JP2013166902A - ナノ複合体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】添加剤自体が凝集することが無く、成形後において異方性の特性が発現しにくいプラスチック成形体を得るための、改良された組成物を提供する。
【解決手段】形状的異方性を有する添加剤11と樹脂12を含む樹脂組成物の予備成形体13をナノ粉砕することにより得られたナノ粒子23を含んでなることを特徴とするナノ複合体組成物を提供する。
【選択図】図3C
【解決手段】形状的異方性を有する添加剤11と樹脂12を含む樹脂組成物の予備成形体13をナノ粉砕することにより得られたナノ粒子23を含んでなることを特徴とするナノ複合体組成物を提供する。
【選択図】図3C
Description
本発明は、ナノ複合体組成物に関する。より詳細には、本発明はナノ粒子を含むナノ複合体組成物に関するものである。
自動車用プラスチック部品には、その用途に応じて機械的強度や放熱特性などの種々の特性が要求される。その要求特性に応じて、通常、ガラス繊維、カーボン繊維、その他の無機物または有機物からなる添加剤がプラスチック部品に添加される。
それらの添加剤の形状は、一般的にアスペクト比(長辺の短辺に対する比率)が1よりもかなり大きく、細長であることが多い。また、かかる添加剤を樹脂に添加した樹脂組成物を射出成形等のせん断下での成形に賦した場合に、樹脂組成物の流れ方向に細長の添加剤が配向し易い。その結果、成形によって得られるプラスチック部品が異方性のある特性を有するものとなる。このように異方性のある特性を有するプラスチック部品は、その成形時の樹脂組成物の流れ方向では充分な引張り強度等を有するものの、その流れ方向に直角の方向では充分な引張り強度等が得られない場合が多い。
このようなプラスチック部品における構造的異方性の発現を低減させるための改良は、これまでにもなされて来ている。例えば、特許文献1に記載されるように、プラスチック部品を製造する際に、樹脂に添加される添加剤の形状を球状にして、成形後のプラスチック部品における異方性のある特性が発現しにくいようにすることが提案されている。
しかしながら、添加剤の形状をあらかじめ球状にすることはその加工に少なからぬ費用を必要とし、またあらかじめ球状にされた添加剤自体が凝集しやすいといった問題を生じやすく、更なる改良が必要とされていた。
本発明は、上記の問題点を解決して、添加剤自体が凝集することが無く、成形後において異方性の特性が発現しにくいプラスチック成形体を得るための、改良された組成物を提供することを目的としている。
本発明のナノ複合体組成物は、請求項1に記載のように、形状的異方性を有する添加剤(11)と樹脂(12)を含む樹脂組成物の予備成形体(13)をナノ粉砕することにより得られたナノ粒子(23)を含んでなることを特徴とするものである。
かかる態様では、成形後に異方性の特性が発現しにくい、プラスチック成形体の成形用の改良された組成物であるナノ複合体組成物が、特に多くの費用を必要とせずに容易に得ることが可能になる。
上記の態様の一つの好ましい形態として、前記予備成形体(13)が、前記樹脂組成物をせん断下で予備成形してなるものである、ナノ複合体組成物が挙げられる(請求項2参照)。
かかる形態によれば、予備成形時のせん断応力の作用によって、形状的異方性を有する添加剤が予備成形体中で配向し易くなり、得られた添加剤の配向した予備成形体のナノ粉砕を容易に行うことが可能になる。
上記の態様のもう一つの好ましい形態として、前記添加剤(11)が、ガラス繊維、カーボン繊維、およびこれらの組合せからなる群から選択されるものである、ナノ複合体組成物が挙げられる(請求項3参照)。
かかる形態によれば、通常そのままの形で樹脂組成物に含有されて成形体として成形された場合に生ずるような成形体での異方性の発現を容易に低減することが可能になる。
上記の態様のもう一つの好ましい形態として、前記樹脂(12)が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択されるものである、ナノ複合体組成物が挙げられる(請求項4参照)。
かかる形態によれば、異方性の特性が低減された樹脂組成物の成形体において、その成形体の用途に応じて、種々の樹脂を選択することが可能になる。
本発明のナノ複合体組成物における、形状的異方性を有する添加剤(11)の「形状的異方性」とは、その添加剤が樹脂に添加された樹脂組成物を、射出成形等のせん断下で予備成形された場合に、添加剤が樹脂組成物の流れ方向と実質上平行に配向されることによって、得られる予備成形体に構造的異方性を生じ得るような、添加剤の形状上の異方性を意味する。
かかる添加剤の「形状的異方性」は、通常使用される添加剤としてのガラス繊維、カーボン繊維、その他の無機繊維や有機繊維等が有する形態上の異方性を意味し、より具体的には、添加剤が1より大きいアスペクト比を有することを意味する。
そのような形状的異方性を有する添加剤は、その材質について特に限定されるものではないが、具体例として、ガラス繊維、カーボン繊維、バサルト繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;およびアラミド、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル等の有機繊維のような繊維強化プラスチック用の繊維状物等が挙げられる。
かかる添加剤の中でも、本発明における添加剤としては、それを含む樹脂組成物が成形されてなる成形体の強度等に機械的特性や放熱等の熱的特性の点で、ガラス繊維、カーボン繊維が好ましい。
本発明のナノ複合体組成物における樹脂(12)は、特に限定されるものではないが、その具体例として、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。かかる熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性イミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド、熱硬化性シリコーン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、およびウレタン樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等の芳香族ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、これらの共重合体、およびアクリルゴム等のアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル樹脂、およびアクリロニトリル−ブタジエン樹脂等のシアン化ビニル系樹脂、イミド基含有ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリネオプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、酸または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂、エポキシ変性ポリオレフィン樹脂、酸または酸無水物変性アクリル系エラストマー、エポキシ変性アクリルエラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルに代表されるフッ素系樹脂、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミド等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、或いは2種以上を併用してもよい。
かかる樹脂の中でも、本発明の樹脂としては、樹脂組成物の成形体用に一般に使用されるエンジニアリングプラスチックとして、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、硬化フェノール樹脂および熱硬化エポキシ樹脂等が好ましく、中でも構造部材として用いられるPP樹脂、ABS樹脂、PA樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂および硬化フェノール樹脂が特に好ましい。
本発明における「樹脂組成物」としては、形状的異方性を有する添加剤と樹脂を含むものであれば特に限定さるものではなく、その形状的異方性を有する添加剤の含有量も、通常採用される含有量であってもよくて、特に限定されるものではない。尚、上記の如き形状的異方性を有する添加剤以外の、酸化防止剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、難燃剤等が、必要に応じて一種または複数種を組合せて、本発明の奏する作用効果を妨げない範囲内で、必要に応じた種々の含有量で、樹脂組成物に添加されてもよい。
本発明における予備成形体(13)を得るための「予備成形」は、特に限定されるものではないが、その好ましい具体例として、溶融成形加工等が挙げられる。かかる溶融成形方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、圧縮成形またはガスアシスト成形等の成形方法が挙げられる。尚、必要に応じて、その成形加工時に、磁場、電場、超音波などを印加することにより、添加物の配向や分散性を制御してもよい。
本発明における予備成形体(13)を得るための「せん断下での予備成形」とは、予備成形時において成形される樹脂組成物の内部でずれを生じさせる力(せん断応力)が付与される状態での予備成形を意味する。その具体例としては、射出成形、押出成形、ブロー成形等が挙げられる。本発明における「せん断下での予備成形」としては、予備成形される樹脂組成物の特性に応じて選択可能であって、特に限定されるものではない。
本発明の予備成形体の形成において、例えば添加剤を含む樹脂組成物を射出成形すると、樹脂組成物が射出成形機のノズルから押し出される際に樹脂組成物には吐出方向(流れ方向)に平行で且つ逆向きの力がかかり、樹脂組成物のある断面にすべりやずれが生じ、その結果として、添加剤と樹脂とを含有する樹脂組成物おいて添加剤が流れ方向に配向し、得られる予備成形体においては機械的強度等の各種特性に異方性が発現する。
本発明のナノ複合体組成物における「ナノ粒子(23)」のサイズとしては、通常ナノオーダーの粒子径を有するものであればよく、さらに限定されるものではない。
また、本発明のナノ粒子(23)のアスペクト比としては、通常1に近いものが好ましく、特に実質上1が好ましい。かかるアスペクト比が1から離れ過ぎると、それを用いて成形された成形体において異方性の特性を低減することが困難になるので好ましくない。
かかるナノ粒子は、形状的異方性を有する添加剤(11)および/または樹脂(12)を含むものであって、例えば、形状的異方性を有する添加剤がナノ粉砕されたもの、樹脂がナノ粉砕されたもの、または形状的異方性を有する添加剤と樹脂の両方を含んでナノ粉砕されたものである。
本発明のナノ複合体組成物におけるナノ粒子を得るための「ナノ粉砕」としては、上記の如く予備成形体(13)をナノ粒子に粉砕することができれば、そのナノ粉砕の形式について特に限定されるものではない。その具体例としては、砥石によるナノ研削、バイトを用いたナノ切削、ナノメートルサイズの研磨粒子を使用するポリッシング等が挙げられる。より具体的には、例えばナノ粉砕機で7,000rpm等の超高速回転でナノ粉砕して10,000メッシュ程度のナノ粒子が構成される。また、湿式微粉砕法によるナノ粉砕加工では、ナノ粉砕加工における混合および粉砕が、混合機および粉砕器を用いて常法で行われ、シンキーミキサー、ウェットミル、カッターミル、ボールミル、ビーズミル、ハンマーミル、ナノミル(登録商標)、乳鉢等が用いられる。
本発明のナノ粉砕の形式としては、アスペクト比が1に近いナノ粒子が得られるものであれば特に限定されず、なかでもアスペクト比が実質上1のナノ粒子が得られるものが望ましい。尚、そのナノ粉砕の粉砕条件については、予備成形体の特性に応じて適宜設定することが可能である。
本発明のナノ複合体組成物は、上記の如きナノ粒子(23)を含むことを特徴とするものであって、ナノ粒子のみを含むものであってもよいが、必要に応じて上記と同様または異なる樹脂や添加剤をさらに含んでもよい。ナノ複合体組成物におけるそのような更なる樹脂や添加剤の種類や含有量は、ナノ複合体組成物を成形して得られる成形体の用途に応じて適宜選択可能である。
本発明のナノ複合体組成物は、異方性の特性の発現が低減されたプラスチック成形体(33)を得るのに有用である。
かかる成形体の成形としては、上記と同様のせん断下での成形が、成形時にせん断応力の作用によって本来生じ易いはずの異方性の特性の発現が低減された、改良された成形体を提供することが可能になる点で望ましい。
本発明のナノ複合体組成物は、形状的異方性を有する添加剤(11)と樹脂(12)を含む樹脂組成物の予備成形体(13)を形成する予備成形工程、及び得られた予備成形体(21)をナノ粉砕してナノ粒子(23)を形成するナノ粉砕工程を含むことを特徴とする、製造方法によって製造され得る。
かかるナノ複合体組成物の製造方法における、形状的異方性を有する添加剤と樹脂を含む樹脂組成物の予備成形としては、予備成形時のせん断応力の作用によって、形状的異方性を有する添加剤が予備成形体中で配向し易くなり、得られた添加剤の配向した予備成形体のナノ粉砕を容易に行うことが可能になる点で、上記と同様のせん断下での予備成形が望ましい。
以下に、図面を参照しながら、従来技術についての説明と共に、本発明をより具体化した実施形態について、さらに説明する。尚、上記の括弧内に記載した符号は、その符号が付されたものと実施形態において具体的記載されたものとの対応関係を示す一例である。
図1には、従来技術において、ガラス繊維1と樹脂2からなる樹脂組成物が射出成形されて得られたプラスチック成形体3が、ゲート4と共に、模式的に示されている。ガラス繊維1は、そのアスペクト比は通常1よりもかなり大きく、形状的異方性を有するものであって、加えて、図1に示されるように成形時に樹脂組成物の流れ方向(MD)に配向するために、得られたプラスチック成形体3が引張り強度等の機械的特性や放熱性等の熱伝導特性などの機能について望ましくない異方性を保有することになる。
図2には、図1に示されたような従来技術における望ましくない異方性を保有するプラスチック成形体3に関して、成形時の樹脂組成物の流れ方向(MD)と、その流れ方向(MD)と直角をなす方向(TD)での成形体3の引張り強度が示されている。図2に示されるように、MD方向の引張り強度に比較して、TD方向の引張り強度が半分程度と低く、成形体3が望ましくない異方性を保有したものである。
図3A〜図3Cには、本発明のナノ粒子23を含むナノ複合体組成物を成形してなる成形体33の製造に関する実施形態の一例が示されている。
図3Aには、アスペクト比が約10のガラス繊維等の、形状的異方性を有する添加剤11と、ポリプロピレン(PP)樹脂等の樹脂12を含む樹脂組成物を射出成形によって予備成形された予備成形体13が、ゲート14と共に、模式的に示されている。図3Aに示されるように、予備成形体13中では、形状的異方性を有する添加剤11が射出成形時の樹脂組成物の流れ方向に実質上平行に配向している。
図3Bには、図3Aに示されるようにして得られた予備成形体21を、回転する砥石22と接触させてナノ研削することによって得られた、アスペクト比が約1のナノ粒子23が模式的に示されている。そこでのナノ粒子23は、図3Aに示されるような形状的異方性を有する添加剤11および/または樹脂12を含むものであって、より詳細には、形状的異方性を有する添加剤11がナノ粉砕されたもの、樹脂12がナノ粉砕されたもの、または形状的異方性を有する添加剤11と樹脂12の両方を含んでナノ粉砕されたものである。
図3Cには、図3Bに示されるようにして得られたナノ粒子23を用いて、射出成形によって成形された成形体33が、ゲート34と共に、模式的に示されている。そこでの成形体33は、図3Aに示されるような形状的異方性を有する添加剤11がナノ粉砕されたナノ粒子31と、図3Aに示されるような樹脂12と同様の樹脂32からなる。
Claims (4)
- 形状的異方性を有する添加剤(11)と樹脂(12)を含む樹脂組成物の予備成形体(13)をナノ粉砕することにより得られたナノ粒子(23)を含んでなることを特徴とする、ナノ複合体組成物。
- 前記予備成形体(13)が、前記樹脂組成物をせん断下で予備成形してなるものである、請求項1に記載のナノ複合体組成物。
- 前記添加剤(11)が、ガラス繊維、カーボン繊維、およびこれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項1または2に記載のナノ複合体組成物。
- 前記樹脂(12)が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ複合体組成物。
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