞の応答及びインスリン作用の両方の改善に寄与する。
一般的に、代償性インスリン耐性は、正常値の範囲内(すなわち約7.0%未満)のグリコシル化ヘモグロビン(HbAIc)の濃度(単純な通常の血液検査)によって示されるような、血中グルコース濃度の長期間にわたる適切な制御を意味する。これは、数ヶ月間にわたる代謝制御の指標である。当該指標は、患者が食事、服薬(インスリンなど)、運動及び他の変量の平衡をいかによく保っているか(すなわちそれらが彼らの糖尿病といかによく“代償されている”か)の指標として医師が使用している。不良な代償性インスリン耐性(約7%を超えるHbIAc濃度)は、網膜症、神経障害、血管障害などと関連している。
“生体利用効率”という用語は、腸内に吸収され、対象の細胞及び組織における生物活性のために最終的に利用可能な物質の量を指す。
“賦形材料”という用語は、それ自体が生物活性を有していることを意図されておらず、投与形態に対する特定の特性を与えるために加えられている製剤の一部を形成する任意の化合物を意味することを意図されている。当該特性の一例としては、化学的な分解からの活性成分の保護を提供すること、製剤が形成される設備からの錠剤又はカプレットの離型を容易にすることなどが挙げられる。
“処置すること”及び“処置”などという用語は、薬理学かつ生理学的な所望の効果を得ることを一般的に意味するために本明細書において使用される。当該効果は、疾患、症状又はその障害を予防するか、又は部分的に予防する観点から予防的であり得るか、及び/又は疾患、障害、症状又は当該疾患に起因する悪影響の部分的又は完全な治療の観点から治療的であり得る。本明細書に使用されるとき“処置”という用語は、哺乳類、特にヒトにおける任意の疾患の処置を包含している。当該用語は、(a)疾患に罹る素因がありうるが、まだ当該疾患に罹っていると診断されていない対象において疾患が発症することを予防すること;(b)疾患を抑制すること又はその進行を押さえること;(c)疾患を軽減すること、疾患及び/又はその症状若しくは障害を退行させること;又は(d)対象において一般的に見られる濃度の範囲まで臨床値を戻すことを包含している。
“製剤品質”という語句は、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が少なくとも約90%の純度及び少なくとも90%のキラル純度を有していることを意味している。さらに、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は、ヒトにおいて公知の毒性を有している金属の混入物を、極めて小さい百万分率の量において含有している。このような金属の例としては、アルミニウム、鉛、タリウム、ヒ素、バリウム、カドミウムなどが挙げられる。
“治療的に有効な”という語句は、温血動物における代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症を予防するため及び処置するため、又は真性糖尿病、その続発症及び共存症を予防するため及び処置するために必要なR−(+)−α−リポ酸塩及びマグネシウムの量を提供するという目的を達成するであろう、経口的に投与される本発明の組成物における使用のためのマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の量を限定することを意図されている。
この開示の目的にとって、温血動物は、動物界(哺乳類及び鳥類が挙げられるが、これらに限定されない)の一員である。本発明のもっとも好ましい哺乳類はヒトである。
より正確な記載を提供するために、本明細書に与えられている数量的な表現のいくつかは“約”という用語を用いて制限していない。“約”という用語が明確に使用されているか否かに関わらず、本発明に示されているすべての量は実際の所定の値を指すことを意図されており、当業者を基準にして、合理的に推定される所定の値の近似値(そのような所定の値についての実験条件及び/又は測定条件に起因する近似値が挙げられる)を指すことも意図されていることが理解される。
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は市販されていない。本発明の使用に十分な量のこの塩を手に入れるには、製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製する方法が必要であった。
Pearson及びRichardsonによって、米国特許第6,288,106号に、マグネシウムα−リポ酸塩を調製する方法が開示された。この方法によって、Pearson及びRichardsonは、無水エタノールに溶解しているα−リポ酸の溶液を、無水エタノールに溶解しているマグネシウムエトキシドの溶液に対して、攪拌しながら加えたことを開示している。反応混合物を30分間にわたって攪拌した後、減圧条件下において溶媒を蒸発させて、マグネシウムα−リポ酸塩を得た。Pearson及びRichardsonの方法による製剤品質のマグネシウムα−リポ酸塩を調製する試みは失敗であった。Pearson及びRichardsonの方法に要求されている通りに溶媒を蒸発させた後、取扱いが困難な繊維状の高分子が得られ、製剤品質ではないマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が分離された。
R−(+)−α−リポ酸は、熱又は光の作用によって、1分子上の硫黄−硫黄結合の、不安定なジラジカルへの切断によって、自己重合体化を起こすことが知られている疎水性脂肪酸である。当該ジアニオンは、硫黄−硫黄結合において他のリポ酸分子と相互作用して、新たなリポ酸の開環した2量体を生成し得る。この重合体化の過程は、複数回にわたって繰り返されて、様々な大きさ及び分子量を有しているポリリポ酸(つまり開環したリポ酸の重合体)を生成し得る。R−(+)−α−リポ酸の単量体は、有機溶媒(例えば、アルコール、アルカンなど)に可溶な黄色の粉末である。対照的に、ポリリポ酸は、水又は有機溶媒にほぼ不溶であり、かつ容器の表面に付着する取扱いの困難な“ゴム状の”黄色の固体である。
したがって、溶媒の蒸発又は熱への長い暴露を必要とせずに、室温において粉末状の固体を提供する製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の合成が必要とされていた。当該固体は少なくとも約90%の純度及び少なくとも約90%のキラル純度を有しており、その調製に使用される出発原料であるR−(+)−α−リポ酸は±5%以下のキラル純度を有している。R−(+)−α−リポ酸は酸であり、酸のマグネシウム塩はマグネシウム含有塩基との酸の反応によって得られる。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩のキラル純度がその調製に使用される出発原料であるR−(+)−α−リポ酸のキラル純度と等しいという追加の基準を満たすために、酸塩基反応はラセミ化しない条件下において生じなければならない。
水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウムは、マグネシウムを含有している市販の塩基である。これらの塩基は両方とも水又は有機溶媒に不溶である。このような溶解性の欠如によって、水酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムの、R−(+)−α−リポ酸との反応は工業的に有用な条件下において起こらない。
マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムt−ブトキシド及びマグネシウムアセチルアセトネートは、マグネシウムを含有している塩基である。メタノールに溶解しているマグネシウムメトキシドの溶液は市販されている。エタノールに溶解しているマグネシウムエトキシドの溶液は、1グラムのマグネシウムエトキシドにつき70ml以上のエタノールを加熱すると調製され得る。マグネシウムt−ブトキシド及びマグネシウムアセチルアセトネートの溶液が、メタノール又はアセトニトリル内で、室温において調製され得ることを、本発明者らは発見した。
溶液中のリポ酸は望ましくない酸化反応を受けやすいことが知られている。溶液中のR−(+)−α−リポ酸は、特に塩基の存在する場合に、大気中の酸素によって非常に酸化されやすい。窒素及びアルゴンの不活性な雰囲気においてR−(+)−α−リポ酸の溶液を調製すること、及びこれらの条件下において続く反応を完了させることによって、酸化が回避されることを、本発明者らは発見した。
マグネシウムアルコキシドとしての1モル当量のマグネシウムと2モル当量のR−(+)−α−リポ酸との反応を、本発明者らは研究した。すべての反応は不活性な雰囲気及び遮光した条件下において行われた。これらの条件によって望ましくない酸化及び/又は重合体化が回避されるからである。エタノールに溶解しているマグネシウムエトキシドの溶液を、エタノールに溶解しているR−(+)−α−リポ酸の溶液に加えた場合、室温においてマグネシウムエトキシドの溶液を得るために必要なエタノールの量は工業的に実施するためには多すぎ、所望の化合物であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は溶液から沈殿しなかった。メタノールに溶解しているマグネシウムエトキシドの溶液を、メタノール又はエタノールに溶解しているR−(+)−α−リポ酸の溶液に加えた場合、所望の化合物であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は溶液から沈殿しなかった。メタノールに溶解しているマグネシウムメトキシドの溶液を、メタノール又はエタノールに溶解しているR−(+)−α−リポ酸に加えた場合、所望の化合物であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は溶液から沈殿しなかった。アセトンを加えて沈殿させると、ガラス状の緑色の固体が得られたが、当該固体はマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩ではなかった。
メタノールに溶解しているマグネシウムアセチルアセトネートの溶液をイソプロパノール、アセトニトリル又はメタノール/イソプロパノールに溶解しているR−(+)−α−リポ酸の溶液に加えた場合、所望の化合物であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は得られなかった。その代わり、混合塩であるマグネシウム(R−(+)−α−リポ酸塩)(アセチルアセトネート)が得られた。
長期にわたる実験の後に、粉末状の黄色の固体であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製するための条件を本発明者らは発見した。メタノールに溶解しているマグネシウムメトキシドの溶液を、イソプロパノール、アセトニトリル又はメタノール/イソプロパノールに溶解しているR−(+)−α−リポ酸の溶液に加えた場合、所望の化合物であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が得られた。同様に、メタノールに溶解しているマグネシウムt−ブトキシドの溶液を、イソプロパノール、アセトニトリル又はメタノール/イソプロパノールに溶解しているR−(+)−α−リポ酸の溶液に加えた場合、所望の化合物であるマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が得られたが、収率はより低かった。
最良の条件下において、つまり、窒素又はアルゴンのような不活性な雰囲気の条件に維持し、遮光しながら、メタノールに溶解しているマグネシウムメトキシドの溶液を、メタノール−イソプロピルアルコール溶液に溶解しているR−(+)−α−リポ酸の溶液に滴下して添加することによって、固体の淡黄色の沈殿物としてマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が得られることを、本発明者らは発見した。この調製に使用された溶媒の体積比率は、R−(+)−α−リポ酸の1グラム当たり、25から35ミリリットルのイソプロピルアルコールであり、R−(+)−α−リポ酸の1グラム当たり、5から15ミリリットルのメタノールであった(使用されたメタノールの体積はマグネシウムメトキシド溶液及び追加のメタノールによって与えられる)。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は濾過によって分離され、新しいイソプロピルアルコールを用いて洗浄することによって混入物から精製された。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は300℃未満の温度において溶解しなかった。滴定によるマグネシウム含有量の分析によって、マグネシウムの含有量は予想通り5.6質量%であることが示された。HPLCを用いたR−(+)−α−リポ酸塩の含有量の分析によって、R−(+)−α−リポ酸塩の含有量は予想通り95質量%であることが示された。また、HPLCによる分析によって、キラル純度は95%を超え、調製に用いられる出発物質であるR−(+)−α−リポ酸のキラル純度は96±5%以内であったこと、つまり、反応の間にラセミ化が生じていないことが確認された。誘導結合プラズマ質量分析による微量金属の分析によって、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は有毒金属(例えば、アルミニウム、スズ、ヒ素、バリウム、鉛及びタリウム)を百万分率においてごく少量のみを含有していることが示された。したがって、製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製するための新しく発見された方法は、安価な市販の試薬、工業的な量まで容易に規模を拡大できる反応条件を使用しており、ラセミ化が生じない反応条件を備えており、95%を超える純度及び95%を超えるキラル純度を有しているマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を、65%を超える収率において提供する。
以上において開示されている方法において調製されている製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は、R−(+)−α−リポ酸の安定なマグネシウム塩である。我々は、2年間にわたる周囲温度における保存中に本発明のR−(+)−α−リポ酸塩の安定性を研究し、塩の物理的状態及び化学的特性が長期にわたって変化しないことを発見した。その塩は吸湿性ではなかった。この淡黄色の塩は、特徴的なにおい又は味を有していなかった。
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は水に不溶であり、水に対する不溶性はこの塩が低い生体利用効率を有していることを一般的に示している性質である。しかし、本発明者らは、マグネシウム及びR−(+)−α−リポ酸塩が約4から約8の範囲のpHを有している水性溶液における塩の懸濁液から入手可能であることを発見している。これはヒトの胃腸系の部分に見られるpHの範囲であり、pH4は食物が消化された後の胃に見られ、pH6〜7は腸管の上部に見られ、pH8は腸管の上部に見られる。R−(+)−α−リポ酸塩は親水性及び親油性の両方の特性を有している。この組合せの特性に基づいて、R−(+)−α−リポ酸塩が、全身の細胞上に見られるような親油性の膜に結合し、胃腸管からのマグネシウムが結合しているリポ酸の吸収によって、少なくとも部分的に取込まれると予想することは、化学的に妥当である。このため、その生体利用効率は、水に不溶な従来のマグネシウム塩と比べて予想外に高い。
本発明の組成物の単位用量又は一人分は、元素を基準にして、約5ミリグラムから約100ミリグラムのマグネシウムを提供し、製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の形態においてR−(+)−α−リポ酸塩を約95ミリグラムから約1900ミリグラムを提供する。医師は投与量及び関連する投与計画が患者に最適であるかを決定するための訓練を受けており、専門知識を有している。
本発明の組成物は、温血動物の体内における作用部位との活性成分の接触をもたらす任意の手段によって投与されうる。最も好ましい投与手段は経口経路(つまり、経口摂取)である。投与計画との服薬遵守を促進し、向上させるように、本発明の組成物は、1日当たり1回以上にわたって投与されうる。
活性成分は、固体の投与形態(例えば錠剤、カプレット及び粉剤)、又は液体の投与形態(例えばエリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤)において経口経路によって投与され得る。薬学的組成物は、特定の量の活性成分のそれぞれを含有している単位用量の形態において好ましく製造される。本発明の組成物の最も好ましい経口投与の形態の一つは、薬包に入れた粉剤の混合物である。本発明の組成物は、吸湿性ではなく、不快な味及びにおいを有していないので、使用を容易にし、日々の投与計画との服薬遵守を高い水準に維持するために、本発明の組成物を含んでいる粉剤の混合物は、食物にふりかけられうる、又は、飲料に混ぜられうる。
一般的に、本発明の薬学的組成物の投薬形態は、この分野においては標準的な文献であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されているように、従来技術によって調製されうる[Gennaro AR, Ed. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 20th Edition. Baltimore: Lippincott, Williams & Williams, 2000]。治療目的のため、本発明のこの併用療法の活性成分は、投与の必要とされる経路に適した1つ以上の補助剤と通常組み合わせられる。経口投与される場合、成分は、ラクトース、スクロース、スターチの粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及び/又はポリビニルアルコールと混合され得、それから投与の簡便さのために錠剤化され得るか、又はカプセルに包まれ得る。このようなカプセル剤又は錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおいて活性化合物を分散させて提供され得るような徐放製剤を包含しうる。固体の投薬形態は、数時間にわたって薬剤を持続放出させるための徐放性製剤として製造されうる。圧縮錠は、任意の不快な風味を遮断し、環境から錠剤を保護するために、糖衣若しくはフィルムコーティングを施されうるか、又は胃腸管における選択的な崩壊のために腸溶コーティングを施されうる。固体及び液体の経口的な投薬形態の両方は、患者の受け入れを容易にするために、着色剤及び香料添加剤を含みうる。他の補助剤及び投与形式は製薬分野において広く十分に知られている。
経口投与による服用は、毎日の単回投与、一日おきの単回投与、又は一日を通して間隔をあけた複数回の投与を必要とする投薬計画でありうる。治療法を構成している活性剤は、組合せの投薬形態、又は実質的に同時の経口投与を意図している個々の投薬形態のいずれにおいても、同時に投与されうる。また、治療法を構成している活性剤は、二段階の経口摂取を必要とする投与計画によって投与される活性成分のいずれかとともに、逐次的に投与されうる。したがって、投与計画は、別々の活性剤を、間隔をおいた経口摂取を用いて活性剤の逐次投与を必要としうる。複数の消化段階の期間は、それぞれの活性剤の性質(例えば、当該活性剤の有効性、溶解性、生体利用効率、血中半減期及び動力学的性質)並びに患者の年齢及び状態に依存して、数分から数時間に及びうる。治療法の活性剤は、同時、実質的に同時又は逐次的であるかに関わらず、経口経路による1つの活性剤の投与及び静脈内経路による他の活性剤の投与を必要とする投与計画と関連しうる。治療法の活性剤が経口又は静脈内の経路によって、個々又は一緒に投与されるかに関わらず、そのような活性剤のそれぞれは、薬学的に受容可能な賊形剤、希釈剤又は他の製剤成分の好適な薬学的調合物として含まれている。
〔実施例1:製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の調製及び分析〕
(A.マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製する、試みられた方法)
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製する試みにおいて7つの異なる反応を繰り返し行った(表1)。エリオクロムブラックを用いた滴定によりマグネシウムの含有量について生成物のそれぞれを分析し、高速液体クロマトグラフィーによりR−(+)−α−リポ酸塩の含有量について生成物のそれぞれを分析した。
Figure 2012506429
(B.本発明の製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の調製方法)
不活性ガスの条件下に遮光して維持されている3500mlのメタノール−イソプロピルアルコール溶液における、約96%のキラル純度を有している約100gのマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩(2モル当量)の透明な溶液に対して、メタノール(マグネシウムメトキシドの約1モルに等しい体積)に溶解しているマグネシウムメトキシドの溶液の485mlを滴下して添加することによって、固体の淡黄色の沈殿物としてマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が得られた。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は、濾過によって分離され、新しいイソプロピルアルコールを用いて洗浄することによって混入物から精製された。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は300℃未満の温度では融解しなかった。滴定によるマグネシウム含有量の分析によって、マグネシウムの含有量が5.6質量%であることが予想通り示された。HPLCによるR−(+)−α−リポ酸塩の分析によって、R−(+)−α−リポ酸塩の含有量が94.4質量%であることが予想通り示された。キラル純度の決定に有用な方法による高速液体クロマトグラフィーにより、これらから得られたマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は少なくとも約95%のキラル純度を有していることを確認し、したがって、生成過程においてラセミ化は生じなかった。誘導結合プラズマ質量分析による微量金属の分析によって、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩はアルミニウム、スズ、ヒ素、バリウム、鉛及びタリウムのような有害金属を百万分率に対してごく少量のみを含有していることが示された。このため、薬剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩が、65%を超える収率を有して得られ、95%を超える純度及び95%を超えるキラル純度を有していた。
〔実施例2:本発明のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の安定性〕
実施例1のB.のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の試料を室温において保存した。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の試験試料を一週間にわたって相対湿度75%の周囲環境にさらした。保存中に、化合物の外見及び性質は変化しなかった。これらの条件における保存中に、化合物は吸湿性を示さず、安定であったことがデータによって示された。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の試験試料を、2年間にわたって周囲温度において保存した。化合物の外見及び性質は変化しなかった。マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は保存期間を通して淡黄色の粉末であり、重合体化及び分解の明らかな兆候を示してはいなかった。これらの条件における保存中に化学組成、純度及びキラル純度は変化しなかったことが化学分析によって示された。対照的に、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸のこれらの条件における保存によって、化合物の凝集、強い硫黄臭の発生、及びポリリポ酸塩の分解産物の材料特性である暗黄色の視認できる小さいゴム状の球体の形成を生じた。
〔実施例3:本発明のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の生体利用効率〕
リン酸塩溶液に由来する結合されたリンの割合として生体が利用可能なマグネシウムの割合を決定した。
(材料)
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩以外の材料は商業的な供給業者(例えばSigma Aldrich Chemical Co.、 Inc.、 VWR、 Alfa Aesar Chemical Co.、Jost Chemical Co.)から得た。
(方法)
以下の手順が使用された。同一の実験を3回行い、それぞれにおいて1.43gのNaHPO・HO(329mgのリン元素)を570mlの脱イオン水に溶解させた。試験化合物又は対照化合物を30mlの体積になるまで脱イオン水に溶解させた。得られた溶液をリン溶液に加えて、600mlの最終体積にした。それぞれの実験のために、濃縮されたHCl又はNaOHの添加によって、異なる5つの開始pHの値:4、5、6、7及び8までリン溶液を滴定した(これらのpHの値は胃腸管のpHの範囲に及んでいる)。そして、プラスチックのラップを用いて、溶液が入っているビーカーを覆い、37℃、1分間に〜20回の振盪数において振盪している振盪槽に収納した。このような低い攪拌速度におけるインビトロの制酸活性が胃におけるインビボの制酸活性とよく相関していることが報告されているため、この攪拌速度を選択している。開始pHへの滴定の直前、並びに混合後の1、4及び10時間に、リン酸塩(Pi)のイオンクロマトグラフィー分析のためのサンプルを採取した。これらの混合後の間隔は、胃におけるおおよその滞留時間、小腸における吸収にとって有効な時間、及びインビボ研究において関連が報告されているリン結合にとって有効な最大の時間のそれぞれに一致すると報告されている。リン溶液における初期の濃度から濾過物の濃度まで低下しているリン濃度の割合は、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩(Mg RALA)における生体が利用可能なマグネシウムを表している。
マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩のマグネシウムイオンは胃腸管のあらゆる部分において生体が利用可能であることが、実験データ(図1)によって示されている。このpH範囲内ではマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩は大きな溶解性を有していないが、このマグネシウム塩が十分に解離して、4から8のpH範囲の全体にわたって、82%から100%の利用可能なマグネシウムを提供することがこの実験データによって示されている。
言及したすべての参考文献は、言及によってあたかも本明細書に記載されているように援用される。
本発明又はこれらの好ましい(複数の)実施形態の要素を説明している場合に、冠詞“a”、“an”、“the”及び“said”は1つ以上の要素があることを意味すると意図されている。“comprising”、“including”及び“having”という用語は、包括的なものであり、挙げられている要素以外の付加的な要素を含みうることを意味していると意図されている。
更なる詳細がなくても、当業者は、これまでの記載を用いて、最大の範囲まで本発明を利用できると考えられる。このため、特定の実施形態は単なる例証として解釈されるべきであり、開示事項他の部分を制限するものとしていかなる場合にも解釈されるべきではない。

Claims (7)

  1. 製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の形態において元素を基準にして約5ミリグラムから約100ミリグラムのマグネシウムの単位用量又は一人分の合剤を含んでいる、代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症、又は真性糖尿病、その続発症、合併症及び共存症の予防又は処置に有用な、経口的な栄養組成物及び治療組成物。
  2. ヒトにおける代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症、又は真性糖尿病、その続発症、合併症及び共存症を予防するか、又は処置する、方法であって、製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の有効な量を含んでいる補助物の安全かつ有効な量をヒトに投与することを包含している、方法。
  3. 元素を基準にして一日あたり約5ミリグラムから約400ミリグラムのマグネシウムを提供する水準において、上記マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を投与する、請求項2に記載の方法。
  4. ヒトにおける1型真性糖尿病又は2型真性糖尿病を予防するか、又は処置する方法であって、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の有効な量を含んでいる補助物の安全かつ有効な量をヒトに投与することを包含している、方法。
  5. ヒトにおける解糖に関連する代謝異常の続発症、合併症及び共存症を予防するか、又は処置する方法であって、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の安全かつ有効な量をヒトに投与することを包含している、方法。
  6. 95%を超える純度及び95%を超えるキラル純度を有している製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を調製する方法であって、
    (a)メタノール及びイソプロピルアルコール中において、約95±5%のキラル純度を有している約2モル当量のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸の透明な溶液を調製し、不活性ガス及び抑えた照明の条件においてリポ酸を保存すること;
    (b)メタノールに溶解しているマグネシウムメトキシドの溶液の、約1モル当量のマグネシウムメトキシドに相当する体積を滴下して添加することによって、マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の固体の、当該溶液における懸濁液を提供すること;並びに
    (c)上記マグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩を単離することを包含している、方法。
  7. 代償性インスリン耐性、非代償性インスリン耐性、関連疾患及び続発症、又は真性糖尿病、その続発症、合併症及びその共存症の予防又は処置のための薬剤の製造における、95%を超える純度及び95%を超えるキラル純度を有している製剤品質のマグネシウムR−(+)−α−リポ酸塩の、使用。
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