JP2013149462A - 膜−電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】経済的でアニオン伝導性に優れたハロゲンを含まない環境適応型の膜−電極接合体の提供。
【解決手段】ビニルアルコール系重合体ブロック及び式(1)の繰り返し単位からなるカチオン性重合体ブロックを有するブロック共重合体を含有し、架橋処理が施されたイオン交換膜−電極接合体。
Figure 2013149462

(Rは水素原子又はメチル基を表わす。R、R、Rは、水素原子、又はアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。Xは陰イオンを表わす。)
【選択図】なし

Description

本発明は、陰イオン交換膜とそれに接合された電極とを有する膜−電極接合体に関する。
近年、エネルギー・環境問題の抜本的解決策として、さらには将来の水素エネルギー時代の中心的エネルギー変換システムとして、燃料電池技術は新エネルギー技術の柱の1つとされている。特に固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、小型軽量化などの観点から、電気自動車用の駆動電源や携帯機器用の電源、さらに電気と熱を同時利用する家庭据置き用の電源機器などへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、一般に次のように構成される。まず、イオン伝導性を有する高分子電解質膜の両側に、白金族の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質からなるイオン伝導性バインダーとを含む触媒層がそれぞれ形成される。各触媒層の外側には、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気する多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ形成される。ガス拡散層としてはカーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。触媒層とガス拡散層を一体化したものはガス拡散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極をそれぞれ触媒層が電解質膜と向かい合うように電解質膜に接合した構造体は膜−電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。この膜−電極接合体の両側には、導電性と気密性を備えたセパレータが配置される。それぞれの電極面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を供給するガス流路が膜−電極接合体とセパレータの接触部分又はセパレータ内に形成されている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノールなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガスを供給して発電する。すなわち、例えばプロトン交換型燃料電池の場合、燃料極では燃料がイオン化されてプロトンと電子が生じ、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反応することで水が生成する。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
また、これに対して、アニオン伝導膜(カチオン性基を有する膜)を使用するアニオン交換型燃料電池も検討されている。アニオン交換型燃料電池は、酸素極における過電圧が低減されることが知られており、エネルギー効率の向上が期待されている。
固体高分子型燃料電池用の高分子電解質膜としては、化学的に安定であるという理由からパーフルオロスルホン酸系高分子であるナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標、以下同様)が一般的に用いられている。しかし、ナフィオンはフッ素系のポリマーであるため非常に高価である。また、ナフィオンについては、燃料としてメタノールを用いる場合、メタノールが一方の電極側から他方の電極側へ電解質膜を透過してしまう現象(メタノールクロスオーバー)が生じやすいという問題がある。また、フッ素系ポリマーは、フッ素を含有しているため、合成及び廃棄時に環境への配慮が必要となってくる。このような背景から、新規な高分子電解質膜の開発が望まれている。
非フッ素系ポリマーをベースとしたイオン伝導性高分子として、ポリビニルアルコールをベースとした検討例が知られている。ポリビニルアルコール系重合体は安価な樹脂であり、かつ容易にフィルムに成形できるため、低コストなイオン伝導性高分子膜として有用であると考えられる。また、実質的にハロゲンを含有しないため、廃棄時の環境への負荷が少ないという利点がある。例えば、イオン伝導性基としてスルホン酸基を含有するモノマーと酢酸ビニルとを共重合させた後、けん化することによりスルホン酸基を含有するポリビニルアルコール系重合体を用いた例が報告されている(非特許文献1)。しかし、一般にポリビニルアルコール系重合体の原料である酢酸ビニルは他の共重合性モノマーとの共重合反応性に乏しいため、ポリマー中に多量のイオン伝導性基を導入することが困難であり、その結果、イオン伝導性高分子として重要なイオン伝導性を発現することが困難である。
この問題を解決するため、スルホン酸含有ポリスチレンとポリビニルアルコールとのブレンド物(特許文献1)、あるいは該ブレンド物の架橋体(特許文献2)を検討した例があるが、そもそもポリビニルアルコール系重合体とポリスチレン系重合体とは相溶性が低く、著しく相分離するため膜の均質性に問題があると推定される。一方、ポリビニルアルコール系重合体に無機酸を混合することでイオン伝導性を発現させる方法が報告されている(特許文献3)が、燃料にメタノール水溶液を用いる場合(ダイレクトメタノール型燃料電池)には、電解質膜中に含まれる無機塩がメタノール水溶液に溶出する。その結果、無機塩が触媒層側に移行して、電解質内の無機塩濃度が低下し、膜のイオン伝導度が低下する。
このように、経済的でかつ性能の改善された固体高分子型燃料電池用途に有用なポリビニルアルコール系の高分子電解質膜−電極接合体は提案されていないのが実情である。
特開平5−174856号公報 特開平6−76838号公報 特開2004−146208号公報
高分子学会予稿集 54(1)、1755頁(2005)
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、経済的であり且つアニオン伝導性に優れたイオンチャンネルを有し、実質的にハロゲンを含まない環境適応型の膜−電極接合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、ビニルアルコール系重合体ブロック及び特定の構造を持ったカチオン性基を有する重合体ブロックを有するブロック共重合体を含有する高分子電解質膜を陰イオン交換膜として選択することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及び下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるカチオン性重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体(P)を含有し、架橋処理が施された陰イオン交換膜と、該陰イオン交換膜の少なくとも片面上に接合された、炭素材料を含有する電極とを有する、膜−電極接合体に関する。
Figure 2013149462
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わす。R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよく、連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。Xは陰イオンを表わす。)
本発明の膜−電極接合体において、前記陰イオン交換膜のイオン交換容量が0.30meq/g以上であることが好ましい。
また、本発明の膜−電極接合体は、前記陰イオン交換膜が重合度200〜8000、けん化度80モル%以上のビニルアルコール系重合体(Q)をさらに含有し、ブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)の質量比(P/Q)が3/97以上であることも好ましい。
本発明に用いる陰イオン交換膜は経済的であり且つアニオン伝導性に優れたイオンチャンネルを有し、実質的にハロゲンを含まない環境適応型の高分子電解質膜である。また、高いアニオン伝導性(高いイオン交換容量、低い膜抵抗)を発現するという優れた性能を有する。このような陰イオン交換膜を用いた本発明の膜−電極接合体は、固体高分子型燃料電池に用いた際には、発電中の燃料バリア性が高く(燃料の透過性が低く、リークが少ない)、セル抵抗が低いという優れた性能を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の膜−電極接合体は、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及び下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるカチオン性重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体(P)を含有し、架橋処理が施された陰イオン交換膜と、該陰イオン交換膜の少なくとも片面上に接合された、炭素材料を含有する電極とを有する。
Figure 2013149462
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わす。R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよく、連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。Xは陰イオンを表わす。)
本発明に用いる陰イオン交換膜の特徴は、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)と、特定の構造を持ったカチオン性基を有する重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体(P)を含有することにある。アニオン交換膜に要求される最も重要な性能は、膜中における高いアニオン伝導性(陰イオンの動きやすさ)であり、例えば、アニオン交換型の固体高分子型燃料電池の電解質膜として使用する場合、イオン交換容量がイオンの輸率に大きく影響することは周知の事実である。ここでは、膜中の陰イオンが通る経路(イオンチャンネル)を如何に形成するかが重要である。また、陰イオン交換膜中の荷電量を高めた状態で膜抵抗を如何に抑制するかということも重要である。
上記の通り、本発明に用いる陰イオン交換膜の主成分であるブロック共重合体(P)は、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)と、カチオン性重合体ブロック(B)とから構成されている。ビニルアルコール系重合体ブロック(A)は、高い親水性を有するとともに、陰イオン交換膜全体の強度、膨潤度の抑制及び形状保持に寄与する。このようなビニルアルコール系重合体ブロック(A)と、アニオン伝導性を発現するカチオン性重合体ブロック(B)とで役割分担させることで、陰イオン交換膜において高い荷電密度と、膜強度や寸法安定性の維持、及び膨潤度の抑制とを両立することに成功した。また、このような陰イオン交換膜は、膜抵抗が小さく、燃料バリア性に優れている。さらに、本発明で用いる陰イオン交換膜においては、単純な混合物と異なりブロック共重合体を用いており、さらに、ベンゼン環を有するカチオン性重合体ブロック(B)を用いている。これにより、ベンゼン環同士のπ−π相互作用が起こり、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)とカチオン性重合体ブロック(B)とのミクロ相分離構造を容易に制御し得るため、イオン交換部位(イオンチャンネル)として機能するカチオン性重合体ブロック(B)の連続相の径や構造を容易に制御し得る利点がある。
ブロック共重合体(P)を構成する重合体ブロックの数には特に制限はないが、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及びカチオン性重合体ブロック(B)のジブロック共重合体であれば、各ブロックの機能が効率的に発揮できる。
また、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)とカチオン性重合体ブロック(B)の繰り返し単位数の比は、99:1〜50:50の範囲であることが好ましく、98:2〜60:40の範囲であることがより好ましく、95:5〜70:30の範囲であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体ブロック(A)を構成するビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル系単量体を重合し、これを常法によりけん化して得られる。ビニルエステル系単量体は、ラジカル重合可能なものであれば使用できる。例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等が挙げられる。この中でも、酢酸ビニルが好ましい。
ブロック共重合体(P)に含有されるカチオン性重合体ブロック(B)の繰り返し単位は下記一般式(1)で表わされる。
Figure 2013149462
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わす。R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよく、連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。Xは陰イオンを表わす。)
本発明に用いられる陰イオン交換膜に含まれるブロック重合体(P)の製造方法は主に次の2つの方法に大別される。すなわち、(1)カチオン性基を有する少なくとも1つの単量体とビニルエステル系単量体とを用いてブロック共重合体を製造する方法、及び(2)所望のブロック共重合体を製造した後、カチオン性基を導入させる方法である。このうち、(1)については、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体(ブロック(A))に、カチオン性基を含有する少なくとも1種の単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を製造する方法が、工業的な容易さから好ましい。また、(2)については、末端にメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体(ブロック(A))に、1種又は複数種の単量体をブロック共重合してブロック共重合体を得、次いでこのブロック共重合体にカチオン性基を導入することにより、カチオン性重合体ブロック(B)を含有するブロック共重合体(P)を得る方法が挙げられる。これら各方法の中でも、特に、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)とカチオン性基を有する重合体ブロック(B)の各成分の種類や量を容易に制御できることから、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体(ブロック(A))にカチオン性基を有する少なくとも1つの単量体をラジカル重合させてブロック共重合体を製造する方法が好ましい。
以下、本発明に好ましく用いられる、カチオン性基を有する少なくとも1つの単量体を用いて所望のブロック共重合体(P)を製造する方法について説明する。末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体は、例えば、特開昭59−187003号公報などに記載されている方法により得ることができる。すなわち、チオール酸の存在下でビニルエステル単量体、例えば酢酸ビニルを主体とするビニル系単量体をラジカル重合して得られるビニルエステル系重合体をけん化する方法が挙げられる。
末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体のけん化度は、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)に求めるけん化度とすればよく、特に限定されないが、40〜99.9モル%であることが好ましい。けん化度が40モル%未満であると、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)の結晶性が低下し、陰イオン交換膜の強度が不足するおそれがある。上記けん化度は60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。また、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体のけん化度は、通常99.9モル%以下である。ポリビニルアルコールのけん化度は、JIS K6726に準じて測定した値である。なお、このけん化度が、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)のけん化度に相当する。
末端にメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体の重合度は、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)に求める重合度とすればよく、粘度平均重合度で100以上3500以下が好ましく、200以上3000以下がより好ましく、250以上2500以下がさらに好ましい。重合度が100に満たない場合には、最終的に得られるブロック共重合体(P)を主成分とする陰イオン交換膜の膜強度が不足する可能性がある。一方、重合度が3500を超える場合には、該ビニルアルコール系重合体に導入されるメルカプト基が不足し、効率的にブロック重合体(P)を得ることができなくなる可能性がある。なお、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、JIS K6726に準じて測定した値である。なお、この粘度平均重合度が、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)の粘度平均重合度に相当する。
このような末端にメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体と、カチオン性基を含有する単量体とを用い、例えば特開昭59−189113号公報に記載されているような、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下にカチオン性基を有する単量体をラジカル重合させる方法により、ブロック共重合体(P)を得ることができる。このラジカル重合は公知の方法、例えばバルク重合、溶液重合、パール重合、乳化重合などによって行うことができるが、末端にメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体を溶解し得る溶剤、例えば水やジメチルスルホキシドを主体とする媒体中で行うのが好ましい。また、重合プロセスとしては、回分法、半回分法、連続法のいずれをも採用することができる。
上記ラジカル重合は、通常のラジカル重合開始剤、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の中から重合系に適したものを使用して行うことができるが、含水媒体中での重合の場合、ビニルアルコール系重合体末端のメルカプト基と臭素酸カリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の酸化剤によるレドックス反応によって重合を開始することも可能である。
末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体にカチオン性基を有する単量体をラジカル重合させる際は、重合系が酸性であることが望ましい。これはメルカプト基が、塩基性下においては、カチオン性基を有する単量体の二重結合へイオン的に付加し消失する速度が大きく、重合効率が著しく低下するためである。また、含水媒体中での重合であれば、すべての重合操作をpH4以下で実施することが好ましい。
上述の方法によってブロック共重合体(P)を合成する際に用いられる、カチオン性基を有する単量体としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート等が挙げられる。
また、上述のブロック共重合体(P)を構成する、カチオン性基を有する重合体ブロック(B)は、本発明で用いる陰イオン交換膜に高い陰イオン交換性を付与するために、カチオン性基を有する単量体単位のみから構成されることが望ましいが、カチオン性基を有さない単量体単位を含んでいてもよい。かかるカチオン性基を有さない単量体単位を与える単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシル基含有ビニルエーテル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシル基含有α−オレフィン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のシリル基を有する単量体などが挙げられる。得られたブロック共重合体(P)中の重合体ブロック(B)におけるイオン交換性基を有する単量体単位の割合は80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
上記ラジカル重合の反応温度については特に制限はないが、通常0〜200℃が適当である。各種クロマトグラフィーや、NMRスペクトル等により残存モノマーを定量することにより重合の経過を追跡し、これにより重合反応の停止の時期を判断することで、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)とカチオン性重合体ブロック(B)とを所望の割合に調整できる。重合反応の停止は公知の手法、例えば重合系の冷却により重合を停止する。
ブロック共重合体(P)を製造する方法としては、まず、上記ビニルアルコール系重合体ブロック(A)とカチオン性基が導入可能なブロックを有するブロック共重合体を製造し、ついで該ブロックにカチオン性基を導入する方法も好ましい。カチオン性基が導入可能なブロック共重合体は、上述のメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体とカチオン性基を有する単量体とを用いてブロック共重合体(P)を製造する方法において、カチオン性基を有する単量体の代りにカチオン性基が導入可能な部位を有する単量体を用いる以外は同様の方法により製造することができる。カチオン性基が導入可能な部位を有する単量体としては、例えば、ビニルベンジルアルキルアミンが挙げられる。
カチオン性基が導入可能な部位を有するブロック共重合体にカチオン性基を導入するには、該ブロック共重合体をアルキルハロゲン化合物の蒸気又は溶液で処理して、その窒素原子を四級化すればよい。ここで、用いるアルキルハロゲン化合物は、C2p+1X又はX(CHX(pは1〜12の整数、qは2から12の整数、Xは臭素又は沃素原子)で表される化合物であればよい。一方、ビニルベンジルハライドを重合してなるハロメチル基をもつブロック部分に陰イオン交換性基を導入するには、それにトリアルキルアミンを作用させればよい。
また、本発明に用いる陰イオン交換膜は上述のようにして得られるブロック共重合体(P)に加え、重合度200〜8000(より好ましくは500〜7000)、けん化度80モル%以上、(より好ましくは85モル%以上)の、ブロック重合体(P)以外のビニルアルコール系重合体(Q)をさらに含有していてもよい。このように、ブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)とを共に用いることで、十分なイオン交換容量と良好な燃料バリア性を有する陰イオン交換膜とすることができる。
ビニルアルコール系重合体(Q)は、また、ビニルエステル系単量体と以下に掲げるような単量体との共重合体であって、ビニルエステル系単量体から構成される部分の重合度が200〜8000(より好ましくは500〜7000)であって、同部分のけん化度が80モル%以上(より好ましくは85モル%以上)であるものであってもよい。後者の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシル基含有α−オレフィン類;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等のカチオン性基を有する単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のシリル基を有する単量体などが挙げられる。上記共重合体におけるビニルエステル系単量体単位の割合は80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
ビニルアルコール系重合体(Q)は、また、2−メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、ビニルエステル系単量体をラジカル重合して得られるビニルエステル系重合体をけん化することによって得られる末端変性ビニルアルコール系重合体であって、重合度が200〜8000(より好ましくは500〜7000)であり、けん化度が80モル%以上(より好ましくは85モル%以上)であるものであってもよい。
陰イオン交換膜中におけるブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)の質量比(P/Q)は、3/97以上であることが好ましく、10/90以上であることがより好ましい。質量比(P/Q)が3/97より小さすぎる場合には、得られる陰イオン交換膜のイオン透過性が不十分であり、該陰イオン交換膜を電解質膜として用いた場合に燃料電池の性能が十分発揮されない可能性がある。
なお、本発明に用いる陰イオン交換膜は、本発明の効果を阻害しない範囲でブロック共重合体(P)及びビニルアルコール系重合体(Q)以外の重合体を含んでいてもよい。陰イオン交換膜がこのような重合体を含む場合、膜中における含有量は、通常20質量%以下である。
本発明に用いる、ブロック共重合体(P)を含有する陰イオン交換膜は、例えば、ブロック共重合体(P)を含有する溶液から得られる皮膜を、必要に応じて熱処理した後、水、アルコール又はそれらの混合溶媒中で、酸性条件下においてジアルデヒド化合物による架橋処理を行い、ついで水洗処理することにより得ることができる。また、ブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)の混合物を含有する、本発明に用いる陰イオン交換膜は、例えば、ブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)を含有する溶液から得られる皮膜を、必要に応じて熱処理した後、水、アルコール又はそれらの混合溶媒中で、酸性条件下においてジアルデヒド化合物による架橋処理を行い、ついで水洗処理することにより得ることができる。
ブロック共重合体(P)の溶液又はブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)の混合物の溶液に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。皮膜は、通常、キャスティングにより溶液中の溶媒を揮発させることにより得ることができる。製膜の際の温度は、特に限定されないが、室温〜100℃程度の温度範囲が適当である。
本発明に用いる陰イオン交換膜は、電解質膜として用いる場合、必要な性能、膜強度、ハンドリング性等を確保する観点から、その膜厚が1〜1000μm程度であることが好ましい。膜厚が1μm未満である場合には、膜の機械的強度が不充分となる傾向がある。逆に、膜厚が1000μmを超える場合には、膜抵抗が大きくなり、充分なイオン交換性が発現しないため、発電効率が低くなる傾向となる。膜厚はより好ましくは3〜500μmであり、更に好ましくは5〜300μmである。
本発明に用いる陰イオン交換膜を製造する際には、熱処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことによって、結晶化による物理的な架橋が生じ、得られる陰イオン交換膜の機械的強度が増大する。熱処理の方法は特に限定されず、熱風乾燥機による処理などが一般に用いられる。熱処理の温度は特に限定されないが、50〜250℃であることが好ましい。熱処理の温度が50℃未満であると、得られる陰イオン交換膜の機械的強度が不足するおそれがある。該温度は80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがより好ましい。一方、熱処理の温度が250℃を超えると、重合体の結晶が融解するおそれがある。該温度は230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いる陰イオン交換膜は、架橋処理が施されている。架橋処理を施すことによって、得られる陰イオン交換膜の機械的強度が増大する。架橋処理の方法は、重合体の分子鎖同士を化学結合によって結合できる方法であればよく、特に限定されない。通常、架橋処理剤を含む溶液に陰イオン交換膜を浸漬する方法などが用いられる。該架橋処理剤としては、ホルムアルデヒド、或いはグリオキザールやグルタルアルデヒドなどのジアルデヒド化合物が例示される。本発明においては、熱処理を行った後の上記皮膜を、酸性条件下で、水、アルコール又はそれらの混合溶媒にジアルデヒド化合物を溶解させてなる溶液に浸漬することにより、架橋処理を行うことが好ましい。架橋処理剤の濃度は、通常、溶液に対する体積濃度で0.001〜10体積%である。
本発明に用いる陰イオン交換膜においては、熱処理と架橋処理の両方を行ってもよいし、架橋処理のみを行ってもよい。熱処理と架橋処理を両方行う場合、熱処理の後に架橋処理を行ってもよいし、架橋処理の後に熱処理を行ってもよいし、両者を同時に行ってもよい。熱処理の後に架橋処理を行うことが、得られる陰イオン交換膜の機械的強度の面から好ましい。
本発明に用いられる陰イオン交換膜を電解質膜として用いる場合、十分なイオン交換性を発現するためには、陰イオン交換膜のイオン交換容量が0.30meq/g以上であることが好ましく、0.50meq/g以上であることがより好ましい。ブロック共重合体のイオン交換容量の上限については、イオン交換容量が大きくなりすぎると親水性が高まり膨潤度の抑制が困難となるので、3.0meq/g以下であることが好ましい。
次に、本発明の膜−電極接合体について述べる。本発明の膜−電極接合体は、上述した陰イオン交換膜と、該陰イオン交換膜の少なくとも片面上に接合された、炭素材料を含有する電極とを有している。本発明における電極は炭素材料を含有するものであれば特に制限がなく、目的に応じた任意のものを用いることができる。本発明の膜−電極接合体は、陰イオン交換膜の片面上に電極が接合されたものであっても、陰イオン交換膜の両面上に電極が接合されたものであってもよく、膜−電極接合体の目的や流通形態等に応じて適宜選択される。
膜−電極接合体の製造について特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。触媒層とガス拡散層とからなる電極を、陰イオン交換膜の両面上に接合してなる膜−電極接合体を製造する場合、例えば、アニオン伝導性バインダーを含む触媒ペーストを印刷法やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布し乾燥することで触媒層とガス拡散層との接合体を形成させ、ついで2対の接合体をそれぞれ触媒層を内側にして、陰イオン交換膜の両側にホットプレスなどにより接合させる方法が挙げられる。また、上記触媒ペーストを印刷法やスプレー法により上記陰イオン交換膜の両側に塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着させる方法がある。さらに別の製造法として、アニオン伝導性バインダーを含む溶液又は懸濁液を、陰イオン交換膜の両面及び/又は2対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、電解質膜と触媒層面とを張り合わせ、熱圧着などにより接合させる方法がある。この場合、該溶液又は懸濁液は電解質膜及び触媒層面のいずれか一方に塗付してもよいし、両方に塗付してもよい。さらに他の製造法として、まず、上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製などの基材フィルムに塗布、乾燥して2対の触媒層を形成し、ついで、この基材フィルム上の触媒層を高分子電解質膜の両側にそれぞれ加熱圧着することにより転写する。その後基材フィルムを触媒層から剥離することで電解質膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法がある。これらの製造方法においては、陰イオン交換膜への電極の接合(触媒層及びガス拡散層の形成)を、アニオン伝導性基を塩化物等の塩にした状態で行い、接合後にアルカリ処理を行うことによって水酸化物型に戻してもよい。
上記膜−電極接合体の製造に用いられるアニオン伝導性バインダーとしては、例えば、ポリクロロメチルスチレンを第3級アミンと反応させて第4級アンモニウム塩とし、必要に応じて水酸化物の形態にしたもの等を用いることができる。また、本発明における陰イオン交換膜を構成するブロック共重合体からアニオン伝導性バインダーを作製してもよい。なお、電解質膜とガス拡散電極との密着性を一層高めるためには、高分子電解質膜と同一材料から形成したアニオン伝導性バインダーを用いることが好ましい。
本発明の膜−電極接合体に用いることができる上記触媒層としては、導電材/触媒担体に触媒金属を担持してなる構成のものが好ましく用いられる。導電材/触媒担体としては特に制限はなく、例えば炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが挙げられ、これらが単独であるいは2種以上が混合して使用される。触媒金属としては、水素やメタノールなどの燃料の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、パラジウム等、あるいはそれらの合金(例えば白金−ルテニウム合金)が挙げられる。中でも白金や白金合金が多くの場合用いられる。触媒金属の粒径は、通常は、10〜300オングストロームである。これら触媒金属はカーボン等の導電材/触媒担体に担持させた方が触媒使用量が少なくコスト的に有利である。また、触媒層には、必要に応じて撥水剤が含まれていてもよい。撥水剤としては例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記膜−電極接合体のガス拡散層は、導電性及びガス透過性を備えた材料から構成され、かかる材料として例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素繊維よりなる多孔性材料が挙げられる。また、かかる材料には、撥水性を向上させるために、撥水化処理を施してもよい。
上記のような方法で得られた膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより、固体高分子型燃料電池が得られる。本発明の膜−電極接合体は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体として使用可能である。本発明の膜−電極接合体を用いた燃料電池は、メタノールクロスオーバーの抑制に優れ、経時的な発電特性の低下が少なく、長時間安定して使用できる。
以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中、特に断りのない限り「%」及び「部」は重量基準である。
参考例(分子末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の合成)
特開昭59−187003号に記載された方法によって、表1に示す分子末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールを合成した。
Figure 2013149462
実施例、比較例におけるイオン交換膜の特性は、以下の方法により測定した。
1)膜厚みの測定
得られた陰イオン交換膜を脱イオン水中に25℃、16時間浸漬した。その後、マイクロメーター MDE−25MJ(Mitutoyo製)にて測定した。
2)イオン交換容量の測定
得られた陰イオン交換膜を脱イオン水中に25℃、16時間浸漬した。その後、0.1mol/LのKCl水溶液中に3時間浸漬した。続いて、0.0001mol/LのKCl水溶液中に6時間浸漬した。その後、膜表面の付着水をろ紙で拭きとり、0.1mol/LのNaNO水溶液100mL中に12時間浸漬させた。この溶液中に溶離してきた塩素イオン濃度をイオンクロマトDX120(DIONEX製)にて測定し、下記の式を用いてイオン交換容量を算出した。
イオン交換容量(mmol/g)=塩素イオン濃度(mmol/L)/膜の乾燥重量(g)×0.1(L)
3)水酸化物イオンの伝導率の測定
得られた陰イオン交換膜を大きさ1cm×4cmの試料に切り出した。次いで、これを一対の白金黒メッキした白金電極で挟み、開放系セルに装着した。測定セルを温度60℃、相対湿度90%に調節した恒温恒湿器内に設置し、交流インピーダンス法により水酸化物イオンの伝導率を測定した。
4)膜のメタノール透過速度の測定
得られた陰イオン交換膜を大きさ1cm×4cmの試料に切り出した。次いで、これをH型セルに挟み込み、セルの片側に55mlの3mol/Lのメタノール水溶液を、他方のセルに55mlの純水を注入し、25℃で攪拌した。このとき、イオン交換膜を通って純水中に拡散してくるメタノール量を、ガスクロマトグラフィーにより測定することで、メタノール透過速度を算出した。
5)単セルの抵抗及びメタノールクロスオーバー量の測定
得られた膜−電極接合体を用いて作製した燃料電池発電試験用の単セルの発電試験を実施した(電極面積は25cm)。燃料には3mol/LのMeOH水溶液を用い、酸化剤には60℃のバブラーにて加湿した空気を用いた。試験条件は、アノード流量:0.87ml/min、カソード流量:250ml/min、セル温度60℃とした。前処理(発電試験を6回実施)した後、7回目の発電試験において、50mA/cm時に電流遮断法にてセル抵抗を測定した。また、この発電試験において、アノード流量から燃料供給量を、発電試験時の電流量から燃料が発電に使用される量を、それぞれ算出した。得られたこれらの値からアノードの物質収支(燃料供給量−排出される燃料−燃料が発電に使用される量)を求め、メタノールクロスオーバー量を得た。
(ブロック共重合体P−1の合成)
ブロック共重合体(P)としてのブロック共重合体P−1を以下の方法により合成した。還流冷却管、攪拌翼を備え付けた5L四つ口セパラブルフラスコに、水3150g、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体として表1に示すPVA−1を344g仕込み、攪拌下で95℃まで加熱して該ビニルアルコール系重合体を溶解した後、室温まで冷却した。上記水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調整した。別に、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド190gを水200gに溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下で添加した後、70℃まで加温し、その後、水溶液中に窒素をバブリングしながら30分間系内を窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウムの2.5%水溶液121mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、次いで冷却して、固形分濃度15%のPVA−(b)−p−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドブロック共重合体(P−1)の水溶液を得た。得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、400MHzでのH−NMR測定に付した結果、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド単位による変性量は10モル%であった。また、B型粘度計で測定した4%水溶液粘度は18ミリPa・s(20℃)であった。得られたブロック共重合体P−1の物性を表2に示す。
(ブロック共重合体P−2〜P−5の合成)
カチオン性基を有する単量体の種類と仕込み量、重合開始剤の使用量などの重合条件を表2に示すように変化させた以外は、P−1の合成と同様の方法により、ブロック共重合体(P)としてのブロック共重合体P−2〜P−5を得た。得られたブロック共重合体P−2〜P−5の物性を表2に示す。
(実施例1)
(陰イオン交換膜の作製)
P−1の水溶液を縦270mm×横210mmのアクリル製のキャスト板に流し込み、余分な液、気泡を除去した後、50℃のホットプレート上で24時間乾燥させることにより、皮膜を作製した。こうして得られた皮膜を、140℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、皮膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にそのpHが1になるように濃硫酸を加えた後、0.05体積%グルタルアルデヒド(GA)水溶液に皮膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、皮膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、皮膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、陰イオン交換膜を得た。
(陰イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陰イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製した。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、膜厚み、イオン交換容量、膜抵抗、メタノール透過速度の測定を行った。得られた結果を表3に示す。
(膜−電極接合体の作製)
Pt−Ru合金触媒担持カーボン(田中貴金属工業社製のPt−Ru担持カーボン(TEC61E54))に、Nafion(登録商標)の10質量%水分散液を、カーボンとNafionとの質量比が1:1になるように添加混合し、次いでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、上記カーボン及びNafionが均一に分散したペーストを調製した。このペーストをスプレー法にて、カーボンペーパーの片面に均一に塗布した。このカーボンペーパーを130℃で30分乾燥させることにより、カーボンペーパーからなるガス拡散層と、Pt−Ru合金触媒担持カーボン及びNafionからなる触媒層とを有するアノード用の電極を作製した(アノード:Pt 1.00mg/cm、Ru 0.77mg/cm、ポリマー 1.57mg/cm)。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業社製のPt担持カーボン(TEC10E50E))に、Nafion(登録商標)の10質量%溶液を、カーボンとNafionとの質量比が1:0.75になるように添加混合し、次いでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、上記カーボン及びNafionが均一に分散したペーストを調製した。このペーストをアノード用電極の作製時と同様にカーボンペーパーに塗布して乾燥させることにより、カーボンペーパーからなるガス拡散層と、Pt触媒担持カーボン及びNafionからなる触媒層とを有するカソード用電極を作製した(Pt 1.00mg/cm、ポリマー 1.20mg/cm)。その後、上述の通り作製した陰イオン交換膜を、上記2種類の電極でそれぞれ膜と触媒層とが向かい合うように挟み、電極の外側を2枚の耐熱性フィルム及び2枚のステンレス板で順に挟み、ホットプレス(115℃、20kg/cm、8min)を行って膜−電極接合体を作製した。
(燃料電池発電試験用の単セルの作製)
得られた膜−電極接合体を、ガス供給流路の役割を兼ねた2枚の導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で順に挟み固体高分子型燃料電池用単セルを作製した。なお、それぞれの膜−電極接合体とセパレータとの間には、電極の厚さ分の段差からのガス漏れを防ぐために、ガスケットを配した。
(膜−電極接合体の評価)
このようにして作製した単セルを用い、上記方法にしたがって、セル抵抗、メタノールクロスオーバー(MCO)の測定を行った。得られた結果を表3に示す。
(実施例2)
実施例1において、ブロック共重合体P−1とビニルアルコール系重合体(Q)としてのポリビニルアルコールPVA135H((株)クラレ製;重合度3500、けん化度99.5)とを質量比9/1の割合で混合してなる陰イオン交換樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして陰イオン交換膜を作製し、評価を行った。さらに、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製し、評価を行った。得られた結果を表3に示す。
(実施例3、4)
実施例2において、熱処理温度を表3に示す内容に変更した以外は、実施例2と同様にして陰イオン交換膜を作製し、評価を行った。さらに、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製し、評価を行った。得られた結果を表3に示す。
(実施例5、6)
実施例1において、ブロック共重合体(P)の種類を表3に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして陰イオン交換膜を作製し、評価を行った。さらに、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製し、評価を行った。得られた結果を表3に示す。
(比較例1)
実施例1において、陰イオン交換樹脂の熱処理及び架橋処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして陰イオン交換膜を作製し、評価を行った。さらに、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製し、評価を行った。得られた結果を表3に示す。
(比較例2、3)
実施例1において、ブロック共重合体(P)の種類を表3に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして陰イオン交換膜を作製し、評価を行った。さらに、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製し、評価を行った。得られた結果を表3に示す。
表3の結果から、ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及び、一般式(1)で表わされるようなベンゼン環を有するカチオン性重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体(P)からなり、且つ架橋処理の施された陰イオン交換膜は、メタノール透過速度を低く抑えられ、かつ膜抵抗が低いことが判る。また、このような陰イオン交換膜の両面上にアノード用電極及びカソード用電極を接合してなる膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池は、メタノールクロスオーバーが低く、且つセル抵抗が低いことがわかる(実施例1〜6)。さらに、イオン交換容量が0.30meq/g以上であると、よりセル抵抗が低いことがわかる(実施例1〜5)。
特に、陰イオン交換膜がブロック共重合体(P)に加えて更に重合度200〜80000、けん化度80モル%以上のビニルアルコール系重合体(Q)を更に含有し、ブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)の質量比(P/Q)が3/97以上である場合は、メタノールクロスオーバーをより低減できることがわかる(実施例2〜4)。この場合において、更に、熱処理温度を100℃以上とした場合に、メタノールクロスオーバーとセル抵抗が著しく低減できることがわかる(実施例2、3)。
一方、架橋処理が施されていない陰イオン交換膜は著しく膨潤してしまい、膜特性の測定ができなかった(比較例1)。また、一般式(1)で表わされるようなベンゼン環を有しないカチオン性重合体ブロックを有するビニルアルコール系のブロック共重合体からなる陰イオン交換膜はメタノール透過速度が大きかった。また、このような陰イオン交換膜を用いた膜−電極接合体においては、燃料電池用発電試験用の単セルのセル抵抗が大きかった(比較例2、3)。
Figure 2013149462
Figure 2013149462

Claims (3)

  1. ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及び下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるカチオン性重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体(P)を含有し、架橋処理が施された陰イオン交換膜と、該陰イオン交換膜の少なくとも片面上に接合された、炭素材料を含有する電極とを有する、膜−電極接合体。
    Figure 2013149462
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表わす。R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよく、連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。Xは陰イオンを表わす。)
  2. 前記陰イオン交換膜のイオン交換容量が0.30meq/g以上である、請求項1記載の膜−電極接合体。
  3. 前記陰イオン交換膜が重合度200〜8000、けん化度80モル%以上のビニルアルコール系重合体(Q)をさらに含有し、ブロック共重合体(P)とビニルアルコール系重合体(Q)の質量比(P/Q)が3/97以上である、請求項1又は2記載の膜−電極接合体。
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