本発明は、全般的には、被験者(対象)における炎症性腸疾患の診断およびその進行のモニター、例えば、薬物治療の経過のモニターに関する。そのような薬物はIL−23の活性を抑制することが可能であり、モノクローナル抗体でありうる。診断およびモニターは、タンパク質および/または遺伝子発現レベルで生物マーカーのレベルを測定することにより達成される。
免疫系は、感染因子、例えば細菌、多細胞生物およびウイルス、ならびに癌から、個体を防御するように機能する。この系は、幾つかのタイプのリンパ系および骨髄性細胞、例えば単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)、好酸球、T細胞、B細胞および好中球を含む。これらのリンパ系および骨髄性細胞は、しばしば、サイトカインとして公知のシグナリングタンパク質を産生する。免疫応答は、炎症、すなわち、全身または身体の特定の部位における免疫細胞の蓄積を含む。感染因子または外来物質に応答して、免疫細胞はサイトカインを分泌し、そしてこれは免疫細胞の増殖、発生、分化または遊走をモジュレーションする。免疫応答は、例えば、それが自己免疫障害の場合のように過剰免疫を伴うと、病的影響を及ぼしうる。例えば、Abbasら(編)(2000)Cellular and Molecular Immunology,W.B.Sannders Co.,Philadelphia,PA;OppenheimおよびFeldmann(編)(2001)Cytokine Reference,Academic Press,San Diego,CA;von AndrianおよびMackay(2000)New Engl.J.Med.343:1020−1034;DavidsonおよびDiamond(2001)New Engl.J.Med.345:340−350を参照されたい。
クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)は炎症性腸疾患(IBD)と総称され、胃腸管の慢性炎症疾患である。どちらの障害も、異常な疼痛、下痢(しばしば血便)、様々な「腸管外」徴候の一群(例えば、関節炎、ブドウ膜炎、皮膚変化など)ならびに小腸および結腸内の炎症細胞の蓄積により特徴づけられる。IBDの他の症状、態様、徴候または兆候には、食物の吸収不良、腸運動性の変化、感染、発熱、直腸出血、体重減少、栄養不良の徴候、肛門周囲疾患、腹部塊および成長不全、ならびに腸合併症、例えば狭窄、フィステル、中毒性巨大結腸、穿孔および癌が含まれ、内視鏡的所見、例えば脆弱、アフタ性および線状潰瘍、敷石像、偽ポリープおよび直腸障害、そしてまた、抗酵母抗体が含まれる。例えば、Podolsky(2002)New Engl J.Med.347:417−429;Hanauer(1996)New Engl.J.Med.334:841−848;HorwitzおよびFisher(2001)New Engl,J.Med.344:1846−1850を参照されたい。
IBDは子供および大人の両方を冒し、双峰性年齢分布を示す(1つのピークは約20歳、第2のピークは約40歳)。IBDは生涯にわたる慢性疾患であり、しばしば、「自己免疫」障害(例えば、慢性関節リウマチ、I型糖尿病、多発性硬化症など)と共に分類される。IBDは、ほとんど全て、産業化世界において見出される。推定100万人の米国人がIBDを有し、その半数はCDを有し、その半数はUCを有すると考えられている(Hanauer(2006)Inflamm.Bowel Dis.12:S3)。IBD、特にクローン病の頻度が米国および欧州で増加する傾向にあり、その詳細は明らかでない。
IBDの治療は様々である。第一線級の治療は、典型的には、経口投与または直腸内投与されるサリチル酸誘導体(例えば、5−ASA)である。また、コルチコステロイドが、不都合な副作用があるにもかかわらず使用され、アザチオプリンおよび6−メルカプトプリンのような免疫調節薬が使用される。より新しい治療選択肢は、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン)、ならびにTNF−αに対するキメラ抗体であるインフリキシマブ(infliximab)(Remicade(登録商標))および他のTNF−αアンタゴニスト、例えばアダリムマブ(adalimumab)(Humira(登録商標))、セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol)(Cimzia(登録商標))、ゴリムマブ(goiimumab)(Simponi)およびナタリズマブ(Tysabri(登録商標))のような免疫調節薬を含む。
炎症性腸障害は免疫系の細胞およびサイトカインにより引き起こされる。例えば、クローン病はIL−12およびIFNγの増加に関連しており、潰瘍性大腸炎はIL−5、IL−13およびトランスフォーミング増殖因子−ベータ(TGF−β)の増加に関連している。クローン病および潰瘍性大腸炎においてはIL−17の発現も増加しうる。例えば、Podolsky(2002)New Engl.J.Med.347:417−429;BoumaおよびStrober(2003)Nat.Rev.Immunol.3:521−533;Bhanら(1999)Immunol.Rev.169:195−207;Hanauer(1996)New Engl.J.Med.334:841−848;Green(2003)The Lancet 362:383−391;McManus(2003)New Engl J.Med.348:2573−2574;HorwitzおよびFisher(2001)New Engl J.Med.344:1846−1850;Andohら(2002)Int.J.Mol.Med.10:631−634;Nielsenら(2003)Scand J.Gastroenterol 38:180−185;Fujinoら(2003)Gut 52:65−70を参照されたい。
インターロイキン−12(IL−12)は、p35およびp40サブユニットから構成されるヘテロ二量体分子である。IL−12は、IFNγを分泌するT−ヘルパー1型CD4+リンパ球へのナイーブT細胞の分化において決定的に重要な役割を果たしていることを、研究は示している。IL−12はインビボにおける多数のT細胞依存性免疫および炎症応答に必須であることも示されている。例えば、Cuaら(2003)Nature 421:744−748を参照されたい。IL−12受容体はIL−12Rβ1およびIL−12Rβ2サブユニットから構成される。Preskyら(1996)Proc.Nat’l Acad Sci.USA 93:14002を参照されたい。
インターロイキン−23(IL−23)は、2つのサブユニット(すなわち、IL−23に特有のp19およびIL−12と共有されているp40)から構成されるヘテロ二量体サイトカインである。p19サブユニットはIL−6、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、およびIL−12のp35サブユニットに構造的に関連している。IL−23は、IL−23受容体に特有のIL−23RおよびIL−12受容体と共有されているIL−12Rβ1から構成されるヘテロ二量体受容体に結合することにより、シグナリングを媒介する。Parhamら(2000)J.Immunol.168:5699を参照されたい。
多数の初期研究は、p40ノックアウト(KO)マウスにおけるp40における遺伝的欠損の影響が、p35KOマウスにおいて見出されるものより大きいことを示した。これらの結果の幾つかは最終的には、IL−23の発見により、およびp40KOがIL−12の発現だけでなくIL−23の発現をも妨げるという認識により説明された。例えば、Oppmannら(2000)Immunity 13:715−725;Wiekowskiら(2001)J.Immunol.166:7563−7570;Parhamら(2002)J.Immunol.168:5699−708;Frucht(2002)Sci STKE 2002,E1−E3;Elkinsら(2002)Infection Immunity 70:1936−1948を参照されたい。
p40KOマウスの使用による最近の研究は、IL−23およびIL−12の両方の遮断が種々の炎症および自己免疫障害に対する有効な治療となることを示唆している。しかし、p40を介したIL−12の遮断は日和見微生物感染症に対する感受性の増強のような有害な全身的影響を及ぼしうる(Bowmanら(2006)Curr.Opin.Infect.Dis.19:245)。
IL−23Rは決定的に重要な遺伝的因子として炎症性腸障害に関与している(Duerrら(2006)Science 314:1461)。ゲノム全体の患者対照関連分析は、IL−23Rの遺伝子がクローン病に強く関連づけられ、一般的でないコード変異体(Arg381Gln)が該疾患に対する強力な防御をもたらすことを見出した。この遺伝的関連性はそれ以前の生物学的知見(Yenら(2006)J.Clin.Investigation 116:1218)を証明しており、IL−23およびその受容体(IL−23Rを含む)がIBDの治療のための新規治療アプローチの有望な標的であることを示唆している。
サイトカイン活性を遮断するために治療用抗体が使用されうる。抗体をインビボで治療剤として使用する場合の大きな制約は抗体の免疫原性である。ほとんどのモノクローナル抗体はげっ歯類に由来するため、ヒトでの反復使用は該治療用抗体に対する免疫応答の生成を引き起こす。そのような免疫応答は治療効力の喪失から致死的アナフィラキシー応答まで様々でありうる。げっ歯類抗体の免疫原性を軽減するための初期の試みは、マウス可変領域がヒト定常領域に融合されたキメラ抗体の製造を含むものであった(Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−43)。この分野における更なる進歩は、治療用抗体の免疫原性を最小にするために相補性決定領域(CDR)以外の抗体配列の全てがヒト配列で置換されたヒト化抗体へとつながった。全ての配列がヒト由来であるヒト抗体も開発されている。
IBDの治療に関する研究は、種々の治療計画および物質の有効性を評価するために患者をモニターすることを要する。そのようなモニターは、診療所における患者の治療の方向を定める際にも有用である。症状の自己申告は本質的に主観的であり非定量的である(Langhorstら(2008)Am.J.Gastroenterol.103:162;Cooneyら(2007)Trials 8:17)。より侵襲的な技術、例えばS状結腸鏡検査、結腸内視術および生検は、バリウムX線検査またはCTスキャンのようなイメージング技術と同様に、不快感を伴い、不便であり、高価である。例えば、Wintherら(1998)Drugs of Today 34:935を参照されたい。疾患進行の信頼しうる尺度がなければ、治療計画の有効性を評価すること、またはいずれの個々の患者の投与をも最適化することは困難である。全般的には、Carty & Rampton(2003)Brit.J.Clin.Pharmacol.56:351を参照されたい。
糞便中のカルプロテクチンに関するアッセイがIBDの診断およびモニターに関して承認されている(Von Roonら(2007)Am.J.Gastroenterol.102:803)。炎症細胞数、C反応性タンパク質(CRP)、オロソムコイド、ハプトグロビンおよび赤血球沈降速度のような一般的全身性炎症マーカーならびに栄養不足、電解質およびアルブミンの尺度を評価するための血液検査も用いられうる。IBDの再発に既に関連づけられている血清マーカーには、α−1糖タンパク質、α−1アンチトリプシン、γ−グロブリン、オロソムコイドおよびフィブリノーゲンが含まれるが、そのようなマーカーは低い感度および特異性を有する傾向にある(Amottら(2002)Aliment.Pharmacol.Ther.16:857)。抗TNF−α抗体でのクローン病患者の治療の成功はα−1−酸糖タンパク質(オロソムコイド)、ハプトグロビン、コリンエステラーゼおよびプレアルブミンのレベルの変化に関連づけられている(Kupcovaら(2003)Physiol Res.52:89)。
潰瘍性大腸炎における生物マーカーとして使用する、特に、抗TNF−α剤に対する非応答者の特定および治療のモニターにおいて使用する遺伝子のパネルがWO 2008/028044およびWO 2008/028031に開示されている。乾癬における生物マーカーとして使用する、特に、抗IL−12/23 p40抗体に対する非応答者の特定および治療のモニターにおいて使用する遺伝子のパネルがWO 2007/076523に開示されている。
IBDの進行をモニターするための改良された方法が必要とされている。そのような方法は、好ましくは、疾患の重症度を反映する1以上の遺伝子または遺伝子産物(生物マーカー)のレベルの検出により被験者の病態の客観的決定を可能にするであろう。好ましくは、該生物マーカーは、IBDの治療のための1以上の治療用物質(例えば、IL−23アンタゴニスト)で治療されている被験者における病態を表すであろう。
発明の概括
本発明は、レベルがIBDの病態を表す遺伝子および遺伝子産物(「生物マーカー」)のセットを提供することにより、当技術分野におけるこれらの要求を十分に満足させるものである。該生物マーカーレベルは、IL−23アンタゴニスト、例えば抗IL−23p19または抗IL−23R抗体で治療された被験者における病態を表す。
1つの態様においては、本発明は、IBDの進行または病態を評価するために使用されうる1つ、2つ又はそれ以上の生物マーカーのセット、生物マーカーのセットの使用方法を提供する。種々の実施形態において、本発明は、本明細書に開示されている生物マーカーの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又はそれ以上を使用するIBD評価を提供する。1つの実施形態においては、該方法は糞便サンプルの取扱いを要しない。
1つの実施形態においては、前記の1つ、2つ又はそれ以上の生物マーカーは、CCL20、DMBT1、MIF、LCN2(リポカリン2)、PAP、S100A8/A9(カルプロテクチン)、インターロイキン−22(IL−22)、ハプトグロビン、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−17(IL−17)、ラクトフェリン、GP−39(YKL−40)、GPX−2、GPX−3、好中球エラスターゼ、TNF−αおよびC反応性タンパク質(CRP)よりなる群から選択される。もう1つの実施形態においては、前記の1つ、2つ又はそれ以上の生物マーカーは、S100A8/A9(カルプロテクチン)、PAP、LCN2(リポカリン2)、MIF、DMBT1、インターロイキン−22(IL−22)、ハプトグロビンおよびCCL20よりなる群から選択される。さらにもう1つの実施形態においては、前記の1つ、2つ又はそれ以上の生物マーカーは、S100A8/A9(カルプロテクチン)、PAP、LCN2(リポカリン2)、MIFおよびDMBT1よりなる群から選択される。
種々の実施形態においては、前記の1以上の生物マーカーは血液(血漿または血清を含む)または糞便(例えば、便サンプル)において検出され、あるいは少なくとも1つの生物マーカーは血液、血漿または血清において検出され、少なくとも1つの他の生物マーカーは糞便において測定される。他の実施形態においては、前記の1以上の生物マーカーは組織サンプル、例えば生検において検出される。
1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはCRP、IL−6、IL−17、IL−22、LCN2、CCL20、PAPおよびS100A8/S100A9を含み、該生物マーカーのレベルは血清において測定される。もう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはIL−22、PAPおよびS100A8/A9を含み、該生物マーカーのレベルは血清において測定される。さらにもう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはCRP、IL−6、IL−22およびS100A8/S100A9を含み、該生物マーカーのレベルは血清において測定される。
もう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはIL−17、IL−22、ラクトフェリン、PAPおよびS100A8/S100A9を含み、該生物マーカーのレベルは糞便において測定される。もう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはPAPおよびS100A8/S100A9を含み、該生物マーカーのレベルは糞便において測定される。さらにもう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはIL−17、ラクトフェリンおよびS100A8/S100A9を含み、該生物マーカーのレベルは糞便において測定される。
さらにもう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはS100A8/A9およびIL−22を含み、該生物マーカーのレベルは血清および/または糞便において測定される。
もう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはCCL20、LCN2、PAPおよび場合によってはGP−39を含み、該生物マーカーのレベルは血清において測定され、該炎症性腸疾患はクローン病である。もう1つの実施形態においては、クローン病を示唆する生物マーカーのセットはCCL20、LCN2およびGP−39を含む。1つの実施形態においては、LCN−2のレベルが血清において約57ng/ml以上である場合、またはCCL−20およびGP−39のレベルが血清においてそれぞれ約21pg/ml以上および約93ng/ml以上である場合、被験者はクローン病を有すると診断される。
さらにもう1つの実施形態においては、生物マーカーのセットはMIFおよびGPX−3を含み、該生物マーカーのレベルは血清において測定され、該炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。1つの実施形態においては、潰瘍性を示唆する生物マーカーのセットはMIFおよびLCN2を含む。1つの実施形態においては、MIFのレベルが血清において約4.1ng/ml以上である及びLCN2のレベルが血清において約6.3ng/ml以上である場合、被験者は潰瘍性大腸炎を有すると診断される。
診断実施形態においては、潰瘍性大腸炎ではなくクローン病にヒト被験者が罹患しているかどうかを判定するために、CCL20、PAP、GP−39、MIFおよびGPX−3よりなる群から選択される2以上の生物マーカーが測定される。そのような診断実施形態においては、CCL20、LCN2およびPAPとの比較した場合のGPX−3およびMIFのレベルの上昇は、クローン病ではなく潰瘍性大腸炎を示唆する。一方、GPX−3およびMIFと比較した場合のCCL20、LCN2およびPAPのレベルの上昇は、クローン病ではなく潰瘍性大腸炎を示唆する。
1つの実施形態においては、生物マーカーデータは、多変量判別分析を用いて評価される。もう1つの実施形態においては、生物マーカーデータは、決定木分析を用いて評価される。
幾つかの実施形態においては、該方法は、免疫学的検出手段、例えばELISA、免疫組織化学法(IHC)、蛍光活性化細胞分取(FACS(登録商標))、ウエスタンブロットまたは他の免疫学的タンパク質検出方法による生物マーカータンパク質レベルの検出を含む。他の実施形態においては、該生物マーカータンパク質は、非免疫学的検出手段、例えば質量分析またはクロマトグラフィー手段により測定される。さらに他の実施形態においては、生物マーカーは、遺伝子発現検出手段により、例えば、核酸ハイブリダイゼーションに基づく技術(例えば、アレイまたはチップ)または増幅に基づく技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、TaqMan(登録商標)リアルタイム定量PCR分析)を用いて例えばmRNAのレベルを検出することにより、遺伝子発現レベルで測定される。
他の実施形態においては、生物マーカーのレベルが、予め決定された基準サンプル(例えば、IBDを有さない被験者からのもの、または何らかの過去の時点の被験者からのもの、または該被験者の非罹患組織からのもの)のレベルと比べて、定められた倍数、例えば1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、7倍、10倍、15倍,20倍、50倍、100倍またはそれ以上異なる場合、該生物マーカーのレベルは該基準サンプルのレベルより高い又は低いと判断される。関連実施形態においては、生物マーカー(例えば、血清濃度)の絶対的レベルは、既知IBD患者および非IBD対照において検出されたレベルに基づいて、陽性結果だとみなされるものに関するカットオフ(すなわち、活性IBDに合致する生物マーカーレベル)として選択される。
もう1つの実施形態においては、発現比のレベルにおける相違が、表2、3Bまたは4Bに開示されている比に類似している場合に、サンプルは異なると判断される。一般に、生物マーカーの「上昇(した)」レベルとみなされるものに関する「カットオフ」は、非罹患被験者に対する罹患被験者における発現の比より若干低いであろう。例えば、表2におけるデータに基づけば、MIFのレベルは、それが対照非罹患被験者におけるレベルより約3倍高ければ、上昇しているとみなされうるであろう。PAPのレベルは、それが対照非罹患被験者におけるレベルより約1.5倍高ければ、「上昇している」とみなされうるであろう。カルプロテクチンのレベルは、それが対照非罹患被験者におけるレベルより約1.3倍高ければ、「上昇している」とみなされうるであろう。
さらに他の実施形態においては、IBD(CDまたはUC)に関する病態は、2以上の生物マーカー、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の生物マーカーの測定により評価される。幾つかのそのような実施形態において、病態の第1の決定が病態の第2の決定より高い又は低いと評価されるのは、該決定における相違が該検出方法の固有の変動性より大きい場合である。1つの実施形態においては、PAP/REG3α、LCNおよびCCL20の1以上の血清レベルが異なると判定されれば、病態は異なると評価される。もう1つの実施形態においては、被験者におけるPAP/REG3α、LCN2およびCCL20の1以上の血清レベルが非IBD被験者におけるレベルと異なると判定されれば、被験者はIBDを有すると診断される。
異なる測定は、異なる時点で同一被験者から、または異なる被験者(例えば、IBD被験者および非IBD被験者、または治療された被験者および未治療の被験者)から、または症状の重症度が異なる被験者の群から、または単一被験者における異なる組織(罹患組織および非罹患組織)から採取されたサンプルに基づくものでありうる。
もう1つの態様においては、本発明は、IBD、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎の診断方法に関する。
さらにもう1つの態様においては、本発明は、治療用物質による標的または経路関与の評価方法に関する。そのような方法は、臨床治験において、そしてまた、規制機関の承認の後に診療所において有用でありうる。標的には、IL−23、IL−23p19、IL−23受容体、IL−23RおよびTh17細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。経路には、IL−23シグナリング経路、Th17経路またはそれらの両方が含まれるが、これらに限定されるものではない。臨床治験においては、治療利益が得られないことが観察された場合に、それが該治療用物質の不関与により引き起こされたのか、あるいは治療利益をもたらす標的経路への不介入により引き起こされたのかどうかを判定するのに、標的関与の実証は有用である。診療所においては、治療用物質が活性であるかどうかを判定するのに、例えば、薬物がその所望の生物活性を、例えば見掛け上の利益または症状の緩和を示さない被験者において、保有するかどうかを判定するのに、標的関与の実証は有用である。
種々の実施形態においては、本発明の生物マーカーの1以上は、IBDに対する治療を受けている被験者における疾患進行を追跡するために使用される。満足できる結果を患者が得ることが保証されるよう、用量、投与頻度(間隔)または他の治療パラメーターは、少なくとも部分的には、生物マーカーの測定に基づいて変更されうる。そのような方法は、患者による症状の主観的評価ではなく、臨床検査の結果に基づく客観的なものである。患者は、例えば、臨床治験における被験者、または承認された治療を受けている患者でありうる。
幾つかの実施形態においては、該治療はIL−23アンタゴニストによるものである。種々の実施形態においては、該IL−23アンタゴニストは、IL−23またはそのサブユニット、すなわち、IL−23p19またはIL−12/23p40に結合する抗体(またはその抗原結合性フラグメント)、あるいはIL−23受容体またはそのサブユニット、すなわち、IL−23RまたはIL−12Rβ1に結合する抗体である。種々の実施形態においては、該抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化または完全ヒト抗体である。他の実施形態においては、該IL−23アンタゴニストは、IL−23またはその受容体またはそれらのいずれかの任意のサブユニットを標的とする核酸分子、例えばアンチセンス核酸またはsiRNAである。さらに他の実施形態においては、該IL−23アンタゴニストは小分子化合物である。
幾つかの実施形態においては、IBDに対する治療を受けている被験者において疾患の進行を追跡し、基準値と比較して、例えば治療的に有効な物質に関するスクリーニングの一形態として該治療計画の効力(有効性)を評価する。基準値は、例えば、非罹患被験者から、またはプラシボで治療された被験者のマッチングされた対照群から得られる。幾つかの実施形態においては、該治療計画はIL−23アンタゴニストの投与を含む。
本発明の種々の実施形態においては、IBDは、一般的炎症マーカー(例えば、C反応性タンパク質,CRP)または標準的臨床尺度(例えば、クローン病活動指数,CDAI)に基づいて評価される。
本発明は更に、IBDに罹患している被験者における本発明の1以上の生物マーカーの発現を第1時点において測定し、治療用物質を投与し、前記の1以上の生物マーカーを第2時点で再測定し、第1測定と第2測定との結果を比較し、場合によっては、該比較に基づいて治療計画を変更することを含む治療方法を提供する。1つの実施形態においては、第1時点は該治療用物質の投与の前であり、第2時点は該治療用物質の投与の後である。1つの実施形態においては、第1時点は該被験者への初めての該治療用物質の投与の前である。1つの実施形態においては、用量(いずれかの1回の投与時に投与される治療用物質の量と定義される)は該比較に応じて増加または減少される。もう1つの実施形態においては、投与間隔(連続的投与の間の時間と定義される)は該比較に応じて増加または減少される(治療の完全な中止も含まれる)。投与間隔は投与頻度に逆相関する。
もう1つの態様においては、本発明は、本明細書に開示されている生物マーカーの1以上のレベルを測定するためのキットに関する。そのようなキットは、そのような生物マーカーの発現のレベルを測定するための手段を含みうる。幾つかの実施形態においては、該キットは、例えば、ELISA、IHC、FACS(登録商標)、ウエスタンブロットまたは他の免疫学的タンパク質検出法のための試薬、例えば、捕捉抗体、検出(一次)抗体、二次抗体、比色試薬(例えば、酵素基質)、マイクロタイタープレートおよび使用説明よりなる群から選択される1以上の成分を含む。他の実施形態においては、該検出装置は、例えばチップ(または他の形態のマイクロアレイ)、または増幅に基づく検出方法において使用するプライマーのセットのように、生物マーカー遺伝子発現を測定するよう設計される。
本発明はまた、1以上のIL−23アンタゴニストと、IBDのモニターにおける本発明の生物マーカーの使用を記載している文書とを含む製造品を提供する。特に、本発明は、一緒にパッケージおよび/または販売される、IL−23アンタゴニスト(または医薬上許容される担体を含むその医薬組成物)と、該IL−23アンタゴニストが投与される被験者のIBD状態が本発明の1以上の生物マーカー、例えば血清において測定されるPAP、LCN2およびCCL20または糞便において測定されるPAPおよびS100A8/A9の測定によりモニターされうることを示す文書とを含む製造品を提供する。
もう1つの態様においては、本発明は、IL−23アンタゴニストで治療するための被験者、例えばIBD患者の選択方法に関する。1つの実施形態においては、IL−23のレベルおよび/または本発明の生物マーカーの1つ、2つ又は3つのレベルを、IBDに合致する徴候または症状を示す被験者からのサンプル(例えば、血清、糞便または腸生検)において決定し、その結果を少なくとも部分的に用いて、被験者をIL−23アンタゴニストで治療するかどうかの判断を得る。該サンプルにおけるIL−23のレベルの上昇および/または本発明の生物マーカーの1つ、2つ若しくは3つのレベルの上昇(IBDに罹患していない被験者から得た基準サンプルと比較した場合)は、該被験者が、IL−23アンタゴニスト、例えば抗IL−23抗体での治療のための良好な候補者であることを示唆しうる。種々の実施形態においては、IL−23の上昇のレベルおよび/または本発明の生物マーカーの1つ、2つ若しくは3つの上昇レベルは1.5倍、2倍、3倍、5倍、10倍、20倍またはそれ以上である。
もう1つの態様においては、本発明は、炎症性腸疾患に罹患している被験者、例えばクローン病患者または潰瘍性大腸炎患者の治療方法を提供し、ここで、該治療計画は、少なくとも部分的に、本発明の生物マーカーの1以上の分析に基づいて変更される。種々の実施形態においては、該治療計画の変更は、治療開始、用量の変更、投与間隔の変更、または治療中止を含む。種々の実施形態においては、治療は、IL−23アンタゴニストの投与、例えば、IL−23(またはそのサブユニット)またはIL−23受容体(またはそのサブユニット)に特異的に結合するアンタゴニスト抗体の投与を含む。
詳細な説明
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において用いる単数形の語は、文脈に明らかに矛盾しない限り、それらの対応する複数形を含む。後記表5は、本出願で使用される配列識別名の一覧を示す。特に示さない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、本明細書に記載されている全てのタンパク質、遺伝子および実験は、それぞれ、ヒトタンパク質および遺伝子、ならびにヒト系で行われる実験である。
本明細書中に引用されている全ての参考文献を、各個の刊行物、データベースエントリー(例えば、GenBank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されているのと同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書中で言及されている核酸およびタンパク質配列に関するGenBankアクセッション番号は本出願の出願日の時点のデータベースの内容を意味する。そのようなデータベースエントリーは後に変更されうるが、GenBankは日付に応じて該配列の旧版の全ての公開記録を維持していて、そのようなデータベースエントリーを、特定の配列に対する明白な照会対象としている。
参照により組み入れるというこの陳述は、そのような引用が、参照により組み入れるという宣誓(dedicated)陳述の直前直後にない場合であっても、37 C.F.R.§1.57(b)(1)に従い、各個の刊行物、データベースエントリー(例えば、GenBank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許[それらのそれぞれは37 C.F.R.§1.57(b)(2)に従い明らかに特定されるものである]に関連づけることを出願人が意図しているものである。参照により組み入れるという宣誓陳述が明細書中に含まれている場合、それは、参照により組み入れるというこの一般的(general)陳述を何ら弱めるものではない。本明細書における参考文献の引用は、該参考文献が関連先行技術であると自認するものではなく、また、それは、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して何ら自認するものでもない。
I.定義
「投与」および「治療(処理)」は、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される場合には、動物、ヒト、対象(被験者)、細胞、組織、器官または生物学的流体との外的な医薬、治療用物質(治療剤)、診断用物質または組成物の接触を意味する。「投与」および「治療(処理)」は、例えば、治療、薬物動態学、診断、研究および実験方法を意味しうる。細胞の治療(処理)は、該細胞との試薬の接触、および流体との試薬の接触を含み、ここで、該流体は該細胞に接触している。「投与」および「治療(処理)」は、試薬、診断剤、結合性組成物による、または別の細胞による、例えば細胞のインビトロおよびエキソビボでの治療(処理)をも意味する。「治療(処理)」は、それがヒト、獣医学または研究対象に適用される場合には、治療的処理、防御的または予防的手段、研究および診断用途を意味しうる。IBDのような再発/寛解型疾患の場合、再発を予防し、遅延させ、またはその重症度を軽減する治療(処理)は、疾患全体を「治療(処理)」する、または再発を防御的に「予防」すると称されうるため、治療(処理)と予防(防御)との区別は困難である。本明細書中で用いる「治療(処理)」なる語は、療法の開始中に活動的なIBDエピソードの徴候もしくは症状の軽減または持続期間もしくは重症度の軽減を意味し、一方、「予防」は、療法の開始後に始まるIBDエピソードの予防、遅延またはその重症度の軽減を意味する。尤も、いずれかの与えられた治療計画は、本明細書中で用いる治療(処理)および予防の両方に相当しうる。「治療(処理)」は、それがヒト、獣医学もしくは研究対象または細胞、組織もしくは器官に適用される場合には、動物対象、細胞、組織、生理的区画または生理的流体との物質の接触を含む。「細胞の処理」は、該物質が、例えば流体相またはコロイド相中で、IL−23またはその受容体(IL−23R/IL−12Rβ1ヘテロ二量体)と接触する状況をも含む。
「病態」は、疾患、例えばIBDの徴候または症状の重症度を意味する。病態の増進は、例えば急激な再燃(「フレア」)中のIBD被験者における、より重症な疾患を表す。軽度の病態は、例えば非IBD患者における、または寛解中のIBD患者における、より低い重症度または無徴候もしくは無症状を表す。「病期分類」は、例えば治療の方向づけにおいて用いるための、IBD患者における疾患の重症度の分類を意味する。例えば、Walfish & Sachar(2007)Inflamm.Bowel Dis.13:1573を参照されたい。
本明細書中で用いる「被験者(対象)」は、関心のある特定の個体、通常はヒトを意味する。「患者」は、疾患もしくは障害(例えば、IBD)を有すると診断された又は該疾患もしくは障害を有する疑いのある及び/又は疾患もしくは障害に対して治療中のヒト被験者(ヒト対象)である。
本明細書中で用いる「生物学的サンプル」は、被験者から得られたいずれかのサンプル、例えば全血、血漿、血清、糞便(便サンプル)、唾液、尿または生検組織(例えば、結腸、小腸または他の胃腸組織)(これらに限定されるものではない)を含みうる。「近位流体」は、罹患部位に近い又は直接接触している流体、例えば脳脊髄液、滑液、気管支肺胞洗浄液、尿、乳頭吸引液、糞便および結腸洗浄液である。近位流体は、限られた数の組織のみにそれらがさらされているため、特定の疾患過程に、より特異的でありうる。例えば、糞便は、該生物マーカータンパク質が糞便において安定である場合(すなわち、タンパク質分解に抵抗性である場合。なぜなら、通常のELISAはタンパク質分解産物を検出できないことがあるからである)には、IBDの分析のための好ましいサンプルでありうる。タンパク質分解は、タンパク質断片を直接的に検出する分析方法(例えば、質量分析法)ではそれほど問題にならない。
本明細書中で用いる「非罹患レベル」は非IBD被験者における生物マーカーの典型的または平均的レベルを意味し、「罹患レベル」は、治療されていない場合および疾患が活動的である場合のIBD患者における生物マーカーの典型的または平均レベルを意味する。本明細書中で用いる「戻り(復帰)」は非罹患レベルへの生物マーカーレベルの減少を意味し、「再燃」は罹患レベルへの生物マーカーレベルの増加を意味する。「有益応答」または「有益効果」は、疾患または障害、例えばIBDの徴候または症状の1以上における改善、あるいは疾患重症度における他の軽減を意味する。そのような有益効果は治療的介入の目標である。
特に示されていない限り、「生物マーカー」に対する言及は、ヒトから得られた生物学的サンプル中に天然で見出されるポリペプチドの形態に関するものである。例えば、シグナル配列を有するタンパク質は、典型的には、それらの成熟形態(シグナルペプチドを欠く形態)で存在するであろう。生物マーカーは、シグナル配列を含む配列識別名に対する言及により特定されうるが、サンプルにおいて実際に検出される生物マーカーは、実際には、成熟(切断)形態でありうる。本明細書中で用いる、生物マーカーの「レベル」は、サンプル中に存在する生物マーカーポリペプチドの量に関するものであり、「発現レベル」または発現の「レベル」は、該生物マーカーをコードするmRNAの量に関するものである。特に示されていない限り、「本発明の生物マーカー」は、表1に列挙されているタンパク質を意味する。ただし、表3Aおよび4Aに列挙されているタンパク質も、文脈に応じて、生物マーカーと称されうる。
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、所望の生物活性を示す任意の形態の抗体を意味しうる。したがって、それは広義に用いられ、所望の生物活性を示す限り、特にモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体などを含む。
抗体に言及する場合に本明細書中で用いる「その結合性フラグメント」または「その抗原結合性フラグメント」なる語は、対応標的への結合能を尚も実質的に保有する、抗体のフラグメントまたは誘導体を含む。抗体フラグメントの具体例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;ジアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子、例えばsc−Fv;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。典型的には、結合性フラグメントまたは誘導体は、その標的に対するそのアフィニティの少なくとも10%(例えば、解離平衡結合定数(Kd)における10倍以下の変化)を保有する。所望の生物学的効果を発揮するのに十分なアフィニティを有するいずれの結合性フラグメントも有用であるが、好ましくは、結合性フラグメントまたは誘導体はその結合アフィニティの少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%(またはそれ以上)を保有する。特記されている場合には、結合性フラグメントは、その生物活性を実質的に改変しない保存的アミノ酸置換を有する配列変異体を含みうることも意図される。
「IL−23アンタゴニスト」は、いずれかの様態でIL−23の活性を抑制する分子である。幾つかの実施形態においては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントは、例えば、IL−23またはその受容体のサブユニットに結合することによりIL−23受容体を介してIL−23シグナリングを抑制するIL−23アンタゴニストである。他の実施形態においては、IL−23アンタゴニストは小分子またはポリヌクレオチド、例えばアンチセンス核酸またはsiRNAである。
本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」なる語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する。すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる可能な天然に生じる突然変異またはグリコシル化変異体以外は同一である。モノクローナル抗体は単一の抗原エピトープに対して高度に特異的である。これとは対照的に、通常の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、種々のエピトープに対する(または特異的な)多数の抗体を含む。「モノクローナル」なる修飾語は、実質的に均一な集団から得られたという、抗体の特性を示し、いずれかの特定の方法による該抗体の産生を要すると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495に最初に記載されたハイブリドーマ法により製造されることが可能であり、あるいは組換えDNA法により製造されることが可能である(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」は、例えばClacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597に記載されている技術を用いるファージ抗体ライブラリーからも単離されうる。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、所望の生物活性を示す限り、特に、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列と同一または相同である一方で、該鎖の残部が、別の種に由来する又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにそのような抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855)。
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントである。幾つかの場合には、2以上のVH領域がペプチドリンカーと共有結合して2価ドメイン抗体を形成している。2価ドメイン抗体の、2つのVH領域は、同じ又は異なる抗原を標的としうる。
「2価抗体」は2つの抗原結合部位を含む。幾つかの場合には、それらの2つの結合部位は同じ抗原特異性を有する。しかし、2価抗体は二重特異性である。
本明細書中で用いる「一本鎖Fv」または「scFv」抗体は、抗体のVHおよびVLドメインを含む抗体フラグメントを意味し、ここで、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖内に存在する。一般に、Fvポリペプチドは更に、該scFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にする、VHおよびVLドメイン間のポリペプチドリンカーを含む。scFvの概説としては、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgおよびMoore編,Springer−Verlag,New York,pp.269−315を参照されたい。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、ラクダ化単一ドメイン抗体も含まれる。例えば、Muyldermansら(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmannら(1999)J.Immunol.Methods 231:25;WO 94/04678;WO 94/25591;米国特許第6,005,079号)を参照されたい。1つの実施形態においては、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような修飾を伴う2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
本明細書中で用いる「ジアボディ」なる語は、2つの抗原結合部位を有する小型抗体フラグメントを意味し、該フラグメントは、同一ポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VLまたはVL−VH)。同一鎖上の2つのドメイン間のペア形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることにより、それらのドメインは別の鎖の相補的ドメインとのペア形成を強要され、2つの抗原結合部位を形成する。ジアボディは、例えばEP 404,097、WO 93/11161およびHolligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448に更に詳しく記載されている。操作された抗体変異体の概説としては、全般的には、HolligerおよびHudson(2005)Nat.Biotechnol,23:1126−1136を参照されたい。
本明細書中で用いる「ヒト化抗体」なる語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体およびヒト抗体からの配列を含有する抗体の形態を意味する。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する。一般に、該ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、超可変ループの全て又は実質的に全ては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも一部を含む。接頭辞「hum」、「hu」または「h」は、ヒト化抗体を親げっ歯類抗体から区別するために、必要に応じて、抗体クローンの名称に付加される(ただし、これらの同じ名称は、文脈に応じて、特定のタンパク質のヒト形態をも示しうる。)。アフィニティーを増加させるため、またはヒト化抗体の安定性を増強するため、または他の理由により、あるアミノ酸置換が含まれうるが、げっ歯類抗体のヒト化形態は、一般に、該親げっ歯類抗体の同一CDR配列を含む。
抗体には、エフェクター機能の改変をもたらすために修飾された(または遮蔽された)Fc領域を有する抗体も含まれる。例えば、米国特許第5,624,821号、WO 2003/086310、WO 2005/120571、WO 2006/0057702、Presta(2006)Adv.Drug Delivery Rev.58:640−656を参照されたい。そのような修飾は、診断および療法における可能な有益な効果を伴って免疫系の種々の反応を増強または抑制するために用いられうる。Fc領域の改変には、アミノ酸変化(置換、欠失および挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化および複数のFcの付加が含まれる。該Fcに対する改変は治療用抗体における抗体の半減期をも変化させうる。より長い半減期はより低頻度の投与につながり、それに伴い、簡便さの向上および物質の使用量の減少をもたらしうる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731(734−35)を参照されたい。
抗体には、完全エフェクター機能をもたらす無傷Fc領域を有する抗体、例えば、ヒトイソタイプIgG1の抗体も含まれ、これは標的細胞において補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導する。幾つかの実施形態においては、本発明の抗体は、細胞の集団からIL−23R陽性細胞を選択的に枯渇させるために投与される。1つの実施形態においては、IL−23R陽性細胞のこの枯渇は病原性Th17細胞の枯渇である。そのような病原性T細胞サブセットの枯渇は、自己免疫疾患の再発/寛解の状態にある被験者において生じた場合に、持続的寛解をもたらしうる。
本発明の抗体には、細胞傷害性を有する積荷(payload)、例えば細胞傷害性物質または放射性核種にコンジュゲート化(結合)した抗体も含まれる。そのような抗体コンジュゲートは、IL−23Rを表面上で発現する細胞を選択的に標的化し殺すために免疫療法において使用されうる。典型的な細胞傷害性物質には、リシン、ビンカアルカロイド、メトトレキセート、シュードモナス(Psuedomonas)外毒素、サポニン、ジフテリア毒素、シスプラチン、ドキソルブシン、アブリン毒素、ゲロニンおよび洋種ヤマゴボウ抗ウイルス性タンパク質が含まれる。本発明の抗体と共に免疫療法において使用される典型的な放射性核種には、125I、131I、90Y、67Cu、211At、177Lu、143Prおよび213Biが含まれる。例えば、米国特許出願公開第2006/0014225号を参照されたい。
「完全ヒト抗体」なる語は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を意味する。完全ヒト抗体は、マウスにおいて、またはマウス細胞において、またはマウス細胞由来のハイブリドーマにおいて産生された場合には、マウス炭水化物鎖を含有しうる。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれ、マウスまたはラット免疫グロブリン配列のみを含む抗体を意味する。完全ヒト抗体は、ヒトにおいて、またはヒト免疫グロブリン生殖系列配列を有するトランスジェニック動物において、またはファージディスプレイもしくは他の分子生物学的方法により産生されうる。
「結合性化合物」は、標的に結合しうる分子、小分子、巨大分子、ポリペプチド、抗体またはそのフラグメントもしくは類似体あるいは可溶性受容体を意味する。「結合性化合物」は、標的に結合しうる、分子の複合体、例えば非共有結合性複合体、イオン化分子、および共有結合または非共有結合により修飾された分子、例えばリン酸化、アシル化、架橋、環化または限定的な切断により修飾された分子をも意味する。抗体に関して用いる場合の「結合性化合物」は抗体およびその抗原結合性フラグメントの両方を意味する。「結合」は該結合性化合物と標的との会合を意味し、ここで、該結合性化合物が溶液中に溶解または懸濁されうる場合には、該会合は該結合性化合物の正常なブラウン運動における軽減をもたらす。「結合性組成物」は、安定剤、賦形剤、塩、バッファー、溶媒または添加剤と組合された、標的に結合しうる分子、例えば結合性化合物を意味する。
「有効量」は医学的状態の症状または徴候を改善または予防するのに十分な量を含む。そのような有効量はそのような症状または徴候を完全に改善または予防することを必ずしも要しない。有効量は、診断を可能または容易にするのに十分な量をも意味する。個々の患者または獣医学的対象に対する有効量は、治療される状態、患者の全体的な健康状態、投与の方法、経路および用量、ならびに副作用の重症度のような要因によって様々となりうる。例えば、米国特許第5,888,530号を参照されたい。有効量は、有意な副作用または毒性効果を回避する最高用量または投与プロトコールでありうる。有効量は、典型的には、少なくとも5%、通常は少なくとも10%、より通常は少なくとも20%、最も通常は少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%、理想的には少なくとも70%、より理想的には少なくとも80%、最も理想的には少なくとも90%、診断尺度またはパラメーターの改善をもたらし、ここで、100%は、正常被験者により示される診断パラメーターと定義される。例えば、Maynardら(1996)A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice,Interpharm Press,Boca Raton,FL;Dent(2001)Good Laboratory and Good Clinical Practice,Urch Publ.,London,UKを参照されたい。
「炎症障害」は、病変が全体的または部分的に例えば免疫系の細胞の数の変化、遊走速度の変化または活性化の変化を引き起こす、障害または病的状態を意味する。免疫系の細胞には、例えばT細胞、B細胞、単球またはマクロファージ、抗原提示細胞(APC)、樹状細胞、ミクログリア、NK細胞、NKT細胞、好中球、好酸球、マスト細胞、または免疫学に特異的に関連しているいずれかの他の細胞、例えばサイトカイン産生内皮または上皮細胞が含まれる。
「IL−17産生細胞」は、古典的Th1型T細胞でもなく古典的Th2型T細胞でもない、Th17細胞と称されるT細胞を意味する。Th17細胞は、CuaおよびKastelein(2006)Nat.Immunol.7:557−559;TatoおよびO’Shea(2006)Nature 441:166−168;IwakuraおよびIshigame(2006)J.Clin.Invest.116:1218−1222に、より詳細に考察されている。「IL−17産生細胞」は、米国特許出願公開第2004/0219150号の表10Bの遺伝子またはポリペプチド(例えば、マイトジェン応答性P−タンパク質;ケモカインリガンド2;インターロイキン−17(IL−17);転写因子RAR関連体;および/またはサイトカインシグナリング3の抑制因子)を発現するT細胞をも意味し、ここで、IL−23アゴニストでの処理による発現はIL−12アゴニストでの処理の場合より大きく、この場合の「より大きい(より大きく)」は以下のとおりに定義される。IL−23アゴニストでの発現は、IL−12処理の場合より通常は少なくとも5倍大きく、典型的には少なくとも10倍大きく、より典型的には少なくとも15倍大きく、最も典型的には少なくとも20倍大きく、好ましくは少なくとも25倍大きく、最も好ましくは少なくとも30倍大きい。発現は、実質的に純粋なIL−17産生細胞の集団の処理により測定されうる。Th17応答は、Th17細胞の活性および/または増殖が典型的にはTh1応答の抑制と共役して増強される免疫応答である。
さらに、「Th−17産生細胞」は、細胞発生または細胞分化の経路において、前記で定義されたとおりのIL−17産生細胞へと分化するように拘束される始原または前駆細胞も含む。IL−17産生細胞の始原または前駆細胞は流出リンパ節(DLN)において見出されうる。また、「IL−17産生細胞」は、例えばホルボールエステル、イオノホアおよび/または発癌物質により例えば活性化されている、更には、例えばアポトーシス、タンパク質分解または脂質酸化により分化、貯蔵、凍結、乾燥、不活性化、部分分解されている、あるいは例えば組換え技術により修飾されている、前記で定義されたとおりのIL−17産生細胞を含む。
本明細書中で用いる「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、例えば米国特許第4,683,195号に記載されているとおりに核酸、RNAおよび/またはDNAの微量の特異的断片が増幅される方法または技術を意味する。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーが設計されうるよう関心領域の末端以降からの配列情報が入手可能である必要があり、これらのプライマーは、増幅されるべき鋳型の対抗鎖と配列において同一または類似であろう。それらの2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは該増幅物質の末端と一致しうる。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNAからの特定のDNA配列、および全細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列を増幅するために使用されうる。全般的には、Mullisら(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263;Erlich編,(1989)PCR TECHNOLOGY(Stockton Press,N.Y.)を参照されたい。本明細書中で用いるPCRは、核酸の特異的断片を増幅または作製するための核酸ポリメラーゼとプライマーとしての既知核酸との使用を含む核酸試験サンプルを増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の一例であり、唯一の例ではないとみなされる。
「小分子」は、10kDa未満、典型的には2kDa未満、好ましくは1kDa未満の分子量を有する分子と定義される。小分子には、無機分子、有機分子、無機成分を含有する有機分子、放射性原子を含む分子、合成分子、ペプチド模倣体および抗体模倣体が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療用物質(治療剤)としては、小分子は、大分子より細胞に対して浸透性であり、より分解を受けにくく、免疫応答を惹起する傾向がより低い。小分子、例えば抗体のペプチド模倣体およびサイトカインならびに小分子毒素が記載されている。例えば、Cassetら(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.307:198−205;Muyldermans(2001)J.Biotechnol.74:277−302;Li(2000)Nat.Biotechnol.18:1251−1256;Apostolopoulosら(2002)Curr.Med.Chem.9:411−420;Monfardiniら(2002)Curr.Pharm.Des.8:2185−2199;Dominguesら(1999)Nat.Struct.Biol.6:652−656;SatoおよびSone(2003)Biochem.J.371:603−608;米国特許第6,326,482号を参照されたい。
リガンド/受容体、抗体/抗原、または他の結合性ペアに言及する場合の「特異的」または「選択的」な結合は、タンパク質および他の生物学的物質の不均一集団におけるタンパク質の存在に決定的である結合反応を示す。したがって、示されている条件下、特定されているリガンドは特定の受容体に結合し、該サンプル中に存在する他のタンパク質には有意量で結合しない。本明細書中で用いる抗体が、与えられた配列を含むポリペプチドに特異的に結合すると称されるのは、それが、該ポリペプチド配列を含むポリペプチドには結合するが、該ポリペプチド配列を欠くタンパク質には結合しない場合である。例えば、IL−23Rを含むポリペプチドに特異的に結合する抗体はIR−23RのFLAG(登録商標)タグ付き形態に結合しうるが、他のFLAG(登録商標)タグ付きタンパク質には結合しないであろう。
想定される方法の抗体、または抗体の抗原結合部位に由来する結合性組成物は、無関係な抗原に対するアフィニティより少なくとも2倍大きい、好ましくは少なくとも10倍大きい、より好ましくは少なくとも20倍大きい、最も好ましくは少なくとも100倍大きいアフィニティで、その抗原に結合する。好ましい実施形態においては、該抗体は、例えばスキャッチャード分析(Munsenら(1980)Analyt.Blochem.107:220−239による測定で約109 リットル/mol以上のアフィニティを有するであろう。
II.全般的説明
本発明は、被験者においてIBDを評価するための生物マーカー、および例えば潜在的治療方法の効力の評価における又はIBD患者の治療の経過の方向づけにおける該生物マーカーの使用方法を提供する。1つの実施形態においては、該治療方法は、Th17経路のアンタゴニスト、例えば、IL−23シグナリングのアンタゴニスト、例えば、IL−23、IL−23p19、IL−23受容体またはIL−23Rに結合する抗体(これらに限定されるものではない)の投与を含む。
そのような生物マーカーは幾つかの状況において有用でありうる。該生物マーカーは、IBD患者を診断するのに、または疾患の重症度に関して被験者を病期分類するのに有用でありうる。生物マーカーレベルに基づく診断は、疾患陽性とみなされるものに関する「カットオフ」としてのレベルが選択されることを要する。このカットオフレベルは、クローン病または潰瘍性大腸炎を有することが既知の被験者におけるレベル、および該疾患を有さないことが既知の対照被験者におけるレベルを観察することにより決定されうる。選択されるカットオフは、罹患サンプルと非罹患サンプルとを最もよく識別する値である。カットオフは、絶対的な値(例えば、ng/ml血清)として、またはより一般的には、罹患値/対照値の比として表されうる。典型的には、カットオフは、(絶対的な値として表された場合には)罹患レベルと正常レベルとの間のどこかに位置するか、あるいは罹患/対照比より若干低い比となるであろう。カットオフレベルを選択する際に考慮すべき要因には、測定値における変動性(ばらつき)(アッセイ変動性および被験者間変動性の両方によるもの)および偽陽性結果と偽陰性結果との相対的有害性が含まれる。例えば、疾患診断において包括的なものとしたい(すなわち、偽陰性が偽陽性より望ましくない)場合には、カットオフ値は、そうでない場合より低くなりうる。すなわち、より低い絶対的な値(またはより低い罹患/対照比)が疾患陽性とみなされうる。そのような考慮事項は診断試験の分野で一般的であり、分析(解析)の分野における技量の範囲内である。
該生物マーカーは、IL−23アンタゴニストでの治療に応答する可能性のある患者亜集団を選択するためにも使用されうる。本発明は、動物がIL−23アンタゴニスト(例えば、抗IL−23p19、抗IL−23Rおよび抗IL−12/23p40)で治療された場合およびヒトがTNFαアンタゴニスト(例えば、抗TNFα抗体)で治療された場合には、本明細書に開示されている生物マーカーが非罹患レベルに戻ることを示している。したがって、これらの生物マーカーのレベルの上昇を示すIBD患者は、該生物マーカーのレベルを非罹患レベルに戻す治療のための可能な候補者とみなされうる。逆に、該生物マーカーのレベルの上昇を伴わないIBD患者はIL−23アンタゴニストでの治療に不適な候補者でありうる。また、IL−23のレベルの上昇を伴うIBD患者はIL−23アンタゴニストでの治療のための可能な候補者であるとみなされうる。
また、そのような生物マーカーは、IL−23経路の関与を証明するために、および治療の効力(および必要に応じて治療計画の変更)を評価するために、および患者の全身的進行をモニターするために、例えばIL−23アンタゴニストでの治療を受けている被験者において有用でありうる。与えられた治療方式が患者における標的経路、例えばIL−23/IL−23受容体経路に有効に関与しているが、治療利益をもたらさないことを結果が示した場合には、少なくとも特定の患者においては、IBDにおけるIL−23シグナリングの実用的重要性は相対的に低い可能性がある(Carty & Rampton(2003)Brit.J.Clin.Pharmacol 56:351)。
また、そのような生物マーカーは、診療所における患者の処置において、例えば、必要に応じて治療計画の変更を知らせる場合に有用でありうる。既存療法に患者が応答している程度に応じて、投与量を増加すべきか、減少すべきか、または多少頻繁にすべきかを決定するのを補助するために、臨床家は、本発明の方法を用いて本発明の生物マーカーの1以上をモニターすることが可能である。投与頻度の減少は「用量」の減少に相当しうることに注意すべきである。なぜなら、投与期間が単一投与間隔より長い場合、被験者は、与えられた期間にわたって、より少量の薬物の投与を受けることになるからである。本発明の生物マーカーのレベルの測定は、どの被験者が治療に有利に応答するかを、標準的な臨床疾患尺度(それらの幾つかは少なくとも部分的には症状の軽減に基づいている)を用いた場合より早い時点で(すなわち、治療後、より早期に)決定することが可能となりうるという利点を有する。応答者を非応答者から早期に識別することは投与の変更または中止をより早期に可能にする。該治療計画の早期変更は治療の成功にかかる時間を短縮し、または無効な薬物に対する不必要な曝露のリスクの低下(ならびにそれに伴う、出費および副作用の軽減)をもたらしうる。
IBDに対する与えられた治療計画の効力の評価は患者のケアの管理に重要であり、臨床治験の場合と同様に潜在的治療用物質の評価に不可欠である。IBDの典型的な尺度には、クローン病活動指数(CDAI)、ハーヴェー・ブラッドショー(Harvey−Bradshaw)「単純指数(simple index)」(SI)、パウエル・タック(Powell−Tuck)指数、および単純大腸炎臨床活動指数(SCCAI)が含まれる(Carty & Rampton(2003)Brit.J.Clin.Pharmacol.56:351,354(その開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする))。そのような手段は、しばしば、少なくとも部分的には、症状の自己申告に基づくものであり、これは本質的に主観的であり非定量的である。潜在的治療用物質の効力は、これらの指数の1つにおける一定の変化(例えば、CDAIにおける70ポイントの低下)または寛解の達成(CDAI<150と定義される)と定義されうる(Amottら(2002)Aliment.Pharmacol.Ther.16:857)。疾患の進行を評価するために、より侵襲的な技術、例えばS状結腸鏡検査、結腸内視術、生検および111In標識好中球顆粒球糞便排出も用いられる(Saverumuttu(1986)Digestion 33:74,Rosethら(l999)Scand.J.Gastroenterol.34:50)。
カルプロテクチン、ラクトフェリン、およびUCに関する高い診断精度をもたらす多形核好中球エラスターゼを含む糞便生物マーカーのパネルを他の研究者が提示している(Langhorstら(2008)Am.J.Gastroenterol 103:162)。Langhorstらは、以下の3つの測定範疇を含む包括的な活動指数を提示している:i)3つの前記生物マーカーのうちの2つの、糞便における、予め決められたカットオフレベルを超える上昇、ii)C反応性タンパク質(CRP)の血清レベルの上昇、およびiii)CAI(「大腸炎活動指数」)またはCDAIのいずれかに関する陽性スコア。それらの3つの範疇のいずれか2つにおいて陽性結果を示す被験者はUCに関して陽性と評価される。Langhorstらは、カルプロテクチンに関する>48μg/mlの「最適化」カットオフを使用した。1つのELISAキット製造業者(Immundiagnostik,Bensheim,Germany)は、糞便におけるカルプロテクチンの正常範囲が<15μg/mlであることを示唆しており、アッセイ間で4〜17%の変動係数(CV)を報告している。もう1つのELISAキット製造業者(HyCult Biotechnology B.V.,Uden,The Netherlands)は、血漿におけるカルプロテクチンの正常範囲が0.5〜3μg/mlであることを示唆している。
III.IBD生物マーカー
本発明は、容易に入手可能な生物学的サンプルにおいて測定されうる、IBDに関する改良された生物マーカーを提供する。ヒトIBDおよび非IBDサンプルにおいて見出されるタンパク質の比較(実施例2)、IBDの動物モデルにおける候補生物マーカーの検出、およびどの生物マーカーレベルがIL−23インヒビターでの有効な治療に応じて変化するのかを決定すること(実施例3)、ならびに遺伝子発現およびタンパク質レベルの両方でIBDマウスおよびヒト罹患サンプルにおいて生物マーカーとしてのそれらの値を更に確認することを含む多工程法により、IBDに関する潜在的生物マーカーを得た。本発明の典型的な生物マーカーを表1に示す。
全結腸ライセートにおいて、またはIBDマウスからの結腸上皮細胞において、他のタンパク質が上昇し、抗IL−23R抗体での処理の直後に正常に戻ることが判明した。これらのタンパク質およびそれらの推定ヒトオルソログを表3Aおよび4Aに示す。これらは実施例2〜4に更に詳細に記載されている。これらのタンパク質のヒトオルソログもIBDの生物マーカーとして役立つ可能性があり、あるいは治療的介入の潜在的標的として役立つ可能性がある。
本発明の種々の生物マーカーを、実施例18に記載されているとおり、予防および治療の両方のプロトコールを用いて、マウスにおけるT細胞導入大腸炎モデルにおいて更に研究した。図11〜12も参照されたい。大腸炎への先天性免疫系の寄与を主として表す実施例3および4に記載されているT細胞非依存性大腸炎モデルとは異なり、該T細胞導入モデルは必然的に大腸炎へのT細胞媒介性寄与を含み、したがってヒト疾患に関する特徴的モデルに相当する。また、実施例18は、疾患過程の早期ではなく大腸炎の確立の後に抗IL−23抗体が加えられた治療プロトコールを含む。そのような治療プロトコール実験は、発病後まで患者が治療されない状況をより良好に模擬すると予想されるであろう。この筋書きは、おそらくは疾患症状の存在に基づいて治療を受けに行くヒト被験者で最も一般的なものに相当しうる。これとは対照的に、予防モデルにおいて得られる結果はIBDの予防的治療(例えば、症状の再燃を予防するための再発性寛解炎症性腸疾患患者における寛解中の治療)に対して特に深い関連性を有しうる。
本発明において、多数の遺伝子が動物モデルおよびヒト被験者の両方においてIBDの病態に関連していることが判明した。そのようなマーカーは、Th17経路の阻害を目的とした治療、特に、抗IL−23p19抗体での治療と相関していることも判明している。マウスIBDモデルにおいてはアップレギュレーションされないがヒト罹患サンプルにおいてはアップレギュレーションされることが判明している他の生物マーカーも本明細書において提示されている。更に他の生物マーカーも、疾患経路とのそれらの関連性に基づいて提示されている。
表1はこれらの生物マーカーの幾つかに関する情報を示す。GeneID(遺伝子識別)番号およびGenBankアクセッション番号が記載されており、それらは、United States’National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイトから入手可能な情報に関連づけられている。表1に記載されているデータベースエントリーに含まれる全配列および他の情報の全体を明示的に参照により本明細書に組み入れることとする。
CCL20(ケモカインリガンド20、MIP−3α)は、樹状細胞のトラフィッキングにおいて及び活性化T細胞のリクルートメントにおいて重要な役割を果たしていることが公知である。それは活性化Th17細胞により産生され(Wilsonら(2007)Nature Immunol.8:950)、結腸上皮細胞はIBDにおけるCCL20産生の主要部位であることが公知である(Kaserら(2004)J.Clin.Immunol.24:74)。CCL20はIBDに対する潜在的感受性遺伝子としても示唆されている(Rodriguez−Boresら(2007)World J Gasteroenterol.13:5560)。CCL20のシグナル配列は26アミノ酸長であり、このことは、配列番号6の残基27−96が成熟CCL20に対応することを意味する。CCL20アイソフォーム1(96アミノ酸)が本明細書に記載されており、一方、アイソフォーム2(95アミノ酸、NM 001130046.1およびNP 001123518.1)は27位のアラニンを欠いていて、アイソフォーム1のN末端アラニン残基を欠く成熟ポリペプチドである。
DMBT1(Deleted in Malignant Brain Tumors 1)(悪性脳腫瘍内欠失1)はスカベンジャー受容体システインリッチ遺伝子ファミリーに属する。それは上皮細胞の分極および分化の調節因子である。また、それはGRAM陽性およびGRAM陰性細菌に結合し、それらを凝集させる。DMBT1はクローン病に関連づけられており、腸粘膜防御および炎症予防において或る役割を果たしているものとして関連づけられている(Rosenstielら(2007)J.Immunol.178:8203;Rennerら(2007)Gastroenterol.133:1499)。DMBT1のシグナル配列は25アミノ酸長であり、このことは、配列番号8の残基26−2413が成熟DMBT1に対応することを意味する。転写産物変異体2(アイソフォームb前駆体)が本明細書に記載されており、一方、転写産物変異体1(アイソフォームa前駆体、NM 004406.2およびNP 004397.2)は幾つかのエキソンを欠いている。DMBT1の検出のための典型的なELISAがMullerら(2007)Resp.Res.8:69に記載されている。
MIF(マクロファージ遊走抑制因子(グリコシル化抑制因子))は大腸炎モデルにおいて関連づけられており、ここで、MIF欠損マウスは大腸炎を発生せず、確立された大腸炎は抗MIF免疫グロブリンで治療できた(De Jongら(2001)Nature Immunol.2:1061)。MIFはN末端シグナル配列を有さないらしい(Eickhoffら(2001)Mol.Med.7:27)。
LCN2(リポカリン2)はクローン病結腸内の白血球および結腸上皮細胞において発現される抗微生物性タンパク質である。LCN2の抗微生物機能は病原体からの鉄の隔離によりもたらされると考えられている(Csillagら(2007)Scan.J.Gastroenterol.42:454)。LCN2は20アミノ酸のシグナル配列を有し、このことは、配列番号12の残基21−198が成熟LCN2に対応することを意味する。Bundgaardら(1994)Biochem.Biophys.Res.Comm.202:1468;WO 2006/091035;米国特許出願公開第2005/0261191号;EMBL Acc.No.X83006を参照されたい。
マウスREG3βおよびREG3γ(再生島由来3ベータおよびガンマ)は、細胞の成長および分化に関連づけられている細胞表面認識に関与することが知られているC型レクチンファミリーのメンバー、REG3ファミリーのタンパク質のメンバーである。ヒトREG3αおよびREG3γポリペプチドは85%の配列相同性を共有している。ヒトREG3αは膵炎関連タンパク質(PAP)としても公知である。REG3α/PAP mRNAは、活動性IBDを有する患者からの結腸粘膜において上昇し、PAPの血清レベルは疾患の重症度と相関することが判明した(Gironellaら(2005)Gut 54:1244)。PAPはIBDにおいて抗炎症効果を及ぼすと提示されている(同誌)。また、マウスREG3βおよびREG3γは結腸上皮細胞のバリヤー機能の維持に関与している可能性があることが示唆されている(Hoganら(2006)J.Allergy CIm.Immunol.118:257;Zhengら(2008)Nature Medicine 14:282)。PAP転写産物変異体2が本明細書に記載されているが、それは変異体1(NM 002580.1およびNP 002571.1)および変異体3(NM 138937.1およびNP 620354.1)としても見出される。PAPは26アミノ酸のシグナル配列を有し、このことは、配列番号14の残基27−175が成熟PAPに対応することを意味する。ヒトREG3γ転写産物変異体1が本明細書に記載されているが、同じポリペプチドをコードする第2の転写産物変異体がGenBankアクセッション番号NM 198448.2に開示されている。ヒトREG−3γは推定26アミノ酸のシグナル配列を有し、このことは、配列番号16の残基27−175が成熟ヒトREG3γに対応することを意味する。
カルプロテクチン(S100A8/A9)は、炎症条件下で好中球、単球および上皮細胞により産生されるカルシウム結合性タンパク質である(Foellら(2007)J Leukocyte Biol.81:28)。それは、栄養素Mn++およびZn++のキレート化により膿瘍内のスタフィロコッカス・アウレウス(Stapholococcus aureus)の増殖を抑制しうる(Corbinら(2008)Science 319:962)。S100A8もS100A9も古典的なシグナル配列を有さない(Rammesら(1997)J.Bio.Chem.272:9496)。S100A8(S100カルシウム結合性タンパク質A8)はカルグラヌリンA、嚢胞性線維症抗原、骨髄関連タンパク質8および顆粒球L1タンパク質としても公知である。S100A9(S100カルシウム結合性タンパク質A9)はカルグラヌリンB、嚢胞性線維症抗原Bおよび骨髄関連タンパク質14としても公知である。カルプロテクチンに関する命名はFagerhol(1996)J.Clin.Pathol.49:M74に記載されている。
カルプロテクチンは古くから腸炎症に関連づけられており、IBDに関するマーカーとして提示されている。例えば、Lugeringら(1995)Digestion 56:406;von Roonら(2007)Am.J.Gastroenterol.102:803;Leachら(2007)Scand.J.Gastroenterol.42:1321;Langhorstら(2008)Am.J.Gastroenterol.103:162を参照されたい。糞便におけるその測定は、活動性IBDを検出するのに、および疾患の再発を予想するのに有用であることが示されている(Angrimanら(2007)Clinica Chimica Acta 381:63)。2006年にU.S.Food & Drug Administration(FDA)は、PhiCal(登録商標)糞便カルプロテクチンイムノアッセイ(Fecal Caiprotectin Immunoassay)(Genova Diagnostics,Inc.,Asheville,N.Carolina,USA;Calpro AS,Oslo,Norway)をIBDの診断における使用に関して承認した。米国特許第4,833,074号、第5,455,160号、第6,225,072号;FDA New Device Clearance K050007(2006年4月26日)を参照されたい。該試験は、比色測定を伴うELISAアッセイを含む。ヒトカルプロテクチン検出キットも、例えばImmunodianostik AG,Bensheim,GermanyおよびCell Sciences(登録商標),Canton,Mass.,USAから商業的に入手可能である。糞便カルプロテクチンアッセイは、無症状な場合であっても腸炎症を測定するための非侵襲的方法である(Arnottら(2002)Aliment.Pharmacol Ther.16:857)。米国特許第6,225,072号も参照されたい。100μg/g糞便を超えるレベルの糞便カプロテクチンの検出がIBDの診断となる(von Roonら(2007)Am.J.Gastroenterol.102:803)。PhiCal(登録商標)試験(Calpro AS.Oslo,Norway)と共に提供される文書によると、IBD患者における1700μg/g(例えば、200〜20,000μg/g)を超える半糞便カルプロテクチンレベルおよび健常被験者の25μg/gに基づいて、50μg/gを超える糞便カルプロテクチンレベルが「陽性」結果とみなされる。
IL−22(インターロイキン22)は、Th17細胞から発現されることが知られている炎症性サイトカインである(Wilsonら(2007)Nature Immunol.8:950)。IL−22の血清レベルの上昇もIBDに関連づけられている(Schmechelら(2008)Inflamm.Bowel Dis.14:204:Brandら(2006)Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.290:G827−G838)。IL−22は肝細胞においてハプトグロビン発現を誘導すること(Dumoutierら(2000)Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)97:10144)、結腸上皮細胞においてREG3α、REG3γ、S100A8、S100A9およびハプトグロビンの発現をアップレギュレーションすること(Zhengら(2008)Nature Medicine 14:282)、ならびにケラチノサイトにおいてS100A8およびS100A9の発現をアップレギュレーションすること(Bonifaceら(2005)J.Immunol.174:3695)が示されている。IL−22は33アミノ酸のシグナル配列を有し、このことは、配列番号22の残基34−179が成熟IL−22に対応することを意味する(Xieら(2000)J.Biol.Chem.275:31335)。
ハプトグロビンは2本のアルファ鎖と2本のβ鎖との四量体である。開示されている配列(NP 005134.1、配列番号24)は、プロセシングされてアルファおよびベータ鎖を生成するプレプロタンパク質である。ハプトグロビンは遊離血漿ヘモグロビンに結合し、これは、分解性酵素が該ヘモグロビンに接近するのを可能にするのと同時に、腎臓からの鉄の喪失を防ぎ、ヘモグロビンによる損傷から腎臓を保護する。ハプトグロビンは、とりわけ、糖尿病性腎症、I型糖尿病およびクローン病における冠状動脈疾患に関連づけられている。ハプトグロビンもクローン病および潰瘍性大腸炎患者において上昇することが報告されている(Vucelicら(1991)Acta Med.Austriaca 18:100(abstract))。IL−22は肝細胞においてハプトグロビン発現を誘導することが知られている(Dumoutierら(2000)Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)97:10144)。ハプトグロビンは18アミノ酸のシグナル配列を有し、このことは、配列番号24の残基19−347が成熟ハプトグロビンに対応することを意味する。ハプトグロビン転写産物変異体1が本明細書に記載されているが、2つのエキソンを欠く転写産物2はGenBankアクセッション番号NM 001126102.1およびNP 001119574.1に開示されている。ヒトハプトグロビンに関する臨床診断アッセイは、ハプトグロビンSPQ IIキット(DiaSorin S.p.A.,Vercelli,Italy)、Tina−Quant(登録商標)ハプトグロビンキット(Roche Diagnostics Corp.,Indianapolis,Indiana,USA)、ハプトグロビンに関するNOR−Partigen(登録商標)免疫拡散プレート(Siemens,Dade Behring,Eschbom,Germany)、ハプトグロビンに関するK−アッセイ(Kamiya Biomedical Co.,Seattle,Washington,USA)およびMININEPHベンチトップ・レーザー・ネフェロメーター・ハプトグロビン・アッセイ(The Binding Site,Birmingham,UK)を含む。
IL−6(インターロイキン−6)は、212アミノ酸の前駆体として発現される炎症性サイトカインであり、それから29アミノ酸のシグナルペプチドが切断されて183アミノ酸の成熟IL−6ポリペプチドが生じる。IL−6は炎症において及びB細胞の成熟において或る役割を果たしている。それは典型的には急性または慢性炎症の部位において産生され、該部位において血清中に分泌される。IL−6の上昇は幾つかの癌の予後不良に関連づけられている。IL−6アンタゴニスト(例えば、トシリズマブ(tocilizumab))は多数の炎症障害(Nishimoto & Kishimoto(2008)Handb.Exp.Pharmacol.181:151)および癌の治療に関して提示されている。
IL−17(インターロイキン−17、CTLA−8)は、155アミノ酸前駆体として発現される炎症性サイトカインであり、それから23アミノ酸のシグナルペプチドが切断されて、132アミノ酸の成熟IL−17ポリペプチドが生じる。IL−17は、Th17 T細胞サブセットにより産生される特徴的なサイトカインである。Th17細胞は、炎症性腸疾患を含む多数の自己免疫および炎症障害に関連づけられている(Fouserら(2008)Immunol.Rev.226:87)。IL−23は、Th17細胞の発生および維持に関与する中心的なサイトカインであり、その受容体(IL−23R)の遺伝子における突然変異はゲノム・エイド・アソーシエーション(genome−aide association)研究において炎症性腸疾患に関連づけられた(Duerrら(2006)Science 314:1461)。高レベルのIL−17は幾つかの慢性炎症疾患、例えば慢性関節リウマチ、乾癬および多発性硬化症に関連している。
ラクトフェリンは710アミノ酸の前駆体として発現され、それから19アミノ酸のシグナル配列が切断される。ラクトフェリンは好中球の二次顆粒において見出される。該タンパク質は主要鉄結合性タンパク質であり、鉄恒常性、広範囲の微生物感染に対する宿主防御、抗炎症活性、細胞の成長および分化の調節、ならびに癌の発生および転移に対する防御に関与すると考えられている。糞便ラクトフェリンは抗TNFα抗体インフリキシマブでのIBDの治療のモニターにおける生物マーカーとして提示されている(Buderusら(2004)Digestive Diseases and Sciences 49:1036)。
GP−39(軟骨糖タンパク質−39、YKL−40)は、炎症および組織リモデリングに関与する383アミノ酸のキチナーゼ様タンパク質である。それは383アミノ酸のポリペプチドとして産生され、それから21アミノ酸のシグナル配列が切断される。GP−39は喘息に関する血清生物マーカーとして(Oberら(2008)N.Engl.J.Med.358:1725)および種々の癌に関する生物マーカーとして(Roslind & Johansen(2008)Methods in Molecular Biology 511:159)提示されている。
GPX−2(グルタチオンペルオキシダーゼ2)は、主に胃腸組織において検出されるセレン依存性グルタチオンペルオキシダーゼである。その190アミノ酸のポリペプチド鎖の40位が、通常は終結コドンであるTGAによりコードされるセレノシステインである。この残基は該タンパク質の触媒活性。すなわち、還元型グルタチオンによる反応性酸素種の還元に関与している。
GPX−3(グルタチオンペルオキシダーゼ3)はセレン依存性グルタチオンペルオキシダーゼである。それは20アミノ酸のシグナルペプチドを有し、その切断は206アミノ酸の可溶性成熟形態を与える。その226アミノ酸のポリペプチド鎖の73位が、TGAによりコードされるセレノシステインであり、TGAは通常は終結コドンであるが、メッセージの3’非翻訳領域内のステム−ループ構造によりアミノ酸をコードするよう読み取られる。残基73は該タンパク質の触媒活性。すなわち、還元型グルタチオンによる反応性酸素種の還元に関与している。
好中球エラスターゼは、主に好中球により分泌されるセリンプロテアーゼである。それは267アミノ酸のポリペプチドであり、そのうちの最初の29アミノ酸はシグナル配列である。それは炎症の部位において分泌されると、重篤な組織損傷を引き起こす。幾つかの細菌病原体に対する宿主防御にとって中心的ではあるが、好中球エラスターゼは肺気腫、関節炎、腎炎および或る皮膚疾患に関連づけられている。健常者からの血漿は約55ng/ml(29〜86ng/ml)の好中球エラスターゼを含有する[Product Data Sheet for ELISA Kit for Human Neutrophil Elastase,HyCuIt Biotechnology B.V.(Uden,The Netherlands)]。
TNF−α(腫瘍壊死因子アルファ)は、宿主防御および炎症応答における役割を有する炎症性サイトカインである。それは233アミノ酸の前駆体として産生され、切断されて76アミノ酸のN末端タンパク質が除去され、残基77−233が成熟可溶性形態として生じる。配列番号40(これにおける配列内の番号づけは、前駆体ではなく成熟形態に基づくものである)を参照されたい。TNF−αの上昇は、喘息、2型糖尿病、クローン病および慢性関節リウマチを含む多数の自己免疫疾患に関連づけられている。Chatzantoni & Mouzaki(2006)Curr.Top.Med.Chem.6:1707を参照されたい。TNF−αインヒビター、例えば抗TNF−α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ)および可溶性受容体(エタネルセプト)は、クローン病、慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎および乾癬性関節炎を含む多数の自己免疫および炎症障害の治療に関して承認されている(Nash & Florin(2005)Med.J.Aust.183:205)。
CRP(C反応性タンパク質)は、18アミノ酸のシグナル配列を有する224アミノ酸のポリペプチドであり、206アミノ酸の成熟形態となる。CRPは古くから、組織損傷または炎症後に濃度が劇的に上昇する急性相反応体として認識されている。CRPレベルの上昇は冠状動脈疾患に関連づけられている。CRPは古くから、炎症性腸疾患、特にクローン病に関するマーカーとして使用されている。例えば、Vermerieら(2004)Inflamm.Bowel Dis.10:661およびKeshetら(2009)Am.J.Med.Sci.337:248を参照されたい。ヒトにおいて生物マーカーとして使用する場合には、CRPレベルは、特別に設計されたELISAアッセイを用いて、あるいは例えば、商業的に入手可能なELISAキット、例えば、R&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)のQuantikine(登録商標)ヒトCRPイムノアッセイキット(カタログDCRP00)およびAssayPro(St.Charles,Missouri,USA)のAssayMaxヒトラクトフェリンELISAキット(カタログEL2001−1)を使用して決定されうる。
非罹患被験者(ヒトまたはマウス)から得たサンプルに対する、罹患被験者(ヒトまたはマウス)から得たサンプルに関する、本発明の種々の生物マーカーのレベルの比を計算し、それを表2に示す。使用したカルプロテクチンELISAは、個々のサブユニットではなくS100A8/S100A9複合体を検出するため、ヒト血清のS100A8/S100A9に関する結果を合わせた。
表2に示す比は、活動性IBDに対応する与えられた生物マーカーの発現のレベルを推定するために用いられうる。表2における比に加えて、図1〜12も、タンパク質または遺伝子発現レベルのいずれかの、本発明の種々の生物マーカーのレベルにおける差に関する定量的値を示す。これらのデータの精査は、活動性IBDに相当するものを決定するための適当な「カットオフ」レベルの選択を導きうる。例えば、実施例5〜12および19〜26を参照されたい。もちろん、本明細書に開示されている生物マーカーのレベルがヒト被験者において決定された場合、例えば、本出願において提供されている図面の幾つかの場合、または臨床治験の経過においては、より確固たる結論が導き出されうる。
前記生物マーカーは、IBDを予測またはモニターするために、順列または組合せにおいて使用されうる。1つの実施形態においては、IBDをモニターまたは予測するために、S100A8/A9およびPAPを糞便において測定する。もう1つの実施形態においては、IBDをモニターまたは予測するために、S100A8/A9、MIF、PAP、LCN2、CCL20、IL−22およびハプトグロビンを血清サンプルにおいて測定する。1つの特定の実施形態においては、該組合せはIL−22、PAPおよびS100A8/A9を含む。もう1つの特定の実施形態においては、該組合せはIL−22およびS100A8/A9を含む。さらにもう1つの実施形態においては、該組合せはPAP、LCN2およびCCL20を含む。
IV.IL−23アンタゴニスト
IBDは、IL−23のアンタゴニストを使用して治療されうる。IL−23のアンタゴニストには、p19およびp40サブユニットを含むIL−23に結合する抗体またはそのフラグメントのような物質が含まれる。ヒトIL−23p19(GeneID 51561,IL23A)の配列はGenBankアクセッション番号NP 057668.1(配列番号1)において見出され、ヒトIL−12/IL−23p40(GeneID 3593,IL12B)の配列はGenBankアクセッション番号P29460(配列番号2)において見出される。p19の成熟形態(19アミノ酸のシグナル配列が除去されたもの)は配列番号1の残基20−189を含む。IL−23p19はIL−B30、SGRFおよびMGC79388としても公知である。p40の成熟形態(22アミノ酸のシグナル配列が除去されたもの)は配列番号2の残基23−328を含む。IL−12/23p40はCLMF、NKSF、CLMF2およびNKSF2としても公知である。
IL−23のアンタゴニストには、IL−23RおよびIL−12Rβ1サブユニットを含むIL−23受容体を介するIL−23シグナリングを抑制する抗体またはそのフラグメントのような物質も含まれる。ヒトIL−23R(GeneID 149233,IL23R)のアミノ酸配列はGenBankアクセッション番号NP 653302.2(配列番号3)において見出される。IL−23R(23アミノ酸のシグナル配列が除去されたもの)の成熟形態は配列番号3の残基24−629を含む。ヒトIL−12Rβ1(GeneID 3594,IL12RB1)のアミノ酸配列はGenBankアクセッション番号NP 005526.1(配列番号4)において見出される。IL−12Rβ1の成熟形態(24アミノ酸のシグナル配列が除去されたもの)は配列番号4の残基25−662を含む。
また、本発明のIL−23アンタゴニストは、IL−17A、IL−17F、TNF−α、IL−lβ、IL−6およびTGF−β(これらに限定されるものではない)を含む他のサイトカインのアンタゴニスト(例えば、抗体)の1以上と組合せて使用されうる。例えば、Veldhoen(2006)Immunity 24:179−189;Dong(2006)Nat.Rev.Immunol.6(4):329−333を参照されたい。
1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23p19抗体は、共同で譲渡された国際特許出願公開第WO 2008/103432号に開示されているとおり、ヒト化抗体hu13B8の重鎖および軽鎖可変ドメインを含む。もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23p19抗体は抗体hu13B8のCDR配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む。もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23p19抗体はヒトIL−23への結合に関して抗体hu13B8と競合する。もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23p19抗体は、hu13B8と同じ、ヒトIL−23上のエピトープに結合する。他の実施形態においては、該抗ヒトIL−23p19抗体は、ATCCに受託番号PTA−7803で寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体へのヒトIL−23p19の結合を交差遮断アッセイにおいて遮断しうる。さらに他の実施形態においては、該抗ヒトIL−23p19抗体は、ATCCに受託番号PTA−7803で寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体と同じエピトープに結合する。抗体13B8(マウスIgG1カッパ)を発現するハイブリドーマは、ブダペスト条約に従い、American Type Culture Collection(ATCC−Manassas,Virginia,USA)に2006年8月17日に受託番号PTA−7803で寄託された。
もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23R抗体は
共同で譲渡された国際特許出願公開第WO 2008/106134号、米国仮特許出願第61/092,312号(2008年8月27日付け出願)および第61/223,971号(2009年7月8日付け出願)に開示されているとおり、ヒト化抗体hu20D7(変異体−a、−bまたは−c)またはhu8B10(あるいは変異体−bまたは−c)の重鎖および軽鎖可変ドメインを含む。もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23R抗体は抗体hu20D7(またはその変異体)またはhu8B10(またはその変異体)のCDR配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む。もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23R抗体はヒトIL−23Rへの結合に関して抗体hu20D7またはhu8B10と競合する。もう1つの実施形態においては、該抗ヒトIL−23R抗体は、hu20D7またはhu8B10と同じ、ヒトIL−23上のエピトープに結合する。他の実施形態においては、該抗ヒトIL−23R抗体は、ATCCに受託番号PTA−7800で寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体および/またはATCCに受託番号PTA−7801で寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体へのヒトIL−23Rの結合を交差遮断アッセイにおいて遮断しうる。さらに他の実施形態においては、該抗ヒトIL−23R抗体は、ATCCに受託番号PTA−7800で寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体またはATCCに受託番号PTA−7801で寄託されたハイブリドーマにより産生された抗体と同じエピトープに結合する。抗体8B10(ラットIgG2aカッパ)および20D7(マウスIgG1カッパ)を発現するハイブリドーマは、ブダペスト条約に従い、American Type Culture Collection(ATCC−Manassas,Virginia,USA)に2006年8月17日にそれぞれ受託番号PTA−7800およびPTA−7801で寄託された。
典型的な抗IL−23p19抗体は、例えば、共同で譲渡された米国特許出願公開第2007/0048315号(Schering Corporation;抗IL−23p19抗体を開示している)および国際特許出願公開第WO 2008/103473号に開示されている。追加的な典型的な抗IL−23抗体は、例えば、米国特許第7,247.711号(Centocor;抗IL−23p40特異的抗体を開示している)、米国特許第7,491,391号および米国特許出願公開第2007/0218064(Centocor;抗IL−23pl9抗体を開示している)、国際特許出願公開第WO 2007/024846号(Eli Lilly;抗IL−23p19抗体を開示している)、米国特許出願公開第2009/0123479号(Glaxo SmithKline;抗IL−23p19抗体を開示している)、国際特許出願公開第WO 2009/068627号(Ablynx;抗IL−23ナノボディを開示している)、ならびに米国特許出願公開第2008/0095775号(Zymogenetics;IL−23p19およびIL−17に対する二重特異性抗体を開示している)に開示されている。既に臨床治験に付されている典型的なIL−12/IL−23(抗p40)抗体には、Centocorの完全ヒト抗体ウステキヌマブ(ustekinumab)(CNTO 1275)およびAbbottの完全ヒト抗体ブリアキヌマブ(briakinumab)(ABT−874)が含まれる。
種々の実施形態においては、本発明のIL−23アンタゴニストは抗体の抗原結合性フラグメント、例えば、本明細書中で言及されているIL−23アンタゴニスト抗体のいずれかのフラグメントを含む。そのようなフラグメントには、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)2、ナノボディおよびジアボディが含まれるが、これらに限定されるものではない。
他のIL−23アンタゴニストには、米国特許出願公開第2007/066550号(Archemix;抗IL−12/23アプタマーを開示している)が含まれる。既に臨床治験に付されている典型的なIL−12/IL−23小分子インヒビターとしては、Synta PhamarceuticalsのSTA−5326が挙げられる。
V.発現レベルの決定
1つの態様においては、本発明は、被験者からのサンプルが、対照レベルと比較した場合に1以上の生物マーカーのレベルの増加または減少を示すかどうかを決定することを含む。生物マーカーレベルは、質量分析、ウエスタンブロット、IHCまたはELISA(これらに限定されるものではない)を含む当技術分野で公知のいずれかの方法により定量されうる。本発明の生物マーカーのレベルの決定方法には、本明細書に開示されている方法およびそれらの均等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。生物マーカーレベルの比較を用いて、例えば、(IBDを有する疑いのある被験者からのサンプルを、非IBD被験者からのサンプルと比較して)IBDを診断すること、クローン病および潰瘍性大腸炎を鑑別診断すること、IBD患者を病期分類すること、IL−23アンタゴニストでの治療のための患者を選択すること、(再燃中または寛解中の被験者から採取されたサンプルを比較して)病態を評価すること、または(治療の前および後で得られたサンプルを比較して)療法の有効性を評価することが可能である。タンパク質は、例えば血漿および糞便において、非侵襲的に検出可能であるため、タンパク質レベルでの生物マーカーのレベルの決定は、遺伝子発現レベルの場合に比べて簡便である。
1つの実施形態においては、生物マーカータンパク質レベルを、例えば以下のとおりに、ウエスタンブロット(免疫ブロット)により決定する。生物学的サンプルを10%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)上で電気泳動し、ニトロセルロースまたはポリビニリデンフルオリド(PVDF)またはその他の適当な膜上にトランスファー(例えば、電気ブロット)する。ついで該膜を、評価中の生物マーカータンパク質に結合する一次抗体と共にインキュベートし、洗浄し、場合によっては、一次抗体に結合する検出可能な様態で標識された二次抗体と共にインキュベートし、場合によっては、再び洗浄する。ついで二次抗体(または検出可能な様態で一次抗体が標識されている場合には該一次抗体)の存在を、例えば放射能、蛍光、発光、酵素活性(例えば、アルカリホスファターゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼ)または当業者に公知の他の検出もしくは可視化技術により検出する。1つの実施形態においては、該検出可能標識を使用してオートラジオグラフを得、これをスキャンして分析する。他の実施形態においては、該ゲルを、オートラジオグラフの使用を伴うことなく直接的にイメージングする。観察された生物マーカーバンドの強度を、場合によっては、該サンプル中に存在する対照タンパク質、例えばアクチンまたはチューブリンに対して正規化することが可能である。
さらにもう1つの実施形態においては、生物マーカーレベルをELISAにより決定する。サンドイッチELISAを用いる1つの実施形態においては、関心のある生物マーカーに特異的な一次抗体(「捕捉抗体」)をプレート(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート)のウェルにおいてコートし、ついで該プレートを例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはカゼインでブロッキングする。該サンプル中に存在する生物マーカーポリペプチドが該固定化抗体に結合しうるよう、標準物またはサンプルを該ウェル内にピペッティングする。該ウェルを洗浄し、(二次)ビオチン化抗生物マーカー抗体を加える。該生物マーカーが一次抗体に結合している場合であっても、この二次抗生物マーカー抗体は該生物マーカーに結合することが可能でなければならない。他の実施形態においては、例えば該生物マーカーが多量体を形成する場合には、二次抗体は一次抗体と同一である。幾つかの実施形態においては、二次抗体は特有の非交差反応性抗体である。さらに他の実施形態においては、例えば、検出すべき生物マーカーがヘテロ二量体複合体として存在する場合(例えば、カルプロテクチン)、二次抗体は全く別のポリペプチド鎖に結合する。未結合ビオチン化抗体を洗い落とした後、HRP結合ストレプトアビジン(または何らかの機能的に同等の検出試薬)を該ウェルにピペッティングする。あるいは、該ビオチン化抗体を、直接検出可能な標識を有する抗体により置換することが可能であり、この場合、該ストレプトアビジン工程が省略されうる。該ウェルを再び洗浄し、TMB基質溶液を該ウェルに加え、結合した生物マーカーの量に比例した呈色が生じる。停止溶液を該反応に加え、これは青から黄への変色をもたらし、該色の強度を450nmで測定する。例えば、RayBiotech,Inc.(Norcross,GA,USA)のHuman IGF−BP−2 ELISAキット;およびAngervoら(1992)Biochem.Biophys.Res.Comm.189:1177;Kratzら(1992)Exp.Cell Res.202:381;およびFrostら(1991)J.Biol Chem.266:18082を参照されたい。既知濃度の生物マーカーを用いた場合の標準曲線を用いて、該サンプル中の生物マーカーの濃度を決定することが可能である。
マイクロタイターウェルにおいて該生物マーカーを固定化するために、捕捉抗体の代わりに、当技術分野でよく知られた他のELISA形態も使用されうる(例えば、該プレートへの直接吸着の利用)。競合的ELISAも使用されうる。この場合、サンプル中の生物マーカーは、それが、アッセイ溶液中に存在する標識された生物マーカー分子と、該プレートへの結合に関して競合しうることにより検出される。関心のあるサンプル中の生物マーカーポリペプチドの濃度が高ければ高いほど、それは標識生物マーカーの結合をより著しく遮断して、観察されるシグナルを低下させる。
側方流動形態イムノアッセイ(イムノクロマトグラフィーアッセイ)も使用されうる。この場合、水性サンプルを毛管作用により表面上に導く。該表面は、検出試薬(例えば、検出可能な様態で標識された抗体)が付着されている第1領域と、固定化捕捉試薬(例えば、抗体)を含む第2領域とを有する。該捕捉試薬および検出試薬は共に、関心のある生物マーカーに特異的に結合する。該サンプルが第1領域を通過して流動するにつれて、該検出試薬が可溶化され、該サンプル中に存在しうるアナライト(生物マーカー)に結合して複合体を形成する。該サンプルが流動し続けると、それは第2領域と接触し、ここで、複合体が存在すればそれは該捕捉試薬に結合し、濃縮される。着色粒子を検出可能標識として使用した場合には、第2領域における粒子の濃度は視認可能な色シグナルを生成する。ついでアナライト(生物マーカー)のレベルを、第2領域におけるシグナルの強度により、定性的または定量的に評価することが可能である。
生物マーカーレベルはラジオイムノアッセイ(RIA)によっても決定されうる。RIAは、関心のあるサンプルからの未標識または「非放射性」アナライトの存在下、既知量の放射性アナライト(例えば、131Iおよび125I−チロシンで標識されたもの)を、そのアナライトに対する抗体と混合すること、および置換された標識アナライトの量を測定することを含む。この場合、該アナライトは本発明の生物マーカーである。該サンプル中のアナライトは標識アナライトと競合し、該抗体へのその結合を低下させるであろう。未結合アナライトを除去し、標識結合アナライトを定量する。未結合アナライトは、例えば、該一次抗体に対する二次抗体で該アナライト−抗体複合体を沈降させることにより除去されうる。もう1つの実施形態においては、未結合アナライトが簡便に洗い落とされうるよう、該アナライト特異的抗体は試験管またはマイクロタイターウェルまたは何らかの他の固体基体の壁上に固定化されうる。
関心のある生物マーカーを検出するために、いずれかの他の適当なアッセイ形態、例えばネフェロメトリー/比濁法、特に免疫比濁法が使用可能であり、これは懸濁不溶性抗原(生物マーカー)/抗体複合体の光散乱の測定を含む。例えば、米国特許第4,605,305号を参照されたい。他の方法には、放射状免疫拡散法(RID)が含まれ、これは、例えば寒天/アガローススラブにおける、抗原(生物マーカー)と抗体との間の複合体形成による沈降輪の観察である。例えば、米国特許第3,947,250号を参照されたい。そのような形態は臨床アッセイにおいて一般的に使用される。
他の実施形態においては、該IBD生物マーカーは質量分析法により検出されうる。質量分析法には、飛行時間型、磁気セクター、四極子フィルター、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴、静電セクターアナライザーおよびこれらの混合法が含まれる。そのような実施形態においては、サンプル中のIBDマーカーは、該サンプル中にスパイク化された同位体標識同一合成ペプチドを使用して特定され定量されうる。1つの実施形態においては、質量分析計はレーザー脱着/イオン化質量分析計である。レーザー脱着/イオン化質量分析計においては、アナライトを質量分析プローブの表面上に配置し、これによりアナライトはイオン化に付される。レーザー脱着質量分析計は、イオン・オプティック・アセンブリによる検出のためにアナライトを揮発させイオン化するために、典型的には紫外または赤外レーザーからのレーザーエネルギーを利用する。もう1つの質量分析実施形態においては、サンプルを、場合によってはクロマトグラフィーにより分画し、ついでIBD生物マーカーを生物アフィニティ樹脂(例えば、抗体で誘導体化された樹脂)上に捕捉する。ついで該生物マーカーを該樹脂から溶出し、MALDI、エレクトロスプレーまたは質量分析のための他のイオン化法により分析する。さらにもう1つの実施形態においては、サンプルをアニオン交換樹脂上で分画し、MALDIまたはエレクトロスプレー質量分析法により直接的に検出する。
他の実施形態においては、生物マーカー遺伝子の遺伝子発現のレベルが決定されうる。核酸レベルでの遺伝子発現は、ノーザンブロット分析、遺伝子チップ発現分析またはRT−PCR(リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応)(これらに限定されるものではない)を含む当技術分野で公知のいずれかの方法により定量されうる。例えば、Smithら(1993)J.Clin.Endocrin.Metab.77(5):1294;Cohenら(1993)J.Clin.Endocrin.Metab.76(4):1031;Dawczynskiら(2006)Bone Marrow Transplant.37:589;およびClemmonsら(1991)J.Clin.Endocrin.Metab.73:727を参照されたい。
ノーザンブロット分析はmRNAの検出および定量のための標準的な方法である。RNAを、アッセイすべきサンプル(例えば、結腸粘膜)から単離する。RNAを、変性条件下、アガロースゲルにおける電気泳動によりサイズにより分離し、膜にトランスファーし、架橋し、標識プローブにハイブリダイズさせる。本発明の1つの実施形態においては、ノーザンブロット分析は、放射能標識された又は非同位体により検出可能な様態で標識された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして使用する。本発明の1つの実施形態においては、該RNAサンプルを担持する膜を、プローブハイブリダイゼーション前に、非特異的バックグラウンドを低下させるためにプレハイブリダイズまたは「ブロッキング」する。ハイブリダイズしていないプローブを洗浄により除去する。該洗浄のストリンジェンシーは、当技術分野で十分に理解されているとおりに調節されうる。放射能標識(または発光)プローブを使用する場合、該ブロットを、例えばシンチラントの存在下、オートラジオグラフィーのためにフィルムに露出させることが可能である。非同位体プローブを使用する場合、フィルム露出前に、検出可能なプローブのシグナルを生成させるために、該ブロットを典型的には非同位体検出試薬で処理する必要がある。アッセイされている発現の相対レベルは、例えば比濁法または目視評価を用いて定量されうる。観察された発現レベルは、豊富に発現される対照遺伝子(例えば、ユビキチン)の発現レベルに対して正規化されうる。
もう1つの実施形態においては、生物マーカーの発現は、遺伝子チップを使用して決定されうる(プローブアッセイ)。関心のある生物学的サンプルを調製し、該チップにハイブリダイズさせ、ついでこれを洗浄し、染色し、スキャンする。ついでデータを処理する。標的の調製は、試験すべきサンプルからビオチン化標的RNAを調製することを含みうる。該標的ハイブリダイゼーション工程は、断片化標的、プローブアレイ対照、BSAおよびニシン精子DNAを含むハイブリダイゼーション混合物を調製することを含みうる。1つの実施形態においては、該標的を該プローブアレイに16時間ハイブリダイズさせ、該プローブを洗浄し、ストレプトアビジン・フィコエリトリン・コンジュゲートで染色し、570nmにおける発光に関してスキャンする。570nmで放出される光の量は、該プローブアレイ上の各位置において結合した標的に比例する。商業的に入手可能な設備およびソフトウェアを使用するコンピュータ分析が可能である(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)。
別の実施形態においては、リアルタイムPCR(RT−PCR)を用いて、生物マーカー発現を決定する。本発明の生物マーカーのRT−PCRに要するプライマーおよびプローブの設計は、本明細書に記載されている配列を考慮すれば、当技術分野における技量の範囲内である。1つの実施形態においては、当技術分野でよく知られているとおり、RNAをRNアーゼ非含有条件下で単離し、逆転写酵素を使用してDNAに変換する。RT−PCRプローブは、標的アンプリコン(生物マーカー遺伝子)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを加水分解する(例えばTaq)DNAポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性に依存する。RT−PCRプローブオリゴヌクレオチドは、5’末端に結合した蛍光レポーター色素と、3’末端に結合した消光部分とを有する(またはその逆)。これらのプローブは、PCR産物の内部領域にハイブリダイズするように設計される。増幅中、該ポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性は該プローブを切断して、該蛍光色素を該消光部分から切り離す。より多数のプローブが切断されるにつれて、各サイクルにおいて蛍光が増加する。生じる蛍光シグナルを、標準的な商業的に入手可能な設備により、該増幅中にリアルタイムでモニターする。評価中のサンプルにおける生物マーカーRNAの量は、既知量の増幅可能RNAを含有する標準物との比較により決定されうる。
生物マーカーまたは生物マーカー遺伝子発現は、商業的に入手可能なキット(例えば、実施例に開示されているもの)を使用して、または当技術分野でよく知られた供給業者から入手される商業的に入手可能な抗生物マーカー抗体による特製アッセイを使用して、または特製アッセイおよび実施者により産生された抗体を使用して検出されうる。
本明細書に開示されている検出手段は本質的に1つの状態から別の状態への物品の変換を含むことを、当業者は認識するであろう。典型的には、本明細書に開示されている検出手段は、アナライト(すなわち、検出すべき物質、例えば生物マーカーポリペプチド、またはそのポリペプチドをコードするmRNA)を検出試薬(例えば、抗体または相補的核酸)との複合体に変換することを含む。例えば、ELISA、ウエスタンブロットなどのような免疫学的検出手段は、抗原−抗体複合体への生物マーカーポリペプチドの変換を含み、該複合体形成は該検出に必須である。もう1つの例においては、増幅(例えば、TaqMan(登録商標))、サザン/ノーザンブロット法および遺伝子チップに基づく方法のような、ハイブリダイゼーションに基づく検出手段は、単一の標準状態から二重の標準状態への、該生物マーカーをコードするmRNAの変換を含み、該複合体形成は該検出に必須である。
本明細書に記載されているデータの多く(例えば、図面の多く)は、種々の動物またはヒト被験者から得られた値を表している。本発明の幾つかの実施形態においては、比較すべきサンプルは同一被験者(例えば、IL−23アンタゴニストでの治療を受けているIBD患者)から得られ、したがって或る程度は「内的対照」されるであろう。そのような実施形態においては、タンパク質または遺伝子発現レベルにおける変化の識別能はアッセイの固有精度によってのみ制限され、個体間変動を含まない。したがって、個体間変動を含む類似データが統計的に有意でない場合であっても、単一被験者からのサンプルの間の小さな相違は統計的に有意となりうる。
VI.データ分析
疾患の診断、患者の病期分類、病態のモニター、IL−23アンタゴニストでの治療のための患者の選択、標的関与の証明および治療効力のモニター(これらに限定されるものではない)を含む種々の目的で、比較されているサンプルに応じて本発明の生物マーカーの発現レベルを用いることが可能である。典型的には、そのような方法は、関心のある被験者(「被験者」)から得たサンプルにおける本発明の1以上の生物マーカーのレベルを「基準サンプル」におけるレベルと比較することを含む。本発明の生物マーカーの場合、より高いレベルは疾患またはより重篤な病態に相関する。本明細書中で用いる「被験者における生物マーカーのレベル」および同様の表現は、該被験者から得られたサンプル、例えば血清、血液、尿、糞便などにおいて決定されたレベルを意味する。
例えば、被験者における生物マーカーレベルを、IBDに罹患していない個体を含む基準サンプルの1以上と比較することにより、該被験者においてIBDを診断することが可能である。該診断は典型的には医学的実施者の判断に基づくものであり、例えば、被験者におけるレベルが、予め決められた倍数または比率だけ増加するかどうかに基づくものでありうる。診断はまた、被験者における絶対的レベルに基づくものでありうる。尤も、そのような診断は基準サンプルにおけるレベル(例えば、実施者の一般的知識からのもの、あるいは専門的指針において定められたレベル)との比較に基づくであろう。「有意」な応答に関する最小閾値は必然的に当該検出方法の精度に左右されるであろう。なぜなら、応答が有意となるためには、それは必然的に該アッセイ自体における変動を超えなければならないからである。例えば、二次元差ゲル電気泳動(2D−DIGE)は、±15%まで、タンパク質のレベルにおける差を検出可能である(Viswanathanら(2006)Nat.Protocols 1:1351)。
被験者におけるIBDの病態は、該被験者における生物マーカーレベルを、該被験者から過去の時点で採取された基準サンプル、および/またはIBDに罹患していない個体を含む基準サンプルにおけるレベルと比較することにより、モニターされうる。そのような比較は、標的関与、例えばIL−23駆動および/またはTh17疾患経路の関与を評価するためにも用いられうる。IBDの病態は再燃および寛解の自然パターンとして経時的に変動することがあり、あるいは治療的介入の結果として変動することがある。療法の経過中の異なる時点(例えば、療法の前、途中および/または後)における生物マーカーの測定は、治療計画の効力を評価するために、そして場合によっては、結果の改善のために該計画の変更を導くために用いられうる。
療法を変更すべきかどうかの決定は典型的には医学的実施者の判断に基づくものであり、例えば、被験者における測定生物マーカーレベルが、予め決められた倍数または比率だけ、1つの別の値と異なるかどうかに基づくものでありうる。同様に、本発明の生物マーカーの発現のレベルにおける観察された変化が病態における有意な変化を反映しているかどうかを決定する際に、典型的には、医学的実施者の判断が必要であろう。そのような決定は、典型的には、少なくとも部分的には、特定の生物マーカーアッセイ自体の変動、被験者に関して全般的に観察される典型的なサンプル間の変動、ならびに罹患および非罹患サンプルにおけるレベル間の典型的な差に基づくであろう。
本発明において提供される生物マーカーの特定を考慮すれば、該生物マーカーのレベル(またはそれらの発現レベル)を多数のヒト被験者(IBDを含むものと含まないものとの両方)において医学的実施者が決定することは当技術分野における技量の範囲内であろう。そのようなデータは、当該薬物(例えば、IL−23アンタゴニスト抗体)の安全性および有効性(効力)を評価する臨床治験の経過中に蓄積されうるであろう。そのような生物マーカーのデータは、しばしば、臨床治験の経過中に収集され、当技術分野における通常のレベルの労力が費やされるにすぎない。これらのベースラインデータは、当該アッセイの精度を決定するために標準的な統計的アプローチを用いて、変動に関して分析されるであろう。生物マーカーを測定するために用いるアッセイにおける統計的変動性、および生物マーカーレベルにおける差が得られれば、熟練した医学的実施者は、(例えば、診断の一要素として)与えられたサンプルにおける該生物マーカーのレベルが活動性IBDに合致するかどうか、および/または与えられた治療計画が(例えば、患者の治療または臨床治験の実施において)非罹患レベルへと該生物マーカーのレベルをどの程度戻しているかを判断しうるであろう。
本明細書における実施例(後記)の幾つかは、種々の図面に示されているヒトデータに基づいて、与えられたサンプルにおける生物マーカー(またはそれらの遺伝子発現)のどの程度のレベルが活動性IBDに合致するとみなされるかに関する典型的な分析を示している。そのような典型的な分析はIBDの診断においてだけではなく、IBD治療に対する治療応答のモニターにおいても有用でありうる。活動性IBDに関する値に近い治療後の値は治療効力の欠如を表し、一方、対照/寛解レベルに近い値は、有効であることを表すであろう。実施例に記載されている大雑把な分析は、もちろん、当技術分野において一般的である(そして前段落に記載されている)とおり、実際の臨床データが入手可能となればそれに基づいて更新されるであろう。
図面の簡潔な説明
一元配置ANOVA統計的有意性が本明細書中のデータの幾つかに関して示されており、ここで、*=p<0.05、**=p<0.01および***=p<0.001である。データ点に関する水平線は観測値の中央値を表す。誤差線は平均の標準偏差を表す。特に示さない限り、タンパク質レベルはELISAにより測定し、遺伝子発現はTaqMan(登録商標)リアルタイム定量PCR分析により測定した(そしてユビキチン発現に対して正規化した)。
図1は、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からの血清サンプルにおけるCCL20タンパク質レベルを示す(実施例5に更に詳しく記載されている)。
図2は、DMBT1に関して得られた結果を示す(実施例6に更に詳しく記載されている)。図2Aは、非罹患(ナイーブ)、罹患(IBD)およびIL−23アンタゴニスト処理動物からのマウス結腸組織におけるDMBT1遺伝子発現を示す。
図2は、DMBT1に関して得られた結果を示す(実施例6に更に詳しく記載されている)。図2Bは、非罹患、罹患および抗IL−23R処理動物におけるマウス結腸組織における(ウエスタンブロットにより測定された)DMBT1タンパク質レベルを示す。
図2は、DMBT1に関して得られた結果を示す(実施例6に更に詳しく記載されている)。図2Cは、対照被験者、活動的クローン病患者および寛解中のクローン病患者からのヒト腸生検サンプルにおけるDMBT1遺伝子発現を示す。ヒト生検サンプルを使用して得たデータを示す本明細書中の全ての図面と同様に、データ点は、異なる生検サンプルを表し、それらの幾つかは同一被験者から得たものであり、それらの幾つかは異なる被験者から得たものである。
図3は、MIFに関して得られた結果を示す(実施例7に更に詳しく記載されている)。図3Aは、非罹患(ナイーブ)、罹患(IBD)およびIL−23アンタゴニスト処理動物からのマウス結腸組織におけるMIF遺伝子発現を示す。
図3は、MIFに関して得られた結果を示す(実施例7に更に詳しく記載されている)。図3Bは、非罹患、罹患および抗IL−23R処理動物におけるマウス結腸組織における(ウエスタンブロットにより測定された)MIFタンパク質レベルを示す。図3Cは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照におけるヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)MIFタンパク質レベルを示す。
図3は、MIFに関して得られた結果を示す(実施例7に更に詳しく記載されている)図3Cは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照におけるヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)MIFタンパク質レベルを示す。
図4は、LCN2に関して得られた結果を示す(実施例8に更に詳しく記載されている)。図4Aは、未処理およびIL−23アンタゴニスト(抗IL−23R抗体)処理IBDマウスからのマウス固有層サンプルにおける(ウエスタンブロットにより測定された)LCN2タンパク質レベルの時間経過を示す。
図4は、LCN2に関して得られた結果を示す(実施例8に更に詳しく記載されている)。図4Bは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)LCN2タンパク質レベルを示す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Aおよび5Bは、非罹患(ナイーブ)、罹患(IBD)およびIL−23アンタゴニスト処理動物からのマウス結腸組織における、それぞれ、マウスREG3βおよびREG3γ遺伝子発現を示す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Aおよび5Bは、非罹患(ナイーブ)、罹患(IBD)およびIL−23アンタゴニスト処理動物からのマウス結腸組織における、それぞれ、マウスREG3βおよびREG3γ遺伝子発現を示す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Cは、非罹患、罹患および抗IL−23R処理動物からの糞便における(ウエスタンブロットにより測定された)REG3γタンパク質レベルを示す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Dは、対照被験者、活動的クローン病患者および寛解中のクローン病患者からのヒト腸生検サンプルにおけるPAR/REG3α遺伝子発現を示す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Eは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)PAR/REG3αタンパク質レベルを示す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Fおよび5Gは、未処理およびIL−23アンタゴニスト処理IBDマウスからの(ウエスタンブロットにより測定された)REG3γタンパク質レベルの時間経過を示し、ここで、図5Fはマウス結腸上皮細胞サンプルにおけるタンパク質レベルを表し、図5Gは糞便におけるタンパク質レベルを表す。
図5は、マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3αに関して得られた結果を示す(実施例9に更に詳しく記載されている)。図5Fおよび5Gは、未処理およびIL−23アンタゴニスト処理IBDマウスからの(ウエスタンブロットにより測定された)REG3γタンパク質レベルの時間経過を示し、ここで、図5Fはマウス結腸上皮細胞サンプルにおけるタンパク質レベルを表し、図5Gは糞便におけるタンパク質レベルを表す。
6は、カルプロテクチン(S100A8/A9)に関して得られた結果を示す(実施例10に更に詳しく記載されている)。図6Aおよび6Bは、非罹患(ナイーブ)、罹患(IBD)およびIL−23アンタゴニスト処理動物からのマウス結腸組織における、それぞれ、S100A8およびS100A9遺伝子発現を示す。
6は、カルプロテクチン(S100A8/A9)に関して得られた結果を示す(実施例10に更に詳しく記載されている)。図6Aおよび6Bは、非罹患(ナイーブ)、罹患(IBD)およびIL−23アンタゴニスト処理動物からのマウス結腸組織における、それぞれ、S100A8およびS100A9遺伝子発現を示す。
図6は、カルプロテクチン(S100A8/A9)に関して得られた結果を示す(実施例10に更に詳しく記載されている)。図6Cは、非罹患、罹患および抗IL−23R処理動物からの糞便における(ウエスタンブロットにより測定された)S100A8タンパク質レベルを示す。
図6は、カルプロテクチン(S100A8/A9)に関して得られた結果を示す(実施例10に更に詳しく記載されている)。図6Dおよび6Eは、対照被験者、活動的クローン病患者および寛解中のクローン病患者からのヒト腸生検サンプルにおける、それぞれ、S100A8およびS100A9遺伝子発現を示す。
図6は、カルプロテクチン(S100A8/A9)に関して得られた結果を示す(実施例10に更に詳しく記載されている)。図6Dおよび6Eは、対照被験者、活動的クローン病患者および寛解中のクローン病患者からのヒト腸生検サンプルにおける、それぞれ、S100A8およびS100A9遺伝子発現を示す。
図6は、カルプロテクチン(S100A8/A9)に関して得られた結果を示す(実施例10に更に詳しく記載されている)。図6Fは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)S100A8/A9複合体レベルを示す。
図7は、IL−22に関して得られた結果を示す(実施例11に更に詳しく記載されている)。図7Aは、非罹患(プールナイーブ)、罹患(IBD)および抗IL−23RにおけるIL−22タンパク質レベルを示す。
図7は、IL−22に関して得られた結果を示す(実施例11に更に詳しく記載されている)。図7Bは、未処理およびIL−23アンタゴニスト(抗IL−23R抗体)処理IBDマウスからの血漿における(ELISAにより測定された)IL−22タンパク質レベルの時間経過を示す。
図7は、IL−22に関して得られた結果を示す(実施例11に更に詳しく記載されている)。図7Cは、対照被験者、活動的クローン病患者および寛解中のクローン病患者からのヒト腸生検サンプルにおけるIL−22遺伝子発現を示す。
図7は、IL−22に関して得られた結果を示す(実施例11に更に詳しく記載されている)。図7Dは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)IL−22レベルを示す。
図8は、ハプトグロビンに関して得られた結果を示す(実施例12に更に詳しく記載されている)。図8Aは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清サンプルにおける(ELISAにより測定された)血清ハプトグロビンレベルを示す。
図8は、ハプトグロビンに関して得られた結果を示す(実施例12に更に詳しく記載されている)。図8Bおよび8Cは、非罹患対照(ナイーブ)、罹患IBD対照(PBS、IgG1処理)およびIL−23アンタゴニスト(種々の用量)処理動物からのマウス結腸組織におけるハプトグロビン遺伝子発現を示し、ここで、抗IL−23p19抗体は図8BにおけるIL−23アンタゴニストであり、抗IL−23R抗体は図8CにおけるIL−23アンタゴニストである。用量はミリグラム/キログラム(mpk)で表されている。
図8は、ハプトグロビンに関して得られた結果を示す(実施例12に更に詳しく記載されている)。図8Bおよび8Cは、非罹患対照(ナイーブ)、罹患IBD対照(PBS、IgG1処理)およびIL−23アンタゴニスト(種々の用量)処理動物からのマウス結腸組織におけるハプトグロビン遺伝子発現を示し、ここで、抗IL−23p19抗体は図8BにおけるIL−23アンタゴニストであり、抗IL−23R抗体は図8CにおけるIL−23アンタゴニストである。用量はミリグラム/キログラム(mpk)で表されている。
図9は、GP−39に関して得られた結果を示す(実施例22に更に詳しく記載されている)。図9Aは、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清におけるGP−39のレベルを示す。
図9は、GP−39に関して得られた結果を示す(実施例22に更に詳しく記載されている)。図9Bは、非罹患対照(ナイーブ)、罹患IBD対照(ビヒクル、IgG1処理)および抗IL−23R抗体(種々の用量(ミリグラム/キログラム,mpk))処理動物からのマウス結腸組織におけるGP−39遺伝子発現を示す。
図10は、クローン病患者、UC患者またはマッチングされたそれぞれの正常対照からのヒト血清におけるGPX−3のレベルを示す(例えば、実施例24に更に詳しく記載されている)。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図11は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる予防的プロトコールで得られた結果を示す。該予防的プロトコールにおいては、T細胞導入と同じ日に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図11A〜11Gは、IL−22(図11A),IL−17(図11B)、TNF−α(図11C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図11D)、REG3β/REG3γ(図11E)、LCN2(リポカリン2)(図11F)、MIF(図11G)、IL−6(図11H)、ラクトフェリン(図11I)、GP−39(図11J)、GPX−2(図11K)および好中球エラスターゼ(図11L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は以下のとおりである。白丸(○)は、抗CD3 T細胞のみが導入された場合の対照を表す。黒四角(■)は、Bir14 CD4 T細胞が導入されたがイソタイプ対照抗体で処理された動物を表す。黒三角(▲)は、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗IL−23p19抗体で処理された動物を表す。群間の統計差は、有意である場合には、*(p<0.05)、**(p<0.01)または***(p<0.001)により表される。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
本発明の広範な範囲は、以下の実施例を参照して最もよく理解され、これらの実施例は本発明を特定の実施形態に限定するものではない。
図12は、マウスにおけるT細胞導入IBDモデルを用いる治療的プロトコールで得られた結果を示す。該治療的プロトコールにおいては、導入後第4週に、そしてその後は導入後第8週の犠死まで毎週、抗体を加えた。図12A〜12Gは、IL−22(図12A),IL−17(図12B)、TNF−α(図12C)、S100A8/S100A9(カルプロテクチン)(図12D)、REG3β/REG3γ(図12E)、LCN2(リポカリン2)(図12F)、MIF(図12G)、IL−6(図12H)、ラクトフェリン(図12I)、GP−39(図12J)、GPX−2(図12K)および好中球エラスターゼ(図12L)に関する相対RNA発現レベル(RU、相対単位、ユビキチンに対するもの)を示す。データ点の記号は、白四角(□)が、Bir14 CD4 T細胞が導入され抗体処理を全く受けることなく導入後第4週に犠死された動物を表すこと以外は、図11のとおりである。より詳細は実施例18に記載されている。
本発明の広範な範囲は、以下の実施例を参照して最もよく理解され、これらの実施例は本発明を特定の実施形態に限定するものではない。
実施例
全般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Maniatisら(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning,3rded,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Wu(1993)Recombinant DNA,Vol.217,Academic Press,San Diego,CA.に記載されている。標準的な方法は、Ausbelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology,VoIs.1−4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NYにも記載されており、これは、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳類細胞および酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質およびタンパク質発現(Vol.3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化を含むタンパク質精製のための方法が記載されている(Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.1,John Wiley aad Sons,Inc.,New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載されている。例えば、Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.2,John Wiley and Sons,Inc.,New York;Ausubelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc.,NY,NY,pp.16.0.5−16.22.17;Sigma−Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research,St.Louis,MO;pp.45−89;Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory,Piscataway,N.J.,pp.384−391を参照されたい。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の製造、精製および断片化が記載されている(Coliganら(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York;HarlowおよびLane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;HarlowおよびLane,前掲)。リガンド/受容体相互作用を特徴づけるための標準的な技術が利用可能である。例えば、Coliganら(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照されたい。
蛍光標示式細胞分取検出系(FACS(登録商標))を含むフローサイトメトリーのための方法が利用可能である。例えば、Owensら(1994)Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan(2001)Flow Cytometry,2nded.;Wiley−Liss,Hoboken,NJ:Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照されたい。核酸プライマーおよびプローブを含む核酸、ポリペプチドならびに抗体を修飾するための、例えば診断試薬として使用される蛍光試薬が入手可能である(Molecular Probes(2003)Catalog,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma−Aldrich(2003)Catalog,St.Louis,MO)。
免疫系の組織学の標準的方法が記載されている。例えば、Muller−Harmelink(編)(1986)Human Thymus:Histopathology and Pathology,Springer Verlag,New York,NY;Hiattら(2000)Color Atlas of Histology,Lippincott,Williams,and Wilkins,Phila,PA;Louisら(2002)Basic Histology:Text and Atlas,McGraw−Hill,New York,NYを参照されたい。
統計分析は、JMP(登録商標)Statistical Discovery Software,SAS Institute Inc.,Cary,North Carolina,USA(これに限定されるものではない)を含む商業的に入手可能なソフトウェアを使用して行われうる。
生物マーカーレベルは、後記実施例に記載されているとおり、商業的に入手可能なキットまたは商業的に入手可能な抗体を使用して決定されうる。特に示さない限り、市販キット(例えば、ELISAキット)は、製造業者により推奨されているのと実質的に同じ方法で使用される。あるいはEISAおよび他の免疫学的アッセイを、商業的に入手可能な抗体を使用して発展させることが可能であり、あるいは、適当な抗体が商業的に入手可能でない生物マーカに対する抗体を産生させることが可能である。生物マーカー遺伝子発現を、商業的に入手可能なプローブまたはプライマーを使用してモニターすることが可能であり、あるいはそのようなプローブまたはプライマーを、本明細書に(配列表において又はアクセッション番号および文献援用により)開示されている核酸配列に基づいて特別に合成することが可能である。
ヒトサンプルにおける潜在的IBD生物マーカーの特定
対照(50歳女性、非IBD)、クローン病患者(未治療のクローン病を有する47歳女性)および寛解中のクローン病患者(抗TNFα抗体インフリキシマブで治療された39歳女性)から得たヒト血清サンプルの比較により、IBDに関する潜在的生物マーカーを特定した。サンプルは、Mayo Clinic(Rochester,Minnesota,USA)から入手した。
30kDa未満のタンパク質を富化させ、トリプシン消化し、精製した。ついで二次元液体クロマトグラフィータンデム質量分析(2D−LC−MS/MS)を以下のとおりに行った。第一次元液体クロマトグラフィーは強力カチオン交換(SCX)カラム上のペプチド分離(72画分を収集)を含み、第二次元は逆相カラムを含むものであった。得られた画分をタンデムMSに付し、種々の画分における与えられたタンパク質からのペプチドの出現の数を評価した。該対照サンプルは172個のタンパク質を示し、該クローン病サンプルは178個のタンパク質を示し、該寛解サンプルは128個のタンパク質を示し、全体で合計332個の異なるタンパク質が観察された。
該活動性クローン病サンプルにおいては観察されたが対照サンプルにおいても寛解サンプルにおいても観察されなかったCCL−20/MIP−3αを含む幾つかのタンパク質の差動的レベルを、結果は示した。クローン病血清サンプルおよび対照血清サンプルにおけるCCL−20/MIP−3αの差動的発現に関しては、実施例5を参照されたい。
マウスIBDモデルにおける潜在的IBD生物マーカーの特定
後記に全般的に記載するとおり、2D−DIGEショットガンプロテオミクス実験において、IBDマウスから得た種々のサンプル(血漿、糞便、結腸洗浄液、結腸組織ライセートおよび結腸上皮細胞)における差動的発現タンパク質に関してスクリーニングすることによっても、IBDに関する潜在的生物マーカーを得た。
IBDのマウスモデルを以下のとおりに作製した。RAG2 KOマウスにアゴニスト抗CD40抗体(100〜200μg/動物、例えば125μg/動物、i.v.)を投与して、消耗疾患、脾腫、血清炎症サイトカインの増加および大腸炎により特徴づけられる全身および局所炎症疾患を含むIBDのマウスモデル(「IBDマウス」)を作製した(Uhligら(2006)Immunity 25:309(RAG1 KOマウスで類似所見を報告している))。特に示さない限り、本明細書中で用いる「IBDマウス」は、実施例18に記載されているT細胞導入モデルではなく、本実施例に記載されている抗CD40 RAG KOマウスモデルを意味する。抗CD40抗体が投与されていないナイーブRAG KOマウスを非罹患対照として使用した。幾つかのIBDマウス群を抗マウスIL−23p19抗体(mAb 490,Schering−Plough Biopharma)、抗マウスIL−23R抗体(mAb 21A4,Schering−Plough Biopharma)または抗マウスIL−12/23p40抗体で処理し、他のIBDマウスをイソタイプ対照抗体で処理した。全ての処理抗体は、第−1日(すなわち、疾患誘発の前日)に0.5〜1mg/動物 i.v.で投与した。ついで第0日に抗CD40を投与(i.p.)し、特に示さない限り動物を7日間モニターし、ついで第7日に犠死させた。本実施例において用いる「処理」は、疾患誘発物質(この場合は抗CD40抗体)の投与の前の治療用抗体の投与を含む。一般には第1、3、5および7日に時点設定した。血漿、結腸洗浄液、糞便および結腸組織サンプルを採集した。本明細書中で用いる「IBDマウス」は、抗IL−23p19または抗IL−23R抗体で「処理」されたか否かに無関係に、抗CD40抗体で処理されたRAG KOマウスを意味し、「対照」または「非罹患」マウスは、抗CD40抗体が投与されなかったRAG KOマウスを意味する。
血漿サンプル
マウス血漿サンプルを潜在的IBD生物マーカーに関して以下のとおりにスクリーニングした。低分子量タンパク質(<30kDa)を表面増強レーザー脱着/イオン化飛行時間型(SELDI−TOF)質量分析により分析した。糖タンパク質および非糖タンパク質画分に関して、別々の2D−差ゲル電気泳動(2D−DIGE)ゲルでの泳動を行った。該サンプル(IBD、治療IBDおよび対照)において差動的に発現されたタンパク質を潜在的IBD生物マーカーとみなした。
特に、EDTA−血漿を動物から得、使用時まで−80℃で保存した。各動物ごとに、150μlの血漿を、COMPLETE(商標)EDTA非含有プロテアーゼインヒビター混合物(Roche Diagnostics Corp.,Indianapolis,IN)(「Roche」)で補足された750μlのバッファーA(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)(「Agilent」)中で希釈し、0.22μm遠心フィルター(Agilent)上で濾過し、4.6×100mmのマウスサンプル用Multiple Affinity Removal System(Agilent)を該製造業者の説明に従い使用して高存在量タンパク質を除去した。このカラムは、マウス体液からアルブミン、IgGおよびトランスフェリンを除去するために抗体を使用する。イムノアフィニティクロマトグラフィーをAKTA Explorer(GE Healthcare,Piscataway,NJ)(「GE Healthcare」)上で行った。
流動(フロースルー)画分をPBSバッファー交換し、Centricon(登録商標)Plus−20(Millipore,Bedford,MA)遠心分離フィルター装置を使用して濃縮した。ついで、コムギ胚芽凝集素(WGA)レクチンカラム(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)(「Pierce」)を該製造業者の説明に従い使用して、糖タンパク質および非糖タンパク質を分離した。ついでサンプルを、Zeba Spin−Column Device(Pierce)を使用して脱塩し、―20℃で一晩、アセトン沈殿させた。タンパク質ペレットを、7M 尿素、2M チオ尿素、1% (3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−1−プロパンスルホナート(CHAPS)、1% TritonX−100、1% N−デシル−N−N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホナート(SB3−10)、1% アミドスルホベタイン−14(ASB−14)、40mM Tris pH8.8、5mM 酢酸マグネシウムおよびEDTA非含有プロテアーゼインヒビター混合物(Roche)を含む200μlの細胞溶解バッファーに再懸濁させた。タンパク質濃度を、Coomassie Blue Plus(Pierce)を使用して評価した。
糖タンパク質および非糖タンパク質サンプルをタンパク質50μg当たり200pmolのCyDye(GE Healthcare)で標識した。この場合、該サンプルにはCy5またはCy3を、そしてプール化内部標準物(該内部標準物は等重量の各サンプルの混合物を含んでいた)にはCy2を使用した。Albanら(2003)Proteomics 3:36を参照されたい。暗所中の氷上の30分間のインキュベーションの後、5μlの10mM リシンで標識化をクエンチした。1容量の2×サンプルバッファーを各サンプルに加えた。該サンプルバッファーは6M 尿素、2M チオ尿素、1% CHAPS、1% TritonX−100、1% SB3−10、1% ASB 14、65mM DTT、4% Pharmalytes(登録商標)3−10(GE Healthcare)を含んでいた。ついで該Cy2、Cy3およびCy5標識化反応を合わせ、ゲル当たり450μlまで再水和バッファー(6M 尿素、2M チオ尿素、1% CHAPS、1% TritonX−100、1% SB3−10、1% ASB 14、6.5mM DTT、1% Pharmalytes(登録商標)3−10(GE Healthcare))を加えた。
IPGphor等電点フォーカシングユニット(GE Healthcare)を使用して2D−DIGEの第一次元分離を行った。この場合、該サンプルを再水和のために24cmストリップ(pH4〜pH7)に12時間適用し、ついで合計90kV−時間にわたり等電点フォーカシングを行った。ついでストリップを6M 尿素、2M チオ尿素、2% SDS、0.1M Tris pH6.8中、0.5% DTT(w/v)で15分間、ついで4.5%(w/v)ヨードアセトアミドで15分間平衡化した。暗所中で11時間にわたり、4.3W/ゲルにて、Ettan DALTtwelve系(GE Healthcare)で、12% ポリアクリルアミドゲル上、該2D−DIGEの第二次元分離を行った。2D−DIGEの直後に、Typhoon 9400イメージャー(GE Healthcare)を使用して、ゲルをスキャンした。DeCyder(商標)Biological Variation Analysis(BVA)ソフトウェアv.6.5.14(GE Healthcare)を使用してイメージ分析を行った。
ピッキングゲルを調製し、前記の分析用ゲルと並べて配置し、それに300μgの未標識糖タンパク質および500μgの未標識非糖タンパク質をローディングした。ピッキングゲルを10% メタノール、7% 酢酸中で一晩固定し、SYPRO(登録商標)Ruby(Invitrogen,Carlsbad,CA)(「Invitrogen」)で染色し、一晩脱塩した。該罹患群において統計的にアップまたはダウンレギュレーションされている及び該治療群において対照レベルに戻っているスポットを選び、消化し、質量分析により分析した。
タンパク質は質量分析により検出され、後記のとおりに特定された。マウス血漿のスクリーニングの結果は、多数のタンパク質のなかでとりわけ、ヒトハプトグロビンおよびオロソムコイド1がIBDに関する生物マーカーとして有用でありうることを示した。
結腸サンプル
マウス結腸から得たサンプルも潜在的IBD生物マーカーに関してスクリーニングした。結腸サンプルには、全結腸組織ライセート、上皮細胞調製物、糞便および洗浄液が含まれた。
以下のとおり、血漿糖タンパク質および非糖タンパク質の2D−DIGE分析により、マウス糞便および結腸洗浄液サンプルを潜在的IBD生物マーカーに関してスクリーニングした。マウス結腸を取り出し、糞便を抽出した。糞便を、COMPLETE(商標)EDTA非含有プロテアーゼインヒビター混合物(Roche)で補足された1mlのPBSでボルテックスし、氷上で20分間放置した。結腸洗浄は、結腸内への1mlの冷PBS+プロテアーゼインヒビター混合物の注入、およびそれに続く、4℃で穏やかな攪拌下の20分間のインキュベーションよりなるものであった。ついで糞便および洗浄液を、エッペンドルフ微小遠心機(Eppendorf micro centrifuge)Model 5415−C(Eppendorf AG,Hamburg,Germany)中、4000rpmで5分間遠心分離し、上清を4容量の冷アセトン中、−20℃で一晩沈殿させた。ついでサンプルをBeckman GS−6R遠心機(Beckman Coulter Inc.,Fullerton,CA)中、2000rpmで25分間遠心分離し、タンパク質ペレットを40〜80μlの25mM Tris pH8.8/0.4% SDSに再懸濁させた。等容量の各サンプルを、MESバッファー中、4〜12% NuPage(Invitrogen,Carlsbad,CA)上、SDS−PAGEにより分離した。該ゲルをSYPRO(登録商標)Ruby(Invitrogen)で一晩染色し、Typhoon 9400イメージャー(GE Healthcare)上でスキャンした。該分取用ゲルのローディングを決定する際に使用する相対サンプル濃度を、ImageQuant(登録商標)v5.2イメージ定量分析ソフトウェア(GE Healthcare)を使用して得た。これは、各レーンにおけるバックグラウンドを超える画素の総和を、最弱シグナルを示すレーンにおけるバックグラウンドを超えるピクセルの総和に対して正規化することにより行った。
分取用4〜12% NuPageゲルにおいて等重量の各サンプルを泳動させ、それをGelCode(登録商標)Blue(Pierce)で染色し、バンドを手動で切り出した。タンパク質は質量分析により検出され、後記のとおりに特定された。マウス糞便および結腸洗浄液のスクリーニングの結果は、多数のタンパク質のなかでとりわけ、ヒトDMBT、PAP/REG3α、REG3γおよびカルプロテクチン(S100A8/S100A9)がIBDに関する生物マーカーとして有用でありうることを示した。
タンパク質の質量分析による検出および特定
質量分析のために、切り出されたバンドを、Progestタンパク質消化ステーション(Genomic Solutions,Ann Arbor,MI,USA)上、シークエンシング等級の修飾トリプシンで消化した。48ウェルParadigm AS1オートサンプラー(Michrom Bioresources,Inc.,Auburn,CA,USA)(「Michrom Bioresources」)によるサンプル導入およびParadigm MS4 HPLC系(Michrom Bioresources)を伴う、LCQ Deca Ion Trap質量分析(Thermo Fisher Scientific Inc.,Waitham.MA,USA)により、質量分析を行った。該カラムは長さ10cmであり、15ミクロンの先端(New Objective Inc.,Woburn,MA,USA)を有し、該カラムにはVydac(登録商標)C18樹脂(5ミクロンビーズ、300オングストローム細孔)が自己充填された。該クロマトグラフィー分離は、直線勾配溶出(溶媒A:2% アセトニトリル、0.1% ギ酸および0.005% ヘプタフルロ酪酸;溶媒B:90% アセトニトリル、0.1% ギ酸および0.005% ヘプタフルロ酪酸)を用いて行った。
National Center for Biotechnology Information(NCBI)非冗長タンパク質データベース(2006年2月28日現在の更新)のマウスサブセットに対して、Mascot v2.1.6(Matrix Sciences Ltd,London,UK)ソフトウェアパッケージを使用して、LC/MS/MS生ファイルを検索した。Perkinsら(1999)Electrophoresis 20:3551を参照されたい。検索パラメータは以下のものを含んでいた:分子量およびpIに関する無制限、システイン残基上の固定修飾(カルバミドメチル化)、メチオニン残基上の変動修飾(酸化)、+/−1.5ダルトンのペプチド質量許容、+/−0.8ダルトンの断片質量許容、および1個の欠損トリプシン切断。タンパク質の特定は少なくとも2つの合致(マッチング)ペプチドに基づくものであった。ただ1つの合致ペプチドとヒットしたタンパク質は手動精査され、少なくとも4bの伸長またはyイオンが存在する場合に特定に加えられた。
マウス全結腸および上皮細胞ライセート
全結腸組織ライセートおよび上皮細胞調製物を2D−差ゲル電気泳動(2D−DIGE)に付した。該サンプル(IBD、治療IBDおよび対照)において差動的に発現されたタンパク質、すなわち、「IBD関連タンパク質」は、潜在的IBD生物マーカー、そしてまた、潜在的治療標的とみなされる。1つの研究においては、対照(非罹患)マウス、IBDマウスおよび抗マウスIL−23R抗体で治療されたIBDマウスからの全結腸組織ライセートの間で、2D−DIGEによりタンパク質発現を比較した。これらの及び他の実験においては、IBD動物はIBDに典型的な表現型特性を示したが、治療されたマウス(抗IL−23Rまたは抗IL−23p19のいずれか)は疾患表現型の軽減を示し、実際に、対照非罹患動物と表現型において区別できなかった。
未治療対照マウスとIBDマウスとの比較は、IBDにおいてモジュレーションされるタンパク質を示し、治療されたサンプルとの更なる比較は、これらのタンパク質のうちのどれが治療により元に戻ったのかを示した。IBDにおいてモジュレーションされた約30個のタンパク質が治療により元に戻っていることが判明した。差動的に発現されたタンパク質を、まず、ANOVA(p<0.05)により特定し、ついでペアワイズt検定において、p<0.05を有することを確認した。表3Aは、これらのタンパク質、ならびに文献に基づくそれらの推定機能、および推定ヒトオルソログに関する他の特定情報を示す。
表3Bは、第7日に測定された、IBD(罹患)マウス対ナイーブマウスにおける、および抗IL−23R治療IBDマウス対未治療(罹患)IBDマウスにおける発現の比を示す。DeCyder(商標)Biological Variation Analysis(BVA)ソフトウェアv.6.5.14(GE Healthcare)を使用してイメージ分析を行った。分母が分子より大きい場合、すなわち、該比が1.0未満となる場合には、該比は負の数として表されている。これは、変化の方向には無関係に比の大きさの比較を容易にするために全ての比を>1.0として表すために行われている。
もう1つの研究においては、2D−DIGEにより測定されたタンパク質発現を、対照(非罹患)マウス、IBDマウスおよび抗マウスIL−23R抗体で治療されたIBDマウスからの結腸上皮細胞の間で比較した。未治療対照マウスとIBDマウスとの比較は、IBDにおいてモジュレーションされるタンパク質を示し、治療されたサンプルとの更なる比較は、これらのタンパク質のうちのどれが治療により元に戻ったのかを示した。IBDにおいてモジュレーションされた7個のタンパク質が治療により元に戻っていることが判明した。表4Aは、これらのタンパク質、ならびに文献に基づくそれらの推定機能、および推定ヒトオルソログに関する他の特定情報を示す。
表4Bは、第7日に測定された、IBD(罹患)マウス対ナイーブマウスにおける、および抗IL−23R治療IBDマウス対未治療(罹患)IBDマウスにおける発現の比を示す。DeCyder(商標)Biological Variation Analysis(BVA)ソフトウェアv.6.5.14(GE Healthcare)を使用してイメージ分析を行った。分母が分子より大きい場合、すなわち、該比が1.0未満となる場合には、該比は負の数として表されている。これは、変化の方向には無関係に比の大きさの比較を容易にするために全ての比を>1.0として表すために行われている。
表3Aおよび4Aに記載されているデータベースエントリーに含まれる全ての配列情報および他の情報の全体を参照により明示的に本明細書に組み入れることとする。複数のアイソフォームが公知である場合には、GenBankアクセッション番号は主要な又は最長のアイソフォームに関してのみ記載されている。他のアイソフォームに関するアクセッション番号は2008年9月23日現在の遺伝子ID(GeneID)記録に開示されている。これらの結果は、これらのマウス遺伝子のヒトオルソログが、例えば結腸生検からの組織サンプルにおいて検出される場合に特に、IBDの生物マーカーとして有用でありうることを示唆している。
表3Aまたは4Aに挙げられているタンパク質の1以上がIBDの病理発生に機能的に関与していて、薬学的介入に対する標的として又は治療用物質自体として働きうる可能性もある。療法においては、疾患において過剰発現されるIBD関連タンパク質に関してはアンタゴニストが使用され、疾患において過少発現されるIBD関連タンパク質に関してはアゴニストが使用されるであろう。そのような標的タンパク質は、薬物発見において、例えば、小分子薬物に関してスクリーニングするためのアッセイにおいて、または抗体を産生させるための抗原(例えば、免疫原)として使用されうるであろう。ついで、非ヒト動物において産生されたいずれかの抗標的抗体は、ヒトにおける治療での使用のために、例えばキメラ化またはヒト化により修飾されうるであろう。そのようなタンパク質標的をコードする遺伝子も、核酸に基づくアンタゴニスト、例えばsiRNAまたはアンチセンス核酸を設計するために使用されうるであろう。該標的のアゴニストの使用を要する状況においては、そのようなアゴニストには、該標的タンパク質自体(またはその生物学的に活性な断片または変異体)、小分子およびアゴニスト抗体が含まれるであろう。
マウスの糞便および洗浄液
結腸からの糞便および洗浄液サンプルを、6kDa〜200kDaの範囲のタンパク質を分離するIDゲル上で泳動させた。DMBT1(Deleted in Malignant Brain Tumors 1)(悪性脳腫瘍内欠失1)、MIF(マクロファージ遊走抑制因子)、LCN2(リポカリン2)、REG3βおよびREG3γ(再生島由来3アルファおよびガンマ)ならびにS100A8およびS100A9(カルプトテクチンと総称される)の全ては疾患においてアップレギュレーションされ、抗IL−23Rおよび抗IL−23p19のどちらの治療によっても元に戻ることが判明した。これらの潜在的生物マーカーが糞便および洗浄液サンプルにおける差動的発現により特定したら、それらを、TaqMan(登録商標)リアルタイム定量PCR分析およびウエスタンブロットによる結腸組織におけるそれぞれ遺伝子およびタンパク質発現の測定により、更に妥当性評価した。特に示されていない限り、サンプルは治療の7日後に得た。
IBD生物マーカーの妥当性評価
前記の2つの実施例において特定された潜在的生物マーカーを、以下のとおりに、そして後記実施例において具体的な生物マーカーに関して更に詳細に記載されているとおりに、IBDマウスから得たサンプルおよびヒトサンプルの分析により更に妥当性評価した。
選択された潜在的IBD生物マーカーを、IBDマウスにおける経時的研究において、TaqMan(登録商標)リアルタイム定量PCR分析およびウエスタンブロットを用いて、更に妥当性評価した。この場合、差動的発現を、それが該モデルにおける病態の時間経過に従うことを確認するためにモニターした。また、用量反応研究を用いて、選択された潜在的マウスモデルIBD生物マーカーを妥当性評価した。この場合、差動的発現をIL−23アンタゴニストの用量の関数としてモニターした。ショットガンプロテオミクス分析において特定されたマウス遺伝子のヒトオルソログの選択物に対するプライマーを作製した。以下の実施例において種々の生物マーカーに関して記載されているとおりに、対照、罹患、抗p19および抗IL−23R治療マウスからの結腸組織からメッセンジャーRNAを調製し、リアルタイムPCRを行った。
マウスIBDモデルにおけるショットガンプロテオミクス分析により見出されたIBD生物マーカーの幾つかのヒトオルソログがヒトIBDの有用な生物マーカーであることを確認するために、ヒト組織を使用した。Mayo Clinic(Rochester,Minnesota,USA)から得た、対照被験者、活動性クローン病患者および寛解中のクローン病患者からのヒト結腸生検サンプルを使用して、本発明の生物マーカーの幾つかを妥当性評価した。Bioreclamation,Inc.(Liverpool,New York,USA)から得た、活動性クローン病患者、UC患者、または性別および年齢が釣り合わされたそれぞれの正常対照からのヒト血清サンプルを使用して、本発明の生物マーカーの幾つかを妥当性評価した。Bioreclamationサンプルは性別および年齢が釣り合わされている(±5歳)。
マウスおよびヒト実験の両方においてIBDと相関することが判明した潜在的生物マーカーを、特に抗IL−23p19または抗IL−23R抗体で治療されているヒト被験者におけるIBDのモニターにおける及びIBDの重要な生物マーカーである可能性のあるものとして選択した。
CCL20
CCL20(ケモカインリガンド20、MIP−3α)は、クローン病および潰瘍性大腸炎の両方の血清サンプルにおいて、対照サンプルと比較してレベルが上昇することが判明した(図1)。CCL20は、R&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)からのQuantikine(登録商標)ヒトCCL20−MIP−3αイムノアッセイキット(カタログDM3A00)を使用して検出した。
クローン病および潰瘍性大腸炎患者においては、対照と比較して血清CCL20レベルにおいて少なくとも約3倍の増加が存在することを、結果は示している。したがって、正常レベルに対して血清CCL20において3倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する30%の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。この実施例および他の実施例において、疾患生物マーカーレベルにおける記載されている増加倍率は、該分析を歪めうる外れ値点の影響を最小にするために、厳密には平均または中央値ではなく大部分のデータ点間の相違に基づくものである。
DMBT1
DMBT1遺伝子発現は、IBDマウスにおいては、対照マウスと比較して2倍高く、抗IL−23Rまたは抗IL−12/23p40抗体(そしてそれより低度ではあるが抗IL−23p19抗体)での治療はDMBT1を対照レベルの近くまで戻した(図2A)。DMBT1タンパク質発現は疾患においては高度にアップレギュレーションされており、抗IL−23Rでの治療により(不完全ではあるが)有意に戻された(図2B)。抗IL−23R抗体での治療は結腸上皮細胞におけるDMBT1タンパク質発現を第1、3、5および7日において罹患前レベルで維持するが、未治療IBDマウスは第3日にDMBT1発現の上昇を示し、第5および7日に最高発現を示すことを、更なる実験は示した(データ非表示)。マウス結腸におけるDMBT1遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であり、抗IL−23p19抗体または抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(データ非表示)。
活動性クローン病患者、寛解中のクローン病患者および対照被験者からのヒト腸生検の遺伝子発現分析により、DMBT1を更に妥当性評価した。DMBT1遺伝子発現は該活動性クローン病サンプルにおいてはアップレギュレーションされていたが、該寛解サンプルにおいては非罹患レベルの近くまで戻っていた。
結果(図2C)は、クローン病患者(腸生検)においては、対照または寛解中の患者と比較してDMBT1発現におけるlog(対数)(〜30倍)以上の増加が存在することを示している。したがって、腸生検において正常レベルに対してDMBT1における20倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する2倍の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。
MIF
MIF遺伝子発現は、IBDマウスにおいては、対照マウスと比較して上昇しており、抗IL−23Rまたは抗IL−12/23p40抗体(そしてそれより低度ではあるが抗IL−23p19抗体)での治療はMIFを対照レベルの近くまで戻した(図3A)。MIFタンパク質レベルは疾患においては上昇しており、抗IL−23Rでの治療により戻された(図3B)。抗IL−23R抗体での治療はMIF遺伝子発現を、第1および3日においてはそれほど有効ではなかったものの、第5および7日においては罹患前レベルの近くまで低下させた。未治療IBDマウスは、第1日(試験された最も早い時点)からそれ以降に、最高MIF遺伝子発現を示した。MIF遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であり、抗IL−23p19抗体または抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(データ非表示)。
クローン病および潰瘍性大腸炎患者ならびに対照被験者からのヒト血清サンプルのELISAにより、MIFを更に妥当性評価した(図3C)。ヒトMIFは、R&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)からのQuantikine(登録商標)ヒトMIFイムノアッセイキット(カタログDMF00)を使用して検出した。MIF発現は、該クローン病および潰瘍性大腸炎のどちらのサンプルにおいても、対照と比較して上昇した。公開データは、クローン病患者の血漿におけるMIFレベルの上昇が、抗TNFα抗体インフレキシマブでの治療により少なくとも部分的に対照レベルに戻ることを示している(De Jongら(2001)Nature Immunol.2:1061(それにおける図1))。
結果(図3C)は、対照と比較して、クローン病患者においては血清MIFレベルにおける少なくとも約5倍の増加が、そして潰瘍性大腸炎患者においては血清MIFレベルにおける約2倍の増加が存在することを示している。したがって、正常レベルに対して血清MIFにおける3倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する50%の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。正常レベルに対して血清MIFにおける2倍の増加を示すアッセイは、値のばらつきを考慮するとそのような増加は統計的に有意でないかもしれないが、潰瘍性大腸炎(またはもちろん、クローン病)の存在と合致するであろう。
また、図11Gおよび12Gは、実施例18に記載されているマウスT細胞導入大腸炎モデルにおいてMIFが上昇すること、および予防(図11G)および治療(図12G)プロトコールの両方において、抗IL−23p19抗体での治療が、イソタイプ対照抗体で治療された動物と比較して、該レベルを減少させることを示している。
LCN2
経時的研究は、抗CD40抗体の投与の後でIBDマウスの固有層においてLCN2が上昇することを示した。LCN2は対照マウスにおいては検出不能であったが、それはIBDマウスにおいては第1日に検出可能であり、第3日以降に最高レベルに達した。抗IL−23R抗体での治療は第3日にLCN2レベルを有意に低下させ、それは第5および7日に対照(検出不能)レベルに戻った。LCN2遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であり、抗IL−23p19抗体または抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(データ非表示)。
クローン病および潰瘍性大腸炎患者ならびに対照被験者からのヒト血清サンプルのELISAにより、LCN2を更に妥当性評価した(図4B)。ヒトLCN2は、R&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)からのヒトLipocaiin−2/NGAL DuoSet(登録商標)ELISA Development System(カタログDY1757)を使用して検出した。LCN2発現は、該クローン病および潰瘍性大腸炎サンプルにおいて、対照と比較して上昇した。
結果(図4B)は、対照と比較して、クローン病患者においては血清LCN2レベルにおける少なくとも約5倍の増加が存在することを示している。したがって、正常レベルに対して血清LCN2における3倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する50%の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。
LCN2は、潰瘍性大腸炎からクローン病を識別するための有用なマーカーとしても役立ちうる。全てのクローン病患者が、約50ng/mlより大きなカルプロテクチンレベルを示すが、潰瘍性大腸炎被験者は18名中7名しかそれを示さないことを、図4Bは示している。
また、図11Fおよび12Fは、実施例18に記載されているマウスT細胞導入大腸炎モデルにおいてLCN2が上昇すること、ならびに予防(図11F)および治療(図12F)プロトコールの両方において、抗IL−23p19抗体での治療が、イソタイプ対照抗体で治療された動物と比較して、該レベルを劇的に減少させることを示している。
マウスREG3βおよびREG3γならびにヒトPAP/REG3α
マウスREG3βおよびREG3γ遺伝子発現は、IBDマウスにおいては、対照マウスと比較して上昇しており、抗IL−23Rまたは抗IL−12/23p40抗体(そしてそれより低度ではあるが抗IL−23p19抗体)での治療はマウスREG3βおよびREG3γを対照レベルの近くまで戻した(図5Aおよび5B)。経時的研究(データ非表示)は、マウスREG3βおよびREG3γが共に、抗CD40投与後第1日にアップレギュレーションされ、第3日以降に最高レベルに達することを示した。抗IL−23R抗体での治療はマウスREG3βおよびREG3γ遺伝子発現を全時点においてほぼ罹患前レベルに維持した。マウスREG3βおよびREG3γ遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であることが判明し、抗IL−23p19抗体または抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(データ非表示)。
REG3γタンパク質のレベルもIBDマウスにおいて上昇したが、抗IL−23R抗体での治療により対照レベルの近くまで戻った(図5C)。
活動性クローン病患者、寛解中のクローン病患者および対照被験者からのヒト腸生検の遺伝子発現分析により、ヒトPAP/REG3γを更に妥当性評価した(図5D)。PAP/REG3α発現は活動性クローン病においては上昇しており、寛解中では対照レベルまで戻っていた。クローン病および潰瘍性大腸炎患者ならびに対照被験者からのヒト血清サンプルのELISAにより、PAP/REG3αを妥当性評価した(図5E)。ヒトPAP/REG3αは、Dynabio S.A.(Marseille,France)のヒトPAPアッセイ用PancrePAP Immunoenymatic Kitを使用して検出した。該PAP/REG3αレベルは、該クローン病および潰瘍性大腸炎サンプルの両方において、僅かではあるが有意に上昇した。
また、マウス結腸上皮細胞において及び糞便においてREG3γレベルを経時的に測定した(図5Fおよび5G)。どちらの場合も、抗CD40投与後、REG3γは第3日以降に最高レベルまで増加した。どちらの場合も、抗IL−23R抗体での治療は、第1および3日においては、REG3γレベルを減少させるのに或る程度有効であり、第5および7日においては、REG3γを対照レベルまで回復させるのに十分に有効であった。
結果(図5D)は、クローン病患者(腸生検)においては、対照または寛解中の患者と比較してPAP/REG3α発現レベルにおける2log(〜150倍)以上の増加が存在することを示している。したがって、腸生検において正常レベルに対してPAP/REG3α発現における100倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する2倍の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。また、結果(図5E)は、クローン病患者においては、対照と比較して血清PAP/REG3α発現レベルにおけるlog未満(〜2倍)の増加が存在することを示している。したがって、血清PAP/REG3αにおいて正常レベルに対して2倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。
マウスREG3βおよびREGγレベルが該マウスIBDモデルにおける病態を反映するということは、両方のヒトREG3タンパク質(PAP/REG3αおよびREG3γ)が、同じ遺伝子ファミリーの密接に関連したメンバーとして、ヒトにおける病態をも反映しうること、したがってIBD生物マーカーとして有用でありうることを示唆している。本明細書に記載されている実施形態の多数はヒトPAP/REG3αのレベル(またはその遺伝子発現のレベル)の測定、例えば糞便における測定を詳細に説明しているが、そのような実施形態においてはPAP/REG3αだけでなくヒトREG3γも有用でありうる。また、カルプロテクチンのようなマウスREG3γは室温で少なくとも7日間安定である。おれは、該ヒトオルソログも安定でありうること、したがって生物マーカーとしての使用に、より簡便でありうることを示唆している。
また、図11Eおよび12Eは、実施例18に記載されているマウスT細胞導入大腸炎モデルにおいてREG3βおよびREG3γレベルが上昇すること、ならびに抗IL−23p19抗体での治療が、イソタイプ対照抗体で治療された動物と比較して、両方のレベルを劇的に減少させることを示している。これは、予防(図11E)および治療(図12E)の両方のプロトコールにおいて、どちらのポリペプチドにも当てはまる。
カルプロテクチン
カルプロテクチンはS100A8およびS100A9サブユニットを含み、本明細書においてはS100A8/A9と称される。該サブユニットの遺伝子の発現は、互いに独立して、TaqMan(登録商標)リアルタイム定量PCR分析により測定されるが、カルプロテクチンを検出するためのサンドイッチELISAは、検出可能な複合体を形成させるためには両方のサブユニットが存在することを要する。
S100A8およびS100A9遺伝子発現はIBDマウスにおいては、対照マウスと比較して上昇し、抗IL−23R、抗IL−12/23p40および抗IL−23p19抗体での治療はS100A8およびS100A9を対照レベルの近くまで戻した(図6Aおよび6B)。該マウスIBDモデルにおいて、S100A9発現はS100A8発現より遥かに劇的に上昇した。結腸におけるS100A8およびS100A9遺伝子発現は共に、抗CD40投与後の第1日に上昇し、それによりそれぞれは最高レベル付近まで達したことを、経時的研究(データ非表示)は示した。抗IL−23R抗体での治療は第1日にはS100A8およびS100A9遺伝子発現に影響を及ぼさなかったが、S100A8およびS100A9発現は第3および5日にかけて徐々に戻り、第7日までに罹患前レベルの近くまで戻った。糞便においては、S100A8タンパク質レベルは第1日には増加しなかったが、第3日までに最高レベルまで上昇し、抗IL−23p19抗体での治療は全時点で非罹患レベルを維持した(データ非表示)。S100A8およびS100A9遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であることが判明し、抗IL−23p19抗体または抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(データ非表示)。
S100A8タンパク質のレベルもIBDマウスにおいて上昇したが、抗IL−23R抗体での治療により対照レベルの近くまで戻った(図6C)。
活動性クローン病患者、寛解中のクローン病患者および対照被験者からのヒト腸生検の遺伝子発現分析により、S100A8およびS100A9を更に妥当性評価した(図6Dおよび6E)。S100A8およびS100A9の発現は共に、活動性クローン病においては上昇しており、寛解中では対照レベルまで戻っていた。クローン病患者からの血清サンプルにおいて、そしてそれより低度ではあるが潰瘍性大腸炎患者からの血清サンプルにおいてもS100A8/A9複合体が上昇していることを、ELISAは示した(図6F)。ヒトカプロテクチンは、HyCuIt Biotechnology B.V.(Uden,The Netherlands)のHuman Calprotectin ELISA Test Kit(カタログHK325)を使用して検出した。
結果(図6Dおよび6E)は、クローン病患者(腸生検)においては、対照または寛解中の患者と比較してそれぞれS100A8およびS100A9発現レベルにおける約log(〜10倍)以上の増加が存在することを示している。したがって、腸生検において正常レベルに対してS100A8およびS100A9発現における5倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する2倍の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。図6Fは、クローン病および潰瘍性大腸炎患者からの血清においては、対照と比較して、S100A8/A9複合体レベルにおける2倍未満の増加が存在することを示している。
また、カルプロテクチンの正常血漿レベルは500〜3000ng/mlであり、したがって、より高いカルプロテクチンレベルはIBDを示唆するであろう。糞便カルプロテクチンレベルは、活動性潰瘍性大腸炎を有する患者においては、正常結腸内視検査結果を有する被験者と比較して10倍以上高いことが判明している(Rosethら(1997)Digestion 58:176)。
カルプロテクチンは、潰瘍性大腸炎からクローン病を識別するための有用なマーカーとしても役立ちうる。全てのクローン病患者が、約300ng/mlより大きなカルプロテクチンレベルを示すが、潰瘍性大腸炎被験者は18名中5名しかそれを示さないことを、図6Fは示している。実施例29を参照されたい。
また、図11Dおよび12Dは、実施例18に記載されているマウスT細胞導入大腸炎モデルにおいてカルプロテクチンレベルが上昇すること、ならびに予防(図11F)および治療(図12F)プロトコールの両方において、抗IL−23p19抗体での治療が、イソタイプ対照抗体で治療された動物と比較して、典型的には、S100A8およびS100A9の両方のレベルを劇的に減少させることを示している。これは、予防(図11D)および治療(図12D)の両方のプロトコールにおいて、どちらのポリペプチドにも当てはまる。
IL−22
IL22遺伝子発現はIBDマウス(全結腸組織ライセート)においては、対照マウスと比較して上昇し、抗IL−23R抗体での治療は第7日までにIL−22を対照レベルまで有意に戻した(図7A)。抗IL−23R抗体での治療はIL−22遺伝子発現を全時点においてほぼ罹患前レベルに減少させることを、経時的実験(データ非表示)は示した。IL−23p19抗体によるIL−22遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であることが判明し、抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(データ非表示)。また、IBDマウスの血漿において7日間にわたってELISAによりIL−22を測定した(図7B)。抗IL−23R治療はIL−22を全時点において対照値付近に維持した。
活動性クローン病患者、寛解中のクローン病患者および対照被験者からのヒト腸生検の遺伝子発現分析により、IL−22を更に妥当性評価した(図7C)。IL−22発現は活動性クローン病においては幾らか上昇しており、寛解中では対照レベル(またはそれ以下)まで戻っていた。
結果(図7C)は、活動性クローン病患者と寛解中のクローン病患者との間の見掛け上の(明らかでない)より大きな差が認められるものの、クローン病患者(腸生検)においては、対照と比較してIL−22発現レベルにおける0.5log未満(〜2倍)の増加が存在することを示している。腸生検において正常レベルに対してIL−22発現における2倍の増加を示すアッセイはクローン病の存在と合致するであろう。一方、正常レベルに対する20%の増加は(統計的に信頼可能であったとしても)特に有意とはみなされないであろう。
図7Dに示されている結果は、統計的に有意ではなかったものの、Schmechelら(2008)Inflamm.Bowel Dis.14:204に報告されているとおり、クローン病および潰瘍性大腸炎患者の血清においては、対照被験者の血清より幾らか高いレベルのIL−22を示している。ヒトIL−22は、R&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)のヒトIL−22 DuoSet(登録商標)ELISA Development System(カタログDY782)を使用して検出した。
また、図11Aおよび12Aは、実施例18に記載されているマウスT細胞導入大腸炎モデルにおいてIL−22レベルが上昇すること、ならびに抗IL−23p19抗体での治療が、予防(図11A)および治療(図12A)の両方のプロトコールにおいて、イソタイプ対照抗体で治療された動物と比較して該レベルを減少させることを示している。
ハプトグロビン
ハプトグロビンは、対照サンプルと比較して、ヒトクローン病血清サンプルにおいては非有意に上昇し、潰瘍性大腸炎血清サンプルにおいては減少することが判明した(図8A)。ヒトハプトグロビンは、Gen Way Biotech,Inc.(San Diego,California,USA)のヒトハプトグロビンELISA Quantitation Kit(カタログ40−288−20080F)を使用して検出した。ハプトグロビン遺伝子発現はIBDマウスにおいては上昇しており、ハプトグロビン遺伝子発現の戻りは一般に用量反応性であり、抗IL−23p19抗体または抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量の場合より完全な戻りを示した(図8Bおよび8C)。図8Bおよび8Cにおいては、「ナイーブ」は非罹患動物(抗CD40が投与されていない動物)を意味するが、全ての他のデータは、PBS、ビヒクルまたは種々の濃度の治療用もしくは対照抗体で治療されたIBDマウスに関するものである。
PAP/REG3α、LCN2およびCCL20を含む血清に関するクローン病生物マーカーパネルの妥当性評価
PAP/REG3α、LCN2およびCCL20を含む本発明の血清生物マーカーパネルを、ヒトクローン病サンプルに対して、以下のとおりに妥当性評価した。18名のクローン病患者および18名の非IBD被験者から得た血清サンプルを、(前記実施例に記載されているのと実質的に同じ方法で)PAP/REG3α、LCN2およびCCL20のレベルに関してELISAにより分析した。各アッセイに含まれる標準曲線との比較により、レベルを算出した。クローン病サンプルと非クローン病サンプルとを最良に識別しうる生物マーカーの組合せを決定する際には、多変量判別分析(JMP(登録商標)Statistical Discovery Software,SAS Institute Inc.,Cary,North Carolina,USA)を用いた。
PAP/REG3α、LCN2およびCCL20の組合せがクローン病を特に良く予測することが判明した。LCN2単独の場合には、4個(11%)のサンプルの過誤分類を伴ってクローン病が予測された。LCN2およびPAP/REG3αの結果を組合せた場合には、2個(5%)のサンプルのみが過誤分類された。LCN2、PAP/REG3αおよびCCL20の結果を組合せた場合には、1個(3%)のサンプルのみが過誤分類された。総合すると、LCN2、PAP/REG3αおよびCCL20の生物マーカーパネルは、97%の信頼性を有する、クローン病の有力な予測因子に相当する。
PAP/REG3α、LCN2およびCCL20を含む血清に関する生物マーカーパネルの使用
以下のとおりに、治療経過中に被験者においてIBDの進行に関して臨床サンプルを評価する。被験者がクローン病を有する(本明細書においては患者と称される)ことを確認する。該治療方法として、抗IL−23p19ヒト化モノクローナル抗体の投与を選択する。PAP/REG3α、LCN2およびCCL20のレベルの決定のために、活動性疾患の期間の患者から治療前血液サンプルを得る。ついで薬物(抗IL−23p19ヒト化モノクローナル抗体)の投与の初日に、そしてその後は毎週12週間にわたってサンプルを得る。該患者に2mg/kgの薬物を隔週で12週間にわたって投与(i.v.)する。
該血液サンプルから血清を調製し、ELISAにより生物マーカーレベルを測定する(前記実施例に記載されているのと実質的に同じ方法で行う)。アッセイは、該サンプルを入手した後の任意の時点で行うことが可能であり、その後のサンプルの入手の前には行う必要はない。簡潔に説明すると、それぞれPAP/REG3α、LCN2およびCCL20 ELISAのために、マイクロタイタープレートのウェルに血清を二重に加える。標準曲線の作成において使用するために、それぞれのELISAプレート上に各タンパク質の系列希釈物を(二重に)加える。室温で30分間のインキュベーションの後、ウェルをPBSで2回洗浄し、マウス抗ヒト(PAP/REG3α、LCN2およびCCL20)IgG検出抗体を含む100μlの検出溶液を加える。室温で更に30分間のインキュベーションの後、プレートを2回洗浄し、二次抗体(ウサギ抗マウスIgG−HRP)を含む100μlの溶液を加える。室温で更に30分間のインキュベーションの後、プレートを再び2回洗浄し、100μlの発色基質(o−ニトロフェニル 8−D−ガラクトシド、ONPG、5mM 最終濃度)を加える。10分間のインキュベーションの後、プレートを420nmで読み取る。対照サンプルから得られたO.D.値を平均し、標準曲線を作成するために使用し、該標準曲線に対して該血清サンプルのO.D.値を比較して、元の生物サンプル中の該生物マーカーの濃度を推定する。
生物マーカーPAP/REG3α、LCN2およびCCL20のレベルの変化により評価した場合にいずれの時点においても病態の変化を該患者が示さない(すなわち、該生物マーカーが尚も活動性IBDを示唆している)場合には、該療法は失敗したとみなされる。医学的実施者および患者の判断により、療法は、例えば投与量を増加するように変更されることが可能であり、あるいはそれは(例えば、代替的な治療選択肢を優先して)完全に中止されうる。一方、最終時点における病態が非罹患被験者と実質的に同じである場合には、該療法は成功したとみなされ、再び医学的実施者および患者の判断により、治療は中止され(例えば、病態を維持するのに治療の継続が必要ないと考えられる場合)、あるいはそのまま継続され、あるいは変更されうる(例えば、用量が幾らか減少されうる)。
治療経過の終了時に病態が活動性IBDと非罹患状態との中間である場合には、治療は少なくとも部分的に成功したとみなされる。再び医学的実施者および患者の判断により、治療はそのまま継続され(例えば、可能な更なる経時的改善をもたらすため、および/または症状が許容レベルまで改善している場合)、あるいは変更され(例えば、用量を増加させる)、あるいは中止される(例えば、投与量が増加できず、症状の緩和が不十分な場合)。
IL−22、PAP/REG3αおよびカルプロテクチンを含む血清に関する生物マーカーパネルの使用
LCN2およびCCL20の代わりにIL−22およびカルプロテクチンを使用する以外は実施例14に記載されているのと実質的に同じ様態で、IBD患者における療法をモニターするために、IL−22、PAP/REG3αおよびカルプロテクチンを含む本発明の生物マーカーのパネルを用いる。
モニターは実質的に以下のとおりに行う。IBDに罹患していると考えられる被験者を抗IL−23p19抗体での治療のために選択する。該生物マーカーの治療前(未治療)レベルの決定のために、該被験者から治療前血液サンプルを得る。ついで抗IL−23p19抗体を2mg/kgで、12週間の療法にわたり隔週で静脈内に投与する。生物マーカーレベルの決定のために、治療後血液サンプルを治療経過にわたり毎週採取する。
ELISAにおいて使用するために、集めた血液サンプルから血清サンプルを調製する。それぞれIL−22、PAP/REG3αおよびカルプロテクチン ELISAのために、マイクロタイタープレートのウェルに血清を二重に加える。標準曲線の作成において使用するために、それぞれのELISAプレート上に各タンパク質の系列希釈物を(二重に)加える。室温で30分間のインキュベーションの後、ウェルをPBSで2回洗浄し、マウス抗ヒト(IL−22、PAP/REG3αおよびカルプロテクチン)IgG検出抗体を含む100μlの検出溶液を加える。室温で更に30分間のインキュベーションの後、プレートを2回洗浄し、二次抗体(ウサギ抗マウスIgG−HRP)を含む100μlの溶液を加える。室温で更に30分間のインキュベーションの後、プレートを再び2回洗浄し、100μlの発色基質(o−ニトロフェニル 8−D−ガラクトシド、ONPG、5mM 最終濃度)を加える。10分間のインキュベーションの後、プレートを420nmで読み取る。対照サンプルから得られたO.D.値を平均し、標準曲線を作成するために使用し、該標準曲線に対して該血清サンプルのO.D.値を比較して、元の生物サンプル中の該生物マーカーの濃度を推定する。
ついで、治療が非罹患レベルへの生物マーカーの低下をもたらしたかどうかを判定するために、治療後血清サンプルにおける該生物マーカーのレベルを治療前レベルと比較する。この実施例に記載されているのと実質的に同じ生物マーカーアッセイ方法を、非IBD被験者から得たサンプル(すなわち、非罹患対照)に関して行うことにより、非罹患レベルを決定する。各時点におけるIL−22、PAP/REG3αおよびカルプロテクチンのそれぞれに関して、非罹患基準レベルに対する治療後レベルの比を算出する。治療経過にわたり該比が減少するかどうか又はその度合を決定するために、該データをプロットする。
そのようなモニターの結果を用いて、治療に対する患者の応答を評価し、必要に応じて治療を変更し、例えば、投与量を増加させたり、あるいは投与量を減少させる(投与間隔の変更を含む)(治療の中止を含む)。これらは医学的実施者にとっては通常の技量の範囲内である。実施例14を参照されたい。
PAP/REG3αおよびカルプロテクチンを含む糞便に関する生物マーカーパネルの使用
血液ではなく糞便に基づいて決定を行うこと、およびIL−22を使用しないこと以外は実施例15に記載されているのと実質的に同じ様態で、IBD患者における療法をモニターするために、PAP/REG3αおよびカルプロテクチンを含む本発明の生物マーカーのパネルを用いる。
0.1gの糞便サンプルを、COMPLETE(商標)EDTA非含有プロテアーゼインヒビター混合物(Roche)で補足された5mlのPBS中で30秒間ボルテックスし、回転装置上で室温で30分間放置する。1mlの該サンプルを1.5mlの微小遠心管に移し、エッペンドルフ微小遠心機Model 5415−C(Eppendorf AG,Hamburg,Germany)内で10,000gで20分間遠心分離する。ついで0.5mlの透明上清を、ELISAにおいて使用するために(例えば、適当な希釈液を調製することにより)調製し、あるいは後続の測定のために−20℃で3ヶ月以内の保存に付す。
ついで、前記実施例に記載されているのと実質的に同じ方法で、PAP/REG3αおよびカルプロテクチンELISAを行い、データを分析する(実施例14に記載されているとおりに行う)。
臨床治験におけるPAP/REG3αおよびカルプロテクチンを含む糞便に関する生物マーカーパネルの使用
以下のとおりに、臨床治験において潜在的薬物(抗IL−23抗体)の治療効力を評価するために、PAP/REG3αおよびカルプロテクチンのレベルの測定を行う。
潜在的薬物が投与されない対照群、第1用量の潜在的薬物が投与される被験者を含む第1治療群、より高い用量の潜在的薬物が投与される第2治療群、およびより高い用量の潜在的薬物が投与される第3治療群を被験者が構成すること以外は実施例16に記載されているのと実質的に同じ方法で、被験者からの糞便サンプルにおいて生物マーカーPAP/REG3αおよびカルプロテクチンを測定する。
該サンプル中の該生物マーカーの濃度に関する値を得るために、実施例16と実質的に同じ方法でデータを分析する。該治療が有効であることの指標となる、より低いレベルの該生物マーカーを治療群が示すかどうか、そして場合によっては、該治療効果が用量反応性であるかどうかを決定するために、用量の関数として生物マーカーのレベルをプロットする。治療被験者におけるPAP/REG3αおよびカルプロテクチンのレベルの減少は、潜在的薬物が有効であることを示唆し、陽性の用量反応性(この場合には、より高い用量は、生物マーカーレベルにおける、より大きな減少を招く)が観察されればそれはその結論を裏付けるものである。しかし、用量反応性の欠如は、必ずしも、該潜在的薬物の有効性の欠如の証拠にはならない。
マウスT細胞導入IBDモデルを使用する予防および治療プロトコールにおける生物マーカー
予防的状況との比較において治療的状況における本発明の生物マーカー関連性を示すために、T細胞導入IBDモデルにおいて確立された腸炎症を有するマウスにおける遺伝子発現レベルを決定した。そのような実験は、実施例3のT細胞非依存性抗CD40誘発性IBDモデルと比較してT細胞媒介性IBDモデルにおいても、本発明の生物マーカーが有用であることを証明する。該抗CD40誘発性IBDモデルは、機能的T細胞応答を欠くRAG2KOマウスにおいて行われ、したがって、主として、大腸炎に対する先天性免疫系の寄与を表すものである。
本実施例において使用するT細胞媒介性IBDモデルは、Elsonら(2007)Gastroenterology 132:2359(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているものと実質的に同様であった。簡潔に説明すると、3〜5匹のC3H/HeSnJ SCIDマウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,Maine,USA)の群への盲腸細菌性抗原特異的C3H/HeJBir(C3Bir)CD4+ T細胞系(1×106細胞/マウス)の静脈内導入により、大腸炎を誘発した。Elson(前掲)により確立された病原性Birl4 CD4+ T細胞はIL−17産生性CD4+T細胞を含有する。抗CD3処理T細胞を対照として導入した。
SCIDレシピエントへの養子移入および予防(防御)または治療プロトコールのいずれかで抗IL−23p19抗体で処理されたマウスにおける大腸炎の確立の後、遺伝子発現レベルを決定した。該予防プロトコールにおいては、細胞導入と同じ日に、そしてその後は第8週に犠死されるまで毎週、マウスを抗体で処理した。結果を図11A〜11Lに示す。該治療プロトコールにおいては、第4週から犠死(第8週)まで毎週、マウスを抗体で処理(治療)した。結果を図12A〜12Lに示す。Bir14 CD4+ T細胞導入モデルにおいて大腸炎が存在することが確保されるよう、抗体処理を行うことなく、対照群マウスを第4週に犠死させた。抗体処理は抗IL−23p19抗体またはアイソタイプ対照抗体を使用するものであった。抗体を100μg/マウス/用量で投与(i.p.)した。犠死マウスに対して組織病理検査を行い、リアルタイムRT−PCR分析のために結腸から全RNAを得た。
抗CD3活性化T細胞が投与されたマウスは大腸炎を発生しなかった。一方、Bir14 CD4+ T細胞系が投与されたマウスは、IL−6、GP−39、IL−17、IL−22およびTNF−α遺伝子発現レベルの顕著な増加ならびにS100A8、S100A9、REG3−β、REG3−γ、LCN2およびMIFの発現の増強を伴う強力な大腸(結腸)炎症を発生した。予防用または治療用に投与された抗IL−23p19抗体は該抗CD40 IBDモデルにおいて観察された生物マーカー(実施例3)の多数の発現を減少させた。抗IL−23p19抗体の予防投与(図11)および治療投与(図12)は共に、TNF−α、IL−17、IL−22、S100A8、S100A9、REG3−β、REG3−γ、LCN2およびMIFを含む種々の生物マーカーのダウンレギュレーションを招いた。予防および治療の両方のプロトコールにおける抗IL−23p19処理後に、IL−6、ラクトフェリン、GPX−2およびGP−39を含む他の生物マーカーもダウンレギュレーションされた。これとは対照的に、DMBT1は疾患においてアップレギュレーションされたが、予防または治療のいずれのプロトコールにおいても、抗IL−23p19抗体処理により減少しなかった(データ非表示)。
遺伝子発現を測定することにより得られた、本実施例ならびに図11および12に記載されている結果は、対応タンパク質のレベルも増加すること、したがって、それらが病態および治療応答に関する良好な生物マーカーとなることを示唆している。
IL−6
実施例18に記載されているT細胞マウス大腸炎モデルにおいてIL−6の遺伝子発現レベルを決定した。簡潔に説明すると、T細胞導入マウスをいずれの抗体でも処理しないか、またはアイソタイプ対照抗体で処理するか、または抗IL−23p19抗体で処理した。予防様態(すなわち、T細胞導入と同じ日に抗体を加える)または治療様態(すなわち、大腸炎の発症後、すなわち、T細胞導入の4週間後に抗体を加える)のいずれかで、抗体を投与した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Hおよび12Hに示す。どちらの場合も、抗IL−23p19抗体はIL−6発現をバックグラウンドレベルの近くまで減少させた。
ヒトにおける生物マーカーとしての使用のために、特別に設計されたELISAアッセイ、または例えば商業的に入手可能なELISAキット、例えばR&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)のQuantikine(登録商標)ヒトIL−6イムノアッセイキット(カタログD6050)を使用して、IL−6レベルを決定することが可能である。
IL−17
実施例19にIL−6に関して記載されているのと実質的に同じ方法により、該T細胞マウス大腸炎モデルにおいて、IL−17の遺伝子発現レベルを決定した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Bおよび12Bに示す。IL−17発現は、予防様態において抗IL−23p19抗体で処理された動物においては幾分減少し(図11B)、治療様態においては若干減少した。
ヒトにおける生物マーカーとしての使用のために、特別に設計されたELISAアッセイ、または例えば商業的に入手可能なELISAキット、例えばR&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)のQuantikine(登録商標)ヒトIL−17イムノアッセイキット(カタログD1700)を使用して、IL−7レベルを決定することが可能である。
ラクトフェリン
実施例19にIL−6に関して記載されているのと実質的に同じ方法により、該T細胞マウス大腸炎モデルにおいて、ラクトフェリンの遺伝子発現レベルを決定した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Iおよび12Iに示す。該治療データにおける外れ値データ点が該データの解釈を複雑にしているものの(図12I)、どちらの場合にも、ラクトフェリン発現は、抗IL−23p19抗体で処理された動物において減少した。
ヒトにおける生物マーカーとしての使用のために、特別に設計されたELISAアッセイ、または例えば商業的に入手可能なELISAキット、例えばHyCult Biotechnology B.V.(Uden,The Netherlands)のヒトラクトフェリンELISAキット(カタログHK329)およびAssayPro(St.Charles,Missouri,USA)のAssayMaxヒトラクトフェリンELISAキット(カタログEL2001−1)を使用して、ラクトフェリンのレベルを決定することが可能である。
GP−39
GP−39は、対照サンプルと比較してヒトクローン病血清サンプルにおいては有意に上昇すること、および潰瘍性大腸炎血清サンプルにおいては非有意に上昇することが判明した。
GP−39遺伝子発現はIBDマウスにおいて上昇し、GP−39遺伝子発現の戻りは一般に用量依存性であり、抗IL−23R抗体の、より高い用量は、より低い用量より完全な戻りを示した(図9B)。図9Bにおいては、「ナイーブ」は非罹患動物(抗CD40が投与されていない動物)を意味するが、全ての他のデータは、PBS、ビヒクルまたは種々の濃度の治療用または対照抗体で処理(治療)されたIBDマウスに関するものである。
また、実施例19にIL−6に関して記載されているのと実質的に同じ方法により、該T細胞マウス大腸炎モデルにおいて、GP−39(YKL−40)の遺伝子発現レベルを決定した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Jおよび12Jに示す。どちらの場合にも、GP−39発現は、抗IL−23p19抗体で処理された動物において減少した。
GPX−2
実施例19にIL−6に関して記載されているのと実質的に同じ方法により、該T細胞マウス大腸炎モデルにおいて、GPX−2の遺伝子発現レベルを決定した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Kおよび12Kに示す。GPX−2発現は、抗IL−23p19抗体で処理された動物においては有意に減少した。
ヒトにおける生物マーカーとしての使用のために、特別に設計されたELISAアッセイを使用して、または例えば商業的に入手可能な抗体、例えばR&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)のモノクローナル抗ヒトGPX2抗体(カタログMAB5470)の使用によるウエスタンブロットを行うことにより、GPX−2のレベルを決定することが可能である。
GPX−3
クローン病患者およびUC患者から、ならびにマッチングされた正常対照から得たヒト血清サンプルにおいて、GPX−3タンパク質レベルを決定した。実施例4および13を参照されたい。GPX−3レベルはUC患者においては有意に上昇したが、クローン病患者においてはそれより遥かに低い度合でそれが生じ、このことは、GPX−3がUCとクローン病との鑑別診断に有用でありうることを示唆している。クローン病患者はいずれも、約8000ng/ml(正常被験者で見られるレベルの約2倍)を超えるカルプロテクチンレベルを示さないが、潰瘍性大腸炎患者では18名中11名がそれを示したことを、図10は示している。実施例29を参照されたい。
GPX−3は、Alpco Diagnostics(Salem,New Hanpshire)のグルタチオンペルオキシダーゼ3 EIA(カタログ44−GPXHU−E0l)を使用して検出した。
好中球エラスターゼ
実施例19にIL−6に関して記載されているのと実質的に同じ方法により、該T細胞マウス大腸炎モデルにおいて、好中球エラスターゼの遺伝子発現レベルを決定した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Kおよび12Lに示す。好中球エラスターゼ発現は、治療プロトコールにおいては、抗IL−23p19抗体で処理された動物において減少したが(図12L)、低い絶対的発現レベルが該予防データの解釈を妨げている(図11L)。
ヒトにおける生物マーカーとしての使用のために、特別に設計されたELISAアッセイを使用して、または例えば商業的に入手可能なELISAキット、例えばHyCuIt Biotechnology B.V.(Uden,The Netherlands)のヒト好中球エラスターゼELISAキット(カタログHK319)を使用して、好中球エラスターゼレベルを決定することが可能である。
TNF−α
実施例19にIL−6に関して記載されているのと実質的に同じ方法により、該T細胞マウス大腸炎モデルにおいて、TNF−αの遺伝子発現レベルを決定した。予防的および治療的処理実験の結果をそれぞれ図11Cおよび12Cに示す。ばらつきが該治療処理データ(図12C)の解釈を複雑にしているものの、抗IL−23p19抗体で処置された動物においてはTNF−α発現は実質的にバックグラウンドレベルまで減少した。
ヒトにおける生物マーカーとしての使用のために、特別に設計されたELISAアッセイを使用して、または例えば商業的に入手可能なELISAキット、例えばR&D Systems(登録商標)(Minneapolis,Minnesota,USA)のQuantikine(登録商標)ヒトTNF−αイムノアッセイキット(カタログDTA00C)を使用して、TNF−αレベルを決定することが可能である。
GPX−3およびMIFを含む血清に関する潰瘍性大腸炎生物マーカーパネルの妥当性評価
実施例13(前記)に記載されているのと実質的に同じ方法により、GPX−3およびMIFを含む本発明の血清生物マーカーパネルをヒト潰瘍性大腸炎サンプルに対して妥当性評価した。簡潔に説明すると、18名の潰瘍性大腸炎患者および18名の非IBD被験者から得た血清サンプルを、(前記実施例に記載されているのと実質的に同じ方法により)GPX−3およびMIFのレベルに関してELISAにより分析した。各アッセイに含まれる標準曲線との比較により、レベルを算出した。UCと非UCサンプルとを最良に識別しうる生物マーカーの組合せを決定する際には、多変量判別分析(JMP(登録商標)Statistical Discovery Software,SAS Institute Inc.,Cary,North Carolina,USA)を用いた。
GPX−3およびMIFの組合せが潰瘍性大腸炎を特に良く予測することが判明した。GPX3単独の場合には、7個(19%)のサンプルの過誤分類を伴って潰瘍性大腸炎が予測されたが、GPX−およびMIFの結果を組合せた場合には、1個(3%)のサンプルのみが過誤分類された。総合すると、GPX−3およびMIFの生物マーカーパネルは、97%の信頼性を有する、潰瘍性大腸炎の有力な予測因子に相当する。実施例14〜15(前記)に記載されているクローン病生物マーカーのパネルの使用の類推により、UC生物マーカーのこのパネルは有用でありうる。
GP−39、CCL20および/またはLCN2を含む血清に関するクローン病生物マーカーパネルの妥当性評価
GP−39、CCL20および/またはLCN2を含む血清生物マーカーのセットは以下のとおりにクローン病患者に関する診断用となると判定された。実施例13に記載されているとおりに、同じ18個のクローン病サンプルおよび18個の非クローン病サンプルを使用した。血清生物マーカータンパク質レベルをELISAにより決定した。決定木分析を用いて、LCN−2のレベルが約57ng/ml以上である又はCCL−20およびGP−39のレベルがそれぞれ約21pg/mlおよび93ng/ml以上である場合に(対照非IBD被験者との比較において)クローン病患者由来のものとしてサンプルが正確に分類されうることが判明した。
LCN2およびMIFを含む血清に関するクローン病生物マーカーパネルの妥当性評価
LCN2およびMIFを含む血清生物マーカーのセットは以下のとおりに潰瘍性大腸炎患者に関する診断用となると判定された。実施例26に記載されているとおりに、同じ18個のUCサンプルおよび18個の非UCサンプルを使用した。血清生物マーカータンパク質レベルをELISAにより決定した。決定木分析を用いて、MIFのレベルが約4.1ng/ml以上である、かつ、LCN2のレベルが約6.3ng/ml以上である場合に(対照非IBD被験者との比較において)潰瘍性大腸炎患者からのものとして被験者が正確に分類されうることが判明した。
LCN2、カルプロテクチン(S100A8/A9複合体)およびGPX−3を使用するクローン病および潰瘍性大腸炎の鑑別診断
クローン病を有すると診断された統計的に有意な数のヒト被験者、潰瘍性大腸炎を有すると診断された統計的に有意な数のヒト被験者、およびいずれの形態の炎症性腸障害をも有さない対照被験者から、血液サンプルを得る。ついで血清を以下の生物マーカータンパク質のレベルに関して分析する:LCN2、カルプロテクチン(S100A8/A9複合体)およびGPX−3。タンパク質レベルをELISAにより決定する。統計的有意性を得るのに必要な被験者の数は、群間で観察される生物マーカーレベルの差の大きさ、および群内の生物マーカーレベルにおける分散に左右され、この種の研究では一般的であるとおり、サンプルサイズの調節を要するかもしれない。クローン病患者をUC患者から最良に識別しうる生物マーカーのレベルを決定するために、データを例えば決定木分析により分析する。
これらの対照データが得られれば、大腸炎の症状を示す被験者は、以下のとおりに、クローン病または潰瘍性大腸炎を有すると診断されうる。血液サンプルを該患者から得、血清をLCN2、カルプロテクチン(S100A8/A9複合体)およびGPX−3のレベルに関してELISAにより分析する。ついで該被験者の生物マーカーレベルを既知のクローン病患者および潰瘍性大腸炎患者(前段落に記載されているとおり)の血清に関するレベルと比較する。クローン病サンプルにおけるレベルには類似しているが潰瘍性大腸炎サンプルにおけるレベルには非類似の生物マーカーレベルを有するサンプルは、クローン病を有する患者を示す(逆も成り立つ)。
例えば、本明細書に記載されているデータに基づき、約50ng/ml以上のLCN2の血清レベルを有する被験者は、約300ng/ml以上のカルプロテクチン(S100A8/A9複合体)の血清レベルを有する被験者と同様に、潰瘍性大腸炎よりもクローン病に罹患している可能性が高い。図4Bおよび6Fを参照されたい。約8000ng/ml以上のGPX−3の血清レベルを有する被験者はクローン病よりも潰瘍性大腸炎に罹患している可能性が高い。図10を参照されたい。前記観察の組合せがより確固たる診断につながる可能性がある。例えば、>50ng/ml LCN2、>300ng/ml カルプロテクチンおよび<8000ng/ml GPX−3の血清レベルの2以上の組合せを有する被験者は、潰瘍性大腸炎ではなくクローン病に罹患している可能性が特に高いであろう。