JP2013129914A - マグネシウム合金板材の製造方法並びにマグネシウム合金板材及びそれを用いたプレス成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有するマグネシウム合金板を素材に用いて、470〜540℃まで加熱・焼鈍して結晶粒径を20〜100μmとし、それを100〜250℃において1パス又は複数パスにより合計圧下率で16〜30%温間圧延する一連の工程を適宜繰り返した後、必要に応じて150〜400℃で仕上げ焼鈍して結晶方位分布をランダム化させることにより、室温成形性に優れ、制振性能に優れるマグネシウム合金板材を製造し、提供する。
【効果】制振性能に優れ、航空・宇宙部材、精密機械部材、電子機器部材、輸送機器部材等の幅広い分野で利用可能なマグネシウム合金板材、その製造方法及び用途を提供できる。
【選択図】図8
Description
(1)室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いて、平均結晶粒径が20〜100μmとなる所定の条件で焼鈍(圧延前焼鈍)した上で温間圧延する一連の工程を1つの圧延サイクルとし、該圧延サイクルを1回或いは複数回繰り返すことにより、結晶方位分布をランダム化させ、室温成形性に優れたマグネシウム合金板材を得ることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
(2)前記元素として、マンガンもしくはジルコニウムを0.2〜3質量%含有するか、希土類元素の内1種類以上の元素を合計0.1〜3質量%含有するか、又は、カルシウムを0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いる、前記(1)に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(3)前記希土類元素が、セリウム、イットリウム又はガドリニウムである、前記(2)に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(4)前記焼鈍(圧延前焼鈍)では、被圧延材を470〜540℃まで10分以内で昇温し、引き続き、10〜30分(470℃以上490℃未満の場合)、2〜20分(490℃以上510℃未満の場合)、1〜10分(510℃以上530℃未満の場合)、2分以下(530℃以上540℃以下の場合)保持する、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(5)前記温間圧延では、圧延中の被圧延材の実温度が100〜250℃となるように、その被圧延材を100〜400℃に加熱し、ロールを室温〜200℃に加熱する、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(6)前記圧延サイクル1回当たりの温間圧延の圧下率を、1パス或いは複数パスの合計で16〜30%とする、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(7)最終の前記圧延サイクルの後、150℃〜400℃に昇温して仕上げ焼鈍を施し、蓄積された転位を回復させるか、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織とし、同時に結晶方位分布のランダム化を促進させることにより、室温成形性に優れたマグネシウム合金板を得る、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(8)マンガンを0.2〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いて、平均結晶粒径が20〜100μmとなる所定の条件で焼鈍(圧延前焼鈍)した上で温間圧延する一連の工程を1つの圧延サイクルとし、該圧延サイクルを1回或いは複数回繰り返した後に仕上げ焼鈍をして、蓄積された転位を回復させた組織とするか、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織とし、同時に結晶方位分布をランダム化させることにより、室温成形性に優れたマグネシウム合金板材を得ることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
(9)前記焼鈍(圧延前焼鈍)では、被圧延材を470〜540℃まで10分以内で昇温し、引き続き、10〜30分(470℃以上490℃未満の場合)、2〜20分(490℃以上510℃未満の場合)、1〜10分(510℃以上530℃未満の場合)、2分以下(530℃以上540℃以下の場合)保持する、前記(8)に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(10)前記温間圧延では、圧延中の被圧延材の実温度が100〜250℃となるように、その被圧延材を100〜400℃に加熱し、ロールを室温〜200℃に加熱する、前記(8)又は(9)に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(11)前記圧延サイクル1回当たりの温間圧延の圧下率を、1パス或いは複数パスの合計で16〜30%とする、前記(8)〜(10)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(12)最終の前記圧延サイクルの後、150℃〜400℃に昇温して仕上げ焼鈍を施す、前記(8)〜(11)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(13)室温エリクセン値が6以上の室温成形性に優れたマグネシウム合金板材を得る、前記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
(14)室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板材であって、室温エリクセン値が6以上であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
(15)前記元素として、マンガンを0.2〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が7.1以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織が、未再結晶組織、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織である、前記(14)に記載のマグネシウム合金板材。
(16)前記元素として、ジルコニウムを0.2〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が7.1以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織の平均結晶粒径が50μm以下である、前記(14)に記載のマグネシウム合金板材。
(17)前記元素として、希土類元素の内1種類以上の元素を合計0.1〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が5.7以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織が、未再結晶組織、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織である、前記(14)に記載のマグネシウム合金板材。
(18)前記希土類元素が、セリウム、イットリウム又はガドリニウムである、前記(17)に記載のマグネシウム合金板材。
(19)前記元素として、カルシウムを0.05〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が4.5以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織が、未再結晶組織、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織である、前記(14)に記載のマグネシウム合金板材。
(20)前記(14)〜(19)のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材を用いたプレス成形体。
本発明は、室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いて、マグネシウム合金の異常粒成長を抑えつつ、圧延時に結晶底面が傾斜する領域を増やし、更に、その領域が焼鈍後にも保持されるように、圧下率、圧延前の焼鈍温度と時間、圧延温度、及び圧延後の焼鈍温度と時間について詳細な検討を行った結果、室温成形性が著しく向上する条件があることを見出してなされたものである。
(1)室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板材の集合組織(結晶方位分布)をランダム化することができ、これにより内部摩擦が純マグネシウムの50%以上で、室温エリクセン値が6以上の優れた室温成形性を有する制振性に優れるマグネシウム合金板材を提供することができる。
(2)このことにより、例えば、航空・宇宙用部材、精密機械部材、電子機器部材、輸送機器部材等の幅広い分野で利用されることが期待できる、低コストで制振性に優れたマグネシウム合金板材からなるプレス成形体を提供することができる。
主たる供試材として、厚さ3.0mmのM1合金押出板(化学組成:質量%で、Mn:1.47、Si:0.0169、Cu:0.0011、Ni:0.0002、Fe:0.0048、残Mg)を用いた。ここで、Si、Cu、Ni及びFeは不可避不純物である。そのM1合金押出板から、押出方向を長手方向として、125mm×65mmの試料を切り出し、圧延ビレットとした。後記する(5)〜(11)において、供試材(M1合金押出板)を利用して、圧延プロセス条件(先行技術との比較、圧延前焼鈍条件、圧延時の試料加熱温度、仕上げ焼鈍条件、パス圧下率、圧延サイクル数)が、材料特性に及ぼす影響を調査した。
1)Mg−0.6質量%Zr合金(化学組成:質量%で、Zr:0.605、Al:0.003、Mn:0.0179、Si:0.0078、Cu:0.002、Ni:0.0019、Fe:0.0048、Zn:0.0058、Ca:0.0017、残Mg)のインゴット、
2)Mg−0.1質量%Ca合金(化学組成:質量%で、Ca:0.105、Al:0.003、Mn:0.0168、Si:0.0077、Cu:0.002、Ni:0.0025、Fe:0.0045、Zn:0.0066、残Mg)のインゴット、
3)Mg−0.2質量%Y合金(化学組成:質量%で、Y:0.199、Al:0.003、Mn:0.0177、Si:0.0073、Cu:0.002、Ni:0.0022、Fe:0.0044、Zn:0.0062、Ca:0.0017、残Mg)のインゴット、
4)Mg−0.2質量%Ce合金(化学組成:質量%で、Ce:0.195、Al:0.035、Mn:0.0309、Si:0.0375、Cu:0.004、Ni:0.0015、Fe:0.0055、Zn:0.0048、Ca:0.002、残Mg)のインゴット、及び、
5)Mg−0.2質量%Gd合金(化学組成:質量%で、Gd:0.198、Al:0.003、Mn:0.0181、Si:0.0076、Cu:0.002、Ni:0.0021、Fe:0.0049、Zn:0.0056、Ca:0.0016、残Mg)のインゴット。
切り出した圧延ビレットに対し、必要に応じて熱間での予圧延を施して厚みを調整した後、表1、3、4に例示した条件の圧延前焼鈍と温間圧延を、最大6回繰り返して厚さ1.0mmとし、最後に仕上げ焼鈍する一連の工程を行った。圧延方向は長手方向とした。焼鈍には、一般的なマッフル炉を使用し、ビレットに接触させた熱電対によって、温度測定を行った。マッフル炉の温度は、所定の試料焼鈍温度よりも10℃程度高く設定するのが、効率的に昇温するのに有効であった。所定の焼鈍温度に達すると同時に、或いは1〜60分保持した後に強制的に空冷し、概ね所定の試料温度になったところで、所定温度に保たれた別のマッフル炉に投入した。
集合組織を把握するために、X線回折を利用したシュルツの反射法によって、結晶底面((0002)面)の配向を解析し、極点図に示した。この極点図において、中心は圧延面に垂直な方位であり、上下方向が圧延方向であり、極点図上の位置は、結晶底面の軸方向に対応しており、その向きに傾斜した底面に基づく回折強度を等強度線で表した。ここで、回折強度の最高値が相対強度であって、これは前述の内部規格で規格化した値である。この相対強度が低く、等強度線が疎になるほど、結晶方位分布がランダム化したことになる。底面集合組織の相対強度を表2〜4に示した。併せて表2と表4には、最終圧延パス前の圧延前焼鈍後と仕上げ焼鈍後の平均結晶粒径を例示した。表中、「−」は未測定を示す。
室温成形性の指標として、エリクセン試験を行った。試験方法は、JIS B7729及びJIS Z2274に準ずるが、試料に限りがあったため、試験片には、直径50mmに打ち抜いた円板を用いた。一部の試料で直径の影響を調べた結果によれば、直径60mmの試験片と比較して、評価に支障がないことを確認した。この試験では、試験片の厚み方向に亀裂が貫通するまでのパンチ移動距離をエリクセン値とするため、エリクセン値が大きいほど成形性が高いことになる。表2〜4中に、室温エリクセン値を記載した。
本発明の典型的な実施例である実施例14の仕上げ焼鈍後の試料の光学顕微鏡組織と底面((0002)面)の極点図を、先行技術(特許文献3)に基づく比較例1のケースの試料とともに、図2に示した。比較例1の試料は、圧延温度と仕上げ焼鈍温度が高いことを特徴としており、実施例14の試料に比べて、双晶の量が少なく、底面集合組織の相対強度が高くなっていることが分かる。別の先行技術(特許文献2)に基づく比較例3についても、同様に底面集合組織の相対強度が高かった。比較例3の製造プロセス上の特徴は、圧延前焼鈍温度が若干低く、パス圧下率が小さいことに加えて、仕上げ焼鈍温度が大幅に高いことである。
実施例1、2及び比較例5の試料は、パス圧下率30%、圧延時の試料加熱温度250℃、ロール温度100℃、圧延サイクルの繰り返しが3回、仕上げ焼鈍200℃・120分の共通条件のもと、圧延前焼鈍温度のみ変えて製造された(焼鈍時間2分)。図3に示す結果から明らかなように、得られた試料の室温エリクセン値は、圧延前焼鈍温度が500〜540℃のときに高く、温度を下げると低下した。圧延前焼鈍温度の低下と底面集合組織の相対強度の上昇が一致していることから、圧延前焼鈍温度が低いと底面集合組織が強まり、その結果、エリクセン値が低下したといえる。これは、圧延前焼鈍温度が低いと結晶粒の成長が不充分となり、その後の圧延時に変形双晶があまり形成されないためである。
実施例3、6〜8、14、15、及び比較例10の試料は、圧延前焼鈍500℃・2分、パス圧下率24%、ロール温度100℃、圧延サイクルの繰り返しが4回、仕上げ焼鈍200℃・120分の共通条件のもと、圧延時の試料加熱温度のみ変えて製造された。図4に示す結果から明らかなように、圧延時の試料加熱温度が150℃以下では、底面集合組織に変化は生じていないが、エリクセン値は150℃をピークに低下した。この原因は特定できていないが、100℃の圧延では耳割れが顕著であり、100℃未満の圧延は困難であった。このことから、マイクロクラック等の欠陥が発生している可能性がある。一方、200℃以上では、底面集合組織が徐々に強まり、エリクセン値が低下した。
実施例8〜13、22及び比較例7の試料は、圧延前焼鈍500℃・2分、パス圧下率24%、圧延時の試料加熱温度250℃、ロール温度100℃、圧延サイクルの繰り返しが4回の共通条件のもと、仕上げ焼鈍温度のみ変えて作製された。実施例22については、仕上げ焼鈍なしの圧延ままのケースである。図5及び表2に示す通り、仕上げ焼鈍温度150〜400℃の範囲で室温エリクセン値6以上が得られ、250℃のとき室温エリクセン値が極大値7.3を示した。しかし、仕上げ焼鈍温度300℃以上では、相対強度が低下しているにも拘わらず、室温エリクセン値は次第に低下した。これは粒成長によるものと解釈できる。
実施例2、8、16の試料は、圧延前焼鈍500℃・2分、圧延時の試料加熱温度250℃、ロール温度100℃、仕上げ焼鈍200℃・120分の共通条件のもと、パス圧下率のみ変えて製造された。同様に、実施例3、17、18の試料は、圧延時の試料加熱温度を150℃とし、パス圧下率のみ変えて作製されたグループである。これらは、試料毎に、同じパス圧下率の圧延を繰り返して製造したため、パス圧下率によって圧延サイクル数も異なるが、3回目以降の組織変化は小さいので、圧延サイクル数の影響は無視して差し支えない。
実施例3、19〜21の試料は、圧延前焼鈍500℃・2分、パス圧下率24%、圧延時の試料加熱温度150℃、ロール温度100℃、仕上げ焼鈍200℃・120分の共通条件のもと、本発明を適用した圧延サイクル数のみ変えて製造されたグループである。予圧延(熱間)を含めたトータルの圧延パス数は、すべてのケースで4パスとした。これらのグループの試料は、図7に示したように、圧延サイクル数の増加に伴って、底面集合組織の相対強度が低下し、室温エリクセン値が向上した。圧延サイクルが1回の適用でも、6以上の室温エリクセン値を得られたが、2回以上適用することがより効果的であった。
強度特性の一例として、高い室温エリクセン値(7.6)を示した実施例3の試料と、比較的低い室温エリクセン値(5.3)を示した比較例8の試料について、それらの引張試験結果を表5に示した。実施例3の試料は、比較例8の試料に比べて、引張強度と耐力で劣る面があるが、伸び(特に、不均質伸び)が大きく、延性に優れている。実施例3と比較例8のエリクセン試験後の試料写真を、図8に示した。
Mn濃度の異なるケースについて、Mg−0.5質量%Mn合金、Mg−1.0質量%Mn合金、純マグネシウムの試料作製条件と、仕上げ焼鈍後に得られた試料の室温エリクセン値及び底面集合組織の相対強度については、表3に示した通りである。
本発明の圧延材において、仕上げ焼鈍条件の異なるケースの試料について、光学顕微鏡による組織写真を図9に示す。図中、(A)は圧延したまま(圧延まま)の場合、(B)は(A)に対して200℃・2時間の仕上げ焼鈍を適用した場合、(C)は同じく300℃・2時間の仕上げ焼鈍を適用した場合のものである。なお、(B)の写真が実施例3に、(C)の写真が実施例23に当たる。
M1合金において比較的高い室温エリクセン値が得られた作製条件(圧延前焼鈍500℃・2分、圧延時の試料加熱温度200℃、ロール温度100℃、パス圧下率24%、圧延サイクルの繰り返しが4回、仕上げ焼鈍200℃・120分)に従って、Mg−0.6質量%Zr合金圧延板を作製したところ、底面集合組織の相対強度と室温エリクセン値は各々7.1と6.0を示し、M1合金と同等の結果を得ることができた。
圧延前焼鈍温度と試料加熱温度をともに400℃とし、仕上げ焼鈍温度を150℃とした比較例12のケースの試料では、底面集合組織の相対強度と室温エリクセン値が各々4.9と5.5であったのに対し、圧延前焼鈍温度を500℃、試料加熱温度を200〜300℃、ロール温度を100〜150℃、仕上げ焼鈍温度を300〜350℃としたケースの試料においては、底面集合組織の相対強度が4.1以下に低下し、室温エリクセン値が6.3〜8.2の高い値を示した。低い相対強度と高いエリクセン値が得られる製造条件をM1合金の場合と比較してみると、仕上げ焼鈍条件の最適値が高めであるものの、よい一致がみられた。
Mg−0.1質量%Ca合金のケースと同様に、圧延前焼鈍温度と試料加熱温度をともに400℃とし、仕上げ焼鈍温度を150℃とした比較例13のケースの試料では、底面集合組織の相対強度と室温エリクセン値が各々6.2と5.4であったのに対し、圧延前焼鈍温度を500℃、試料加熱温度を200〜300℃、ロール温度を100〜150℃としたケースの試料においては、仕上げ焼鈍温度の150〜350℃に渡って、底面集合組織の相対強度が5.7以下に低下するとともに、室温エリクセン値が6.0〜8.1に高まった。Mg−0.2質量%Y合金、Mg−0.2質量%Ce合金、及び、Mg−0.2質量%Gd合金についても、低い相対強度と高いエリクセン値が得られる製造条件において、M1合金の場合とよい一致がみられた。
Claims (20)
- 室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いて、平均結晶粒径が20〜100μmとなる所定の条件で焼鈍(圧延前焼鈍)した上で温間圧延する一連の工程を1つの圧延サイクルとし、該圧延サイクルを1回或いは複数回繰り返すことにより、結晶方位分布をランダム化させ、室温成形性に優れたマグネシウム合金板材を得ることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記元素として、マンガンもしくはジルコニウムを0.2〜3質量%含有するか、希土類元素の内1種類以上の元素を合計0.1〜3質量%含有するか、又は、カルシウムを0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いる、請求項1に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記希土類元素が、セリウム、イットリウム又はガドリニウムである、請求項2に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記焼鈍(圧延前焼鈍)では、被圧延材を470〜540℃まで10分以内で昇温し、引き続き、10〜30分(470℃以上490℃未満の場合)、2〜20分(490℃以上510℃未満の場合)、1〜10分(510℃以上530℃未満の場合)、2分以下(530℃以上540℃以下の場合)保持する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記温間圧延では、圧延中の被圧延材の実温度が100〜250℃となるように、その被圧延材を100〜400℃に加熱し、ロールを室温〜200℃に加熱する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記圧延サイクル1回当たりの温間圧延の圧下率を、1パス或いは複数パスの合計で16〜30%とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 最終の前記圧延サイクルの後、150℃〜400℃に昇温して仕上げ焼鈍を施し、蓄積された転位を回復させるか、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織とし、同時に結晶方位分布のランダム化を促進させることにより、室温成形性に優れたマグネシウム合金板を得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- マンガンを0.2〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板を素材に用いて、平均結晶粒径が20〜100μmとなる所定の条件で焼鈍(圧延前焼鈍)した上で温間圧延する一連の工程を1つの圧延サイクルとし、該圧延サイクルを1回或いは複数回繰り返した後に仕上げ焼鈍をして、蓄積された転位を回復させた組織とするか、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織とし、同時に結晶方位分布をランダム化させることにより、室温成形性に優れたマグネシウム合金板材を得ることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記焼鈍(圧延前焼鈍)では、被圧延材を470〜540℃まで10分以内で昇温し、引き続き、10〜30分(470℃以上490℃未満の場合)、2〜20分(490℃以上510℃未満の場合)、1〜10分(510℃以上530℃未満の場合)、2分以下(530℃以上540℃以下の場合)保持する、請求項8に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記温間圧延では、圧延中の被圧延材の実温度が100〜250℃となるように、その被圧延材を100〜400℃に加熱し、ロールを室温〜200℃に加熱する、請求項8又は9に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 前記圧延サイクル1回当たりの温間圧延の圧下率を、1パス或いは複数パスの合計で16〜30%とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 最終の前記圧延サイクルの後、150℃〜400℃に昇温して仕上げ焼鈍を施す、請求項8〜11のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 室温エリクセン値が6以上の室温成形性に優れたマグネシウム合金板材を得る、請求項1〜12のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
- 室温におけるマグネシウムへの固溶限が1質量%未満の元素を0.05〜3質量%含有し、残部がMg及び不可避不純物からなるマグネシウム合金板材であって、室温エリクセン値が6以上であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
- 前記元素として、マンガンを0.2〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が7.1以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織が、未再結晶組織、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織である、請求項14に記載のマグネシウム合金板材。
- 前記元素として、ジルコニウムを0.2〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が7.1以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織の平均結晶粒径が50μm以下である、請求項14に記載のマグネシウム合金板材。
- 前記元素として、希土類元素の内1種類以上の元素を合計0.1〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が5.7以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織が、未再結晶組織、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織である、請求項14に記載のマグネシウム合金板材。
- 前記希土類元素が、セリウム、イットリウム又はガドリニウムである、請求項17に記載のマグネシウム合金板材。
- 前記元素として、カルシウムを0.05〜3質量%含有し、X線回折(シュルツの反射法)によって測定した板厚中心部における底面((0002)面)の集合組織の相対強度が4.5以下にランダム化された結晶方位分布を有し、前記集合組織が、未再結晶組織、或いは平均結晶粒径が50μm以下の再結晶組織である、請求項14に記載のマグネシウム合金板材。
- 請求項14〜19のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材を用いたプレス成形体。
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