JP2012530735A - 眼疾患の治療におけるCD44v6の使用 - Google Patents

眼疾患の治療におけるCD44v6の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、眼疾患の予防及び/治療のためのペプチド化合物の使用に関する。特に、本発明は、個体における眼疾患の予防及び/又は治療における使用のための、配列番号2(KEQWFGNRWHEGYR)若しくは配列番号1(KEKWFENEWQGKNP)のアミノ酸7〜11により表示されるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又はその機能的に活性な誘導体、又はその薬学的に許容される塩に関する。配列番号2がヒトCD44v6の一部である一方で、配列番号1はラットCD44v6の一部である。
【選択図】なし

Description

本発明は、眼疾患の予防及び/又は治療のためのペプチド化合物の使用に関する。
血管新生は、既存の血管からの新たな血管の形成をもたらす複雑なプロセスである。胚形成中、血管新生は、造血前駆体からの新たな血管の作製である脈管形成を補完する(complements)。対照的に、成体生物体では、血管新生は、雌生殖周期中の正常な条件下で、又は例えば腫瘍成長及び創傷治癒における病的状態下で起きる。腫瘍塊からの血管新生因子の分泌は、血管の形成を誘導し、これががん細胞に酸素及び栄養分を供給する。これらの血管が最終的には、転移の伝播経路として使用される。
VEGF(血管内皮成長因子)、FGF、TGF−α、TGF−β、HGF、TNF、アンジオゲニン、IL−8及びアンジオポエチンを含む幾つかの血管新生因子が記載されている。最も著名な血管新生因子は、PIGF(胎盤成長因子)を含む成長因子のVEGFファミリー成員であるVEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D及びVEGF−Eである。VEGFは、VEGFRファミリーの3つの関連成員であるVEGFR−1、VEGFR−2及びVEGFR−3に結合する。VEGF及びそれらの受容体の重要性は、各々のノックアウトマウスの表現型により実証される。実際に、VEGF−A及びVEGFR−2ノックアウトマウスは、脈管構造形成における不全を示し、胚形成中に死滅する一方で、VEGFR−1欠損マウスは、血管の過成長が原因で死滅する。血管新生との闘い(Fighting)は、がん療法にとって非常に魅力的な目標となっている。実際に、腫瘍細胞に直接対処するのではなく、血管新生を標的とすることは、同じ試薬を多くの異なるタイプの腫瘍に適用させることができるという利点を有する。
さらに、EC(内皮細胞)の低い代謝回転率に起因して、ECは、化学療法に耐性となりにくい。化学療法又は放射線療法と併用することができる幾つかの抗VEGF治療投与計画(regimen)が既に存在する。これらの治療は、VEGFに対する抗体(ベバシズマブ)、VEGFR−2シグナル伝達を阻害する幾つかの小分子及びVEGFへの結合に関して内皮受容体と競合する可溶性VEGF受容体のようなVEGF阻害剤を活用する。しかしながら、これらの治療は全て、ほとんどのがん患者にとって相対的に中程度の有益性しかないため、依然として十分改善の余地がある。
HGFは、別の強力な血管新生因子であり、HGF及びその受容体であるc−Metの発現は腫瘍血管新生化と相関し、様々な細胞及び組織におけるVEGFの産生はHGFにより誘導され、HGFは、VEGFの活性を高めることができる。さらに、HGFは、内皮前駆細胞の動員(mobilization)を導き、可溶性c−Met受容体(デコイMet)の発現は、腫瘍血管新生を損なう。CD44ファミリーの細胞接着タンパク質は、細胞外ドメインが異なる様々なアイソフォームを含む。この領域では、10個の変異体エクソンは、完全に排除され得る(最小アイソフォームCD44s)か、又は各種組合せにおける選択的スプライシングにより包含され得る(変異体アイソフォーム、CD44v)。これらのCD44vアイソフォームの発現は多くの場合、がんにおいて上方調節される。変異体エクソンv6を含有するCD44アイソフォームは、転移性決定因子であることが分かっている。転移におけるCD44v6の役割は、ほぼ確実にRTK c−Metとの協働作用に起因する。多くの癌及び原発性細胞では、c−Met受容体からの活性化及びシグナル伝達は、CD44v6アイソフォームに依存し、CD44v6特異的抗体によって、CD44v6 siRNAによって、及び最も興味深いことにはCD44エクソンv6特異的ペプチドによって阻止することができる。これらのアイソフォームは、c−Met依存的シグナル伝達に関して二重の役割を果たす。それらの細胞外部分はc−Met活性化に必要とされるのに対して、CD44の細胞質ドメインは、細胞骨格に結合するERMタンパク質(エズリン、ラジキシン、モエシン)を補充して(recruit)、そのグアニジン交換因子(GEF)SOSによってRasの活性化を促進する。
c−MetはCD44ヌルマウスの状況ではハプロ不全であることから、in vivoでもCD44とc−Metとの間の協働が確認された。複合体cd44−/−met、+/−マウスは、重篤な呼吸欠陥を示し、出生時に死滅する。これらのマウスでは、呼吸リズム発生ネットワークにおけるシナプス伝達が、脳において損なわれている。さらに、横隔神経におけるシュワン細胞分化が変更されている。
CD44タンパク質は、血管新生に関連することが既に分かっており、2つの重要な血管新生因子であるbFGF及びVEGFは、in vivoでEC上のCD44をアップレギュレートし、特異的抗体によるCD44の標的化は、EC死滅をもたらす。CD44特異的抗体は、フィブリンマトリックスにおけるEC増殖及び毛細血管形成を抑制する。ECの増殖及びECMの構成成分であるヒアルロナンへのECの接着は、CD44に依存する。CD44はbFGFとともに、コラーゲンゲルにおいてECの細管形成に関与する。最終的に、CD44v3は、ECで検出され、v3特異的抗体は、これらの細胞の走化性を阻止した。興味深いことに、組織損傷及び炎症時に放出されるマトリックスヒアルロナンの分解産物である低分子量ヒアルロナンは、CD44への結合によってEC増殖を刺激する。このことが、MAPキナーゼ経路の活性化、及び続く初期応答遺伝子の誘導をもたらす。
VEGFR−2の活性化におけるその役割に加えて、CD44v6もまた、細胞内シグナル伝達に必要である。MAPK経路の活性化に関して、CD44v6細胞質ドメインは、上皮細胞においてc−Metに関して示されていることに類似して、そのGEF SOSによるRas活性化を可能にするために、ERMタンパク質及び細胞骨格を補充するようである。これが特に興味深いのは、MAPK経路は、ECの増殖、生存及び遊走のための血管新生において重大な役割を果たすためである。さらに、Mek1ノックアウトマウスは、胚性致死であり、損なわれた血管新生によって引き起こされる胎盤異常により死亡する。MAPK経路は、Rhoを阻害することによってEC生存及び発芽(sprouting)を誘導することが分かっている。VEGFは、へパリン結合成長因子として記載されており、HSを保有するCD44エクソンv3含有アイソフォームと結合することが分かっている。VEGF−A121は、あまり強力でないEC有糸分裂促進因子であり、VEGF−A165よりも10倍〜100倍低い生理活性を有する。VEGF−A165に結合するが、VEGF−A121には結合しないHS改変タンパク質であるニューロピリン(NRP1)は、HS部分を提供するための良好な候補であるようである。
多数の実験研究及び臨床研究により、ほとんどの新生血管疾患及び滲出性眼疾患におけるVEGFの重要な役割が示されている。抗VEGF療法は、多数の予測制御臨床試験において有望な結果を示している。さらに、新生血管加齢性黄斑変性症(AMD)の治療における硝子体内抗VEGF療法は、ほとんどの患者において視力を安定化させて、かなりの数の患者において視力を回復させることが示されている。さらに、糖尿病性網膜症を患う患者において網膜VEGFRの発現が増大することが既知である。
したがって、本発明の基礎となる技術的課題は、眼疾患の予防及び/又は治療に使用することができる新規薬剤を提供することである。
上記技術的課題に対する解決は、特許請求の範囲を特徴とする実施の形態によって達成される。
特に、本発明は、個体における眼疾患の予防及び/又は治療における使用のための配列番号2(KEQWFGNRWHEGYR)又は配列番号1(KEKWFENEWQGKNP)のアミノ酸7〜11により表示されるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又はその機能的に活性な誘導体、又はその薬学的に許容される塩に関する。配列番号2がヒトCD44v6の一部である一方で、配列番号1はラットCD44v6の一部である。
別の態様では、本発明は、個体における眼疾患の予防及び/又は治療用の薬剤の製造における使用のための配列番号2又は配列番号1により表示されるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又はその機能的に活性な誘導体、又はその薬学的に許容される塩に関する。
好ましい実施の形態では、本発明のペプチド化合物は、配列番号2又は配列番号1のアミノ酸7〜11で構成されるペプチドである。
本発明の別の好ましい実施の形態では、本発明のペプチド化合物は、配列番号2又は配列番号1で構成されるペプチドである。
本発明のペプチド化合物は、欧州特許出願第1 647 556号に記載される任意のペプチド化合物であり得る。
好ましい実施形態では、本発明のペプチド化合物は、配列番号2若しくは配列番号1のフラグメントを含むか、又はそれらで構成され、上記フラグメントは、CD44とVEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性を有する。
例えば、本発明のペプチド化合物は、
(a)配列番号2又は配列番号1で示されるようなアミノ酸配列を含むか、又はそれらで構成されるペプチド、
(b)配列番号2又は配列番号1のフラグメントで構成され、かつCD44と、VEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性を有するペプチド、
(c)異種アミノ酸配列に融合された(a)若しくは(b)によるペプチドを含むか、又はそれらで構成される異種融合ペプチド、及び
(d)CD44と、VEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性を有する(a)、(b)又は(c)によるペプチドの誘導体
からなる群から選択される。
本発明の好ましい実施の形態では、本発明のペプチド化合物は、
(a)配列番号2若しくは配列番号1で示されるようなアミノ酸配列を含むか、又はそれらで構成されるペプチド、
(b)下記アミノ酸配列:
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸2〜14、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸2〜13、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸2〜12、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸2〜11、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸3〜14、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸3〜13、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸3〜12、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸3〜11、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸4〜14、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸4〜13、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸4〜12、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸4〜11、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸5〜14、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸5〜13、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸5〜12、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸5〜11、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸6〜14、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸6〜13、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸6〜12、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸6〜11、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸7〜14、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸7〜13、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸7〜12、
配列番号2又は配列番号1のアミノ酸7〜11
のいずれか1つを含むか、又はそれらで構成されるペプチド、及び
(c)異種アミノ酸配列に融合された(a)又は(b)を含む異種融合ペプチド
からなる群から選択される。
本発明のペプチド化合物は、他のタンパク質に由来するアミノ酸配列を含んでもよい。したがって、好ましい実施の形態では、本発明のペプチドは、別の(好ましくは、異種)アミノ酸配列に融合された上記アミノ酸配列の1つを含む融合ペプチドを含む。異種アミノ酸配列は、1個、2個、3個、4個若しくはそれ以上のアミノ酸を含み得るか、又はそれらで構成され得る。異種アミノ酸配列は例えば、少なくとも5個、若しくは少なくとも10個、若しくは少なくとも20個の異種アミノ酸を含み得るか、又はそれらで構成され得る。異種アミノ酸配列は、本発明のペプチド化合物のN末端及び/又はC末端に融合され得る。
本発明の更なる実施の形態では、本発明のペプチド化合物は、上述のペプチドの誘導体である。「誘導体」という用語は、本明細書中で使用する場合、ペプチド化合物の機能的に活性な誘導体、変異体及び化学的誘導体を含み、野生型と異なる翻訳後修飾、例えばグリコシル化パターンを包含する。
「機能的に活性な誘導体」という用語は、本明細書中で使用する場合、アミノ酸の欠失、付加及び/又は置換を含有する誘導体に関し、その存在、非存在又は置換は、ペプチド化合物の活性に対して実質的に影響を与えない(例えば、保存的アミノ酸置換、即ち、類似した化学特性を有するアミノ酸によるアミノ酸の置換)。
ペプチドの「変異体」は、全ペプチド又は本質的に同じ機能を有するそれらのフラグメントのいずれかに実質的に類似した分子を指すと意図される。第1のペプチドの変異体は、上記第1のペプチドに関して、1個〜5個、好ましくは1個〜4個、より好ましくは1個〜3個、より好ましくは1個又は2個のアミノ酸置換、付加及び/又は欠失を有する第2のペプチドであり得る。例えば、c−Metのリン酸化及び内部移行並びにErkのリン酸化をもたらすCD44とVEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性が、配列番号2で示されるようなアミノ酸配列で構成されるペプチドの活性と実質的に同じである限りは、配列番号2の変異体は、配列番号2に関して、1個〜5個のアミノ酸置換を有し得る。
分子は、それが第1のペプチド中に存在しない更なる化学部分を含有する場合の第1のペプチドの「化学的誘導体」である。かかる部分は、例えば分子の溶解度、吸収又は生物学的半減期を改善させ得る。代替的に、この化学部分は、例えば分子の毒性を減少させ得るか、又は分子の任意の望ましくない副作用を排除若しくは減弱させ得る。
概して、誘導体は、それが由来するペプチド化合物のCD44とVEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性の少なくとも75%、好ましくは少なくとも100%の活性を有する。
所定のペプチドの「フラグメント」という用語は、本明細書中で使用する場合、上記ペプチドの任意のペプチドサブセットを指すと意図される。概して、フラグメントは、上記ペプチドの配列の少なくとも2個の隣接アミノ酸を含む。好ましくは、フラグメントは、上記ペプチドの少なくとも4個、より好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも6個、より好ましくは少なくとも8個、更に好ましくは少なくとも10個の隣接アミノ酸を含む。
CD44とVEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性を求める方法は、当該技術分野で既知である。本発明のペプチド化合物は、CD44とVEGFR−2との間の複合体形成を阻害する活性を有する。阻害活性は、下流のVEGFR−2の活性化の低減をもたらす。好ましくは、下流のVEGFR−2の活性化は、対照ペプチドの存在下で下流のVEGFR−2の活性化に関して、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも70%低減される。例えば、活性は、細胞培養において又はin vivoで求めることができる。
「ペプチド化合物」という用語は、本明細書中で使用する場合、少なくとも1つのペプチドを含む化合物を意味する。本願の1つの実施の形態では、「ペプチド化合物」は、ペプチドで構成される。「ペプチド化合物」という用語は、ペプチドとアミノ酸ではない化学部分とを含む化合物を包含する。
「ペプチド」という用語は、本明細書中で使用する場合、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合により互いに結合された2個以上のアミノ酸を含む任意の化合物、即ちペプチドアイソステア(peptide isostere)を指す。「ペプチド」は、短鎖及び、一般的にポリペプチドと称されるより長い鎖の両方を指す。ペプチドは、20個の遺伝子によりコードされるアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。ペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然プロセスにより、当該技術分野で既知である化学的修飾技法により、修飾されたアミノ酸配列を包含する。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖及びアミノ末端又はカルボキシル末端を包含するペプチドにおける任意の場所で起こり得る。同じタイプの修飾は、所定のペプチドにおいて幾つかの部位で同じ程度又は様々な程度で存在し得る。同様に、所定のペプチドは、多数のタイプの修飾を含有してもよい。
ペプチドは分岐していてもよく、ペプチドは、分岐を伴って又は分岐を伴わずに、環状であってもよい。環状ペプチド、分岐ペプチド及び分岐環状ペプチドは、翻訳後の天然プロセスに起因し得るか、又は合成法によって作製され得る。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部位の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルコリンの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合による架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介性付加(例えば、アルギニル化)、ユビキチン化及びSUMO化が挙げられる。
「ペプチド化合物」という用語は、好ましい実施の形態として、本明細書中に記載されるペプチドの塩、好ましくは薬学的に許容される塩を包含する。「薬学的に許容される塩」という用語内に包含される塩は、本発明のペプチド化合物の無毒性塩を指す。代表的な塩及びエステルとしては、アセテート、アスコルベート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビカーボネート、ビスルフェート、ビタートレート、ボレート、カンシレート(caamsylate)、カーボネート、シトレート、ジヒドロクロリド、メタンスルホネート、エタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメート、キネート、エデテート、エジシレート、エストレート、エシレート、フマレート、グルコネート、グルタメート、グリセロホスフェート(glycerophophates)、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロキシナフトエート、ラクテート、ラクトビオネート、ラウレート、マレート、マレエート、マンデレート、メシレート、ムケート、ナプシレート、ニトレート、n−メチルグルカミン、オレエート、オキサレート、パルモエート、パモエート(エンボネート)、パルミテート、パントテネート、パークロレート、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクツロネート、サリチレート、ステアレート、スクシネート、スルフェート、スルファメート、スバセテート、スクシネート、タンネート、タートレート、トシレート、トリフルオロアセテート及びバレレートが挙げられる。他の塩としては、Ca塩、Li塩、Mg塩、Na塩及びK塩、リシン又はアルギニンのようなアミノ酸の塩、グアニジン、ジエタノールアミン又はコリン、アンモニウム、置換アンモニウム塩又はアルミニウム塩が挙げられる。塩は、従来の方法により調製される。
本発明のペプチドは、少なくとも2アミノ酸長を有する。好ましくは、ペプチドの長さは、少なくとも4アミノ酸、より好ましくは少なくとも5アミノ酸、より好ましくは少なくとも6アミノ酸、より好ましくは少なくとも8アミノ酸、最も好ましくは少なくとも10アミノ酸である。最大長は特に限定されない。しかしながら、ペプチドは、約6アミノ酸〜約30アミノ酸、好ましくは約8アミノ酸〜約25アミノ酸、より好ましくは約10アミノ酸〜約20アミノ酸、最も好ましくは約10アミノ酸〜約15アミノ酸の長さを有することが好ましい。より大きいペプチドは、例えば異種アミノ酸配列を伴う融合ペプチドが調製される場合に使用することができる。
本発明のペプチドは単離ペプチドであることが好ましい。
同様に、本発明のペプチドは純粋状態であることが好ましい。好ましくは、ペプチドは80%純粋、好ましくは90%純粋、より好ましくは95%純粋、更に好ましくは99%純粋であり、高分子、特に他のペプチドの混入に関して、99.9%を上回り薬学的に純粋な状態であることが特に好ましい。ペプチドは、感染及び発熱因子を含まないことが好ましい。
好ましくは、純粋ペプチドは、他のペプチドを実質的に含まない。この文脈で使用される場合、「純粋な」という用語は、二量体のような代替的な物理的形態にある同じペプチドの存在を排除しない。
本発明のペプチドは、化学合成によって、又は宿主細胞における組換え発現によって調製され得る。化学合成による調製が好ましい。タンパク質産物として、配列番号2若しくは配列番号1の化合物、又は本発明の他のペプチドは、液相又は固相ペプチド合成の技法による生産に適している。合成ペプチド合成アプローチは概して、自動合成機及び固相として適切な樹脂(そこへ、所望のペプチドのC末端アミノ酸が結合される)の使用を伴う。続いて、N末端方向でのペプチドの伸長は、通常FMOC又はBOCベースの化学プロトコルを使用して、次の所望のアミノ酸の適切に保護された形態を、合成が完了するまで順次カップリングさせることによって達成される。次に、通常同時に樹脂からのペプチドの切断とともに、保護基はペプチドから切断され、続いてペプチドは、従来技法を使用して、例えば溶媒としてアセトニトリル及びイオン対形成剤としてトリフルオロ酢酸を使用した逆相HPLCによって、単離及び精製される。かかる手順は概して、多数の刊行物に記載されている。
本発明のペプチド化合物は、本明細書中に記載されるペプチド配列から転換された(diverted)化学的に誘導される構造、又はその薬学的に許容される塩及び/若しくはそれらの生理学的に機能的な誘導体であり得る。化学的に誘導される構造は、環状ペプチド、若しくはそれらの薬学的に許容される塩及び/又はそれらの生理学的に機能的な誘導体であり得る。本発明は更に、本発明のペプチド化合物へ代謝させる分子の使用を包含する。
本発明による個体は、(脊椎動物のような)眼疾患にかかりやすい任意の個体であり得る。好ましい実施の形態では、個体は(例えば、マウス、ラット、ヒト、ウサギ、ブタ、ウシ又はウマのような)哺乳類であり、最も好ましくは、ラット又はヒトである。
好ましい実施の形態では、ペプチド化合物は、ラットにおける眼疾患の予防及び/又は治療における使用のための配列番号1の少なくともアミノ酸7〜アミノ酸11により表示されるアミノ酸配列、又はその機能的に活性な誘導体、又はその薬学的に許容される塩を含む。別の好ましい実施の形態では、ペプチド化合物は、ヒトにおける眼疾患の予防及び/又は治療における使用のための配列番号2の少なくともアミノ酸7〜アミノ酸11により表示されるアミノ酸配列、又はその機能的に活性な誘導体、又は薬学的に許容される塩を含む。
本発明の好ましい実施の形態では、眼疾患は、血管新生に関連しており、例えば、眼疾患は、VEGFR−2の過剰発現と関連し得る。本発明によれば、眼疾患は、例えばVEGFR−2の過剰発現により引き起こされる可能性があり、及び/又は眼疾患は、内皮細胞の過剰増殖と関連され得る。
本発明の別の好ましい実施の形態では、眼疾患は、黄斑変性症、糖尿病性網膜症からなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施の形態では、眼疾患は、黄斑変性症又は糖尿病性網膜症である。
本発明の別の目的では、適切な量で本発明のペプチドを投与する工程を含む上記で規定されるような眼疾患の治療に関する方法が提供される。
本発明の薬剤は、単独で又は薬学的に許容されるキャリア、賦形剤及び/若しくは希釈剤と混合して、少なくとも1つの本発明の化合物を含む、例えば液体、懸濁液、エマルジョン、ロゼンジ、サシェ、アンプル、坐剤、ペッサリー、軟膏、ジェル、ペースト、スプレー、ローション、オイル、ボーラス、舐剤、エアロゾル、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、カプセル、注射、溶液、フォーム、クリーム、浣腸等として配合され得る。
任意の特定患者に関する本発明の薬剤の特定用量レベルは、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事及び投薬歴、並びに患者の特定疾患の重篤性、及び用いられる特定化合物の活性、投与時間、投与経路、排泄の速度、治療の持続期間、併用して使用される他の薬物、化合物及び/又は材料を含む様々な要因に応じて用いられる。薬剤の適切な投与量は、患者によって様々である。最適な投与量を求めることは、一般的に、治療の任意の危険性又は有害な副作用に対する治療上の有益性のレベルのバランスをとることを包含する。
in vivoでの投与は、治療のコース全体にわたって、1回用量で、連続して又は断続的に達成され得る。投与の最も有効な手段及び投与量を求める方法は、当業者に既知であり、療法に使用される配合物、療法の目的、処理対象の標的細胞及び治療対象の被験体によって様々である。単回投与又は複数回投与は、主治医によって選択される用量レベル及びパターンを用いて実行することができる。
概して、本発明の薬剤の活性化合物の適切な全身用量は、1日につき被験体の体重1キログラム当たり約0.01mg〜約1000mg、好ましくは体重1キログラム当たり0.1mg〜500mg、更に好ましくは体重1キログラム当たり1.0mg〜500mgの範囲内である。活性成分が塩、エステル、プロドラッグ等である場合、投与される量は、親化合物に基づいて算出され、したがって使用されるべき実際の重量は、比例して増大する。化合物が局所的に適用される場合、化合物の量は、上記で付与される推定から変化し得る。しかしながら、かかる適用は、約0.1ng/ml〜10mg/ml、より好ましくは1ng/ml〜1mg/mlの範囲の薬物の局所濃度に到達するのを目標にする。
本発明によれば、CD44細胞表面タンパク質ファミリーの特異的スプライス変異体であり、ラットに由来する場合は配列番号1で表示されるアミノ酸配列を、又はヒトに由来する場合は配列番号2で表示されるアミノ酸配列を有するCD44v6は、上皮細胞上の受容体チロシンキナーゼ(RTK)c−Metに関する共受容体として作用することが分かっている。特に、同様に内皮細胞上では、c−Metの活性は、CD44v6に依存する。さらに、別のRTKであり、内皮細胞の遊走挙動を調節するVEGFR−2もまた、CD44v6によって調節される。CD44v6外部ドメイン、及びCD44v6の特異的細胞外モチーフ又はこのエピトープを阻止する抗体を模倣する小ペプチドは、CD44v6媒介性受容体活性化を予防する。これにより、CD44v6の細胞外部分は、c−Met又はVEGFR−2との相互作用に必要とされることが示される。細胞質では、活性化されたc−Met及びVEGFR−2によるシグナル伝達は、CD44v6を細胞骨格へと連結させるエズリンによるCD44カルボキシ末端の結合を必要とする。CD44v6は、内皮細胞遊走、発芽、HGF又はVEGFAにより誘導される細管形成及び形質転換されたランゲルハンス島により放出される血管新生因子に対する応答を制御する。移植された内皮細胞スフェロイドからの血管のin vivoでの発達及び腫瘍における血管新生は、CD44v6ブロッキング試薬により損なわれ、c−Met及びVEGFR−2に対するCD44v6の共受容体機能が、病的状態において血管新生を阻止するための有望な標的であることを示唆している。
したがって、CD44v6ペプチドは、例えばVEGFR−2の過剰発現に関連する眼疾患の予防及び/又は治療において血管新生阻害剤として好適に使用することができる。かかる療法に関してCD44v6ペプチドを使用する利点は数倍となり得る。まず、それらの小さいサイズ(14mer、又は更には5mer)により、CD44v6ペプチドは容易に産生することができ、CD44v6ペプチドは免疫応答を誘導する可能性が低く、CD44v6ペプチドはそれらの標的部位へ容易に送達され得る。さらに、CD44v6ペプチドは、幾つかのRTKを阻止することができ、血管新生及び転移に対して効率的であり、同様に幾つかのタイプの腫瘍の療法においても有効であり得る。
ECにおけるCD44v6の共受容体機能。 A:HUVECにおけるCD44変異体のエクソン特異的RT−PCR分析(実験手順を参照)。sは、CD44定常エクソン5及び15における2つのプライマーの使用を指し(CD44遺伝子の関連部分の概要図における黒四角)、他のレーンは、変異体エクソンにおいてフォワードプライマー及びエクソン15においてリバースプライマーを用いて実施したPCRを指す。Mは、DNAラダーを指す。 B:未処理HUVEC、又はCD44v6特異的抗体(aCD44v6)若しくはヒトv6特異的14merペプチド若しくは対照ペプチドで処理したHUVECにおけるHGF又はVEGF−A165により誘導されるシグナル伝達(実験手順を参照)。Erkの活性化は、実験手順に記載されるように測定した。 C:HUVECにおけるVEGF−A165によるVEGFR−2の活性化は、VEGFR−2の免疫沈降及びリン特異的VEGFR−2抗体によるウェスタンブロッティング後に求めた(実験手順を参照)。IgGは、対照沈降を示す。VEGF−A165及びペプチドによる処理は、実験手順に記載されるように実施した。 D:CD44v6ECD(CD44v6外部ドメイン)又は示されるような突然変異様式の存在下で示されるようなリガンドによるHUVECにおけるシグナル伝達の誘導。処理は、実験手順に記載されるように行った。 数字は、コンピュータプログラムImage Jにより算出された誘導倍数を示す。 CD44v6の共受容体機能は、へパリン硫酸化に非依存的である。 A:HUVECを、示されるようなCD44v6特異的抗体及びペプチドの存在下でVEGF−A121により誘導した。VEGFR−2(図1Cと同様)及びErkの活性化を求めた。IgGレーンは、IgG対照抗体による免疫沈降に対応する。 B:HEK293細胞を、VEGFR−2発現構築物により一過的にトランスフェクトした(実験手順)。次に、HEK293細胞をVEGF及び示されるようなペプチドで処理して、VEGFR−2の活性化(図1Cと同様)又はErkへのシグナル伝達を測定した。 C:BSp73AS細胞(AS)又はBSp73ASs6細胞を、VEGFR−2発現構築物により一過的にトランスフェクトして、示される場合にはVEGF−A165で活性化した。VEGFR−2の活性化は、ウェスタンブロッティングにおいて直接リンVEGFR−2特異的抗体(Tyr 1175)を使用して求めた。 数字は、誘導倍数を指す。 VEGFR−2及びCD44v6は複合体を形成する。 CD44v6特異的抗体(av6)、IgG対照又はヒトv6特異的14merペプチド又は対照ペプチドの存在下での(A)HCMEC(ヒト心臓微小血管EC)における及び(B)HAOEC(ヒト大動脈EC)における、HGF又はVEGF−A165により誘導される受容体活性化(実験手順)。Erkの活性化は、実験手順に記載されるように測定した。 C:CD44特異的抗体IM7を使用したVEGF−A165で処理したHUVEC又は処理していないHUVEC由来のCD44の免疫沈降、及びVEGFR−2抗体によるウェスタンブロッティング。無関連IgG抗体又はVEGFR−2抗体による免疫沈降を対照として使用した。 VEGFR−2シグナル伝達は、CD44へのエズリン結合に依存する。 A:VEGFR−2発現構築物で一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞を、CD44細胞質ドメイン(CD44cyt)又はエズリン結合部位で突然変異させたCD44細胞質ドメイン(CD44mutcyt;実験手順)のいずれかを発現するベクターで同時トランスフェクトさせた。VEGFによる誘導時のVEGFR−2の活性化(図2Cに記載されるように)及びErkへのシグナル伝達を求めた。 B:VEGFR−2発現構築物で一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞は、示されるようにドミナントネガティブなエズリン(dnエズリン)を発現するベクターで同時トランスフェクトさせて、VEGF処理時のErkへのシグナル伝達を求めた。 数字は、誘導倍数を示す。 ECの遊走は、CD44v6を必要とする。 ひっ掻き傷閉塞(scratch wound closing)アッセイは、HGF、VEGF−A165又はVEGF−A121及び示されるようなペプチド又は抗体のいずれかで処理した集密的なHUVEC又はHAOECを用いて実施した(実験手順を参照)。数字は、NIH Image J解析プログラムを使用することによって定量化した処理の24時間後のひっ掻き領域中のフリー領域のパーセントを示す。 内皮スフェロイドの発芽及びHUVECの管形成は、CD44v6に依存する。 A:HUVECのスフェロイド(実験手順を参照)は、コラーゲン中に配置させて、示されるように処理した。発芽を48時間後に検査して、コンピュータプログラムImage Jで定量化した。 B:マトリゲル層の最上部上でのHUVECの血管形成及びそれらの定量化を、実験(experimantal)手順に記載されるように求めた。 アスタリスクは統計学的有意性を示す(p値0.05未満)。標準偏差は、3回の別個の実験から算出した。 ランゲルハンス島に対するHUVECの血管新生応答、及びin vivoでの脈管構造の形成はCD44v6を必要とする。 A:HUVECを、CD44v6特異的阻害剤の非存在下又は存在下で、生後8週〜9週で入手したRip1Tag2マウスの過形成性血管新生ランゲルハンス島とともにインキュベートした。血管新生応答を、右図の非血管新生小結節と比較した場合に左図で示す。定量化のために、60個の島を分析した。 B:マトリゲル/フィブリンマトリックスにおけるHUVECのスフェロイドを、成長因子(HGF又はVEGF−A165)及び示されるようなペプチド又は抗体と一緒に、SCIDマウスへ皮下注射した(実験手順を参照)。移植の21日後、マトリゲル/フィブリンプラグにおいて形成される微小血管の数を求めた。1つの条件につき最低3つの異なるプラグを分析した。 腫瘍に誘導される血管新生は、CD44v6ペプチド及び抗体により阻害される。 A:経時的にfpVCT(フラットパネル検出器ボリュームコンピュータ断層撮影法)データ組の3D再構成によりin vivoで可視化された腫瘍及び腫瘍血管。MDA−MB231細胞を、SCIDマウスへ同所に移植した(実験手順を参照)。1週後、マウスを対照IgG又はマウスCD44v6抗体で1週に3回、4週間処理した。図は、移植の3週後、4週後及び5週後の代表的な腫瘍保有動物を示す。小血管のより良好な表示(demonstration)のために、最終的なスキャン用に従来の造影剤Isovist 300の代わりに、血液プール剤eXia 160を使用した。腫瘍の局在化は、矢印によって示される。腫瘍を取り囲みかつ浸潤する小血管の密度は、対照と比較してCD44v6抗体で処理したマウスにおいて減少することに留意されたい。実験の定量結果を表1に示す。スケール棒:10mm。 B:ヒト膵がん細胞(L3.6pl)を、ヌードマウスにおいて同所に移植した(実験手順を参照)。1週後、マウスをPBS、対照ペプチド又はマウス特異的CD44v6ペプチドで1週に3回で3週間処理した。次に、動物を屠殺して、腫瘍切片を内皮マーカーCD31で染色した。代表的な染色を示す。5匹の動物から腫瘍体積、血管数及び平均血管サイズ(方法を参照)を求めて、結果をグラフに示す。
本発明はここで、下記実施例でさらに説明するが、これに限定されない。
実験手順:
細胞及び細胞培養
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC、Provitri GmbH、ドイツ、ベルリン)は、SupplementMix(Provitro GmbH、ドイツ、ベルリン)を添加した内皮細胞成長培地中で成長させた。ヒト大動脈内皮細胞(HAOEC、Promocell、ドイツ、ハイデルベルク)及びヒト心臓微小血管内皮細胞(HCMEC、Promocell、ドイツ、ハイデルベルク)は、製造業者の取扱説明書に従ってサプリメントを備えた内皮細胞成長培地MV(Prmocell、ハイデルベルク)中で成長させた。EC細胞は全て、9回を超えて継代培養させなかった(not passaged)。HEK293細胞(American Tissue Culture Collection、ATCC、ドイツ、ウェーゼル)及びエストロゲン非依存的ヒト乳がん細胞株MDA−MB231(American Type Culture Collection、メリーランド州ロックビル)は、10%FCS(PAA Laboratories、ドイツ、コエルバ(Coelbe))を添加したDMEM(Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ)中で成長させた。ラット膵癌細胞株BSp73AS及びそのトランスフェクタント(Bsp73ASs6)は、RMPI(Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ)+10%FCS中で成長させた。ドイツのミュンヘン大学のC. Bruns氏によりご厚意で提供されたヒト膵がん細胞株L3.6plは、10%FCS、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、L−グルタミン及び2倍ビタミン溶液(Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ)を添加したDMEM中に維持した。
抗体及び他の試薬
CD44v6に対するヒトモノクローナル抗体VFF18(14mer:KEQWFGNRWHEGYR、配列番号2)は、Bender(オーストリア、ウィーン)から入手した。汎CD44抗体IM7は、BD Biosciences(カリフォルニア州サンディエゴ)製のものであり、抗Erk 1(K−23)抗体は、Santa Cruz(ドイツ、ハイデルベルグ)製であった。リンVEGFR−2(Tyr1175)及びリンErk(リンp44/42)は、Cell Signaling Technology(イングランド、ベバリー)から購入した。VEGFR−2に対する抗体は、R&D Systems(ドイツ、ウィースバーデン)から又はSanta Cruz(ハイデルベルク)(クローンA−3)から入手した。HRPで標識した二次抗体は、Dako(ドイツ、ハンブルク)から購入した。VEGF−A165及びVEGF−A121は、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)で産生された。HGFは、George Vande Woude(Van Andel Institute、米国、グランド・ラピッズ)のご厚意による贈呈であった。v6ヒトペプチド(14mer)及び対照ペプチドは、Matzke他、「5−アミノ酸ペプチドはMet及びRon依存的細胞遊走を阻止する(A 5-amino-acid peptide blocks Met and Ron dependent cell migration)」(Cancer research 65: 6105-6110)に記載されている。v6マウスペプチドの配列は、QETWFQNGWQGKNP(配列番号3)であった。
構築物及びタンパク質産生
VEGFR−2発現プラスミドpBE hVEGFR−2は、フォワードプライマー:
GCTCTTCGGGGAGCAGCGATGGAGAGCAAGGTGCTGCTG(配列番号4)及びリバースプライマー:
GGAGGTTTTTTAAAGCAAGTAAAACCTTTATCACAGATCCTCTTCTGAGAGAG(配列番号5)を用いてPCRサブクローニング法によりヒトVEGFR−2をコードする配列を導入して、GFPリーディングフレームを除去することによって、Clontech(カリフォルニア州マウンテンビュー)製のpEGFP−C1ベクターから得た。
可溶性野生型及び突然変異GST−CD44細胞質ドメインをコードする構築物が記載されており、C. Isacke氏(Breakthrough Breast Cancer Research Center、英国、ロンドン)から入手した。ドミナントネガティブなエズリン(dnエズリン)発現構築物は、M. Arpin氏(Institute Pasteur、フランス、パリ)からの贈呈であった。ピチア・パストリスにおけるVEGF−A及びCD44v6外部ドメイン(CD44v6ECD)を産生するための発現ベクターは、Invitrogen(米国カリフォルニア州カールズバッド)製のpPICZαAベクター系を使用して生成した。発現ベクターは全て、PCRサブクローニング技術を用いて作製し、VEGF−A165を除く全ての組換えタンパク質が、アミノ末端に6つのヒスチジンタグを保有した。ピチア・パストリス株X33は、電気穿孔によりトランスフェクトして、ゼオシン耐性クローンを採取して(picked)、メタノール誘導時に導入遺伝子発現に関して試験した。分泌されたタンパク質を、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(IMAC)により酵母培養上清から精製して、Superdex 200(GE Healthcare、ドイツ、ミュンヘン)上で完全に精製した(polished)。
エクソン特異的RT−PCR
エクソン特異的RT−PCRは、Konig他、1996年、「トランス作動性因子はCD44スプライス変異体の発現を調節する(Trans-acting factors regulate the expression of CD44 splice variants)」(EMBO J. 15:4030-4039)に記載されるように、同じヒトプライマーを使用して実施した。
トランスフェクション
HEK293細胞を、製造業者のプロトコルに従って、6ウェルプレート中でリポフェクトアミン 2000(Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ)で一過的にトランスフェクトした。BSp73AS細胞及びBSp73ASs6細胞のトランスフェクションを電気穿孔により実施した。簡潔に述べると、3×10個の細胞を、氷上でベクターDNA 5μgと混合した。Gene Pulser(Bio-Rad、ドイツ、ミュンヘン)を使用して、250μF、0.28kVで4mm電気穿孔キュベット中で、電気穿孔を実施した。血清を含有する予め温めた培地を添加して、細胞を6ウェルプレート中に分配した。次に、細胞を24時間成長させ、血清を24時間飢餓状態にさせて、実験に使用した。
腫瘍細胞の注入
MDA−MB231細胞(動物1匹当たり1×10個)を亜集密的に収集して、PBSで洗浄して、PBS 50μl中で再懸濁した。皮膚切開を介して、インスリンシリンジを用いて、麻酔をかけた雌SCIDマウス(株C.B−17/Ztm−scid)の第4乳腺複合体の乳腺脂肪体へ非常にゆっくりと細胞を移植した。皮膚用の断続バイクリル縫合(5/0、Ethicon、ドイツ、ノルダーシュテット)を使用して、切開を閉塞した。腫瘍を1週間成長させ、続いて動物をグループに分割して(1グループ当たり6匹〜7匹の動物)、抗マウスCD44v6(クローン 9A4)、対照IgG(NatuTec、ドイツ、フランクフルト)、マウスv6ペプチド又は対照ペプチド 20μgで、1週間に3回、非経口処理した。腫瘍成長は、ノギスを使用して、又はfpVCT画像化により1週間に1回、モニタリングした(以下を参照)。腫瘍細胞移植の5週後に、動物を屠殺して、腫瘍を切除して、測定して、半分に分割して、免疫組織化学的分析用に4%ホルマリン又は亜鉛固定剤(0.1M Tris(pH7.4)中に0.5g/lの酢酸カルシウム、5g/lの酢酸亜鉛、5g/lの塩化亜鉛)中で24時間固定させた。L3.6plヒト膵がん細胞を同所に注入した。簡潔に述べると、小さな左腹部脇腹切開を行い、脾臓を露出させた。5×10個の細胞/40μl(ハンクス緩衝塩溶液、Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ)を、30ゲージ針を使用して脾臓の真下の膵臓の被膜領域へ注入した。注入の傍らに綿棒を1分間保持して、漏出を防いだ。出現してくる流動的な泡は、被膜膵臓内注入の成功の徴候とみなした。腫瘍細胞の移植の7日後、マウスをそれぞれ5匹のマウスのグループへと無作為に割り当てた:(1)PBS、(2)対照ペプチド(20μg/ml)、(3)CD44v6ペプチド(20μg/ml)を1週に3回注入。処理の開始の21日後に、動物を屠殺した。腫瘍体積は、長さ×高さ×幅÷2として算出した。組織は上述のように加工処理した。動物は全て、動物実験に関するドイツの規制に従って収容し、実験は全て、欧州及びドイツの法的規制に従って実施した。マウスは全て、Harlan(ドイツ)から入手した。
フラットパネル検出器ボリュームコンピュータ断層撮影法(fpVCT)画像化
マウスは、ノンクリニカルボリュームコンピュータ断層撮影法プロトタイプフラットパネル検出器(GE Global Research、米国ニューヨーク州ニスカユナ)により画像化した。簡潔に述べると、マウスを0.8%〜1%の気化イソフルランで麻酔して、系のz軸に対して垂直に配置した。スキャニングの30秒前に、ヨウ素含有造影剤Isovist 300(マウス1匹当たり150μl、Bayer-Schering、ドイツ、ベルリン)を静脈内に適用した。小さな血管のより良好な表示のために、Isovist 300を血液プール剤eXia 160(Binitio Biomedical Inc., カナダ、オタワ)で置き換え、それを解剖の当日にスキャンの90秒前に使用した。データ組は全て、同じプロトコルで取得した。1回転につき500回の表示(view)、回転時間4秒、360の使用検出器列、管電圧80kVp及び電流100mA。修正Feldkampアルゴリズムが画像再構成に使用され、等方性高解像度ボリュームデータ組(512×512マトリクス、およそ100£gmの等方性ボクセルサイズで)。腫瘍区分け及び体積推定に関して、voxtools 3.0.64 Advantage Workstation 4.2(GE Healthcare、英国)を用いて、データ組を解析した。
RTK及びErkの活性化
血清飢餓細胞(24時間)を、成長因子HGF(20ng/ml)を用いて37℃にて5分間、又はVEGF−A165又はVEGF−A121(40ng/ml)を用いて37℃にて8分間誘導した。示されている場合は、37℃で10分間の誘導(100μg/mlの抗CD44v6、100ng/mlのv6ペプチド又は100ng/mlの対照ペプチド、0.5μg/mlのCD44v6ECD)の前に、細胞をブロッキング試薬で処理した。細胞を氷冷PBSで洗浄した。活性化Erkを検出するために、100mM ジチオスレイトール(DTT)を含有する沸騰SDSサンプル緩衝液中に細胞を溶解させて、リン酸化Erkに対する抗体を使用して、ウェスタンブロット分析に付した。Erk負荷対照は、剥脱した同じブロット上で実施して(62.5mM Tris(pH6.8)、2%SDS、0.8%DTT)、Erk抗体でプローブした。活性化VEGFR−2を検出するために、細胞を還元性サンプル緩衝液中に溶解させて、SDS−PAGEゲルのブロットを、リン酸化VEGFR−2に対する抗体でプローブした。代替的には、溶解液(20mM Tris(pH 7.4)、1mM EDTA、1mM EGTA、1mM DTT、25mM NaCl、1.5% Triton X−100、10mM NaF、1mM PMSF、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、1mM アポロチニン及びロイペプチン)を調製した。遠心分離後、清澄な溶解液(12000rpmで15分間)をVEGFR−2抗体(クローン A−3、Santa Cruz、ドイツ、ハイデルベルク)又はマウスIgG対照(Santa Cruz、ドイツ、ハイデルベルク)とともに4℃で一晩インキュベートした後、プロテインA/Gアガロースビーズ(Merck、ドイツ、ダルムシュタット)とともに4℃で2時間、インキュベートした。ビーズを3回洗浄して、サンプル緩衝液中で沸騰させて、リン特異的VEGFR−2抗体を使用してウェスタンブロット分析に付した。負荷対照を得るために、ブロットを剥脱して、VEGFR−2抗体で再プローブした。ブロットは、増強した化学発光系(ECL、Thermo FIshcer Scientific Inc.,マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して染色した。ウェスタンブロット分析におけるバンドは、プログラムImage Jで定量化した。
共免疫沈降
共免疫沈降に関して、HUVEC(10cmプレート中に1.5×10個)は、上述するように各々のリガンドによって誘導させた。細胞を溶解緩衝液(25mM ヘペス(pH7.5)、100mM NaCl、10mM MgCl、1mM EDTA、10%グリセロール、1% Igepal、10mM NaF、1mM PMSF、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、1mMアポロチニン及びロイペプチン)中で氷上にて30分間インキュベートして、続いて12000rpmで20分間遠心分離した。免疫沈降に関して、清澄な溶解液を汎CD44に対する抗体(IM7)とともに4℃で一晩インキュベートした後、プロテインA/Gアガロースビーズ(Merck、ドイツ、ダルムシュタット)を用いて沈降させた。沈降物を溶解緩衝液中で3回洗浄して、ウェスタンブロット分析に付した。
スクラッチアッセイ
HUVEC及びHAOECをウェル1つ当たり2.5×10個の細胞の濃度で12ウェルプレート中に播種させた。24時間後、滅菌ピペットチップを使用して集密的な細胞層にスクラッチを作製した。培地を変えて、新鮮な培地又は100μg/mlの抗CD44v6、100ng/mlのv6ペプチド若しくは100ng/ml対照ペプチドを含有する培地と交換した。37℃で10分後に、成長因子(HGF(20ng/ml)、VEGF−A165又はVEGF−A121(40ng/ml))による誘導を実施した。Canon Power Shot S620デジタルカメラを使用して、誘導の24時間後に細胞の写真を撮った。コンピュータプログラムImage Jを定量的評価に使用した。スクラッチ中の細胞を含まない領域を測定した。スクラッチの閉塞の効率は、細胞を含まない領域のパーセントとして表わされる。
発芽アッセイ
HUVECのスフェロイドを懸滴中に生成させた。0.25%(wt/vol)メチルセルロースを含有する内皮細胞成長培地(Sigma、ドイツ、ハンブルク)中に懸濁させて、一晩インキュベートした(スフェロイド1個当たり:25μl中に750個の細胞)。穏やか遠心分離(5分、800rpm)によりスフェロイドを収集して、1mg/mlのラット尾コラーゲンI(BD Biosciences、マサチューセッツ州ベッドフォード)及び0.6%(wt/vol)メチルセルロースを含有する内皮細胞成長培地中で再懸濁させた。スフェロイド/マトリックス混合物を48ウェルプレート中に分配した(1ウェルあたり30個のスフェロイド)。37℃でのコラーゲンの凝固後に、スフェロイド/マトリックス混合物を内皮細胞成長培地で覆った。ブロッキング試薬(100μg/mlの抗CD44v6、100ng/mlのv6ペプチド又は100ng/mlの対照ペプチド)を添加して、スフェロイドをVEGF(40ng/ml)によって誘導した。48時間後に写真を撮った。
管形成アッセイ
1:1の比で内皮細胞成長培地と混合した成長因子低減マトリゲル(BD Biosciences、マサチューセッツ州ベッドフォード)で、48ウェルプレートをコーティングした。HUVECは、ウェル1つ当たり2.5×10個の細胞の濃度で、これらのマトリゲルでコーティングしたプレート上に播種した。ブロッキング試薬(100μg/mlの抗CD44v6、100ng/mlのv6ペプチド又は100ng/mlの対照ペプチド)を37℃で10分間添加した後、成長因子で誘導した。24時間後に写真を撮った。管形成の定量化は、コンピュータプログラムImage Jを使用して、1視野当たりの分岐点又は総血管長を計数することにより実施した。
コラーゲンゲルアッセイ
8週〜9週齢のRip1Tag2マウスから得られた血管新生過形成性ランゲルハンス島は、コラゲナーゼ灌流により単離した。HUVECはブロッキング試薬と混合して、24ウェルプレートにおいて三次元コラーゲンマトリックス中でこれらの島と共培養した(ウェル1つ当たり:コラーゲンマトリックス 350μl中に4×10個の細胞、5個の血管新生島)。3日に1回、新たなブロッキング試薬を添加した。5日〜7日後、血管新生島に対するECの応答を求めた。1つの条件当たりおよそ60個の島を分析した。
スフェロイドベースのin vivo血管新生アッセイ
このアッセイは、過去に記載されるように実施した(Alajati他、2008年、「マウスにおけるヒト脈管構造のスフェロイドベースの操作(Speroid-based engineering of a human vasculature in mice」(Nat Methods 5:439-445))。HUVECのスフェロイドを、100個の細胞を含有する懸滴(0.25%(wt/vol)メチルセルロースを含有する成長培地(Sigma、ドイツ、ハンブルク)25ml)中で生成させて、一晩インキュベートした。スフェロイドは、穏やか遠心分離(5分、800rpm)により収集して、内皮細胞成長培地で洗浄して、マトリゲル(成長因子は低減されている;BD Sciences、ドイツ、ハイデルベルク)600μl及び500ng/mlの濃度で成長因子HGF又はVEGF−A165を含有するフィブリノーゲン(最終濃度 2ml/ml、Calbiochem、英国、ビーストン)と混合した。CD44v6抗体(VFF18)又はペプチド20μgを混合物へ添加した後、トロンビン(0.4U、Carbiochem、英国、ビーストン)を添加した。混合物を、腹部正中部に対して側面の各側面上に4週〜6週齢のSCIDマウスへ皮下注入した。2日に1回、ブロッキング試薬(マウス1匹当たり20μg)を、マトリゲル/フィブリンプラグの近くに注入した。移植の21日後にマウスを屠殺して、プラグを回収して、免疫組織学的分析用に4%ホルムアルデヒド中で一晩固定した。
免疫組織化学的分析
固定後、マトリゲル/フィブリンプラグ又は腫瘍組織を加工処理して、パラフィン中に包埋した。パラフィンブロックの7μm切片を脱パラフィン処理して、再度水和させた。マトリゲル/フィブリンプラグ切片を、10%ヤギ血清(Dako、ドイツ、ハンブルク)で60分間ブロッキングした後、マウス抗ヒトCD34抗体(クローンQBEND/10、20μg/ml、2時間;Novocastra、英国、ニューカッスルアポンタイン)で染色した。次に、切片を、ヤギ抗マウスAlexa Fluor 488(Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ)とともに45分間インキュベートした。核をHoechst色素 33258(Sigma Aldrich、ドイツ、ハンブルク)で染色した。OlympusIX50倒立顕微鏡を使用して、完全マトリゲル/フィブリン領域の画像を撮影した。完全マトリックス領域中の蛍光構造を計数して、1mm当たりの血管数として算出した。腫瘍切片において、内因性ペルオキシダーゼを、PBS中の3%Hでブロックした後、アビジン/ビオチン(Dako、ドイツ、ハンブルク)とともにインキュベートした。ラット抗マウスCD31抗体とのインキュベーション(0.5μg/ml 4℃で一晩)の前に、非特異的結合を10%ウサギ血清(BD Biosciences、ドイツ、ハイデルベルク)で60分間ブロックした。続いて、切片をビオチン化ウサギ抗ラット抗体(2μ/ml、45分)とともにインキュベートした後、ストレプトアビジンペルオキシダーゼ結合体(conjugate)(Dako、ドイツ、ハンブルク)処理を行い、DAB基質系(3,3’−ジアミノベンジジン、Biozol、ドイツ、エヒング)で発色させた。コンピュータプログラムImage Jを用いて、染色した構造全てを、1mm当たりの血管数及び平均血管サイズに関して解析した。
定量化及び統計学的解析
定量化は全て、平均値±標準偏差(s.d.)として与えられる。各種条件間の差は、対応のあるスチューデントのt検定(ttest)により解析されて、p<0.05は、統計学的に有意であるとみなした。
実施例1:CD44v6は、VEGFR−2の活性化及び下流のシグナル伝達を制御する。
様々ながん細胞株及び原発性細胞において、c−Met活性化及びシグナル伝達は、CD44v6抗体及びペプチドによってブロックすることができる。CD44アイソフォームがECにおいても同様にc−Metに関する共受容体として作用し得るかどうかを試験するために、エクソン特異的RT−PCR分析によりHUVEC(ヒト臍帯静脈EC)におけるCD44変異体の発現プロフィールをまず検査した(Konig他、1996年、トランス作動性因子はCD44スプライス変異体の発現を調節する(Trans-acting factors regulate the expression of CD44 splice variant)」(EMBO J. 15:4030-4039))(図1A)。幾つかの変異体アイソフォームは実際に発現されている。興味深いことに、エクソンv6は、エクソンv7〜エクソンv10とともに(ラダーによって示されている)、またおそらく同様に単独でも(v6レーン中の低バンドにより示されている)発現されるようである。v6は、非依存的アイソフォームとして出現するエクソン3は、同時発現されないようであることに留意されたい。c−Metは、HUVEC中で活性化させることができ、実際に、ErkのHGF誘導性の活性化は、CD44v6抗体及びペプチドにより完全に抑止することができる(図1B)。
この結果は、ECでは、上皮細胞と同様に、CD44v6アイソフォームは、c−Metに関する共受容体として作用することを示唆している。血管新生に関与する最も顕著なRTKであるVEGFR−2の活性化に対するCD44v6抗体及びペプチドの効果もまた試験した。VEGFR−2は、VEGFファミリーの優勢なアイソフォームであるVEGF−A165で活性化された。最も興味深いことに、エクソンv6に対指向性がある抗体及びv6特異的ペプチドは、HUVECにおいてVEGFR−2の活性化及び下流のErKの活性化を抑止した(図1B及び図1C)。対照ペプチドは効果がなかった。
ECにおけるCD44v6に対するVEGFR−2及びc−Metの依存性を更に確認するために、それらの活性化に対する可溶性CD44v6外部ドメイン(CD44v6ECD)の効果を試験した。CD44v6ECDは、HGF及びVEGF−A165によって誘導されるErkの活性化を完全に抑止した(図1D)。対照的に、c−Metに関するその共受容体機能に役立つ3つのアミノ酸において突然変異させたCD44v6ECD(Matzke他、「5−アミノ酸ペプチドは、Met及びRon依存的細胞遊走を阻止する(A 5-amino-acid peptide blocks Met and Ron dependent cell migration」(Cancer research 65:6105-6110))は、いかなる効果もなかった(図1D)。エクソンv3を含有するCD44タンパク質は全て、ヘパラン硫酸(HS)により修飾することができる。この修飾は、FGF又はHB−EGFのような成長因子に結合するのに必要とされるようである。ヘパラン硫酸プロテオグリカンへの及びHS修飾CD44アイソフォームへのVEGF−165の結合についても記載されている。VEGFR−2の活性化に対するHS残基の要件に対処するために、HUVECを、エクソン6及びエクソン7を欠くVEGF−A121で活性化させた。エクソン7は、HSへの結合を請け負う。VEGF−A121はまた、HUVECにおいてVEGFR−2及びErkを活性化することができ(図1D及び図2A)、この活性化も同様に、CD44v6ECD(図1D)、CD44v6抗体及びペプチド(図2A)によって完全に阻止された。
さらに、VEGFR−2発現ベクターでトランスフェクトしたヒト腎臓癌細胞(HEK293細胞)では、CD44v6ペプチドはまた、VEGF−A165及びVEGF−A121によって誘導されるVEGFR−2の活性化を阻止した(図2B)。これらの結果は、VEGFR−2の活性化がHS修飾とは無関係に起こることを示唆する。
さらに、VEGFR−2活性化に関与するCD44v6アイソフォームは、HSにより修飾することができる唯一の配列であるv3配列(エクソンv6及びエクソンv3はRT−PCRにより示されるように同じCD44アイソフォーム上では同時発現されない、図1)を保有しないようである。VEGFR−2の活性化が実際にCD44のHS修飾に無関係であることを確認するために、c−Metの場合と同様に、エクソンv6を単独で含有するCD44変異体アイソフォームがVEGFR−2活性化にとって十分であるかどうかを試験した。VEGFR−2発現ベクターを、CD44のみを発現するラットBSp73AS膵癌細胞、又はCD44v6で安定的にトランスフェクトしたBsp73AS細胞(ASs6)のいずれかへ一過的にトランスフェクトさせた。VEGF−A165による処理時に、ASs6細胞のみが誘導性であった(図2C)。
したがって、変異体エクソンv6のみを含有するCD44変異体アイソフォームは、VEGFR−2共受容体として作用するのに十分であり、またこの共受容体機能は、HS修飾を必要としない。VEGFR−2に関するCD44v6の共受容体機能は、HUVEC又はHEK293及びVEGFR−2でトランスフェクトしたASs6のような幾つかの細胞型で観察することができる。
ヒト心臓微小血管EC(HCMEC)及びヒト大動脈EC(HAOEC)は原発性ECであり、ここで、CD44v6と、c−Met又はVEGFR−2との間のこの協働を同様に実証することができる(図3A及び図3B)。実際に、両方の細胞型において、ErkのVEGF−A165活性化は、CD44v6ペプチド又はCD44v6抗体による細胞の処理時に阻害される(図3)。対照ペプチド及び対照IgGは効果がなかった。CD44とVEGFR−2との間の協働は、これらのタンパク質が近接していることを示唆している。HUVECからの内因性CD44v6及びVEGFR−2の共沈降は、この仮定を確認する(図3C)。
興味深いことに、これらの2つの分子間の結合は構成的であり、かつリガンドVEGFの添加に非依存的であるようである。このことは、HGF誘導性であるCD44v6/c−Met結合と対照的である。c−Met受容体の場合、CD44共受容体は、シグナル伝達を促進するために、ERMタンパク質及び細胞骨格と結合する。CD44v6、c−Met、HGF、ERMタンパク質及び細胞骨格は、そのGEF SOSによるRasの活性化を可能にするシグナロソームを形成する。
このメカニズムがVEGFR−2の場合に関与するかどうかを試験するために、HEK293細胞をVEGFR−2及びCD44細胞質ドメイン発現ベクターで同時トランスフェクトして、このドメインが内因性CD44の活性と競合するかどうかを観察した。これは実際にその通りであった。CD44細胞質ドメインVEGFR−2の存在下で、Erkへのシグナル伝達は、VEGFR−2リン酸化自体に影響を及ぼさずに阻止された(図4A)。ERM結合配列において突然変異されたCD44細胞質ドメインの発現は、Erk及びVEGFR−2活性化に対して効果がなかった(図4A)。これらの実験から、VEGFR−2の活性化はCD44の細胞質ドメインに非依存的であるのに対して、シグナル伝達は、このドメイン及びERMタンパク質の結合を必要とすると結論付けることができる。
ERMタンパク質の関与に直接対処するために、HEK293細胞を、アクチン結合ドメインを欠いているエズリンドミナントネガティブ(dn)構築物と一緒に、VEGFR−2でトランスフェクトした(図4B)。エズリンのこの切断型もまた、ErkへのVEGF−A165及びVEGF−A121シグナル伝達を阻害して、同様にこのことも細胞骨格へのERMタンパク質の結合が、VEGFR−2からのシグナル伝達に必要とされることを示した。
結論として、CD44v6は、ECにおけるVEGFR−2に関する共受容体である。CD44v6抗体、ペプチド及びCD44v6ECDは、VEGFR−2活性化を阻止する。2つの分子は、共免疫沈降実験により実証されるように、構成的な複合体を形成する。さらに、CD44v6の細胞質ドメインは、ERMタンパク質及び細胞骨格を補充して、シグナル伝達を促進する。
実施例2:CD44v6ペプチド及び抗体は、VEGFに対するECの応答を阻止する。
血管新生プロセスは幾つかの工程を含み、最終的に新たな毛細血管の形成をもたらす。まず、血管周囲の基底層が局所的に破壊され、その結果、ECが間質を浸潤することができる。ECは増殖して、遊走して、最終的に互いに接着して、新たな細管を形成する。これらの工程の幾つかをin vitroで模倣することができる。スクラッチアッセイでは、ECの遊走を測定することができる。HGF及びVEGF−Aは、HAOECの遊走を誘導して、集密的な単層においてスクラッチの閉塞を導いた(図5)。v6ペプチド又は抗体の存在下で、このプロセスは強く阻害された。3H−チミジン取込みアッセイを使用した増殖の測定により、細胞が観察の期間に増殖していないことが明らかとなった(データは示さず)。HUVECを使用して同じアッセイを実施して、同様の結果を導いた(図5)。
ECは、メチルセルロース中で成長させる場合にスフェロイドを形成する特性を有する。VEGFA165及びVEGF−A121の存在下でコラーゲンへ移入されるHUVECからのスフェロイドは発芽した(図6A)。発芽は、CD44v6ペプチドによって強く阻害されたが、対照ペプチドによっては阻害されなかった(図6A、グラフ中での定量化)。最終的に、細管ネットワーク形成アッセイを使用して、新たな血管の確立におけるCD44の役割を試験した。HUVECを成長因子低減マトリゲル上で成長させて、v6ペプチド及び抗体の存在下又は非存在下でHGF、VEGF−A165又はVEGF−A121で処理した。
成長因子の非存在下では、予備ネットワークは、おそらくマトリゲル中の微量の成長因子に起因して観察することができる(図6B)。種々の成長因子による誘導は、ネットワークの密度を増加させた。CD44v6ペプチド又は抗体による処理は、ネットワークの形成を妨害する一方で、対照ペプチドは効果がなかった。このアッセイの定量化により、分岐点の数がHGFに関して50%にまで、またVEGF−A165及びVEGF−A121に関しては30%にまで劇的に低減することが明らかとなった(図6B)。血管の長さもまた、HGFに関して60%にまで、またVEGF−A165及びVEGF−A121に関してはおよそ45%にまで減少した。
結論として、スクラッチ閉塞、スフェロイド発芽及び細管ネットワーク形成のような各種アッセイは、HGF、VEGF−A165及びVEGF−A121に対するECの応答にはCD44v6が必要であることを実証している。
実施例3:Rip1Taq2マウスから単離した過形成性ランゲルハンス島により誘導される血管新生応答は、CD44v6に依存的である。
これまでに、幾つかの成長因子を別個に試験して、in vitroアッセイを使用してそれらの効果について観察してきた。ex−vivo実験も実施し、ここでは過形成性ランゲルハンス島をRip1Tag2マウスから単離し、HUVECとともにインキュベートさせた(図7A)。Rip1Taq2マウスモデルは、インスリノーマの十分規定されたモデルである。これらのトランスジェニック動物は、ラットインスリンプロモーター制御下でSV40ラージT抗原を発現し、膵臓のランゲルハンス島において単独でT抗原の発現をもたらす。多段階の腫瘍発達中に、過形成性島は、様々な血管新生因子の活性化によって腫瘍血管新生を徐々に誘導する。
ランゲルハンス島は、大部分が血管新生性である段階で単離され(8週〜9週齢のマウス)、CD44v6抗体又はペプチドの存在下で、それらをHUVECとともにインキュベートした。ランゲルハンス島からの血管新生因子の放出は、それらに対するHUVECの成長を促進する。CD44v6抗体又はペプチドの存在下では、ランゲルハンス島の血管新生活性は阻止された(図7A)。したがって、幾つかの成長因子が血管新生応答を媒介する場合でさえ、CD44v6の共受容体機能の阻止はこの応答を低減した。
実施例4:移植したECスフェロイドから血管のin vivoでの発達は、CD44v6ブロッキング試薬による処理時に損なわれる。
ヒト脈管構造は、SCIDマウスの脇腹への移植時にマトリゲル/フィブリン中に成長因子と一緒に包埋されたヒトスフェロイドから操作することができる。このアッセイを使用して、CD44v6がこの脈管構造の発達に関与するかどうかを試験した。CD44v6ペプチド又は抗体(又は対照ペプチド若しくはIgG)と一緒にHGF又はVEGF−A165のいずれかを含有するマトリゲル/フィブリン中に包埋されたHUVECスフェロイドを、SCIDマウスの脇腹へ皮下注入した。ヒトCD34抗体によるマトリゲル/フィブリンプラグの染色により、ヒト血管ネットワークの形成を3週後に求めた。HGF及びVEGFはともに、いずれの成長因子の非存在下では検出不可能であった(データは示さず)血管形成を誘導した(図7B)。CD44v6ペプチド及びv6特異的抗体は、50%を上回って血管新生応答を有意に低減させた(図7B)。したがって、同様にこのアッセイでは、血管新生応答は、CD44v6に依存的である。さらに、これらの結果により、HGFが血管新生因子として作用することができることが確認される。
実施例5:乳腺腫瘍及び膵臓腫瘍の血管新生化はCD44v6を必要とする。
腫瘍誘導性の血管新生がCD44v6ペプチド及び抗体により抑圧することができるかどうかを証明するために、ヒト乳癌(MDA−MB231)及びヒト膵癌細胞(L3.6pl)を使用した。細胞はともに、マウスにおいて同所にあるヒト腫瘍における血管新生を研究するのに既に使用されている(MDAMB231:、L3.6pl:)。MDA−MB231細胞は、SCIDマウスの乳腺脂肪体へ移植されたのに対して、L3.6pl細胞は、SCIDマウスの膵臓の尾へ注入した。1週後、CD44v6ペプチド又は抗体(又は対照ペプチド若しくは対照IgG)を、1週間につき3回をMDA−MB231腫瘍の場合には4週間、又はL3.6pl腫瘍の場合には3週間、腹腔内投与した。
これまでは、CD44v6ヒトペプチド及びヒト抗体を使用して、ヒトECを標的としてきた。しかしながら、腫瘍モデルでは、マウス特異的抗体及びペプチドを使用した。CD44v6ペプチドは種特異的であり、交差反応しない。特に、同所性腫瘍モデルで使用されるCD44v6ペプチド及びCD44v6抗体は、腫瘍細胞(ヒト)上でのCD44機能を妨害しなかった。したがって、それらは、宿主ECの血管新生のみを標的とした。MDA−MB231腫瘍の場合、CD44v6抗体又は対照IgGのいずれかで処理した2つの動物群を、フラットパネル検出器ボリュームコンピュータ断層撮影法(fpVCT)を使用して検査して、経時的な腫瘍成長及び腫瘍血管新生化を追跡した。実験の終了時に、腫瘍を全ての動物から単離して、切片を作製して、CD31抗体で染色した。血管密度及び血管長を、染色した切片から推定した。MDA−MB231腫瘍に関して、腫瘍成長は、マウスCD44v6ペプチド又は抗体により影響を受けなかった(データは示さず)。同様に、平均血管サイズは、CD44v6ツールにより影響を受けなかった(表1)。対照的に、微小血管密度は、CD44v6ペプチドによって1mm当たり240個から183個へ、また抗体により1mm当たり247個から220個へ有意に減少した(表1)。同様に、腫瘍を取り囲みかつ浸潤する小血管の減少が、抗体で処理したマウスにおいてfpVCTによって観察された(図8A)。この減少は、移植の3週後には既に見ることができ、5週後の実験の終了まで続けることができた(図8A)。
対照的に、CD44v6ペプチドの劇的な阻害効果は、L3.6pl細胞から確立されたヒト膵臓腫瘍の成長に関して既に観察されていた:腫瘍サイズが10パーセントへ低減された(図8B)。さらに、同様に血管密度及び血管サイズは、CD44v6ペプチドによる処理時に60%を上回って減少した(図8B)。これらのデータにより、この膵臓腫瘍の成長は、血管脈管構造の確立に特に依存的であることが示唆される。結論として、CD44v6ペプチド及び抗体は、幾つかのEC上でVEGFR−2の活性化及びシグナル伝達を阻止するだけでなく、それにより様々な試験系において細管伸長及びEC遊走を妨害し、またそれらはin vivoでの腫瘍誘導性の血管形成を阻止することが示される。
表1:CD44v6ペプチド及び抗体による腫瘍誘導性の血管の阻害
SCIDマウスへのMDA−MB231細胞の注入、及び続く処理は、図7Aに記載するように実施した。腫瘍切片をCD31特異的抗体で染色して、血管数及びサイズを計数した。数は、5匹の動物それぞれのカウントを反映する。
Figure 2012530735
上記実験では、ECにおけるc−Met及びVEGFR−2のそれらの各々のリガンドによる活性化は、変異体エクソンv6を含有するCD44アイソフォームに厳密に依存していることが示されている。HUVECでは、CD44v6特異的抗体、v6ペプチド及びCD44v6ECDは、c−Met及びVEGFR−2の両方の活性化、並びに続くEC遊走、スフェロイド発芽及び細管形成の誘導を抑止する。共免疫沈降研究により、VEGFR−2及びCD44v6は複合体を形成し、互いに構成的に結合されるようであることが示される。CD44v6に対するVEGFR−2の依存性はHUVECだけでなく、HAOEC及びHCMECにも当てはまり、VEGFR−2を発現するようにトランスフェクトされた他の細胞(HEK293細胞及びASs6細胞)でシミュレートすることができる。
HGF及びc−Metはまた、血管新生でも重要であるため、それらがEC細胞においても同様にCD44v6アイソフォームと協働するかどうかを検査した。CD44v6特異的ペプチド及びCD44v6抗体は、EC上でc−Met活性を実際に阻止することができ、ECによるHGF誘導性遊走及び細管形成が損なわれる。最も興味深いことに、このペプチド及び抗体は、VEGF誘導性VEGFR−2活性化も阻止した。さらに、CD44と結合するERMタンパク質は、VEGFR−2からのシグナル伝達を調節する。したがって、CD44の作用メカニズムは、c−Met及びVEGFR−2活性化の両方に関して非常に類似しているようである。実際に、CD44v6は、in vitroで及び更には腫瘍において、血管の形成を含む生理学的変化を制御する。
VEGFR−2の活性化が、へパリン非結合性VEGF−A121によっても誘導され得ること、及びこの活性化はまたCD44エクソンv6に依存することが上記で実証されている。さらに、ECはCD44エクソンv3及びエクソンv6を発現するが、これらのエクソンは、RT−PCR分析から推測されるのと同じタンパク質上に存在しないようである。最終的に、VEGFR−2の活性化は、CD44v6及びCD44sだけでなく、CD44v3ヘパリン硫酸化型も発現するBSp73ASs6細胞において観察された。これらの結果により、VEGFR−2の活性化自体は、HSを依らない可能性があることが示される。しかしながら、HSへの結合は、本格的な血管新生応答には必要とされるようである。VEGFR−2、VEGF、ニューロピリン及びCD44v6間の協働は、本格的な血管新生応答に関与する可能性が高い。
VEGFR−2に関するCD44v6の共受容体機能は、2つの異なる同所性腫瘍モデル上でのCD44v6ペプチド及びCD44v6抗体の効果により示されるように、腫瘍血管新生において非常に関係している。ヒト乳癌MBA−MD231細胞に由来する腫瘍におけるCD44v6の阻止は、微小血管密度に対して有意な効果があるのに対して、平均血管サイズ及び腫瘍成長速度は影響を受けない。L3.6pl細胞に由来するヒト膵臓腫瘍では、腫瘍サイズ並びに微小血管密度及び平均血管サイズは、CD44v6ペプチドによる処理後に劇的に低減する。これらの2つの腫瘍系の異なる応答は、がん細胞の固有の特性に起因し得る。可能性の1つは、両方の場合で産生される血管新生因子が異なるということである。CD44v6は、c−Met、VEGFR−2、Trk及びRTKのEGFRファミリーの特定成員に関する共受容体としてだけでなく、PDGFR又はFGFRに関する共受容体としても作用することができるため、ブロッキング試薬の効果は、どの血管新生成長因子が産生されるかに従って異なる。CD44アイソフォームが血管新生に関係するという本明細書での見解は、腫瘍形成におけるCD44の役割に新たな側面を付け加えている。
配列番号4:プライマー
配列番号5:プライマー

Claims (10)

  1. 個体における眼疾患の予防及び/又は治療における使用のための配列番号2又は配列番号1のアミノ酸7〜11により表示されるアミノ酸配列を含むペプチド化合物、又はその機能的に活性な誘導体、又はその薬学的に許容される塩。
  2. 前記ペプチド化合物が配列番号2を含む、請求項1に記載のペプチド化合物。
  3. 前記ペプチド化合物が配列番号1を含む、請求項1に記載のペプチド化合物。
  4. 前記眼疾患が、VEGFR−2の過剰発現に関連する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  5. 前記眼疾患が、内皮細胞の過剰増殖に関連する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  6. 前記眼疾患が、黄斑変性症又は糖尿病性網膜症である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  7. 前記個体が哺乳動物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  8. 前記ペプチド化合物が、配列番号2のアミノ酸7〜11により表示されるアミノ酸配列を含み、前記個体がヒトである、請求項1、請求項2及び請求項4〜7のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  9. 前記ペプチド化合物が、配列番号1のアミノ酸7〜11により表示されるアミノ酸配列を含み、前記個体がラットである、請求項1及び請求項3〜7のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  10. 前記ペプチド化合物が、環状ペプチド又はその薬学的に許容される塩である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
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