JP2013185902A - 結晶方位測定方法および結晶方位測定装置 - Google Patents

結晶方位測定方法および結晶方位測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造中の方向性電磁鋼板の粗大な結晶粒の結晶方位を簡易かつ短時間に測定可能な結晶方位測定方法および結晶方位測定装置を提供すること。
【解決手段】制御装置4が、直流磁場Aと、該直流磁場に直交する成分Bを含む交流磁場とを鋼板5に同時に印加して、鋼板5の内部エネルギーの大きさに比例する出力信号を測定し、出力信号の測定値に基づいて鋼板5の結晶方位を算出する。これにより、製造中の方向性電磁鋼板の粗大な結晶粒の結晶方位を簡易かつ短時間に測定できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、鋼板の結晶粒の結晶方位を非破壊で測定する結晶方位測定方法および結晶方位測定装置に関する。
鋼板の結晶粒の結晶方位や集合組織は、製品特性の重要な指標である。一般に、結晶方位の測定は、原子が規則正しく並んでいることに着目し、回折現象を利用して行なわれる。結晶方位の測定方法としては、例えば、X線による回折現象を用いたX線極点図法やX線ラウエ法、電子線による特性X線を用いたコッセル線法、電子線を用いた後方散乱電子線回折法(EBSD)などが知られている。これらの測定法は、結晶粒の格子間隔を既知として、ブラッグの回折条件を満たす回折の方向から結晶方位を測定する。
また、通常、X線回折やX線ラウエ法では数mm程度の領域の測定を行うのに対し、EBSDや、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるKikuchi線を解析して測定するTEM/Kikuchi線法では、数nmの領域を測定できる。そのため、EBSDやTEM/Kikuchi線法は、金属の塑性変形による集合組織の解析などに用いられる。
また、回折現象を利用せずに結晶方位を測定する方法として、マイクロファセットピット法が知られている。このマイクロファセットピット法は、結晶方位によって腐食速度に差があることを利用して、適切な条件下で結晶粒を腐食させて特定の結晶面から構成される腐食孔を作り、その方向を観察することで結晶方位を測定する。
ところで、方向性電磁鋼板は、数mmから数cm程度の粗大な結晶粒を持ち、GOSS方位と呼ばれる特殊な結晶方位を示す。GOSS方位は磁気特性に優れていることから、方向性電磁鋼板の結晶方位の制御は、製品の特性を決定づける上で重要である。そのため、方向性電磁鋼板を製造中(オンライン)に非破壊で結晶方位を測定する技術が望まれている。
特許文献1には、超音波を用いて方向性電磁鋼板の結晶方位の変化を測定する技術が記載されている。これは、超音波のバースト波を入射して多重反射させることにより、結晶方位の変化による音速変化を検知して、目的となる結晶方位からのズレの程度を検知するものである。また、特許文献2には、磁気を利用して、方向性電磁鋼板の二次再結晶不良部と健全部とを弁別する技術が記載されている。これらの技術は、数mmから数cmの領域の測定を行なうものであり、数μmの領域の測定は困難である。そのため、用途を限定する必要があり、例えば方向性電磁鋼板の結晶方位の不良部を検出する際に用いられる。
特開平1−229962号公報 特開2010−54254号公報
回折現象を利用した結晶方位の測定は、精度は高いものの、時間やコストがかかる。例えば、1測定点あたりにかかる時間は、X線ラウエ法では30分程度、コッセルパターン法では15分程度である。また、通常、測定の結果得られた回折パターンはコンピュータにより解析されるが、入射方位などの誤差要因により精度が劣化するおそれがある。
その点で、EBSD法では、近年のコンピュータの性能の向上にともなってかかる時間や精度は改善されているものの、装置が高額かつ大掛かりという問題は残っている。しかも、EBSD法は、測定対象に電子線を照射するため、真空での測定が必須であり、製造中に走行する方向性電磁鋼板を測定対象とすることは困難である。
また、EBSD法やTEM/Kikuchi法では、通常、数mm角から数cm角程度のサンプルを採取して、表面を研磨して真空中で測定する。そのため、EBSD法やTEM/Kikuchi法は、実質的に測定対象を破壊して測定する。
特許文献1に記載の技術をはじめ、超音波を用いた測定は、非破壊で行なうものの、板厚の変化や測定対象の傾きなどにきわめて敏感であり、結晶方位を定量的に測定することは困難である。また、特許文献2に記載の技術によれば、基準とする圧延方向からの結晶方位のズレの有無を測定できるものの、ズレ量を定量的に測定することは困難である。
さらに、方向性電磁鋼板の結晶方位と鉄損とは互いに強い関連性があるため、鉄損を測定することで結晶方位を推定することが可能である。しかしながら、鉄損に影響する因子は結晶方位以外にも多数存在するため、鉄損のみの測定では結晶方位を推定することはできない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製造中の方向性電磁鋼板の粗大な結晶粒の結晶方位を簡易かつ短時間に測定可能な結晶方位測定方法および結晶方位測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る結晶方位測定方法は、直流磁場と、該直流磁場に直交する成分を含む交流磁場とを鋼板に同時に印加して、前記鋼板の内部エネルギーの大きさに比例する出力信号を測定するステップと、前記出力信号の測定値に基づいて鋼板の結晶方位を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る結晶方位測定方法は、上記発明において、前記直流磁場の方向に対して鋼板を回転させて回転角度ごとの出力信号を記憶するステップと、前記回転角度ごとの出力に基づいて、特定の結晶方位を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る結晶方位測定方法は、上記発明において、前記特定の結晶方位は、鋼板の磁化容易軸の方向と磁化困難軸の方向であることを特徴とする。
また、本発明に係る結晶方位測定装置は、直流磁場と、該直流磁場に直交する成分を含む交流磁場とを鋼板に同時に印加して、前記鋼板の内部エネルギーの大きさに比例する出力信号を測定する手段と、前記出力信号の測定値に基づいて鋼板の結晶方位を算出する手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、方向性電磁鋼板の粗大な結晶粒の結晶方位を簡易かつ短時間に測定することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る結晶方位測定装置の概略構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の原理を説明するための図である。 図3は、本実施の形態の結晶方位測定処理手順を示すフローチャートである。 図4は、本実施の形態の結晶方位測定処理を説明するための図である。 図5は、本実施の形態の結晶方位測定処理を説明するための図である。 図6は、本実施の形態の結晶方位測定処理の結果を示す図である。 図7は、本実施の形態の結晶方位測定方法とEBSD法とを比較した結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
まず、図1を参照して、本実施の形態の結晶方位測定装置1の概略構成について説明する。図1に示すように、結晶方位測定装置1は、交流磁化装置2と直流電磁石3と制御装置4とを備える。交流磁化装置2は、フェライトや電磁鋼板積層コアなどのU型のコア21に励磁用コイル22と検出用コイル23とを巻装して構成されている。この交流磁化装置2と直流電磁石3とは、交流磁化装置2による交流磁場が直流電磁石3による直流磁場Aに直交する成分Bを持つように、鋼板5に近接して配置されている。制御装置4は、処理プログラム等を記憶したメモリおよび処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現され、交流磁化装置2および直流電磁石3を制御して、後述する結晶方位測定処理を実行する。
なお、本実施例においては、直流電磁石3を交流磁化装置2の外側に配置しているが、これに限定されない。交流磁化装置2と直流電磁石3とを鋼板5を挟んで対向させる構成でもよい。また、交流磁化装置2のコア21は、I型やE型でもよい。励磁用コイル22と検出用コイル23とを別々のコア21に巻装してもよい。直流電磁石3を永久磁石としてもよい。
ここで、図2を参照して、本実施の形態の結晶方位測定処理の原理について説明する。方向性電磁鋼板のような強磁性体結晶は、結晶方位により磁化し易さが異なる。磁化し易い方向を磁化容易軸と呼び、鉄などの立法晶では[100]方向がこれに当たる。外部磁場が印加されていない場合の自発磁化の方向は、磁化容易軸の方向x1になる。一方、磁化し難い方向を磁化困難軸と呼び、鉄では[111]方向がこれに当たる。なお、[100]方向と[111]方向とがなす角度は54.7°である。すなわち、鉄について磁化容易軸の方向x1と磁化困難軸の方向x2とがなす角度は54.7°である。
このような強磁性体結晶に直流磁場を印加すると、結晶の磁化方向は、外部磁場(直流磁場)の方向Aと自発磁化の方向とを合成した方向となり、結晶の内部エネルギーが変化する。直流磁場の方向Aが自発磁化の方向、すなわち、磁化容易軸の方向x1と一致した場合に内部エネルギーは極小となり、直流磁場の方向Aと磁化困難軸x2の方向と一致した場合に内部エネルギーは極大となる。
次に、このような強磁性体結晶に直流磁場Aとこの直流磁場に直交する成分Bを持つ交流磁場とを印加すると、結晶が受ける外部磁場の方向は、直流磁場の方向Aと交流磁場の方向とのベクトル和となり、交流磁場により揺動する。その際、結晶の磁化の安定度(内部エネルギー)は、結晶方位と直流磁場の方向との関係により変化する。直流磁場の方向Xが磁化容易軸の方向x1と一致した場合に内部エネルギーは極小となり、結晶の磁化の安定度が高くなる。一方、直流磁場の方向Aと磁化困難軸の方向x2とが一致した場合に内部エネルギーは極大となり、結晶の磁化の安定度が低くなる。そこで、本実施の形態では、この外部磁場の変化による結晶の磁化の安定度を電気信号として検出して、これに基づいて結晶方位を算出する。
以下、図3のフローチャートを参照して、結晶方位測定装置1による結晶方位測定処理手順について説明する。図3のフローチャートは、例えば、操作者により結晶方位測定の指示入力があったタイミングで開始となり、結晶方位測定処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、制御装置4が、交流磁化装置2および直流電磁石3に電流を通電し、鋼板5に直流磁場と交流磁場とを同時に印加する。この際に印加される交流磁場は、直流磁場に直交する成分を含む。これにより、ステップS1の処理は完了し、結晶方位測定処理は、ステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、制御装置4が、検出用コイル23の出力信号を取得してメモリに記憶する。このとき、制御装置4は、図4に示すように、鋼板5を交流磁化装置2および直流電磁石3に対して近接させながら矢印C方向に回転させ、所定の角度ごとに取得した出力信号を測定値として記憶する。制御装置4は、出力信号の実効値処理または振幅の算出処理を行なって測定値とする。なお、この出力信号は、外部磁場および自発磁化による鋼板5の内部エネルギーの大きさに比例する。これにより、ステップS2の処理は完了し、結晶方位測定処理は、ステップS3の処理に進む。なお、ステップS2の処理で、鋼板5を固定して、交流磁化装置2および直流電磁石3を回転させてもよい。
ステップS3の処理では、制御装置4が、メモリに記憶した測定値が極大になる角度の情報を取得する。これにより、ステップS3の処理は完了し、結晶方位測定処理は、ステップS4の処理に進む。
図5は、本実施の形態により取得された鋼板5の交流磁化装置2および直流電磁石3に対する回転角度ごとの出力信号の測定値を示す。鋼板5の圧延方向と直流磁場の方向Aが一致している場合を0°としている。ここで、鋼板5は、製造プロセスにおける成分調整や再結晶処理などにより、圧延方向と磁化容易軸方向とがほぼ一致するように製造される。したがって、磁化容易軸の方向はほぼ0°である。図5に示すように、磁化容易軸の方向で測定値が極小となる。また、測定値が極大となる角度が磁化困難軸の方向である。
ステップS4の処理では、制御装置4が、ステップS3で取得した測定値が極大となる角度に基づいて、磁化困難軸の方向と磁化容易軸の方向を算出する。上記のように、測定値が極大となる角度が磁化困難軸の方向である。また、磁化困難軸の方向から、この磁化困難軸と54.7°の角度をなす磁化容易軸の方向が算出できる。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の結晶方位測定処理は終了する。
なお、図5において測定値が極小となる角度を特定できれば、これを磁化容易軸の方向としてもよい。また、特定した磁化容易軸の方向から54.7°の方向を磁化困難軸の方向としてもよい。
本実施の形態の結晶方位測定処理の計測の自由度は鋼板5の平面上に限定され、測定される結晶方位は磁化容易軸または磁化困難軸の鋼板の平面への射影となる。しかしながら、鋼板の垂直方向の結晶方位は製造プロセスで決定され、大きく変化することはまれであるため、鋼板の平面への射影で足りる。
以上、説明したように、本実施の形態の結晶方位測定装置1によれば、直流磁場と交流磁場を同時に印加するだけで、製造中の方向性電磁鋼板の粗大な結晶粒の結晶方位を簡易かつ短時間に測定できる。
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
(実施例)
本実施例において、方向性電磁鋼板の二次再結晶粒の結晶方位を測定した。この測定対象の方向性電磁鋼板は、結晶の直径が数mm〜2cm程度の多結晶構造をなし、板厚は0.3mm程度である。交流磁化装置2は、個々の結晶粒の結晶方位が測定できるように、長手方向に5mm,幅方向に10mmのものを使用した。交流磁化装置2の励磁用コイル22の励磁周波数は、100〜10kHzとした。この励磁周波数は、励磁用コイル22のインピーダンスや測定対象の板厚により適宜変更する。
なお、直流電磁石3の励磁強度が強すぎると、交流磁場による揺動が相対的に小さくなり、磁化困難軸と磁化容易軸との出力差が低下する。一方、直流電磁石3の励磁強度が弱すぎると、角度の変化に対して挙動が不安定になる。そこで、交流磁化装置2の励磁用コイル22の励磁強度や交流磁化装置2と直流電磁石3との励磁強度比は、測定対象に応じて実験により最適値を設定する。
図6は、測定対象の方向性電磁鋼板の7種の結晶粒について圧延方向を0°として測定した結果を示す。図6に示すように、全体として磁化困難軸の方向([111]方向)である54.7°の付近で極大となっているが、個々の結晶粒では極大となる角度が異なっており、個々の結晶粒の結晶方位が微妙にずれていることがわかる。このずれは製造プロセスに起因するものと考えられる。
図7は、本実施の形態の結晶方位測定方法をEBSD法と比較した結果を示す。測定対象の方向性電磁鋼板の結晶粒について、それぞれの方法で圧延方向と磁化容易軸の方向([100]方向)とがなす角度を算出して対比させたものである。図7に示すように、2つの方法による結果のずれは2°以内であり、本実施の形態の結晶方位測定方法が有効であることがわかる。
1 結晶方位測定装置
2 交流磁化装置
21 コア
22 励磁用コイル
23 検出用コイル
3 直流電磁石
4 制御装置
5 鋼板

Claims (4)

  1. 直流磁場と、該直流磁場に直交する成分を含む交流磁場とを鋼板に同時に印加して、前記鋼板の内部エネルギーの大きさに比例する出力信号を測定するステップと、
    前記出力信号の測定値に基づいて鋼板の結晶方位を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする結晶方位測定方法。
  2. 前記直流磁場の方向に対して鋼板を回転させて回転角度ごとの出力信号を記憶するステップと、
    前記回転角度ごとの出力に基づいて、特定の結晶方位を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶方位測定方法。
  3. 前記特定の結晶方位は、鋼板の磁化容易軸の方向と磁化困難軸の方向であることを特徴とする請求項2に記載の結晶方位測定方法。
  4. 直流磁場と、該直流磁場に直交する成分を含む交流磁場とを鋼板に同時に印加して、前記鋼板の内部エネルギーの大きさに比例する出力信号を測定する手段と、
    前記出力信号の測定値に基づいて鋼板の結晶方位を算出する手段と、
    を備えることを特徴とする結晶方位測定装置。
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