JP2013152182A - ブリルアン光パルス試験器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光パルス発生回路を用いることによるブリルアン光パルス試験器のコスト上昇を防ぐ。
【解決手段】光源を試験用パルス光として発光させる光源駆動部と、試験用パルス光を入射し、被測定用光ファイバに導く基準光ファイバと、基準光ファイバおよび被測定用光ファイバからの戻り光とローカル光とをバランス受光するバランス受光回路と、バランス受光回路の出力結果に基づいてブリルアンスペクトルを測定する信号処理部と、測定された基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを用いて、試験用パルス光のスペクトルを推定する光源スペクトル推定部と、推定された試験用パルス光のスペクトルを用いて、測定された被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正するブリルアンスペクトル補正部とを備えたブリルアン光パルス試験器。
【選択図】図1
【解決手段】光源を試験用パルス光として発光させる光源駆動部と、試験用パルス光を入射し、被測定用光ファイバに導く基準光ファイバと、基準光ファイバおよび被測定用光ファイバからの戻り光とローカル光とをバランス受光するバランス受光回路と、バランス受光回路の出力結果に基づいてブリルアンスペクトルを測定する信号処理部と、測定された基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを用いて、試験用パルス光のスペクトルを推定する光源スペクトル推定部と、推定された試験用パルス光のスペクトルを用いて、測定された被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正するブリルアンスペクトル補正部とを備えたブリルアン光パルス試験器。
【選択図】図1
Description
本発明は、ブリルアン光パルス試験器に関し、特に、光パルス発生回路を用いることによるブリルアン光パルス試験器のコスト上昇を防ぐ技術に関する。
光ファイバに光を入射すると、微小な屈折率の揺らぎ等により、後方散乱光と呼ばれる微弱な光が連続的に戻ってくる。後方散乱光の1つであるブリルアン散乱光は、光ファイバに歪みがあると、その歪みに比例して周波数が変化する性質を有している。この性質を利用して、光ファイバに光パルスを入射し、光ファイバから戻ってくるブリルアン散乱光を測定することで、光ファイバの長手方向の歪みを測定するブリルアン光パルス試験器(BOTDR:Brillouin Optical Time Domain Reflectmeter)が知られている。
ブリルアン光パルス試験器(「ブリルアン光時間領域反射測定装置」とも称される)は、ブリルアン散乱光の周波数の変化を測定することで歪みの大きさを測定し、光が戻ってくるまでの時間により歪みの発生場所を特定する。
ブリルアン散乱光は、温度変化によっても周波数が変化することが知られており、ブリルアン光パルス試験器は、光ファイバ自体をセンサとするため、橋、トンネル、ダム、建物等の構造物や船舶、航空機等の乗物などにおける線的、面的な歪み分布、温度分布のモニタリングシステムへの適用が期待されている。
図9は、従来のブリルアン光パルス試験器の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、従来のブリルアン光パルス試験器600において、レーザダイオード等の光源610から出射されたコヒーレント光は、光合分波器620に入射し、2つの出射ポートに分割される。一方の出射ポートから出力されたコヒーレント光は、光パルス発生回路630において連続光からパルス光に変換される。パルス光は、光増幅器632で増幅され、光方向性結合器634および光コネクタ636を介して、試験用パルス光として被測定用光ファイバ700に入射される。
被測定用光ファイバ700からの戻り光は、光コネクタ636および光方向性結合器634を介してバランス受光回路640に入射される。また、バランス受光回路640には、光合分波器620で分割されたコヒーレント光がローカル光として入射される。
バランス受光回路640は、光合分波器641、光電変換回路642、増幅器643を備えており、戻り光とローカル光との合波光を電気信号に変換し、適性レベルに増幅して、ミキサ650に出力する。ミキサ650に出力される電気信号は、ローカル光(光源610)の周波数と戻り光の周波数との差、すなわち、ブリルアン散乱光の周波数シフト量成分を含んでいる。
一般に、ブリルアン散乱光は、被測定用光ファイバ700に入射されたパルス光の周波数に対して、約11GHzの周波数シフトが生じる。この周波数シフト量は、被測定用光ファイバ700の歪み、温度に応じて線形に変化する。例えば、1%のひずみ量に対して、500MHzの周波数シフトが生じる。戻り光が戻る時間は被測定用光ファイバ700における距離に比例するため、ブリルアン散乱光の周波数シフトの変化を連続的に測定することで、被測定用光ファイバ700の長手方向の歪み分布、温度分布を算出することができる。
ブリルアン散乱光の周波数シフト量成分を抽出するため、ブリルアン光パルス試験器600は、制御回路661と信号発生回路662とからなる信号発生器660を備えている。信号発生回路662は、制御回路661が設定した周波数の信号を発生し、ミキサ650に出力する。
バランス受光回路640の出力信号と、信号発生器660が出力する信号はミキサ650で混合され、差分の信号が出力される。信号発生器660の制御回路661が、ブリルアン散乱光の周波数シフト量近傍の周波数信号を信号発生回路662に発生させることで、周波数シフト量成分が直流近傍成分に近づくことになる。
そこで、ミキサ650の出力信号を、ローパスフィルタ670を通し、増幅器672で増幅して信号処理部674に入力することで、信号処理部674においてブリルアン散乱光を得ることができる。この処理を、信号発生器660が出力する信号の周波数を順次変化させてブリルアン散乱光の測定を繰り返すことで、被測定用光ファイバ700の長手方向のブリルアンスペクトル分布を知ることができ、ブリルアン散乱光の周波数シフトの変化から被測定用光ファイバ700の長手方向の歪み分布、温度分布を算出することができる。
従来のブリルアン光パルス試験器600では、光源610が発する連続光を、光パルス発生回路630を用いてパルス光に変換している。光パルス発生回路630は、高速の電気光学スイッチ、LN変調器等で構成されており、一般に、非常に高価である。また、光パルス発生回路630の消光比(オン時とオフ時の光強度の比)は20dB程度であるが、ブリルアン光パルス試験器600で安定に測定するためには40dB以上が必要とされるため、光パルス発生回路630を2個直列に使用することもある。このため、ブリルアン光パルス試験器600のコスト上昇を招いている。
光パルス発生回路630を用いることによるコスト上昇を防ぐため、光源を直流駆動ではなく、パルス信号で駆動して直接的にパルス光を生成することが考えられる。
しかしながら、光源をパルス信号で直接駆動すると、パルス形状の駆動電流の変位部分や、光源であるレーザダイオードの過渡現象等により、パルス光に不要なスペクトル成分が含まれたり、発光スペクトルが歪んでしまい、ブリルアン散乱光のスペクトルの測定精度が低下してしまう。
そこで、本発明は、光パルス発生回路を用いることによるブリルアン光パルス試験器のコスト上昇を防ぐことを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のブリルアン光パルス試験器は、光源を試験用パルス光として発光させる光源駆動部と、前記試験用パルス光を入射し、被測定用光ファイバに導く基準光ファイバと、前記基準光ファイバおよび前記被測定用光ファイバからの戻り光とローカル光とをバランス受光するバランス受光回路と、前記バランス受光回路の出力結果に基づいてブリルアンスペクトルを測定する信号処理部と、測定された前記基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを用いて、前記試験用パルス光のスペクトルを推定する光源スペクトル推定部と、推定された前記試験用パルス光のスペクトルを用いて、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正するブリルアンスペクトル補正部と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記光源スペクトル推定部は、測定された前記基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルと、前記試験用パルス光よりもパルス幅の広いパルスを用いて測定した前記基準光ファイバにおける真値に近いブリルアンスペクトルあるいは、あらかじめ他の方法で求めた真のブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、前記試験用パルス光のスペクトルを推定することができる。
また、前記ブリルアンスペクトル補正部は、推定された前記試験用パルス光のスペクトルと、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正することができる。
また、前記光源駆動部は、前記光源を、前記試験用パルス光と、前記試験用パルス光よりもパルス幅の広い長パルス光とを交互に発光させ、前記バランス受光回路は、前記長パルス光を前記ローカル光として用い、前記試験用パルス光による戻り光または前記長パルス光を遅延させて前記バランス受光回路に入力させる光遅延部をさらに備えるようにしてもよい。
このとき、前記バランス受光回路において、前記長パルス光のパルス幅内に前記試験用パルス光による戻り光が収まるように前記長パルス光の発光タイミングを制御するパルスタイミング制御部をさらに備えることができる。
また、前記光源駆動部は、前記試験用パルス光の周波数と、前記長パルス光の周波数とが同一になるように前記光源を発光させることができる。
あるいは、前記光源駆動部は、前記長パルス光の周波数が前記試験用パルス光の周波数よりも、ブリルアン周波数シフト相当分低くあるいは高くなるように前記光源を発光させるようにしてもよい。
ここで、前記光源スペクトル推定部は、測定された前記基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルと、前記試験用パルス光よりもパルス幅の広いパルスを用いて測定した前記基準光ファイバにおける真値に近いブリルアンスペクトルあるいは、あらかじめ他の方法で求めた真のブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、前記試験用パルス光のスペクトルを推定することができる。
また、前記ブリルアンスペクトル補正部は、推定された前記試験用パルス光のスペクトルと、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正することができる。
また、前記光源駆動部は、前記光源を、前記試験用パルス光と、前記試験用パルス光よりもパルス幅の広い長パルス光とを交互に発光させ、前記バランス受光回路は、前記長パルス光を前記ローカル光として用い、前記試験用パルス光による戻り光または前記長パルス光を遅延させて前記バランス受光回路に入力させる光遅延部をさらに備えるようにしてもよい。
このとき、前記バランス受光回路において、前記長パルス光のパルス幅内に前記試験用パルス光による戻り光が収まるように前記長パルス光の発光タイミングを制御するパルスタイミング制御部をさらに備えることができる。
また、前記光源駆動部は、前記試験用パルス光の周波数と、前記長パルス光の周波数とが同一になるように前記光源を発光させることができる。
あるいは、前記光源駆動部は、前記長パルス光の周波数が前記試験用パルス光の周波数よりも、ブリルアン周波数シフト相当分低くあるいは高くなるように前記光源を発光させるようにしてもよい。
本発明によれば、光パルス発生回路を用いることによるブリルアン光パルス試験器のコスト上昇を防ぐことができる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るブリルアン光パルス試験器の構成を示すブロック図である。本図に示すように、ブリルアン光パルス試験器100は、レーザダイオード等の光源110、光源駆動部111、光合分波器120、光増幅器121、光方向性結合器122、基準光ファイバ130、温度計131、光コネクタ132、光遅延部140、バランス受光回路150、信号発生器160、ミキサ171、ローパスフィルタ172、増幅器173、信号処理部174、制御部180を備えている。また、ブリルアン光パルス試験器100は、光コネクタ132を介して、被測定用光ファイバ700と接続している。
本実施形態では、光源110を、連続光ではなく、短パルス光と長パルス光とで交互に発光させる。そして、短パルス光は被測定用光ファイバ700に入射する試験用光パルスとして用い、長パルス光は戻り光からブリルアン散乱光成分を検出するバランス受光回路150のローカル光として用いるようにする。これにより、高価な光パルス発生回路が不要となり、コスト上昇を防ぐことができる。
連続光を発する光源を、パルス光を発する光源110とは別に設けて、連続光をバランス受光回路150のローカル光として用いるようにしてもよいが、光源が2つ必要になり、その分コストが上昇する。
そこで、本実施形態では、光源110に、短パルス光に加えローカル光として用いる長パルス光も発光させる。これにより、1つの光源110で、試験用光パルスとローカル光とを得ることができる。長パルス光がバランス受光回路150に入射する時間と戻り光がバランス受光回路150に入射する時間とのずれは、光遅延部140により戻り光を遅延させることで補正する。
短パルス光と長パルス光とを交互に発光させるため、光源駆動部111は、短パルス駆動電流iSで光源110を駆動する短パルス駆動回路112と、長パルス駆動電流iLで光源110を駆動する長パルス駆動回路113と、短パルスのパルス幅を可変したり長パルス光生成のタイミング信号を発生するタイミング発生回路114とを備えている。
図2(a)は、短パルス駆動電流iSの出力波形を示し、図2(b)は、長パルス駆動電流iLの出力波形を示している。図2(c)は、短パルス駆動電流iSおよび長パルス駆動電流iLの結果、被測定用光ファイバ700に入射される入力光信号Pinの波形を示している。
本図において、短パルス光のパルス幅tSは、例えば、数n秒から百n秒程度とすることができる。長パルス光のパルス幅tLは、例えば、数μ秒から百μ秒程度とすることができる。このことにより、長パルス光は、線幅が狭く、かつ、周波数が安定したローカル光として使用できる。後述するように、長パルス光のパルス幅tLおよび短パルス光からの発光間隔toffは、被測定用光ファイバ700の長さに応じて変更する必要があるため、タイミング発生回路114が設けられている。また、運用用途に応じて短パルス光のパルス幅tSを可変する場合もある。
レーザダイオードの発光周波数は、駆動電流値により制御されるが、本実施形態では、短パルス駆動回路112が出力する短パルス駆動電流波高値ISと長パルス駆動回路113が出力する長パルス駆動電流波高値ILとは同一値とする。これにより、短パルス光の光周波数と長パルス光の光周波数とは同一となる。
光源110から出射されたパルス光は、光合分波器120に入射し、2つの出射ポートに分割される。一方の出射ポートから出射されたパルス光は、光増幅器121で増幅され、光方向性結合器122を介して基準光ファイバ130に入射される。基準光ファイバ130は、長さが既知で、歪みや温度が安定した光ファイバであり、他端に被測定用光ファイバ700と接続するための光コネクタ132が設けられ、近傍には基準光ファイバ130の温度を測定する温度計131が配置されている。温度計131に代えて、基準光ファイバ130を所定温度に保つための温度調整装置を用いてもよい。
被測定用光ファイバ700からの戻り光は、光コネクタ132、基準光ファイバ130および光方向性結合器122を介してバランス受光回路150に入射されるが、本実施形態では、光方向性結合器122とバランス受光回路150との間に光遅延部140が設けられている。光遅延部140は、戻り光のバランス受光回路150への入射時間を遅らせるものであり、例えば、所定長の光ファイバで構成することができる。
図2(d)は、被測定用光ファイバ700からの戻り光Pbの波形を示している。戻り光Pbは、短パルス光による戻り光である波形Aと長パルス光による戻り光である波形Bとを含んでいるが、測定に用いるのは波形Aのみである。図2(e)は、光遅延部140通過後の戻り光Pb_delayの波形を示している。ここで、光遅延部140による戻り光の遅延時間をtdelayとする。
また、バランス受光回路150には、光合分波器120で分割されたパルス光が入射される。入射されるパルス光のうち、長パルス光はローカル光として用いられる。図2(f)は、バランス受光回路150に入力される光合分波器120で分割されたパルス光の波形を示している。
バランス受光回路150は、光合分波器151、光電変換回路152、増幅器153を備えており、光遅延部140により遅延された戻り光とローカル光である長パルス光との合波光を電気信号に変換し、適性レベルに増幅して、ミキサ171に出力する。ミキサ171に出力される電気信号は、ローカル光(光源110)の周波数と戻り光の周波数との差、すなわち、ブリルアン散乱光の周波数シフト量成分を含んでいる。
ブリルアン散乱光の周波数シフト量を測定するため、ブリルアン光パルス試験器100は、制御回路161と信号発生回路162とからなる信号発生器160を備えている。信号発生回路162は、制御回路161が設定した周波数の信号を発生し、ミキサ171に出力する。
バランス受光回路150の出力信号と、信号発生器160が出力する信号はミキサ171で混合され、差分の信号が出力される。信号発生器160の制御回路161が、ブリルアン散乱光の周波数シフト量近傍の周波数信号を信号発生回路162に発生させることで、周波数シフト量成分が直流近傍成分に近づくことになる。
そこで、ミキサ171の出力信号をローパスフィルタ172で抽出し、増幅器173で増幅して信号処理部174に入力することで、信号処理部174においてブリルアン散乱光を得ることができる。この処理を、信号発生器160が出力する信号の周波数を順次変化させてブリルアン散乱光の測定を繰り返すことで、被測定用光ファイバ700の長手方向のブリルアンスペクトル分布を知ることができ、ブリルアン散乱光の周波数シフトの変化から被測定用光ファイバ700の長手方向の歪み分布、温度分布を算出することができる。
制御部180は、光源駆動部111、温度計131、信号発生器160、信号処理部174と通信を行ない、ブリルアン光パルス試験器100各部の制御を行なう。特に本実施形態では、光源駆動部111のパルス発生タイミングの制御を行なうため、制御部180は、パルスタイミング制御部181を備えている。
図2(d)において、ブリルアン散乱光を測定するために、被測定用光ファイバ700からの戻り光Pbの波形Aと波形Bとは重なってはいけない。このため、制御部180のパルスタイミング制御部181は、図2(c)に示す短パルス発光から長パルス発光までの時間toffが、toff>2nL/cを満たすように、光源駆動部111のタイミング発生回路114を制御する。ここで、nは、被測定用光ファイバ700のコアの屈折率であり、Lは、被測定用光ファイバ700の長さであり、cは、真空中の光速度である。同様に短パルスの間隔Ttestも、長パルスによる戻り光が収束するまでの時間を確保できるように設定する。
また、図2(e)と図2(f)において、バランス受光を行なうために、光遅延部140通過後の戻り光Pb_delayの波形Aが、長パルス光によるローカル光の時間幅tLに収まっている必要がある。したがって、制御部180のパルスタイミング制御部181は、ローカル光の開始(toff)が波形Aの開始(tdelay)よりも前となるために、toff<tdelayを満たすように光源駆動部111のタイミング発生回路114を制御する。光遅延部140の遅延時間を変更するようにしてもよい。
さらに、制御部180のパルスタイミング制御部181は、ローカル光の終了(toff+tL)が波形Aの終了(tdelay+2nL/c)よりも後となるために、tdelay+2nL/c<toff+tLを満たすように光源駆動部111のタイミング発生回路114を制御する。
本実施形態において、制御部180は、以上のようなパルス発光のタイミング制御を行なうのに加え、光源110をパルス信号で直接駆動することによる測定精度低下を防ぐ処理も行なう。
すなわち、光源110をパルス信号で直接駆動すると、パルス幅が狭いため、パルス形状の駆動電流iSの変位部分や、光源110の過渡現象により、試験パルス光として用いる短パルス光に不要なスペクトル成分が含まれたり、発光スペクトルが歪んでしまう。そこで、本実施形態において、制御部180は、以下に示すような手法によって、光源110をパルス信号で直接駆動することによる測定精度低下を防ぐようにしている。
本手法では、まず、光源110をパルス信号で直接駆動したときの発光スペクトルを推定する。この処理を行なうため、制御部180は、光源スペクトル推定部182を備えている。
図3(a)に示すように、真のブリルアンスペクトルは、線幅の細い理想的な光源のインパルス応答とみなすことができる。ここで、光周波数νの理想的な光源に対する真のブリルアンスペクトルは、ブリルアン周波数シフト量をνBとしてg(f-ν+νB)と表わすことができる。なお、ブリルアン周波数シフトは上下方向に生じるが、ここでは説明を簡単にするため下側のみに注目する。
図3(b)に示すように、ブリルアン光パルス試験器100で実際に測定されるブリルアンスペクトルは、パルス駆動の光源110のスペクトルと、真のブリルアンスペクトルとの畳み込み(コンボリューション)の結果である。このため、ブリルアン光パルス試験器100で実際に測定されるブリルアンスペクトルと真のブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることで、光源110をパルス信号で直接駆動したときの発光スペクトルを推定することができる。
しかしながら、種々の環境に敷設される被測定用光ファイバ700を用いて真のブリルアンスペクトルを取得することは困難である。このため、本実施形態では、温度等の管理が容易な基準光ファイバ130を用いて、理想的な光源による真のブリルアンスペクトルを取得しておくようにする。そして、図3(c)に示すように、実際に測定された基準光ファイバ130のブリルアンスペクトルとのデコンボリューションを行なうことで、光源110をパルス信号で直接駆動したときの発光スペクトルを推定することができる。
光源110をパルス信号で直接駆動したときの推定発光スペクトルが得られると、図4に示すように、実際に測定された被測定用光ファイバ700のブリルアンスペクトルとのデコンボリューションを行なうことで、被測定用光ファイバ700における真のブリルアンスペクトルg(f-ν+νB)を得ることができる。これにより、光源110からの試験用パルス光が不要なスペクトル成分を含んでいたり、歪んだスペクトルであっても、ブリルアン散乱光の測定精度低下を防ぐことができる。この処理を行なうため、制御部180は、ブリルアンスペクトル補正部183を備えている。
なお、ブリルアン光パルス試験器の空間分解能は、試験パルス光幅に依存するが、従来、高分解能を得るために、試験パルス光幅を数n秒とすると、光源のスペクトル幅が広くなり、得られるブリルアンスペクトルも広がって空間分解能の上限が1m程度にとどまるという制限事項があった。上述の被測定用光ファイバ700における真のブリルアンスペクトルを得る手法を適用することにより、この制限を回避することも期待できる。
図5は、制御部180の1回の測定における動作を説明するフローチャートである。まず、制御部180は、基準光ファイバ130の真のブリルアンスペクトルを取得する(S101)。例えば、パルス幅を100n秒程度以上に広げ、光源110のスペクトル線幅が狭く、かつ、周波数が安定した状態で基準光ファイバ130のブリルアンスペクトルを測定し、測定されたブリルアンスペクトルを基準光ファイバ130の真のブリルアンスペクトルとして採用することができる。なお、基準光ファイバ130の長さは、このときに用いた光パルス幅に相当する長さ以上とする。
これは、光源110の線幅が、例えば、数MHz以下と狭く、また、パルス幅が、100n秒より広くなれば、光源のスペクトルの不要成分や歪みが少なくなり、測定されたブリルアンスペクトルが真のブリルアンスペクトルに近づくためである。この際、温度計131の測定結果に応じた温度補正を行なうようにする。もちろん、他の方法により基準光ファイバ130の真のブリルアンスペクトルを取得するようにしてもよい。
次に、実際の短パルス光、すなわち試験用パルス光を用いて、基準光ファイバ130のブリルアンスペクトルを取得する(S102)。そして、基準光ファイバ130の真のブリルアンスペクトルと試験用パルス光によるブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、パルス駆動光源のスペクトルを推定する(S103)。
以降は、試験用パルス光による測定を実施して(S104)、被測定用光ファイバ700のブリルアンスペクトルを取得し(S105)、各位置におけるブリルアンスペクトルとパルス駆動光源の推定スペクトルとをデコンボリューションすることによる補正処理(S106)を行なう。
なお、図5に示した例では、毎測定時に、S101からS103の処理を行なうようにしているが、1度得られたパルス駆動光源のスペクトルを、その後の測定で固定的に用いるようにしてもよい。
上述の実施形態では、光遅延部140を光方向性結合器122とバランス受光回路150との間に配置し、戻り光を遅延させるようにしていたが、図6に示すように、光遅延部140を光合分波器120とバランス受光回路150との間に配置し、ローカル光として用いる長パルス光を遅延させるようにしてもよい。この場合も、制御部180のパルスタイミング制御部181は、短パルス光による戻り光の波形が、光遅延部140通過後の長パルス光によるローカル光の時間幅に収まるように光源駆動部111のタイミング発生回路114を制御する。
また、上述の実施形態では、短パルス駆動回路112が出力する短パルス駆動電流波高値ISと長パルス駆動回路113が出力する長パルス駆動電流波高値ILとは同一値として、短パルス光の光周波数と長パルス光の光周波数とが同一となるようにしている。しかしながら、実際上、短パルス光の光周波数と長パルス光の光周波数とを同一とするのは容易ではない。
このため、基準光ファイバ130のブリルアン周波数シフト量の温度特性をあらかじめ取得しておき、温度計131の測定温度におけるブリルアン周波数シフト量の推定値と、処理(S101)で取得した基準光ファイバ130の真のブリルアンスペクトルのシフト量とが同一となるように、短パルス駆動電流波高値ISと長パルス駆動電流波高値ILとを調整するようにしてもよい。これにより、短パルス光の光周波数と長パルス光の光周波数とを同一とする作業が簡易化される。
次に、本実施形態の変形例について説明する。上述の実施形態では、短パルス駆動回路112が出力する短パルス駆動電流波高値ISと長パルス駆動回路113が出力する長パルス駆動電流波高値ILとが同一、すなわち、短パルス光の光周波数と長パルス光の光周波数とが同一であることを前提としていた。これに対して、変形例では、短パルス駆動回路112が出力する短パルス駆動電流波高値ISと長パルス駆動回路113が出力する長パルス駆動電流波高値ILとを意図的に異なる値として、短パルス光の光周波数と長パルス光の光周波数とを異ならせる。
例えば、図7(a)に示すように、短パルス駆動電流iSの波高値がISのとき、試験パルス周波数がνSであったとすると、ブリルアン散乱光周波数νBは、(νS−約11GHz)となる。これに対し、長パルス駆動電流iLの波高値をISよりもΔI小さいILとすると、ローカル光周波数νLは、νSよりもΔIに応じた周波数Δν分小さい値となる。
例えば、ΔIを50mAとすると、Δνは5GHz程度となる。この場合、試験パルス光とローカル光とブリルアン散乱光のスペクトルは、図7(b)に示すような関係となる。すなわち、試験パルス光スペクトルの約5GHz下にローカル光スペクトルが形成され、さらに、約6GHz下にブリルアン散乱光スペクトルが形成される。したがって、バランス受光回路150から出力されるブリルアン周波数シフト量成分は、6GHz程度となり、上述の実施形態の11GHzよりも低い帯域となる。このため、後段の装置への要求スペックを低下させることができ、一層コスト低減を実現することができるようになる。
さらに、ΔIを100mAとすると、Δνは11GHz程度となる。この場合、試験パルス光とローカル光とブリルアン散乱光のスペクトルは、図7(c)に示すような関係となる。すなわち、試験パルス光スペクトルの約11GHz下にローカル光スペクトルとブリルアン散乱光スペクトルとが形成される。したがって、ホモダイン検波が実現でき、バランス受光回路150から出力されるブリルアン周波数シフト量成分は、直流近傍成分に近い帯域となる。このため、信号処理部174で直接処理することが可能となり、図8に示すように、ミキサ171、信号発生器160が不要となる。この結果、ブリルアン光パルス試験器100のさらなるコスト低減を実現することができるようになる。
100…ブリルアン光パルス試験器、110…光源、111…光源駆動部、112…短パルス駆動回路、113…長パルス駆動回路、114…タイミング発生回路、120…光合分波器、121…光増幅器、122…光方向性結合器、130…基準光ファイバ、131…温度計、132…光コネクタ、140…光遅延部、150…バランス受光回路、151…光合分波器、152…光電変換回路、153…増幅器、160…信号発生器、161…制御回路、162…信号発生回路、171…ミキサ、172…ローパスフィルタ、173…増幅器、174…信号処理部、180…制御部、181…パルスタイミング制御部、182…光源スペクトル推定部、183…ブリルアンスペクトル補正部、600…ブリルアン光パルス試験器、610…光源、620…光合分波器、630…光パルス発生回路、634…光方向性結合器、636…光コネクタ、640…バランス受光回路、641…光合分波器、642…光電変換回路、643…増幅器、650…ミキサ、660…信号発生器、661…制御回路、662…信号発生回路、670…ローパスフィルタ、672…増幅器、674…信号処理部、700…被測定用光ファイバ
Claims (7)
- 光源を試験用パルス光として発光させる光源駆動部と、
前記試験用パルス光を入射し、被測定用光ファイバに導く基準光ファイバと、
前記基準光ファイバおよび前記被測定用光ファイバからの戻り光とローカル光とをバランス受光するバランス受光回路と、
前記バランス受光回路の出力結果に基づいてブリルアンスペクトルを測定する信号処理部と、
測定された前記基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを用いて、前記試験用パルス光のスペクトルを推定する光源スペクトル推定部と、
推定された前記試験用パルス光のスペクトルを用いて、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正するブリルアンスペクトル補正部と、
を備えたことを特徴とするブリルアン光パルス試験器。 - 前記光源スペクトル推定部は、
測定された前記基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルと、前記試験用パルス光よりもパルス幅の広いパルスを用いて測定した前記基準光ファイバにおけるブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、前記試験用パルス光のスペクトルを推定することを特徴とする請求項1に記載のブリルアン光パルス試験器。 - 前記ブリルアンスペクトル補正部は、
推定された前記試験用パルス光のスペクトルと、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルとをデコンボリューションすることにより、測定された前記被測定用光ファイバにおけるブリルアンスペクトルを補正することを特徴とする請求項1または2に記載のブリルアン光パルス試験器。 - 前記光源駆動部は、前記光源を、前記試験用パルス光と、前記試験用パルス光よりもパルス幅の広い長パルス光とを交互に発光させ、
前記バランス受光回路は、前記長パルス光を前記ローカル光として用い、
前記試験用パルス光による戻り光または前記長パルス光を遅延させて前記バランス受光回路に入力させる光遅延部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブリルアン光パルス試験器。 - 前記バランス受光回路において、前記長パルス光のパルス幅内に前記試験用パルス光による戻り光が収まるように前記長パルス光の発光タイミングを制御するパルスタイミング制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のブリルアン光パルス試験器。
- 前記光源駆動部は、前記試験用パルス光の周波数と、前記長パルス光の周波数とが同一になるように前記光源を発光させることを特徴とする請求項4または5に記載のブリルアン光パルス試験器。
- 前記光源駆動部は、前記長パルス光の周波数が前記試験用パルス光の周波数よりも、ブリルアン周波数シフト相当分低くあるいは高くなるように前記光源を発光させることを特徴とする請求項4または5に記載のブリルアン光パルス試験器。
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