JP2013144860A - パイルが表編地の表面に突出しているダブルラッセル編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】通気性、軽量性に優れ、表編地表面がB面ファスナー部材としての係合性、外観安定性を示すダブルラッセル編物。
【解決手段】表編地、裏編地及び連結部とで構成されているダブルラッセル編物であって、表編地の表面を形成するパイル糸の編組織単位中に1個のオーバーラップに続いて1個以上のブラインドラップが存在し、パイル糸のニードルループが表編地の表面に突出しているダブルラッセル編物。好ましくは、パイル糸のブラインドラップ前のアンダーラップと同じコースの締糸のアンダーラップは締糸のアンダーラップと逆方向であり、パイル糸のブラインドラップと同じコースに締糸のオーバーラップが存在し、締糸は熱融着糸であって熱処理後にパイル糸のニードルループ下部が熱融着糸により表編地内で固着されるダブルラッセル編物。上記ダブルラッセル編物は、B面ファスナー部材となり、サポーター材料として好適に使用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、パイル糸のニードルループが表編地の表面に突出しているダブルラッセル編物、具体的には、B面(雌型)ファスナーと一体化されたダブルラッセル編物であって、係合性、通気性、軽量性に優れ、B面ファスナーとして使用しても外観が劣化しにくいダブルラッセル編物に関する。
体幹又は体肢に装着して、身体を固定、矯正、補助、補正又は保護するためのコルセット、サポーター等には、ある程度の強度及び弾力性が必要であると共に、柔軟性、軽さ、係合容易性も求められる。そのため、ネオプレンゴムやエラストマー等を素材とし、係合部として端部に面ファスナーを設けた製品が使用されてきた。しかし、素材にゴム等を使用すると通気性が悪く、素材かぶれを防ぐため直接皮膚に接触する部分を布帛で覆ったとしても、やはり皮膚障害が起こりやすかった。更に、素材とその上に係合具として固着される面ファスナーとでは伸縮性がかなり異なり、局部的に伸縮しにくい部分が発生するため、使用感及び耐久性に劣るものであった。
そこでゴム等の代わりに、ダブルラッセル編物の表面にA面及び/又はB面ファスナーを積層した製品が上市されている。しかし、B面ファスナーをダブルラッセル編物表面に融着又は接着した場合、通気性が低く、外観に劣る問題があり、更に、使用中に剥離する可能性があった。また、接着材を使用すると乾燥硬化工程が必要であり、製造効率が悪い一方、溶融接着は窒素酸化物等の発生により環境上好ましくない問題があった。
そこで、特許文献1では、ステッチ糸及び裏糸からなり、起毛面を有する上部布層と、ステッチ糸及び裏糸からなる外側布層と、それらを連結する相互連結糸とを有している3次元複合布構造経編物の全体を帯状のB面ファスナー素材とし、その端にA面(雄型)ファスナーを付けたものが提案されている(同文献請求項17)。
一方、家具椅子や車両シートにおいても、表裏の地組織を連結糸により連結したダブルラツセル編物の通気性に着目し、片面を起毛したスペーサファブリック又はダブルラッセル立体基布がシート材として提案されている(特許文献2及び3)。なお、シートの着座部分は、裏地材、クッション材、表面シートの順に材料を積層して構成されることが通常であるが、これら積層材料の固定具として、面ファスナーが使用されることも多い。その場合、椅子に座った場合の通気性、クッション性、外観安定性を考慮すると、ダブルラッセル編物と組み合わせた面ファスナーが理論的には可能だが、充分な係合強度を有するB面ファスナー機能を有するダブルラッセル編物は未だ知られていない。
特開2001−11759号公報 国際公開WO95/12019号パンフレット 特開2008−127730号公報
特許文献1の3次元複合布製品は、2方向伸縮性、回復性、圧縮性を目的としており、B面ファスナーとしての係合強度や布製品自体の強度はあまり重視されていない。従って、同文献では、通常のダブルラッセル編物表面を、ナッピング、サンディング及びブラッシング等により起毛してB面ファスナーを形成しているので(同文献段落0015)、布製品自体の強度に劣るものであった。更に、同文献では起毛表面の裏側に布を張り合わせ、医学的な最終用途に使用しているため(同文献段落0030)、製造工程が煩雑で費用もかかり、かつ、充分な通気性を達成することはできなかった。その上、特許文献1の布製品は、起毛処理やフック素子との係合脱着を繰り返すことによって上部布層と同一構造を形成している相互連結糸が引っぱられてしまい、外観に劣り耐久性にも欠ける問題もあった。
一方、特許文献2及び3の製品は車輛用シ−ト等の表皮材に使用されるスペーサファブリックであり、表面の起毛処理は保温性、断熱性などの機能性を高めるためのものである。そのため、これら文献の二面式経編地をB面ファスナーとして使用した場合、上記特許文献1と同様に、A面(雄型)ファスナーと係合不能であるか、係合脱着には布地強度が適していないため脱着により外観が損なわれる。
このような従来のダブルラッセル編物に基づいて、B面ファスナーを製造しようとして、編立中にパイル糸が絡まらない程度にパイル糸の給糸量を増やし、起毛針等が引っかかりやすいゆるい編み目を形成して起毛処理を行っても、好適な係合強度を有する表面は得られなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、係合強度、通気性、軽量性に優れ、B面ファスナー部材として使用しても外観が劣化しにくいダブルラッセル編物であって、通常の経編機により安定して製造できるものを目的とする。
本発明は、下記の通りである。
(1) 表編地、裏編地及び、対面する両編地を連結糸で連結する連結部とで構成されているダブルラッセル編物であって、表編地の表面を形成するパイル糸の編組織単位中に1個のオーバーラップに続いて1個以上のブラインドラップが存在し、パイル糸のニードルループが表編地の表面に突出しているダブルラッセル編物。
(2) パイル糸の給糸比率をオーバフィードに設定して編成された(1)記載のダブルラッセル編物。
(3) パイル糸の上記オーバーラップと次のブラインドラップとの間のアンダーラップは、表編地の表面を形成する締糸のアンダーラップと逆方向である(1)又は(2)記載のダブルラッセル編物。
(4) 表編地の編組織単位中では、パイル糸のブラインドラップと同じコースに締糸のオーバーラップが存在する(1)〜(3)いずれか記載のダブルラッセル編物。
(5) 表編地の締糸は熱融着糸であり、熱処理でパイル糸のニードルループ下部が熱融着糸により表編地内で固着される(1)〜(4)いずれか記載のダブルラッセル編物。
(6) 上記(1)〜(5)いずれか記載のダブルラッセル編物からなるB面ファスナー部材。
(7) 上記(6)記載のB面ファスナー部材を用いてなる、体幹又は体肢に装着されるサポーター。
(8) 表編地を、パイル糸用筬及び締糸用筬並びに少なくとも1枚の連結糸用筬により編成し、裏編地を別の少なくとも1枚の筬及び連結糸用筬により編成し、表裏の地組織を連結する連結部を連結糸用筬により編成する(1)〜(5)いずれか記載のダブルラッセル編物の製造方法。
本発明のダブルラッセル編物は、接着工程やラミネート工程を必要とせずに製造でき、係合性、通気性、軽量性に優れているため、B面ファスナーを表面に備えたスペーサファブリック素材として好適である。本発明の表編地表面のパイル糸のニードルループの下部は、好ましくは熱融着糸により固着されており、面ファスナーの係合脱着によってパイル糸や連結糸が移動せず、外観が劣化しにくいため耐久性にも優れる。
本発明のダブルラッセル編物は、シェア強度が高く、ピール強度はあまり大きくないように製造できるので、横への引っぱりには強い係合性を示すと共に、垂直方向への引っぱりによる脱着は容易で、脱着音の小さい優れたB面ファスナーが得られる。従って、特に、衣料や医療・衛生用品、中でも腰痛帯、コルセット、サポーター、ベルト等のように体幹又は体肢に装着し、身体を固定、矯正、補助、補正又は保護する用具の素材として好適である。
本発明のダブルラッセル編物の一部を示す概略図である。 本発明の一態様であるダブルラッセル編物を編成するために使用する複列の編針列を有する経編機の編成要部の側面図である。4は前部の針釜、5は後部の針釜、6は前部針釜4に並設してなる編針で前部針列Fを形成しており、7は後部針釜5に並設してなる編針で後部針列Bを形成している。パイル糸12,締糸13は地糸であり、筬22,23に通糸されて連結糸と共に表編地1を編成する。15,16も地糸であり筬25,26に通糸されて連結糸と共に裏編地3を編成する。連結糸14は筬24に通糸され、相対する2枚の編地1及び3を連結して連結部2を形成し、立体構造体であるダブルラッセル編物を構成している。 本発明の一態様であるダブルラッセル編物の各構成糸のラッピング状態を分解して示す編組織図である。各糸は通糸したGB(筬:ガイドバー)22〜26で表され、針番号は右端を0とした。 本発明の別の一態様であるダブルラッセル編物の編組織図である。 本発明の更に別の一態様であるダブルラッセル編物の編組織図である。
本発明に係るダブルラッセル編物の一実施形態を図1に示す。本発明のダブルラッセル編物10は、表編地1と裏編地3とが、所定間隔をおいて配置され、これら両編地1及び3の間が連結糸からなる連結部2によって連結されている。表編地1表面にはパイル糸のニードルループ(パイル8)が突出しており、B面ファスナーの雌係合用素子として機能する。なお、図1では、表編地1表面全体に形成されているパイル8中、一部のパイルのみを代表例として記載し、その他のパイルの記載は省略した。また、パイル8は通常、表編地面に垂直に起立している。
本発明のダブルラッセル編物を経編み機によって製造する場合、表編地を2枚の筬GB22(パイル糸)及びGB23(締糸)により、裏編地を別の少なくとも1枚の筬、例えばGB25及びGB26(裏糸)により、表裏の地組織を連結する連結部を別の少なくとも1枚の筬GB24(連結糸)により成編できる(図2)。
図3〜図5に本発明のダブルラッセル編物の各構成糸のラッピング状態を分解して示す編成組織図の例を示す。図中の点は、各編針位置を示しており、Fは前側(フロント)の編針列のコース位置を、Bは後側(バック)の編針列のコース位置を示している。
表編地1はパイル糸12及び融着糸13並びに連結糸14から構成され、連結部2は連結糸14から構成され、裏編地3は裏糸(地編糸)15及び16並びに連結糸14から構成されている。
本発明の表編地1の編組織中のパイル糸の編組織単位(リピート)中に1個のオーバーラップに続いて1個以上のブラインドラップが存在する。これには、リピート最初に1個以上のブラインドラップが存在し、リピート最後にオーバーラップが存在する場合も含まれる。このオーバーラップは閉じ目(closed loop)でも開き目(open loop)でもよい。ブラインドラップはアイドル・スイングとも言い、筬が左右にスイングモーションをせず、同一針間を前後運動することをいう。
本発明では、フロント用の最も外側に位置する筬に通糸されたパイル糸は、例えば針間番号1でスイングイン(針の後方から前方へ移動)し、オーバーラップ(針の前側での平行移動)して0でスイングアウト(針の前方から後方へ移動)し、アンダーラップ(針の後側での平行移動)した後、針間番号が3の位置(シンカーループの振り幅が3)でブラインドラップを行って1リピートが終了する。次にフロント筬は最初の位置に戻って同じ動きを繰り返す(図3のGB22参照)。ブラインドラップを行う位置は、通常使用されている編み機であれば針間番号30程度まで可能であるが、通常1〜20、例えば1〜10、1〜7、1〜5、1〜3、2又は3である。なお、本明細書において例示した針間番号及び、糸の左右方向の配置及び通糸を全く逆にして、パイル糸がバック用の最も外側に位置する筬に通糸されていても本発明の編物を編成できることは当然である。
ダブルラッセル表面に表編地1の地糸であるパイル糸のニードルループ(パイル)を突出させる場合、従来の表編地では、パイル糸のループと同一のコースに、表編地1を構成する別の地糸のループが存在し、それはパイル糸のループとは逆方向にオーバーラッピングされており、表編地のパイル糸はオーバーフィードされ起毛加工(特許文献2、3)されてパイルが形成される。例えば、特許文献2のFig.2ではパイル糸L1及び地糸L2が前側基布を形成し、同Fig.4ではパイル糸L1及び地糸L5が閉じ目ループで前側基布を形成しており、特許文献3の図2ではパイル糸11及び地糸12が開き目ループで前側基布60を形成している。これらの表編地を構成するパイル糸と別の地糸はいずれも、同一コースでは互いに逆方向にオーバーラッピングしている2対のループ(即ち、パイル糸の左オーバーラッピング及び締糸の右オーバーラッピング1対、並びにその逆1対)を編組織単位内に有する。
しかし、上記編成ではいずれも、B面ファスナーとして充分なパイル高さが得られず、係合に対する強度や外観安定性も低いものであった。
従来、上記特許文献のパイル糸の編組織単位中にブラインドラップを存在させて、パイル糸をオーバーフィードすると、オーバーラップ部分は糸消費が比較的大きくて通常の糸のテンションが維持されたループが形成される一方、ブラインドラップ及びその前後のアンダーラップ部分ではたるみが発生して内側の連結部方向に突出するシンカーループを形成するか、糸がからまり編成が困難になると考えられていた。しかし本発明者は、オーバーフィード状態でパイル糸をオーバーラップし、続けてブラインドラップを行うと、ブラインドラップ及びその前後のアンダーラップ部分では通常の編成が行われる一方、オーバーフィードされた糸がオーバーラップ部分で表面に突出してニードルループを形成するため、B面ファスナーとして好適な編物が得られることを発見して本発明を完成させた。
ニードルループが適度に突出するためのオーバーフィード状態は、目的とするパイル高さに応じて任意に設定できるが、通常は一般的な適正値の120〜280%、好ましくは150〜250%であり、120%未満であると、パイル高さが低くなりB面ファスナーとして不適当になり、280%を超えると、糸の緩みが大きくなって編成が困難になる。特に好ましくは180〜200%前後であり、この範囲であると安定して表面に好適な高さのパイルを突出させることができる。なお、一般的な適正値は、糸太さや打ち込み量(ウェール密度等)から当業者が適宜計算できる。パイル(パイル糸のニードルループ)の好適な高さは、B面ファスナーとして使用可能であるか、B面ファスナー用に起毛処理ができる高さであればよい。
上記構成を採用することにより成編中に糸が絡み合わず、好適な高さのパイルを表面に有する3層構造のダブルラッセル編物を安定して製造できる。
上記ダブルラッセル表面に突出したパイル糸のニードルループは、更に表面起毛により高さを増大できる。起毛処理は、例えば針布起毛加工やサンドペーパーによるバフ起毛(エミリー起毛)加工等の当分野に公知の方法で行われる。
表編地表面に最終的に形成されるパイルの高さは、B面ファスナーとして機能すればよい。低すぎると係合性に劣り、高すぎるとピール強度が高くなり脱着が困難になると共に着脱により交絡部が破壊されて表面外観の劣化が激しくなる。
本発明の表編地を構成するパイル糸は、好ましくはマルチフィラメントの強力糸であり、太さは適宜目的に応じて選択できる。
本発明の表編地の編組織は、締糸及びパイル糸並びに連結糸とで形成され、かつ連結糸の連結部及び裏地糸の裏編地と共にダブルラッセルを成編できる組織であればどのようなものでも良い。表編地の種類として、例えばデンビー(トリコット)編、サテン編、ハーフ編、アトラス編等が挙げられる。
べら針を使用して表編地を成編するためには、原則的には、編組織単位中で、パイル糸並びに締糸及び連結糸により連続したループがそれぞれのコースに形成されていればよく、ループは開き目でも閉じ目でもよい。従って、この要件に原理的に従い表編地を成編できるならば締糸の編組織単位はどのようなものでもよいが、好ましくは締糸のアンダーラップは、同一コースのパイル糸のアンダーラップとは逆方向である。理論によって本発明を限定するものではないが、この部分のアンダーラップが逆方向であると締糸のアンダーラップ部分がパイル糸のアンダーラップ及びブラインドラップ部分を抑えてゆるみができず、パイル糸のオーバーラップでのニードルループ形成を促進する効果が更に大きくなると考えられる。
締糸のアンダーラップ(シンカーループ)の振り巾を大きくすることにより、目付量を増大させて素材強度を高く調整できる。
本発明の表編地1を構成する締糸は、パイル糸のニードルループ(パイル)下部を安定させる機能を有すれば通常の糸で充分であるが、熱融着糸を用いて編立後に熱加工すると更にパイルの根元が固着できる。この固着の結果、表編地表面のパイルをB面ファスナーとして利用して係合着脱操作を行っても連結糸が引っぱられず、編地表面の外観が安定する。
熱融着糸は、低融点の樹脂で1本以上の糸を被覆又は束ねたモノ又はマルチフィラメント特殊糸であり、一本単独で使用しても、数本束ねて使用してもよい。糸の太さは用途に応じて適宜選択できる。具体的には、例えば190℃程度の熱加工で鞘部の低融点ポリエステルが溶融してモノフィラメントとなるKBセーレン株式会社のポリエステル熱融着糸ベルカップル(商標)、融点110〜120℃のTORAY社のポリアミド熱融着糸エルダー(商標)、韓国暁星社(HYOSUNG CORP.)の熱融着糸(融点180℃)等が挙げられる。
熱融着糸の溶融処理は、任意で行われる起毛処理後に行うことが好ましい。溶融処理後に起毛処理を行うと充分な大きさのパイルが形成されず、ダブルラッセル編物の外観、風合いも劣化する。具体的には、パイル形成後、通常のプリセット、染色工程、ファイナルヒートセットを行うと、熱融着糸が溶融し、パイル糸の根元に固着する。
表編地の編組織単位中では、パイル糸のブラインドラップと同じコースに締糸のオーバーラップが存在すると、パイル糸により形成されるニードルループの下部が安定しやすく、締糸が熱融着糸であると更に安定する。
裏編地3は、図1に示すような通気性を確保するための空隙を備えたメッシュ編、デンビー(トリコット)編、サテン編、コード編、又はアトラス編等の編組織を有する。
裏編地をメッシュ構造にすると、伸縮性があるために起毛加工時のシワの発生が軽減される。理論によって本発明を制限するものではないが、これは、起毛加工により、表編地1(パイル面)と裏編地3とで異なる応力が掛かった場合に、応力差を吸収する作用があるためであると考えられる。メッシュ構造には、製品強度、通気性、製品取り扱い性及び保存性に優れ、巻き皺も付きにくい利点がある。このメッシュ空孔の大きさ、形は、用途に応じて適宜選択できる。
本発明の裏編地3を構成する地編糸の種類や太さ等は、用途に応じて適宜選択できるが、通常は50〜330Tデシテックスのマルチフィラメント糸やスパン糸、中でも仮撚り加工糸を用いるのが好適である。あまり細い糸で成編すると、立体編地に所要の好ましい腰の強さを具備させることが困難になる一方、太すぎると成編作業が困難になり、編地の表面の風合いが低下しやすい。メッシュ構造の裏編地3を形成する場合、マルチフィラメントの仮撚り加工糸を使用すると、更に伸縮性が付与されて起毛加工時のシワの発生を軽減することができる。
対面する表編地及び裏編地を連結糸で連結する連結部の構造は、ダブルラッセル構造で採用される公知のものでよい。
連結部の厚みは、製造時の釜間設定幅で例えば0.5〜30mm、通常0.8〜12mmである。上記設定は、使用する糸、連結糸の太さ、熱処理、起毛処理に応じて適宜選択される。設定幅0.5mm未満であると、成編が困難となる。一方、30mmを超えると、通常の経編み機では成編が困難となり、生産効率、後加工性が低下する。編物の全体厚みは、釜間幅の設定及び連結糸の給糸量(フィード)を調整することで自由に変更できる。
本発明の連結部を構成する連結糸は、圧力で座屈せず、通気性を確保できる強度を保持するれば、種類や太さ等は特に限定されない。モノフィラメント糸を使用するとクッション性が大きくなり、マルチフィラメントを使用すると柔らかくなりインナーウェア素材に適する。例えば33デシテックス程度の分繊糸が挙げられる。
上記パイル糸、締糸、連結糸、及び地編糸の素材は特に限定されるものではない。例えばナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、アクリル繊維、アラミド等の合成繊維、それらの変性合成繊維、さらには、天然繊維、再生繊維、半合成繊維等が挙げられる。上記素材を単独で用いても良いし、これらのいくつかを併用しても良い。ポリアミド系繊維は強度に優れ、ポリエステル系繊維は強度及びリサイクル性に優れる。本発明のダブルラッセル編物が面ファスナーに使用される場合、比較的強度に優れたポリエステル、ポリアミドが好ましい。また、地編糸、連結糸の糸断面形状としては、特に限定されず、例えば丸断面糸でも異形断面糸等でも良い。
又、本発明の表編地の編密度は、用途に応じて適宜選択できるが、例えば経方向30〜60コース/インチ、横方向16〜40ウェ−ル/インチである。密度が低いとパイル密度が低くなり面ファスナーとしての係合性に劣り、密度が高いと成編が困難となる。
本発明のダブルラッセル編物の全体の目付も用途に応じて適宜選択でき、低すぎると柔軟性、形態安定性に劣り、高すぎると通気性に劣る。
本発明のダブルラッセル編物は、フロント及びバックの二列ニードルバーを備えたダブルラッセル編機によって成編できる。例えば、針列の配置密度22〜28ゲージ、即ち2.54cm(1インチ)当たり22〜28の針列を有する編機を用いることができる。
本発明のダブルラッセル編物はB面ファスナーとして使用可能であり、表編地表面のパイルには種々の形状の係合素子が係合できる。
例えば、本発明の編物においてシェアー強度(引張りせん断強さ)を高く、ピール強度(剥離強さ)を比較的低く調整した場合、やじり型、キノコ型等の係合強度の高いA面(雄型)ファスナーと組み合わせて、引っぱり負荷に強くずれにくい一方、面に垂直な方向に引っぱると簡単に剥がすことができ、剥離時の音も小さい係合具が得られる。
本発明のダブルラッセル編物は、通気性に優れるものであり、その空気透過率は、JIS L1096 A法(フラジール形式)に準じて測定して、通常は、通気量50〜300cm3/cm2・s、好ましくは150〜250cm3/cm2・sである。通気量が低いとムレやすくシート材やサポータ材料として適切でない。一方、通気量が高過ぎる構成は強度や形態安定性に劣る。
なお、本発明のダブルラッセル編物には、撥水、撥油、防汚加工、吸水加工、紫外線遮蔽加工を施したり、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、吸水剤等の各種添加剤を適用可能である。
本発明のダブルラッセル編物をサポータ材料とする場合、素材自体がサポータ本体にできるため、切断して切断面を処理し、A面ファスナーを取り付けるだけで製造でき、その他の縫製や接着などの処理工程を必要とせず、製造が非常に簡略化できる。
本発明のダブルラッセル編物を素材とするサポータは、軽量で通気性に優れ、係合脱着を繰り返し行なってもヒキツレが起こらず、外観は劣化しにくい優れた利点がある。
本発明のダブルラッセル編物をイスのシート材として利用する場合、素材がB面ファスナー部材として使用できるため、製造が容易でクッション部材等の他の部材との積層加工も容易であり、シェアー強度が高くピール強度が低いため、横にずれにくく、かつ係合・脱着が容易で作業員の負担軽減に非常に寄与できる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
図2に示す編組織により下記仕様により厚手のB面ファスナー用ダブルラッセル編物を成編した。
編機:ダブルラッセル編機(22ゲージ/2.54cm、釜間距離5.0mm)
目付(JIS−L1906(2000)に準じて測定):463.0g/m、298.4g/m2
表編地の基布組織:デンビー編組織
表編地パイル糸:110デシテックス/ポリエステル・マルチフィラメント
表編地熱融着糸:78デシテックス/鞘/芯型ポリエステル・マルチフィラメント(鞘部融点180℃)
連結糸:33デシテックス/ポリエステル分繊糸
裏編地の表面組織:1リピート8コースの菱形メッシュ(1イン・1アウト)
裏編地の裏糸2本:167デシテックス/ポリエステル・マルチフィラメント仮撚加工糸
成編後、クロ−ズ式起毛機(針布を使った起毛)にてカット針を使用して起毛し、設定温度190℃で1分間プレセットした後、染色、乾燥後、設定温度150℃で1h分間仕上げセットした。仕上がり厚みは4.55mmであった。
<実施例2>
実施例1の釜間距離を少なくし、仕上がり厚みを3.0mmに変更した以外は同じ条件で、薄手のダブルラッセル編物を成編した。
<比較例3>
通常の薄手ダブルラッセル編物と、表面パイルのトリコット編物を、熱ボンディング加工により張り合わせて、ダブルラッセル編物表面にB面ファスナー(トリコット編物)が融着された積層品を作成した。
使用した薄手ダブルラッセル編物の構成は、表編地糸:84デシテックス/ポリエステル・マルチフィラメント、連結糸:33デシテックス/ポリエステル・モノフィラメント、裏編地糸:84デシテックス/ポリエステル・マルチフィラメント、編み上がりコース50、編み上がりウェル23.5、表面起毛無し、厚み3.0mm、目付335g/m2である。
使用したトリコット編物の構成は、表編地糸:117デシテックス/ナイロン・マルチフィラメント、裏編地糸:33デシテックス/ナイロン・マルチフィラメント、編み上がりコース57、編み上がりウェル28、表面パイル、厚み1.6±0.2mm、目付225±13g/m2をアクリル樹脂処理し、仕上げコース53±2、仕上げウェル44±2である。
下記評価法により評価を行い、その結果を表1に示す。
<係合強度>
幅5cm、長さ10cmの試験片を縦方向(正、逆)に編物幅の右部、中央部及び左部の三点づつ合計6枚用意し、JIS L3416−2000に準じて係合強度を測定した。接着長さ5cmで800gのローラーを往復して貼り合わせ、引張り速度300mm/分で試験を行った。組合せたA面ファスナーは、クラレファスニング株式会社製、商標マジロックL8972S(ソフトポリエステル製の成形面ファスナー、単体厚み1.2mm)である。
<通気性試験>
JIS L1096 A法(フラジール形式)(圧力125Pa)に準じて測定した。
Figure 2013144860
本発明の実施例のダブルラッセル編物からなるB面ファスナー部材は、接着工程やラミネート工程を必要とせずに製造できる。そして、表1から明らかなように、実施例1(厚手)及び実施例2(薄手)のダブルラッセル編物は、軽量性、通気性に優れ、かつB面ファスナーとして充分な係合強度を有していた。一方、実施例2と同じ厚みの通常のダブルラッセル編物へパイル編地をヒートボンディングした比較例3は従来品に相当するが、重く、通気性に劣るものであった。なお、比較例3の係合強度は未測定であるが、通常のサポーターとしての使用に耐えるものであった。
実施例1及び2のダブルラッセル編物を、腰痛帯にして使用したが、通気性を保ったまま良好に使用でき、50回係合脱着を繰り返しても表裏編地表面にはヒキツレが発生せず、試験前の外観をほぼ維持した。
1:表編地
2:連結部
3:裏編地
4:前部針釜
5:後部針釜
6:編針
7:編針
8:パイル
12:パイル糸
13:融着糸
14:連結糸
15:裏糸
16:裏糸
22:筬GB2
23:筬GB3
24:筬GB4
25:筬GB5
26:筬GB6

Claims (8)

  1. 表編地、裏編地及び、対面する両編地を連結糸で連結する連結部とで構成されているダブルラッセル編物であって、表編地の表面を形成するパイル糸の編組織単位中に1個のオーバーラップに続いて1個以上のブラインドラップが存在し、パイル糸のニードルループが表編地の表面に突出しているダブルラッセル編物。
  2. パイル糸の給糸比率をオーバフィードに設定して編成された請求項1記載のダブルラッセル編物。
  3. パイル糸の上記オーバーラップと次のブラインドラップとの間のアンダーラップは、表編地の表面を形成する締糸のアンダーラップと逆方向である請求項1又は2記載のダブルラッセル編物。
  4. 表編地の編組織単位中では、パイル糸のブラインドラップと同じコースに締糸のオーバーラップが存在する請求項1〜3いずれか1項記載のダブルラッセル編物。
  5. 表編地の締糸は熱融着糸であり、熱処理でパイル糸のニードルループ下部が熱融着糸により表編地内で固着される請求項1〜4いずれか1項記載のダブルラッセル編物。
  6. 請求項1〜5いずれか1項記載のダブルラッセル編物からなるB面ファスナー部材。
  7. 請求項6記載のB面ファスナー部材を用いてなる、体幹又は体肢に装着されるサポーター。
  8. 表編地を、パイル糸用筬及び締糸用筬並びに少なくとも1枚の連結糸用筬により編成し、裏編地を別の少なくとも1枚の筬及び連結糸用筬により編成し、表裏の地組織を連結する連結部を連結糸用筬により編成する請求項1〜5いずれか1項記載のダブルラッセル編物の製造方法。
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