JP2013015018A - タービン静翼の設計方法、タービン静翼、およびそれを用いた蒸気タービン装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低アスペクト比のタービン静翼において、側壁損失を低減し、段落効率を向上させることができるタービン静翼を提供することを目的とする。
【解決手段】軸流タービンのタービン静翼であって、タービン静翼は低アスペクト比静翼であり、翼高さ方向翼根元から翼先端に向けて弧状に形成されたs/t値(s:スロート長 t:ピッチ長)分布を有し、s/t値を、翼高さ方向中央部と翼先端との間で最大とし、かつ翼根元で最小とし、翼先端のs/t値を、s/t値の最大値と最小値との中間値以上、かつs/t値の最大値未満とし、最大s/t値の65%以上フリーボルテックス設計時の翼根元のs/t値未満としたことを特徴とするタービン静翼。
【選択図】 図4
【解決手段】軸流タービンのタービン静翼であって、タービン静翼は低アスペクト比静翼であり、翼高さ方向翼根元から翼先端に向けて弧状に形成されたs/t値(s:スロート長 t:ピッチ長)分布を有し、s/t値を、翼高さ方向中央部と翼先端との間で最大とし、かつ翼根元で最小とし、翼先端のs/t値を、s/t値の最大値と最小値との中間値以上、かつs/t値の最大値未満とし、最大s/t値の65%以上フリーボルテックス設計時の翼根元のs/t値未満としたことを特徴とするタービン静翼。
【選択図】 図4
Description
本発明は、軸流タービンの静翼、特に低アスペクト比のタービン静翼に係る。
軸流タービンにおいては、性能向上を目的とした種々の技術が採用されており、高い効率を実現している。タービンの性能向上を実現するためには、タービン内部の圧力、段落、排気、機械等の各損失を低減させることが必要不可欠となる。中でも、段落損失のうち、側壁損失はタービンの各段落に共通する損失である。この損失は、二次流れの影響により、翼前縁より発生する渦が翼間にて発達し、流路渦を形成することが主な原因である。
一般的に、軸流タービンのタービン翼では、翼根元から翼先端に向けて、スロート長sとピッチ長tで構成されるs/tが徐々に大きくなる直線状のs/t分布を用いたフリーボルテックス設計が古くから採用されている。
しかし、上記フリーボルテックス設計では、翼列内の翼間に生じる二次流れや渦流等により側壁損失が発生しやすく、段落損失が増大しやすい。
そこで、例えば特許文献1に記載された技術のように、タービン翼のスタッキングを翼高さ方向に変化させ、s/t分布を変化させることで、二次流れや渦流の影響を低減し、側壁損失を低減する技術が提案されている。
ところで、翼高さと翼弦長の比であるアスペクト比が比較的小さい低アスペクト比のタービン静翼では、翼先端および翼根元より発達する二次流れが互いに干渉し、より乱れの大きい流れが発生する場合がある。特に、アスペクト比が概ね1.0以下の場合に、翼先端及び翼根元の二次流れが互いに翼高さ方向で干渉する場合が多い。
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、低アスペクト比翼で構成された低アスペクト比段落特有の流れについて考慮したものではない。
そこで、本発明は、低アスペクト比のタービン静翼であって、段落効率を向上させることができるタービン静翼を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、低アスペクト比タービン静翼の設計方法において、翼高さ方向のスロート比とピッチ長の比で構成されるs/t(s:スロート長 t:ピッチ長)値分布を、翼根元から翼先端まで弧状の曲線を描くように分布させ、翼根元でs/t値を最小とし、翼中央と翼先端との間で前記s/t値を最大とする。
本発明によれば、低アスペクト比のタービン静翼であって、段落効率を向上させることができるタービン静翼を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。なお、各図面を通し、同等の構成要素には同一の符号を付してある。
以下、本発明の一実施例として、本発明のタービン静翼を蒸気タービンの低アスペクト比静翼に適用した例について説明する。
図1は、本実施例に係る蒸気タービン段落部の要部構造を示した断面図である。図2は、一般的な低アスペクト比タービン静翼の翼列構造を示した斜視図である。図3は、図2に示した翼列構造の翼間に発生する渦流を模式的に表した図である。図4は、本実施例に係るタービン静翼の翼高さ方向のs/t値分布を示したグラフである。
図1に示すように、本実施例に係る蒸気タービンのタービン段落は、ダイヤフラム外輪1とダイヤフラム内輪2との間にタービン周方向に列設された静翼3と、静翼3の蒸気流れ方向下流側(以下、単に下流側と記載する)に対向して、タービンロータ4に周方向に列設された動翼5とから構成される。動翼5のタービン半径方向外周側(以下、単に外周側と記載する)の先端にはシュラウド6が設けられ、対向する静止体との間にシール構造(図示せず)が設けられている。
作動流体である蒸気主流7は、静翼3の前縁部8より翼間を通過し、後縁部9から流出する。蒸気タービンは、静翼3から流出した蒸気主流7を下流側の動翼5に衝突させることで、タービンロータ4を回転させ、タービンロータ4の端部に接続する発電機(図示せず)によって回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う。
図2に、本実施例との比較例として一般的な低アスペクト比静翼の翼列構造を示す。静翼3は、ダイヤフラム外輪1とダイヤフラム内輪2との間に、周方向に複数枚列設されている。静翼3は、翼根元10側をダイヤフラム内輪2に固定され、翼先端11側をダイヤフラム外輪1に固定される。また、静翼3は、翼列内に設置される翼枚数から決定される、タービン周方向に隣り合う翼の間隔長さt(ピッチ長)を用いて、等間隔に設置される。ここで、静翼3aの翼後縁部と隣り合う静翼3bとの最短長さsをスロート長という。
図3に、図2に示した翼列構造の翼間に発生する蒸気流の渦を模式的に示す。なお、ダイヤフラム外輪1および内輪2は図示を省略する。
静翼3は、翼腹側に形成される圧力面12、および翼背側に形成される負圧面13を有する。蒸気主流7は、静翼3の前縁部8より供給され、圧力面12と負圧面13との間に形成される翼間流路14を通過し、後縁部9より流出する。蒸気主流7が翼間流路14を通過する際、翼間に圧力勾配が生じる。このため、圧力面12から負圧面13へ向かう二次流れ15が生じる。また、前縁部8より蒸気主流7が翼間流路14に流入し、圧力面12と負圧面13に渦が発生する。この内、圧力面12に存在する渦は、翼間流路内で発達しながら、流路渦16を形成し、また、二次流れ15の影響を受け、負圧面13へ移動する。流路渦16は、翼根元10および翼先端11でそれぞれ発生する。アスペクト比が小さい静翼、特にアスペクト比が1.0以下の低アスペクト比静翼で構成される翼列構造では、翼根元10および翼先端11でそれぞれ発生した流路渦16が、相互に干渉し合い、乱れの大きい流れを形成している。この流路渦16は、本来タービン翼が行うべき仕事の効率低下を招き、側壁損失の大きな要因となる。
図4に、本実施例に係るタービン静翼の翼高さ方向のs/t値分布を実線で、従来のフリーボルテックス設計によるs/t値分布を点線で示す。図4において、横軸はスロート長sとピッチ長tの比であるs/t値を表す。また、縦軸は翼高さを表す。
フリーボルテックス設計では、s/t値は、翼根元から翼先端に向かって一定の割合で徐々に大きくなり、直線状に分布する。
一方、本実施例に係るタービン静翼では、s/t値は翼根元から翼先端にむけて弧状に分布する。より詳細には、s/t値は、翼根元で最小となり、翼先端に向けて弧を描くように徐々に大きくなり、スパン中央(翼中央)と翼先端との間で最大となり、翼先端に向けて再び弧を描くように徐々に小さくなる。翼先端のs/t値は、最大s/t値と最小s/t値との中間値以上、最大s/t値未満とする。一方、翼根元の最小s/t値は、最大s/t値の65%以上、フリーボルテックス設計時の翼根元のs/t値未満とする。この範囲内に収まるように、かつ、翼先端スロート長、翼根元スロート長、翼負圧面、ならびに、後縁部で構成される翼間流路断面積が、本実施例の値と、フリーボルテックス設計時の翼間流路断面積の値とで等しくなるように、分布曲線の弧の形状、翼先端スロート長、および翼根元スロート長は決定される。
よって、本実施例に係るタービン静翼のs/t値分布曲線は、翼根元の最小s/t値から最大s/t値まで徐々に大きくなり、最大s/t値を持つ位置から翼先端まで徐々に小さくなる、上側に凸する弧状曲線で表される。
図5に、フリーボルテックス設計によるタービン静翼の翼列構造および翼間流路断面を表す。図6に、本実施例に係るタービン静翼の翼列構造および翼間流路断面を示す。図7に、本発明の一実施例に係るタービン静翼の翼間流路断面積とフリーボルテックス設計によるタービン静翼の翼間流路断面積とを比較した図を示す。
前述したように、本実施例の翼間流路断面積は、フリーボルテックス設計時の翼間流路断面積と等しい。一方で、本実施例の翼間流路断面は、翼根元からスパン中央部に向かって流路幅(スロート長)が大きくなり、スパン中央部と翼先端との間で流路幅は最大となり、その後、先端に向かって再度狭くなるように形成される。
図8に、本実施例に係るタービン静翼の静翼出口流量の翼高さ方向分布を示す。図4に示したフリーボルテックス設計時のタービン静翼の出口流量分布を点線で示し、本実施例に係るタービン静翼の出口流量分布を実線で示す。図8に示したように、フリーボルテックス設計によるタービン静翼では、静翼出口を流れる蒸気の流量は、翼根元から翼先端に向けて略一定に分布している。一方、本実施例に係るタービン静翼は、s/t値をスパン中央から翼先端の間で最大とする分布としたため、スパン中央から翼先端の間で静翼出口流量が増大する。流量の増大は、軸流速度の増大に繋がる。従って、本実施例に係るタービン静翼では、スパン中央から翼先端までの間の蒸気の軸流速度が増加する。
図9に、本実施例に係るタービン静翼の効率分布を示す。実線で示されたグラフが、本実施例に係るタービン静翼の効率分布であり、点線で示されたグラフが、図4に示したフリーボルテックス設計時のタービン静翼の効率分布である。図9によれば、フリーボルテックス設計によるタービン静翼と比較して、本実施例に係るタービン静翼ではスパン中央部から翼先端にかけて効率が改善されていることが分かる。
本発明によれば、低アスペクト比タービン静翼において、静翼の先端側に流量を多く配分でき、それにより動翼に流入する際、動翼スパン中央部から翼先端にかけて流量を多く配分することができる。よって、当該領域において、効率向上することができ、翼高さ方向に流量平均した結果、段落効率を向上させることができる。
次に、図10に、本実施例に係るタービン静翼における、最大s/t値の位置に対する効率改善量を示す。縦軸は、本発明を適用した場合の効率改善量を図4に示したフリーボルテックス設計によるタービン静翼からの相対値で示し、本発明を適用した場合の効率改善量の最大値にて無次元化した値を示す。図10によれば、本発明は、最大s/t値の位置が、特に翼根元から翼高さ全体の75%から95%まで範囲にあるとき、最も効果的に作用することが分かる。なお、これまで説明に用いてきたs/tを、タービン静翼の幾何学的な角度を表す翼出口角sin-1(s/t)と置き換えても同様な効果を得ることができる。
図11は、本発明のタービン翼を適用した蒸気タービンのシステム図である。
図11に図示するように、蒸気タービンでは、ボイラー等の蒸気発生器(図示せず)で加圧・加熱された蒸気を主蒸気配管17に通して高圧タービン18に送る。高圧タービン18にて仕事をした蒸気は、再熱器19で再び加熱された後、中圧タービン20へと送られ、仕事を行う。中圧タービン20から排出された蒸気は、クロスオーバ管(連絡管)21を通り、低圧タービン22aおよび22bに送られ、仕事を行う。高圧タービン18、中圧タービン20、低圧タービン22は、回転可能なタービンロータ23で機械的に連結されており、タービンロータ23に連結された発電機24によって、回転仕事を電力に変換する。低圧タービン22aおよび22bから排出された蒸気は、さらに下流に設置された復水器(図示せず)に導入され、そこで凝縮されて復水となり、再び蒸気発生器に還流する。
3 静翼
5 動翼
7 蒸気主流
10 翼根元
11 翼先端
12 圧力面
13 負圧面
14 翼間流路
15 二次流れ
16 流路渦
17 主蒸気配管
18 高圧タービン
20 中圧タービン
22 低圧タービン
24 発電機
5 動翼
7 蒸気主流
10 翼根元
11 翼先端
12 圧力面
13 負圧面
14 翼間流路
15 二次流れ
16 流路渦
17 主蒸気配管
18 高圧タービン
20 中圧タービン
22 低圧タービン
24 発電機
Claims (5)
- タービン静翼の設計方法において、
前記タービン静翼は、低アスペクト比のタービン静翼であり、
翼高さ方向のスロート比とピッチ長の比で構成されるs/t値(s:スロート長 t:ピッチ長)分布を、翼根元から翼先端まで弧状の曲線を描くように分布させ、翼根元でs/t値を最小とし、翼中央と翼先端との間で前記s/t値を最大とすることを特徴とするタービン静翼の設計方法。 - 前記s/t値を、前記タービン静翼の翼長に対して前記翼根元より75%以上95%以下の翼高さ位置で最大とすることを特徴とする請求項1記載のタービン静翼の設計方法。
- 軸流タービンのタービン静翼であって、
前記タービン静翼は低アスペクト比静翼であり、
翼高さ方向翼根元から翼先端に向けて弧状に形成されたs/t値(s:スロート長 t:ピッチ長)分布を有し、
前記s/t値を、翼高さ方向中央部と翼先端との間で最大とし、かつ前記翼根元で最小とし、
前記翼先端の前記s/t値を、前記s/t値の最大値と最小値との中間値以上、かつ前記s/t値の最大値未満とし、
最大s/t値の65%以上、フリーボルテックス設計時の翼根元のs/t値未満としたことを特徴とするタービン静翼。 - 前記s/t値を、前記タービン静翼の翼長に対して前記翼根元より75%以上95%以下の翼高さ位置で最大とすることを特徴とする請求項3記載のタービン静翼。
- 水を加熱して蒸気を生成する蒸気発生器と、該蒸気発生器で生成した前記蒸気で駆動するタービンと、該タービンを駆動した前記蒸気を復水する復水器とを備える蒸気タービン装置であって、
翼高さ方向翼根元から翼先端に向けて弧状に形成されたs/t値(s:スロート長 t:ピッチ長)分布を有し、
前記s/t値を、翼高さ方向中央部と翼先端との間で最大とし、かつ前記翼根元で最小とし、
前記翼先端の前記s/t値を、前記s/t値の最大値と最小値との中間値以上、かつ前記s/t値の最大値未満とし、
最大s/t値の65%以上フリーボルテックス設計時の翼根元のs/t値未満とした低アスペクト比タービン静翼を有する前記タービンを備えることを特徴とする蒸気タービン装置。
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| JP2009223604A JP2013015018A (ja) | 2009-09-29 | 2009-09-29 | タービン静翼の設計方法、タービン静翼、およびそれを用いた蒸気タービン装置 |
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