JP2013148431A - 全反射x線分析方法および全反射x線分析装置 - Google Patents

全反射x線分析方法および全反射x線分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】XAFSの深さ分布を迅速に測定する。
【解決手段】
線状または点状の焦点4から発散する単一波長のX線からなる発散X線ビーム3を形成する工程と、X線の一部が全反射臨界角で入射するように発散X線ビーム3を試料1表面に照射する工程と、試料1表面に画定された複数領域の各領域に入射する前記X線の視射角を算出する工程と、各領域から放出される2次放射線5強度を位置敏感型検出器31を用いて測定する第4工程と、視射角に基づき侵入X線強度分布を各領域ごとに算出する第5工程と、X線波長を他の波長に変更して、前記第4〜第5の工程を繰り返す第6工程と、第6工程で測定された2次放射線5強度および算出された前記X線強度分布に基づき、XAFSの深さ分布を算出する工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、全反射X線分析方法および全反射X線分析装置に関する。
電子機器に用いられるデバイス、例えば半導体デバイスあるいは磁気ヘッドでは、表面近傍のごく浅い領域の構造がデバイス特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。例えば、半導体層に形成された浅い不純物層の不純物分布と化学結合状態、あるいは半導体層表面の酸化状態が、半導体デバイスの特性に大きな影響を及ぼす。また、強磁性薄膜とトンネル障壁膜との界面構造が、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto Resistance)効果を利用する磁気ヘッドの特性に大きく影響する。
X線吸収微細構造(XAFS;Xray absorption fine structure)を観測するXAFS法は、試料中の原子濃度および化学結合の状態を、X線吸収端近傍の吸収の微細構造に基づき検知することができる。とくに、X線を全反射臨界角近傍の視射角で試料表面に入射する全反射X線分析方法を用いる全反射XAFS法は、視射角によりX線の侵入深さを変化することができるため、試料表面近傍の深さ方向の原子分布および深さ方向の化学結合状態の変化を知得することができる。このため、全反射X線分析方法は、デバイスの優れた分析方法としてXAFSの観測に広く利用されている。
従来の全反射X線分析方法では、光源から放射された白色X線を分光して波長λの単色X線からなる平行X線ビームを形成し、この平行X線ビームを試料表面に全反射臨界角近くの視射角で入射する。そして、試料表面から放出される蛍光X線、光電子または試料表面から反射される反射X線の強度を測定し、波長λのX線のX線吸収量を算出する。
次に、試料を傾斜させて視射角を変え、上述した蛍光X線等の強度の測定およびX線吸収量の算出を行う。視射角が変わると、X線の侵入深さが変化する。例えば、侵入深さが深くなると、より深い位置にある原子の吸収に起因するX線吸収が加わる。このため、測定対象とされた原子の深さ方向分布または深さ方向の化学結合の変化に対応したX線吸収量の変化を知ることができる。
さらに、平行X線ビームの波長λを変化させ、複数波長において複数の視射角におけるX線吸収量を算出する。その結果、X線吸収量の波長λ依存性、即ちXAFSデータが取得される。そして、その視射角依存性から、XAFSの深さ方向の変化を検知することができる。
このように、従来の全反射X線分析方法では、波長λの平行X線ビームを試料に照射し、視射角および波長λを変えたときの蛍光X線等の強度を測定し、XAFSの深さ方向の変化を検出している。
特開平04−106463号公報 特開2002−116159号公報 特開2001−124711号公報
上述したように、従来の全反射X線分析方法では、単色X線の平行X線ビームを試料に照射し、試料から放出される蛍光X線、光電子または反射X線(以下「2次放射線」という)の強度を測定し、これからX線吸収量を算出する。そして、視射角および平行X線ビームの波長を変えて2次放射線の強度を測定し、X線吸収量を視射角および波長の関数として算出する。この視射角および波長の関数として算出されたX線吸収量に基づき、XAFSの深さ方向の変化を検出する。
この方法では、X線吸収量の視射角および波長依存性を知るために、2次放射線の強度を、多数の異なる視射角および多数の異なる波長について測定しなければならない。視射角は、数秒の誤差で精密に設定されねばならない。この視射角の設定は、試料を機械的に傾けることでなされる。この試料の傾きを許容誤差内に収めるには、傾きの設定に時間がかかる。また、波長の変更は、モノクロメータを構成する単結晶の回転と並進とを機械的に行うことでなされる。この回転と並進は、平行X線ビームの進行方位が変らないように、かつ、所望の波長が選択されるように、精密になされねばならず、設定に時間がかかる。このため、視射角と波長とをそれぞれ変えた条件下で測定するには、設定に長い時間を必要とし、測定時間が長くなるという問題がある。
本発明は、複数の視射角における2次放射線強度を試料の傾きを一定のままで測定することで、短時間でXAFSの深さ方向の変化を検出することができる全反射X線分析方法および全反射X線分析装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、その一態様によれば、複数の波長から選択された単一波長を有し、線状または点状の焦点から発散するX線からなる発散X線ビームを形成する第1の工程と、前記発散X線ビームを構成する前記X線の一部が試料表面に全反射臨界角で入射するように、前記発散X線ビームを前記試料表面に照射する第2の工程と、前記試料表面に画定された複数領域のうちのそれぞれの各領域に入射する前記X線の視射角を前記各領域ごとに算出する第3の工程と、前記各領域から放出される蛍光X線、光電子の強度または前記各領域から反射される反射X線の強度を、位置敏感型検出器を用いて測定する第4の工程と、算出された前記視射角から前記試料内に侵入する前記X線の深さ方向のX線強度分布を、前記各領域ごとに算出する第5の工程と、前記X線の波長を前記複数の波長から選択された他の単一波長に変更して、前記第4〜第5の工程を繰り返し、前記各領域ごとに前記複数の波長に対する前記蛍光X線、前記光電子または前記反射X線の強度を測定し、かつ、前記各領域ごとに前記複数の波長に対する前記X線強度分布を算出する第6の工程と、前記第6の工程で測定された前記蛍光X線、前記光電子または前記反射X線の強度、および、前記第6の工程で算出された前記X線強度分布に基づき、X線吸収微細構造(XAFS)の試料の深さ方向分布を算出する工程と、を有することを特徴とする全反射X線分析方法として提供される。
本発明によれば、試料の傾きを一定に保持した状態で複数の視射角における2次放射線強度が測定される。このため、視射角を変えるために試料の傾きを変更する必要がないので、短時間でXAFSの深さ方向の変化を検出することができる。
本発明の第1実施形態の全反射X線分析装置の構成図 本発明の第1実施形態の全反射X線分析装置の部分拡大断面図 本発明の第1実施形態のコンピュータの機能構成図 本発明の第1実施形態の測定工程図(その1) 本発明の第1実施形態の測定工程図(その2) 本発明の第1実施形態の測定工程図(その3) 反射強度と視射角との関係を表す図 検出器のエネルギー分解機能を説明する図 本発明の第1実施形態の侵入深さの視射角依存性を表す図 第1実施形態で算出された侵入X線の強度分布を表す図 比較例の全反射蛍光X線分析装置の断面図 本発明の第2実施形態の全反射X線分析装置の断面図 本発明の第3実施形態の全反射X線分析装置の構成図 本発明の第4実施形態の発散X線ビーム形成装置の構成図 本発明の第5実施形態の発散X線ビーム形成装置の構成図
本発明の第1実施形態は、試料表面から放出される蛍光X線強度を位置敏感型検出器を用いて測定する全反射X線分析方法に関する。
図1は本発明の第1実施形態の全反射X線分析装置の構成図であり、第1実施形態で用いられた全反射X線分析装置の主要な構成を表している。
図1を参照して、第1実施形態で用いられた全反射X線分析装置101は、発散X線ビーム形成器10、位置敏感型検出器31、および位置敏感型検出器31並びに試料1を収容するチャンバー60を備える。発散X線ビーム形成器10は、放射光(SOR光)を入射X線2として単色X線からなる発散X線ビーム3を形成する。位置敏感型検出器31は、発散X線ビーム3が照射された試料1の表面から放出される蛍光X線5の強度を測定する。
発散X線ビーム形成器10は、2個の結晶を平行配置したモノクロメータ11と、線状又は点状の焦点4を有する反射鏡12とを備える。
モノクロメータ11は、平行配置された第1結晶11aおよび第2結晶11bとを備える。この第1および第2結晶11a、11bは、図1の紙面内で回転する(回転方向11r)回転台上に載置され、第2結晶11bの表面を回転軸(図1の紙面に垂直な回転軸)として回転することができる。さらに、第1結晶11aを、第2結晶11bの表面の垂直方向(移動方向11s)に移動する移動機構を備え、第2結晶11bとの平行を維持しつつ第1結晶11aと第2結晶11bとの間隔を変化させることができる。
本第1実施形態では、入射X線ビーム2として放射光を用いる。放射光は、XAFS分析で必要とされる波長範囲内で連続波長を有し、実質的に平行なX線ビームと見做すことができる。入射X線ビーム2は、第1結晶11aに入射され、入射X線ビーム2の進行方向2dと第1結晶11aの格子面とのなす角が、ブラッグ条件をみたす波長のX線のみが第1および第2結晶11a、11bにより反射され、単色の平行X線ビーム2−1としてモノクロメータ11から出力される。このとき、第1および第2結晶を回転方向11rに回転することで、モノクロメータ11から出力される平行X線ビーム2−1の波長を変えることができる。さらに、第1結晶を移動方向11sに移動することで、波長が変化した後の平行X線ビーム2−1の位置および進行方向を波長変化前と同一に維持することができる。
反射鏡12は、入射された平行X線ビーム2−1を焦点4に集光する。反射鏡12として、例えば円筒ミラーを用いた場合、平行X線ビーム2−1は線状(図1の紙面に垂直な線)の焦点4上に集光する。また、反射鏡12として、トロイダルミラーまたは2個の円筒ミラーを用いて、点状の焦点4上に集光させることもできる。
反射鏡12により焦点4上に集光された平行X線ビーム2−1は、焦点4を通過後、焦点4を中心として発散する単色X線からなる発散X線ビーム3を形成する。なお、焦点4位置に開口を有するスリット10a、および発散Xビームの発散角を制限するスリット10bを設けることで、迷光を遮蔽し、無用なノイズの混入を避けることが好ましい。
入射X線ビーム2として幅5mm(xy面内の幅)、高さ0.2mm(y方向の幅)の矩形断面を有する放射光を、曲率半径40mの円筒型反射鏡12に視射角0.15度で入射したとき、発散角0.12度で発散する発散X線ビーム3が形成された。
試料1として、上面にAsイオン注入層が形成された直径100mmのシリコン基板を用いた。この試料1は、チャンバー60内に設置された保持台20上に載置される。
保持台20はxyz軸方向に平行移動可能な基台20bと、基台20b上に配置されたゴニオメータ20aとを具備する。ゴニオメータ20aは、図1の紙面に垂直な回転軸廻りの回転方向20r及び回転方向20rと直交する回転方向とで回動することができる。試料1は、ゴニオメータ20a上面に載置され、基台20bの平行移動およびゴニオメータ20aの回転により、所定の姿勢、即ち所定の位置および所定の傾きに保持される。
本明細書では説明を簡潔にするために、試料1表面はxy平面(図1の紙面に垂直な平面)に平行に保持され、発散X線ビーム3および反射X線ビーム7はxz平面(図1の紙面に平行な平面)内を進行するとして説明する。
チャンバー60の左右の側壁には、X線を透過するX線透過窓61、62が設けられている。発散X線ビーム形成器10から出射された発散X線ビーム3は、X線透過窓61を透過してチャンバー60内に進行し、試料1表面を照射する。このとき、後述するように、試料1表面に対する視射角が全反射臨界角近傍になるように試料1の傾きが設定される。
発散X線ビーム3に照射された試料1の表面からは、各種の放射線、例えば蛍光X線5および光電子が放出される。また、試料1表面に照射された発散X線ビーム3は、試料1表面で反射されて反射X線7となり、X線透過窓62を透過してチャンバー60外部に射出される。
チャンバー60には、ガス導入口60aおよびガス排出口60bが設けられ、チャンバー60内部はガス導入口60aから導入されたHeガスにより満たされている。このHeガスはガス排出口60bから排出される。これにより、発散X線ビーム3および蛍光X線5の減衰を防止している。なお、チャンバー60内を真空にしてもよい。また、蛍光X線を測定する本第1実施例では、チャンバー内を大気とすることもできる。さらに、入射X線2から発散X線ビーム3が形成されてチャンバー60に至る経路、及び反射X線7の経路を真空またはHe雰囲気として、X線の減衰および不要な散乱を抑制することが好ましい。
チャンバー60内に、試料1表面と対向して位置敏感型検出器31が配置される。この位置敏感型検出器31は、X線検出素子を1次元または2次元に配列した検出器31aと、そのX線検出素子からの視野(X線検出素子に入射可能なX線の入射角の範囲)を制限するコリメータ31bとを備える。さらに、検出器31aは、エネルギー分解機能を有することが好ましい。エネルギー分解機能を有することで、各X線検出素子に入射したX線の中から、所望のエネルギーを有するX線のみを選別して検知できるので、ノイズを低減することができる。
かかる位置敏感型検出器31の検出器31aの例として、半導体素子を2次元に配列したX線検出器(例えば、DECTRIS Ltd.社製の商品名PILATUS100K)、あるいは、比例計数管を1次元に配列したX線検出器(例えば、(株)リガク社製の商品名PSPCシステム)を用いることができる。
図2は本発明の第1実施形態の全反射X線分析装置の部分拡大断面図であり、図1の試料1表面と位置敏感型検出器31との位置関係を表している。
図1および図2を参照して、コリメータ31bは、互いに平行に配置された複数の(例えばM枚の)平板状の遮蔽板31cを有する。そして、コリメータ31bは、遮蔽板31cが図1の紙面に垂直にかつ試料1表面に垂直になるように、検出器31aの下面(検出面)に設置される。即ち、遮蔽板31cはx軸に垂直に配置される。
このコリメータ31bは、検出器31aの各X線検出素子から見ることのできる試料1表面を、遮蔽板31cにより画定される短冊状の領域S1〜SMに制限する。なお、短冊状の領域S1〜SMの長手方向は、発散X線ビーム3の進行方向に垂直(図1の紙面に垂直)になる。従って,試料1表面は、コリメータ31bにより、発散X線ビーム3の進行方向(図1中の点1Cから点1Aに向かう方向;x軸方向)に沿って並ぶM個の短冊状の領域Sm(m=1,2,・・・,M)に分割される。
コリメータ31bは、試料1表面から放出される蛍光X線5を、この短冊状の各領域Smから放出される蛍光X線5−mに分別して、検出器31aに入射する。従って、試料1表面から放出される蛍光X線5は、試料1表面に画定された一つの領域Smから放出される蛍光X線5−mごとにその強度が測定される。即ち、複数の領域S1〜SMからそれぞれ放出される蛍光X線5−1〜5−Mの強度を、各領域Smごとに測定する。
試料1表面から反射された反射X線7は、X線透過窓62を通過してチャンパー60外部に配置された位置敏感型検出器63により検出される。もちろん、位置敏感型検出器63をチャンバー60内に配置してもよい。位置敏感型検出器63は、1次元または2次元の検知器63aと、コリメータ63bとを備えることが好ましい。これにより、試料1表面の反射位置(領域Sm)に対応した反射X線3強度を知ることができる。なお、後述する反射率からX線吸収量を測定する場合を除き、位置敏感型検知器63aに代えて、単一素子からなるX線検知器としてもよい。
この位置敏感型検出器63は、反射X線7を検出する他、その一部が発散X線ビーム3の進路上にかかるように配置される。これにより、試料1により遮蔽されなかった発散X線ビーム3の強度を測定することができる。なお、発散X線ビーム3の発散角度は1度以下と小さく、発散X線ビーム3と反射X線7との距離は、位置敏感型検出器63の検出範囲(検出面の大きさ)と比較して小さい。このため、1個の位置敏感型検出器63で発散X線ビーム3と反射X線7との両方を検出することができる。発散X線ビーム3と反射X線との距離が大きなときは、位置敏感型検出器63を2個設ける、あるいは移動可能に配置すればよい。
位置敏感型検出器31の出力信号は波高分析器31hに入力され、検出器31aのピクセルごとに、および蛍光X線5のエネルギーごとに、その強度が積算される。位置敏感型検出器63の出力信号は計数器63cに入力され、検出器63aのピクセルごとに反射X線7の強度が積算される。
本第1実施形態では、発散X線ビーム3の強度を測定する透過型X線検出器35を、発散X線ビーム形成器10と試料1との間に配置した。これにより、発散X線ビーム3の強度変動が生じても、蛍光X線7の強度から算出されるX線吸収量、ひいてはXAFSデータを精密に求めることができる。
コンピュータ50は、例えば通常用いられるパーソナルコンピュータシステムで構成される。このコンピュータ50は、上述した位置敏感型検出器31、63および透過型X線検出器35のデータを収集し、XAFSの深さ方向の変化の算出に必要な計算を実行すると同時に、モノクロメータ11および保持台20を制御するコントローラとして機能する。
図3は、本発明のコンピュータの機能構成図であり、コンピュータが備える主要な機能部を表している。なお、これらの機能は、コンピュータのメモリおよび記憶装置内にプログラムとして収納され、コンピュータのCPUにより実行される。
図3を参照して、コンピュータ50は、発散X線ビーム制御部51、試料姿勢制御部52、強度測定制御部53、侵入X線強度分布算出部55およびXAFS検出部56を備える。
発散X線ビーム制御部51は、発散X線ビーム形成器10を制御する。即ち、モノクロメータ11の回転台の回転角(回転方向11r)を制御して、モノクロメータ11から出力される平行X線ビーム2−1の波長λが、予め設定された複数の波長λk(k=1,2,・・・,N)の一つから選択された所定の波長λiとなるように制御する。このとき、回転台の回転に起因する平行X線ビーム2−1の位置ずれを、第1結晶11aを移動方向11sに移動して修正する。その結果、平行X線ビーム2−1の進行方向および位置を変えることなく、その波長λのみを変化することができる。
試料姿勢制御部52は、試料1の保持台20を制御する。即ち、試料姿勢制御部52は、ゴニオメータ20aの回転角(回転方向20rおよびそれに直交する回転方向)および基台20bの高さを制御することで、発散X線ビーム3に対する試料1表面の位置および傾きを制御する。
強度測定制御部53は、位置敏感型検出器31、63の出力(観測されたX線の強度を表す)を、それぞれ波高分析器31hおよび計数器63cを介して収集する。また、透過型X線検出器35の出力(測定された発散X線ビーム3の強度を表す)を収集する。そして、測定された発散X線ビーム3の強度に基づき、全ての各領域S1〜SMについて、試料1表面に画定された領域Smから放出される蛍光X線5の強度IL m を較正する。また、必要ならば、同様に、領域Smから反射される反射X線7の強度IR m を較正し、その領域Smの反射率Rmを求める。従って、波長λiの発散X線ビーム3の照射で放出される蛍光X線5の強度IL m および反射率Rmは、領域Smの位置xmの関数、IL m =IL (xm)、Rm=R(xm)として測定される。
侵入X線強度分布算出部55は、視射角算出部54を含み、試料1内部に侵入するX線の深さ方向の強度分布および侵入深さを算出する。
視射角算出部54は、試料姿勢制御部52により設定された試料1表面の姿勢に基づき、試料1表面に設定(画定)された領域S1〜SMの各領域Smに入射する発散X線ビーム3の視射角θmを算出する(図2参照)。
図2を参照して、発散X線ビーム3が試料1表面を照射するとき、発散X線ビーム3を構成するX線が試料1表面となす角、即ち視射角θは、試料1表面の入射位置(x軸方向の位置x)により異なる。例えば、発散X線ビーム3を構成するX線の中、領域Smに入射するX線3mの視射角を視射角θmとする。その左に隣接する領域Sm−1に入射するX線の視射角θm−1はより大きく、θm−1>θmである。また、右に隣接する領域Sm+1に入射するX線の視射角θm+1はより小さく、θm>θm+1である。従って、
θ1>θ2>・・・>θm>θm+1>・・・・>θM (1式)
となる。なお、図2中に、領域Smから反射されたX線3mを、反射X線7mとしてしめした。
試料1表面に入射するX線の視射角θ、例えば1式中の視射角θ1〜θMは、発散X線ビーム3の中心線(図1中に焦点4と試料1表面の中心点1Bを結ぶ二点鎖線で表示された線分)が試料1表面となす角θbに依存する。例えば、θm=θbならば(発散X線ビーム3の中心が領域Smに入射する場合)
θm±1=θb±δθm±1 (1’式)
として全ての領域Smの視射角θmが決定される。ここで,δθm±1は、
δθm±1=θm±1−θm
であり、焦点4から領域Sm±1を見込む角として算出される。
この角θbは、後述するように、測定前に所定の角度、例えは全反射臨界角θcに設定され、測定中はその所定の角度に維持される。このため、試料1表面に入射するX線の視射角θは、位置xの関数として定まり、θ=θ(x)と表示される。従って、領域Smのx座標位置xmを用いて、領域Smに入射するX線の視射角θmを、θm=θ(xm)と表示することができる。
侵入X線強度分布算出部55は、視射角算出部54により算出された視射角θ(x)と、発散X線ビーム制御部51により設定された発散X線ビーム3の波長λとを用いて、試料1表面から深さzにおけるX線の強度(強度分布)Ip(z)を、
Ip=Io×exp(−z/Λ) (2式)
として算出する。ここで、Ioは入射X線(発散X線ビーム3)の強度、Λは侵入深さである。侵入深さΛは、視射角θおよびX線の波長λを用いて、
Λ(θ、λ)=(λ/4π)×
×√[2/{√((θ2 −2δ)+4β2 )−(θ2 −2δ)}] (3式)
として算出される。ここで、δ及びβは、試料1の屈折率nを、
n=1−δ−jβ
と真空からの屈折率の差として表示したときの差の実部δおよび虚部βである。なお、jは虚数単位である。
3式中の視射角θは、領域Sm(m=1,2,・・・,M)に対応するM個の視射角θmとして与えられる。また、後述するように波長λiとして、N個の波長λi(i=1,2,・・・,N)が与えられる。従って、M×N個の侵入深さΛ(θ、λ)と強度分布Ip(z)が算出される。
XAFS検出部56は、1つの波長λiに対して、強度測定制御部53により収集、較正された蛍光X線5の強度に基づき、領域SmにおけるX線吸収量Xab(xm)を、全ての領域S1〜SMについて算出する。一方、領域Smにおける侵入X線の侵入深さおよび強度分布は、1つの波長λiに対して、侵入X線強度算出部により算出された侵入深さΛ(xm)および侵入X線強度分布Ip(xm,z)、(zは試料表面からの深さz)、として与えられる。XAFS検出部56は、1つの波長λiについて算出された、侵入X線強度分布Ip(xm,z)およびX線吸収量Xab(xm)に基づいて、その波長λiにおけるX線吸収の深さ方向の分布φ(z)を算出する。これを、全ての波長λ1〜λNについて行う。
本発明では、X線吸収の深さ方向の分布φ(z)が、試料1面内で一様であるとしている。かかる試料1は、試料1全面に一様な層構造、例えばイオン注入層あるいは強磁性薄膜/トンネル障壁膜からなる積層構造を形成することで作製される。
かかる試料1では、X線吸収量Xab(xm)は、
Xab(xm)=∫{Ip(xm,z)×φ(z)}dz (4式)
として表される。ここで、積分範囲は、z=0を始点とし、X線吸収が無視し得る深さまでとする。
XAFS検出部56は、実測されるXab(xm)および算出されるIp(xm,z)を既知の関数として、未知の関数φ(z)を求める。例えば、4式の逆演算により、あるいは試行錯誤的に計算することにより、関数φ(z)の近似解を求める。
一例として、Ip(xm,z)およびφ(z)を完全直交系をなす関数列tn(n=1,2,・・・)の一次式で近似し、4式に代入して、
Xab(xm)=Σn(Ip,m,n×φn) (4’式)
を得る。ここで、Ip,m,nおよびφnは、それぞれIp(xm,z)およびφ(z)を関数列tnで展開したときのn次の係数である。4’式から最小自乗法を用いて、φnを求めることができる。即ち、
Σm{Xab(xm)−Σn(Ip,m,n×φn)}2
が最小になるφnを算出する。その結果、未知の関数φ(z)の近似式を、
φ(z)=Σn(φn×tn(z))として求めることができる。
他の例として、X線吸収量Xab(xm)を、侵入深さΛ(xm)を用いて、
Xab(xm)=Xab(xm−1)+
+Ip(xm,z=Λm)×φ(z=Λm))×ΔΛm (5式)
と表す。ここで、Λmは領域Smにおける侵入深さΛ(xm)であり、ΔΛmはΔΛm=Λ(xm)−Λ(xm−1)である。従って、5式に基づき、Λm近傍の深さに位置する層(厚さΔΛm)のX線吸収量を、隣接する領域Sm−1、SmのX線吸収量の差分として求めることができる。これから、X線吸収の深さ方向の分布φ(z)が算出される。
もちろん、これ以外の方法を用いて、測定されたX線吸収量Xabと算出された侵入X線強度分布Ip(xm,z)から、深さ方向のX線吸収分布φ(z)を求めてもよい。
さらに、XAFS検出部56は、全ての波長λ1〜λNについて、X線吸収の深さ方向の分布φ(z)を算出する。これにより、X線吸収量の波長λ依存性、即ちXAFSデータが算出される。このとき、XAFSデータの深さ方向の分布が取得される。言い換えれば、任意の深さzに位置する層のXAFSが取得される。
次に、本発明の第1実施形態の全反射X線分析方法の測定工程について説明する。
図4は本発明の第1実施形態の測定工程図(その1)であり、発散X線ビームの形成から蛍光X線強度の測定を経て、XAFSの変化を検出するまでの工程を表している。
図4を参照して、ステップS0で、発散X線ビーム制御部51は、レジスタに初期設定を表す数値i=0を設定する。ついで、ステップS1で、レジスタの数値i=0に従って、i=0番目の波長として予め設定されている波長λ0を有する発散X線ビーム3を形成する。このステップS1では、放射光に代えてX線管を光源とすることもできる。このとき、制動輻射により発生する連続波長分布を有するX線から、初期設定の波長λ0を選定する。波長λ0として、例えばCuKα線近傍の波長を選定してもよい。なお、後述するステップS2を放射光を用いて実行するときは、XAFS分析に用いられる波長、例えは11.9KeVのエネルギーを有する波長を選定する。
図5は本発明の第1実施形態の測定工程図(その2)であり、ステップS1の詳細工程を表している。
図5および図1を参照して、発散X線ビーム制御部51(図3参照)は、ステップS11で、モノクロメータ11の回転台(第1及び第2結晶11a、11bが載置されている)の回転方向11rを制御して、波長λ0のX線がブラッグ角を満たすように回転する。これにより、モノクロメータ11から波長λ0の単色の平行X線ビーム2−1が出力される。
ついで、ステップS12で、発散X線ビーム制御部51は、第2結晶11bを移動方向11s(第1結晶の垂直方向)に移動し、平行X線ビーム2−1の中心が所定位置になるように調整する。
次いで、図4を参照して、ステップS2を実行して、試料の位置および姿勢を設定する。
図6は本発明の第1実施形態の測定工程図(その3)であり、ステップS2の詳細工程を表している。
図6を参照して、ステップS2では、まずステップS21で試料1表面を発散X線ビームの中心に合わせる。
具体的に説明すると、図1を参照して、初めに、位置敏感型検出器63の一部が、発散X線ビーム3の中心線(図1中に、焦点4と試料1表面の中心点Bを結ぶ一点鎖線で表示する直線)の延長上にかかるように配置されている。これにより、発散X線ビーム3全体の強度が位置敏感型検出器63により測定される。また、試料1は、保持台20上に載置され、水平に保持されている。即ち、試料1表面がxy面に平行に保持されている。
ステップS21で、試料姿勢制御部52は、基台20bをz方向に上昇し、試料1が発散X線ビーム3を半分まで遮る位置、即ち位置敏感型検出器63で観測される発散X線ビーム3のX線強度が1/2になる高さに試料1を移動する。ついで、ステップS22で、試料姿勢制御部52は、ゴニオメータ20aをxz面内で回転し(回転方向20r)、発散X線ビーム3のX線強度が最大になる回転位置に設定する。ついで、ステップS23で、試料姿勢制御部52は、試料1表面が発散X線ビームの中心線上に位置したと判断すると、ステップS24を実行し、中心線上にないと判断したときは、ステップS21〜S23を繰り返す。なお、中心線上に試料1表面が位置するとの判断は、ステップS22終了時の回転位置が、X線強度の極小位置にあることでなされる。このように、基台20bの上昇とゴニオメータ20aの回転とを交互に繰り返すことで、試料1の表面は、発散X線ビーム3の中心線を含む平面内に設定される。
ついで、ステップS24、25を実行する。このステップS24、25では、試料1に入射する発散X線ビーム3の視射角を設定する。即ち、発散X線ビーム3の中心線を進行するX線が、全反射臨界角θcの近傍の視射角で入射するように、試料1の傾きを設定する。
まずステップS24で、試料姿勢制御部52は、図1を参照して、ゴニオメータ20aを回転方向20rに回転し、発散X線ビーム3の中心線が試料1表面となす角(以下、「視射角θb」という)を走査する(視射角θbは、ステップS1からのゴニオメータ20aの回転角に等しい)。そして、試料1表面から反射された反射X線7の強度を位置敏感型検出器63を用いて観測する。ついで、ステップS25で、試料1表面の中央部(図1中の点1B近傍の領域)の反射X線7の強度が発散X線3の強度の1/2になるように、即ち反射率が0.5になるように視射角θbを設定する。
この試料1表面の中央部は、図1を参照して、反射X線7の両端(図1での上下端)の中心として求めることができる。反射X線7の両端は、試料1表面に照射する発散X線ビーム3の両端(図1中に示す点1Aおよび点1C)からの反射に対応するからである。なお、本明細書では、発散X線ビーム3の中心線と試料1表面とが交差する点1Bを、試料1表面の中心と見做して説明している。
上述したステップS21〜25の工程は、X線管球を用いて発生する連続波長を有するX線から、所定の波長λ0を設定することができる。この場合、ステップS1では、既述のように所定の波長λ0を選定する。また、放射光を入射X線ビーム2として設定してもよい。
図7は反射強度と視射角との関係を表す図であり、視射角θを走査したときのX線反射率の変化を表している。なお、図7はCuKα線に対する計算値を示した。
図7中の曲線Rを参照して、視射角θを0度から0.5度まで走査したとき、視射角θが0度〜0.2度の範囲では、反射率Rはほぼ1.0であり全反射することを示している。視射角θ=0.2度〜0.25度の範囲で反射率は急減し、0.25度以上では反射率は0.1以下まで漸減し、全反射は起こらない。視射角θが全反射臨界角θcに等しい時、反射率Rは0.5になる。
発散X線ビーム3の中心線が試料1表面となす視射角θbは、ゴニオメータ20aの回転角に等しい。従って、反射X線7の強度が発散X線3の強度の1/2になる回転位置にゴニオメータ20aを設定することで、試料1表面の中央に入射する発散X線ビーム3の視射角θbを全反射臨界角θcに設定することができる。
なお、図7には、観測された見かけの反射率Rob、算出された試料1表面のX線強度T、および算出されたX線の侵入深さΛを合わせて表示した。反射X線7の観測強度から算出された見かけの反射率Robは、θcut以下の視射角θで減少している。これは、発散X線ビーム3が試料1からはみ出るためである。この場合、発散X線ビーム3が試料1の端面を照射するためノイズが多くなる。このため、視射角θbをθcut以上にすることが好ましい。試料1表面のX線強度Tは、全反射臨界角θc近傍にピークを有する。このピークは、発散X線ビーム3と反射X線7との干渉により生ずる。試料1内部に侵入するX線のX線強度分布は、この干渉を考慮して算出される。
X線の侵入深さΛは、3式に従って視射角θの関数として算出され、図7中の曲線Λを参照して、全反射臨界角θc近傍で急激に変化する。ステップS2では、点1Bにおける視射角θbが、全反射臨界角θcの近傍に設定される。このため、点1B近傍の領域Smでは、僅かな視射角の相違が大きな侵入深さΛの変化を生じる。その結果、侵入深さΛは視射角θの変動に応じて、即ち領域Smの位置に応じて鋭敏に変化する。また、試料1表面におけるX線強度Tも全反射臨界角θc近傍で急変する。従って、侵入X線強度分布Ipも、全反射臨界角近傍の視射角で急激に変動する。このように、視射角θbを全反射臨界角θc近傍に設定すると、視射角θの変化に対して侵入深さおよび侵入X線強度分布が急変するので、X線吸収量の深さ分布の変化に対して鋭敏に応答し、X線吸収量の深さ分布の相違を精密に検出することができる。
なお、波長の異なるX線に対しては、図7の横軸の視射角θを全反射臨界角θcで正規化した図として表される。従って、他の波長についても、正規化した図を用いて、図7と同様に説明される。
上述したステップS21〜25の工程を、XAFS測定と異なる波長の発散X線ビーム3により設定した場合、XAFS測定に適した波長、例えは11.9keVのエネルギーを有する波長の発散X線ビームで再度実行する。これにより、XAFS測定において、試料1のほぼ中央に位置する領域Smへの視射角θmを全反射臨界角θcに調整することができる。もちろん、ステップS21〜S25の工程を初めからXAFS測定に適した波長により行う場合は、かかる調整は不要である。
放射光による調整後、発散X線ビーム3の中心線が試料1表面となす視射角θbは、11.9keVのエネルギーを有する波長における試料(Si)の全反射臨界角θc=0.151度に調整されている。一方、発散X線ビーム3の発散角は0.122度であり、発散X線ビーム3は、試料1表面のx軸方向に長さ82mmの領域(図1中の点1C〜1Aの間の領域)を照射する。
再び図4を参照して、ステップS2の終了後、ステップS3で、視射角算出部54は、各領域Smに入射する発散X線ビーム3の視射角θmを算出する。
図1および図2を参照して、ステップS2の終了時には、試料1表面の中央近傍(図1中の点1B近傍)の領域Smに入射する発散X線ビーム3の視射角θmは、例えば11.9keVのエネルギーのX線に対する全反射臨界角θcに設定されている。視射角算出部54は、領域Smの視射角θmをθm=θcとして、これを基準として、1’式に従って、これより左側(発散X線ビーム3が入射する側)の領域Sm−1、・・・、S1に入射する視射角θm−1、・・・、θ1、および右側の領域Sm+1、・・・、SMに入射する視射角θm+1、・・・、θMを算出する。全反射臨界角θcを与える領域Smは、反射率R=0.5の領域Smとして正確に決定することができるので、他の全ての領域Smの視射角θmについても精密に算出することができる。
ステップS3の終了後、発散X線ビーム3の波長を変えて、試料1表面から放出される2次放射線、ここでは蛍光X線5強度の測定を開始する。まず、ステップS0−1で、レジスタの値をi=1に設定する。
次いで、ステップS4で、発散X線ビーム制御部51は、ステップS11と同様に、モノクロメータ11の回転台の回転を制御して、波長λi(最初はi=1)のX線がブラッグ角を満たすように回転する。これにより、モノクロメータ11から波長λiの単色の平行X線ビーム2−1が出力される。なお、入射X線ビーム2として放射光を用いる。波長λiは、測定すべき元素の吸収端波長の近傍に選択される。ここでは、AsのK−吸収端波長、11.867keVの近傍のXAFSを測定するために、11.8keV〜12.2keVのエネルギー範囲内にN個の波長を予め設定し、その中から一つを選択した。このステップS4により、発散X線ビーム3の波長が変更される。しかし、発散X線ビーム3の位置および進行方向は変わらない。
ついで、図4を参照して、ステップS5で、試料1表面から放出される2次放射線、ここでは蛍光X線5の強度が測定される。図1、2を参照して、強度測定制御部53は位置敏感型検出器31を用いて、試料1表面に画定された領域S1〜SMから放射される蛍光X線5の強度を測定する。この蛍光X線5の強度は、コリメータ31bにより試料1表面に画定されるM個の領域S1〜SMのそれぞれから放射される強度として測定される。即ち、領域Smから放射される蛍光X線5−m(m=1,2,・・・,M)が、全ての領域S1〜SMに対して測定される。
図8は検出器のエネルギー分解機能を説明する図であり、位置敏感型検出器31により測定されたX線の信号強度とそのエネルギーとを表している。なお、信号強度は1つの領域Smから放射されるX線の強度を表し、そのX線のエネルギーを波高分析器31hのチャネルにより表示した。
図8を参照して、試料1表面から放出されるX線の信号強度は、2つのエネルギー範囲71、72に対応する2つのピークが観測された。エネルギー範囲71内のピークはAsの蛍光X線5であり、本第1実施形態の観測対象である試料1中のAsからの放射である。また、エネルギー範囲72内のピークは発散X線ビーム3の弾性散乱X線である。強度測定制御部53は、エネルギー範囲71内のチャネルで測定された信号のみを計測し、観測対象であるAsの蛍光X線5の強度を選別して測定する。このように、位置敏感型検出器31にエネルギー分解能をもたせることで,散乱X線あるいは観測対象外の元素の蛍光X線によるノイズを低減することができる。
図4を参照して、ステップS4で、視射角算出部54は領域Smごとの視射角θmを算出する。
次いで、侵入X線強度算出部55は、視射角算出部54により算出された視射角θmおよび発散X線ビーム制御部51が選定した発散X線ビーム3の波長λiを、2式および3式のθおよびλに代入して、侵入深さΛおよび深さzにおけるX線強度Ip(z)を算出する。この侵入深さΛおよびX線強度Ip(z)は、一つの波長λiについて、M個の領域S1〜SMのそれぞれに対して算出される。従って、領域Smのx座標xmを用いてΛ(xm)およびIp(xm,z)と表示することができる。
図9は本発明の第1実施形態の侵入深さの視射角依存性を表す図であり、11.9keVのエネルギーを有するX線に対して、侵入X線強度算出部55により算出された侵入深さを表している。なお、図9中のθ1A、θ1Bおよびθ1Cは、図1中の点1A、1B、1Cを含む領域S1、Sm、SMへの視射角θである。
図9を参照して、侵入深さΛは、視射角θがθ1A以下では視射角の増加とともに緩やかに深くなる。そして、視射角θが全反射臨界角θc近傍のとき、急激に深くなる。そして、θ1C以上の視射角では、視射角θの増加とともに緩やかに深くなる。
試料1の中央の領域Smの視射角θ1Bは全反射臨界角θcに等しく、この領域Smにおける侵入深さΛ(xm)は20nmと算出された。他方、発散X線ビーム3の一端に位置する領域S1の視射角θ1Aは0.105度であり、この領域S1の侵入深さは4nm弱と算出された。また、発散X線ビーム3の他端に位置する領域SMの視射角θ1Cは0.227度であり、この領域S1の侵入深さはほぼ200nmと算出された。なお、試料1表面の発散X線ビーム3により照射される領域S1〜SM間の距離(図1の点1A〜1C間の距離)は、82mmであった。
図10は第1実施形態で算出された侵入X線の強度分布を表す図であり、侵入X線強度算出部55により算出された試料1中のX線(侵入X線)強度の深さ方向の分布を表している。
図10を参照して、侵入X線強度Ipは、2式に従い深さz方向に深さzの指数関数で減少する。表面近傍(z=0の近傍)での深さに対するX線強度Ipの減少率dIp/dzは、侵入深さΛの大きさに依存する。曲線IAを参照して、侵入深さΛが小さな領域S1では急激に減少する。これに対して、曲線ICを参照して、侵入深さΛが大きな領域SMでは曲線IAと比べて緩やかに減少する。なお、表面でのX線強度Ipは、発散X線ビーム3と反射X線ビーム7の干渉により変化し、視射角θmごとに、即ち領域Smごとに異なった強度をとる。
ついで、図4を参照して、ステップS7で、発散X線ビーム制御部51のレジスタの内容iを調べ、iが発散X線ビーム3として選択されるべき波長の数N未満のとき、全ての波長が選択されていないと判断され、ステップS0−2でi=i+1としたのち、再度ステッフS1〜S6を繰り返す。
レジスタの内容iが所与の数Nに一致したとき、全ての波長について測定がなされたと判断され、つぎのステップS8を実行する。このステップS8の実行前に、M個の領域Sm(m=1,・・・,M)の各領域ごとに、侵入深さΛおよび侵入X線強度分布Ip(z)が、N個の波長λi(i=1,・・・,N)に対して算出されている。即ち、波長λiおよび領域Smのx座標xmをバラメータとする関数、Λ(λi,xm,z)およびIp(λi,xm,z)が算出されている。
ステップS8では、XAFS検出部56が、ステップS5で強度測定部により測定された領域Smから放射される蛍光X線5の強度に基づき、領域Smで吸収されるX線吸収量Xab(xm)を算出する。このX線吸収量Xab(xm)は、mが1〜Mの各領域ごとに、また、i=1〜Nの各波長ごとに算出される。従って、X線吸収量Xab(xm)は、領域の位置xmおよび波長λiの関数Xab(xm,λi)として表される。
さらに、XAFS検出部56は、算出されたX線吸収量Xab(xm,λi)と、ステップS5で侵入X線強度測定部55により算出された侵入X線強度分布Ip(λi,xm,z)とを4式ないし4’式に代入して、深さzの層のX線吸収量φ(z)を各波長λi(i=1,・・・,N)について求める。言い換えれば、深さzの層のX線吸収量φ(z)の波長依存性、即ち深さzの層のXAFSが求められる。従って、任意の深さzにおける観測対象の原子、例えばAsの状態、例えば配位、密度および化学結合状態等を知ることができる。このように、ステップS8では、深さ方向のXAFSの変化が検知、算出される。
上述した本発明の第1実施形態では、試料1の姿勢(高さおよび傾き)をステップS2で初期設定として一度設定するのみで、その後に試料1の傾きを変更しない。そして、発散X線ビーム3の複数の波長についてX線吸収量を測定し、任意の深さzにおける層のX線吸収量の波長依存性、即ちXAFSデータを取得する。
従って、XAFSデータの取得に要する時間tは、
t=tθo+N×(tλset+tob) (6式)
となる。ここで、tθoは1回の試料1の傾きの設定(初期設定)に費やされる時間、tλsetは1回の発散X線ビーム3の波長の変更に費やされる時間、tobは蛍光X線5の強度の測定時間である。また、Nは発散X線ビーム3で選択された波長の数である。
一方、比較例として示す従来の全反射X線分析方法では、1つの波長について、試料1の傾きを複数回実行する。
図11は比較例の全反射X線分析装置の断面図であり、比較例の全反射X線分析方法で用いられる全反射X線分析装置200の試料1近傍の主要な機構を表している。
図11を参照して、比較例の全反射X線分析装置200は、X線ビーム201が平行ビームであること、検出器202、203が単一の検出素子からなり、位置敏感型でない点を除いて、第1実施形態の全反射X線分析装置101と同様である。なお、平行X線ビーム201を形成するため、図1の反射鏡12に代えて平面鏡を用いる。または、反射鏡12を用いない。
比較例の全反射X線分析方法では、波長λiの平行なX線ビーム201を試料1表面に照射し、試料1表面から放出される蛍光X線5を検出器202で検知する。次いで、ゴニオメータ2bを調整して試料1を傾け、X線ビーム201の視射角θを順次変更し、それぞれの視射角θk(k=1,・・・,M)における蛍光X線5の強度を測定する。さらに、波長λiをN回変更し、各波長について視射角θを変えた蛍光X線の強度測定を繰り返す。これにより、異なる視射角、言い換えれば異なる深さzの層のXAFSデータを取得する。
この比較例の全反射X線分析方法では、1つの波長について、M回の試料1の傾きの変更およびM回の蛍光X線強度の測定が必要である。1つの傾きにおける測定に要する時間は、傾きの設定に要する時間tθsetと蛍光X線強度の測定時間t’obの和、tθset+t’obである。従って、XAFSデータの取得に要する時間t’は、
t’=tθo+N×(tλset+M×(tθset+t’ob))
=tθo+N×(tλset+M×(tθset+tob/M)) (7式)
と表される。ここで、比較例の蛍光X線強度の測定時間、t’obを、本第1実施形態の測定時間tobを領域Smの数Mで除した時間、t’ob=tob/Mとした。このようにすると、蛍光X線の計測数が従来例と本第1実施形態とでほぼ同じになり、同等の強度測定精度が得られる。
7式から6式を減算して、
t’−t=N×M×tθset (8式)
を得る。8式は、本第1実施形態のXAFS測定時間が,比較例の全反射X線分析方法に比べて、N×M×tθsetの時間短縮がなされることを意味する。
例えは、波長の数N=100、領域の数M=20、試料1の傾きに要する時間tθset=6秒とすると、t’−t=12000秒=3.3時間となる。従って,本第1実施形態によれば、比較例の全反射X線分析方法に比べて、分析時間を3時間以上短縮することができる。
本発明の第2実施形態は、試料表面から放出される光電子、例えばオージェ電子の強度を位置敏感型検出器を用いて測定する全反射X線分析方法に関する。
図12は本発明の第2実施形態の全反射X線分析装置の断面図であり、光電子を検出するための位置敏感型検出器32の構成を表している。
図12を参照して、本第2実施形態で用いられる全反射X線分析装置102では、第1実施形態の全反射X線分析装置101で用いられる蛍光X線を検知する位置敏感型検出器31に代えて、光電子6を検知する位置敏感型検出器32が用いられる。両装置102、101のその他の構成は同様である。
全反射X線分析装置102で用いられる位置敏感型検出器32は、1次元または2次元の検出器32aと、検出器32aの下面(検出面)に設けられたコリメータ32bとを有する。
コリメータ32bは、x軸に垂直に、即ち試料1表面に垂直に配置された互いに平行な遮蔽板32cを備える。このコリメータ32bは、第1実施形態のコリメータ31bと同様に配置され、試料1表面をM個の領域Smに分割し画定する。即ち、試料1表面から放出される2次放射線(第2実施形態では光電子6)は、遮蔽板32cにより各領域Smから放出される2次放射線ごとに分離されて検出器32aにより検出される。
検出器31aは、その検知面(図12では下面)に1次元または2次元に配置された電極32dが設けられる。これらの電極32dは、遮蔽板32cの間に位置するように配置され、検流計31eを介して負電圧が印加されている。
本第2実施形態の全反射X線分析方法の工程は、図4を参照して、ステップS5の2次放射強度の測定工程を除き、第1実施形態と同様である。簡明にするため、以下ステップS5の相違点を主として説明する。
図12を参照して、本第2実施形態では、発散X線ビーム3により照射された試料1表面から放出される光電子6の強度を測定する。試料1表面から放出された光電子6は、下方からコリメータ32bに入射する。このとき、光電子6は、遮蔽板32cで挟まれた空間のうち、放出位置の直上の空間に飛び込み、雰囲気のHe原子64をイオン化する。イオン化したHe原子64は、負電位が印加された電極32dに引き寄せられ放電する。ごの放電は、検流計31eにより検知され、さらに図1を参照して、波高分析器31hによりエネルギーと強度とが測定される。
以下、蛍光X線の強度に代えて光電子の強度を用いることで、第1実施形態と同様の工程によりXAFSの深さ方向の分布の変化を検知することができる。
本発明の第3実施形態は、反射X線強度を位置敏感型検出器を用いて測定する全反射X線分析方法に関する。
図13は本発明の第3実施形態の全反射X線分析装置の断面図であり、主要な構成を表している。
図13を参照して、本第3実施形態で用いられる全反射X線分析装置103は、第1実施形態の全反射X線分析装置101と比べて、試料1表面から放出される2次放射線を検知する位置敏感型検出器31とその波高分析器31hを備えない点で異なる。また、反射X線7を検出する位置敏感型検出器63とその波高分析器63hを備える。その他は、第1実施形態の全反射X線分析装置101と同様である。
本第3実施形態の全反射X線分析方法の工程は、図4を参照して、ステップS5の2次放射強度の測定工程で蛍光X線強度を測定するのに代えて反射X線強度を測定すること、およびステップS8で蛍光X線強度に代えて反射X線強度に基づきX線吸収量を算出こと、を除き、第1実施形態と同様である。簡明にするため、以下ステップS5およびステップS8の相違点を主として説明する。
本第3実施形態のステップS5では、図13を参照して、発散X線ビーム3が試料1の表面で反射された反射X線7の強度を、位置敏感型検出器63を用いて測定する。本第2実施形態の位置敏感型検出器63は、第1実施形態の位置敏感型検出器63と同様に、コリメータ63bと1次元または2次元の検知器63aとを備える。第1実施形態と異なり、第3実施形態では、単体の検出素子は用いられない。
コリメータ63bは、試料1表面から反射された反射X線7を、試料1表面に画定された領域Smごとに選別して検出器63aに入射する。従って、各領域Smごとの反射X線7強度が測定される。なお、領域Smは、その領域Smからの反射X線7が検出器63aの検出素子へ入射可能な領域として、コリメータ63bにより試料表面に画定される面である。従って、位置敏感型検出器63は、各領域Smごとから反射される反射X線7強度を測定する。
第3実施形態でのステップS8では、蛍光X線強度に代えて、反射X線7強度からクラマース・クローニッヒの関係式を用いてX線吸収量を算出する。他は、第1実施形態のステップS8と同様にして、XAFSの深さ分布を算出する。
本発明の第4実施形態は、点または線状のX線源と湾曲モノクロメータとを用いて、発散X線ビーム3を形成する全反射X線分析方法に関する。
図14は本発明の第4実施形態の発散X線ビーム形成器の構成図であり、第4実施形態で用いられる全反射X線分析装置の発散X線ビーム形成器10Aの主要な構成を表している。
図14を参照して、第4実施形態の発散X線ビーム形成器10Aは、点又は線状(図14の紙面に垂直な線状)のX線源9から放射されるX線を入射X線ビーム2として用いる。かかるX線源9は、例えば、金属ターゲットの表面を電子線で照射してX線を発生するX線管により実現される。なお、線状X線源を用いるときは、入射X線ビーム2の発散方向を、図14の紙面に平行な面内に制限するソーラースリット13を用いる。
X線源9から放射された入射X線ビーム2は、湾曲モノクロメータ16に入射され、焦点4上に集光される。この焦点4位置は、波長により異なる。従って、特定波長のX線が集光する焦点4位置に開口を有するスリット板10aを配置することで、所定波長のX線のみを選択的に通過させることができる。集光された所定波長の入射X線ビーム2は、さらに焦点4から発散する発散X線ビーム3として出射される。なお、湾曲モノクロメータ16は、単結晶板、例えばグラファイト単結晶板を曲率半径調整可能に湾曲したものを用いることができる。
上述した第4実施形態で用いられる全反射X線分析装置は、発散X線ビーム形成器10Aが異なる他は第1〜第3実施形態の全反射X線分析装置と同様である。また、第4実施形態の全反射X線分析方法も、発散X線ビーム3の形成工程以外は、第1〜〜第3実施形態と同様の工程で行われる。本第4実施形態によれば、放射光を用いないので、実験室内での簡易な装置によるX線分析が実現される。
本発明の第5実施形態は、点又は線状の光源と平板モノクロメータとを用いて、発散X線ビーム3を形成する全反射X線分析方法に関する。
図15は本発明の第5実施形態の発散X線ビーム形成器の構成図であり、第5実施形態で用いられる全反射X線分析装置の発散X線ビーム形成器10Bの主要な構成を表している。
図15を参照して、第5実施形態の発散X線ビーム形成器10Bは、第4実施形態と同様に、点又は線状(図14の紙面に垂直な線状)のX線源9から放射されるX線を入射X線ビーム2として用いる。
X線源9から放射された入射X線ビーム2は、ソーラースリット13を通過して平板モノクロメータ16に入射され、ブラッグ条件を満たす波長のX線が回折X線18として反射される。この回折X線18は、平板モノクロメータ17の反射面を鏡面として形成されるX線源9の鏡像9’を焦点4として発散する発散X線ビーム3を構成する。従って、第4実施形態と同様の発散X線ビーム3が形成される。さらに、X線源9の鏡像9’を焦点として扇状に広がる発散X線ビーム3のxz面内の発散角を制限してノイズを低減するため、xz面内の発散角を制限するソーラースリット14を設けることが好ましい。
なお、平板モノクロメータ17により形成される発散X線ビーム3は、平板モノクロメータ17の反射位置により回折される波長が異なる。従って、発散X線ビーム3を横切る方向に波長分布が生ずる。通常、発散X線ビーム3の発散角は0.2度以下と小さいので、XAFS分析においてこの波長分布を無視することができる。もちろん、図1を参照して、試料1表面の領域Smに入射するX線の波長を算出して、X線吸収量の波長依存性を精密に測定することもできる。
上述した本第5実施形態は、発散X線ビーム形成器10Bが異なる他は第4実施形態と装置および工程とも同様である。本第4実施形態によっても、実験室内での簡易な装置によるX線分析が実現される。
本発明を深さ方向の分布を有する試料表面のXAFS分析に適用することで、迅速な分析が実現される。
1 試料
2 入射X線ビーム
2d 進行方向
3 発散X線ビーム
4 焦点
5、5−1〜5−M 蛍光X線
6 光電子
7 反射X線
9 X線源
9’鏡像
10、10A、10B 発散X線ビーム形成器
10a、10b スリット
11、16、17 モノクロメータ
11a 第1結晶
11b 第2結晶
11r、20r 回転方向
11s 移動方向
12 反射鏡
13、14 ソーラースリット
16 湾曲モノクロメータ
17 平板モノクロメータ
20 保持台
20a ゴニオメータ
20b 基台
31、32、63 位置敏感型検出器
31a、32a、63a 検出器
31b、32b、63b コリメータ
31c、32c 遮蔽板
31h、63h 波高分析器
32d 電極
32e 検流計
35 透過型X線検出器
50 コンピュータ
51 発散X線ビーム制御部
52 試料姿勢制御部
53 強度測定制御部
54 視射角算出部
55 侵入X線強度算出部
56 XAFS検出部
60 チャンバー
60a ガス導入口
60b ガス排出口
61、62 X線透過窓
63c 計数器
64 He原子
101、102、103、200 全反射X線分析装置
S1,S2,・・・,Sm,・・・,SM 領域

Claims (6)

  1. 複数の波長から選択された単一波長を有し、線状または点状の焦点から発散するX線からなる発散X線ビームを形成する第1の工程と、
    前記発散X線ビームを構成する前記X線の一部が試料表面に全反射臨界角で入射するように、前記発散X線ビームを前記試料表面に照射する第2の工程と、
    前記試料表面に画定された複数領域のうちのそれぞれの各領域に入射する前記X線の視射角を前記各領域ごとに算出する第3の工程と、
    前記各領域から放出される蛍光X線、光電子の強度または前記各領域から反射される反射X線の強度を、位置敏感型検出器を用いて測定する第4の工程と、
    算出された前記視射角から前記試料内に侵入する前記X線の深さ方向のX線強度分布を、前記各領域ごとに算出する第5の工程と、
    前記X線の波長を前記複数の波長から選択された他の単一波長に変更して、前記第4〜第5の工程を繰り返し、前記各領域ごとに前記複数の波長に対する前記蛍光X線、前記光電子または前記反射X線の強度を測定し、かつ、前記各領域ごとに前記複数の波長に対する前記X線強度分布を算出する第6の工程と、
    前記第6の工程で測定された前記蛍光X線、前記光電子または前記反射X線の強度、および、前記第6の工程で算出された前記X線強度分布に基づき、X線吸収微細構造(XAFS)の試料の深さ方向分布を算出する工程と、
    を有することを特徴とする全反射X線分析方法。
  2. 前記位置敏感型検出器は、エネルギー分解機能を有し、
    前記第3の工程は、所与のエネルギー範囲の蛍光X線、光電子または反射X線の強度を測定することを特徴とする請求項1記載の全反射X線分析方法。
  3. 前記第1の工程は、
    連続波長を有する平行ビームの入射X線を平行平板型モノクロメータに入射し、前記単一波長のX線を分光する工程と、
    分光された前記X線を反射鏡に入射し、線状又は点状の焦点に集光する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1または2記載の全反射X線分析方法。
  4. 前記第1の工程は、
    連続波長を有する入射X線を湾曲型モノクロメータに入射して、前記単一波長を有する前記X線を線状又は点状の焦点に集光する工程と、
    前記焦点に開口を有するスリット板を配置して、前記単一波長を有する前記X線のみ前記開口を通過させる工程と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2記載の全反射X線分析方法。
  5. 前記第1の工程は、
    点又は線光源から放射され連続波長を有する入射X線ビームを平板型モノクロメータにより反射回折させて、前記平板型モノクロメータを鏡面とする前記光源の鏡像を発散の中心とする前記単一波長のX線からなる前記発散X線ビームを形成することを特徴とする請求項1又は2記載の全反射X線分析方法。
  6. 連続波長を有する入射X線ビームから所定の単一波長のX線を分光し、線状または点状の焦点に集光して、前記焦点から発散する前記X線からなる発散X線ビームを形成する発散X線ビーム形成器と、
    前記発散X線ビームを構成する前記X線の一部が全反射臨界角で試料表面に入射するように、前記発散X線ビームに対する前記試料の位置及び視射角を調整可能に保持する前記試料の保持台と、
    前記試料表面に設定された複数領域の各領域から放出される蛍光X線若しくは光電子の強度、または前記各領域から反射される反射X線の強度を測定する位置敏感型検出器と、
    前記各領域に入射する前記X線の視射角を前記各領域ごとに算出し、算出された前記視射角から前記試料内に侵入する前記X線の深さ方向の強度分布を、前記各領域ごとに算出する侵入X線強度算出部と、
    複数の前記単一波長に対して、前記各領域ごとに算出された前記強度分布、および前記各領域ごとに測定された前記強度に基づき、X線吸収微細構造(XAFS)の試料の深さ方向分布を算出するXAFS検出部と、を備えることを特徴とする全反射X線分析装置。
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