JP2013155335A - 水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性と、密着性とに優れた水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有しない第1の活性水素基含有成分(A)と、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有する第2の活性水素含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を生成させる反応工程と、前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)とを混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を水に乳化させつつ、該水またはポリアミン成分(G)を含有する鎖伸長剤を介して反応させることにより前記水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる乳化工程とを備えたことを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法に関する。
従来、塗料、コーティング剤、接着剤、印刷インキ等に用いられ、基材に塗布して硬化させることにより硬化物とされるような樹脂組成物として、ポリオール等の活性水素基含有成分とポリイソシアネート成分とを有機溶剤中で反応させ、生成されたポリウレタン樹脂が水に乳化されてなる水性ポリウレタン樹脂組成物が知られている。例えば、水性ポリウレタン樹脂組成物は、上記塗料に用いられる場合、建築内装、皮革、金属や木材といった基材に該水性ポリウレタン樹脂を塗布して硬化させることにより基材上で硬化物とされる。
この種の水性ポリウレタン樹脂組成物では、親水性を向上させて水への分散を容易にするために、該ポリウレタン樹脂にカルボキシル基などのアニオン形成性置換基を有する官能基(イオン形成性置換基)を導入することが提案されている。例えば、活性水素基含有成分として、カルボキシル基を有するポリエステルポリオールを用いることが提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2006−96893号公報 特開2000−190621号公報
しかし、特許文献1、2の水性ポリウレタン樹脂組成物では、該水性ポリウレタン樹脂組成物を基材に塗布し、水を除去して硬化させた硬化物における極性溶媒に対する耐溶媒性、密着性及び屈曲性が不十分であるおそれがある。
本発明は、上記問題点等に鑑み、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性、密着性及び屈曲性に優れた水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意研究したところ、以下のことが判明した。
すなわち、従来、イオン性の水性ポリウレタン樹脂組成物を製造するとき、水酸基に対してイソシアネート基が過剰となるように、活性水素基含有成分とポリイソシアネート成分とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを生成し、これを水に乳化後、ポリアミン等で鎖伸長反応をさせている。かかる反応において極性溶媒に対する耐溶剤性をさらに向上する方法として、水に乳化しているポリウレタン樹脂中のウレア結合含有量を増加させることが考えられる、すなわち、上記反応時にイソシアネート基をさらに過剰に添加することが考えられる。しかし、イソシアネート基を過剰に添加するに従って、上記プレポリマーの分子量が低下してイオン性置換基を有しない分子(プレポリマー)が増加するとともに、未反応のポリイソシアネート成分の割合が増加するため、該プレポリマーの水への乳化が困難となることが判明した。また、これを改善するために、上記反応時に、イオン性置換基を有する活性水素基の添加量を増加させることによってイオン形成性置換基を増加させると、ポリウレタン樹脂の親水性が増加し、耐水性や耐溶媒性が低下することが判明した。
また、このように分子量の比較的小さい(鎖の短い)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー同士を、水中で水またはポリアミンを介して乳化させつつ反応させると、本来のウレタン樹脂の特徴である密着性や柔軟性(屈曲性)が損なわれることが判明した。これは、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが短鎖であることにより、水に乳化しているポリウレタン樹脂中に十分な長さのウレタン結合セグメントが形成できていないことによるものと考えられる。
本発明者らは、上記知見に基づいてさらに鋭意研究を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
少なくとも、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有しない第1の活性水素基含有成分(A)と、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有する第2の活性水素含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とから生成させたポリウレタン樹脂が水に乳化されてなる水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
前記第1の活性水素基含有成分(A)と前記第2の活性水素基含有成分(B)と前記ポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を生成させる反応工程と、
前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)とを混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物を水に乳化させつつ、該水またはポリアミン成分(G)を含有する鎖伸長剤を介して反応させることにより前記水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる乳化工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、イオン形成性置換基とは、塩基または酸と中和することにより、または、四級化剤で四級化することによりイオン性置換基を形成可能な置換基をいう。
上記構成の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法によれば、第1の活性水素基含有成分(A)と第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させることによって、ポリイソシアネート成分(C)を一度に第1の活性水素基含有成分(A)及び第2の活性水素基含有成分(B)と反応させる場合と比較して、水に乳化しているポリウレタン樹脂中にウレタン結合セグメントを十分に形成できるため、硬化物が密着性や柔軟性(屈曲性)に優れる。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)中に上記の場合よりも高い割合でイオン性置換基を有しているため、イオン性置換基を有しないポリイソシアネート成分(C)の残り(F)に対する乳化剤のように働くと考えられ、その結果として水に乳化し易くなる。
さらに、水性ポリウレタン樹脂中のウレア結合含有量を増加させることができるため、硬化物が極性溶媒に対する耐溶媒性に優れる。
従って、上記製造方法によれば、硬化物が極性溶媒に対する耐溶媒性、密着性及び屈曲性に優れる水性ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
また、上記製造方法においては、前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との重量比は、80/20〜50/50であることが好ましい。
このように、ウレタンプレポリマー(E)とポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との重量比が80/20〜50/50であることによって、ポリウレタン樹脂におけるウレタン結合及びウレア結合の分布をより適切なものとすることができるため、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性を向上させつつ、密着性及び屈曲性をより向上させることができる。
また、上記製造方法においては、前記鎖伸長剤が、前記ポリアミンを含有しており、前記ポリウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分の残り(F)との合計100重量部に対して前記ポリアミン成分(G)が、5.0〜15.0重量部含有されていることが好ましい。
このように、ポリアミン成分(G)が、ポリウレタンプレポリマー(E)とポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との合計100重量部に対して5.0〜15.0重量部含有されていることによって、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性をより向上させつつ、硬化物の密着性及び屈曲性をより向上させることができる。
また、上記製造方法においては、前記ポリウレタン樹脂1gあたりイオン形成性置換基が0.1〜1.0mmol含有されていることが好ましい。
このように、ポリウレタン樹脂1gあたりイオン形成性置換基が0.1〜1.0mmol含有されていることによって、ポリウレタン樹脂の親水性をより向上させて乳化させ易くしつつ、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性をより向上させることができる。
以上のように、本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法によれば、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性、密着性及び屈曲性に優れた水性ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
本発明の一実施形態の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法において、第1の活性水素基含有成分(A)と第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)の一部(D)との反応の一例を示す概略図。 従来の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法において、第1の活性水素基含有成分(A)とポリイソシアネート成分(C)との反応の一例を示す概略図。 従来の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法において、第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)との反応の一例を示す概略図。
以下、本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法は、少なくとも、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有しない第1の活性水素基含有成分(A)と、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有する第2の活性水素含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とから生成させたポリウレタン樹脂が水に乳化されてなる水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、前記第1の活性水素基含有成分(A)と前記第2の活性水素基含有成分(B)と前記ポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を生成させる反応工程と、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)とを混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を水に乳化させつつ、該水またはポリアミン成分(G)を含有する鎖伸長剤を介して反応させることにより前記水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる乳化工程とを備えている。
上記本実施形態の製造方法は、少なくとも、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有しない第1の活性水素基含有成分(A)と、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有する第2の活性水素含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とから生成させたポリウレタン樹脂が水に乳化されてなる水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法である、すなわち、少なくとも、第1の活性水素基含有成分(A)と第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)とを用い、これらを反応させることによって、第1の活性水素基含有成分(A)及び第2の活性水素基含有成分(B)の水酸基と、ポリイソシアネート成分(C)のイソシアネート基(NCO基)とからイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を生成させる。また、生成させたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を水に乳化させ、水またはポリアミン(G)を含有する鎖伸長剤で鎖伸長反応をさせることによって、ポリウレタン樹脂が水に乳化されてなる水性ポリウレタン樹脂を生成させる。
第1の活性水素基含有成分(A)と第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)とからポリウレタン樹脂を生成させる際には、後述するように、第1の活性水素基含有成分(A)及び第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)とからポリウレタンプレポリマーを生成させ、生成させたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー同士を水中で反応させることによって、水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる。
また、本実施形態の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法は、前記第1の活性水素基含有成分(A)と前記第2の活性水素基含有成分(B)と前記ポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させてポリウレタンプレポリマー(E)を生成させる反応工程と、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)とを混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を水に乳化させつつ、該水またはポリアミン成分(G)を含有する鎖伸長剤を介して反応させることにより前記水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる乳化工程とを備えている。
(反応工程)
前記反応工程は、第1の活性水素基含有成分(A)と第2のポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させる。
この反応により、第1の活性水素基含有成分(A)及び第2の活性水素基含有成分(B)の化合物末端に位置する水酸基とポリイソシアネート成分(C)の一部(D)におけるイソシアネート基との3つが反応することによって、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が得られる(図1参照)。
ここで、従来のように、水酸基に対してイソシアネート基が過剰となるように、第1の活性水素基含有成分(A)と、第2の活性水素基含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを生成し、これを水に乳化後、ポリアミン(G)等で鎖伸長反応をさせた場合、極性溶媒に対する耐溶剤性をさらに向上させるためには、水に乳化しているポリウレタン樹脂中のウレア結合含有量を増加させることが考えられる、すなわち、上記反応時にイソシアネート基をさらに過剰に添加することが考えられる。しかし、イソシアネート成分(C)を過剰に添加するに従って、例えば図2、図3に示すように、上記プレポリマーの分子量が低下し、イオン性置換基を有しない分子(プレポリマー)が増加し、さらに未反応のポリイソシアネート成分の割合が増加するため、該プレポリマーの水への乳化が困難となる。また、これを改善するために、上記反応時に、第2の活性水素基(B)を増加させることによってイオン性置換基を増加させると、ポリウレタン樹脂の親水性が増加し、耐水性や耐溶媒性が低下する。
また、このように分子量の比較的小さい(鎖の短い)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー同士を、水中で水またはポリアミンを介して乳化させつつ反応させると、本来のウレタン樹脂の特徴である密着性や柔軟性(屈曲性)が損なわれる。これは、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが短鎖であることにより、水に乳化しているポリウレタン樹脂中に十分な長さのウレタン結合セグメントが形成できていないことによるものと考えられる。
これに対し、本実施形態では、上記のように、第1の活性水素基含有成分(A)と第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させることによって、ポリイソシアネート成分(C)を一度に第1の活性水素基含有成分(A)及び第2の活性水素基含有成分(B)と反応させる場合と比較して、水に乳化しているポリウレタン樹脂中にウレタン結合セグメントを十分に形成できる。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)中に上記の場合よりも高い割合でイオン性置換基を有しているため、イオン性置換基を有しないポリイソシアネート成分(C)の残り(F)に対する乳化剤のように働くと考えられる。
さらに、水性ポリウレタン樹脂中のウレア結合含有量を増加させることができる。
上記水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有しない第1の活性水素基含有成分(A)としては、例えば、芳香環を有するポリオール(A−1)等が挙げられる。
かかる芳香環を有するポリオール(A−1)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのビスフェノール化合物にアルキレンオキシドを付加してなる芳香環含有ポリエーテルポリオール、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールなどのジオールとを反応させた芳香環含有ポリエステルポリオール等が挙げられる。
このような芳香族基を有するポリオールを用いることにより、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性がより向上し得る。
また、第1の活性水素基含有成分(A)としては、上記の化合物に加えて、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等を用いることもできる。
上記水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有する第2の活性水素基含有成分(B)としては、例えば、アニオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−1)、カチオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−2)が挙げられる。
上記水酸基を有し且つアニオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−1)におけるアニオン形成性置換基とは、カルボキシル基やスルホ基など、塩基と中和することによりアニオン性置換基を形成可能な置換基である。
かかるアニオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−1)は、アニオン形成性置換基の他に、イソシアネート基と反応し得る活性水素基を有しているため、該アニオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−1)を用いることによって、ポリウレタン樹脂に親水基であるアニオン性置換基を導入することができる。
アニオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−1)のうち、アニオン形成性置換基としてカルボキシル基を有する活性水素基含有化合物としては、乳酸などのカルボキシル基を有するモノオール、ジメチロールプロピオン酸およびジメチロールブタン酸などのカルボキシル基を有するポリオール、グリシンなどのカルボキシル基を有するモノアミンが挙げられる。
また、アニオン形成性置換基としてスルホ基を有する活性水素基含有化合物としては、タウリンなどのスルホ基を有するモノアミン、5−スルホイソフタル酸などのスルホ基含有化合物を用いて得られる、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
なお、アニオン形成性置換基は、反応前にカルボン酸塩やスルホン酸塩となっていてもよい。
上記カチオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−2)におけるカチオン形成性置換基とは、アミノ基など、酸と中和、または、四級化剤で四級化することによりカチオン性置換基を形成可能な置換基である。
かかるカチオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−2)は、カチオン形成性置換基の他に、イソシアネート基と反応し得る水酸基を有しているため、該カチオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−2)を用いることによって、ポリウレタン樹脂に親水基であるカチオン性置換基を導入することができる。
カチオン形成性置換基を有する活性水素基含有化合物(B−2)としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミンなどが挙げられる。
なお、カチオン形成性置換基は、反応前にアンモニウム塩となっていてもよい。
上記第1の活性水素基含有成分(A)は、上記のうち少なくとも1つを用いることができ、上記第2の活性水素基含有成分(B)は、上記のうち少なくとも1つを用いることができる。上記第1の活性水素基含有成分(A)と上記第2の活性水素基含有成分(B)の好ましい組み合わせとしては、例えば、芳香環含有ポリエーテルポリオールとジメチロールプロピオン酸、芳香環含有ポリエステルポリオールとジメチロールプロピオン酸、芳香環含有ポリエーテルポリオールとN−メチルジエタノールアミン等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート成分(C)としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、これらの有機ポリイソシアネートの2量体、3量体やビューレット化イソシアネート等の変性体を挙げることができる。尚、これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
上記第1の活性水素基含有成分(A)と第2の活性水素基含有成分(B)とポリイソシアネート成分(C)とを用いた上記反応工程は、従来公知の反応条件や反応方法を用いて、有機溶媒中で適宜反応条件を設定して行うことができる。
(混合工程)
前記混合工程では、前記ポリウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)とを混合する。
かかる第2の混合工程は、従来公知の混合方法を用いて、有機溶媒中で適宜混合条件を設定して実施することができる。
また、上記製造方法においては、前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との重量比は、80/20〜50/50であることが好ましい。
このように、ウレタンプレポリマー(E)とポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との重量比が80/20〜50/50であることによって、ポリウレタン樹脂におけるウレタン結合及びウレア結合の分布をより適切なものとすることができるため、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性をより向上させつつ、密着性及び屈曲性をより向上させることができる。また、光沢性を向上させることができる。
(乳化工程)
前記乳化工程では、前記混合工程で得られた混合物を水に乳化させつつ、該水またはポリアミン成分(G)を含有する鎖伸長剤を介して反応させることにより前記水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる。
ポリアミン成分(G)としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ピペラジンやイソホロンジアミン等のジアミン、ジエチレントリアミンやジプロピレントリアミン等のトリアミン、トリエチレンテトラミン等のテトラミン等のポリアミン等が挙げられる。
上記混合物、すなわち、ポリウレタンプレポリマー(E)とポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との混合物と水とを混合し、水中で、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート成分を乳化させつつ水またはポリアミン(G)を介して、ポリウレタンプレポリマー(E)及びポリイソシアネート成分(C)の残り(F)を反応させることにより、上記したように、水に乳化しているポリウレタン樹脂中にウレタン結合セグメントを十分に形成できるため、硬化物は、密着性や柔軟性(屈曲性)に優れる。
また、上記したように、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)中に上記の場合よりも高い割合でイオン性置換基を有しているため、イオン性置換基を有しないポリイソシアネート成分(C)の残り(F)に対する乳化剤のように働くと考えられ、その結果として水に乳化し易くなる。
さらに、上記したように、水性ポリウレタン樹脂中のウレア結合含有量を増加させることができるため、耐水性や耐溶剤性に優れる。
従って、上記製造方法によれば、極性溶媒に対する耐溶媒性、密着性及び屈曲性に優れる水性ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
また、前記鎖伸長剤が、前記ポリアミン成分(G)を含有しており、前記ポリウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分の残り(F)の合計100重量部に対して前記ポリアミン成分(G)が、5.0〜15.0重量部含有されていることが好ましい。
このように、ポリアミン成分(G)が、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)とポリイソシアネート成分(C)の残り(F)の合計100重量部に対して5.0重量部以上含有されていることによって、上記硬化物における極性溶媒に対する耐溶媒性をより向上させることができる。また、15.0重量部以下含有されていることによって、硬化物の密着性の低下をより抑制することができる。
また、前記ポリウレタン樹脂1gあたりイオン形成性置換基が0.1〜1.0mmol含有されていることが好ましく、0.2〜0.8mmol含有されていることがより好ましい。
このように、ポリウレタン樹脂中にイオン形成性置換基が0.1mmol以上含有されていることによって、ポリウレタン樹脂の親水性をより向上させることができる。また、1.0mmol以下含有されていることによって、硬化物の極性溶媒に対する耐溶媒性をより抑制することができる。
上記乳化工程は、シランカップリング剤をさらに添加して行うことができる。かかるシランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、上記実施形態の製造方法においては、前記混合工程の後、前記乳化工程の前に、前記混合工程で混合された混合物に中和剤を添加することによって該混合物を中和する中和工程を設けることもできる。かかる中和工程で用いる中和剤としては、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム(NaOH)等が挙げられる。
また、上記本実施形態の製造方法では、少なくとも、第1の活性水素基含有成分(A)と、第2の活性水素基含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とを用いて上記反応工程を行うのであれば、これら以外の成分を添加して上記反応工程を行うこともできる。また、上記水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法においては、上記の他、該製造方法に用いられる従来公知の添加剤を用いて実施することもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてさらに具体的に説明する。
合成例1(ポリエステルポリオールA(芳香環とイオン形成性置換基とを含有するポリオール)の合成)
脱水装置を備えたフラスコ中に酸成分としてイソフタル酸(158重量部)及びアジピン酸(139重量部)と、ジオール成分としてエチレングリコール(62重量部)及びネオペンチルグリコール(104重量部)とを仕込み、反応触媒としてテトライソプロピルチタネート(0.1重量部)を添加した後、酸価1.0以下、水分0.05%以下となるまで220℃で縮合反応を行うことにより、芳香環を有するポリオールたるポリエステルポリオールAを得た(数平均分子量:2000、水酸基価:56mgKOH/g)。使用原料、その配合量及びポリエステルポリオールAの性状を表1に示す。
なお、酸価、水分、数平均分子量、水酸基価は、以下のようにして測定した。
(酸価)JIS K 0070に準じて測定した。
(水分)JIS K 0068に準じて測定した。
(数平均分子量)JIS K 0124に準じて測定した。
(水酸基価)JIS K 0070に準じて測定した。
合成例2(ポリエステルポリオールB(芳香環とイオン形成性置換基とを含有するポリオール)の合成)
イソフタル酸の代わりにテレフタル酸を用いたこと以外は、前記(ポリエステルグリコールAの合成)と同様の方法を用いて、ポリエステルポリオールBを得た(数平均分子量:2000、水酸基価:56mgKOH/g)。使用原料、その配合量及びポリエステルポリオールBの性状を表1に示す。
合成例3(ポリエステルポリオールC(芳香環とイオン形成性置換基とを含有するポリオール)の合成)
テレフタル酸をさらに用い、表1に示す配合量とすること以外は、合成例1と同様にして、ポリエステルポリオールCを得た(数平均分子量:2000、水酸基価:56mgKOH/g)。使用原料、その配合量及びポリエステルポリオールCの性状を表1に示す。
Figure 2013155335
(製造例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにポリエステルポリオールA37.1重量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(商品名:ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業社製)2.7重量部、トリメチロールプロパン3.2重量部、ジメチロールプロピオン酸10.1重量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート46.9重量部、メチルエチルケトン70重量部と加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマー(E−1)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.5%であった。
なお、遊離のイソシアネート基(NCO基)含有量は、下記のようにして測定した。
(遊離のイソシアネート基(NCO基)含有量)
JIS K 7301に準じて測定した。
(製造例2〜9)
表2に示すような使用原料及び配合量を用いること以外は製造例1と同様にして、ウレタンプレポリマー(E−2〜E−9)のメチルエチルケトン溶液を得た。
実施例1
表3に示すように、上記製造例1で得られたウレタンプレポリマー(E−1)の溶液80重量部にジシクロヘキシルメタンジイソシアネート20.0重量部を添加して混合し、混合物を45℃まで冷却してトリエチルアミン6.10重量部を添加した後、水300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。得られた乳化分散体にジエチレントリアミン6.02重量部を水55重量部に溶解した水溶液を添加して1時間反応させた後、反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧留去することにより、不揮発分濃度が30重量%である水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られた水性ポリウレタン樹脂の、アミノ基/水酸基(モル比)を以下のようにして測定し、保存安定性を、以下のようにして評価した。また、以下に示すように、得られた水性ポリウレタン組成物を用いて試験板及び試験皮膜を作製し、これら試験板及び試験皮膜の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例2〜12、比較例1〜7
表3及び表4に示す使用原料及び配合量を用いた以外は実施例1と同様にして、不揮発分濃度が30重量%である水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られた水性ポリウレタン樹脂の保存安定性を、実施例1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
(保存安定性)
得られたポリウレタン樹脂水性分散体を40℃の恒温槽に保管し、1ヶ月後の変化を目視にて確認し、以下のように評価した。
○: ゲル化・沈降などが生じない。
×: ゲル化あるいは沈殿が生じる。
(試験板の評価)
<試験板の作製方法>
厚さ0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板(ノンクロメート処理、太祐機材社製;ユニジンク)をイソプロピルアルコールを用いて脱脂した。次に、上記実施例及び比較例で得られた水性ポリウレタン樹脂組成物をバーコーターで、乾燥皮膜量1.0g/m2になるように塗布し、雰囲気温度250℃の熱風乾燥炉を用いて到達板温100℃まで焼き付けて試験板を作製した。得られた試験板を用いて下記の評価を行った。
(1)極性溶媒に対する耐溶媒性1(耐エタノール性)
試験板を25℃でラビングテスターに設置後、エタノールを含浸させたフェルトを0.05MPaの荷重で10回(往復)擦った後の皮膜状態を、下記の評価基準で評価した。
○:擦り面に跡がまったく付かない
×:擦り面に跡が付く、または、擦り面の皮膜がなくなる
(2)密着性
JIS K5600−5−6に準じて碁盤目粘着テープ剥離試験を行い、格子の残存個数を評価した。ただし、カット数は格子パターンの各方向で11個(格子数は100個)とし、カットの間隔は1mmとした。なお、評価結果が100の場合が、全く剥離がなかったことを示す。
(3)屈曲性
JIS Z2248に準拠し、試験板を室温で180°に折り曲げる2T曲げを行い、このときの曲げ加工部頂部を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
○:有機皮膜の割れが確認されない
×:有機皮膜の割れが確認される
(試験皮膜の評価1)
<試験皮膜の作製>
上記のように得られた水性ポリウレタン樹脂組成物を、膜厚200μmとなるようにテフロンコーティングシャーレに投入し、80℃で6時間乾燥し、これを所定の大きさ(2cm×4cm)に切断することにより評価サンプルを作製した。
(1)極性溶媒に対する耐溶媒性2(耐水性)
試験液として、蒸留水を使用した。試験片を40℃の試験液に24時間浸漬し、初期の面積(2×4cm2)に対する面積増加率を下記式により求めた。得られた面積増加率が低いほど耐水性が良好であると評価した。
面積増加率=(浸漬後の面積―初期の面積)/初期の面積×100
(試験皮膜の評価2)
<試験皮膜の作製>
上記製造例で得られたポリウレタン樹脂水性分散体をバーコーターで、乾燥皮膜量3.0g/m2になるように隠ぺい率測定紙(黒面のみ)に塗布し、雰囲気温度80℃の熱風乾燥炉を用いて5分間乾燥した。
(1)光沢性
JIS Z8741に準拠してグロス値(60%グロス)をコート面から光沢計(東京電色製、TC-108DPA)を用いて測定し、3回の測定値を平均して求めた。
Figure 2013155335
Figure 2013155335
Figure 2013155335

Claims (4)

  1. 少なくとも、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有しない第1の活性水素基含有成分(A)と、水酸基を有し且つイオン形成性置換基を含有する第2の活性水素含有成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とから生成させたポリウレタン樹脂が水に乳化されてなる水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
    前記第1の活性水素基含有成分(A)と前記第2の活性水素基含有成分(B)と前記ポリイソシアネート成分(C)の一部(D)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を生成させる反応工程と、
    前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)とを混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた混合物を水に乳化させつつ、該水またはポリアミン成分(G)を含有する鎖伸長剤を介して反応させることにより前記水に乳化しているポリウレタン樹脂を生成させる乳化工程とを備えたことを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との重量比は、80/20〜50/50であることを特徴とする請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記鎖伸長剤が、前記ポリアミン成分(G)を含有しており、
    前記ウレタンプレポリマー(E)と前記ポリイソシアネート成分(C)の残り(F)との合計100重量部に対して前記ポリアミン成分(G)が5.0〜15.0重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記ポリウレタン樹脂1gあたりイオン形成性置換基が0.1〜1.0mmol含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
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