JP2013048155A - 金属ベース基板の製造方法及び液晶ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス工程での圧力が低くても、熱伝導性と耐電圧性に優れた液晶ポリエステルフィルム及びこれを備えた金属ベース基板を製造できる製造方法の提供。
【解決手段】液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、導電箔13上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層12’を形成し、導電箔13及び液晶ポリエステル含有層12’をプレスし、プレス後の液晶ポリエステル含有層12’を加熱処理して、導電箔13上に絶縁層12を形成し、加熱プレスにより、絶縁層12上に金属層11を設けて、金属ベース基板1とする。また、金属ベース基板1から、導電箔13及び金属層11を除去して、液晶ポリエステルフィルムを得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱伝導性と耐電圧性に優れた金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムの製造方法に関する。
近年、パワートランジスタやハイブリッドIC等の電子部品で高密度実装化が進んでいるのに対応して、これら電子部品の動作を安定させることを目的とし、これら電子部品で発生した熱の拡散、すなわち放熱を効率的に行うための、金属ベース基板や放熱フィルム等の放熱材の開発が進められている。
前記金属ベース基板は、電子部品の実装時に用いられるものであり、金属層と導電箔との間に、これらを電気的に絶縁するための、熱伝導性を有する絶縁層が設けられたものである。また、前記放熱フィルムは、電子部品から放熱フィン等の放熱部品に熱伝導させるために、これらの間に設けられるものである。
金属ベース基板は、例えば、導電箔上に絶縁層を設け、絶縁層上に金属層を重ねてプレスすることにより製造できる。放熱フィルムも同様に製造でき、例えば、一方の基材上に絶縁層を設け、絶縁層上に他方の基材を重ねてプレスして、絶縁層を放熱フィルムとした後、両面の基材を除去することにより製造できる。
一方、前記絶縁層及び放熱フィルム(以下、これらをまとめて「絶縁層等」という。)としては、同様のものを用いることができ、例えば、熱伝導充填材として窒化ホウ素や酸化アルミニウムを含むシリコーンゴム及びエポキシ樹脂等が提案されている(特許文献1参照)。また、樹脂成分として液晶ポリエステルを用いることで、エポキシ樹脂等の汎用樹脂を用いた場合よりも、熱伝導率を向上させることが提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−60134号公報 国際公開第10/117023号
しかし、特許文献1及び2に記載のように、絶縁層等が熱伝導充填材を含む場合には、金属ベース基板や放熱フィルムの製造時に、上記のようなプレス工程で高い圧力が必要になるという問題点があった。プレス工程での圧力が低いと、絶縁層等の熱伝導性や耐電圧性が低下して、放熱性や信頼性が低下してしまうからである。また、プレス工程での圧力が高い場合、金属ベース基板や放熱フィルムの生産性が低くなってしまうという問題点があった。そこで、放熱効果が高い放熱フィルムとして、熱伝導充填材を含む液晶ポリエステルフィルムや、このようなフィルムを絶縁層として備えた金属ベース基板について、プレス工程での圧力を低くして製造する方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス工程での圧力が低くても、熱伝導性と耐電圧性に優れた液晶ポリエステルフィルム及びこれを備えた金属ベース基板を製造できる製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、液晶ポリエステル及び熱伝導充填材を含有する絶縁層、導電箔並びに金属層を備えた金属ベース基板の製造方法であって、前記液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、前記導電箔上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層を形成する乾燥工程と、前記導電箔及び液晶ポリエステル含有層をプレスする第一プレス工程と、前記第一プレス工程後の前記液晶ポリエステル含有層を加熱処理して、前記導電箔上に絶縁層を形成する加熱処理工程と、加熱プレスにより、前記絶縁層上に金属層を設ける第二プレス工程と、を有することを特徴とする金属ベース基板の製造方法を提供する。
本発明の金属ベース基板の製造方法においては、前記第一プレス工程におけるプレスが、60〜250℃での加熱プレスであることが好ましい。
本発明の金属ベース基板の製造方法においては、前記液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量が5〜15質量%であることが好ましい。
本発明の金属ベース基板の製造方法においては、前記熱伝導充填材が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
本発明の金属ベース基板の製造方法においては、前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
本発明の金属ベース基板の製造方法においては、前記液晶ポリエステルが、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記一般式(1)で表される繰返し単位を30〜80モル%、前記一般式(2)で表される繰返し単位を10〜35モル%、前記一般式(3)で表される繰返し単位を10〜35モル%有することが好ましい。
本発明の金属ベース基板の製造方法においては、前記一般式(3)において、X及び/又はYがイミノ基であることが好ましい。
また、本発明は、熱伝導充填材を含有する液晶ポリエステルフィルムの製造方法であって、液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、第一の耐熱性基材上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層を形成する乾燥工程と、前記第一の耐熱性基材及び液晶ポリエステル含有層をプレスする第一プレス工程と、前記第一プレス工程後の前記液晶ポリエステル含有層を加熱処理して、前記第一の耐熱性基材上に液晶ポリエステルフィルムを形成する加熱処理工程と、加熱プレスにより、前記液晶ポリエステルフィルム上に第二の耐熱性基材を設ける第二プレス工程と、前記第一及び第二の耐熱性基材を除去して、液晶ポリエステルフィルムを得るフィルム化工程と、を有することを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、プレス工程での圧力が低くても、熱伝導性と耐電圧性に優れた液晶ポリエステルフィルム及びこれを備えた金属ベース基板を製造できる製造方法を提供できる。
金属ベース基板を例示する概略断面図である。 本発明に係る金属ベース基板の製造方法を説明するための概略断面図である。 図2に示す製造方法において、導電箔及び液晶ポリエステル含有層をプレスする方法を説明するための概略断面図である。
<金属ベース基板の製造方法>
本発明に係る金属ベース基板の製造方法は、液晶ポリエステル及び熱伝導充填材を含有する絶縁層、導電箔並びに金属層を備えた金属ベース基板の製造方法であって、前記液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、前記導電箔上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層を形成する乾燥工程と、前記導電箔及び液晶ポリエステル含有層をプレスする第一プレス工程と、前記第一プレス工程後の前記液晶ポリエステル含有層を加熱処理して、前記導電箔上に絶縁層を形成する加熱処理工程と、加熱プレスにより、前記絶縁層上に金属層を設ける第二プレス工程と、を有することを特徴とする。プレス工程を二回行い、それぞれのプレス工程での圧力を低くすることで、熱伝導性と耐電圧性に優れた金属ベース基板が得られる。
以下、図面を参照しながら、本発明について工程ごとに詳細に説明する。なお、本明細書において「フィルム」とは、特に断りの無い限り、極薄のフィルムから肉厚のシートまでを包含するものとする。
図1は、金属ベース基板を例示する概略断面図である。
ここに示す金属ベース基板1は、基材である金属層11上に、絶縁層12及び導電箔13がこの順に積層されたものである。
以下、本発明に係る金属ベース基板1の製造方法について、図2を参照しながら説明する。
[乾燥工程]
前記乾燥工程においては、液晶ポリエステル液状組成物を導電箔13上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して、図2(a)に示すように、液晶ポリエステル含有層12’を形成する。
前記液状組成物の塗布後の厚さは、後述する絶縁層12の厚さを考慮して、適宜調節すればよい。
導電箔13は、例えば、回路の配線パターンを形成するものであり、材料の取扱いが容易で、簡便に形成でき、経済性にも優れる点から、金属箔が好ましく、その材質は銅、アルミニウム、銀又はこれらから選択される一種以上の金属を含む合金であることが好ましく、銅又は銅合金であることがより好ましい。
導電箔13の厚さは、15〜500μmであることが好ましい。
前記液状組成物は、液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有するものであり、液晶ポリエステルは溶媒に溶解していることが好ましい。
前記液状組成物中の液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが1,3−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30〜80モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、特に好ましくは30〜40モル%である。
繰返し単位(2)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%、特に好ましくは30〜35モル%である。
繰返し単位(3)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%、特に好ましくは30〜35モル%である。
繰返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に二種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基(−NH−)であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する繰返し単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位を有することが好ましく、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基であるもののみを有することがより好ましい。このようにすることで、液晶ポリエステルは溶媒に対する溶解性がより優れたものとなる。
液晶ポリエステルは、これを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃〜350℃、さらに好ましくは260℃〜330℃である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、高過ぎると、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、後述する液状組成物の粘度が高くなり易かったりする。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
前記液状組成物中の熱伝導充填材としては、熱伝導率が好ましくは10W/(m・K)以上、より好ましくは30W/(m・K)以上であるものが挙げられ、金属酸化物、金属窒化物及び金属炭化物からなる群から選択される一種以上の化合物が例示できる。
なかでも、前記熱伝導充填材は、周期律表第II、III及びIV属のそれぞれ第7列までの元素の酸化物、窒化物並びに炭化物から選択することが好ましく、具体的には、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化トリウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素等が例示でき、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素がより好ましく、熱伝導性に優れる点から窒化ホウ素が特に好ましい。
前記熱伝導充填材は、粉末状であることが好ましい。
前記液状組成物において、液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合は、23℃等の常温において50〜80体積%、好ましくは60〜70体積%である。下限値以上とすることで、後述する絶縁層が十分な熱伝導性を有するものとなり、上限値以下とすることで、絶縁層が十分な強度を有するものとなる。
前記液状組成物中の溶媒は、用いる液晶ポリエステルが溶解しないもの(分散するもの)でもよいが、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なものが好ましく、このような溶媒としては、50℃にて液晶ポリエステルが1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+溶媒]×100)で溶解可能なものが例示できる。
前記溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−クロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)等のアミド系化合物(アミド結合を有する化合物);テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられ、これらの二種以上を用いてもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
また、前記非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトンが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、双極子モーメントが3〜5である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3〜5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
前記液状組成物において、溶媒の含有量100質量部に対する液晶ポリエステルの含有量は、0.01〜100質量部であることが好ましい。下限値以上とすることで、液晶ポリエステル液状組成物の粘度が低くなり過ぎず、また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステル液状組成物の粘度が高くなり過ぎず、それぞれ塗工が容易になる。作業性や経済性の観点から、液晶ポリエステルの前記含有量は、1〜50質量部であることがより好ましく、2〜40質量部であることがさらに好ましい。
前記液状組成物は、前記熱伝導充填材以外の充填材、添加剤、前記液晶ポリエステル以外の樹脂等の他の成分を一種以上含有していてもよい。
前記充填材の例としては、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の無機充填材;エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、スチレン樹脂等の有機充填材が挙げられる。
前記添加剤の例としては、カップリング剤、沈降防止剤、熱安定剤、レべリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
前記液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマーが挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部である。
前記液状組成物は、液晶ポリエステル、熱伝導充填材、溶媒、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製することができる。なかでも、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液晶ポリエステル溶液を得、この液晶ポリエステル溶液に熱伝導充填材を分散させることにより調製することが好ましい。他の成分として前記充填材を用いる場合には、熱伝導充填材に加えて、さらにこの前記充填材を分散させることにより調製することが好ましい。
前記液状組成物の導電箔13上への塗布は、流延塗布で行うことが好ましく、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種方法を採用できる。
また、前記液状組成物は、必要に応じてフィルター等でろ過して、微細な異物を除去してから導電箔13上へ塗布してもよい。
導電箔13上に塗布した前記液状組成物から溶媒を除去する方法は、特に限定されないが、操作が簡便である点で、溶媒を蒸発させる方法が好ましく、加熱、減圧及び通風のいずれかを単独で、又は二つ以上を組み合わせて蒸発させる方法が例示できる。なかでも、生産効率及び取扱い性の観点から、加熱して蒸発させる方法が好ましく、通風及び加熱しながら蒸発させる方法がより好ましい。溶媒を蒸発させるときの加熱は、40〜200℃で5分間〜2時間の条件で行うことが好ましい。なお、ここで「溶媒を除去する」とは、必ずしも「溶媒を全量除去する」ことを意味するものではない。
形成した液晶ポリエステル含有層12’は、溶媒含有量が5〜15質量%であることが好ましく、7〜12質量%であることがより好ましい。下限値以上とすることで、後述する第一プレス工程後の液晶ポリエステル含有層12’及びこれから形成される絶縁層12の空孔率が小さくなり、絶縁層12及び金属ベース基板1は、耐電圧性及び熱伝導性により優れたものとなる。また、上限値以下とすることで、第一プレス工程後の液晶ポリエステル含有層12’の形状がより安定して維持される。
[第一プレス工程]
乾燥工程に次いで、前記第一プレス工程においては、導電箔13と、その上に形成された液晶ポリエステル含有層12’とをプレス(加圧)する。プレスによって、液晶ポリエステル含有層12’は、気泡の量が低減されて空孔率が小さくなる。
第一プレス工程でのプレスは、例えば、図3に示すように、液晶ポリエステル含有層12’上にシート状又はフィルム状の離型材9を配置し、矢印で示すように離型材9及び導電箔13のいずれか一方又は両方の側から、導電箔13及び液晶ポリエステル含有層12’をプレスすることで行うことができる。
離型材9の材質は、ポリイミド樹脂等、公知のものでよい。
離型材9は、プレス終了後に取り除けばよい。
第一プレス工程でのプレスは、常圧下及び真空下のいずれで行ってもよい。
第一プレス工程でのプレス時の圧力は、この後に行う、後述する第二プレス工程でのプレス時の圧力以下であることが好ましい。
第一プレス工程でのプレス時の温度は、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましい。
そして、第一プレス工程でのプレスは、加熱プレスであることが好ましく、加熱時の温度は、60〜250℃であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましい。加熱プレスすることで、液晶ポリエステル含有層12’の空孔率が小さくなり、絶縁層12及び金属ベース基板1は、耐電圧性及び熱伝導性により優れたものとなる。
第一プレス工程でのプレス時間は、加熱の有無、プレス時の圧力等を考慮して設定すればよい。
加熱プレスは、例えば、60〜250℃で5〜30分間行うことが好ましく、100〜250℃で10〜20分間行うことがより好ましい。
[加熱処理工程]
第一プレス工程に次いで、前記加熱処理工程においては、プレスした液晶ポリエステル含有層12’を加熱処理して、図2(b)に示すように、導電箔13上に絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)12を形成する。加熱処理によって、液晶ポリエステルはさらに高分子量化して、耐熱性が向上する。また、第一プレス工程後の液晶ポリエステル含有層12’の空孔率が小さいことにより、形成した絶縁層12の空孔率も小さくなり、耐電圧性が向上する。
加熱処理は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
また、加熱処理は、200〜400℃で30分間〜5時間行うことが好ましい。
加熱処理後の絶縁層12の厚さは、目的に応じて任意に調節できるが、成膜性や機械特性の観点から、10〜500μmであることが好ましく、さらに熱抵抗を抑制するという観点から、200μm以下であることが好ましい。
絶縁層12の空孔率は、30%以下であることが好ましい。そして、特に空孔率が20%以下であることで、絶縁層12の耐電圧性及び熱伝導性は、顕著に優れたものとなる。
絶縁層の空孔率(%)は、絶縁層の実測密度を絶縁層の理論密度で除した値に100を乗じることで算出される。
絶縁層12は、縦方向(前記液状組成物の流延方向)と横方向(前記液状組成物の流延方向に対して垂直な方向)の異方性が小さく、機械的強度に優れる。また、液晶ポリエステルが本来有する高周波特性、低吸水性等の性能にも優れる。
[第二プレス工程]
加熱処理工程に次いで、前記第二プレス工程においては、加熱プレスにより絶縁層12上に金属層11を設ける。加熱プレスによる融着で、金属層11を構成する金属板が絶縁層12上に固定され、図2(c)に示すように、金属ベース基板1が得られる。また、加熱プレスされることで、絶縁層12の空孔がさらに減少し、耐電圧性が向上する。
金属層11は、従来の電子回路基板における金属層(金属ベース)と同様のものであり、その材質は、銅、アルミニウム、銀又はこれらから選択される一種以上の金属を含む合金、あるいはステンレスであることが好ましい。
金属層11の厚さは、18〜5000μmであることが好ましい。
金属層11は、必ずしも平板状である必要性は無く、曲面を有するなど、曲げ加工されていてもよい。
第二プレス工程での加熱プレスは、酸化反応を防止するために、真空下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
真空下で加熱プレスする場合には、例えば、2KPa以下等の減圧下で行うことが好ましい。
不活性ガス雰囲気下で加熱プレスする場合には、窒素ガス等の不活性ガスを用いればよい。
第二プレス工程での加熱プレス時の圧力は、50〜150kg/cmであることが好ましい。
第二プレス工程での加熱プレス時の温度は、260〜360℃であることが好ましい。
そして、第二プレス工程での加熱プレスの時間は、プレス時の圧力等を考慮して設定すればよい。
第二プレス工程での加熱プレスは、例えば、260〜360℃で10〜40分間、50〜150kg/cmで行うことが好ましい。
金属ベース基板1においては、導電箔13をエッチング等により所望の形状にパターニングすることで、回路の配線パターンを形成できる。そして、この配線パターンを利用して、金属ベース基板1には電子部品が実装される。
上記の製造方法で得られた金属ベース基板は、第一プレス工程後の液晶ポリエステル含有層の空孔率が小さく、次いで形成された絶縁層の空孔率も小さくなり、金属ベース基板は、耐電圧性及び熱伝導性に優れたものとなる。具体的には、例えば、耐電圧値が2.5kV以上、熱伝導率が7.5以上の金属ベース基板が好適に得られる。このように、プレス工程を二回行い、主に絶縁層の空孔率を小さくすることを目的とする第一プレス工程と、金属層を設けることを目的とする第二プレス工程とを、いずれも低いプレス圧力で行うことで、生産性を低下させることなく、耐電圧性及び熱伝導性に優れ、信頼性及び放熱性が高い金属ベース基板を製造できる。かかる金属ベース基板は、パワートランジスタやハイブリッドIC等の電子部品を高密度で実装しても、電子部品で発生した熱が絶縁層及び金属層を通じて放散(放熱)し、これら電子部品の動作を安定させることができる。
<液晶ポリエステルフィルムの製造方法>
本発明に係る液晶ポリエステルフィルムの製造方法は、熱伝導充填材を含有する液晶ポリエステルフィルムの製造方法であって、液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、第一の耐熱性基材上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層を形成する乾燥工程と、前記第一の耐熱性基材及び液晶ポリエステル含有層をプレスする第一プレス工程と、前記第一プレス工程後の前記液晶ポリエステル含有層を加熱処理して、前記第一の耐熱性基材上に液晶ポリエステルフィルムを形成する加熱処理工程と、加熱プレスにより、前記液晶ポリエステルフィルム上に第二の耐熱性基材を設ける第二プレス工程と、前記第一及び第二の耐熱性基材を除去して、液晶ポリエステルフィルムを得るフィルム化工程と、を有することを特徴とする。プレス工程を二回行い、それぞれのプレス工程での圧力を低くすることで、熱伝導性と耐電圧性に優れた液晶ポリエステルフィルムが得られる。
本発明に係る液晶ポリエステルフィルムの製造方法は、導電箔に代えて第一の耐熱性基材を、金属層(金属板)に代えて第二の耐熱性基材をそれぞれ用い、最後にこれら第一及び第二の耐熱性基材を除去する工程を有すること以外は、上記の金属ベース基板の製造方法と同様である。
第一の耐熱性基材としては、金属ベース基板の製造方法における金属箔だけでなく、加熱プレスに適した耐熱性を有するものであれば、如何なるものも使用できる。例えば、材質は、金属に限定されず、樹脂等であってもよい。厚さも金属箔と同等でもよいし、金属箔とは異なっていてもよく、前記フィルム化工程における除去が可能であればよく、5〜500μmであることが好ましい。
第二の耐熱性基材としては、金属ベース基板の製造方法における金属層だけでなく、加熱プレスに適した耐熱性を有するものであれば、如何なるものも使用でき、第一の耐熱性基材と同様のものでよい。
前記フィルム化工程においては、第一及び第二の耐熱性基材を、その材質等に応じて適した方法で除去すればよい。
例えば、上記の製造方法で得られた金属ベース基板を用いる場合も含めて、第一及び第二の耐熱性基材として、材質が金属又は合金であるものを用いる場合には、これら第一及び第二の耐熱性基材をエッチングで除去すればよい。また、ポリイミド等の樹脂からなる第一及び第二の耐熱性基材は、剥離により除去すればよい。
前記液晶ポリエステルフィルムは、金属ベース基板における絶縁層と同様に、熱伝導性に優れるので、放熱フィルムとして好適である。また、縦方向と横方向の異方性が小さく、機械的強度に優れ、さらに高周波特性、低吸水性等の性能にも優れるので、電子部品用の各種絶縁フィルムとして好適である。また、単にフィルム状又はシート状のままで用いてもよいし、容器状等、その他の形状として用いてもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度、液晶ポリエステル液状組成物の粘度は、それぞれ以下の方法で測定した。
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
(液晶ポリエステル液状組成物の粘度の測定)
液晶ポリエステル(28.2質量部)を、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(100質量部)に加え、100℃で2時間加熱して、試験用の液晶ポリエステル液状組成物(液晶ポリエステル溶液)とし、東機産業社製のB型粘度計「TVL−20型」(ローターNo.21、回転速度5rpm)を用いて、23℃において、この液晶ポリエステル液状組成物の粘度を測定した。
<液晶ポリエステル液状組成物の製造>
[製造例1]
(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1976g、10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド(1474g、9.75モル)、イソフタル酸(1620g、9.75モル)及び無水酢酸(2374g、23.25モル)を仕込み、反応器内のガスを窒素ガスで十分に置換した後、窒素ガス気流下で攪拌しながら、15分間かけて室温から150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持して3時間還流させた。
次いで、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分間かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了時点とみなし、反応器から内容物を取り出した。この内容物を室温まで冷却し、得られた固形物を粉砕機で粉砕し、比較的低分子量の液晶ポリエステルの粉末を得た。この液晶ポリエステル粉末の流動開始温度は235℃であった。この液晶ポリエステル粉末を窒素ガス雰囲気下において223℃で3時間加熱処理することにより、固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
(液晶ポリエステル液状組成物の製造)
得られた液晶ポリエステル(2200g)を、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(7800g)に加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステル溶液を得た。この液晶ポリエステル溶液の粘度は320cPであった。この液晶ポリエステル溶液に、熱伝導充填材として鱗片凝集状窒化ホウ素粉末(水島合金鉄社製「HP40P」)を分散させて、液晶ポリエステル液状組成物を得た。この時、液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が、23℃において57体積%となるようにした
<金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムの製造>
[実施例1]
図2を参照して説明した製造方法により、金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムを製造した。より具体的には以下の通りである。
製造例1で得られた液晶ポリエステル液状組成物を遠心脱泡機で5分間攪拌したのち、厚さ70μmの銅箔上に厚さが380μmとなるように塗布した。そして、これを100℃で通風しながら30分間乾燥させ、形成した液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量を9質量%とした(乾燥工程)。
次いで、液晶ポリエステル含有層の表面に離型フィルムとしてポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、厚さ50μm)を配置し、銅箔側及びポリイミドフィルム側の両方から銅箔及び液晶ポリエステル含有層を圧力100kg/cm、温度100℃で20分間加熱プレスした(第一プレス工程)。
次いで、得られた積層体からポリイミドフィルムを剥離させ、窒素ガス雰囲気下、加熱プレス後の前記液晶ポリエステル含有層を300℃で3時間加熱処理し、銅箔上に絶縁層として、厚さ100μmの液晶ポリエステルフィルムを形成した(加熱処理工程)。
次いで、前記液晶ポリエステルフィルム上に、熱伝導率140W/(m・K)、厚さ2.0mmのアルミニウム合金板を配置して、これらを、銅箔側及びアルミニウム合金板側の両方から圧力100kg/cm、温度340℃で20分間加熱プレスして熱融着させることにより、液晶ポリエステルフィルム上にアルミニウム合金板を設けた(第二プレス工程)。
以上により、アルミニウム合金板、液晶ポリエステルフィルム及び銅箔がこの順に設けられた金属ベース基板を製造した。
次いで、得られた金属ベース基板から、塩化第二鉄(塩化鉄(III))水溶液を用いてエッチングすることにより、銅箔とアルミニウム合金板とを除去して(フィルム化工程)、液晶ポリエステルフィルムを製造した。
[実施例2]
第一プレス工程での温度を100℃に代えて220℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムを製造した。
[実施例3]
乾燥工程での乾燥時間を30分間に代えて1時間とすることで、液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量を5質量%とし、さらに、第一プレス工程での温度を100℃に代えて220℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムを製造した。
[実施例4]
第一プレス工程での温度を100℃に代えて40℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムを製造した。
[比較例1]
第一プレス工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムを製造した。
[比較例2]
第一プレス工程を行わず、且つ第二プレス工程での圧力を100kg/cmに代えて200kg/cmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で金属ベース基板及び液晶ポリエステルフィルムを製造した。
<液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量の測定>
上記各実施例及び比較例における乾燥工程終了後の液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量は、下記方法で測定した。すなわち、乾燥工程で形成した液晶ポリエステル含有層を、銅箔から剥離させ、これを160℃で5時間減圧乾燥させた後、乾燥前後の重量減少率から、溶媒含有量を算出した。結果を表1に示す。
<絶縁層の空孔率の算出>
上記各実施例及び比較例における加熱処理工程終了後の絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)の空孔率を、下記式から算出した。結果を表1に示す。
絶縁層の空孔率(%)=[絶縁層の実測密度]÷[絶縁層の理論密度]×100
絶縁層の実測密度は、加熱処理工程で得られた積層体から、塩化第二鉄(塩化鉄(III))水溶液でエッチングすることにより銅箔を除去して得られた絶縁層について、アルキメデス法により測定した。
<液晶ポリエステルフィルム(絶縁層)の特性評価>
上記各実施例及び比較例で得られた液晶ポリエステルフィルム(絶縁層)について、下記方法により特性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中、「LCP」は液晶ポリエステルフィルムを意味する。
(耐電圧値)
絶縁油中に金属ベース基板の試験片を浸漬した状態で、銅箔とアルミニウム合金板との間に室温で交流電圧を印加し、このとき絶縁破壊する電圧を耐電圧値(kV)とした。
(熱伝導率)
銅箔とアルミニウム合金板とを除去した後の液晶ポリエステルフィルムについて、熱拡散率、定圧比熱容量及び密度を測定し、これら測定値を用いて、下記式から熱伝導率を算出した。
熱伝導率=熱拡散率×比熱×密度
熱拡散率は、液晶ポリエステルフィルムを、10mm×10mm×0.1mmの大きさにカットして試験片とし、温度波熱分析装置(アイフェイズ社製「ai−Phase Mobile」)を用いて室温で測定した。
また、比熱は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、サファイヤ標準物質との比較により測定した。
また、密度は、アルキメデス法により測定した。
Figure 2013048155
上記結果から明らかなように、実施例1〜4では、第一及び第二プレス工程を行うことにより、これら工程でのプレス圧力が低いにも関わらず、金属ベース基板(液晶ポリエステルフィルム)は、耐電圧性及び熱伝導性の双方に優れていた。特に、第一プレス工程での加熱温度が高い実施例1〜3では、その効果が高かった。そして、実施例2は、実施例1よりも耐電圧性及び熱伝導性がさらに優れており、これは第一プレス工程での加熱温度がより高いことによって、液晶ポリエステル含有層からの気泡の除去が促進され、空孔率がより小さくなったからであると推測される。また、実施例1は、実施例3よりも耐電圧性がさらに優れており、これは乾燥工程直後の液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量が高いことによって、液晶ポリエステル含有層が適度な柔軟性を有し、気泡の除去が促進され、空孔率がより小さくなったからであると推測される。
これに対して、比較例1では、金属ベース基板(液晶ポリエステルフィルム)は、耐電圧性及び熱伝導性のいずれも劣っていた。これは、第一プレス工程を行わなかったことにより、加熱処理工程後の絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)の空孔率が高くなったことが原因であると推測された。
また、比較例2では、第一プレス工程を行わなかったことにより、加熱処理工程後の絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)の空孔率が高かったものの、第二プレス工程でのプレス圧力を高くしたことにより、金属ベース基板(液晶ポリエステルフィルム)は、耐電圧性及び熱伝導性の双方に優れていた。ただし、この方法は、プレス圧力が高いため、大型の製造装置への適用が困難であり、生産性が低くなってしまう。
本発明は、電子部品で発生した熱を拡散させるための放熱材、並びに電子部品用の放熱フィルム及び絶縁フィルムの製造に利用可能である。
1・・・金属ベース基板、9・・・離型材、11・・・金属層、12・・・絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)、12’・・・液晶ポリエステル含有層、13・・・導電箔

Claims (8)

  1. 液晶ポリエステル及び熱伝導充填材を含有する絶縁層、導電箔並びに金属層を備えた金属ベース基板の製造方法であって、
    前記液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、前記導電箔上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層を形成する乾燥工程と、
    前記導電箔及び液晶ポリエステル含有層をプレスする第一プレス工程と、
    前記第一プレス工程後の前記液晶ポリエステル含有層を加熱処理して、前記導電箔上に絶縁層を形成する加熱処理工程と、
    加熱プレスにより、前記絶縁層上に金属層を設ける第二プレス工程と、
    を有することを特徴とする金属ベース基板の製造方法。
  2. 前記第一プレス工程におけるプレスが、60〜250℃での加熱プレスであることを特徴とする請求項1に記載の金属ベース基板の製造方法。
  3. 前記液晶ポリエステル含有層の溶媒含有量が5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属ベース基板の製造方法。
  4. 前記熱伝導充填材が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属ベース基板の製造方法。
  5. 前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属ベース基板の製造方法。
    (1)−O−Ar−CO−
    (2)−CO−Ar−CO−
    (3)−X−Ar−Y−
    (式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar−Z−Ar
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
  6. 前記液晶ポリエステルが、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記一般式(1)で表される繰返し単位を30〜80モル%、前記一般式(2)で表される繰返し単位を10〜35モル%、前記一般式(3)で表される繰返し単位を10〜35モル%有することを特徴とする請求項5に記載の金属ベース基板の製造方法。
  7. 前記一般式(3)において、X及び/又はYがイミノ基であることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属ベース基板の製造方法。
  8. 熱伝導充填材を含有する液晶ポリエステルフィルムの製造方法であって、
    液晶ポリエステル、熱伝導充填材及び溶媒を含有し、前記液晶ポリエステル及び熱伝導充填材の合計含有量に占める熱伝導充填材の割合が50〜80体積%である液晶ポリエステル液状組成物を、第一の耐熱性基材上に塗布し、塗布した前記液状組成物から溶媒を除去して液晶ポリエステル含有層を形成する乾燥工程と、
    前記第一の耐熱性基材及び液晶ポリエステル含有層をプレスする第一プレス工程と、
    前記第一プレス工程後の前記液晶ポリエステル含有層を加熱処理して、前記第一の耐熱性基材上に液晶ポリエステルフィルムを形成する加熱処理工程と、
    加熱プレスにより、前記液晶ポリエステルフィルム上に第二の耐熱性基材を設ける第二プレス工程と、
    前記第一及び第二の耐熱性基材を除去して、液晶ポリエステルフィルムを得るフィルム化工程と、
    を有することを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
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