JP2013165128A - 半導体ウエハ加工用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】基材がDOPを含まないにも関わらず、十分なエキスパンド性を示し、しかも粘着特性の経時変化の少ない半導体ウエハ加工用シートを提供すること。
【解決手段】半導体ウエハ加工用シートは、基材と、その少なくとも片面に形成された接着性樹脂層を有し、該基材は、脂環族エステル化合物を可塑剤として含有する塩化ビニル製基材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハ加工用シートに関し、さらに詳しくは半導体ウエハにダイシングなどの加工を行う際に、半導体ウエハを固定するために使用されるシートに関する。また、本発明の他の態様は、ダイシングシートとフィルム状接着剤との機能を兼ね備える、ダイシング・ダイボンドシートに関する。
半導体ウエハをダイシングし、得られたチップをダイボンドする一連の工程では、各種の粘着シートやフィルム状接着剤が用いられている。
たとえば、ダイシング工程に用いる粘着シートは、基材と粘着剤層とからなり、半導体ウエハをダイシングする際に、当該半導体ウエハを固定し、またダイシング後にはチップを保持するために用いられる。また、粘着シート上でダイシングされたチップを、該粘着シートから直接ピックアップしたり、またチップを、半導体ピックアップ用粘着シートに転写した後に、ピックアップすることがある。
ダイシング工程の終了後には、チップのダイボンドを行う。この際、液状の接着剤を用いることもあるが、近年はフィルム状接着剤が多用されている。フィルム状接着剤は、半導体ウエハの片面に貼着され、ダイシング工程においてウエハとともに切断され、その後、接着剤層付のチップとしてピックアップされ、接着剤層を介してチップは所定の部位に接着される。このようなフィルム状接着剤は、基材フィルムや粘着シート上にエポキシやポリイミドなどの接着剤を製膜、半固化した層を設けることにより得られる。
さらに、ダイシング時のウエハ固定機能とダイボンド時のダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンド兼用シートも提案されている。ダイシング・ダイボンド兼用シートは、粘接着剤層と、基材とからなる。粘接着剤層は、ダイシング工程においては半導体ウエハやチップを保持し、ダイボンド時にはチップを固着するための接着剤として機能する。粘接着剤層は、ダイシング時には、ウエハとともに切断され、切断されたチップと同形状の粘接着剤層が形成される。ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、粘接着剤層は、チップとともに剥離する。粘接着剤層を伴ったチップを基板に載置し、加熱等を行い、チップと基板とを接着剤層を介して接着する。このようなダイシング・ダイボンド兼用シートは、基材上に、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた、粘接着剤層が形成されてなる。
また、チップの表面に保護膜を形成するために、硬化性の樹脂層に半導体ウエハを貼付し、樹脂層を硬化させ、その後、半導体ウエハと樹脂層をダイシングし、硬化した樹脂層(保護膜)を有するチップを製造するプロセスも提案されている。このような保護膜形成用のシートは、剥離性基材上に保護膜となる接着性の樹脂層を有する。
これらの半導体ウエハ加工用シートを用いたウエハ加工では、ダイシング後にエキスパンドして、チップ間隔を離間し、チップのピックアップを容易にしている。このため、ウエハ加工用シートにおいては、エキスパンドできる程度の柔軟性が要求されることがある。そこで、上記半導体ウエハ加工用シートの基材としては、可塑剤を含有するポリ塩化ビニルフィルムが使用されることが多い(特許文献1および2)。
ポリ塩化ビニルに配合される可塑剤としては、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステル、典型的には、ジオクチルフタレート(DOP)が使用されている。DOPなどの可塑剤を含む軟質ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムは、その優れた機械特性(PVC)のもつ剛性と可塑剤による柔軟性を併せ持つことから各種の粘着シートの基材として幅広く使用されている。
しかし、DOPは、欧州におけるRoHS(危険物質に関する制限)指令の規制対象候補物質であり、またREACH(欧州連合における人の健康や環境の保護のための欧州議会及び欧州理事会規則)において、SVHC(高懸念物質)の認可物質として挙げられている。このため、今後DOPの使用については制限される可能性が極めて高く、代替物質の検索が行われている。
DOPの代替として、アジピン酸エステルが着目されたが、その化学構造上十分な特性が得られていない。たとえば、アジピン酸エステルを電子部材加工用粘着シートの基材として用いた場合、粘着剤を基材上に形成した直後においては問題がないものの、一定期間保管後に被着体に粘着剤の成分が転着することがあった。粘着剤が転着した電子部材は、その後の工程または実装後に種々の問題を引き起こすことがある。また、トリメリット酸エステル等、フタル酸が誘導体として発生しにくい化合物であっても、芳香環を有するために不純物としてフタル酸を含む懸念がある。
特開2001−207140号公報 特開2010−260893号公報
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであり、基材がDOPを含まないにも関わらず、十分なエキスパンド性を示し、しかも粘着特性の経時変化の少ない半導体ウエハ加工用シートを提供することを目的としている。
上記課題を解決する本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)脂環族エステル化合物を可塑剤として含有する塩化ビニル製基材の少なくとも片面に、接着性樹脂層を有する半導体ウエハ加工用シート。
(2)脂環族エステル化合物が、シクロヘキサンジカルボン酸と、炭素数6〜12のアルコールとのジエステルである(1)に記載の半導体ウエハ加工用シート。
(3)シクロヘキサンジカルボン酸が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸であり、アルコールがイソノニルアルコールである(2)に記載の半導体ウエハ加工用シート。
(4)塩化ビニル製基材における脂環族エステル化合物の含有量が、塩化ビニル100質量部に対して5〜100質量部である(1)〜(3)の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
(5)接着性樹脂層が、感圧接着性を有する(1)〜(4)の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
(6)接着性樹脂層が、エネルギー線硬化型粘着剤からなる(5)に記載の半導体ウエハ加工用シート。
(7)接着性樹脂層が、アクリル系粘着剤からなる(5)または(6)に記載の半導体ウエハ加工用シート。
(8)アクリル系粘着剤の含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が−50〜30℃である(7)に記載の半導体ウエハ加工用シート。
(9)半導体ウエハのダイシングを行う際に、半導体ウエハおよびダイシング後のチップを保持するために使用される(1)〜(8)の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
(10)接着性樹脂層が、エポキシ系接着剤またはポリイミド系接着剤を含有する(1)〜(9)の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
(11)半導体ウエハおよびダイシング後のチップに、接着性樹脂層を転写するための(9)または(10)に記載の半導体ウエハ加工用シート。
本発明では、半導体ウエハ加工用シートの基材に、可塑剤として脂環族エステル化合物を含有する塩化ビニル基材を使用して、十分なエキスパンド性を示し、しかも粘着特性の経時変化の少ない半導体ウエハ加工用シートを得ている。すなわち、DOPを使用せず、DOP使用品と同等あるいはそれ以上の性能を達成し得た。このため、今後規制が予定されるDOP使用品の代替品としての展開が期待される。
以下に、本発明に係る半導体ウエハ加工用シートについて、さらに具体的に説明する。
本発明に係る半導体ウエハ加工用シートは、基材と、その少なくとも片面に形成された接着性樹脂層とを有する。
(基材)
前記基材は、脂環族エステル化合物を可塑剤として含有する塩化ビニル系樹脂からなる。
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂とは、-CH2-CHCl-で表される繰り返し単位を有するポリマーすべてを指し、塩化ビニルの単独重合体、及びエチレン-塩化ビニル共重合体等の塩化ビニルと重合性モノマーとの共重合体、並びに塩素化塩化ビニル共重合体等の単独および共重合体を改質したもの、さらには塩素化ポリエチレン等の構造上塩化ビニル樹脂と類似の塩素化ポリエチレンを包含する。また、これらの塩化ビニル系樹脂は数平均重合度で300〜3000が好ましく、さらには1000〜2500の重合度を有しているのがより好ましい。これらの塩化ビニル系樹脂を単独、または2種以上併用して基材を構成する塩化ビニル樹脂成分とすることができる。
可塑剤と用いられる脂環族エステルは、脂環族ジカルボン酸とアルコールとのエステルである。脂環族エステルとしては、シクロブタンジカルボン酸のエステル、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸と、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、イソノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール等のアルコールとのエステルが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、立体的な安定性の観点から好ましくはシクロヘキサンジカルボン酸であり、カルボキシル基の置換位は特に限定はされないが、好ましくは1,2−シクロヘキサンジカルボン酸である。またアルコールとしては、炭素数6〜12のアルコールが好ましく、炭素数8〜10のアルコールがさらに好ましく、イソノナノールが特に好ましい。したがって、本発明において特に好ましく用いられる可塑剤は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルである。
脂環族エステルを用いることで、必然的に芳香族エステルであるフタル酸ジエステルが排除され、かつ不純物としてフタル酸を含有する可能性が激減し、環境負荷および有毒性の懸念がなく、塩化ビニル系樹脂を主成分とする基材を可塑化することができる。また、本発明の半導体ウエハ加工用シートが、基材上に再剥離性の粘着剤層を設けた粘着シートである場合には、後述するようにシートの製造の後、保管の最中に基材内部の可塑剤が粘着剤層内部に移行し、粘着剤層内部に取り込まれることがある。このような場合、その原理は明らかではないが、エステル類の選択によっては、基材の可塑剤として用いた場合に、半導体ウエハ加工用シートを半導体ウエハから剥離する際に粘着剤層の成分が半導体に残存する不具合(糊残り)が発生することがある。このような糊残り現象の発生は、半導体ウエハ加工用シートを作製後、経時により顕著となる傾向がある。脂環族エステルを用いた場合、このような半導体ウエハ上の残渣物の発生を抑制することができる。
基材における脂環族エステル化合物の含有量は、基材を構成する塩化ビニル樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜50質量部、特に好ましくは20〜40質量部である。基材における脂環族エステル化合物の含有量が過小であると、基材の柔軟性がなく、半導体ウエハ加工用シートのエキスパンド性が不十分になる。基材における脂環族エステル化合物の含有量が過大であると、基材が過度に柔らかくなりハンドリング性が低下したり、基材の可塑剤が接着性樹脂層に移行し、接着性樹脂層の性能が経時的に変化したりすることがある。なお、基材における脂環族エステルの含有量がこのような範囲にあると、後述のように基材上に再剥離性の粘着剤層を設けた粘着シートにおいて、シートの製造の後、保管の最中に基材内部の可塑剤が粘着剤層内部に移行する現象が生じやすくなる。その場合であっても、脂環族エステルを基材の可塑剤として用いることで、粘着剤の糊残りの問題を防止しうる。
また、基材には、さらに強度を向上するための充填剤が含まれていてもよい。さらに化学的安定性付与のために、バリウム・亜鉛系安定剤、カルシウム・亜鉛系安定剤などが配合されていてもよい。このような安定剤は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、1.5〜3.5質量部程度の割合で含まれていてもよい。また、これらの他にも、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの充填剤、安定剤、添加剤等は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、1.0〜8.0質量部程度の割合で含まれていても良い。また、前記脂環族エステル化合物以外の可塑剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいても良い。
基材の厚みは特に限定はされず、半導体ウエハ加工用シートの用途により様々であるが、一般的には10〜300μm、好ましくは40〜120μm程度である。基材の厚みが薄すぎると、シートがダイシング工程における被加工物に固定に用いられる場合に、ダイシングブレードにより基材が切り込まれると、その部分の厚みが極度に薄くなり、エキスパンドの際に断裂するおそれがある。厚すぎると引張りに対する力が昂進し、エキスパンド適性が低下することがある。さらに、基材の接着性樹脂層と接する面には接着性樹脂層との密着性を向上するために、コロナ処理を施したりプライマー等の他の層を設けてもよい。さらに基材から接着性樹脂層を剥離し、チップ等に接着性樹脂層を転写する場合には、接着性樹脂層と基材との間での剥離を容易にするため、基材表面に剥離処理を施しても良い。この場合、基材の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、常温もしくは加熱または電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
また、塩化ビニル系樹脂は一般に耐熱性に劣り、上記のような剥離処理手段をとれないことがある。このような場合には、剥離剤としてエネルギー線硬化性のものを用い、基材用の塩化ビニル系樹脂フィルムに剥離剤を塗布し、エネルギー線照射により硬化させることで形成させることも可能である。
基材の製法は特に限定はされないが、前記塩化ビニル樹脂、可塑剤としての脂環族エステル化合物、安定剤、その他の添加剤を混合し、得られた混合物を製膜して得られる。
各成分の混合は、一般的には機械的溶融混練方法により、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、カレンダーロール等が用いられる。この際、各成分の添加順序には制限がない。また、溶融混練する温度は140℃〜220℃の中から好適に選ぶことができる。
得られた混合物をシート状に加工して、基材が得られる。シート加工は、押し出し成形、カレンダー成形、インフレーション成型など一般成形加工法によって行えばよい。
また、製膜の方法は上記に例示した混合物を溶液あるいは溶融状態とし、ナイフコーター等の塗工手段により塗工を行うことによるものであってもよい。
(接着性樹脂層)
半導体ウエハ加工用シートにおける接着性樹脂層は、シートの用途に応じて様々な機能を有する樹脂の中から適宜に選択される。
(感圧接着性樹脂層)
中でも、半導体ウエハ加工用シートを、接着性樹脂層が再剥離性を有する感圧性接着剤層(粘着剤層)からなる粘着シートとすることが特に好ましく、半導体ウエハ加工用シートをダイシングシートとして用いることが特に好ましい。半導体ウエハ加工用シートは基材が可塑剤を含有する軟質塩化ビニル樹脂から構成されるため、エキスパンド適性に優れており、特に、チップ間隔が等方的に拡張しやすいため、エキスパンド後のチップ整列性に優れる。また、ダイシングブレードが基材との接触部において摺動することに起因した切削片の発生が起こりにくい。加えて、切断時の衝撃によりチップが欠けたり、割れたりする現象が起こりにくい。なお、粘着シートの用途は、ダイシングシートに限らず、たとえば個片化されたチップを他のシートから移し変えてエキスパンドを行った後、チップの取り上げ(ピックアップ)を行うためのシート等、エキスパンドを伴う用途は同様の見地から好適である。
可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂からなる基材上に粘着剤層を設けた半導体ウエハ加工用シートにおいては、保管中に基材内部に存在する可塑剤が粘着剤層内部に移行することがある。これは、基材内部と、粘着剤層内部の可塑剤の濃度勾配に起因した拡散現象によるものであり、基材中の可塑剤の濃度が高いほど生じやすくなる。このように可塑剤が粘着剤層に移行する場合であっても、上述したように基材の可塑剤として脂環族エステルを用いることで糊残りの抑制を図ることができる。ダイシングシートは、半導体ウエハをダイシングしチップ化する際に、半導体ウエハならびにダイシングにより生成するチップを保持しておくために使用される。したがって、ダイシング後にチップを剥離できる程度の適度な再剥離性を有することが求められる。このような粘着剤層は、従来より公知の種々の感圧性接着剤(粘着剤)により形成され得る。粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。これらの中でも粘着力の制御が容易なアクリル系粘着剤が特に好ましい。
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主剤とする。(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ミリスチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのエステル構造に炭化水素のみが付加した(メタ)アクリル酸エステルの1種以上の単量体と、必要に応じて、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有化合物;アクリルアミドなどのアミド基含有化合物;スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族化合物などの重合性単量体から選ばれる1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。なお、重合性単量体が1種である場合には狭義の共重合体ではないが、そのような場合も含めて共重合体と総称する。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体におけるエステル構造に炭化水素のみが付加した(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有割合は、10〜98質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、50〜93質量%がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、10万〜250万が好ましく、20万〜150万がより好ましく、30万〜100万が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
これらの粘着剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの粘着剤のうち、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。特に、アクリル系共重合体を、ポリイソシアナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などの架橋剤の1種以上で架橋させて得られるアクリル系粘着剤が好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアネート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ポリイソシアナート系架橋剤としては、トリレンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどが挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋剤の使用量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
さらに、半導体ウエハ加工用シートをダイシングシートとして用いる場合、粘着剤層は、エネルギー線硬化や加熱発泡、水膨潤などにより接着力を制御できる粘着剤であってもよい。エネルギー線硬化型粘着剤層は、従来より公知のガンマ線、電子線、紫外線、可視光等のエネルギー線の照射により硬化する種々のエネルギー線硬化型粘着剤により形成され得るが、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤に、多官能エネルギー線硬化樹脂を混合した粘着剤が挙げられる。多官能エネルギー線硬化樹脂としては、エネルギー線重合性の官能基を複数有する低分子化合物、ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。また、側鎖にエネルギー線重合性の官能基を有するアクリル系共重合体を含む粘着剤も用いることができる。このようなエネルギー線重合性官能基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明において、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は、−50℃〜30℃が好ましく、−25℃〜30℃であることが好ましい。また、基材における脂環族エステルの含有量が多い場合には、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は0〜30℃であることが好ましく、5〜25℃であることがさらに好ましい。ここで、粘着剤層のTgとは、粘着剤層を積層させた試料の周波数11Hzでの動的粘弾性測定において、−50〜50℃の領域で損失正接(tanδ)が最大値を示す温度を指す。なお、粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤である場合には、エネルギー線照射により粘着剤層を硬化させる前のガラス転移温度を指す。粘着剤層が前記したアクリル系粘着剤からなる場合は、粘着剤層のガラス転移温度は、前記したアクリル系粘着剤を構成する単量体の種類および重合比を規制し、場合によって添加される紫外線硬化性化合物や架橋剤の影響を見積もることにより制御できる。
基材における脂環族エステルの含有量が多い場合の粘着剤層のガラス転移温度の好ましい範囲は、一般に粘着剤に関して好ましいとされる範囲よりも高いものである。このような範囲が好ましい理由は次のとおりである。上述したように、本発明の一形態である粘着シートにおいては、基材内部の可塑剤が粘着剤層に移行する場合がある。そして、移行によって粘着剤層が可塑剤を内包することとなり、粘着剤層が軟化する傾向がある。この場合であってもガラス転移温度が上記範囲であれば、粘着剤層の凝集力が過度に低下することなく、糊残り防止効果が損なわれにくい。
このようなダイシングシートは、半導体加工に汎用されていたものであり、ダイシング時にはウエハを固定し、またダイシングにより生成したチップが飛散しない程度の接着力を有する。ダイシング工程終了後には、チップをピックアップする。この際、突き上げピンや吸引コレットなどを用いて、ダイシングシートからチップをピックアップする。また、粘着剤層がエネルギー線硬化性を有する場合には、粘着剤層にエネルギー線を照射し、粘着力を低下させることで、チップのピックアップがより容易になる。また、チップのピックアップ時には、チップ同士の間隔を離間するために、ダイシングシートにチップが固定された状態でダイシングシートをエキスパンドすることが好ましい。エキスパンドによりチップ間隔が離間し、チップの認識が容易になり、またチップ同士の接触による破損も低減され歩留りも向上する。
(フィルム状接着剤)
また、接着性樹脂層は、フィルム状接着剤であってもよい。このようなフィルム状接着剤は、チップのダイボンド工程において近年多用されている。このようなフィルム状接着剤は、好ましくはエポキシ系接着剤またはポリイミド系接着剤を製膜、半硬化したものであり、基材上または上記した粘着シート上に剥離可能に形成され、本発明の半導体ウエハ加工用シートが得られる。
フィルム状接着剤層は、半導体ウエハに貼付される。その半導体ウエハとフィルム状接着剤層とをチップサイズにダイシングすることで、接着剤層付のチップが得られ、これを基材または粘着シートからピックアップし、接着剤層を介して、所定の位置にチップを固着する。なお、接着剤層付チップのピックアップ時には、前記と同様にエキスパンドを行うことが好ましい。
さらに、本発明の半導体ウエハ加工用シートは、ダイシング時のウエハ固定機能とダイボンド時のダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンド兼用シートであってもよい。この場合、接着性樹脂層を、粘着性を有し、又は加熱により軟化して被着体に付着することのできる性状とすることで、ダイシング工程において半導体ウエハやチップを保持することができる。そして、ダイボンド時にはチップを固着するための接着剤として機能する。接着剤層は、ダイシング時には、ウエハとともに切断され、切断されたチップと同形状の接着剤層が形成される。ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、接着剤層は、チップとともに基材から剥離する。接着剤層を伴ったチップを基板に載置し、加熱等を行い、チップと、基板や他のチップ等の被着体とを接着剤層を介して接着する。このようなダイシング・ダイボンド兼用シートは、基材上に、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた、接着剤層が形成されてなる。このようなウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた接着剤は、たとえば前記したアクリル系粘着剤と、エポキシ接着剤を含み、また必要に応じ、エネルギー線硬化型化合物および硬化助剤等を含む。また、接着性樹脂層のチップへの転写を容易にするため、ダイシング・ダイボンド兼用シートにおける基材は剥離処理されていることが好ましい。なお、粘接着剤層付チップのピックアップ時には、前記と同様にエキスパンドを行うことが好ましい。
(保護膜形成用シート)
さらに、半導体ウエハ加工用シートは、チップの裏面に保護膜を形成するための保護膜形成用シートであってもよい。この場合、接着性樹脂層に半導体ウエハを貼付し、接着性樹脂層を硬化させ、その後、半導体ウエハと樹脂層をダイシングし、硬化した樹脂層(保護膜)を有するチップを得る。このような保護膜形成用のシートは、剥離性基材上に保護膜となる接着性の樹脂層を有する。保護膜となる接着性樹脂層は、前記したアクリル系粘着剤と、エポキシ接着剤および硬化助剤を含み、また必要に応じフィラー等が含まれていても良い。
本発明の半導体ウエハ加工用シートにおける接着性樹脂層の厚みは、その用途により様々であり、ダイシングシートとして用いる場合は、30〜200μm程度であり、またダイシング・ダイボンド兼用シートとして用いる場合には、50〜300μm程度である。
以上、本発明の半導体ウエハ加工用シートについて、接着性樹脂層の代表的な組成と用途について概説したが、本発明の半導体ウエハ加工用シートにおける接着性樹脂層は上記のものに限定されることはなく、またその用途も特に限定されない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明において採用した測定、評価方法は次の通りである。
<粘着力測定>
長期経時を模した条件として、実施例および比較例で作製した半導体ウエハ加工用シートを促進条件下(40℃7日または40℃14日)に投入した。その後、該シートを、23℃相対湿度50%の環境下において24時間保管した後、幅25mmで長さ250mmにカットしたシートを鏡面処理されたシリコンウエハ(直径6インチ、厚さ650μm、ケミカルメカニカルポリッシュ後にアルカリ、次いで酸により残渣除去処理を行ったもの、反りの規格:水平面に載置した場合に端部が水平面から離れる距離が100μm以内、試料貼付面の直径0.2μm以上のパーティクル:30個以内、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、Zn、Naの元素の存在量:5×1010atoms/cm2未満)に貼付し、23℃相対湿度50%の環境下において30分間保管した後、紫外線を照射(紫外線照射装置:Adwill(登録商標)RAD-2000m/12(リンテック社製)、230mW/cm、190mJ/cm)して粘着剤層を硬化し、23℃相対湿度50%の環境下において10分間保管した後に剥離速度300mm/min、剥離角度180°にてシートを引き剥がした際の力を測定した。また、紫外線を照射しないシートについても同様に粘着力を測定した。
<糊残りの評価>
前記粘着力測定において、シートを剥離した部分のシリコンウエハ表面における粘着剤の残渣物の有無を確認した。粘着剤の残渣物が確認されないものを「A」とし、粘着剤の残渣物が確認されたものを「F」とした。
<エキスパンド適性>
実施例1および参考例1の半導体ウエハ加工用シートを6インチのシリコンウエハ(厚み350μm)に貼付し、ダイサー(Disco社製、DFD651)により、ダイシングブレード27HECCを用いて8mm×8mmのサイズのチップに個片化した。次いで、引き落とし量10mmでエキスパンドを行い、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)のチップ間隔をデジタル顕微鏡で確認した。
<粘着剤層のガラス転移温度の測定>
ロールナイフコーターを用いて、溶剤で希釈した実施例のエネルギー線硬型粘着剤組成物を、乾燥後の塗布厚が10μmとなるように、シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)の剥離処理面に塗布し、100℃で1分間乾燥させ、粘着剤層の露出した面に剥離力の異なるシリコーン剥離処理したPETフィルムを貼り合せ、2枚のPETフィルムに挟持された粘着剤層を得た。次いで、23℃50%RHの環境にて7日間保管した後に、PETフィルムを除く粘着剤層のみを厚さ1mmになるまで積層した。1mm厚まで積層した粘着剤層を、直径8mmの円柱型に型抜きした後、更に厚さ3mmまで積層し測定用サンプルを得た。このサンプルの−50℃から110℃における周波数11Hzで測定したときのtanδ(損失正接)を粘弾性測定装置(REOMETRIC社製、DYNAMIC ANALYZER RADII)を用いて測定した。−50℃から50℃の範囲でtanδの極大値を示す温度をガラス転移温度とした。
(実施例1)
(基材)
ポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度1100)100重量部、可塑剤としての1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(BASF社製、製品名:Hexamoll-DINCH)30重量部、バリウム・亜鉛系安定剤2.8重量部からなる混合物を180℃にてバンバリーミキサーを用いて混練した。この混合物をカレンダーロールで圧延して厚さ80μmの塩化ビニル樹脂製基材を得た。
(粘着剤層)
アクリル酸エステル共重合体(2−エチルヘキシルアクリレート:20質量部、酢酸ビニル:78質量部、アクリル酸:1質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート:1質量部から得られる共重合体、重量平均分子量:40万、)100質量部、硬化剤として有機多価イソシアネート化合物(トーヨーケム株式会社製、商品名:BHS8515)3.2質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)2.6質量部、およびエネルギー線硬化性化合物として2官能ウレタンアクリレートと6官能ウレタンアクリレートとの比率が1:1の混合物85.7質量部を配合(固形質量比)してエネルギー線硬化性粘着剤組成物を得た。この組成物により得られる粘着剤層のガラス転移温度は17℃である。
(半導体ウエハ加工用シートの作成)
上記のエネルギー線硬化型粘着剤組成物を、溶剤で希釈して塗布量が10g/mとなるように剥離材(SP−PET381031、リンテック社製)に塗布した後、乾燥し、粘着剤層面と上記基材とが対向するようにして積層し、半導体ウエハ加工用シートを作製した。なお、事前に基材にコロナ処理を行い、コロナ処理面に粘着剤層を積層した。
得られた半導体ウエハ加工用シートを用いた<糊残りの評価>を表1に示し、<粘着力測定>の測定結果を表2に、<エキスパンド適性>の結果を表3に示す。
(比較例1)
基材に配合する可塑剤として、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例1と同様とした。結果を表1および表2に示す。
(比較例2)
基材に配合する可塑剤として、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例1と同様とした。結果を表1および表2に示す。
(比較例3)
基材に配合する可塑剤として、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例1と同様とした。結果を表1および表2に示す。
Figure 2013165128
Figure 2013165128
(比較例4)
基材として、厚さ80μmの、エチレン・メタクリル酸共重合体フィルムを用いた以外は実施例1と同様とした。<エキスパンド適性>の結果を表3に示す。比較例4の半導体加工用シートを用いた場合には、X方向とY方向の拡張が均一でなく、エキスパンド適性に劣った。
Figure 2013165128

Claims (11)

  1. 脂環族エステル化合物を可塑剤として含有する塩化ビニル製基材の少なくとも片面に、接着性樹脂層を有する半導体ウエハ加工用シート。
  2. 脂環族エステル化合物が、シクロヘキサンジカルボン酸と、炭素数6〜12のアルコールとのジエステルである請求項1に記載の半導体ウエハ加工用シート。
  3. シクロヘキサンジカルボン酸が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸であり、アルコールがイソノニルアルコールである請求項2に記載の半導体ウエハ加工用シート。
  4. 塩化ビニル製基材における脂環族エステル化合物の含有量が、塩化ビニル100質量部に対して5〜100質量部である請求項1〜3の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
  5. 接着性樹脂層が、感圧接着性を有する請求項1〜4の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
  6. 接着性樹脂層が、エネルギー線硬化型粘着剤からなる請求項5に記載の半導体ウエハ加工用シート。
  7. 接着性樹脂層が、アクリル系粘着剤からなる請求項5または6に記載の半導体ウエハ加工用シート。
  8. アクリル系粘着剤の含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が−50〜30℃である請求項7に記載の半導体ウエハ加工用シート。
  9. 半導体ウエハのダイシングを行う際に、半導体ウエハおよびダイシング後のチップを保持するために使用される請求項1〜8の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
  10. 接着性樹脂層が、エポキシ系接着剤またはポリイミド系接着剤を含有する請求項1〜9の何れかに記載の半導体ウエハ加工用シート。
  11. 半導体ウエハおよびダイシング後のチップに、接着性樹脂層を転写するための請求項9または10に記載の半導体ウエハ加工用シート。
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