JP2013145221A - Hic割れ危険度が低い鋼材及びその中心偏析部評価法 - Google Patents

Hic割れ危険度が低い鋼材及びその中心偏析部評価法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013145221A
JP2013145221A JP2012223034A JP2012223034A JP2013145221A JP 2013145221 A JP2013145221 A JP 2013145221A JP 2012223034 A JP2012223034 A JP 2012223034A JP 2012223034 A JP2012223034 A JP 2012223034A JP 2013145221 A JP2013145221 A JP 2013145221A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
segregation
less
value
concentration
hic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012223034A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6044247B2 (ja
Inventor
Jiro Nakamichi
治郎 仲道
Kimihiro Nishimura
公宏 西村
Mitsuhiro Okatsu
光浩 岡津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2012223034A priority Critical patent/JP6044247B2/ja
Publication of JP2013145221A publication Critical patent/JP2013145221A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6044247B2 publication Critical patent/JP6044247B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)

Abstract

【課題】Mnの濃度分布を測定し、含有量と偏析度の影響を考慮して、スラブ・鋼板のHIC割れ感受性を評価判定する方法を提供する。
【解決手段】鋼材の元素含有量と中心偏析部のMn偏析度とからなる下記式(1)で定義される基本測定領域毎に測定し計算した全てのQ値を用いて鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法。Q=C5.4+CMn/6+(CCr0.3+CMo1.3+C0.6)/5+(CCu2.8+CNi1.3)/15+CNb/4+2C5.4・・・・式(1)。ここで、fは偏析部でのMn偏析度で、(CMn /CMn)で定義される値であり、CMn は中心偏析部のMn濃度分布を鋼材の断面を幅方向に測定して得られるMn濃度、CMnはMn濃度の平均の濃度であり、fのNはべき乗を、Cはそれぞれ元素iの含有量(質量%)である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高強度耐サワーラインパイプ用のHIC割れ危険度が低い鋼材及びその中心偏析部評価法に関する。
一般に、鋼の連続鋳造鋳片(以後、単に「鋳片」または「スラブ」ともいう場合がある。)やそれらを素材とする厚鋼板(単に「厚板」または「鋼板」ともいう。)の製造分野においては、連続鋳造時に形成される鋳片中心部の偏析が、製品品質に大きく影響することが知られている。特に、ラインパイプで使われる鋼材では、中心部の偏析(単に「中心偏析」ともいう。)により水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking:HIC)が発生するため、このような中心偏析を軽減するために、数多くの技術開発が行われてきている。
一方、中心偏析を評価する方法については、幾つかの方法が知られており、例えば、鋳片や厚鋼板を厚さ方向に順次スライスしていき、そのスライスして採取した切粉の成分を分析し、厚さ方向の濃度分布を得る方法(スライス法)、鋳片の縦断面からマクロプリントを採取して中心偏析領域を特定し、この中心偏析領域上の多数の分析点から、ドリルで切粉サンプルを採取し、この切粉を分析する方法(ドリル法)、鋳片の切断面を研磨して、偏析部をピクリン酸等の腐食液により腐食させてからインク等を染み込ませた後、一旦、表面のインクを拭き取り、腐食部に残ったインクをセロハン紙等に写し取り、偏析の発生状況を可視化する方法(マクロ腐食法)、また、上記腐食後に写し取ったプリントを中心偏析部の最大偏析粒径等を測定する方法(Hプリント法)等がある。
一般に、鋳片の中心偏析は、C断面、即ち、鋳造方向に垂直な断面全体についてみると、厚さ方向および幅方向で決して均一とはいえない。そのため、鋳片や厚鋼板の偏析を調べるためにはC断面の広領域に亘って評価する必要がある。
この点から上記方法を検討すると、スライス法は、試料調整・分析に時間がかかり、結果が出るまでに長時間を要するため、鋳片や厚鋼板等の中心偏析評価をC断面全体に亘って行うことは困難である。また、この方法では、スライスした切粉を分析するため、厚さ方向の平均としての分析値しか得られない。
そのため、従来は、一部領域の評価にのみ用いられる程度であった。また、ドリル法は、スライス法に比較して、迅速性は優れるが、切粉の採取領域がスライス法に比較し、さらに狭くなるため、全体的な評価ができないという問題があった。一方、マクロ腐食法は、迅速性の点からは、上記2つの方法と比較すると優位である。しかし、マクロ腐食法は、目視による判定となるため、非定量的な評価となるという問題がある。
また、Hプリント法は、定量的ではあるが、評価に熟練を要し、時間がかかり、コストが高いという問題がある。
上記以外の中心偏析を評価する方法としては、特許文献1に、中心偏析部の硬さを測定し、その硬さの平均値、最大値および最大値と最小値の差のいずれか1以上の値を用いて、中心偏析を評価する簡便な方法が提案されている。
また、特許文献2では、EPMA(電子プローブマイクロアナライザー、Electron Probe MicroAnalyzer)等の分析手法を用いて、中心部の添加元素の濃度の面積率を測定する手法が提案されている。
さらに、Mnの偏析スポットについては、特許文献3〜5に、Pの濃度やNbの濃度を限定する方法が提案されている。
特開平09−178733号公報 特開2009−236842号公報 特開平6−271974号公報 特開2002−363689号公報 特開2010−209461号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、腐食によって中心偏析部の領域を特定し、その中心偏析部の硬さを測定して評価しているため、腐食作業が必要であることや、鋳片全幅を評価する場合には、偏析部のすべての硬さを測定する必要があること等から、多大な時間を要し、迅速性に劣る。さらに、硬さは、鋳片の成分組成や組織等と関連があるため、それらが異なる場合には、直接評価することができない。そのため、様々な種類の鋳片の中心偏析を評価するには、測定条件を細かく分けて決めておかなければならないという問題があった。
また、特許文献2の手法では、連続鋳造鋳片や厚板等の中心偏析を、定量的かつ高精度で、しかも広い領域を迅速に評価することができるが、HIC割れ発生との相関が明瞭ではないため、割れ発生率と偏析度について、過大もしくは過小評価する可能性がある。また、対象元素の濃度分布は明らかになるが、添加量の違いや偏析強度の違いについては評価することが困難である。
特許文献3および4については、Mn偏析スポットの形態については規定しているが、その偏析スポットの判別手法、分析手法についての詳細は不明瞭な状況である。
特許文献5については、EPMAを用いた偏析スポットの形態を評価しているが、分析手法として低倍率濃度分析を実施し濃化位置を特定後に、濃化部を高倍率で分析を実施するため、その評価手法が煩雑である。また、偏析度について規定を実施しているが、偏析部に影響をおよぼす、Mo、Cu、Ni、P等の他の添加元素の影響が考慮されていない問題もある。また、NbやTiの添加量と偏析度の影響が考慮されていないため、例えば、特許文献5では、「Nbの添加量が0.001から0.10%でNbの偏析度を4.0以下と規定」しているが、請求範囲内の0.01%添加時に偏析度が4.1と特許請求範囲外となった場合には、偏析部には0.04%濃化していることになり、これは請求項の好適なNb成分範囲に含まれるため、偏析度と添加量の関係が不明瞭である。
そこで、本発明では、特定元素であるMnの濃度分布を測定し、その元素の偏析度を用いて、元素の含有量と偏析度の影響を考慮して、スラブ又は鋼板のそれぞれのHIC割れ危険度又は感受性を評価判定する方法について提案し、また、この評価法を用いてHIC割れ感受性の良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板について提案する。ここで、本発明では、元素Mの偏析度とは、鋼板の平均の元素Mの含有量(質量%)に対する鋼板の偏析部の元素Mの含有量(質量%)の比(=偏析部の元素Mの含有量;質量%/平均の元素Mの含有量;質量%)と定義する。
発明者らは、鋼板中心部の合金元素濃度マッピングを行い、各元素の偏析の程度について調査を行い、次にその偏析の程度とHIC(単に「クラック」または「HIC割れ」ともいう場合もある。)との相関性について調査を実施した。ここで、合金元素濃度マッピングとは例えばEPMA等により測定領域を全面に亘って濃度分布を測定し平面的な濃度情報を得ることをいう。
具体的には、EPMAを用いて偏析部のC、Mn等の偏析元素の相関について調査を実施した。その結果、各元素の偏析度には一定の関係があり、偏析度と添加量の関数として表すことが可能である事が判明した。元素の分布情報は、添加元素の一種類の分布を測定する事で得られるため、原理的にはどの元素でも測定対象とすることが可能であるが、分析精度と分析時間とを考慮するとある程度の添加量と偏析形態が明確な元素であるMnを基準として用いることが有効であるとの知見を得た。
そこで、Mn添加量が、質量%で、0.8から1.5%の成分範囲を有する種々の高強度耐サワーラインパイプ用鋼板のHIC試験後の試料を用いて、HIC割れが発生した領域と割れが発生しない領域について、詳細な調査を実施した。その結果、鋼板の状態で、幅方向(圧延方向と垂直方向)に1.0mm以上の長さをもつMn濃化スポットが存在し、その箇所にHIC割れが発生していることがわかった。また、このような大きさのMn濃化スポットの部分でも割れが発生していない場合も観察されるために、1.0mm以上のサイズのMn濃化スポットについてその内部の添加元素の濃化程度について評価をさらに、検討したところ、後述の式(1)で示されるQ値の大きさや単位長さ当りのMn濃化スポット数によりHIC割れの発生率が変動する事がわかった。ここで、Mn濃化スポットとはMnが偏析して周囲よりも濃度が高くなった領域をいう。また、HIC割れの発生率とは後述するNACE試験を実施した材料を超音波スキャンで測定した割れ面積率(CAR;Crack Area Ratio)により定義される。NACE TM0284に従ってA規格液で、96時間浸漬させHIC試験を実施した。HIC試験片は、板中央位置から作製した。試験後に、各サンプルの割れ面積率(CAR%)を求めた。
また、スラブでMnマッピングの分析を行った結果、Q値が1.0以上の、幅1.0mm以上を持つスポットの数の違いにより、圧延後のHIC割れの発生に強い相関があることを突き止めた。このように圧延後のHIC割れ部の形態調査と圧延前のスラブで圧延前の形状を算出したスポットの数との相関を調査することで、スラブのHIC特性の危険度(鋼板の場合の、HIC特性の感受性に相当する意味)を評価できることを見出した。
また、HIC特性を評価するうえで、スポット形態に加えて、HIC割れの起点となる粗大なNbCの晶出物の形成について、スラブの偏析度と添加濃度について関係があることを見出し、その関係をP値として定義可能であることを見出した。
以上の様にHIC割れが発生するMn濃化スポットの大きさとその場所でのMnの偏析度および添加元素濃度を考慮して、Q値と、Mn濃化スポットの大きさ分布およびHIC割れの発生率および割れ断面率について調査した結果、スラブでは1mm×1mm、厚鋼板では高さ(板厚方向)0.1mm×幅1mmの基本測定領域(割れの判断のための基本単位を意味する。以下同様とする。)で対象領域内のQ値の分布を決定し、領域内のQ値が1.0以上の値をもつ基本測定領域が多いほどHIC特性の感受性が上昇することがわかった。また、このとき、P値を求めることで、偏析スポット部でのHIC割れの要因となる粗大NbC形成の危険度を評価し、そのHIC感受性を評価できることがわかった。
特に、スラブ幅100mmでのQ値のマッピングから、基本測定領域毎に測定した全てのQ値の中で、1.3未満で、1.0以上の範囲のQ値が前記断面で幅100mm当り5個以下である場合であって、残部のQ値がQ<1.0であり、P値が0.35以下である
とき、HICの割れ面積率(CAR)が、1.5%以下となることがわかった。ここで、HICの割れ面積率(CAR)とはNACE TM0284−96規格により定義され、本発明では、1.5%以下となる場合をHIC特性が良好であると判断する。
ここで、分析領域の測定手法について述べる。後述する厚み幅を決定し、その厚み幅で100mm幅方向について測定する。具体的には、厚み幅20mmについて、幅方向100mmについて分析を実施した。分析は、EPMAで径100μmの電子ビームを用いて、100μmステップについて分析を実施し、200×1000点でマッピング像を作製した。次に、測定領域を1mm×1mm範囲で区分し、その中の分析点(10×10、100点)の平均値を計算でQ値を求め、幅100mm×厚み幅20mmの測定領域について、1mm×1mm範囲でのマッピング像を作製した。
Q値は、材料に含有される化学組成やその含有量にも影響を受け、式(1)の前半部分の第1項から4項までの部分は濃化部の炭素当量に相当する、という意義がある。また、式(1)の第5項および6項の部分のNbおよびPに関する項は、中心偏析に対する影響の大きなNbおよびPの濃化度によって規定され、偏析部とそれ以外の部分の硬さの違いおよびNbC等の粗大析出物の影響によりQ値に影響を及ぼし、HICの割れ面積率(CAR)と相関が生じると考えられる。特に、P値は、NbC起因の割れと直接的に対応し、この値が高いと粗大NbCが原因で割れが発生する危険度を評価している。
本発明では対象材料について例えばMn元素のみのマッピングを実施することで偏析部の他の添加元素の影響を含むQ値の値を決定でき、HIC割れ感受性を評価することが可能であるために分析の作業も効率化が図れる。また、成分を変更した場合にも、その偏析度をもとに材料間の比較も可能である。上記では、Mn分析を元にした評価方法について述べたが、他の元素の偏析度を用いた場合には式中の偏析度の指数を変化させることで同様に評価可能である。
すなわち、本発明は、連続鋳造鋳片および厚鋼板の中心偏析部に対して、少なくともある1種類の偏析元素の濃度マッピング分析を行い、Q値が閾値以上である濃度スポットの大きさと数を評価し、HIC割れの危険度を予測し、鋼板を製造する中心偏析評価方法を用いて製造を行った引張強度が550MPa以上の高強度の耐サワーラインパイプ用鋼板である。
[1]鋼材の元素含有量と中心偏析部のMn偏析度とからなる下記式(1)で定義されるQ値を基本測定領域毎に測定計算し、これら全てのQ値を用いて鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法。
Q=C5.4+CMn/6+(CCr0.3+CMo1.3+C0.6)/5+
(CCu2.8+CNi1.3)/15+CNb/4+2C5.4・・・・式(1)
ここで、fは偏析部でのMn偏析度で、(CMn /CMn)で定義される値であり、CMn は中心偏析部のMn濃度分布を鋼材の断面を幅方向に測定して得られるMn濃度、CMnはMn濃度の平均の濃度であり、fのNはべき乗を、Cはそれぞれ元素iの含有量(質量%)で、iは元素C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni、Nb、Pを表し、含有しない場合はC=0とする。
[2]前記鋼材の化学組成が、質量%で、C:0.03〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜1.5%、Al:0.07%以下、S:0.001以下、P:0.010以下、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.005〜0.07%、Ca:0.0005〜0.005%、N:0.008%以下、O:0.005%以下を含有し、さらに、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下の中から選ばれる1種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする前記[1]に記載の鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法。
[3]連続鋳造鋳片の鋳込み方向と垂直方向の断面の中心偏析部の1mm×1mmの前記基本測定領域毎に測定した全てのQ値の中で、1.0≦Q<1.3であるQ値の数が前記断面で幅100mm当り5個以下(0を含む)であり、残部のQ値はQ<1.0である前記[2]に記載の化学組成を含有する連続鋳造鋳片を鋼素材とすることを特徴とする耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板。
[4]鋼板の圧延方向と垂直方向の断面であって、該鋼板の圧延方向と垂直方向の断面の中心偏析部の厚さ方向0.1mm×垂直方向1mmの前記基本測定領域毎の全てのQ値の中で、1.0≦Q<1.3であるQ値の数が前記断面で幅100mm当り5個以下(0を含む)であり残部のQ値がQ<1.0であること
を特徴とする前記[2]に記載の化学組成を含有する耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板。
[5]鋼材のC、Nb元素の含有量と中心偏析部のMn偏析度とからなる下記式(2)で定義されるP値が0.35以下であることを特徴とする前記[4]記載の耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板。
P=C5.4 × CNb ・・・・式(2)
ここで、fは偏析部でのMn偏析度で、(CMn /CMn)で定義される値であり、CMn は中心偏析部のMn濃度分布を鋼材の断面を幅方向に測定して得られるMn濃度、CMnはMn濃度の平均の濃度であり、fのNはべき乗を表す。また、C 、CNb はそれぞれC、Nb元素の含有量(質量%)を表す。
本発明によれば、連続鋳造鋳片や厚鋼板の中心部の偏析を、定量的かつ高精度で、しかも広い領域を迅速に測定した材料の評価をもとに、鋼材のHIC割れの感受性を評価することで、高強度耐サワーラインパイプ用鋼板を製造することが可能となる。
スラブ断面のEPMA分析の領域
以下に本発明を実施するための形態について説明する。まず、本発明の構成要件の限定理由について説明する。
本発明は、以下の式で計算されるQ値を用いてHIC割れの危険度又は感受性を判定する。
Q=C5.4+CMn/6+(CCr0.3+CMo1.3+C0.6)/5+
(CCu2.8+CNi1.3)/15+CNb/4+2C5.4・・・・式(1)
ここで、fは偏析部でのMn偏析度で、(CMn /CMn)で定義される値であり、CMn は中心偏析部のMn濃度分布を鋼材の断面を幅方向に測定して得られるMn濃度、CMnはMn濃度の平均の濃度であり、fのNはべき乗を、Cはそれぞれ元素iの含有量(質量%)で、iは元素C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni、Nb、Pを表し、含有しない場合はC=0とする。
各元素の定量分析については、通常の成分分析方法、この場合は、発光分光分析(QV法)で実施すればよい。
この式の中にあるCについては、材料の添加元素量について通常の方法で決定すればよく、そのためにMn偏析度であるfを決定すれば、Q値は決定される。ここで、fは特定の基本測定領域(スラブでは、1mm×1mm、鋼板では、厚さ0.1mm×幅1mmである。)で測定したMnの偏析度であり、このMnの偏析度fの決定方法について以下に記載する。
偏析度fの決定方法
本発明ではこの値を用いて鋼材(本明細書では、「鋳片」と「鋼板」を含む概念で使用する)のQ値が決定されるために、偏析度fの決定は重要である。元素の分布は、添加元素の一種類の分布を測定する事で可能であるため、原理的にどの元素での分布でも測定可能であるが、分析精度と分析時間を考慮するとある程度の添加量と偏析形態が明確なC、Mn、Nb、P等で実施することが望ましい。このなかで、短時間分析での精度を考慮すると、通常含有量が、質量%で、1%程度と含有量の比較的多いMn元素の分布を測定することが好適である。また、偏析度ではNb、P、C等が母材と比べて大きくなるので、S/N比を優先するとこれら元素が好適である。分析機器の精度は、近年向上しているために、具体的な手法については改善変更されることが予想されるが、原理的に空間分解能が厚鋼板分析時には0.1mm、スラブ分析時には1mm程度で、組成の定量精度として、Mnであれば0.05%、他の偏析元素では0.005%以内であることが好ましい。
以下に、Mnを基準とした分析手法について説明する。
Mnの中心偏析部の濃度マッピング分析は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、および走査電子顕微鏡(SEM)に付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDS)や波長分散型X線分光装置(WDS)、走査型発光分光分析、レーザーICP、蛍光X線分析のいずれかを用いて行うことができる。ここでは、EPMAについての一実施態様を示す。
偏析度fの分析は、スラブもしくは鋼板のC断面(スラブの場合、鋳造方向に垂直な断面をいい、鋼板の場合、圧延方向に垂直な断面を、それぞれいう。)中央偏析部で実施する。このとき板幅方向については、偏析スポットはランダムに存在しているために少なくとも100mm以上の幅で分析することが好ましい。また、厚み方向では、分析領域内に偏析部を含む必要があるため調整する必要がある。具体的には、偏析部を特定するために事前にエッチング等でマクロな偏析部の厚み幅を確認したのちに、偏析部を含む領域を分析することで実施可能であり、また、偏析部がスラブの厚みのどの位置に集まる傾向があるかを事前に把握しておけば、その領域を分析する事で測定が可能である。ここで、板厚み幅とは、スラブおよび鋼板の場合の、厚さ方向の長さをいう。
この板厚み幅については、偏析スポットの分散形態と関連し、スラブの中央偏析部の偏析スポットは、±2mm程度の板厚み幅で広がっている場合には、スラブでは中央部を中心に±5mm以上の厚み幅の領域で実施することが好ましい。また、この場合、鋼板については中央部を中心に±0.5mm以上の厚み幅の領域で実施することが好ましい。
また、偏析スポットが板厚み幅方向に広い材料や幅が不明な材料では、スラブでは中央部を中心に±20mm程度、鋼板では中央部を中心に±1.0mm以上の板厚み幅で評価することが好ましい。ただし、測定の作業の事前に装置や条件による偏析スポットの広がりを把握することで、分析厚み幅を適正にし、分析時間の短縮が可能である。
Mn の測定
偏析部のMn濃度であるCMn は、スラブであれば1mm×1mm、鋼板であれば厚さ0.1mm×幅1mmの基本測定領域での中心偏析部のMn濃度を取得できれば得られる。EPMAを用いた分析は、スラブでは、0.1mm径のビームサイズを用いて、0.1mm×0.1mmの微小領域で測定を行い1mm×1mmの領域の10点×10点のデータ情報を全て集積し、濃度の平均値を用いて1mm×1mmの基本測定領域で再マッピング像を集積し構築すればよい。
また、これ以下の大きさの微小領域でマッピングを行い、1mm×1mmの基本測定領域で再分布の計算を実施してもよい。または、1mm×1mmの面積をラスタースキャンにより測定して定量値を評価し、同様の分析を幅方向および厚さ方向に実施してその値を用いて濃度マッピングを実施すればよい。
鋼板の場合も同様に0.1mm×0.1mmの微小領域の測定単位でマッピングを行い、厚み方向1点×幅方向10点の平均値の再マッピング等を実施して、0.1mm×1mmの基本測定領域での濃度分布の再構築を実施すればよい。
この様にして得られたCMn の値を含有量CMnで割る事で、偏析部の各場所についてスラブでは1mm×1mm、鋼板では0.1mm×1mmの基本測定領域のMnの偏析度fについてのC断面での分布を取得することができる。この様にして決定したfを用いてQ値のC断面でのマッピング像を取得することができる。fのNはべき乗であるが、固有の元素毎にNの数値は異なり、この数値は重回帰分析法により求めた。
基本測定領域毎に測定した全てのQ値の中で、1.0≦Q<1.3であるQ値の数が前記断面で幅100mm当り5個以下(0を含む)であり、残部のQ値はQ<1.0である。
Q値が1.0未満の領域では、HIC割れはほとんど発生せず、1.0以上になるとHIC割れの起点となる可能性が高くなる。従って、全ての基本測定領域毎に測定した全てのQ値が1.0を超えない場合はHIC割れはほとんど発生しない。したがって、Q値が1.0未満であることが好ましい。
しかし、基本測定領域毎に測定した全てのQ値が1.0以上でも1.3未満である場合、C断面での幅100mm当り5個以下であり、残部のQ値がQ<1.0であれば、その領域の偏析部HICの割れ面積率(CAR)は1.5%以下となり、良好なHIC特性を得ることができることがわかった。5個以下には0を含むがこれは、Q値が1.0≦Q<1.3の範囲に存在しない場合を意味し、この場合は全てのQ値がQ<1.0であることを意味する。
一方、Q値が1.0より大きい基本測定領域の数が5個を超えるとHIC割れが増加し、耐HIC特性が劣化する。また、Q値が1.3以上の基本測定領域が存在すると、CARが1.5%を超え、HIC特性は劣化する。また、P値については、NbとC量の偏析部での濃度積に相当する値になる。この値が、0.35以下であれば、HIC割れの要因となる粗大なNbCの形成が抑制され、HIC特性が向上する。従って、Q値により偏析部全体の濃度により硬さの調整を行い、P値によって、偏析部のNbCの形成を制御することで、HIC特性の向上を実施することが出来る。
Q値の調整及び制御は、偏析度の低下および合金成分の添加量の適正化で実施可能である。このため同一成分材でも鋳造条件(例:冷却速度)やスラブ凝固時の圧下条件を変化させた場合に偏析度が向上し、Q値が低下してHIC特性が向上する。また、同一の鋳造条件の場合には、後述する化学組成の適正な含有量の範囲内において、さらに低減させることで低下させることが可能であり、特に影響の大きいMn、PやNb添加量を適正含有量の範囲内で低減させることでQ値を低減することができる。
また、f値が増加するに従ってQ値が増加するために、Q値を低減させるためにはMnの偏析度は2.0以下とすることが望ましい。この評価で、同一のスラブ、板でも場所による偏析度の違いによりQ値に差が生じるために、HIC特性の劣る部分を除いて、パイプを製造することにより耐HIC特性に優れるラインパイプを製造することも可能になる。
本発明の評価方法により評価された鋼素材を用いて圧延・冷却などを実施して鋼板を製造したり、又は本発明の評価方法により評価された鋼板を使用する事で、耐サワー性能に優れた高強度ラインパイプの製造が可能となる。
以下にその高強度鋼板の化学成分について説明する。以下の説明において%で示す単位は全て質量%である。また、鋼板について説明するが、鋼素材の場合も同様である。
C:0.03〜0.07%
Cは鋼板の強度の向上に寄与する元素であるが、0.03%未満では十分な強度が確保できず、0.07%を超えると靭性を劣化させるため、C含有量は、0.03〜0.07%とした。
Si:0.01〜0.5%
Siは脱酸のため添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分でなく、0.5%を超えると靭性や溶接性を劣化させるため、Si含有量を0.01〜0.5%に規定する。好ましくは、Si:0.04〜0.4%である。
Mn:0.8〜1.5%
Mnは強度、靭性のため添加するが、0.8%未満ではその効果が十分でなく、1.5%を超えると中心偏析が著しく、Q値が増加するために、Mn含有量を0.8〜1.5%に規定する。
Al:0.07%以下
Alは脱酸剤として添加されるが、0.07%を超えると鋼の清浄度が低下し、HIC割れの起点となる介在物の形成が増加するため、Al含有量は0.07%以下に規定する。好ましくは、0.01〜0.05%とする。
P:0.010%以下
本発明でP、Sは不可避的不純物であり、その量の上限を規定する。Pは、式(1)で示される様にQ値の増加に非常に影響を与え、HIC割れ感受性が悪化するため、P量は0.010%以下とする。好ましくは、P量は0.005%以下である。
S:0.001%以下
Sは、含有量が多いとMnSの生成量が著しく増加し、HIC割れ感受性が悪化するため、S量は0.001%以下とする。
Ti:0.005〜0.02%
TiはTiNを形成しそのピニング効果により、スラブ加熱時のオーステナイト粗大化を抑制し、母材靭性を向上させる重要な元素である。その効果は、0.005%以上の添加で発現する。しかし、0.02%を超えると、粗大なTi系析出物が生成し、これがHIC割れの起点になり、HIC割れ感受性が劣化するため、Ti量は0.005〜0.02%の範囲とする。好ましくは、Ti量は0.009〜0.015%の範囲とする。
Nb:0.005〜0.07%
Nbは組織の微細粒化により靭性を向上させるとともに、析出物を形成し、強度上昇に寄与する。しかし、0.005%未満では効果がなく、0.07%を超えると、粗大なNb系析出物が形成され、HIC割れの起点となり、HIC割れ感受性が劣化するため、Nb含有量は0.005〜0.07%に規定する。また、Nbは、Q値増加への寄与が大きい事から、Nb含有量は0.05%以下であることが好ましい。
Ca:0.0005〜0.005%
Caは硫化物系介在物の形態を制御して耐HIC割れ感受性が向上する。0.0005%以上でその効果が現れ、0.005%を超えると効果が飽和し、逆に清浄度を低下させてHICの起点となる介在物を形成するため、Ca量は0.0005〜0.005%の範囲とする。
N:0.008%以下
Nは不可避的不純物として扱うが、N量が0.008%を超えると、HIC割れの起点となる粗大なTi−Nb系の析出物が形成するため、N量は0.008%以下とする。
O:0.005%以下
本発明でOは不可避的不純物であり、その量の上限を規定する。Oは粗大で耐HICに悪影響を与える介在物の生成を抑制するため、O量は0.005%以下とする。
以上の他に、鋼板の強度・靱性をさらに改善を促す目的で、以下に示すCu、Ni、Cr、Mo、Vの1種以上を添加する。
Cu:0.5%以下
Cuは、鋼の焼入性向上に寄与するが、0.5%を超えて添加を行うと、鋼板靱性の劣化が生じるため、Cuを添加する場合は、Cu量は0.5%以下とする。
Ni:1%以下
Niは、鋼の焼入性向上に寄与し、特に、多量に添加しても靱性劣化を生じないため、強靱化に有効であることから、添加することが可能である。しかし、Niは高価な元素であるため、Niを添加する場合は、Ni量は1%以下とする。
Cr:0.5%以下
Crは、Mnと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるので添加してもよい。その効果を得るためには、0.1%以上添加することが好ましいが、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は、Cr量は0.5%以下とする。
Mo:0.5%以下
Moは、焼入性を向上させる元素であり、MA生成やベイナイト相を強化することで強度上昇に寄与する元素であるので任意的に添加することが可能である。しかし、0.5%を超えて添加すると、溶接熱影響部靭性の劣化を招くことから、添加する場合には、Mo量は0.5%以下とする。0.3%以下とすることが好ましい。
V:0.1%以下
Vは、焼入性を高め、強度上昇に寄与する元素であるので任意的に添加してもよい。その効果を得るためには、0.005%以上添加することが好ましいが、0.1%を超えて添加すると溶接熱影響部の靭性が劣化するため、添加する場合は、V量は0.1%以下とする。
本発明の鋼板における上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の作用効果を害さない範囲であれば、上記以外の元素の含有を拒むものではない。たとえば、強度、靱性改善の観点から、Mg:0.02%以下、REM(希土類金属):0.02%以下、B:0.003%以下、から選ばれる1種以上を含むことができる。
以上の組成を含有する鋼素材又は鋼板を用いることが望ましい。
表1に示す成分組成の連続鋳造法で作製したスラブ(鋼種1〜15)をサンプルとした。
Figure 2013145221
スラブの一部は、同一成分での偏析度を変化させるために、鋼種1〜13の鋳造速度を1.40m/分とし、鋼種14および15を2.00m/分と増加して実施した。これらスラブを用いて、中心部のMn偏析について、EPMAにて評価した。評価は、スラブから解析用の試料を切り出し、研摩により試料調整を実施し、スラブ中心部厚さ10mmの範囲をスラブ幅中心部(W/2)部を中心に±100mmの幅方向に領域についてマッピングを実施した。EPMA分析の領域を図1に示す。
また、一部材料については、中心部と端部との中間位置(W/4)部の位置についても、分析を行い(W/2)部と(W/4)部での偏析度の比較を行った。マッピングは、加速電圧25kVで、0.10mm径の電子プローブを用いて行い、Mn濃度のマッピングを測定した。得られたMn濃度分布は、0.1mm×0.1mmのサイズでの分布のため、分析点を10×10点で平均化し、1×1mmでの分析点として再構築し、Mnの偏析度を求めた(分析領域が、10×100mmの場合の再構築後の分析点は1000点)。
Mnの分析量域でのMn偏析度の最大値を表2に示す。ここで、最大偏析度は、分析領域内(20×200mm)の基本測定領域(1×1mm)でのMn濃度の最大値を最大Mn濃度とし、最大Mn濃度を添加Mn量で割った値として定義した。この最大偏析度の値と各元素の添加量を用いて、式(1)に代入して、計算した値をQ値の最大値とした。
Figure 2013145221
今回の実験では、同一材料でも(W/2)部の方が(W/4)部よりも偏析度の最大値が小さく、良好な偏析度である傾向であった。得られた偏析度および各スラブの成分分析値を用いて、分析領域内でのQ値の分布を計算し、Q値の分散形態を調査した。
その後、スラブを加熱、制御圧延、急速冷却、再加熱により厚さ30mmの厚鋼板を製造した。全てのスラブは同一条件で圧延を実施した。スラブ加熱は、1100℃で行い、熱間圧延は1050℃から850℃の間で行った。その後、800℃から急速水冷却を行った。この時、冷却停止温度は450℃で実施した。また、引き続き誘導加熱により600℃に加熱した後、空冷で製造した。本発明において、製造条件における温度はいずれも鋼板平均温度とする。鋼板平均温度は、板厚、表面温度および冷却条件等から、シミュレーション計算等により求められる。例えば、差分法を用い、板厚方向の温度分布を計算することにより、鋼板の平均温度が求められる。こうして得られた厚鋼板の強度は、540MPa〜680MPaの範囲であった。
以上のようにして製造した鋼板を用いたHIC試験を実施した。HIC試験は、NACE TM0284に従ってA規格液で、96時間浸漬させHIC試験を実施した。試験後に、各サンプルの割れ面積率(CAR%)を測定した。各板の対象位置(W/4部、一部材料についてはW/2部)から3つずつサンプルを作製し、平均のCARを測定した。
結果を表2にまとめる。Q値の最大値が、1.0以下であるサンプルではHIC割れが発生せず良好なHIC特性であった(サンプル1、2、4、6、12)。ここで、表2ではハイフン(−)は0の意味で使用している。また、Q値の最大値が1.3以下で、1.0から1.3以下のものが幅100mm当り5個以下の物は、HICの割れ面積率(CAR)が1.5%未満であり、良好なHIC特性を示した(サンプル−3、5、7、8、9、10、11、14)。また、Q値の最大値が1.3以下であるが、1.0−1.3以上のスポット数が5個を超えるものについては、HICの割れ面積率(CAR)が1.5%以上となり耐HIC特性が劣化している(サンプル13、15)また、成分や偏析度が悪くQ値の最大値が1.3を超える物は、いずれもHIC特性が劣化していた(サンプル−16、17、18、19、20)。
P値は、サンプル18については大きくなっており、このためNbCクラスターが形成されHIC割れが発生した。
本試験法によって同一材料での場所による違いおよび偏析度の違いによる耐HIC特性に違いを評価することが可能であることが確認された。また、この様にして得られた鋼板については、同様にEPMA分析実施してQ値の測定を実施した結果、スラブの評価と同様の結果が得られており、本分析は鋼板でも評価可能である事がわかった。
次に、表3に示す成分組成の連続鋳造法で作製したスラブ(鋼種16〜20)をサンプルとした。
Figure 2013145221
スラブは、鋳造速度1.1m/分で実施した。一部は、同一成分での偏析度を変化させるために、鋳造速度を1.8mm/分および2.0m/分で行い、また、最終凝固部での圧下量を半分にして実施した(鋼種−18、20)。これらスラブを用いて、中心部のMn偏析について、EPMAにて評価した。評価は、スラブから解析用の試料を切り出し、研摩により試料調整を実施し、スラブ中心部厚さ10mmの範囲をスラブ幅1/4部(W/4)部を中心に±100mmの幅方向に領域についてマッピングを実施した。マッピングは、加速電圧25kVで、0.10mm径の電子プローブを用いて行い、Mn濃度のマッピングを測定した。得られたMn濃度分布は、0.1mm×0.1mmのサイズでの分布のため、分析点を10×10点で平均化し、1×1mmでの分析点として再構築し、Mnの偏析度を求めた(分析領域が、10×100mmの場合の再構築後の分析点は1000点)。Mnの分析量域でのMn偏析度の最大値を表4に示す。
ここで、最大偏析度は、分析領域内(20×200mm)の基本測定領域(1×1mm)でのMn濃度の最大値を最大Mn濃度とし、最大Mn濃度を添加Mn量で割った値として定義した。この最大偏析度の値と各元素の添加量を用いて、式(1)および(2)に代入して、計算した値をQ値およびP値の最大値とした。
Figure 2013145221
その後、スラブを加熱、制御圧延、急速冷却、再加熱により厚さ32mmの厚鋼板を製造した。全てのスラブは同一条件で圧延を実施した(サンプル21〜25)。スラブ加熱は、1100℃で行い、熱間圧延は1050℃から850℃の間で行った。その後、800℃から急速水冷却を行った。この時、冷却停止温度は480℃で実施した。また、一部材料は引き続き誘導加熱により600℃に加熱した後、空冷で製造した。強度は、560MPa〜660MPaの範囲であった。これら温度は、鋼板表面温度を指標として用いた。
以上のようにして製造した鋼板を用いたHIC試験を実施した。HIC試験は、NACE TM0284に従ってA規格液で、96時間浸漬させHIC試験を実施した。試験後に、各サンプルの割れ面積率(CAR%)を測定した。各板の対象位置から3つずつサンプルを作製し、平均のCARを測定した。
結果を表4にまとめる。Q値の最大値が、1.3以下であり、また、1.0−1.3以上のスポット数が5個以下のサンプルで、P値を満足するものは、HIC割れが1.5%以下であり、良好なHIC特性であった(サンプル21、22、23)。偏析度が悪くQ値が、1.0−1.3以上のスポット数が5個を超え、またP値が0.40を超えるものについては、HIC特性が劣化していた(サンプル−24、25)。特に、P値の最大値が0.4を超えるものは、NbCの形成により割れが発生し、耐HIC特性が劣化している(サンプル24)。
本試験法によって同一材料での場所による違いおよび偏析度の違いによる耐HIC特性に違いを評価することが可能であることが確認された。また、この様にして得られた鋼板については、同様にEPMA分析実施してQ値、P値の測定を実施した結果、スラブの評価と同様の結果が得られており、本分析は鋼板でも評価可能である事がわかった。

Claims (5)

  1. 鋼材の元素含有量と中心偏析部のMn偏析度とからなる下記式(1)で定義されるQ値を基本測定領域毎に測定し計算し、これら全てのQ値を用いて鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法。
    Q=C5.4+CMn/6+(CCr0.3+CMo1.3+C0.6)/5+
    (CCu2.8+CNi1.3)/15+CNb/4+2C5.4・・・・式(1)
    ここで、fは偏析部でのMn偏析度で、(CMn /CMn)で定義される値であり、CMn は中心偏析部のMn濃度分布を鋼材の断面を幅方向に測定して得られるMn濃度、CMnはMn濃度の平均の濃度であり、fのNはべき乗を、Cはそれぞれ元素iの含有量(質量%)で、iは元素C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni、Nb、Pを表し、含有しない場合はC=0とする。
  2. 前記鋼材の化学組成が、質量%で、C:0.03〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜1.5%、Al:0.07%以下、S:0.001以下、P:0.010以下、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.005〜0.07%、Ca:0.0005〜0.005%、N:0.008%以下、O:0.005%以下を含有し、さらに、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下の中から選ばれる1種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法。
  3. 連続鋳造鋳片の鋳込み方向と垂直方向の断面の中心偏析部の1mm×1mmの前記基本測定領域毎に測定した全てのQ値の中で、1.0≦Q<1.3であるQ値の数が前記断面で幅100mm当り5個以下(0を含む)であり、残部のQ値はQ<1.0である請求項2に記載の化学組成を含有する連続鋳造鋳片を鋼素材とすることを特徴とする耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板。
  4. 鋼板の圧延方向と垂直方向の断面であって、該鋼板の圧延方向と垂直方向の断面の中心偏析部の厚さ方向0.1mm×垂直方向1mmの前記基本測定領域毎の全てのQ値の中で、1.0≦Q<1.3であるQ値の数が前記断面で幅100mm当り5個以下(0を含む)であり残部のQ値がQ<1.0であることを特徴とする請求項2に記載の化学組成を含有する耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板。
  5. 鋼材のC、Nb元素の含有量と中心偏析部のMn偏析度とからなる下記式(2)で定義されるP値が0.35以下であることを特徴とする請求項4記載の耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板。
    P=C5.4 × CNb ・・・・式(2)
    ここで、fは偏析部でのMn偏析度で、(CMn /CMn)で定義される値であり、CMn は中心偏析部のMn濃度分布を鋼材の断面を幅方向に測定して得られるMn濃度、CMnはMn濃度の平均の濃度であり、fのNはべき乗を表す。また、C 、CNb はそれぞれC、Nb元素の含有量(質量%)を表す。
JP2012223034A 2011-12-13 2012-10-05 鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法及び耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板 Active JP6044247B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012223034A JP6044247B2 (ja) 2011-12-13 2012-10-05 鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法及び耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011272122 2011-12-13
JP2011272122 2011-12-13
JP2012223034A JP6044247B2 (ja) 2011-12-13 2012-10-05 鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法及び耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013145221A true JP2013145221A (ja) 2013-07-25
JP6044247B2 JP6044247B2 (ja) 2016-12-14

Family

ID=49041069

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012223034A Active JP6044247B2 (ja) 2011-12-13 2012-10-05 鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法及び耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6044247B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101715517B1 (ko) * 2015-10-21 2017-03-13 현대제철 주식회사 주편의 중심 편석 평가 방법
WO2019077725A1 (ja) * 2017-10-19 2019-04-25 Jfeスチール株式会社 耐サワーラインパイプ用高強度鋼板およびこれを用いた高強度鋼管
CN112098393A (zh) * 2020-09-14 2020-12-18 中国工程物理研究院机械制造工艺研究所 抗氢钢管hr-1直读光谱多元素测定方法
JP2021109998A (ja) * 2020-01-09 2021-08-02 日鉄ステンレス株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼鋳片、ならびにそれを用いた鋼管、棒鋼、および厚板
CN116601318A (zh) * 2020-12-18 2023-08-15 杰富意钢铁株式会社 钢的中心偏析评价方法
CN118225771A (zh) * 2024-05-23 2024-06-21 洛阳船舶材料研究所(中国船舶集团有限公司第七二五研究所) 一种大壁厚结构铸钢性能不均匀性的高通量评定方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001158936A (ja) * 1999-12-01 2001-06-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板およびその製造方法
JP2009133005A (ja) * 2007-11-07 2009-06-18 Jfe Steel Corp ラインパイプ用鋼板および鋼管
JP2010209461A (ja) * 2009-02-12 2010-09-24 Nippon Steel Corp 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管
US20120121453A1 (en) * 2009-03-12 2012-05-17 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Hic-resistant thick steel plate and uoe steel pipe

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001158936A (ja) * 1999-12-01 2001-06-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板およびその製造方法
JP2009133005A (ja) * 2007-11-07 2009-06-18 Jfe Steel Corp ラインパイプ用鋼板および鋼管
JP2010209461A (ja) * 2009-02-12 2010-09-24 Nippon Steel Corp 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管
US20120121453A1 (en) * 2009-03-12 2012-05-17 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Hic-resistant thick steel plate and uoe steel pipe

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101715517B1 (ko) * 2015-10-21 2017-03-13 현대제철 주식회사 주편의 중심 편석 평가 방법
WO2019077725A1 (ja) * 2017-10-19 2019-04-25 Jfeスチール株式会社 耐サワーラインパイプ用高強度鋼板およびこれを用いた高強度鋼管
JPWO2019077725A1 (ja) * 2017-10-19 2019-11-14 Jfeスチール株式会社 耐サワーラインパイプ用高強度鋼板およびこれを用いた高強度鋼管
EP3674433A4 (en) * 2017-10-19 2020-07-29 JFE Steel Corporation HIGH STRENGTH STEEL SHEET FOR ACIDITY RESISTANT PIPE AND HIGH STRENGTH STEEL PIPE USER
JP2021109998A (ja) * 2020-01-09 2021-08-02 日鉄ステンレス株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼鋳片、ならびにそれを用いた鋼管、棒鋼、および厚板
JP7550517B2 (ja) 2020-01-09 2024-09-13 日鉄ステンレス株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼鋼片、ならびにそれを用いた鋼管、棒鋼、および厚板
CN112098393A (zh) * 2020-09-14 2020-12-18 中国工程物理研究院机械制造工艺研究所 抗氢钢管hr-1直读光谱多元素测定方法
CN116601318A (zh) * 2020-12-18 2023-08-15 杰富意钢铁株式会社 钢的中心偏析评价方法
CN118225771A (zh) * 2024-05-23 2024-06-21 洛阳船舶材料研究所(中国船舶集团有限公司第七二五研究所) 一种大壁厚结构铸钢性能不均匀性的高通量评定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6044247B2 (ja) 2016-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5853661B2 (ja) 高強度耐サワーラインパイプ用鋼板、その素材及び高強度耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法
JP2014077642A (ja) 鋼材のhic感受性の評価方法およびそれを用いた耐hic性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法
JP6044247B2 (ja) 鋼材の耐水素割れ感受性を評価する方法及び耐水素割れ感受性が良好な高強度耐サワーラインパイプ用鋼板
JP5320791B2 (ja) 中心偏析評価方法
JP5910195B2 (ja) 鋼材の耐hic性の評価方法およびそれを利用したラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法
JP6019117B2 (ja) 高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP5974962B2 (ja) 耐HIC特性に優れたCaを添加したアルミキルド鋼材の製造方法及び溶鋼のCa添加処理方法
KR100983148B1 (ko) 용접열 영향부의 인성이 우수한 강재 및 그 제조 방법
JP5087980B2 (ja) 打ち抜き加工性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
RU2532791C1 (ru) Высокопрочный стальной лист, имеющий высокое сопротивление разрушению и hic
CN105445306A (zh) 一种钢中元素偏析程度的评定方法
KR101612474B1 (ko) 냉간 단조성 및 절삭성이 우수한 페라이트계 스테인리스 강선
JP2004300567A (ja) 高張力鋼板およびその製造方法
JP3960341B2 (ja) 熱加工制御型590MPa級H形鋼及びその製造方法
JP4879808B2 (ja) 打ち抜き加工性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP2013217901A (ja) 鋼材のhic感受性の評価方法および耐hic性に優れた厚鋼板の製造方法
JP6032166B2 (ja) カルシウム添加鋼の耐水素誘起割れ特性の推定方法
JP5234952B2 (ja) 溶接熱影響部の靭性に優れた低降伏比鋼材、およびその製造方法
Kadoi et al. Ductility-dip cracking susceptibility in dissimilar weld metals of alloy 690 filler metal and low alloy steel
JP2013250113A (ja) 鋼材の耐hic性能の判定方法
JP6094540B2 (ja) 耐水素誘起割れ特性に優れた鋼材の評価方法
JP5114749B2 (ja) 耐爪飛び性に優れたほうろう用鋼板
JP7636672B2 (ja) 鋼材の耐水素誘起割れ性の評価方法
JP4877085B2 (ja) 鋼材
JP2017082261A (ja) 偏析が定量評価された合金板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6044247

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250